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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054785
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】取っ手付きボトルのブロー成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/68 20060101AFI20220331BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
B29C49/68
B29C49/06
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161991
(22)【出願日】2020-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】599137057
【氏名又は名称】銓寶工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】謝樹林
(72)【発明者】
【氏名】羅致中
(72)【発明者】
【氏名】黄俊銘
(72)【発明者】
【氏名】張凱翔
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AG07
4F208AG29
4F208AH55
4F208AK04
4F208AR06
4F208LA01
4F208LA02
4F208LA08
4F208LB01
4F208LD12
4F208LG03
4F208LG28
4F208LH06
4F208LH10
(57)【要約】
【課題】取っ手付きボトル製造の成形方法、特に取っ手の厚みとボトル本体の厚みとの差が大きな取っ手付きボトルの製造に有利なブロー成形方法を提供する。
【解決手段】取っ手付きボトルのプリフォームには、ボトル本体部、及びボトル本体部と相連なった取っ手部を備えている。成形方法には、ボトル本体部及び取っ手部を形成する射出成形工程、赤外線ランプ管を延伸させボトル本体部に進入させる非接触式温調工程、及びボトル本体部を取っ手付きボトルの最終的なボトル形状になるように成形するブロー成形工程を含む。上記方法は、プリフォームに対する温調作業空間を増加させるため、取っ手付きボトルの取っ手とボトル本体との厚みの差を要因として発生する歩留まり率の低下を抑制する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取っ手付きボトルの成形方法であって、
取っ手付きボトルのプリフォームは、ボトル本体部、及び前記ボトル本体部と相連なった取っ手部を備え、
前記ボトル本体部及び前記取っ手部を形成する射出成形工程、
赤外線ランプ管を延伸させ、前記ボトル本体部に進入させる非接触式温調工程、及び、
前記ボトル本体部を前記取っ手付きボトルの最終的なボトル形状になるように成形するブロー成形工程、を含む、
取っ手付きボトルの成形方法。
【請求項2】
前記射出成形工程が、さらに前記プリフォームを冷却する冷却工程を含み、冷却した前記ボトル本体部を前記赤外線ランプ管が加熱する、請求項1に記載の成形方法。
【請求項3】
前記非接触式温調工程が、さらに、前記取っ手部と前記ボトル本体部の接続位置を被覆することを含む、請求項1に記載の成形方法。
【請求項4】
前記赤外線ランプ管の波長範囲が0.75μmから1000μmの間にある、請求項1に記載の成形方法。
【請求項5】
前記非接触式温調工程に、さらに、前記ボトル本体部を保温カバー内に入れ、前記保温カバーが前記ボトル本体部と間隔をあけていることを含む、請求項1に記載の成形方法。
【請求項6】
前記保温カバーが複数の温調区間を有する、請求項5に記載の成形方法。
【請求項7】
前記保温カバーが前記プリフォームの底部に位置する温調区間を有する、請求項5に記載の成形方法。
【請求項8】
前記取っ手部の厚みをX、前記取っ手付きボトルのボトル本体の厚みをYとして、XがYの4倍から15倍の厚みである、請求項1から7のいずれか一項に記載の成形方法。
【請求項9】
前記赤外線ランプ管の延伸方向と前記赤外線ランプ管の前記ボトル本体部への進入方向とが夾角を呈する、請求項1から7のいずれか一項に記載の成形方法。
【請求項10】
前記プリフォームのガラス転移温度を基準として、前記赤外線ランプ管が前記ボトル本体部をガラス転移温度より5℃から30℃高い温度まで加熱する、請求項1から7のいずれか一項に記載の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取っ手付きボトル製造のブロー成形方法に関し、取っ手の厚みとボトル本体の厚みとの差が大きな取っ手付きボトルの製造に有利な取っ手付きボトル製造のブロー成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボトル製造のブロー成形機は、1ステージ式成形及び2ステージ式成形に分けられる。1ステージ式成形のブロー成形機の操作原理は、射出成形を利用したプリフォームがまだ冷却されていない間に、直ちに引き続いてブロー成形を行うことにあり、このため、構造が簡単で、かつボトルの肉厚が同じであるボトル構造にのみ適用可能である。
【0003】
2ステージ式成形の射出装置とブロー成形装置は、通常分離され、かつ異なる生産ライン(又は位置)にあり、さらに温度調節により順にボトル各部(例えば、取っ手又はボトル本体)の成形を完成させる。この類のブロー成形機の射出装置とブロー成形装置の作業ステーションの間には、温調装置が設置され、比較的エネルギーを消費する。
【0004】
上記の温調装置は、例を挙げて説明すると、温度調節により金型コアが延伸してプリフォームに進入し、かつプリフォームの内部に接触することでプリフォーム内部の温度を維持し、さらに、プリフォームが同時に保温ジャケット内に置かれることによりプリフォーム外部の温度を維持する。この類の温調装置は、プリフォームとの接触表面に抗粘着塗装が施される。これは主にテフロン(登録商標)、リン、耐高温酸化性ニッケル等の粒子材料を含むが、疎水性テフロンの耐熱性は200℃より低く、かつ薄い塗装は、衝突により容易に機能を失ってしまう。
【0005】
1ステージ式成形のブロー成形機を使用して取っ手付きボトルを生産する場合には、プリフォームを射出成形する段階でボトル本体のプリフォーム及び接続する取っ手を生産し、引き続き取っ手を露出させて冷却し、その表面を滑らかにしてから、プリフォームをブロー成形してボトルを形成する。しかし、取っ手とプリフォームの成形条件が異なるため、必ず、温調装置の位置を調整することにより、射出成形したプリフォームの温度が低下し過ぎて変形するのを防がなければならない。
【0006】
1ステージ式成形のブロー成形機は、図1に示すとおり、作業ステーション10を介して環状ターンテーブル11が設置され、環状ターンテーブル11の内部にはロータリージョイント50が設けられ、環状ターンテーブル11の環状の外側面は、円周方向にそれぞれ射出ステーション20、温調ステーション30、ブロー成形ステーション40及び取出ステーション60と定義される。環状ターンテーブル11は、搬送プラットフォーム12(サンプルホルダー121)を順に4つの作業ステーションへ送るのに用いられる。
対応する製造工程は順に次のとおりである。射出ステーション20の段階で射出成形ユニット21を通じて取っ手を備えるプリフォーム121Aを形成する。プリフォーム121Aを温調ステーション30に送る。プリフォーム121Aをブロー成形ステーション40に送り、取っ手付きボトル121Bをブロー成形する。最後に、取出ステーション60においてホルダー61により完成品を移動させる。
この類のブロー成形機において、ロータリージョイント50は液体又は気体を熱媒体として提供可能であり、熱媒体(流路を通じてもよい)を順に送って、環状ターンテーブル11の環状の外側面を取り囲ませるようにし、プリフォーム121Aの温度可制御性を高くする。この類の配置は、取っ手温度の冷却及びプリフォームの温度維持に有利である。
【0007】
しかし、取っ手付きボトルの取っ手とボトル本体の厚みの差が大き過ぎる場合、取っ手を冷却した時、取っ手とプリフォームのボトル本体部の接続位置(図3の取っ手接続部135の位置を参照されたい)に収縮が生じ、取っ手が断裂しやすく、歩留まり率を低下させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、取っ手付きボトルの成形方法を提供する。取っ手付きボトルのプリフォームには、ボトル本体部、及びボトル本体部と連なる取っ手部を備えている。成形方法には、ボトル本体部及び取っ手部を形成する射出成形工程、赤外線ランプ管を延伸させボトル本体部に進入させる非接触式温調工程、及びボトル本体部を取っ手付きボトルの最終的なボトル形状になるように成形するブロー成形工程を含む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
赤外線ランプ管でプリフォームの内壁に対し、温調又は加熱作業を行うため、広い作業空間を有することができ、かつ温度勾配による縞模様が生成されにくくなる。また、赤外線ランプ管は、プリフォームの一部区間の温度を加熱するのに用いることができ、温度差が大き過ぎることによって生じる取っ手の内部収縮現象を防止し、生産の歩留まり率を向上させることが可能である。上記の方法は、取っ手付きボトル生産の条件が、取っ手部の厚みをX、取っ手付きボトルのボトル本体の厚みをYとして、XがYの4倍から15倍の時に用いることができる。
【0010】
赤外線ランプ管の波長範囲は、0.75μmから1000μmの間にあることが望ましい。温調工程は、さらに取っ手部とボトル本体部の接続位置の被覆を含み、赤外線の照射を防ぐことにより、取っ手の材料注入口の材料の凝固層の破裂を減少させる。赤外線ランプ管の操作方法は、プリフォームのガラス転移温度を基準として、ボトル本体部をガラス転移温度より5℃から30℃高い温度まで加熱し、上記接続位置が収縮して断裂するという状況を減少させるのに用いられる。
【0011】
さらに、温調工程において、ボトル本体部を保温カバー内に入れ、保温カバーはボトル本体部と間隔が置かれ、かつ保温カバーには複数の温調区間を備えることが好ましい。これにより赤外線ランプ管の無効光放射区を補う。
【0012】
より好ましくは、赤外線ランプ管の延伸方向と赤外線ランプ管のボトル本体部への進入方向とが夾角を有する。これにより赤外線ランプ管がボトル本体部の中へ進入した際の照射区間を調整することで、不均一な輪郭(例えば、楕円)の取っ手付きボトルの生産に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ブロー成形機の概略図である。
図2】温調装置の各素子の概略図である。
図3】プリフォーム各部分の位置の概略図である。
図4】温調装置の第一操作の概略図である。
図5】温調装置の第二操作の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施例>
図2は、ブロー成形機の温調ステーションの温調装置の各素子の配置関係を図示したものである。
温調装置は、図1に示したブロー成形機の温調ステーション30に取り付けられている。ブロー成形機は、環状ターンテーブル11を備え、環状ターンテーブル11の環状の外側面は円周方向に沿って4つの作業ステーション10が定義されており、それぞれ射出ステーション20、温調ステーション30、ブロー成形ステーション40及び取出ステーション60である。環状ターンテーブル11は、搬送プラットフォーム12(サンプルホルダー121)を順に4つの作業ステーション10へ送るのに用いられ、プリフォームの射出、温調、ブロー成形、完成品の取り出しという少なくとも4つの工程を実施する。
【0015】
本実施例は、温調装置の操作に基づくものであり、図3に示した取っ手付きボトルのプリフォームの処理に用いられる。取っ手付きボトルのプリフォーム121Aは、射出成形の工程中において形成され、プリフォーム121Aのボトル本体部15は、ボトル口部14、及びボトル口部14から離れたボトル底部16を含み、ボトル本体部15はさらに取っ手部13を有し、ボトル本体部15と取っ手部13との間は、取っ手接続部135によって互いに接続されている。射出成形の段階において、取っ手部13のキャビティとボトル本体部15のキャビティとは相連なっており、取っ手部13の材料注入口は即ち取っ手接続部135である。
【0016】
図2から図5までを参照されたい。取っ手付きボトル121Bの成形方法には以下の工程を含む。
【0017】
S10:射出成形工程
射出ステーション20でボトル本体部15及び取っ手部13を形成し、引き続いてプリフォーム121Aを冷却し、取っ手部13を型にはめる。射出成形の後、プリフォーム121Aのボトル口部14の外側部分と取っ手部13はサンプルホルダー121に位置決めされ、プリフォーム121Aのボトル本体部15は暫時ぶら下がっており、プリフォーム121Aの取っ手部13の一部分は空気中に露出させ温度を低下させることができる。
【0018】
S20:温調工程
温調ステーション30はサンプルホルダー121の位置に基づいて温調装置が設置される。赤外線ランプ管31は、伝動ユニット32の下方に取り付けられ、その中でサンプルホルダー121は赤外線ランプ管31の下方に位置決めされ、赤外線ランプ管31をプリフォーム121Aに相対して移動可能にし、プリフォーム121Aのボトル口部14からボトル本体部15の内部に進入することで、熱エネルギーを提供する。ここにおける温調装置は、放射エネルギーを提供してプリフォームを直接照射するのであって、気体を加熱して熱源とするのではない。
【0019】
S30:ブロー成形工程
ボトル本体部15をブロー成形し、これにより取っ手付きボトル121Bの最終的なボトル形状を形成する。
【0020】
赤外線ランプ管31の赤外線で、プリフォームに対し直接加熱することで、プリフォーム121Aの加熱有効域を延伸でき、接触式加熱のコア温調と比較し、赤外線ランプ管31を採用して非接触式加熱を行うため、比較的広い作業空間(作業ウィンドウ)を有し、そのプロセスパラメータの調整可能性はさらに広くなる。
【0021】
このため、上記の方法で生産可能な取っ手付きボトルの条件は、取っ手部の厚みをX、取っ手付きボトルのボトル本体の厚みをYとして、XがYの4倍から15倍の場合であり、かつ取っ手接続部135の収縮現象が発生しない。
【0022】
本実施例において、温調工程は、さらに取っ手部13とボトル本体部15の接続位置の被覆、即ち取っ手接続部135の被覆を含む。射出成形工程の段階では材料の温度が150℃以上に達し、凝固層は非常に薄いため、ランプ管の輻射を受けて破裂しやすく、凝固層が破裂して変形を引き起こしてしまう。このため、温調工程を実施する際、必ず板金で接続位置を遮蔽し、赤外線照射を防がなければならない。
【0023】
本実施例において、赤外線ランプ管31の波長は、短波長赤外線(波長が0.75μm~1.5μm)、中波長赤外線(波長が1.5μm~5.6μm)又は遠赤外線(波長が5.6μm~1000μm)のいずれであっても良いが、短波長赤外線ランプ管を選択し使用することが望ましい。また、赤外線ランプ管31のランプ管の種類は、上記波長範囲に基づいて、IRハロゲンランプ管、IR石英管又はIR黒体管を選択して使用可能である。赤外線ランプ管31の操作方法は、プリフォーム121Aのガラス転移温度を基準として、赤外線ランプ管31がボトル本体部15をガラス転移温度より5℃から30℃高い温度まで加熱するというものである。
【0024】
このほか、温調工程は、さらにボトル本体部15を保温カバー35内に入れることを含む。サンプルホルダー121の下方に保温カバー35が設けてあり、保温カバー35は伝動ユニット36の上方に設置され、保温カバー35をプリフォーム121Aに相対して移動させ、ぶら下がっているボトル本体部15を保温カバー35に収納し、かつ保温カバー35と間隔をあけている。このため、保温カバー35の保温/又は加熱によって、ボトル本体部15又は/及びボトル底部16を好ましい作業温度に維持できる。
【0025】
さらに、保温カバー35は、複数の温調区間351、352を有し、プリフォーム121Aの一部区間の温度を保持又は加熱するのに用いられ、温度差が大き過ぎることにより生じる取っ手接続部135の内部収縮現象を防止する。
このほか、保温カバー35底部の温調区間352は、赤外線ランプ管31の末端とプリフォーム121Aのボトル底部16との間の無効光放射区の距離L3(約20~30mm)を補うことができる。保温カバー35の外側にはタングステン線を設置して熱源としているが、操作可能であれば、保温カバー35の熱源は、別の赤外線加熱装置であっても良い。
【0026】
本実施例において、赤外線ランプ管31は垂直型のランプ管であり、伝動ユニット32によりプリフォーム121A中にまっすぐに伸びて入る。赤外線ランプ管31と保温カバー35はそれぞれ独立した伝動ユニットに位置し、プリフォームの上下移動に相対し、又は/及び加熱時間等に基づいて要件パラメータを調整し、これにより操作を簡素化できる。赤外線ランプ管31は広い作業ウィンドウを提供可能なため、パラメータ調整を比較的簡単にすることができる。
【0027】
また、赤外線ランプ管31とプリフォーム121Aの内壁との距離は、L1からL2の間にあり、L1は赤外線ランプ管31がプリフォーム121Aに対して加熱することで温度勾配の縞模様が生じる距離であり、これはプリフォームの材料の特性及び赤外線ランプ管の出力によって決まる。L2は、赤外線ランプ管31が延伸しプリフォーム121A内に置かれた時のランプ管とプリフォームの内壁との最大距離である。言い換えると、赤外線ランプ管31はプリフォームの内部にあることができ、かつプリフォームの側壁よりおよそL1からL2の間の距離を隔てて加熱作業を行い、広い作業空間を有する。
これに対し、仮に(環状)赤外線ランプ管が保温カバーの外部に取り付けられている場合、保温カバーとプリフォームの側壁との距離が容易にL1より小さくなり、温度勾配による縞模様を生成しやすくなってしまう。
【0028】
その他の実施例において、赤外線ランプ管が角度調整ユニット上に取り付けられることにより、赤外線ランプ管の延伸方向と赤外線ランプ管のボトル本体部への進入方向とが夾角を呈する。これにより赤外線ランプ管がボトル本体部の中へ進入した際の照射区間を調整し、又はプリフォーム121Aの内部の特定区間の加熱程度を異なるようにすることで、不均一な輪郭の取っ手付きボトル(例えば、楕円形の容器、又は非円形の容器)の生産に応用可能である。
【0029】
具体的な実施例において、共重合ポリエステル材料(PET、TRITAN)を例にすると、射出成形の段階が終了した時、プリフォームと取っ手の温度を低下させ、その中で取っ手の温度を21℃まで、取っ手の入口の温度も21℃まで低下させ、引き続いて温調ステーションに移動させる。
【0030】
赤外線ランプ管の使用電圧は220V~380V、出力は500w~3kwとし、また共重合材料のガラス転移温度Tgに基づいて、赤外線ランプ管の出力パワーを80%(P=IV)に制御する。出力パワーはランプ管が出力する赤外線の強度によって決まる。またプリフォームの温度をTgより約10℃から30℃高い温度の間(即ち、Tg+10℃~Tg+30℃)に制御し、赤外線ランプ管を垂直にプリフォーム内壁に至るように入れ、赤外線ランプ管とプリフォームの間隔を保持し、保温カバーの温度を(Tg-10℃~Tg+30℃)に設定することで、ブローするボトルを軟化させる。引き続いて、ブロー成形工程を実施する。
【0031】
上記の準備条件で、中実の取っ手の厚みが10~25mm、ブロー成形のボトル本体の厚みが2mmの取っ手付きボトルを生産可能であり、取っ手接続位置の収縮によって断裂するという状況は発生しない。また、技術者はその他の種類の結晶材料(例えば、PETG、PP)を選択し使用することが可能であり、さらに赤外線ランプ管のパワー、ランプ管とプリフォームの距離を調整することにより生産の歩留まり率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0032】
10 作業ステーション
11 環状ターンテーブル
12 搬送プラットフォーム
121 サンプルホルダー
121A プリフォーム
121B 取っ手付きボトル
13 取っ手部
135 取っ手接続部
14 ボトル口部
15 ボトル本体部
16 ボトル底部
20 射出ステーション
21 射出成形ユニット
30 温調ステーション
31 赤外線ランプ管
311 取付座
32、36 伝動ユニット
35 保温カバー
351、352 温調区間
40 ブロー成形ステーション
50 ロータリージョイント
60 取出ステーション
61 ホルダー
L1、L3 距離
X 厚み
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取っ手付きボトルの成形方法であって、
取っ手付きボトルのプリフォームは、ボトル本体部、及び前記ボトル本体部と相連なった取っ手部を備え、
前記ボトル本体部及び前記取っ手部を一体に形成する射出成形工程、
赤外線ランプ管を延伸させ、前記ボトル本体部に進入させる非接触式温調工程であって、前記赤外線ランプ管の延伸方向と前記赤外線ランプ管の前記ボトル本体部への進入方向とが夾角を呈し、前記ボトル本体部を保温カバー内に入れ、前記保温カバーが前記ボトル本体部と間隔をあけており、前記保温カバーが複数の温調区間を有し、前記複数の温調区間のうちの1つが前記プリフォームの底部に位置する非接触式温調工程、及び、
前記ボトル本体部を前記取っ手付きボトルの最終的なボトル形状になるように成形するブロー成形工程、を含む、
取っ手付きボトルの成形方法。
【請求項2】
前記射出成形工程が、さらに前記プリフォームを冷却する冷却工程を含み、冷却した前記ボトル本体部を前記赤外線ランプ管が加熱する、請求項1に記載の成形方法。
【請求項3】
前記非接触式温調工程が、さらに、前記取っ手部と前記ボトル本体部の接続位置を被覆することを含む、請求項1に記載の成形方法。
【請求項4】
前記赤外線ランプ管の波長範囲が0.75μmから1000μmの間にある、請求項1に記載の成形方法。
【請求項5】
前記赤外線ランプ管及び前記保温カバーはそれぞれ独立した伝動ユニットに位置する、請求項1に記載の成形方法。
【請求項6】
前記取っ手部の厚みをX、前記取っ手付きボトルのボトル本体の厚みをYとして、XがYの4倍から15倍の厚みである、請求項1からのいずれか一項に記載の成形方法。
【請求項7】
前記プリフォームのガラス転移温度を基準として、前記赤外線ランプ管が前記ボトル本体部をガラス転移温度より5℃から30℃高い温度まで加熱する、請求項1からのいずれか一項に記載の成形方法。