(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054805
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】燃料電池システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04858 20160101AFI20220331BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20220331BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20220331BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20220331BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20220331BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20220331BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20220331BHJP
【FI】
H01M8/04858
H01M8/0612
H01M8/00 A
H01M8/04537
H01M8/04746
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162019
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】南 和徹
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB29
5H127AC18
5H127AC19
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127DB69
5H127DB99
5H127DC02
5H127DC45
5H127DC83
5H127DC96
(57)【要約】 (修正有)
【課題】燃料電池の作動安定性を高めることができるとともに、光熱費メリットを更に高めることができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料ガス供給ポンプ16と、水供給ポンプ18と、水蒸気改質された改質燃料ガス及び酸化剤ガスによる発電反応により発電を行う燃料電池とを備えた燃料電池システムであって、燃料電池2に関連して、蓄電するための蓄電デバイスを設け、燃料電池2からの発電電力及び蓄電デバイスからの蓄電電力を電力負荷に供給する。燃料電池制御手段62は、運転サイクル期間を通して燃料電池の発電出力が基準発電出力となるように燃料ガス供給ポンプ16などを制御し、運転サイクル期間の開始から運転時間が経過すると、燃料電池制御手段62は、燃料ガス及び/又は改質水の供給流量が少なくなるように燃料ガス供給ポンプ16及び/又は水供給ポンプ18を制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、改質水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段より供給される改質水を用いて前記燃料ガス供給手段より供給される燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、前記改質器にて水蒸気改質された改質燃料ガス及び酸化剤ガスの酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御するためのコントローラとを備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池に関連して、蓄電するための蓄電デバイスが設けられ、前記燃料電池からの発電電力及び前記蓄電デバイスからの蓄電電力が電力負荷に供給されるように構成されており、
前記コントローラは、運転サイクル期間の予測電力負荷を演算する予測電力負荷演算手段と、前記予測電力負荷演算手段により演算された前記予測電力負荷に基づいて前記燃料電池の基準発電出力を演算する発電出力演算手段と、前記燃料電池を制御するための燃料電池制御手段と、を備えており、
前記燃料電池制御手段は、前記運転サイクル期間を通して前記燃料電池の発電出力が前記基準発電出力となるように前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御し、前記運転サイクル期間の開始から所定運転時間が経過すると、前記燃料電池制御手段は、燃料ガス及び/又は改質水の供給流量が少なくなるように前記燃料ガス供給手段及び/又は前記水供給手段を制御し、前記運転サイクル期間を通して、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷よりも大きくなると、前記電力負荷より超えた余剰電力は前記蓄電デバイスに供給されて蓄電され、また前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷より小さくなると、前記電力負荷より不足する不足電力は前記蓄電デバイスから放電されて前記電力負荷に供給されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、燃料ガス及び酸化剤ガスの酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、燃料ガス供給手段を制御するためのコントローラとを備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池に関連して、蓄電するための蓄電デバイスが設けられ、前記燃料電池からの発電電力及び前記蓄電デバイスからの蓄電電力が電力負荷に供給されるように構成されており、
前記コントローラは、運転サイクル期間の予測電力負荷を演算する予測電力負荷演算手段と、前記予測電力負荷演算手段により演算された前記予測電力負荷に基づいて前記燃料電池の基準発電出力を演算する発電出力演算手段と、前記燃料電池を制御するための燃料電池制御手段と、を備えており、
前記燃料電池制御手段は、前記運転サイクル期間を通して前記燃料電池の発電出力が前記基準発電出力となるように前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御し、前記運転サイクル期間の開始から所定運転時間が経過すると、前記燃料電池制御手段は、燃料ガスの供給流量が少なくなるように前記燃料ガス供給手段を制御し、前記運転サイクル期間を通して、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷よりも大きくなると、前記電力負荷より超えた余剰電力は前記蓄電デバイスに供給されて蓄電され、また前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷より小さくなると、前記電力負荷より不足する不足電力は前記蓄電デバイスから放電されて前記電力負荷に供給されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記蓄電デバイスの蓄電充電率を演算するための充電率演算手段と、前記基準発電出力を補正するための発電出力補正手段とを含み、前記発電出力補正手段は、前記充電率演算手段により演算された蓄電充電率と前記蓄電デバイスの適正充電率との差に基づいて前記基準発電出力を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記コントローラの前記発電出力補正手段は、前記蓄電デバイスの前記蓄電充電率が前記適正充電率よりも大きいときには前記蓄電充電率と前記適正充電率との差が大きくなるに従って前記燃料電池の発電出力が前記基準発電出力よりも段階的に小さくなるように補正し、前記蓄電デバイスの前記蓄電充電率が前記適正充電率よりも小さいときには前記蓄電充電率と前記適正充電率との差が大きくなるに従って前記燃料電池の発電出力が前記基準発電出力よりも段階的に大きくなるように補正することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記蓄電デバイスの充電率の上限である上限充電率に達したときの充電上限を判定するための充電上限判定手段を含んでおり、前記充電上限判定手段が前記蓄電デバイスの前記充電上限を判定すると、前記燃料電池の前記基準発電出力に基づく発電運転が終了し、前記発電出力演算手段は前記予測電力負荷に基づいて前記燃料電池の前記基準発電出力を再演算することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記蓄電デバイスの充電率の下限である下限充電率に達したときの充電下限を判定するための充電下限判定手段を含んでおり、前記充電下限判定手段が前記蓄電デバイスの前記充電下限を判定すると、前記燃料電池の前記基準発電出力に基づく発電運転が終了し、前記発電出力演算手段は前記予測電力負荷に基づいて前記燃料電池の前記基準発電出力を再演算することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項7】
燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、改質水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段より供給される改質水を用いて前記燃料ガス供給手段より供給される燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、前記改質器にて水蒸気改質された改質燃料ガス及び酸化剤ガスの酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、蓄電するための蓄電デバイスとを備えた燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池からの発電電力及び前記蓄電デバイスからの蓄電電力を電力負荷に供給するように構成し、運転サイクル期間の初期においては、前記燃料電池の発電出力が運転サイクル期間の予測電力負荷に基づいて設定される基準発電出力となるように前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御し、前記運転サイクル期間の開始から所定運転時間が経過すると、燃料ガス及び/又は改質水の供給流量が少なくなるように前記燃料ガス供給手段及び/又は前記水供給手段を制御し、前記運転サイクル期間を通して、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷よりも大きくなると、前記電力負荷より超えた余剰電力を前記蓄電デバイスに供給して蓄電し、また前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷より小さくなると、前記電力負荷より不足する不足電力を前記蓄電デバイスから放電して前記電力負荷に供給することを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
【請求項8】
燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、燃料ガス及び酸化剤ガスの酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、蓄電するための蓄電デバイスとを備えた燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池からの発電電力及び前記蓄電デバイスからの蓄電電力を電力負荷に供給するように構成し、運転サイクル期間の初期においては、前記燃料電池の発電出力が運転サイクル期間の予測電力負荷に基づいて設定される基準発電出力となるように前記燃料ガス供給手段を制御し、前記運転サイクル期間の開始から所定運転時間が経過すると、燃料ガスの供給流量が少なくなるように前記燃料ガス供給手段を制御し、前記運転サイクル期間を通して、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷よりも大きくなると、前記電力負荷より超えた余剰電力を前記蓄電デバイスに供給して蓄電し、また前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷より小さくなると、前記電力負荷より不足する不足電力を前記蓄電デバイスから放電して前記電力負荷に供給することを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスによる発電反応により発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、燃料電池システムは、燃料ガス(例えば、都市ガス)を供給するための燃料ガス供給手段と、改質水を供給するための水供給手段と、水供給手段より供給される水を用いて燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、改質器にて水蒸気改質された改質燃料ガス及び酸化剤ガス(例えば、空気)の酸化及び還元による発電反応によって発電を行う燃料電池と、燃料ガス供給手段及び水供給手段を制御するためのコントローラとを備えている。このような燃料電池システム(例えば、家庭用の小型燃料電池システム)では、電力負荷に追従する運転制御が行われ、電力負荷の大きさに応じて燃料電池の発電出力が変動するように制御される。そして、部分負荷運転の場合、燃料電池の発電出力は、電力負荷から買電保証電力を減算した電力値となるように制御され、このような制御では、燃料電池の発電出力に合わせて、燃料ガス供給手段からの燃料ガスの供給流量及び水供給手段からの改質水の供給流量が制御される。
【0003】
このように電力負荷に応じて燃料電池の発電出力を制御する場合、電力負荷の増大による発電出力の上昇、また制御乱れによる燃料ガスや改質水の流動変動に備えて、ある程度の余裕を見て少し多い目に燃料ガスを供給するように燃料ガス供給手段が制御され、換言すると、システムの燃料利用率を限界付近まで上げずに、この限界燃料利用率より少し小さい燃料利用率となるように制御され、燃料ガスの供給流量をこのように制御することによって、急激な発電電力の上昇や燃料ガス及び/又は燃料ガスの流量変動による燃料ガス不足の発生を回避し、燃料電池セルスタックの破損を未然に防止している。
【0004】
ところが、このような運転では、部分負荷運転における発電出力がほぼ一定の静定状態においても燃料ガスを少し多い目に供給しているために、システムの発電効率が少し悪化し、この静定状態が長いほど発電効率の悪い状態が継続されることになる。
【0005】
そこで、部分負荷運転における発電出力がほぼ一定の静定状態において高発電効率となるように制御した燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この燃料電池システムでは、余剰電力を消費する余剰電力ヒータが設けられており、また部分負荷運転として、部分負荷通常燃料利用率運転と、これよりも燃料利用率が高い部分負荷高燃料利用率運転とが行われるように構成されている。部分負荷状態では、当初は部分負荷通常燃料利用率運転が行われ、この部分負荷通常燃料利用率運転が一定の静定状態になる(例えば、発電出力の変動が小さい状態が例えば10分程度継続する)と、部分負荷高燃料利用率運転が行われる。この部分負荷高燃料利用率運転では、急激な負荷変動を抑えるため、電力負荷としてその移動平均値が演算され、この電力負荷の移動平均値に追従するように燃料電池の発電出力が制御され、このとき、燃料利用率が通常のときよりも例えば5ポイント程度上昇して運転される。
【0006】
そして、このような部分負荷高燃料利用率運転において、燃料電池の発電出力が電力負荷より大きくなると余剰電力が生じるようになり、生じた電力余剰が余剰電力ヒータに送給されて消費される一方、燃料電池の発電出力が電力負荷よりも小さくなると電力不足が生じるようになり、生じた不足電力が商用交流電源から買電して対応するようになる。
【0007】
また、部分負荷高燃料利用率運転において大きな負荷変動が生じると、部分負荷高燃料利用率運転が解除されて部分負荷通常燃料利用率運転に戻り、この部分負荷通常燃料利用率運転でもって運転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような燃料電池システムでは、部分負荷高燃料利用率運転のときには、通常のときよりも高い高燃料利用率でもって運転されるが、電力余剰が生じたときには余剰電力ヒータで消費し、また電力不足が生じたときには買電で対応するようになり、充分な光熱費メリットが得られているとは言いがたい。
【0010】
また、部分負荷運転においては、定格発電運転のときよりも燃料ガス及び改質水の流量が少ないために、小さな負荷変動であっても不安定な挙動のリスクが大きくなってしまうことが懸念され、燃料ガス及び改質水を減らせる量が限定的となる。更に、大きな負荷変動のときには、部分負荷高燃料利用率運転から部分負荷通常燃料利用率運転に戻して燃料電池の発電出力を変動せざるをえず、このように運転を切り換える場合、燃料ガス及び改質水を減らす運転条件からも外れてしまう。
【0011】
燃料電池システムとして、燃料ガスに例えば都市ガスを用いる形態のものの他に、燃料ガスに例えば水素ガスを用いる形態のもの(この場合、水蒸気改質が不要となる)もあるが、上述した光熱費メリットの問題は、この水素ガスを用いる形態のものにも同様に存在する。
【0012】
本発明の目的は、燃料電池の作動安定性を高めることができるとともに、光熱費メリットを更に高めることができる燃料電池システム及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に記載の燃料電池システムは、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、改質水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段より供給される改質水を用いて前記燃料ガス供給手段より供給される燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、前記改質器にて水蒸気改質された改質燃料ガス及び酸化剤ガスの酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御するためのコントローラとを備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池に関連して、蓄電するための蓄電デバイスが設けられ、前記燃料電池からの発電電力及び前記蓄電デバイスからの蓄電電力が電力負荷に供給されるように構成されており、
前記コントローラは、運転サイクル期間の予測電力負荷を演算する予測電力負荷演算手段と、前記予測電力負荷演算手段により演算された前記予測電力負荷に基づいて前記燃料電池の基準発電出力を演算する発電出力演算手段と、前記燃料電池を制御するための燃料電池制御手段と、を備えており、
前記燃料電池制御手段は、前記運転サイクル期間を通して前記燃料電池の発電出力が前記基準発電出力となるように前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御し、前記運転サイクル期間の開始から所定運転時間が経過すると、前記燃料電池制御手段は、燃料ガス及び/又は改質水の供給流量が少なくなるように前記燃料ガス供給手段及び/又は前記水供給手段を制御し、前記運転サイクル期間を通して、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷よりも大きくなると、前記電力負荷より超えた余剰電力は前記蓄電デバイスに供給されて蓄電され、また前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷より小さくなると、前記電力負荷より不足する不足電力は前記蓄電デバイスから放電されて前記電力負荷に供給されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の燃料電池システムは、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、燃料ガス及び酸化剤ガスの酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、燃料ガス供給手段を制御するためのコントローラとを備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池に関連して、蓄電するための蓄電デバイスが設けられ、前記燃料電池からの発電電力及び前記蓄電デバイスからの蓄電電力が電力負荷に供給されるように構成されており、
前記コントローラは、運転サイクル期間の予測電力負荷を演算する予測電力負荷演算手段と、前記予測電力負荷演算手段により演算された前記予測電力負荷に基づいて前記燃料電池の基準発電出力を演算する発電出力演算手段と、前記燃料電池を制御するための燃料電池制御手段と、を備えており、
前記燃料電池制御手段は、前記運転サイクル期間を通して前記燃料電池の発電出力が前記基準発電出力となるように前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御し、前記運転サイクル期間の開始から所定運転時間が経過すると、前記燃料電池制御手段は、燃料ガスの供給流量が少なくなるように前記燃料ガス供給手段を制御し、前記運転サイクル期間を通して、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷よりも大きくなると、前記電力負荷より超えた余剰電力は前記蓄電デバイスに供給されて蓄電され、また前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷より小さくなると、前記電力負荷より不足する不足電力は前記蓄電デバイスから放電されて前記電力負荷に供給されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の燃料電池システムでは、前記コントローラは、前記蓄電デバイスの蓄電充電率を演算するための充電率演算手段と、前記基準発電出力を補正するための発電出力補正手段とを含み、前記発電出力補正手段は、前記充電率演算手段により演算された蓄電充電率と前記蓄電デバイスの適正充電率との差に基づいて前記基準発電出力を補正することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載の燃料電池システムでは、前記コントローラの前記発電出力補正手段は、前記蓄電デバイスの前記蓄電充電率が前記適正充電率よりも大きいときには前記蓄電充電率と前記適正充電率との差が大きくなるに従って前記燃料電池の発電出力が前記基準発電出力よりも段階的に小さくなるように補正し、前記蓄電デバイスの前記蓄電充電率が前記適正充電率よりも小さいときには前記蓄電充電率と前記適正充電率との差が大きくなるに従って前記燃料電池の発電出力が前記基準発電出力よりも段階的に大きくなるように補正することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項5に記載の燃料電池システムでは、前記コントローラは、前記蓄電デバイスの充電率の上限である上限充電率に達したときの充電上限を判定するための充電上限判定手段を含んでおり、前記充電上限判定手段が前記蓄電デバイスの前記充電上限を判定すると、前記燃料電池の前記基準発電出力に基づく発電運転が終了し、前記発電出力演算手段は前記予測電力負荷に基づいて前記燃料電池の前記基準発電出力を再演算することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項6に記載の燃料電池システムでは、前記コントローラは、前記蓄電デバイスの充電率の下限である下限充電率に達したときの充電下限を判定するための充電下限判定手段を含んでおり、前記充電下限判定手段が前記蓄電デバイスの前記充電下限を判定すると、前記燃料電池の前記基準発電出力に基づく発電運転が終了し、前記発電出力演算手段は前記予測電力負荷に基づいて前記燃料電池の前記基準発電出力を再演算することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項7に記載の燃料電池システム制御方法は、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、改質水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段より供給される改質水を用いて前記燃料ガス供給手段より供給される燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、前記改質器にて水蒸気改質された改質燃料ガス及び酸化剤ガスの酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、蓄電するための蓄電デバイスとを備えた燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池からの発電電力及び前記蓄電デバイスからの蓄電電力を電力負荷に供給するように構成し、運転サイクル期間の初期においては、前記燃料電池の発電出力が運転サイクル期間の予測電力負荷に基づいて設定される基準発電出力となるように前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御し、前記運転サイクル期間の開始から所定運転時間が経過すると、燃料ガス及び/又は改質水の供給流量が少なくなるように前記燃料ガス供給手段及び/又は前記水供給手段を制御し、前記運転サイクル期間を通して、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷よりも大きくなると、前記電力負荷より超えた余剰電力を前記蓄電デバイスに供給して蓄電し、また前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷より小さくなると、前記電力負荷より不足する不足電力を前記蓄電デバイスから放電して前記電力負荷に供給することを特徴とする。
【0020】
更に、本発明の請求項8に記載の燃料電池システムの制御方法は、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、燃料ガス及び酸化剤ガスの酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、蓄電するための蓄電デバイスとを備えた燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池からの発電電力及び前記蓄電デバイスからの蓄電電力を電力負荷に供給するように構成し、運転サイクル期間の初期においては、前記燃料電池の発電出力が運転サイクル期間の予測電力負荷に基づいて設定される基準発電出力となるように前記燃料ガス供給手段を制御し、前記運転サイクル期間の開始から所定運転時間が経過すると、燃料ガスの供給流量が少なくなるように前記燃料ガス供給手段を制御し、前記運転サイクル期間を通して、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷よりも大きくなると、前記電力負荷より超えた余剰電力を前記蓄電デバイスに供給して蓄電し、また前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷より小さくなると、前記電力負荷より不足する不足電力を前記蓄電デバイスから放電して前記電力負荷に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1に記載の燃料電池システム及び請求項7に記載の燃料電池システムの制御方法によれば、燃料電池に関連して、蓄電するための蓄電デバイスが設けられ、燃料電池からの発電電力及び蓄電デバイスからの蓄電電力が電力負荷に供給されるように構成されている。そして、コントローラは、予測電力負荷を演算する予測電力負荷演算手段と、この予測電力負荷に基づいて燃料電池の基準発電出力を演算する発電出力演算手段とを備え、燃料電池制御手段は、運転サイクル期間を通して燃料電池の発電出力が基準発電出力となるように燃料ガス供給手段及び水供給手段を制御し、運転サイクル期間の開始から所定運転時間が経過すると、燃料電池制御手段は、燃料ガス及び/又は改質水の供給流量が少なくなるように燃料ガス供給手段及び/又は水供給手段を制御するので、燃料電池の発電運転が安定した状態において燃料ガス及び/又は改質水の供給が少なくなり、これによって、発電運転を安定させながら光熱費メリットを高めることができる。
【0022】
また、この運転サイクル期間を通して、燃料電池の発電電力が電力負荷よりも大きくなると、電力負荷より超えた余剰電力が蓄電デバイスに供給されて蓄電され、また燃料電池の発電電力が電力負荷より小さくなると、電力負荷より不足する不足電力が蓄電デバイスから放電されて電力負荷に供給され、この蓄電デバイスの充電及び放電を利用して、電力負荷で必要とされる電力を燃料電池及び蓄電池から所要の通りに供給することができる。
【0023】
また、本発明の請求項2に記載の燃料電池システム及び請求項8に記載の燃料電池システムの制御方法によれば、燃料ガスとして例えば水素ガスを用いる燃料電池システム(改質器にて改質水を用いて改質を行う必要のないもの)においても、上述と同様の構成とすることにより、同様の作用効果を達成することができる。
【0024】
また、本発明の請求項3に記載の燃料電池システムによれば、コントローラは、蓄電デバイスの蓄電充電率を演算するための充電率演算手段と、基準発電出力を補正するための発電出力補正手段とを含み、発電出力補正手段は、充電率演算手段により演算された蓄電充電率と適正充電率との差に基づいて基準発電出力を補正するので、蓄電デバイスの蓄電充電率が大きく変動して満充電状態及び空充電状態になることを抑えることができ、蓄電デバイスの容量を有効に利用することができる。
【0025】
この場合、蓄電デバイスの蓄電充電率が適正充電率よりも大きいときには、この蓄電充電率が下がるように、即ち燃料電池の発電出力として基準発電出力よりも小さい発電出力となるように補正され、また蓄電充電率が適正充電率よりも小さいときには、この蓄電充電率が上がるように、即ち燃料電池の発電出力として基準発電出力よりも大きい発電出力となるように補正される。
【0026】
また、本発明の請求項4に記載の燃料電池システムによれば、蓄電デバイスの蓄電充電率が適正充電率よりも大きいときには、この蓄電充電率と適正充電率との差が大きくなるに従って基準発電出力から段階的に発電出力が下がるように補正され、またこの蓄電充電率が適正充電率よりも小さいときには、この蓄電充電率と適正充電率との差が大きくなるに従って基準発電出力よりも段階的に発電電力が上がるように補正されるので、蓄電デバイスの蓄電充電率を適正充電率に保つように制御することができる。
【0027】
また、本発明の請求項5に記載の燃料電池システムによれば、充電上限判定手段が蓄電デバイスの充電率が上限充電率に達したと判定すると、燃料電池の基準発電出力に基づく発電運転が終了して基準発電出力の再演算が行われるので、蓄電デバイスが満充電状態になるのを回避し、蓄電デバイスの劣化を抑えることができる。
【0028】
また、本発明の請求項6に記載の燃料電池システムによれば、充電下限判定手段が蓄電デバイスの充電率が下限充電率に達したと判定すると、燃料電池の基準発電出力に基づく発電運転が終了して基準発電出力の再演算が行われるので、蓄電デバイスが空充電状態になるのを回避し、蓄電デバイスの劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に従う燃料電池システムの第1の実施形態の全体を示す簡略図。
【
図2】燃料電池ステップステムの運転時刻と予測電力負荷との関係を示す図。
【
図3】燃料電池の基準発電出力と予測電力負荷との関係を示す図。
【
図4】蓄電池のSOC-OCV曲線とその充電曲線及び放電曲線との関係を説明するための図。
【
図5】
図1の燃料電池システムの制御系を簡略的に示すブロック図。
【
図6】
図5に示す制御系による制御の流れを示すフローチャート。
【
図7】本発明に従う燃料電池システムの第2の実施形態の制御系を簡略的に示すブロック図。
【
図8】
図7の燃料電池システムの制御系による設定発電出力による発電運転の流れを示すフローチャート。
【
図9】
図7の燃料電池システムの制御系による高効率の発電運転の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う燃料電池システム及びその制御方法の実施形態について説明する。まず、
図1~
図6を参照して、第1の実施形態の燃料電池システム及びその制御方法について説明する。
【0031】
図1において、図示の燃料電池システムは、発電手段としての燃料電池2と、蓄電デバイスとしての蓄電池4とを備えている。燃料電池2は発電出力ライン6を介して受電ライン8に接続され、発電出力ライン6には発電側インバータ10が配設されている。また、蓄電池4は充放電ライン12を介して受電ライン8に接続され、充放電ライン12には蓄電側インバータ14が配設されている。
【0032】
燃料電池2としては、それ自体周知のもの、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)、高分子形燃料電池(PEFC)などを用いることができる。図示していないが、この燃料電池2は、発電反応により発電する燃料電池本体を備え、更に、燃料ガスを改質するための改質器、この改質器に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給ポンプ16(燃料ガス供給手段を構成する)(
図5参照)、改質器に改質水を供給するための水供給ポンプ18(水供給手段を構成する)(
図5参照)、及び酸化剤ガスとしての空気を燃料電池に供給するための空気ブロア20(酸化剤ガス供給手段を構成する)(
図5参照)などを含んでいる。
【0033】
この燃料電池2においては、燃料ガス(例えば、都市ガスなどの原燃料ガス)が燃料ガス供給ポンプ16によって改質器(図示せず)に供給され、また改質水が水供給ポンプ18によって改質器に供給され、この改質器において、燃料ガスが改質水によって水蒸気改質される。水蒸気改質された改質燃料ガスは燃料電池2の燃料極側に供給され、空気(酸化剤ガス)は空気ブロア20によって燃料電池2の酸素極側に供給され、燃料電池の燃料極側での酸化及びその酸素極側での還元による電池反応により発電が行われる。この燃料電池2からの発電出力は発電出力ライン6を通して受電ライン8に流れる。
【0034】
燃料ガス供給ポンプ16は、その回転数によって燃料ガスの供給流量を制御し、その回転数が大きくなる(又は小さくなる)と、燃料ガスの供給量が多くなる(又は少なくなる)。水供給ポンプ18は、その回転数によって改質水の供給流量を制御し、その回転数が大きくなる(又は小さくなる)と、改質水の供給量が多くなる(又は少なくなる)。また、空気ブロア20は、その回転数によって空気(酸化剤ガス)の供給流量を制御し、その回転数が大きくなる(又は小さくなる)と、空気の供給量が多くなる(又は少なくなる)。燃料ガス供給ポンプ16、水供給ポンプ18及び空気ブロア20は、後述するコントローラ22により制御される。
【0035】
また、蓄電池4(蓄電デバイス)は、例えばリチウムイオン電池などから構成され、燃料電池2からの発電電力の一部を蓄電するとともに、蓄電した蓄電電力を放電するように構成され、後述するように余剰電力が生じたときには蓄電し、電力不足が生じたときには放電する。蓄電デバイスとしては、実施形態では蓄電池4を用いているが、例えば大容量キャパシタなどを用いるようにしてもよい。
【0036】
受電ライン8は、商用交流電源24に接続されている。商用交流電源24は、例えば、単相3線式100/200Vであり、この商用交流電源24からの商用電力が受電ライン8を通して電力負荷26に供給される。この電力負荷24は、一般家庭であると照明装置、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品などである。
【0037】
発電出力ライン6に配設された発電側インバータ10は、燃料電池2からの直流の出力電力を商用交流電源24から受電する受電電力と同じ電圧(例えば、100V)及び同じ周波数(例えば、60Hz)に変換し、またその出力電流の制御ができるように構成されている。この発電側インバータ10からの出力電力は、発電出力ライン6及び受電ライン8を通して電力負荷26に供給される。
【0038】
また、充放電ライン12に配設された蓄電側インバータ14は、双方向型のものであり、蓄電池4に充電するときには、受電ライン8からの交流電力を蓄電池4の充電レベルに応じた直流電力に変換し、蓄電池5から放電するときには、蓄電池4に蓄電された直流電力を商用交流電源24からの交流電力と同じ電圧(例えば、100V)及び同じ周波数(例えば、60Hz)の交流電力に変換し、またその入出力電流の制御ができるように構成されている。この蓄電側インバータ14からの出力電力は、充放電ライン12及び受電ライン18を通して電力負荷26に供給される。
【0039】
この燃料電池2に関連して、受電ライン8に発電側変流器32(所謂、発電側CT)が配設されている。この発電側変流器32は、燃料電池2から商用交流電源24への逆潮流を検知する。また、蓄電池4に関連して、受電ライン8に蓄電側変流器34(所謂、蓄電側CT)が配設されている。この蓄電側変流器34は、蓄電池4から商用交流電源24への逆潮流を検知する。この実施形態では、発電側インバータ10及び蓄電側インバータ14は商用交流電源24に系統連系され、燃料電池2からの発電電流及び蓄電池4からの放電電流が受電ライン8を通して商用交流電源24に流れないように構成されている。
【0040】
この第1の実施形態では、受電ライン8において、発電出力ライン6及び充放電ライン12の接続箇所よりも電力負荷24側の電力負荷ライン部36に、電力負荷26に流れる負荷電流を計測する負荷電流計38が配設され、この負荷電流計38の計測負荷電流により電力負荷26で消費される消費電力(即ち、電力負荷の大きさ)を知ることができる。
【0041】
また、発電出力ライン6に発電側出力電流計40が配設され、この発電側出力電流計40の計測出力電流により燃料電池2の発電出力(発電電力)を知ることができる。更に、充放電ライン12に蓄電側電流計42が配設され、この蓄電側電流計42の計測電流により蓄電池4の充放電の出力を知ることができる。例えば、蓄電側電流計42の計測電流が正電流であるときには、蓄電池4の放電電流を計測し、この放電電流により蓄電池4の放電電力(放電出力)を知ることができ、またこの蓄電側電流計42の計測電流が負電流であるときには、蓄電池4の充電電流を計測し、この充電電流により蓄電池4への充電電力を知ることができる。充放電ライン12には、更に、充放電ライン12の電圧を計測するための蓄電側電圧計44が配設されている。
【0042】
一般に、蓄電池4が例えばリチウムイオン電池である場合、
図4に示すSOC(充電率)とOCV(開放電圧)との間には、例えば
図4に示す通りの関係があり、OCV(開放電圧)を計測することにより、蓄電池4の充電率を推測することができる。また、このSOC-OCV曲線と蓄電池4の直流抵抗値がわかっていれば、これらを元に蓄電池4の充電曲線(
図4に一点鎖線で示す)及び蓄電池の放電曲線(
図4に二点鎖線で示す)の挙動を知ることができる。即ち、SOC-OCV曲線において、OCVにV=I(電流値)×R(蓄電池4の抵抗値)の電圧値ΔVを上方(充電側)にずらせば充電電圧となり、この電圧値Δを下方(放電側)にずらせば放電電圧となる。
【0043】
このようなことから、SOC-OCV曲線とこの充放電ライン12を流れる電流及び電圧とがわかれば、このSOC-OCV曲線を利用して蓄電池4の充電率を推測することができる。従って、この実施形態では、蓄電側電流計42及び蓄電側電圧計44が充電率検知手段として機能する。
【0044】
このSOC-OCV曲線を用いることなく、例えば、次のようにしても蓄電池4の蓄電充電率を演算することができる。即ち、蓄電池4の蓄電容量に対し、この蓄電池4への充電量と蓄電池4からの放電量を常時演算し、充電量及び放電量に基づいて蓄電池4の蓄電率を演算することもできる。
【0045】
この燃料電池システムにおいては、発電側変流器32、発電側出力電流計40、蓄電側変流器34,蓄電側電流計42、蓄電側電圧計44及び負荷側電流計38からの検知信号はコントローラ22に送給され、コントローラ22は、これの検知信号に基づいて、燃料電池2(燃料ガス供給ポンプ16、水供給ポンプ18及び空気ブロア20)、発電側インバータ10、蓄電側インバータ14を後述する如く制御する。
【0046】
この第1の実施形態では、例えば、マイクロプロセッサなどから構成されるコントローラ22は、発電側制御手段46及び蓄電側制御手段48を含み、発電側制御手段46は燃料電池2及び発電側インバータ10を制御し、蓄電側制御手段48は蓄電側インバータ14を制御する。尚、この実施形態では、燃料電池システムを発電側制御手段46及び蓄電側制御手段48により制御しているが、一つの制御手段により燃料電池システム全体を制御するようにしてもよい。
【0047】
図4を参照して、この燃料電池システムの制御系について説明すると、コントローラ22の発電側制御手段46は、予測電力負荷演算手段52、発電出力演算手段54、充電率演算手段56、発電出力補正手段58、発電出力設定手段60、燃料電池制御手段62及び発電側インバータ制御手段64を含んでいる。
【0048】
予測電力負荷演算手段52は、後述する如くして予測電力負荷を演算し、発電出力演算手段54は、予測電力負荷演算手段52により演算された予測電力負荷に基づいて燃料電池2の発電出力、即ち基準発電出力を演算する。また、充電率演算手段56は、蓄電側電流計42及び蓄電側電圧計44の検知信号に基づきSOC-OCV曲線(
図4参照)を用いていて蓄電池4の蓄電充電率を演算し、発電出力補正手段58は、充電率演算手段56により演算された蓄電充電率に基づき燃料電池2の基準発電出力を後述如く補正し、発電出力設定手段60は、発電出力補正手段58により補正された燃料電池2の発電出力を設定する。燃料電池制御手段62は、発電出力設定手段60により設定された設定発電出力となるように燃料電池2(燃料ガス供給ポンプ16、水供給ポンプ18及び空気ブロア20)を制御し、発電側インバータ制御手段64は、発電側インバータ40を後述する如く制御する。
【0049】
また、コントローラ22の蓄電側制御手段48は蓄電側インバータ制御手段66を含み、この蓄電側インバータ制御手段66は蓄電側インバータ14を後述する如く制御する。このコントローラ22は、更に、第1メモリ手段68及び第2メモリ手段70を含み、第1メモリ手段68には、予測電力負荷を演算する期間である運転サイクル期間(例えば、8時間)、運転サイクル期間の開始から燃料電池2の作動が安定するまでの所定運転時間(例えば、1~2時間程度であって、例えば2時間)、所定運転時間経過後の燃料ガスの減量割合、SOC-OCV曲線データ、蓄電池4の適切な充電率である適正充電率(例えば、50~60%)及び基準発電出力を補正する補正値(例えば、-5%、+5%)などが登録されている。また、第2メモリ手段70には、燃料電池2の運転時刻とそのときの電力負荷との関係が登録され、過去の時刻とそのときの電力負荷とを用い予測電力負荷が演算される。
【0050】
次に、主として
図4及び
図5を参照して、この燃料電池システムの稼働運転ついて説明する。稼働運転において運転サイクル期間が開始される(ステップS1)と、まず予測電力負荷の演算が行われる(ステップS2)。この実施形態では、コントローラ22の第2メモリ手段70に、過去の時刻とそのときに電力負荷との関係が登録されており、この時刻と電力負荷との関係は、例えば
図2に示す通りになり、このような一日の時刻と電力負荷との関係を示す時刻-電力負荷データが各日毎に登録されている。
【0051】
この実施形態では、運転サイクル期間として例えば8時間が設定され、例えば、0時~8時が朝の時間帯、8時~16時が昼間の時間帯、また16時~24時が夜の時間帯として設定されており、例えば0時、8時及び16時になると、この運転サイクル期間が開始される。尚、このように予め時間を設定するのではなく、発電運転の開始から8時間毎に運転サイクル期間を設定するようにしてもよい。また、この運転サイクル期間として、12時間、24時間など適宜の時間に設定することができる。
【0052】
また、この実施形態においては、予測電力負荷を演算するのに、例えば直近の過去3日間の電力負荷を平均化したものを用いるようにしているが、このような構成に限定されず、例えば昨日の電力負荷を用いるようにしてもよく、或いは例えば直近の過去2日間、7日間、14日間などの適宜の期間のものを用いるようにしてもよい。加えて、リモコンなどの操作端末装置から予測電力負荷を入力できるように構成してもよく、或いは通信網(例えば、通信回線)などを利用して外部から遠隔で予測電力負荷を配信するようにしてもよい。予測電力負荷演算手段52はこのような情報に基づいて予測電力負荷を演算する。
【0053】
例えば、夜の時間帯(16時~24時)の予測電力負荷が
図3に実線で示す通りであるとすると、発電出力演算手段54は、この夜の時間帯の予測電力負荷をまかなうための燃料電池2の発電出力、即ち基準発電出力を演算する(ステップS3)。即ち、夜の時間帯の予測電力負荷により消費される電力と燃料電池2により発電される発電電力とが等しくなる一定発電電力、即ち基準発電出力が演算され、この基準発電出力は、例えば、
図3に破線で示すようになる。
【0054】
次に、充電率演算手段56は、蓄電側電流計42及び蓄電側電圧計44の検知信号に基づき、第1メモリ手段68に登録されたSOC-OCV曲線データを用いて蓄電池4の蓄電充電率を演算する(ステップS4)。そして、蓄電池4の蓄電充電率に基づいて、発電出力演算手段54により演算された燃料電池2の基準発電出力の補正が行われ(ステップS5)、補正された発電出力が設定される(ステップS6)。
【0055】
例えば、蓄電池4の蓄電充電率が50~60%であると適正充電状態であるとし(換言すると、適正充電率が50~60%である)、発電出力補正手段58は補正値「0(ゼロ)」とし、発電出力設定手段60は、発電出力演算手段54により演算された基準発電出力を燃料電池2の発電出力として設定する。
【0056】
この充電率が60%を超えていると適正発電状態よりも多い充電状態であるとし、発電出力補正手段58は補正値として発電出力演算手段54により演算された基準発電出力の例えば-5%を補正値とし、発電出力設定手段60は、発電出力演算手段54により演算された基準発電出力の95%の値を燃料電池2の発電出力として設定し、このように発電出力を補正して基準発電出力よりも幾分下げることにより満充電状態になるのを抑えることができる。
【0057】
また、この充電率が50%未満であると適正発電状態よりも少ない充電状態であるとし、発電出力補正手段58は補正値として発電出力演算手段54により演算された基準発電出力の例えば+5%を補正値とし、発電出力設定手段60は、発電出力演算手段54により演算された基準発電出力の105%の値を燃料電池2の発電出力として設定し、このように発電出力を補正して基準発電出力よりも幾分上げることにより空充電状態になるのを抑えることができる。
【0058】
このようにして発電出力の設定が行われると、設定された発電出力(設定発電出力)となるように燃料電池2が運転される。即ち、燃料電池制御手段62は、設定発電出力となるように燃料ガス供給ポンプ16、水供給ポンプ18及び空気ブロア20を制御し、燃料電池2からの発電出力が発電側インバータ10を通して電力負荷26に供給される。
【0059】
このような通常運転状態において、燃料電池2の発電出力が電力負荷26(
図1参照)を超える、即ち
図3において「A」で示す時間帯においては、電力負荷26で消費される電力よりも燃料電池2の発電出力の方が大きくなって余剰電力が発生しており、このようなときには、ステップS8からステップS9に進み、この余剰電力が蓄電側インバータ14を通して蓄電池4に供給されて充電される。
【0060】
また、燃料電池2の発電出力が電力負荷26よりも不足する、即ち
図3において「B」で示す時間帯においては、電力負荷26で消費される電力の方が燃料電池2の発電出力よりも大きくなって電力不足が発生しており、このようなときには、ステップS8及びステップS10を経てステップS11に進み、この不足電力が蓄電池4から放電されて蓄電側インバータ14を通して電力負荷26に供給される。
【0061】
このように、蓄電池4の充電及び放電を利用して、電力負荷26で必要とされる電力を燃料電池2及び蓄電池4から所要の通りに供給することができ、それ故に、従来のように燃料電池2の発電出力を電力負荷26よりも幾分低くする必要がなく、燃料電池2の発電出力を有効に利用して電力負荷26で消費することができ、燃料電池システムの通常運転において充分な光熱費メリットを得ることができる。
【0062】
そして、運転サイクル期間の開始から所定運転時間(例えば、2時間)経過すると、ステップS12からステップS13に移り、燃料電池2の作動が安定したとして高効率の発電運転が行われる。この高効率の運転においては、燃料電池制御手段62は、燃料ガス供給ポンプ16及び水供給ポンプ18の回転数を幾分下げ、これによって、燃料電池2の発電出力が設定発電出力に維持された状態で燃料ガス及び改質水の供給流量が絞られる。例えば、燃料ガスの供給流量については、例えば3~5%程度(例えば、5%)減少され、また改質水の供給流量については5~10%程度(例えば、8%)減少され、これによって、燃料電池2の発電効率が高められ、燃料電池システムの高効率運転が行われる。
【0063】
この高効率運転状態においても、通常運転状態ときと同様に制御され、燃料電池2の発電出力が電力負荷26(
図1参照)を超える(
図3において「A」で示す時間帯)ときには、電力負荷26で消費される電力よりも燃料電池2の発電出力の方が大きくなり、このようなときには、ステップS14からステップS15に進み、この余剰電力が蓄電側インバータ14を通して蓄電池4に充電される。
【0064】
また、電力負荷26が燃料電池2の発電出力よりも大きくなる(
図3において「B」で示す時間帯)ときには、電力負荷で消費される電力の方が燃料電池2の発電出力よりも大きくなり、このようなときには、ステップS14及びステップS16を経てステップS17に進み、この不足電力が蓄電池4から放電されて蓄電側インバータ14を通して電力負荷26に供給される。
【0065】
このように、高効率運転においても、蓄電池4の充電及び放電を利用して、電力負荷26で必要とされる電力を燃料電池2及び蓄電池4から所要の通りに供給することができ、燃料電池2の発電出力を有効に利用して電力負荷26で消費することができ、燃料電池システムの高効率運転においても充分な光熱費メリットを得ることができる。
【0066】
このように通常運転に続いて高効率運転を行って運転サイクル期間(8時間)が経過すると、ステップ18からS19に進み、この高効率運転が終了し、その後ステップS1に戻って次の運転サイクル期間の運転が行われ、上述した制御が繰り返し遂行される。
【0067】
尚、この第1の実施形態においては、高効率運転状態における燃料電池2の発電出力を通常運転状態における発電電力と同様の設定発電出力に維持したまま燃料ガス及び改質水の供給流量を絞っているが、この高効率運転において燃料ガスの供給流量のみを絞るようにしてもよく、或いは改質水の供給流量のみを絞るようにしてもよく、このように制御するようにしても、上述したと同様に、高効率運転において充分な光熱費メリットを得ることができる。
【0068】
次に、
図7~
図9を参照して、本発明に従う燃料電池システムの第2の実施形態について説明する。尚、この第2の実施形態においては、蓄電池の上限充電率及び加減充電率を設定して制御するようにしている。尚、第2の実施形態においては、上述した第1の実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。また、燃料電池システムの概要構成については、
図1に示す第1の実施形態と同様であるので、この
図1の構成を参照されたい。
【0069】
図7において、この第2の実施形態の燃料電池システムでは、蓄電池4の蓄電充電率の上限である上限充電率(例えば、85~95%程度に設定され、この実施形態では、例えば90%に設定される)及びその蓄電充電率の下限充電率(例えば、25~35%程度に設定され、この実施形態では、例えば30%に設定される)が設定され、これら上限充電率(例えば、90%)及び下限充電率(例えば、30%)が第1メモリ手段68Aに登録される。
【0070】
また、この第2の実施形態では、発電出力演算手段54により演算された基準発電出力が段階的に補正されるように構成されており、このことに関連して、この第1メモリ手段68Aに発電出力の補正値マップが登録されている。発電出力の補正値マップは、蓄電池4の蓄電充電率と蓄電池4の適正充電率(例えば、50~60%)との充電率差に基づき、その充電率差が大きくなるに従い発電出力の補正値も段階的に大きくなるようにマップ化されている。
【0071】
例えば、蓄電池4の蓄電充電率が60%を超えていると、発電出力補正手段58Aは、この適正充電率(例えば、60%)と燃料電池4の蓄電充電率とを比較し、適正充電率と蓄電充電率との充電率差が大きくなるに従って燃料電池2の発電出力が基準発電出力(発電出力演算手段54により演算された発電出力)よりも段階的に小さくなるように補正し、例えば、この充電率差Pが0%<P≦10%である(換言すると、蓄電充電率Tが60%<T≦70%である)ときには例えば-3%と、充電率差Pが10%<P≦20%である(蓄電充電率Tが70%<T≦80%である)ときには例えば-5%と、充電率差Pが20%<P≦30%である(蓄電充電率Tが80%<T≦90%である)ときには例えばー7%となるように基準発電出力を補正する。
【0072】
また、蓄電池4の蓄電充電率が50%未満であると、この発電出力補正手段58Aは、この適正充電率(例えば、50%)と燃料電池4の蓄電充電率とを比較し、適正充電率と蓄電充電率との充電率差が大きくなるに従って燃料電池2の発電出力が基準発電出力(発電出力演算手段54により演算された発電出力)よりも段階的に大きくなるように補正し、例えば、この充電率差Pがー10%≦P<0%である(換言すると、蓄電充電率Tが40%≦T<50%である)ときには例えば+3%と、充電率差Pが-20%≦P<-10%である(蓄電充電率Tが30%≦T<40%である)ときには例えば+5%となるように基準発電出力を補正する。
【0073】
コントローラ22Aの発電出力設定手段60は、この補正された発電出力を燃料電池2の発電出力として設定し、このように設定発電出力となるように燃料電池2を発電運転することにより、蓄電池4が満充電状態及び空充電状態になることを抑え、これにより、蓄電池4の寿命が延び、長期にわたって安定して使用することができる。尚、適正充電率及び蓄電充電率の充電率差と基準発電出力の補正値との関係は、燃料電池システムの種類などによって適宜設定することができる。
【0074】
この第2の実施形態では、上限充電率及び下限充電率による制御が付加されていることに関連して、コントローラ22Aの発電側制御手段46Aは、蓄電池4の蓄電充電率が上限充電率(例えば、90%)に達したかを判定する充電上限判定手段82、その蓄電充電率が下限充電率(例えば、30%)に達したかを判定する充電下限判定手段84及び燃料電池2の発電出力を再設定するための発電電力再設定手段86を含んでいる。この第2の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0075】
この第2の実施形態の燃料電池システムにおいては、そのシステムの運転は第1の実施形態と略同様に行われるが、上限充電率及び下限充電率が設定されているために、設定発電出力による発電運転及び高効率の発電運転において第1の実施形態と一部相違し、これらの発電運転については、次のように行われる。
【0076】
図7及び
図8を参照して設定発電出力による発電運転について説明すると、この発電運転において、燃料電池2の発電出力が電力負荷26(
図1参照)を超える(
図3において「A」で示す時間帯)と、電力負荷26で消費される電力よりも燃料電池2の発電出力の方が大きくなり、このようなときには、ステップS21からステップS22に進み、この余剰電力が蓄電側インバータ14を通して蓄電池4に供給されて充電される。また、燃料電池2の発電出力が電力負荷26よりも不足する(
図3において「B」で示す時間帯)と、電力負荷26で消費される電力の方が燃料電池2の発電出力よりも大きくなり、このようなときには、ステップS21及びステップS23を経てステップS24に進み、この不足電力が蓄電池4から放電されて蓄電側インバータ14を通して電力負荷26に供給される。このように、蓄電池4の充電及び放電を利用して、電力負荷26で必要とされる電力が燃料電池2及び蓄電池4から所要の通りに供給される。
【0077】
そして、このような発電運転状態において、蓄電池4の蓄電充電率が上限充電率まで上昇すると、ステップS25からステップS26に進み、蓄電池4が満充電状態になるのを避けるために、設定発電出力による運転が終了して発電出力の再設定が行われる。即ち、充電率演算手段56が蓄電側電流計42及び蓄電側電圧計44の検知信号に基づき、SOC-OCV曲線データを用いて上述したようにして蓄電池4の蓄電充電率を演算し、この蓄電充電率が上限充電率(例えば、90%)まで上昇すると、充電上限判定手段82は蓄電池4の蓄電充電率が上限蓄電率に達したと判定し、この判定に基づいて発電出力再設定手段86は発電出力の再設定を行うようになり、予測電力負荷の演算(例えば、
図6に示すフローチャートにおけるステップS2)に戻る。
【0078】
また、このような発電運転状態において、蓄電池4の蓄電充電率が下限充電率まで低下すると、ステップS25からステップS27を経てステップS26に移り、蓄電池4が空充電状態になるのを避けるために、設定発電出力による運転が終了して発電出力の再設定が行われる。即ち、充電率演算手段56が蓄電電流計42及び蓄電側電圧計44の検知信号に基づき、SOC-OCV曲線データを用いて上述したようにして蓄電池4の蓄電充電率を演算し、この蓄電充電率が下限充電率(例えば、30%)まで低下すると、充電下限判定手段84は蓄電池4の蓄電充電率が下限蓄電率に達したと判定し、この判定に基づいて発電出力再設定手段86は発電出力の再設定を行うようになり、上述したと同様に、予測電力負荷の演算(例えば、
図6に示すフローチャートにおけるステップS2)に戻る。
【0079】
尚、この発電運転状態において、蓄電池4の蓄電充電率が上限充電率及び下限充電率に達することなく運転サイクル期間の開始から所定運転時間が経過すると、ステップS25からステップS27及びステップS28を経て高効率の発電運転(例えば、
図6に示すフローチャートにおけるステップS13)に移行する。
【0080】
次いで、
図7及び
図9を参照して高効率の発電運転について説明すると、この発電運転において、燃料電池2の発電出力が電力負荷26(
図1参照)を超えると、電力負荷26で消費される電力よりも燃料電池2の発電出力の方が大きくなり、このようなときには、上述したと同様に、ステップS31からステップS32に進み、この余剰電力が蓄電側インバータ14を通して蓄電池4に供給されて充電される。また、燃料電池2の発電出力が電力負荷26よりも不足すると、電力負荷26で消費される電力の方が燃料電池2の発電出力よりも大きくなり、このようなときには、ステップS31及びステップS33を経てステップS34に進み、この不足電力が蓄電池4から放電されて蓄電側インバータ14を通して電力負荷26に供給される。
【0081】
そして、このような発電運転状態において、蓄電池4の蓄電充電率が上限充電率まで上昇すると、ステップS35からステップS36に進み、蓄電池4が満充電状態になるのを避けるために、高効率の運転が終了し、発電出力の再設定が行われる(ステップS37)。上述したと同様に、充電率演算手段56が蓄電側電流計42及び蓄電側電圧計44の検知電圧に基づき、SOC-OCV曲線データを用いて上述したようにして蓄電池4の蓄電充電率を演算し、この蓄電充電率が上限充電率(例えば、90%)まで上昇すると、充電上限判定手段82は蓄電池4の蓄電充電率が上限蓄電率に達したと判定し、この充電上限判定に基づいて発電出力再設定手段86は発電出力の再設定を行うようになり、予測電力負荷の演算に戻る。
【0082】
また、このような発電運転状態において、蓄電池4の蓄電充電率が下限充電率まで低下すると、ステップS35からステップS38を経てステップS36に移り、蓄電池4が空充電状態になるのを避けるために、高効率の運転が終了し、発電出力の再設定が行われる(ステップS37)。即ち、充電率演算手段56が蓄電側電流計42及び蓄電側電圧計44の検知信号に基づき、SOC-OCV曲線データを用いて上述したようにして蓄電池4の蓄電充電率を演算し、この蓄電充電率が下限充電率(例えば、30%)まで低下すると、充電下限判定手段84は蓄電池4の蓄電充電率が下限蓄電率に達したと判定し、この蓄電下限判定に基づいて発電出力再設定手段86は発電出力の再設定を行うようになり、上述したと同様に、予測電力負荷の演算に戻る。
【0083】
尚、この発電運転状態において、蓄電池4の蓄電充電率が上限充電率及び下限充電率に達することなく運転サイクル期間が経過すると、ステップS35からステップS38及びステップS39を経てステップS40に進み、この高効率の発電運転が終了し、その後、次の運転サイクル期間の運転に移り、予測電力負荷の演算が行われる。
【0084】
尚、蓄電池4の蓄電充電率が上限充電率及び下限充電率に達した後の発電出力の再設定は、運転サイクル期間の残りの期間についての予測電力負荷を演算して発電出力(基準発電出力)を演算するようにしてもよく、或いは次の運転サイクル期間に移行し、次の運転サイクル期間についての予測電力負荷を演算して発電出力(基準発電出力)を演算するようにしてもよい。
【0085】
上述した第2の実施形態では、上限充電率及び下限充電率の双方を設定しているが、上限充電率及び下限充電率のいずれか一方のみを設定するようにしてもよく、例えば上限充電率のみを設定したときには、蓄電池4が満充電状態になるのを回避することができ、また下限充電率のみを設定したときには、蓄電池4が空充電状態になるのを回避することができる。
【0086】
以上、本発明に従う燃料電池システムの実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0087】
2 燃料電池
4 蓄電池(蓄電デバイス)
10 発電側インバータ
14 蓄電側インバータ
22,22A コントローラ
26 電力負荷
46,46A 発電側制御手段
48 蓄電側制御手段
52 予測電力負荷演算手段
54 発電出力演算手段
56 充電率演算手段
58,58A 発電出力補正手段
60 発電出力設定手段
82 充電上限判定手段
84 充電下限判定手段