(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054886
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】遮熱フィルム
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20220331BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20220331BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20220331BHJP
C08L 27/06 20060101ALI20220331BHJP
C08L 27/12 20060101ALI20220331BHJP
C08L 33/00 20060101ALI20220331BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220331BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20220331BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20220331BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
C08J5/18 CEV
C08J5/18 CEW
C08J5/18 CEY
B32B7/027
B32B27/20 A
C08L27/06
C08L27/12
C08L33/00
C08K3/013
B60R13/04 Z
E04F13/07 B
E04F13/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162144
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】390023009
【氏名又は名称】共和レザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹瀬 忠久
【テーマコード(参考)】
2E110
3D023
4F071
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
2E110AA02
2E110AA26
2E110AB04
2E110AB22
2E110AB23
2E110AB46
2E110BA02
2E110DC21
2E110GA32W
2E110GB42W
2E110GB43Z
2E110GB44W
2E110GB44Z
2E110GB46W
2E110GB46Z
2E110GB53Z
2E110GB54Z
3D023AA01
3D023AD06
3D023AD11
4F071AA24
4F071AA31
4F071AA42
4F071AA71
4F071AA81
4F071AB18
4F071AC09
4F071AC10
4F071AC19
4F071AD02
4F071AD06
4F071AE04
4F071AE05
4F071AE09
4F071AE11
4F071AF29
4F071AF30
4F071AF34
4F071AF43
4F071AF57
4F071AH03
4F071AH07
4F071BB04
4F071BC01
4F071BC08
4F071BC12
4F071CA01
4F071CD02
4F071CD07
4F100AA21A
4F100AH02A
4F100AH03A
4F100AH04A
4F100AK00A
4F100AK00B
4F100AK15A
4F100AK17A
4F100AK17B
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AL05A
4F100AL05B
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CA13A
4F100CA13B
4F100CA30A
4F100CB05
4F100DE01A
4F100GB07
4F100GB32
4F100JA07B
4F100JJ02A
4F100JL10A
4F100JL10B
4F100JN06A
4F100YY00A
4J002BC071
4J002BD031
4J002BD041
4J002BD061
4J002BD081
4J002BD091
4J002BD121
4J002BD131
4J002BD141
4J002BD151
4J002BD161
4J002BG041
4J002BG051
4J002BG061
4J002DE136
4J002DE186
4J002DE246
4J002DG026
4J002DG046
4J002EL097
4J002EU117
4J002EU187
4J002EU227
4J002EV237
4J002FD050
4J002FD096
4J002FD097
4J002GC00
4J002GL00
(57)【要約】
【課題】太陽光などの紫外線及び赤外線を含む光による温度上昇が抑制され、耐候性が良好な遮熱フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも白色反射層を有し、前記白色反射層は、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の合成樹脂と、白色顔料と、白色反射層白色反射層の全固形分に対して0.1質量%~5.0質量%の蛍光増白剤とを含む遮熱フィルム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも白色反射層を有し、
前記白色反射層は、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の合成樹脂と、白色顔料と、白色反射層の全固形分に対して0.1質量%~5.0質量%の蛍光増白剤とを含む遮熱フィルム。
【請求項2】
前記白色反射層は、紫外線吸収剤を含まない請求項1に記載の遮熱フィルム。
【請求項3】
前記合成樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載の遮熱フィルム。
【請求項4】
前記白色反射層の一方の面に、合成樹脂と着色剤とを含む着色透過層を有し、
前記着色剤は、カーボンブラックを含まない請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の遮熱フィルム。
【請求項5】
前記着色透過層に含まれる合成樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項4に記載の遮熱フィルム。
【請求項6】
車両の外装材である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の遮熱フィルム。
【請求項7】
建築物の外装材である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の遮熱フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遮熱フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂を用いた各種成形体の耐熱性向上のために、遮熱フィルムが用いられる。例えば、樹脂板は赤外光により、経時すると反りが発生することがある。
赤外光による反りの発生を抑制するための遮熱性を有する化粧シートが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の化粧シートは、熱可塑性樹脂基材に、印刷層とオーバーレイフィルム層とがこの順に積層され、前記印刷層と前記オーバーレイフィルム層との間にポリエステル系樹脂を主鎖とするウレタン系接着剤からなる接着層と、アクリル系樹脂を主鎖とするウレタン系アンカー剤からなるアンカー層と、をこの順に有する。化粧シートのオーバーレイフィルム層は紫外線吸収剤を含有し、かつ該紫外線吸収剤はトリアジン系紫外線吸収剤のみからなり、印刷層は、黒色顔料を含み、黒色顔料は、ペリレン系黒色顔料である。オーバーレイフィルム層の紫外線吸収剤がトリアジン系紫外線吸収剤のみであることにより、紫外線遮蔽能力が向上し、耐熱密着性に加え耐候密着性の優れた化粧シートを得ることができることが記載されている。
【0003】
また、遮熱フィルムとして、屈折率1.52未満である樹脂と、屈折率1.60以上の微粉状充填剤とを含有する樹脂組成物からなり、波長810nm~2100nmでの平均反射率が80%以上である遮熱フィルムが提案されている(特許文献2参照)。
屈折率1.52未満である樹脂としては、屈折率の低いポリ乳酸系重合体等が好ましいとされ、微粉状充填剤との屈折率の差を大きくすることでフィルムの反射率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-165865号公報
【特許文献2】特開2007-88930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紫外線吸収剤を含む化粧シートでは、太陽光等の外光に含まれる紫外線を吸収し、熱に変換することで、化粧シートで被覆された基材への紫外線の影響を低減している。しかし、紫外線吸収剤は、紫外線のエネルギーを熱に変換するため、特許文献1に記載の化粧シートでは、太陽光により化粧シート自体の温度が上昇し、化粧シートで被覆された基材の温度上昇につながることが懸念される。
特許文献2に記載の遮熱フィルムは、反射率を規定した特定の樹脂と特定充填剤との併用により反射率を上げて遮熱を図っているが、フィルムの耐久性、特に耐候性の点で、なお改良の余地がある。
【0006】
本発明の一実施形態の課題は、太陽光などの紫外線及び赤外線を含む光による温度上昇が抑制され、耐候性が良好な遮熱フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するための手段は以下の態様を含む。
<1> 少なくとも白色反射層を有し、前記白色反射層は、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の合成樹脂と、白色顔料と、白色反射層の全固形分に対して0.1質量%~5.0質量%の蛍光増白剤とを含む遮熱フィルム。
【0008】
<2> 前記白色反射層は、紫外線吸収剤を含まない<1>に記載の遮熱フィルム。
<3> 前記合成樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む<1>又は<2>に記載の遮熱フィルム。
【0009】
<4> 前記白色反射層の一方の面に、合成樹脂と着色剤とを含む着色透過層を有し、前記着色剤は、カーボンブラックを含まない<1>~<3>のいずれか1つに記載の遮熱フィルム。
<5> 前記着色透過層に含まれる合成樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む<4>に記載の遮熱フィルム。
<6> 車両の外装材である<1>~<5>のいずれか1つに記載の遮熱フィルム。
<7> 建築物の外装材である<1>~<5>のいずれか1つに記載の遮熱フィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、太陽光などの紫外線及び赤外線を含む光による温度上昇が抑制され、耐候性が良好な遮熱フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】着色透過層と白色反射層とを有する本開示の遮熱フィルムの態様の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の遮熱フィルムについて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されない。
なお、本開示において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0013】
本開示において遮熱フィルムの表面とは、遮熱フィルムが遮熱を目的とする太陽光などの光の入射側を指し、遮熱フィルムの裏面とは、光の入射側とは反対側の面を指す。なお、遮熱フィルムを、被保護物の表面に貼り付けて使用する場合、遮熱フィルムが保護しようとする被保護物と接触する側を裏面と称し、遮熱フィルムの被保護物と接触する側とは反対側の面を表面と称することがある。
本開示における「樹脂を含む層」とは、「当該層の主成分である樹脂を含んで形成された層」を指す。ここで、「主成分である樹脂」とは、当該成分が含まれる樹脂組成物の全量に対し、60質量%以上含有される樹脂を指す。本開示では、層を構成する主成分である樹脂を「主剤樹脂」とも称する。
本開示において、組成の「全固形分」とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総合計質量を示す。組成物が、液状成分、例えば、重合性モノマー等を含む場合、当該液状成分は固形分に含まれる。
【0014】
[遮熱フィルム]
本開示の遮熱フィルムは、少なくとも白色反射層を有し、前記白色反射層は、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の合成樹脂と、白色顔料と、白色反射層の全固形分に対して0.1質量%~5.0質量%の蛍光増白剤とを含む。
本開示の遮熱フィルムは、白色顔料に加え、所定量の蛍光増白剤を含むことで、受光により発熱する懸念がある紫外線吸収剤を用いなくても、紫外線の反射性が向上し、遮熱フィルムの受光による発熱及び発生した熱の蓄積を抑制することができる。
【0015】
(白色反射層)
本開示の遮熱フィルムは、少なくとも1層の白色反射層を有する。
本開示における白色反射層とは、目視で白色の層であり、且つ、波長260nm~2500nmの光の反射率が80%以上である層を指す。
光反射率は、JIS A 5759(2008年)に記載された方法に準拠して、積分球分光光度計(例えば、V-670、日本分光(株)製)を用いて、波長260nm~2500nmにおける白色反射層の光反射率を、拡散反射率として測定することができる。
遮熱フィルムは、白色反射層を2層以上有していてもよい。
白色反射層は、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の合成樹脂と、白色顔料と、白色反射層の全固形分に対して0.1質量%~5.0質量%の蛍光増白剤とを含む。
【0016】
-ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の合成樹脂-
白色反射層は、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の合成樹脂(以下、特定樹脂とも称する)を含む。ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂は、いずれも光透過性が良好であるため、白色反射層に含まれる白色顔料及び蛍光増白剤の効果がより良好に発現される。また、合成樹脂は、フィルム形成基材として、フィルムの形成に有用である。
なかでも、異素材接着性がより良好であるという観点から、白色反射層に含まれる合成樹脂はポリ塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0017】
本開示の遮熱フィルムは、フィルム単独で使用する他、車両の外装、建築物の外装等として、基材に貼り付けて使用する使用態様が考えられ、そのような観点から、合成樹脂として異素材接着性は良好であることが好ましい。
さらに、ポリ塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂は汎用の樹脂であり、加工性が良好である、入手が容易である、価格が安価である等の利点をも有する。
【0018】
ポリ塩化ビニル樹脂は、フィルム形成性が良好であれば、特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、平均重合度650~2000、好ましくは平均重合度650~1800程度の塩化ビニル単独重合体、さらに、塩化ビニルを主材とする、塩化ビニルと、エチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル等との共重合体等が挙げられる。
さらに、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルを含む共重合体と、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリル、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、部分ケン化ビニルアルコール等との混合樹脂等を用いることができる。
【0019】
アクリル樹脂としては、具体的には、たとえば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるメタクリル酸若しくはメタクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとスチレンとの共重合体などが挙げられる。
アクリル樹脂は、耐候性、延伸性及び柔軟性に優れ、異素材接着性が良好である。従って、白色反射層がアクリル樹脂を含むことで、遮熱フィルムを車両、建築物の外装材として基材に貼り付ける場合においても、良好な形状追従が期待できる。さらに、アクリル樹脂は加熱した場合でも変色し難いという利点も有する。
【0020】
フッ素樹脂としては、フッ素原子を含む単量体の少なくとも1種を重合成分として、重合して得られる樹脂であれば、特に制限はないが、フッ素原子を含むオレフィンを重合して得られる樹脂が好ましい。 フッ素樹脂としては、例えば、4フッ化エチレン、3フッ化塩化エチレン、フッ化ビニル、及びフッ化ビニリデンから選ばれる重合成分を含んで構成される樹脂が挙げられる。
より具体的には、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素原子を含む重合成分の単独重合体、及び前記重合成分を含む共重合体である、3フッ化塩化エチレン-フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン-6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-6フッ化プロピレン-4フッ化エチレン共重合体などが挙げられる。
【0021】
白色反射層が含む合成樹脂は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
白色反射層が2種以上の合成樹脂を含む場合、互いに異種の合成樹脂同士でもよく、同種の樹脂で重合度が異なる合成樹脂同士でもよく、同じモノマー由来の共重合成分を含み、共重合成分が異なる合成樹脂同士でもよい。
【0022】
-白色顔料-
白色反射層は白色顔料を含む。白色反射層が白色顔料を含むことにより、赤外線の反射性が向上し、白色反射層の蓄熱作用及び白色反射層を有する遮熱フィルムの蓄熱作用を抑えることができる。
白色顔料としては、特に制限はなく、赤外線の反射性が良好で、目視により白色に見える顔料はいずれも使用することができる。
白色顔料としては、酸化チタン(チタン白、チタニウムホワイトとも称する)、チタン酸バリウム、酸化亜鉛(亜鉛華とも称する)、塩基性炭酸鉛(鉛白とも称する)、塩基性硫酸鉛、硫化亜鉛、リトポン(硫酸バリウムと硫化亜鉛との混合物)、チタノックス(商品名:二酸化チタン粒子 クロノス社製)等が挙げられる。なかでも、光反射性がより良好であるという観点から、酸化チタンなどが好ましい。
【0023】
白色顔料の粒子径としては、平均粒子径が0.05μm~10μmの範囲が好ましい。
白色顔料の粒子径が上記範囲であることで、光反射性が良好であり、且つ、均一な白色反射層が形成しやすいため好ましい。
白色顔料の平均粒子径は、白色顔料を電子顕微鏡で撮影し、視野角内に存在する白色顔料を無作為に50個選択し、粒子径を測定した結果を算術平均することで得ることができる。なお、顔料が球状ではない場合には、粒子の最大径を測定する。
また、白色顔料の平均粒子径について、使用する白色顔料の平均粒子径がカタログ値に明記されている場合には、カタログ値を採用する。
【0024】
白色反射層には、白色顔料を1種のみ含んでもよく2種以上を含んでいてもよい。
白色顔料の含有量は、遮熱フィルムの光反射性がより良好となるという観点から、白色反射層の全固形分に対し、1質量%~30質量%の範囲であることが好ましく、2質量%~20質量%の範囲であることがより好ましく、3質量%~10質量%の範囲であることがさらに好ましい。
【0025】
-蛍光増白剤-
白色反射層は、蛍光増白剤を含む。白色反射層が蛍光増白剤を含むことにより、白色反射層は、紫外線を効果的に反射し、遮熱フィルムの蓄熱作用を抑えることができる。本発明者は、蛍光増白剤は、紫外線吸収剤に換わり、遮熱フィルムにおける紫外線安定剤としての役割を果たすと考えている。
蛍光増白剤とは、紫外線を吸収して蛍光を発する有機化合物、具体的には、紫外線を吸収して目視にて青白い光を発する有機化合物を指す。
蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミド)スチルベンジスルホン酸誘導体等のスチルベン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クマリン誘導体、アミノクマリン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体等が挙げられる。なかでも、蓄熱作用の抑制がより良好であるという観点からは、ビス(トリアジニルアミド)スチルベンジスルホン酸誘導体などが好ましい。
【0026】
白色反射層には、蛍光増白剤を1種のみ含んでもよく2種以上を含んでいてもよい。
蛍光増白剤の含有量は、白色反射層の全固形分に対し、0.1質量%~6.0質量%の範囲が好ましく、遮熱フィルムの蓄熱作用の抑制効果がより良好となるという観点から、0.5質量%~5.0質量%の範囲であることがより好ましく、1.0質量%~5.0質量%の範囲であることがさらに好ましい。
【0027】
白色反射層は、特定樹脂と、白色顔料と、所定量の蛍光増白剤と、所望により用いられるその他の添加剤とを含む白色反射層形成用組成物を調製し、得られた白色反射層形成用組成物をフィルム状に成形することで形成できる。
白色反射層形成用組成物には、効果を損なわない範囲において、公知の添加剤を加えてもよい。
【0028】
白色反射層形成用組成物が含み得る添加剤としては、可塑剤、Ba/Zn系塩化ビニル用耐熱安定剤、Ba/Zn系塩化ビニル用耐熱安定剤などの耐熱安定剤、脂肪酸エステル系滑剤等の滑剤、充填剤、着色剤、成膜助剤、難燃剤等が挙げられる。
白色反射層形成用組成物にリン系、ハロゲン系、無機金属系等の公知の難燃剤を添加することで白色反射層の難燃性向上が図れる。また、特定樹脂としてポリ塩化ビニル樹脂を用いる場合、可塑剤を加えることで、加工性及び得られる白色反射層の感触がより向上する。
【0029】
本開示に係る白色反射層は、遮熱性、基材に貼り付けて用いる場合の基材の保護性に優れるため、特に紫外線吸収剤を含まなくてもよい。
白色反射層は、紫外線吸収剤を含むことができる。しかしながら、得られた白色反射層が紫外線吸収剤を含む場合、白色反射層に、光、特に紫外線が照射されると、紫外線吸収剤が紫外線のエネルギーを熱に変換し、白色反射層の温度が上昇する場合がある。このため、遮熱効果の観点からは、白色反射層は紫外線吸収剤を含まないことが好ましい。
【0030】
白色反射層の製膜方法には特に制限はなく、白色反射層をシート状に成形することがでれば、公知の製膜方法をいずれも適用することができる。
白色反射層を成膜するためには、まず、合成樹脂と、白色顔料と、蛍光増白剤と、更に所望により含まれる他の添加剤とを含む白色反射層形成用組成物を調製し、得られた白色反射層形成用組成物をシート状に成膜すればよい。
白色反射層の形成に用いる白色反射層形成用組成物は、合成樹脂を適切な溶媒により溶解して調製してもよいが、形成される白色反射層の均一性の観点からは、合成樹脂を加熱溶融して白色顔料、蛍光増白剤及び所望により含まれる添加剤などを溶融混合して均一な組成物を調製することが好ましい。白色反射層の形成方法としては、溶融混合した組成物を調製し、シート状に形成する方法が好ましい。
シートの形成方法としては、例えば、カレンダー法、押出法、キャスティング法等が挙げられる。なかでも、加工性が良好であるという観点からは、カレンダー法が好ましい。
【0031】
白色反射層の厚みは、フィルムとしての強度維持の観点から40μm~200μmが好ましく、50μm~80μmがより好ましい。
本開示の遮熱フィルムは、少なくとも1層の白色反射層を有する。遮熱フィルムは、白色反射層を2層以上有していてもよい。遮熱フィルムが白色反射層を2層以上有する場合、それぞれの白色反射層の組成は同じであっても、互いに異なっていてもよい。
遮熱フィルムが白色反射層を2層以上有する場合においても、複数の白色反射層の総厚みは、上記範囲にあることが好ましい。
白色反射層の厚み、及び遮熱フィルムにおける後述の任意の層、例えば、着色透過層等の各層の厚みは、遮熱フィルムを面方向に垂直に切断した切断面を観察することで測定することができる。本開示では、切断面において無作為に選択した白色反射層の5箇所の厚みを測定し、算術平均した値を白色反射層の厚みとする。その他の層の厚みも同様に測定することができる。
【0032】
(着色透過層)
本開示の遮熱フィルムは、前記白色反射層の一方の面に、合成樹脂と着色剤とを含む着色透過層を有し、前記着色剤は、カーボンブラックを含まないことが好ましい。
着色透過層は、遮熱フィルムに色相を付与し、意匠性を向上させるために設けることができる。着色透過層は、着色剤を含有する着色された有色層であり、本開示の遮熱フィルムが有する着色透過層には、目視にて無色の層は包含されない。
着色透過層は、着色透過層を有する側から遮熱フィルムを視認した場合、着色透過層を介して白色反射層の存在を視認することができない層であることが好ましい。
着色透過層は、白色反射層の効果を損なわないという観点から、白色反射層が反射することで蓄熱作用を抑制する赤外領域及び紫外領域の光を透過させる層であることが好ましい。
従って、着色透過層は、黒色などの濃色層であり、着色透過層を介して白色反射層を視認することができない層であってもよい。即ち、着色透過層は、可視光領域の光の透過率が低い層であってもよいが、赤外領域及び紫外領域の光を透過させ得る層であることが好ましい。
【0033】
着色透過層の光透過率は、白色反射層の効果を十分に得るという観点からは、波長780nm~2500nmの赤外光及び波長260nm~380nmの紫外光の透過率がいずれも45%以上であることが好ましく、上記波長の光透過率がいずれも50%以上であることがより好ましい。
着色透過層の光透過性は、例えば、紫外可視赤外分光光度計(型番:UV-3100PC、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。上記各波長域の範囲の光透過率を、波長10nm刻みで測定し、透過率の測定結果の平均値を当該波長範囲における平均透過率とすることができる。
【0034】
図1は、着色透過層と白色反射層とを有する本開示の遮熱フィルムの態様の一例を示す概略断面図である。
図1に示す遮熱フィルム10は、光を受光する側面から、着色透過層12、白色反射層14及び接着層16をこの順に有する。既述のように、本開示における遮熱フィルムで必須の層は、白色反射層14であり、着色透過層12及び接着層16は、所望により設けられる任意の層である。
図1に示す遮熱フィルム10は、基材に接着するために有用な接着層16を有し、着色透過層12を有することにより、白色反射層14における遮熱性を損なうことなく、遮熱フィルム10の外観に色相を付与し、良好な意匠性を与えることができる。
【0035】
-合成樹脂-
着色透過層に含まれる合成樹脂は、シート状に成形加工しうる樹脂であって、形成されたシート状の樹脂層の透明性、即ち、赤外光、可視光及び紫外光の透過性が良好な合成樹脂を好ましく用いることができる。
着色透過層に含まれる合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系エラストマー、ウレタン樹脂などが挙げられる。なかでも、透明性及び耐候性がより良好であるという観点から、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂が好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有することがより好ましい。
【0036】
着色透過層に含まれる合成樹脂は、既述の白色反射層に含まれる合成樹脂と同種の樹脂であっても異なる種類の樹脂であっていてもよい。なかでも、白色反射層と着色透過層との密着性の観点からは、白色反射層に含まれる合成樹脂と同種の合成樹脂を含むことが好ましい。
同種の合成樹脂とは、例えば、白色反射層がポリ塩化ビニル樹脂を含む場合、着色透過層もポリ塩化ビニル樹脂を含み、白色反射層がアクリル樹脂を含む場合、着色透過層もアクリル樹脂を含むといった例が挙げられる。なお、同種の合成樹脂とは、必ずしも同一の組成の樹脂に限定されず、主骨格を構成する構造単位として同じ構造単位を含む樹脂同士、共重合成分として同じ構造単位を含む樹脂等も上記同種の樹脂に包含される。
【0037】
-着色剤-
着色透過層は着色剤を含む。着色透過層が着色剤を含むことで、遮熱フィルムに任意の色相を付与することができる。
着色剤は、所望の色相に応じて公知の着色剤を適宜使用することができる。着色剤としては、染料及び顔料が挙げられ、耐久性がより良好であるという観点から、顔料が好ましい。
着色剤としては、二酸化チタン、亜鉛華、群青、コバルトブルー、弁柄、朱、黄鉛、チタン黄、鉄黒等の無機顔料、キナクリドン、イソインドリノン、ハンザイエローA、フタロシアニンブルー、アニリンブラック、ペリレンブラック等の有機顔料、アルミニウム及び真鍮等金属の箔粉からなる群より選択される金属顔料、二酸化チタン被覆雲母及び塩基性炭酸鉛の箔粉からなる群より選択される真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
なお、黒色顔料であるカーボンブラックを使用すると、赤外光による熱の吸収によって、蓄熱作用が発生し、遮熱性が低下する場合があるため、着色透過層における着色剤は、カーボンブラックを含まないか、含む場合でも、着色透過層に含まれる着色剤の全固形分に対するカーボンブラックの含有量が0.1質量%以下であることが好ましく、カーボンブラックを含まないことがより好ましい。
着色透過層に黒色系の色相を付与する場合には、着色剤としてカーボンブラックの代替となる顔料として、ペリレンブラック、鉄黒、アニリンブラック等を用いるか、又は、吸収波長の互いに異なる複数の有色顔料を組み合わせて黒色系の色相とすることが好ましい。
【0038】
着色透過層には、着色剤を1種のみ含んでもよく、所望の色相を達成するなどの目的で、2種以上の着色剤を含んでもよい。
着色透過層における着色剤の含有量は、着色透過層の光透過性及び着色効果を勘案して適宜選択することができる。通常は、着色透過層の光透過性及び着色効果を両立しうるという観点からは、着色透過層の全固形分に対し、例えば、0.5質量%~20質量%の範囲とすることができ、5質量%~15質量%の範囲であることが好ましい。
【0039】
着色透過層の製膜方法には特に制限はなく、着色透過層をシート状に成形することがでれば、公知の製膜方法をいずれも適用することができる。
着色透過層を成膜するためには、まず、合成樹脂と、着色剤と、更に所望により含まれる他の添加剤とを含む着色透過層形成用組成物を調製し、得られた着色透過層形成用組成物をシート状に成膜すればよい。
着色透過層形成用組成物の製膜は、既述の白色反射層と同様に行うことができる。
シートの形成方法としては、例えば、カレンダー法、押出法、キャスティング法等が挙げられる。
【0040】
着色透過層の厚みは、白色反射層の隠蔽性と遮熱フィルムの意匠性がより良好となるという観点から40μm~200μmが好ましく50μm~80μmがより好ましい。
【0041】
〔その他の層〕
本開示の遮熱フィルムは、上記白色反射層、及び任意の層である着色透過層以外の層〔以下、その他の層と称することがある〕を更に有していてもよい。
その他の層としては、例えば、接着層、プライマー層、中間層、基材層、表面処理層等が挙げられる。
【0042】
(接着層)
本開示の遮熱フィルムは、接着層を有していてもよい。
遮熱フィルムを、例えば、車両、建造物などの基材に貼り付けて用いる場合、遮熱フィルムの基材と接する側の面に接着層を設けることで、基材と遮熱フィルムとの密着性を向上することができる。遮熱フィルムが、白色反射層のみからなる場合には、接着層は、白色反射層の一方の面に設ければよい。遮熱フィルムが、白色反射層と着色透過層とを有する場合には、接着層は、白色反射層の着色透過層を有する側とは反対側の面に設ければよい。
接着層を構成する接着剤としては、特に制限はなく、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイソシアヌレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等の樹脂を含有する接着剤が挙げられる。
なかでも、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、及びウレタン樹脂が好ましく、接着耐久性がより良好であるという観点から、アクリル樹脂がより好ましい。アクリル樹脂は、接着性が良好であり、安価であるという利点も有する。
【0043】
接着層は、例えば、白色反射層の一方の面に粘度調整された粘着剤を塗布することで形成できる。
接着剤の塗布方法には特に制限はなく、公知の塗布方法を適用して接着層を形成することができる。
塗布方法としては、グラビアプリント法、コーティング法などが挙げられる。接着層を形成する接着剤の粘度及び得られた接着層の平滑性がより良好であるという観点から、コーティング法により接着層を形成することが好ましい。
接着層の厚みは、遮熱フィルムと基材との接着性がより向上するという観点から、20μm~150μmが好ましく、30μm~100μmがより好ましい。
接着層の厚みは、接着剤の塗布量により制御することができる。
【0044】
本開示の遮熱フィルムは、紫外光及び赤外光を効果的に反射すること、遮熱フィルム自体の蓄熱作用が抑制されることから、遮熱性に優れ、基材に貼り付けて使用した場合も、基材への熱の影響を抑制することができる。
本開示の遮熱フィルムの応用態様としては、自動車、鉄道等の車輌の外装材、建築物の外装材、壁材などの内装材などが挙げられ、種々の基材の遮熱に好適に使用し得る。
本開示の遮熱フィルムは、フィルム自体の蓄熱作用が抑制され、基材に対する遮熱性が良好であるため、遮熱を必要とする各種の用途に好適に使用することができ、その応用範囲は広い。
【実施例0045】
以下、実施例を挙げて本開示の表皮材について具体的に説明するが、本開示は以下の具体例に制限されるものではない。
以下の実施例において、濃度及び各成分の含有量を示す「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
【0046】
〔実施例1〕
(I:着色透過層の形成)
平均重合度1300のポリ塩化ビニル樹脂(以下、PVC樹脂と称する、表1~表2には、「PVC」と記載した。)100kgにフタル酸エステル及びエポキシ化大豆油からなる可塑剤20kg、滑剤として脂肪酸エステル3kg、Ba/Zn系耐熱安定剤3kgを十分に混合し、PVC樹脂系組成物を得た。
得られたPVC樹脂系組成物に、着色剤として、フタロシアニンブルー、キナクリドン、及びインドリノンからなる有機顔料10kgを投入し、150℃に加熱して、溶融混練し、カレンダー法により、厚み80μmのシート状に成形して着色透過層を形成した。
有色顔料を含む着色透過層の色相は黒色であった。得られた着色透過層の光透過率を、紫外可視赤外分光光度計(型番:UV-3100PC、(株)島津製作所製)を用いて既述の方法で測定したところ、波長780nm~2500nmの赤外光の透過率は45%以上であり、波長260nm~380nmの紫外光の透過率は45%以上であった。
【0047】
(II:白色反射層の形成)
前記I:着色透過層と同様にして、PVC樹脂系組成物を調製した。得られたPVC樹脂系組成物126kgと、白色顔料として酸化チタン(PO-KLホワイト:商品名、日弘ビックス(株))、平均粒子径1μm)6kgと、及び蛍光増白剤としてビス(トリアジニルアミド)スチルベンジスルホン酸誘導体3kgとを混合し、150℃に加熱して、溶融混練し、カレンダー法により、厚み80μmのシート状に成形して白色反射層を形成した。
得られた白色反射層は目視で、白色を呈していた。白色反射層の光反射率をJIS A 5759(2008年)に記載された方法に準拠して既述の方法で測定したところ、260nm~2500nmの波長域の光反射率は83%であった。
【0048】
(III:積層体の形成)
前記で得た白色反射層と着色透過層とを重ね合わせ、着色透過層側に絞ロールを接触させてラミネートエンボスし、白色反射層と着色透過層との積層体を形成した。ラミネートエンボス時の加熱温度は130℃とした。
【0049】
(IV:接着層の形成)
工程IIIで形成された積層体の、白色反射層の着色透過層を有する側とは反対側の面に、アクリル系粘着剤〔Tg:-40℃、分子量80万、25℃における貯蔵弾性率:30×104Pa)を、塗布量120g/m2で塗布し、乾燥膜厚が40μmの接着層を形成して、実施例1の遮熱フィルムを得た。
実施例1の遮熱フィルムは、表面から観察したところ、着色透過層の色相を反映して黒色のフィルムであった。実施例1の遮熱フィルムでは、有色顔料を含む黒色の着色透過層を介して、下方に位置する白色反射層は視認されることはなかった。
【0050】
〔実施例2〕
実施例1におけるII:白色反射層の形成において、蛍光増白剤の含有量を3kgから4.5kgに変更した以外は実施例1と同様にして実施例2の遮熱フィルムを得た。
【0051】
〔実施例3〕
実施例1におけるII:白色反射層の形成において、蛍光増白剤の含有量を3kgから6kgに変更した以外は実施例1と同様にして実施例3の遮熱フィルムを得た。
【0052】
〔実施例4〕
実施例1において、I:着色透過層及びII:白色反射層の形成に用いたPVC樹脂を、アクリル樹脂(アクリルペット(登録商標)MF、三菱ケミカル(株):表1~表2には、「アクリル」と記載した。)に変更した以外は実施例1と同様にして実施例4の遮熱フィルムを得た。
【0053】
〔実施例5〕
実施例1におけるII:白色反射層の形成において、白色顔料の含有量を6kgから12kgに変更した以外は実施例1と同様にして実施例5の遮熱フィルムを得た。
【0054】
〔実施例6〕
実施例1におけるII:白色反射層の形成において、さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(RUVA-93(商品名)、大塚化学(株):表1~表2には、「ベンゾトリアゾール系」と記載した。)1kgを添加した以外は実施例1と同様にして実施例6の遮熱フィルムを得た。
【0055】
〔比較例1〕
実施例1におけるII:白色反射層の形成において、蛍光増白剤を用いず、実施例6で用いたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤3kgを添加した以外は実施例1と同様にして比較例1の遮熱フィルムを得た。
【0056】
〔比較例2〕
実施例1におけるII:白色反射層の形成において、蛍光増白剤を加えなかった以外は実施例1と同様にして比較例2の遮熱フィルムを得た。
【0057】
〔比較例3〕
実施例1におけるII:白色反射層の形成において、白色顔料を加えなかった以外は実施例1と同様にして比較例3の遮熱フィルムを得た。
【0058】
〔遮熱フィルムの評価〕
得られた遮熱フィルムを以下の基準で評価した。結果を、下記表1~表2に示す。
【0059】
(1.遮熱性)
厚さ30mmの発泡スチロールの台座上に温度センサーを固定させ、12cm×12cmに採取した遮熱フィルムを、接着層を介して温度センサーに貼り合わせた。
20℃65%RH環境下にてキセノンウェザーメーター(スガ試験機(株)製;太陽光に極めて近似した光を発する)を用いて160W/m2の強度のキセノン光を遮熱フィルムの真上15cmの距離から15分照射し、照射後の遮熱フィルムの温度を、上記温度センサーにて測定した。
比較例1の遮熱フィルムの温度を上記と同様にして測定し、その値を対照例(基準値)として、対照例と、各実施例及び比較例の遮熱フィルムを用いた場合との温度の差異を測定し、以下の評価基準にて評価した。評価Aを、本開示における遮熱効果を奏するレベルと評価した。
(評価基準)
A:対照例の遮熱フィルムと比較し、温度が低い。
B:対照例の遮熱フィルムと比較し、温度が同等または高い。
【0060】
(2.耐候性)
JIS K5602(2008年)に準拠して、メタルハライドランプ方式の超促進耐候性試験機(ダイプラ・ウィンテス(株)製)にて、遮熱フィルムの促進耐候性試験を行い、耐光試験後の遮熱フィルムを目視にて、以下の基準で評価した。
促進耐光性試験は、上記装置を用いて、メタルハライドランプの放射照度650W/m2、ブラックパネル温度(試験片温度)53℃の条件で行われた。評価Aを、実用上問題のないレベルと評価した。
(評価基準)
A:促進耐候性試験後の試験片は、促進耐候性試験前の試験片に比較して、外観上の変化が認められなかった。
B:促進耐候性試験後の試験片に、目視で確認できるクラックの発生、層間剥離などの変化が認められた。
【0061】
【0062】
【0063】
表1及び表2の結果より、実施例1~実施例6の遮熱フィルムは、いずれも、紫外線吸収剤を含み、蛍光増白剤を含まない比較例1の遮熱フィルムに対し、遮熱性が優れることが分かる。また、いずれの遮熱フィルムも耐候性が良好であり、実用上問題のないレベルであった。
【0064】
これに対し、蛍光増白剤及び紫外線吸収剤を含まない比較例2の遮熱フィルムは、耐候性が実用上問題のあるレベルであり、白色顔料を含まない比較例3の遮熱フィルムは、遮熱性に劣っていた。