(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054957
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】育苗容器の土供給装置
(51)【国際特許分類】
A01G 9/08 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
A01G9/08 604H
A01G9/08 606B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162257
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000132219
【氏名又は名称】株式会社スズテック
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】安斎 武久
(72)【発明者】
【氏名】陳 哲
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327XA04
2B327XA07
2B327XC02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】貯留放擲体により床土を受け止めて、育苗容器が床土繰出装置の下方に来たときに補充し、また、育苗容器(セルトレイ)のめくれも防止する育苗容器の土供給装置を提供する。
【解決手段】移送台1に、移送中の育苗容器Aの前後左右に多数並設したポットPに上方から床土を落下させて供給する床土繰出装置15を設け、床土繰出装置15の床土繰出ベルト17の前側には、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止めて一時貯留し、移送されてくる育苗容器Aの先端が床土供給箇所に至ると、貯留した床土を放擲する貯留放擲体26を設けた育苗容器の土供給装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送台1に、移送中の育苗容器Aの前後左右に多数並設したポット2に上方から床土を落下させて供給する床土繰出装置15を設け、床土繰出装置15の床土繰出ベルト17の前側には、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止めて一時貯留し、移送されてくる育苗容器Aの先端が床土供給箇所に至ると、貯留した床土を放擲する貯留放擲体26を設けた育苗容器の土供給装置。
【請求項2】
請求項1において、貯留放擲体26は床土繰出装置15の下方を育苗容器Aが移送されていないときには床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止め、移送中の育苗容器Aが床土繰出装置15の繰出口18の所定下方に位置に至ると、軸心が左右方向の取付軸36中心に放擲位置に回動する構成とした育苗容器の土供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、貯留放擲体26の下方の移送台1には、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27を設け、育苗容器検出部27が育苗容器Aを検出すると、貯留放擲体26を放擲位置に自動的に回動させる構成とした育苗容器の土供給装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3において、育苗容器Aは引出形状の収納箱8に嵌合させた状態で移送台1により、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に所定の隙間Sを空けて移送する構成とし、隙間Sが床土繰出装置15の下方を通過する間、貯留放擲体26は床土を受止めて貯留する構成とした育苗容器の土供給装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4において、貯留放擲体26は、待機して床土を貯留させる貯留状態において、略水平となる無孔の底板30の左右両側に側板31を設け、左右の側板31の前縁を前板32で連結し、側板31または前板32に設けたブラケット35に設けた取付軸36により床土繰出装置15側に回動自在に取付けた育苗容器の土供給装置。
【請求項6】
請求項5において、貯留放擲体26の底板30の後端は床土繰出ベルト17に可及的に接近させ、側板31の後縁は床土繰出ベルト17のローラー17Aの円弧面に合わせた円弧面34に形成した育苗容器の土供給装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6において、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27の検出体41は、育苗容器Aを収納した収納箱8にのみ当接して育苗容器Aの移送を検知する構成とした育苗容器の土供給装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7において、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27は、育苗容器Aの移送路40内に位置する待機位置と、育苗容器Aが移送路40を移動するときに下方に退避する退避位置との間移動自在の検出体41を設け、検出体41は上方に起立するように左右方向の取付軸42にその基部を固定して設けた育苗容器の土供給装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8において、貯留放擲体26は、待機して床土を貯留させる貯留位置と、貯留した床土を放擲する放擲位置の間回動自在に床土繰出装置15側に取付軸36により取付け、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27の検出体41を、育苗容器Aの移送路40内に位置する待機位置と、育苗容器Aが移送路40を移動するときに下方に退避する退避位置の間移動自在に設け、前記検出体41と貯留放擲体26とをリンク機構45により連結し、検出体41が育苗容器Aを検出すると、貯留放擲体26を放擲位置に回動させる構成とした育苗容器の土供給装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9において、貯留放擲体26を床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止めて一時貯留する貯留位置での保持と、移送されてくる育苗容器Aが床土供給箇所に移送されたことを検出する育苗容器検出部27の検出体41の検出位置の保持とを、単独のバネ49により行う構成とした育苗容器の土供給装置。
【請求項11】
請求項1~請求項10において、育苗容器Aを移送する移送台1の移送手段2は、育苗容器Aを嵌合させた引出形状の収納箱8を移送フック50により、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に所定の隙間Sを空けて移送する構成とし、隙間Sが床土繰出装置15の下方を通過する間、貯留放擲体26は床土を受止めて貯留する構成とし、移送フック50は育苗容器Aの前後長に前記隙間Sを足した間隔で無端状の移送体60に設けた育苗容器の土供給装置。
【請求項12】
請求項11において、貯留放擲体26は、育苗容器検出部27の検出体41が移送中の育苗容器Aを床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出すると放擲位置に回動する構成とし、検出体41の育苗容器Aの移送方向下手側の移送手段2は移送方向に所定間隔おいて設けた駆動回転する移送ローラー65により構成した育苗容器の土供給装置。
【請求項13】
移送台1の移送手段2により収納箱8に嵌合させた育苗容器Aを、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に所定の隙間Sを空けて移送し、先行育苗容器Aが床土繰出装置15の下方所定の床土供給位置に至るまで、床土繰出装置15が繰り出す床土を貯留放擲体26が受止めて貯留し、先行育苗容器Aが床土繰出装置15の下方所定の床土供給位置に至ると、先行育苗容器Aを育苗容器検出部27の検出体41が検知し、検出体41の検知をリンク機構45により貯留放擲体26に伝達して貯留放擲体26を放擲位置に回動させて先行育苗容器Aに床土を放擲し、先行育苗容器Aの収納箱8の後端が検出体41を通過すると、検出体41が検出し、リンク機構45により貯留放擲体26を貯留位置に復帰させて前記隙間Sが検出体41を通過する間床土繰出装置15が繰り出す床土を受止めて貯留し、後続育苗容器Aの収納箱8が検出体41に当接して検知すると、検出体41の検知をリンク機構45により貯留放擲体26に伝達して貯留放擲体26を放擲位置に回動させ、これを反復して、移送中の各育苗容器Aが検出体41により検知されると、貯留放擲体26に貯留した床土を放擲する構成とした育苗容器の土供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルトレイあるいはポットシートと呼ばれる育苗容器の土供給装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、床土繰出装置の床土繰出ベルトの前側下方には、床土繰出装置の繰出口から繰り出される床土を受け止めて一時貯留し、移送されてくる育苗容器の先端が床土供給箇所に至ると、貯留した床土を放擲するスクレーパーを設けた構成は、公知である(特許文献1)。
公知例のものは、貯留状態のときに、貯留部の下方にスクレーパーを設け、スクレーパーが育苗容器の検出体を兼用し、育苗容器の前端がスクレーパーに当接すると、スクレーパーごと貯留部を回動させて床土を放擲する。
公知例では、育苗容器を連続的移送し、先頭育苗容器の前列のポットへの床土不足を解消させる構成としている。
すなわち、ポットを並列したセルトレイの育苗容器では、各ポット上に落下させた床土をスクレーパーで寄せて充填させることとしているため、先頭の育苗容器ではスクレーパーが寄せる床土は無く、そのため、床土が不足するという課題認識であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、育苗容器の上面の床土を均平するスクレーパーに貯留部を設けた構成のため、スクレーパーで床土を寄せるためにはどうしても、貯留部からスクレーパーに床土が通過できる切欠が必要であり、そのため、貯留部を貯留状態にしていても、床土繰出装置から繰出される床土の一部は、貯留部の切欠部分から下方に漏れて落下し、育苗容器の土供給装置の周囲に飛散させてしまう課題がある。
また、公知例ではスクレーパーが育苗容器(セルトレイ)に当接して放擲位置に回動させる構成のため、薄いセルトレイがスクレーパーに引っ掛かってめくれるという課題もある。
本願は、貯留放擲体により床土を受け止めて、育苗容器が床土繰出装置の下方に来たときに補充する構成とし、また、育苗容器(セルトレイ)のめくれも防止したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、移送台1に、移送中の育苗容器Aの前後左右に多数並設したポット2に上方から床土を落下させて供給する床土繰出装置15を設け、床土繰出装置15の床土繰出ベルト17の前側には、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止めて一時貯留し、移送されてくる育苗容器Aの先端が床土供給箇所に至ると、貯留した床土を放擲する貯留放擲体26を設けた育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項2の発明は、貯留放擲体26は床土繰出装置15の下方を育苗容器Aが移送されていないときには床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止め、移送中の育苗容器Aが床土繰出装置15の繰出口18の所定下方に位置に至ると、軸心が左右方向の取付軸36中心に放擲位置に回動する構成とした育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項3の発明は、貯留放擲体26の下方の移送台1には、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27を設け、育苗容器検出部27が育苗容器Aを検出すると、貯留放擲体26を放擲位置に自動的に回動させる構成とした育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項4の発明は、育苗容器Aは引出形状の収納箱8に嵌合させた状態で移送台1により、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に所定の隙間Sを空けて移送する構成とし、隙間Sが床土繰出装置15の下方を通過する間、貯留放擲体26は床土を受止めて貯留する構成とした育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項5の発明は、貯留放擲体26は、待機して床土を貯留させる貯留状態において、略水平となる無孔の底板30の左右両側に側板31を設け、左右の側板31の前縁を前板32で連結し、側板31または前板32に設けたブラケット35に設けた取付軸36により床土繰出装置15側に回動自在に取付けた育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項6の発明は、貯留放擲体26の底板30の後端は床土繰出ベルト17に可及的に接近させ、側板31の後縁は床土繰出ベルト17のローラー17Aの円弧面に合わせた円弧面34に形成した育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項7の発明は、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27の検出体41は、育苗容器Aを収納した収納箱8にのみ当接して育苗容器Aの移送を検知する構成とした育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項8の発明は、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27は、育苗容器Aの移送路40内に位置する待機位置と、育苗容器Aが移送路40を移動するときに下方に退避する退避位置との間移動自在の検出体41を設け、検出体41は上方に起立するように左右方向の取付軸42にその基部を固定して設けた育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項9の発明は、貯留放擲体26は、待機して床土を貯留させる貯留位置と、貯留した床土を放擲する放擲位置の間回動自在に床土繰出装置15側に取付軸36により取付け、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27の検出体41を、育苗容器Aの移送路40内に位置する待機位置と、育苗容器Aが移送路40を移動するときに下方に退避する退避位置の間移動自在に設け、前記検出体41と貯留放擲体26とをリンク機構45により連結し、検出体41が育苗容器Aを検出すると、貯留放擲体26を放擲位置に回動させる構成とした育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項10の発明は、貯留放擲体26を床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止めて一時貯留する貯留位置での保持と、移送されてくる育苗容器Aが床土供給箇所に移送されたことを検出する育苗容器検出部27の検出体41の検出位置の保持とを、単独のバネ49により行う構成とした育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項11の発明は、育苗容器Aを移送する移送台1の移送手段2は、育苗容器Aを嵌合させた引出形状の収納箱8を移送フック50により、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に所定の隙間Sを空けて移送する構成とし、隙間Sが床土繰出装置15の下方を通過する間、貯留放擲体26は床土を受止めて貯留する構成とし、移送フック50は育苗容器Aの前後長に前記隙間Sを足した間隔で無端状の移送体60に設けた育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項12の発明は、貯留放擲体26は、育苗容器検出部27の検出体41が移送中の育苗容器Aを床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出すると放擲位置に回動する構成とし、検出体41の育苗容器Aの移送方向下手側の移送手段2は移送方向に所定間隔おいて設けた駆動回転する移送ローラー65により構成した育苗容器の土供給装置としたものである。
請求項13の発明は、移送台1の移送手段2により収納箱8に嵌合させた育苗容器Aを、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に所定の隙間Sを空けて移送し、先行育苗容器Aが床土繰出装置15の下方所定の床土供給位置に至るまで、床土繰出装置15が繰り出す床土を貯留放擲体26が受止めて貯留し、先行育苗容器Aが床土繰出装置15の下方所定の床土供給位置に至ると、先行育苗容器Aを育苗容器検出部27の検出体41が検知し、検出体41の検知をリンク機構45により貯留放擲体26に伝達して貯留放擲体26を放擲位置に回動させて先行育苗容器Aに床土を放擲し、先行育苗容器Aの収納箱8の後端が検出体41を通過すると、検出体41が検出し、リンク機構45により貯留放擲体26を貯留位置に復帰させて前記隙間Sが検出体41を通過する間床土繰出装置15が繰り出す床土を受止めて貯留し、後続育苗容器Aの収納箱8が検出体41に当接して検知すると、検出体41の検知をリンク機構45により貯留放擲体26に伝達して貯留放擲体26を放擲位置に回動させ、これを反復して、移送中の各育苗容器Aが検出体41により検知されると、貯留放擲体26に貯留した床土を放擲する構成とした育苗容器の土供給方法としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、床土繰出装置15の床土繰出ベルト17の前側に、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止めて一時貯留し、移送されてくる育苗容器Aの先端が床土供給箇所に至ると、貯留した床土を放擲する貯留放擲体26を設けているので、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土は貯留放擲体26により予め受け止められ、繰出口18の下方に育苗容器Aが移送されると、貯留放擲体26を反転させて育苗容器Aの前方部のポットPに床土を補給する。
したがって、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土の略全量を貯留放擲体26が受け止めるので、床土作業現場で床土が飛散するのを防止でき、作業環境を良好にし、かつ、落下する床土の回収装置等を設けずに済み、経費削減できる。
請求項2の発明では、貯留放擲体26は床土繰出装置15の下方を育苗容器Aが移送されていないときには床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土の略全量を受け止め、移送中の育苗容器Aが床土繰出装置15の繰出口18の所定下方に位置に至ると、放擲位置に回動する構成としているので、育苗容器Aの前方部のポットPへの床土の充填を確実にできると共に、床土作業現場で床土が飛散するのを防止でき、作業環境を良好にし、かつ、落下する床土の回収装置等を設けずに済み、経費削減できる。
請求項3の発明では、貯留放擲体26の下方の移送台1には、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27を設け、育苗容器検出部27が育苗容器Aを検出すると、貯留放擲体26を放擲位置に自動的に回動させるので、育苗容器検出部27が育苗容器Aを検出したときのみ床土を放擲させることができ、育苗容器Aの前方部のポットPへの床土の充填を確実にできると共に、床土作業現場で床土が飛散するのを防止でき、作業環境を良好にし、かつ、落下する床土の回収装置等を設けずに済み、経費削減できる。
請求項4の発明では、育苗容器Aは引出形状の収納箱8に嵌合させた状態で移送台1により、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に所定の隙間Sを空けて移送する構成とし、隙間Sが床土繰出装置15の下方を通過する間、貯留放擲体26が床土を受止めて貯留するので、貯留放擲体26は床土貯留する時間を常時同一時間とすることができ、育苗容器Aに同量の床土を補給できる。
請求項5の発明では、貯留放擲体26は、待機して床土を貯留させる貯留状態において、略水平となる無孔の底板30の左右両側に側板31を設け、左右の側板31の前縁を前板32で連結し、側板31または前板32に設けたブラケット35に設けた取付軸36により床土繰出装置15側に回動自在に取付けているので、底板30の上面と側板31の内面と前板32の後面とにより形成される貯留空間33により、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される略全量の床土を確実に受け止めることができる。
請求項6の発明では、貯留放擲体26の底板30の後端は床土繰出ベルト17に可及的に接近させ、側板31の後縁は床土繰出ベルト17のローラー17Aの円弧面に合わせた円弧面34に形成しているので、繰出口18から繰り出される床土は貯留放擲体26により略全量受け止めることができ、周囲に床土が飛散するのを防止できる。
請求項7の発明では、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27の検出体41は、育苗容器Aを収納した収納箱8にのみ当接して育苗容器Aの移送を検知する構成としているので、育苗容器Aに検出体41は接触せず、育苗容器Aが収納箱8から「外れ」や「めくれる」のを防止でき、床土供給を確実に行うことかできる。
請求項8の発明では、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27は、育苗容器Aの移送路40内に位置する待機位置と、育苗容器Aが移送路40を移動するときに下方に退避する退避位置との間移動自在の検出体41を設け、検出体41は上方に起立するように左右方向の取付軸42にその基部を固定しているので、育苗容器Aを嵌合させた収納箱8が検出体41を回動することにより育苗容器Aが床土供給位置に到達したことを検出でき、育苗容器Aに検出体41が当接しないので、育苗容器(セルトレイ)Aが収納箱8からめくれることを防止でき、確実に床土を供給できる。
請求項9の発明では、貯留放擲体26は、待機して床土を貯留させる貯留位置と、貯留した床土を放擲する放擲位置の間回動自在に床土繰出装置15側に取付軸36により取付け、移送中の育苗容器Aが床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出する育苗容器検出部27の検出体41を、育苗容器Aの移送路40内に位置する待機位置と、育苗容器Aが移送路40を移動するときに下方に退避する退避位置の間移動自在に設け、前記検出体41と貯留放擲体26とをリンク機構45により連結し、検出体41が育苗容器Aを検出すると、貯留放擲体26を放擲位置に回動させる構成としているので、リンク機構45による簡素な機械的構成で、検出体41の育苗容器Aの検出と貯留放擲体26の放擲とを連動させ、土供給装置を安価に提供できると共に、故障の発生も抑制でき、メンテナンスを容易にすることができる。
請求項10の発明では、貯留放擲体26を床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止めて一時貯留する貯留位置での保持と、移送されてくる育苗容器Aが床土供給箇所に移送されたことを検出する育苗容器検出部27の検出体41の検出位置の保持とを、単独のバネ49により行う構成としているので、構成を簡素にできて、土供給装置を安価に提供できると共に、故障の発生も抑制でき、メンテナンスを容易にすることができる。
請求項11の発明では、育苗容器Aを移送する移送台1の移送手段2は、育苗容器Aを嵌合させた引出形状の収納箱8を移送フック50により、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に所定の隙間Sを空けて移送する構成としているので、隙間Sが床土繰出装置15の下方を通過する間に、貯留放擲体26が常に一定量の床土を受止め放擲でき、各ポットPに均等に床土を供給でき、また、育苗容器Aの前後長に前記隙間Sを足した間隔で移送フック50が育苗容器Aを移送するので、隙間Sを常時一定にできる。
請求項12の発明では、貯留放擲体26は、育苗容器検出部27の検出体41が移送中の育苗容器Aを床土の供給を受ける供給位置に移送されたことを検出すると放擲位置に回動する構成とし、検出体41の育苗容器Aの移送方向下手側の移送手段2は移送方向に所定間隔おいて設けた駆動回転する移送ローラー65により構成しているので、移送手段2全体を簡素に構成でき、床土供給装置を安価に提供できる。
請求項13の発明では、移送台1の移送手段2により収納箱8に嵌合させた育苗容器Aを、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に所定の隙間Sを空けて移送し、先行育苗容器Aが床土繰出装置15の下方所定の床土供給位置に至ると、育苗容器検出部27の検出体41が検知し、検出体41の検知をリンク機構45により貯留放擲体26に伝達して貯留放擲体26により床土を放擲するので、育苗容器Aが収納箱8から外れるのを防止し、床土供給を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】育苗容器の土供給装置の縦断側面図および育苗容器のポットの断面図。
【
図6】育苗容器(収納箱)が検出体に当接した状態の側面図。
【
図9】育苗容器を供給した状態の育苗容器の土供給装置の縦断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図により説明すると、1はナス、トマト等の野菜や花あるいは稲等の種子を播種して育苗する育苗容器Aを移送する移送台であり、移送台1は移送手段2を有し、始端部より終端部に向けて育苗容器Aを移送し、支脚3により床上に載置される(
図1)。
育苗容器Aは、当業者にセルトレイと称されているものであり、前後左右に多数のポットPを形成しており、ポットPは、下面4に透孔5を形成し、側壁6の上端縁を連結部7により連結して一枚状(一体状)に形成されている(
図1)。
育苗容器Aは所定厚さを有する薄い合成樹脂により製造されているため、育苗容器A自体を移送手段2により直接移送すると変形するため、育苗容器Aは、引出形状の収納箱8に、透孔5を下にして嵌合させて移送し、移送中のポットPに、上方より床土を供給する構成としている。
【0009】
移送台1は育苗容器Aの移送方向に長い左右一対のフレーム10を有して構成し、移送台1の始端部上方には収納箱8に嵌合させた育苗容器Aを予め所定高さまで段積み収容し、一つづつ収納箱8および育苗容器Aを供給する自動供給装置11を設ける。自動供給装置11の構成は任意であり、複数の育苗容器Aを収容し、一つずつ供給しうる構成であればよい。12は自動供給装置11の支柱である。
自動供給装置11の下手側の移送台1には床土繰出装置15を設ける。床土繰出装置15は上方に供給ホッパー16を設け、供給ホッパー16の下方に床土繰出ベルト17を設ける。18は床土繰出ベルト17の繰出口、19は供給量調節板、20は床土繰出装置15のフレームである。
【0010】
床土繰出装置15の床土繰出ベルト17の前側には、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止めて一時貯留し、移送されてくる育苗容器Aの先端が床土供給箇所に至ると、育苗容器Aを検出し、貯留した床土を放擲する貯留放擲装置25の貯留放擲体26を設ける。
すなわち、移送中の育苗容器Aに上方から床土を落下供給する場合、育苗容器Aの前側部分のポット2には土があまり入らず、床土量が少なくなる傾向がある。
【0011】
そこで、本発明では、育苗容器Aを収納箱8に嵌合させて、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に隙間Sが空けて移送し、隙間Sが床土繰出装置15の下方を通過する間、貯留放擲体26が床土を受止めて貯留し、育苗容器Aの前側のポットPが床土落下地点に至ると、貯留放擲装置25の育苗容器検出部27が育苗容器Aを検出し、貯留放擲体26が貯留床土を育苗容器Aの先頭ポットPに放擲すると共に、床土繰出装置15による床土の繰出供給を開始する構成とする(
図8)。
【0012】
そのため、貯留放擲体26が、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間の隙間Sに床土を落下させることは無く、床土供給現場に無駄な床土の飛散を防止できる。
育苗容器検出部27が育苗容器Aを検知すると、床土繰出装置15による床土の繰出供給に加えて、貯留放擲体26が床土を放擲補給するから、育苗容器Aの前側部分の床土不足傾向を解消し、良好に育苗できる。
貯留放擲体26の構成は任意であるが、一例を示すと、待機位置で略水平で無孔の底板30の左右両側に側板31を設け、左右の側板31の前縁を前板32で連結し、底板30の上面と側板31の内面と前板32の後面とにより包囲された貯留空間33を形成する(
図2)。
【0013】
貯留空間33は、育苗容器Aの最前列から3列目程のポットPに補給しうる床土を貯留できる容積となるように設定すると、床土の補給が良好に行われて好適である。この場合、貯留空間33が貯留する床土の量は、ポットPへ供給する床土の全量では無く、不足分であるから、充分に貯留可能であり、本実施形態では、2~3列ほどのポットPに補充可能な床土量を貯留する設定としている。
この場合、貯留放擲体26は、繰出口18から繰り出される床土を受け止められるように配置すると共に、繰出口18から繰り出される床土を略全てを受け止めて、飛散を抑制させる構成とする(
図5)。
そのため、底板30の後端は床土繰出ベルト17に可及的に接近させ、側板31の後縁は床土繰出ベルト17のローラー17Aの円弧面に合わせた円弧面34に形成する(
図6)。
【0014】
したがって、貯留放擲体26が待機位置にときは、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を貯留放擲体26より下方に殆ど落下させない。
貯留放擲体26は、側板31または前板32にブラケット35を設け、ブラケット35に左右方向の取付軸36を固定し、取付軸36の軸心中心に回動自在に設け、取付軸36中心に回動して貯留空間33内の床土を放擲する。
貯留放擲装置25の育苗容器検出部27は、育苗容器Aの移送路40内に位置する待機位置と、育苗容器Aが移送路40を移動するときに下方に退避する退避位置の間移動自在の検出体41を有して構成する(
図5)。検出体41は軸棒体により形成し、左右方向の取付軸42に左右に所定間隔をおいて複数並設する。取付軸42は、移送台1のフレーム10側に回転のみ自在に軸装している。
【0015】
育苗容器検出部27の検出体41と貯留放擲体26との間には、検出体41の育苗容器Aの検出を貯留放擲体26に伝達するリンク機構45を設ける(
図2~4)。
リンク機構45は取付軸42にアーム46の基部を固定し、アーム46の先端にロッド47の下部を取付ける。ロッド47の上部はアーム48の先端に取付け、アーム48の基部を前記取付軸36の端部に固定状態に取付ける。
そのため、育苗容器Aが所定位置に移送されると、育苗容器Aを嵌合させた収納箱8の前端が検出体41に当接し、検出体41は取付軸42中心に前方回動し、検出体41の回動により回転した取付軸42がアーム46を下方回動させ、アーム46はロッド47を下方に牽引し、ロッド47の下動によりアーム48の先端を下方回動させ、これにより、取付軸36が回転し、貯留空間33内の床土を育苗容器Aの前列のポットPに向けて放擲して補充する。
【0016】
貯留放擲体26が取付軸36中心に放擲位置に回動しているとき、検出体41は収納箱8により検知位置に保持させれているので、貯留放擲体26は放擲位置に保持され、床土繰出装置15の繰出口18からの床土の繰出に干渉しない(
図8)。
また、リンク機構45には、検出体41を常時検出位置に位置するように付勢するバネ49を設ける。本実施形態では、ロッド47の下部に設けたアーム47Aと前記アーム48との間に引張バネ49を設けている(
図4)。
また、検出体41の回動路には検出体41を育苗容器A(収納箱8)に当接する検出位置に待機させるストッパー43を設ける(
図5)。
【0017】
したがって、検出体41は常時検出位置に位置するように、引張バネ49により付勢され、これにより、リンク機構45は貯留放擲体26を貯留位置に位置させ、検出体41が引張バネ49の弾力に抗して育苗容器A(収納箱8)に当接して回動すると、貯留放擲体26を放擲位置に回動させる。
すなわち、リンク機構45を、側面視において、ロッド47の上下部にアーム47Aとアーム48とバネ49とを四角状に配置することにより、一つのバネ49により検出体41と貯留放擲体26とを所定位置に位置させ、かつ、連動させることができ、合理的構成とすることができる(
図4)。
【0018】
しかして、貯留放擲体26に貯留される床土量を一定にし、かつ、正確に育苗容器Aの最前列のポットPに床土を補給するためには、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間の隙間Sを一定にすることが望ましく、床土繰出装置15に至るまでの移送手段2は、移送フック50により収納箱8を移送する同期移送手段51とし、移送フック50は移送ベルト42に収納箱8に隙間Sを加えた長さより長い間隔をおいて移送フック50を複数並設して構成する(
図1、6)。
そのため、移送手段2の同期移送手段51は、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間の隙間Sを正確に同じにして移送することができる。
【0019】
また、床土繰出装置15の床土繰出ベルト17の下方には振動付与装置55を設ける(
図1)。振動付与装置55は床土供給中の育苗容器Aを上下に振動させて床土がポットP内に充分充填されるようにする。振動付与装置55は、振動ローラー56をアーム57の先端に取付け、アーム57の前後中間部を軸58により移送台1に回動自在に取付け、アーム57の後端をカム体59に弾接させる(
図1)。
カム体59は同期移送手段51の移送フック50を取付けた無端状の移送体(移送ベルト・チェン)60を掛け回した前側ローラー(図示省略)と同軸状に設けている。
そのため、カム体59の回転によりカム体59にバネ(図示省略)の弾力により弾接しているアーム57の後端が上下し、これにより、振動ローラー56を上下させて育苗容器Aを振動させる。
【0020】
この振動付与装置55の移送方向下手側の移送手段2は駆動回転の移送ローラー65により構成している(
図1)。
床土繰出装置15の下手側の移送台1には、育苗容器A上に供給された床土を鎮圧する床土鎮圧ローラー67を設ける。床土鎮圧ローラー67は図示は省略するが、移送台1の移送ローラー65の回転の伝達を受けて駆動回転する構成としている。
【0021】
床土鎮圧ローラー67の下手側には、育苗容器Aの上面の床土を均平するスクレーパー70を設ける。スクレーパー70は図示は省略するが、平面視において、V型形状に形成し、Vの字の交点部分を後側になるように配置し、育苗容器Aの上面の中央の床土を外側に寄せながら均平することにより、各ポットPの左右両側の端部分にも充分に床土が供給されるようにしている。
スクレーパー70の下手側には回転均平ブラシ75を設ける。回転均平ブラシ75は、育苗容器Aの上面の余分な床土を移送方向上手側に掃き戻す。
回転均平ブラシ75の下手側には灌水装置77を設ける。
【0022】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、移送台1の始端部の自動供給装置自動供給装置11に収納箱8に嵌合させた育苗容器Aを複数収容し、作業を開始する。
自動供給装置11は移送台1に一つずつ育苗容器Aを供給し、供給された育苗容器Aは移送手段2により移送され、床土繰出装置15の下方に至る。
床土繰出装置15は自動供給装置11により育苗容器Aが移送台1に供給されると、通電され、床土繰出ベルト17により床土の繰出が開始される。
この場合、移送中の育苗容器Aに上方から床土を落下供給すると、育苗容器Aの前側部分のポット2には土があまり入らず、床土量が少なくなる傾向があり、これを放置すると、その後の育苗に悪影響を及ぼすことが判明している。
【0023】
従来では、育苗容器A上の床土を均平するスクレーパーを設け、このスクレーパーの一部に床土貯留部を設けて、貯留部に貯留させた床土を充填させていた。しかし、スクレーパーに貯留部を設けていたので、床土繰出装置15から繰り出される床土の一部のみを受止める構成となり、床土繰出装置15から繰り出される半分以上の床土は下方に落下して飛散し、この分の床土が無駄になる。
【0024】
本発明では、床土繰出装置15の繰出口18の近傍に繰出口18から繰り出される床土の略全量を受け止める貯留放擲体26を有する貯留放擲装置25を設け、貯留放擲装置25は繰出口18の下方に育苗容器Aが移送されると、貯留放擲体26を反転させる構成としているので、育苗容器Aが移送台1に供給されると、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土は貯留放擲体26により予め受け止められ、繰出口18の下方に育苗容器Aが移送されると、貯留放擲体26を反転させて育苗容器Aの前方部のポットPに床土を補給する。
【0025】
したがって、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土の略全量を貯留放擲体26が受け止めるので、床土作業現場で床土が飛散するのを防止でき、作業環境を良好にし、かつ、落下する床土の回収装置等を設けずに済み、経費削減できる。
貯留放擲装置25は、育苗容器Aを非検出状態では貯留放擲体26を貯留位置に保持させ、育苗容器検出部27が育苗容器Aを感知すると、自動的に貯留放擲体26を反転させて内部の床土を育苗容器Aに向けて放擲し、床土を補充するので、床土の貯留と放擲とが自動で行われて、床土供給作業を容易にする。
【0026】
この場合、育苗容器Aを収納箱8に嵌合させて、先行育苗容器Aと後続育苗容器Aとの間に隙間Sを空けて移送し、隙間Sが床土繰出装置15の下方を通過する間、貯留放擲体26が床土を受止めて貯留する構成とし、育苗容器Aを移送する移送手段2は育苗容器Aに前記隙間Sを足した間隔で移送フック50を設けて構成しているので、常に、隙間Sは一定となり、それゆえ、貯留放擲体26が床土を貯留する時間も一定となり、床土補充精度を向上させられる。
【0027】
換言すると、貯留放擲装置25は、下方を育苗容器Aが通過しているときは、貯留放擲体26を繰出口18から退避させて放擲位置に位置させ、下方に育苗容器Aが移送されていないときには、貯留放擲体26は貯留位置に復帰して繰出床土を受け止める。
この貯留放擲体26は、待機している貯留位置において、略水平となる無孔の底板30の左右両側に側板31を設け、左右の側板31の前縁を前板32で連結しているので、底板30の上面と側板31の内面と前板32の後面とにより貯留空間33が形成され、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を受け止める。
【0028】
貯留放擲体26は、育苗容器Aの最前列から3列目位までのポットPに補給しうる床土を貯留できる容積となるように設定しているので、床土の補給が良好に行われる。
この場合、貯留放擲体26は、繰出口18から繰り出される床土の略全量を受け止められるように配置しているので、繰出口18から繰り出される床土を飛散させず、作業環境を良好に保持する。
貯留放擲体26は、底板30の後端を床土繰出ベルト17に可及的に接近させ、側板31の後縁を床土繰出ベルト17のローラー17Aの円弧面に合わせた円弧面34に形成しているので、貯留放擲体26が貯留位置のときには、床土繰出装置15の繰出口18から繰り出される床土を貯留放擲体26より下方に殆ど落下させずに受け止めることができる。
【0029】
貯留放擲体26は、前板32の部分に左右方向の取付軸36を固定し、取付軸36の軸心中心に回動自在に設けているので、取付軸36中心に貯留放擲体26を回動させると、貯留空間33内の床土を育苗容器Aに放擲する。
貯留放擲装置25の育苗容器検出部27は、育苗容器Aの移送路40内に位置する待機位置(非検出状態)と、育苗容器Aが移送路40を移動するときに下方に退避する退避位置(検出状態)の間移動自在の検出体41を設け、検出体41は軸棒体により形成し、左右方向の取付軸42に左右に所定間隔をおいて複数起立するように並設しているので、育苗容器Aが移送手段2の移送フック50により移送されると、収納箱8の前壁が検出体41に当接し、検出体41を前方に押し倒してオンになり、貯留放擲体26を放擲させる。
【0030】
したがって、検出体41は育苗容器Aに直接接触することはなく、育苗容器Aが収納箱8からずれたり・まくれたりして外れるのを防止し、育苗容器Aへの床土供給を確実に行える。
育苗容器検出部27の検出体41と貯留放擲体26との間には、検出体41の育苗容器Aの検出を貯留放擲体26に伝達するリンク機構45を設け、リンク機構45は取付軸42にアーム46の基部を固定し、アーム46の先端にロッド47の下部を取付け、ロッド47の上部はアーム48の先端に取付け、アーム48の基部を取付軸36の端部に固定状態に取付けているので、育苗容器Aが所定位置に移送されると、育苗容器Aを嵌合させた収納箱8の前端が検出体41に当接し、検出体41は取付軸42中心に前方回動し、検出体41の回動により回転した取付軸42がアーム46を下方回動させ、アーム46はロッド47を下方に牽引し、ロッド47の下動によりアーム48の先端を下方回動させ、これにより、取付軸36が回転し、貯留放擲体26内の床土を育苗容器Aの前列のポットPに向けて放擲して補充する。
貯留放擲体26が放擲位置に回動しているとき、検出体41は収納箱8により検知位置に保持させれているので、貯留放擲体26は放擲位置に保持され、床土繰出装置15の繰出口18からの床土の繰出に干渉しない。
【0031】
また、床土繰出装置15の床土繰出ベルト17の下方には振動付与装置55を設けているので、育苗容器Aは振動付与装置55の振動ローラー56により上下に振動中に床土繰出装置15から床土の供給を受け、床土はポットP内に充填される。
移送手段2の移送フック50は、振動付与装置55の振動ローラー56まで育苗容器Aを移送する構成とし、振動付与装置55の移送方向下手側の移送手段2は移送ローラー65により構成しているので、育苗容器Aは移送ローラー65により移送される。
そのため、床土繰出装置15までは移送フック50により常時一定の隙間Sを保持して育苗容器Aを移送し、振動付与装置55により振動を付与した後は移送ローラー65により移送するので、移送手段2の全体の構成を簡素にすることができる。
【0032】
床土繰出装置15の下手側の移送台1には、育苗容器A上に供給された床土を鎮圧する床土鎮圧ローラー67を設けているので、ポットP内に充分な床土を充填する。
床土鎮圧ローラー67の下手側にはスクレーパー70を設けているので、育苗容器Aの上面の余分な床土を均平して、余剰床土を他のポットPに補充し、かつ、余った床土をスクレーパー70により除去する。
スクレーパー70の下手側には回転均平ブラシ75を設けているので、育苗容器Aの上面の余分な床土は回転均平ブラシ75により移送方向上手側に掃き戻される。
回転均平ブラシ75の下手側には灌水装置77を設けているので、育苗容器AのポットP内の床土は灌水装置77により灌水を受ける。
【符号の説明】
【0033】
1…移送台、2…移送手段、3…支脚、4…下面、5…透孔、6…側壁、7…連結部、8…収納箱、10…フレーム、11…自動供給装置、15…床土繰出装置、16…供給ホッパー、17…床土繰出ベルト、17A…ローラー、18…繰出口、19…供給量調節板、20…フレーム、25…貯留放擲装置、26…貯留放擲体、27…育苗容器検出部、30…底板、31…側板、32…前板、33…貯留空間、34…円弧面、35…ブラケット、36…取付軸、40…移送路、41…検出体、42…取付軸、43…ストッパー、45…リンク機構、46…アーム、47…ロッド、48…アーム、49…バネ、50…移送フック、51…同期移送手段、55…振動付与装置、56…振動ローラー、57…アーム、58…軸、60…移送体、65…移送ローラー、67…床土鎮圧ローラー、70…スクレーパー、75…回転均平ブラシ、77…灌水装置、A…育苗容器、P…ポット。