(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054997
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】認証システム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20220331BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20220331BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20220331BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20220331BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220331BHJP
【FI】
G06F21/32
G07G1/00 331Z
G07G1/12 321Z
G06Q30/06
G06T7/00 510F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162324
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】常田 稔
【テーマコード(参考)】
3E142
5B043
5L049
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142AA03
3E142CA17
3E142EA04
3E142FA03
3E142FA08
3E142FA28
3E142GA16
3E142HA14
5B043AA01
5B043AA09
5B043BA02
5B043BA03
5B043BA04
5B043BA06
5B043DA05
5B043FA07
5B043GA01
5L049BB72
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生体認証において、認証に要する時間を低減することができる認証システムを提供する。
【解決手段】認証システム100は、情報管理部21、第1撮像部11、抽出部22、情報保持部23、第2撮像部14及び認証処理部26備える。情報管理部は、互いに対応付けられた生体情報および人物識別情報を含む登録情報を管理する。第1撮像部は、店舗入口(第1の場所)において認証対象者の第1顔情報を生成する。抽出部は、第1顔情報に基づいて、情報管理部から認証対象者に対応する登録情報を抽出する。情報保持部は、認証対象者に対応する登録情報を保持する。第2撮像部は、第2の場所において認証対象者の第2顔情報を取得する。認証処理部は、情報保持部に保持されている認証対象者の登録情報および第2顔情報に基づいて、認証対象者の認証処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対応付けられた生体情報および人物識別情報を含む登録情報を管理する情報管理部と、
第1の場所において認証対象者の第1生体情報を生成する第1生体情報生成部と、
前記第1生体情報に基づいて、前記情報管理部から、前記認証対象者に対応する登録情報を抽出する抽出部と、
前記認証対象者に対応する登録情報を保持する情報保持部と、
第2の場所において前記認証対象者の第2生体情報を生成する第2生体情報生成部と、
前記情報保持部に保持されている前記認証対象者の登録情報および前記第2生体情報に基づいて、前記認証対象者の認証処理を実行する認証処理部と、
を備える認証システム。
【請求項2】
前記第1の場所において、前記認証対象者が保持する携帯端末から当該携帯端末の第1端末識別情報を取得する端末情報取得部、をさらに備え、
前記情報管理部は、前記人物識別情報に対応する端末識別情報が含まれる前記登録情報を管理しており、
前記抽出部は、前記第1生体情報および前記第1端末識別情報に基づいて、前記情報管理部から、前記認証対象者に対応する登録情報を抽出する、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記第1の場所において、前記認証対象者が保持する携帯端末から当該携帯端末の位置情報である端末位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記端末位置情報が示す位置が、前記第1の場所を含む施設の位置情報である施設位置情報が示す位置に含まれるか否かを判定する位置判定部と、
をさらに備える、請求項1または2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記位置判定部が、前記端末位置情報が示す位置が前記施設位置情報が示す位置に含まれると判定した場合に、前記携帯端末を介して、前記認証対象者に対する所定のサービスを提供するサービス提供部、をさらに備える、
請求項3に記載の認証システム。
【請求項5】
前記認証部における前記認証対象者の認証が成功した場合に、所定の決済方法で前記認証対象者に関する決済処理を行う決済処理部をさらに備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項6】
前記情報管理部は、前記人物識別情報に対応する決済方法を示す決済方法情報が含まれる前記登録情報を管理しており、
前記決済処理部は、前記情報保持部に保持されている前記認証対象者の登録情報に含まれる前記決済方法情報を用いて、前記認証対象者に関する決済処理を行う、
請求項5に記載の認証システム。
【請求項7】
前記情報保持部は、前記認証対象者の登録情報の保持を開始してから所定時間が経過した場合、当該認証対象者の登録情報を破棄する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項8】
前記第1の場所および前記第2の場所は、同一の施設内のそれぞれ異なる場所である、
請求項1から7のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項9】
前記施設は、店舗である、
請求項8に記載の認証システム。
【請求項10】
前記第1の場所は、前記店舗の入口近傍であり、
前記第2の場所は、決済が行われる場所の近傍である、
請求項9に記載の認証システム。
【請求項11】
前記情報管理部と、前記認証部とは、公衆通信ネットワークを介して接続されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項12】
前記情報管理部と、前記情報保持部とは、公衆通信ネットワークを介して接続されている、
請求項11に記載の認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体認証等の認証を行うことができる認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
顔画像、静脈パターン、声紋、指紋、虹彩等の生体情報を用いて、認証対象者の認証を行う生体認証システムが普及している。特許文献1には、スーパーマーケット等の大規模小売店において、顔認証を用いて、係員を介在せずに購入商品の代金を自動的に決済することのできる購入商品代金決済システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な生体認証では、あらかじめ登録されている登録生体情報と、実時間で生成された新たな生体情報とが照合され、登録生体情報と新たな生体情報との一致度が所定しきい値以上である場合に認証成功と判断される。生体認証に用いられる生体情報は、画像や音声等、比較的データ量が大きい情報であるため、登録生体情報と新たな生体情報の照合や、登録生体情報または新たな生体情報のネットワーク等を介した送受信等には時間がかかりやすい。
【0005】
例えば特許文献1に開示された技術では、商品購入者がクレジットカードをカード読み取り装置にセットした時点で、あらかじめ登録されている顔登録情報と新たに撮影された顔画像とを照合している。全国規模で複数店舗のチェーンを展開する大規模小売店等では、顧客の数が膨大になるため、あらかじめ登録されている登録生体情報のデータ量も膨大な量となる。このような場合、膨大なデータ量の登録生体情報の中から、新たな生体情報と一致する生体情報を抽出するためには、さらに多くの時間が掛かることがかかることが予想される。
【0006】
本開示は、生体認証において、認証に要する時間を低減することができる認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の認証システムは、互いに対応付けられた生体情報および人物識別情報を含む登録情報を管理する情報管理部と、第1の場所において認証対象者の第1生体情報を生成する第1生体情報生成部と、前記第1生体情報に基づいて、前記情報管理部から、前記認証対象者に対応する登録情報を抽出する抽出部と、前記認証対象者に対応する登録情報を保持する情報保持部と、第2の場所において前記認証対象者の第2生体情報を生成する第2生体情報生成部と、前記情報保持部に保持されている前記認証対象者の登録情報および前記第2生体情報に基づいて、前記認証対象者の認証処理を実行する認証処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、認証に要する時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る認証システムの構成の一例を説明するための図
【
図2】第1の実施の形態に係る認証システムの動作例を説明するためのシーケンス図
【
図3】第1の実施の形態に係る認証システムの動作例を説明するためのシーケンス図
【
図4】本開示の第2の実施の形態に係る認証システムの構成の一例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。また、以下の説明および参照される図面は、当業者が本開示を理解するために提供されるものであって、本開示の請求の範囲を限定するためのものではない。
【0011】
<第1の実施の形態>
まず、本開示の第1の実施の形態に係る認証システム100について説明する。
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る認証システム100の構成の一例を説明するための図である。
【0012】
図1に示すように、認証システム100は、店舗装置10と、管理装置20と、がネットワークNによって互いに通信可能に接続された構成を有する。
【0013】
(店舗装置10)
店舗装置10は、第1撮像部11と、端末情報取得部12と、位置情報取得部13と、第2撮像部14と、決済処理部15と、店舗通信部16と、を備える。
【0014】
店舗装置10は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、各種専門店等の小売店舗に設けられる装置である。なお、説明の都合上、本実施の形態では、店舗装置10を1つの装置として説明するが、本開示の店舗装置10は、実際には、各構成要素が店舗内の様々な位置に設置されており、これらの構成要素が通信可能に互いに接続されて構成されている。
【0015】
第1撮像部11および第2撮像部14は、カメラを備え、店舗の顧客の顔を撮影するための撮像部である。第1撮像部11と第2撮像部14とは、店舗内における設置場所がそれぞれ異なっている。具体的には、第1撮像部11は例えば店舗入口付近に設置されており、第2撮像部14は、商品購入時の決済が行われるレジ付近に設置されている。なお、本明細書において、顧客とは、例えば店舗の会員となっている人物であり、顧客の個人情報等、顧客に関する情報があらかじめ認証システム100に登録されている人物を指す。
【0016】
なお、第1撮像部11は本開示の第1生体情報取得部の一例である。また、第2撮像部14は本開示の第2生体情報取得部の一例である。
【0017】
店舗に入店した顧客は、認証システム100の認証の対象となり得る。認証システム100の認証の対象となり得る顧客は、本発明の認証対象者に相当する。第1撮像部11は、顧客が店舗に入店する度に、認証対象者である顧客の顔画像を生成する。
【0018】
以下の説明において、第1撮像部11が生成した顔画像を含む情報を、第1顔情報と記載する。第1撮像部11は、店舗入口を常時撮影して動画像を作成しておき、顧客が入店する度に当該動画像から顔画像を抽出して当該顧客の第1顔情報としてもよい。あるいは、第1撮像部11は、図示しないセンサ等により店舗入口から顧客が新たに入ってくることを検知した場合に、当該顧客の顔を撮影して第1顔画像を生成してもよい。
【0019】
一方、第2撮像部14は、顧客が店舗内で購入しようとする商品をレジまで持ってきて当該商品の代金を決済しようとしたとき、当該顧客の顔画像を生成する。以下の説明において、第2撮像部14が生成した顔画像を含む情報を、第2顔情報と記載する。
【0020】
端末情報取得部12は、店舗入口付近に設置されており、認証対象者である顧客が入店すると、当該顧客が保持する携帯端末から、当該携帯端末の識別情報を取得する。以下の説明において、携帯端末の識別情報を、端末識別情報と記載する。携帯端末の例としては、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PC(Personal Computer)等が挙げられる。端末情報取得部12が顧客の携帯端末から取得する端末識別情報は、携帯端末を識別可能な情報(例えば、携帯端末毎にあらかじめ付与されたID番号等)であればよく、その具体的内容については、本開示では特に限定しない。
【0021】
位置情報取得部13は、店舗入口付近に設置されており、認証対象者である顧客が入店すると、当該顧客が保持する携帯端末から、当該携帯端末の位置情報を取得する。以下の説明において、携帯端末の位置情報を、端末位置情報と記載する。端末情報取得部12が顧客の携帯端末から取得する端末位置情報は、携帯端末が生成した、携帯端末の位置を示す情報(例えば、GPS(Grobal Positiong System)情報)であればよく、その具体的内容については、本開示では特に限定しない。
【0022】
なお、本実施の形態では、端末情報取得部12と位置情報取得部13とが独立した構成であるとして説明するが、本開示では、例えば端末識別情報と端末位置情報とが、顧客の携帯端末から、1つの構成によって一度に取得されてもよい。
【0023】
決済処理部15は、レジ付近に設置されており、顧客が購入しようとする商品代金の決済を行う。より詳細には、決済処理部15は、顧客が商品代金の決済を開始しようとすることを検知した場合、第2撮像部14に当該顧客の第2顔情報を生成させるとともに、第2顔情報を含む認証要求を店舗通信部16により管理装置20に対して送信させる。管理装置20が認証要求に基づいて顧客の認証を行った結果、認証に成功した場合に、決済処理部15は、所定の決済方法にて決済する。より詳細には、決済処理部15は、決済方法に対応する外部の決済サーバ(図示せず)等と連携して、商品代金の決済を行う。
【0024】
決済方法の例としては、クレジットカード決済、電子マネー決済、バーコード決済等のオンライン決済が挙げられる。
【0025】
顧客が商品代金の決済を開始しようとすることを、決済処理部15が検知するための方法については、限定されないが、一例として、有人レジの場合には、レジ操作を行う店員が所定の操作を行う方法が採用されればよい。顧客自身がレジ操作を行う無人レジの場合は、例えば、購入しようとする商品を置くための台に商品が置かれ、当該台が所定以上の商品の重さを検知したとき、決済処理部15は、顧客が商品代金の決済を開始しようとしていると判断してもよい。その他にも、レジに人近接センサや接触センサ等を設けておき、顧客がレジに近接または接触したことを当該センサが検知した場合に、決済処理部15は、顧客が商品代金の決済を開始しようとしていると判断してもよい。
【0026】
店舗通信部16は、店舗装置10内の各構成と、店舗装置10外部の管理装置20との間で、所定のネットワークNを介して各種情報の送受信を行う。所定のネットワークNは、例えば公衆通信ネットワークまたはローカルなネットワークである。公衆通信ネットワークの例としては、例えばインターネットが挙げられる。
【0027】
上述したように、店舗装置10のうち、店舗の入口付近には、第1撮像部11、端末情報取得部12、および位置情報取得部13が配置されている。一方、店舗のレジ付近には、第2撮像部14が配置されている。決済処理部15および店舗通信部16については、店舗内の適宜の場所に設置されうる。
【0028】
顧客が入店する度に第1撮像部11が生成した第1顔情報、端末情報取得部12が生成した端末識別情報、および位置情報取得部13が取得した端末位置情報は、その都度、店舗通信部16によって管理装置20に送信される。この際、店舗通信部16は、第1顔情報、端末識別情報、および端末位置情報とともに、店舗の位置を示す店舗位置情報を互いに関連づけて管理装置20に送信する。以下の説明において、店舗通信部16が管理装置20に対して送信する第1顔情報、端末識別情報、端末位置情報、および店舗位置情報をまとめて、抽出用情報と記載する。
【0029】
(管理装置20)
図1に示すように、管理装置20は、情報管理部21と、抽出部22と、情報保持部23と、位置判定部24と、サービス提供部25と、認証処理部26と、認証通信部27と、を備える。管理装置20は、店舗装置10とネットワークNを介して通信可能なサーバ装置である。
【0030】
なお、
図1に示す例では、説明の都合上、1つの店舗装置10のみが管理装置20と接続されているが、実際には、複数の店舗に設置された複数の店舗装置が1つの管理装置20に接続されている。
【0031】
情報管理部21は、店舗装置10が設置されている店舗の顧客毎の登録情報を管理する。情報管理部21は、例えば登録情報を管理するためのデータベースを実現する記憶装置である。登録情報とは、顧客に関する、あらかじめ登録された情報である。登録情報は、例えば、顧客の顔画像、顧客を識別するための顧客識別情報、顧客が有する携帯端末の端末識別情報、顧客が当該店舗において決済をする場合の決済方法を示す決済方法情報等を、互いに対応付けられた状態で含んでいる。なお、顔画像は本開示の生体情報の一例である。また、顧客識別情報は、本開示の人物識別情報の一例である。
【0032】
登録情報に含まれる顔情報とは、例えば顧客が店舗の会員になる際に生成された、顧客の顔画像を含む情報である。
【0033】
顧客識別情報とは、例えば顧客の名前、住所、年齢、電話番号等の顧客の個人情報を含み、複数の顧客の中から1人の顧客を識別するための情報である。顧客識別情報に含まれる個人情報は、例えば顧客が店舗の会員になる際に、顧客自身によって店舗に伝えられた情報である。顧客識別情報は、本開示の人物識別情報の一例である。
【0034】
決済方法情報とは、顧客が選択している決済方法を示す情報、および、決済の際に必要となる情報(例えば決済方法がクレジットカード決済の場合、クレジットカード番号等)を含む。決済方法を示す情報は、例えば顧客が店舗の会員になる際に、顧客自身によって設定された情報である。
【0035】
情報管理部21は、多くの顧客の登録情報を管理する必要があるため、大容量かつバックアップ可能な記憶媒体で構成されていることが望ましい。
【0036】
抽出部22は、後述する認証通信部27が店舗装置10から新たな第1顔情報を受信した場合に、当該第1顔情報に基づいて、情報管理部21に登録されている登録情報の中から、第1顔情報の顔画像と合致する顔画像を含む登録情報を抽出する。
【0037】
情報保持部23は、抽出部22によって抽出された登録情報を保持する記憶装置である。情報保持部23は、例えば情報管理部21と同じ記憶装置の内の一部の記憶領域であってもよいし、情報管理部21とは異なる記憶装置であってもよい。
【0038】
情報保持部23が保持する情報は、新たな第1顔情報の顔画像に合致する顔画像を含む登録情報であり、当該登録情報には、上述したように、あらかじめ登録されている顔画像、顧客を識別するための顧客識別情報、顧客が当該店舗において決済をする場合の決済方法を示す決済方法情報、等が含まれる。
【0039】
情報保持部23は、抽出された登録情報を保持し始めてから一定時間が経過した場合、その登録情報を破棄する。すなわち、情報保持部23は、抽出された登録情報を一時的に保持するだけであり、恒久的に記憶するのではない。また、情報保持部23は、情報管理部21に管理されている情報の内、抽出された一部の情報のみを保持するだけである。このため、情報保持部23は、情報管理部21と比較して小さい記憶容量を有していればよい。
【0040】
情報保持部23が登録情報を保持し続ける一定時間の長さは、例えば認証システム100の管理者等によって適宜設定されればよい。一例として、一定時間は、顧客の平均店舗滞在時間(店舗に入店した顧客が退店するまでの平均時間)より多少長い時間に設定されればよい。これにより、情報保持部23は、店舗に入店した顧客が店舗に滞在していることが予想される間は、登録情報を保持することができる。
【0041】
また、情報保持部23は、複数の店舗のそれぞれに備えられた複数の店舗装置10が管理装置20に接続されている場合、店舗毎に独立した記憶領域を有し、同じ店舗に入店したすべての顧客に関する登録情報を、同じ記憶領域に保持する。以下の説明において、店舗毎の記憶領域を、店舗領域と記載する。
【0042】
位置判定部24は、後述する認証通信部27が店舗装置10から新たな端末位置情報および店舗位置情報を受信した場合に、当該端末位置情報および店舗位置情報に基づいて、店舗に入店した顧客が有する携帯端末の位置と、当該店舗の位置とが一致するか否かを判定する。
【0043】
サービス提供部25は、位置判定部24において顧客の端末位置情報と店舗位置情報とが一致した場合に、当該顧客の携帯端末を介して、顧客に所定のサービスを提供するサービス提供処理を実行する。当該サービスの提供は、例えば携帯端末と通信可能な公衆通信ネットワーク等を介して行われる。サービス提供処理の詳細については、後述する。
【0044】
認証処理部26は、後述する認証通信部27が店舗装置10から顧客の認証要求を受信した場合に、情報保持部23に保持されている、当該顧客に関する登録情報に基づいて、当該顧客の認証に関する認証処理を実行する。認証処理の詳細については、後述する。
【0045】
認証通信部27は、管理装置20が有する各構成と、店舗装置10との間で、ネットワークNを介して各種情報の送受信を行う。
【0046】
以上、第1の実施の形態に係る認証システム100の構成について説明した。次に、認証システム100全体の動作の流れについて、
図2および
図3を参照しながら説明する。
【0047】
(動作例)
図2および
図3は、第1の実施の形態に係る認証システム100の動作例を説明するためのシーケンス図である。
図2および
図3では、説明の都合上、1つの店舗に1人の顧客が入店した場合の動作例について説明する。
【0048】
図2に示すように、ステップS1からS5は、店舗装置10側の処理である。まず、ステップS1において、第1撮像部11は、店舗装置10が設置された店舗に、顧客が新たに入店したことを検知する。ステップS2において、第1撮像部11は、ステップS1で入店を検知した顧客の顔画像を撮影し、第1顔情報を生成する。ステップS3において、端末情報取得部12は、顧客が有する携帯端末から端末識別情報を取得する。ステップS4において、位置情報取得部は、顧客が有する携帯端末から端末位置情報を取得する。ステップS5において、店舗通信部16は、第1顔情報、端末識別情報、端末位置情報、および店舗位置情報を含む抽出用情報を管理装置20に対して送信する。
【0049】
なお、
図2に示す例では、ステップS2,S3,S4がこの順番で行われる場合について説明したが、本開示では、例えばステップS2,S3,S4の順番が行われる順番が入れ替わってもよいし、ステップS2,S3,S4の少なくとも2つが同時に行われてもよい。
【0050】
図2に示すように、ステップS5において店舗装置10から管理装置20へ抽出用情報が送信された後、管理装置20において、ステップS6からステップS10の処理が行われる。
【0051】
ステップS6において、認証通信部27は、店舗装置10から抽出用情報を受信する。ステップS7において、抽出部22は、受信した抽出用情報に含まれる第1顔情報を用いて情報管理部21をサーチし、第1顔情報の顔画像と合致する顔画像を含む登録情報を抽出する。より詳細には、認証通信部27は、第1顔情報の顔画像との一致度が所定の第1閾値以上となる顔画像を合致する顔画像であると判断して、当該顔画像を含む登録情報を抽出する。ステップS8において、情報保持部23は、抽出された登録情報を、該当する店舗の店舗領域に一定時間保持する。一方、ステップS9において、位置判定部24は、抽出用情報に含まれる端末位置情報および店舗位置情報に基づいて、顧客の携帯端末の位置と店舗位置情報とが一致するか否かを判定する。顧客の携帯端末の位置と店舗位置情報とが一致する場合、ステップS10において、サービス提供部25は、抽出用情報に含まれる端末識別情報に基づいて、所定のサービスを顧客の携帯端末に対して提供するサービス提供処理を行う。
【0052】
なお、
図2に示す例では、ステップS7において、抽出部22が情報管理部21から、抽出用情報に含まれる第1顔情報の顔画像との一致度が所定の第1閾値以上となる顔画像を含む登録情報を抽出する場合について説明した。ステップS7において、抽出部22が第1顔情報の顔画像との一致度が第1閾値以上となる顔画像を含む登録情報を抽出できなかった場合、管理装置20は、新たに入店した顧客が登録されていないとして、処理を終了する。また、ステップS7において、抽出用情報に含まれる第1顔情報の顔画像との一致度が所定の第1閾値以上となる顔画像含む登録情報が複数抽出された場合、ステップS8において、抽出された全ての登録情報を情報保持部23が保持するようにしてもよいし、抽出された複数の登録情報の内、より一致度が高い一部の登録情報のみ情報保持部23が保持するようにしてもよい。
【0053】
また、
図2に示す例では、ステップS9において、位置判定部24が、顧客の携帯端末の位置と店舗位置情報とが一致すると判定した場合について説明した。しかしながら、ステップS9において、位置判定部24が、顧客の携帯端末の位置と店舗位置情報とが一致しないと判定した場合、ステップS10において、サービス提供部25はサービス提供処理を実行しない。すなわち、この場合、顧客の携帯端末を介した、顧客への所定のサービス提供が行われない。
【0054】
図2に示す例では、ステップS7,S8,S9がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、本開示では、例えば、ステップS7およびS8における登録情報の抽出および保持よりも、ステップS9における端末位置の判定の方が先に行われてもよい。または、例えば、ステップS7、S8、およびステップS9が同時に行われてもよい。
【0055】
なお、ステップS8において、情報保持部23が抽出された登録情報を保持すると、一定時間の間、管理装置20は、待機状態へ移行する。この待機状態は、管理装置20が、店舗に入店した顧客の認証に用いられる登録情報を管理装置20の情報保持部23に保持したまま、店舗において決済が開始されるのを待機している状態である。なお、管理装置20は、ステップS8で待機状態に移行した後であっても、ステップS9およびステップS10における、顧客の携帯端末に対するサービス提供処理は適宜実行する。
【0056】
続いて、
図3の説明に移る。
図3に示すように、ステップS11からステップS13は、店舗装置10側の処理である。ステップS11において、決済処理部15は、購入しようとする商品をレジまで持ってきた顧客が決済を開始しようとしていることを検知する。ステップS12において、第2撮像部14は、当該顧客の顔画像を改めて撮影し、第2顔情報を生成する。ステップS13において、店舗通信部16は、第2顔情報を含む認証要求を管理装置20に対して送信する。
【0057】
図3に示すように、ステップS14からステップS16は、管理装置20側の処理である。ステップS14において、認証通信部27は、認証要求を受信する。このステップS14における認証要求の受信が、
図2のステップS8における登録情報の保持開始から一定時間以内であった場合、管理装置20は、待機状態を解除する。ステップS15において、認証処理部26は、認証要求に含まれる第2顔情報と、情報保持部に保持されている登録情報と、を用いて、認証処理を行う。認証に成功した場合、ステップS16において、認証通信部27は、ステップS15における認証の結果を示す情報、および登録情報に含まれる、顧客識別情報と決済方法情報とを含む認証結果情報を、店舗装置10に対して送信する。
【0058】
なお、
図3に示す例では、ステップS15の認証処理の結果、認証に成功した場合について説明した。ステップS15の認証処理の結果、認証に失敗した場合、管理装置20は、第2顔情報を用いて、情報管理部21に管理されている登録情報の中から、第2顔情報の顔画像と合致する顔画像を含む登録情報を改めて抽出する処理を行う。当該処理の結果、合致する顔画像を含む登録情報が抽出できた場合、認証が成功したとして、管理装置20は以降の処理を進める。当該処理の結果、合致する顔画像を含む登録情報が抽出できなかった場合、管理装置20は、処理を終了し、店舗装置10に対して認証に失敗したことを通知する。この場合、店舗装置10の決済処理部15は、認証に失敗したことを顧客に通知するとともに、他の決済方法による決済を求める。
【0059】
続いて、
図3に示すように、ステップS17およびステップS18は、店舗装置10側の処理である。ステップS17において、店舗通信部16は、認証結果情報を受信する。ステップS18において、決済処理部15は、認証の結果が成功であった場合に、当該顧客に関する決済処理を行う。
【0060】
図2および
図3に示すような処理により、顧客が入店した時点で、当該顧客の認証に用いられる登録情報が情報管理部21から抽出されて情報保持部23に一時的に保持される。言い換えると、顧客が入店してから店舗内で商品を選んでいる間に、当該顧客の登録情報が抽出されて一時保持される。そして、顧客が決済を開始しようとした時点で、一時的に保持された登録情報を用いて認証処理が行われる。このため、顧客が決済を開始しようとしてから当該顧客の登録情報の抽出を開始する場合と比較して、決済開始から決済完了までの時間が少なくて済む。
【0061】
特に、登録済みの顧客を数多く抱える大規模小売店では、情報管理部21に膨大な登録情報が管理されており、抽出部22が、実時間で撮影した顧客の顔画像と合致する顔画像を含む登録情報を抽出するのに多大な時間を要する場合がある。また、抽出用情報に含まれる顔画像はデータ量が大きいため、店舗装置10から管理装置20への送信に時間がかかることがある。本開示では、
図2および
図3に示すような処理によって、抽出用情報の送信、および、登録情報の抽出を、顧客が商品を選んでいる間に済ませることができるので、抽出用情報の送信、および、登録情報の抽出に必要な時間の分だけ、決済開始から決済完了までの時間を実質的に短縮することができる。
【0062】
また、
図2および
図3に示す動作例では、ステップS8において情報保持部23が登録情報を保持し始めてから一定時間以内に、ステップS14における認証要求の受信がなされた場合について説明した。ステップS8における登録情報の保持開始から一定時間が経過しても店舗装置10から認証要求が受信されなかった場合には、情報保持部23は、保持している登録情報を破棄するとともに、管理装置20におけるステップS15以降の処理を終了させる。
【0063】
これにより、情報保持部23に複数の顧客の登録情報が蓄積されていき、情報保持部23の記憶容量が圧迫される事態を回避することができる。なお、ある顧客に関する登録情報が情報保持部23から削除された後、当該顧客が決済を開始しようとした場合、第2撮像部14が生成した第2顔情報を含む認証要求を店舗通信部16が管理装置20に対して送信すると、管理装置20は当該第2顔情報に基づいて情報管理部21から当該顧客に対応する登録情報を改めて抽出し、認証処理を行う。このため、
図2および
図3において説明した動作例のように、管理装置20において、登録情報が情報保持部23に保持され始めてから一定時間以内に認証要求が受信された場合と比較して時間は掛かるものの、認証処理自体は問題なく行うことができる。
【0064】
以上、認証システム100の全体の動作例について説明した。なお、上述したように、
図2および
図3には、1人の顧客のみに関する認証システム100の動作例が示されている。実際には、同一店舗内に複数の顧客が同時に滞在することが多く、このような場合、情報保持部23には、複数の顧客に対応する登録情報が同時に保持されることになる。従って、複数の顧客が店舗内に同時に滞在する場合、認証処理部26は、情報保持部23に保持された複数の登録情報に含まれる顔画像と、認証要求に含まれる顔画像とを照合して認証処理を行うことになる。このような場合でも、情報管理部21に管理されている全ての登録情報と認証要求に含まれる顔画像とを照合して認証処理を行う場合と比較して、照合の対象となる登録情報の数が大幅に少ないため、決済開始から決済完了までの時間を実質的に短縮することができる。
【0065】
また、複数の店舗のそれぞれに備えられた複数の店舗装置10が管理装置20に接続されている場合、上述したように、情報保持部23は、店舗毎に独立した記憶領域を有し、同じ店舗に入店したすべての顧客に関する登録情報を、同じ記憶領域(店舗領域)に保持する。認証処理部26は、ある顧客の認証処理を行う場合には、当該顧客が入店した店舗に対応する店舗領域内の登録情報のみとの照合を行えばよいため、決済開始から決済完了までの時間を実質的に短縮することができる。
【0066】
次に、認証処理、および、サービス提供処理の詳細について説明する。
【0067】
(認証処理)
図3のステップS15における、認証処理部26の認証処理について説明する。認証処理部26は、認証通信部27を介して店舗装置10から認証要求を受信すると、当該認証要求に含まれる第2顔情報の顔画像と、情報保持部23に保持されている登録情報に含まれる顔画像と、を照合する。照合の結果、一致度が所定の第2閾値以上であった場合、認証処理部26は、認証に成功したと判断する。
【0068】
なお、
図3のステップS15より前段の
図2のステップS7において、抽出部22は、店舗装置10から受信した抽出用情報に含まれる第1顔情報に基づいて、第1顔情報の顔画像との一致度が第1閾値以上である顔画像を含む登録情報を抽出している。第1閾値および第2閾値は同じ値であってもよいが、異なる値、例えば第2閾値を第1閾値よりも大きな値としてもよい。こうすることで、抽出部22により登録情報の抽出時に誤認証が生じる確率を低減させることができるので、管理装置20全体として、より高い精度で認証処理を行うことができる。
【0069】
上記説明した認証処理によれば、認証要求に含まれる顔画像と、情報保持部23に保持されている登録情報に含まれる顔画像との一致度を求めるだけで認証結果を得ることができる。すなわち、このような認証処理においては、認証要求に含まれる顔画像と、多数の顧客の登録情報に含まれる顔画像とを、1枚1枚照合する作業が不要であるため、認証にようする時間を大幅に短縮することができる。
【0070】
(サービス提供処理)
サービス提供部25におけるサービス提供処理について説明する。サービス提供部25は、抽出部22によって顧客の抽出用情報に含まれる顔画像との一致度が第1閾値以上となる顔画像を含む登録情報が情報管理部21から抽出され、位置判定部24によって顧客の携帯端末と店舗の位置が一致した場合に、サービス提供処理を行う。サービス提供部25が提供するサービスの実行は、サービス提供部25自身が行ってもよいし、サービス提供部25が外部のサービス提供サーバ等と協働して行ってもよい。
【0071】
サービス提供部25によって提供されるサービスについて、具体例を挙げて説明する。1つの例として、決済方法の変更を提案するサービスが挙げられる。より詳細には、顧客が複数の決済方法をあらかじめ登録している場合に、新たにその顧客が入店した際に、サービス提供部25は、決済方法を変更するか否かを顧客に選択させるメッセージを顧客の携帯端末に表示させる。顧客が携帯端末を介して決済方法の変更を選択した場合、サービス提供部25は、情報保持部23に保持されている登録情報に含まれる決済方法情報を、変更された決済方法を示す決済方法情報で上書きする。
【0072】
近年ではクレジットカード、電子マネー、バーコード決済等、キャッシュレス決済の中でも種々の決済方法があり、決済方法によってポイントの溜まり具合が異なる場合があるため、顧客が決済する商品や場所によって決済方法を変更したいという要望がある。上述したサービスにより、このような要望に応えることができるようになる。
【0073】
決済方法の変更を提案するサービスは、例えば買い物代行サービスに発展させることができる。例えば、買い物代行者の決済方法として、買い物依頼者の決済方法があらかじめ情報管理部21に登録されており、買い物代行者が店舗に顧客として入店したとき、買い物代行者が決済方法を買い物依頼者があらかじめ指定した決済方法に変更する。そして、買い物依頼者は、買い物を依頼するより前に、買い物代行者が買い物依頼者の決済方法を用いて決済できるように、認証システム100に対して買い物代行者の正当性を示す情報をあらかじめ登録しておく。このような方法により、買い物依頼者が買い物代行者に買い物を依頼し、買い物代行者が依頼された買い物の決済を店舗にて行うとき、買い物代行者は、買い物依頼者が指定した決済方法で決済を行うことができる。この際、依頼者は自らの携帯端末の連絡先を決済方法に関連付けて認証システム100に登録しておき、買い物代行者が店舗において決済を行うとき、買い物依頼者の携帯端末及び買い物依頼者が指定した別の携帯端末に決済金額が通知され、その決済を許可するか否かを選択できるようにしてもよい。
【0074】
他の例として、顧客関係管理(CRM:Customer Relationship Management)手法によって、顧客の過去の買い物の傾向、または顧客の嗜好に合わせた商品の提案等を行うサービスが挙げられる。より詳細には、例えばある顧客の購買行動情報、すなわち、顧客が過去に購入した商品の商品名、金額、ジャンル等の各種情報等に基づいて、新たにその顧客が入店した際に、サービス提供部25は、当該情報を用いておすすめ商品等の提案を顧客の携帯端末に表示させる。サービス提供部25は、例えば顧客の複数店舗における購買行動を記憶する外部のデータベース等にアクセスして、顧客の購買行動情報を取得すればよい。このような方法により、顧客が入店したタイミングで店舗側が顧客におすすめしたい商品や、顧客が求めていると予想される商品を、携帯端末を通じて顧客に通知できるので、顧客の購買行動を促進することができるようになる。
【0075】
他の例として、あらかじめ顧客が登録した買い物リストを、顧客の携帯端末に対して提示するサービスが挙げられる。より詳細には、顧客が店舗を訪れる前に、例えば携帯端末等を用いて生成した買い物リストを、外部の買い物リスト提供サーバ等に登録しておき、新たにその顧客が入店した際に、サービス提供部25は、当該買い物リスト提供サーバから買い物リストを取得して携帯端末に表示させる。これにより、顧客は店舗における買い忘れを少なくすることができ、有用である。
【0076】
<第2の実施の形態>
次に、本開示の第2の実施の形態について説明する。
図4は、本開示の第2の実施の形態に係る認証システム200の構成の一例を説明するための図である。
【0077】
第1の実施の形態に係る認証システム100では、情報管理部21から抽出された登録情報を一時的に保持する情報保持部23、および登録情報を用いて認証処理を行う認証処理部26が管理装置20に備えられていた。第2の実施の形態に係る認証システム200では、
図4に示すように、情報保持部17および認証処理部18が店舗装置10に備えられている。情報保持部17および認証処理部18以外の店舗装置10および管理装置20の各構成の動作は、上述した第1の実施の形態の動作とほぼ同様である。以下では、店舗装置10に設けられた情報保持部17、認証処理部18、および、これら以外の構成の第1の実施の形態とは異なる動作について説明する。
【0078】
情報保持部17は、店舗装置10に備えられた記憶装置であり、管理装置20から店舗通信部16を介して受信された顧客の登録情報を保持する。なお、第2の実施の形態における情報保持部17は、店舗装置10に設けられているので、店舗毎の店舗領域を有しなくてよい、という点において、第1の実施の形態における情報保持部23とは異なっている。情報保持部17は、あるタイミングで店舗内に滞在している顧客に対応する登録情報のみを保持すればよいため、複数店舗の店舗領域を有する、第1の実施の形態における情報保持部23と比較して、小さい記憶容量で足りる。
【0079】
認証処理部18は、決済処理部15が、顧客の決済の開始を検知した場合に、情報保持部17に保持されている、当該顧客に関する登録情報に基づいて、当該顧客の認証に関する認証処理を実行する。認証処理の具体的内容については、第1の実施の形態の認証処理部26が行う認証処理と同様である。
【0080】
第2の実施の形態に係る認証システム200の動作例は、以下のとおりである。店舗装置10において、第1撮像部11が、顧客が店舗に新たに入店したことを検知すると、入店した顧客の顔画像を撮影し、第1顔情報を生成する。店舗装置10の端末情報取得部12は、顧客が有する携帯端末から端末識別情報を取得し、位置情報取得部は、顧客が有する携帯端末から端末位置情報を取得する。店舗通信部16は、第1顔情報、端末識別情報、端末位置情報、および店舗位置情報を含む抽出用情報を管理装置20に対して送信する。
【0081】
管理装置20において、認証通信部27が店舗装置10から抽出用情報を受信すると、抽出部22は、受信した抽出用情報に含まれる第1顔情報を用いて情報管理部21をサーチし、第1顔情報の顔画像との一致度が所定の第1閾値以上となる顔画像を含む登録情報を抽出する。認証通信部27は、抽出された登録情報を、店舗装置10に対して送信する。一方、位置判定部24は、顧客の携帯端末の位置と店舗位置情報とが一致するか否かを判定し、一致する場合、サービス提供部25は、サービス提供処理を行う。
【0082】
店舗装置10において、店舗通信部16が管理装置20から登録情報を受信すると、情報保持部17は、受信した登録情報を保持する。この状態で、決済処理部15により顧客による決済の開始が検知された場合、認証処理部18は、情報保持部17に保持された登録情報を用いて、当該顧客の認証を行う。認証に成功した場合、決済処理部15は、あらかじめ設定された決済方法で、当該顧客に関する決済処理を行う。
【0083】
このような構成により、顧客の決済を行うために必要な認証処理が、店舗装置10において行われる。このため、登録情報が管理装置20から店舗装置10に送信された後であれば、例えばネットワークNの不具合等により店舗装置10と管理装置20との通信が行うことができない場合でも、決済処理を行うことができるようになる。
【0084】
<作用、効果>
本開示の認証システム100(200)は、互いに対応付けられた生体情報および人物識別情報を含む登録情報を管理する情報管理部21と、店舗入口(第1の場所)において認証対象者の第1顔情報を生成する第1撮像部11と、第1顔情報に基づいて、情報管理部21から、認証対象者に対応する登録情報を抽出する抽出部22と、認証対象者に対応する登録情報を保持する情報保持部23(17)と、第2の場所において認証対象者の第2顔情報を取得する第2撮像部14と、情報保持部23(17)に保持されている認証対象者の登録情報および第2顔情報に基づいて、認証対象者の認証処理を実行する認証処理部26(18)と、を備える。
【0085】
このような構成により、顧客が入店した時点で、当該顧客の認証に用いられる登録情報が情報管理部21から抽出されて情報保持部23(17)に一時的に保持される。そして、顧客が決済を開始しようとした時点で、一時的に保持された登録情報を用いて認証処理が行われる。言い換えると、顧客が入店してから店舗内で商品を選んでいる間に当該顧客の登録情報が抽出されて一時保持される。このため、顧客が決済を開始しようとしてから当該顧客の登録情報の抽出を開始する場合と比較して、決済開始から決済完了までの時間が少なくて済む。
【0086】
すなわち、登録情報を抽出するための抽出用情報の送信、および、登録情報の抽出を、顧客が商品を選んでいる間に済ませることができるので、抽出用情報の送信、および、登録情報の抽出に必要な時間の分だけ、決済開始から決済完了までの時間を実質的に短縮することができる。
【0087】
<変形例>
上述した第1および第2の実施の形態において説明した認証システム100,200は、本開示の認証システムの一例であり、本開示は認証システムが用いられる環境やその目的、使用態様等に合わせて適宜の変更が可能である。以下では、本開示の認証システムの変形例について説明する。
【0088】
上述した実施の形態では、顧客の顔画像を用いて、情報管理部21からの登録情報の抽出、および、抽出された登録情報を用いた認証処理を行っていた。本開示では、顔認証だけでなく、種々の生体認証を用いて、情報管理部21からの登録情報の抽出、および、抽出された登録情報を用いた認証処理を行うようにしてもよい。種々の生体認証の例としては、顔画像、静脈パターン、声紋、指紋、虹彩、歩く時の体の動かし方等が挙げられる。
【0089】
上述した実施の形態では、抽出部22による、情報管理部21からの登録情報の抽出、および、認証処理部26(18)による認証処理は、顧客の顔画像のみを用いて行われていた。しかしながら、本開示では、抽出部22による抽出時、または認証処理部26による認証処理の際に、顔画像と端末識別情報との両方を用いて、抽出および認証処理を行うようにしてもよい。このように、複数要素に基づいて抽出および認証処理を行うことにより、より精度の高い抽出および認証処理を行うことができるようになる。複数要素の例としては、顔画像と端末識別情報の二要素だけではなく、例えば複数種類の生体情報の組み合わせ等、三要素以上の組み合わせが挙げられる。
【0090】
反対に、本開示では、顧客が携帯端末を有していない場合でも認証を行うことができるようにしてもよい。例えば、新たに入店した顧客から端末識別情報や端末位置情報を取得できない場合には、店舗で生成された第1顔情報および第2顔情報と、あらかじめ登録された登録情報の顔画像と、のみを用いて、あらかじめ登録された決済方法による決済を行うようにしてもよい。
【0091】
上述した実施の形態では、店舗位置情報は、抽出用情報に含まれて、店舗装置10から認証装置20へ送信されており、位置判定部24において携帯端末の位置の判定に用いられていた。しかしながら、例えば認証装置20が複数店舗の店舗位置情報をあらかじめ保持しており、ある店舗の店舗装置10から抽出用情報を受信した場合に、位置判定部24は、送信元店舗の店舗位置情報を読み出して携帯端末の位置の判定を行うようにしてもよい。
【0092】
上述した実施の形態では、店舗において決済を行うために顧客の認証を行う認証システムについて説明した。しかしながら、本開示は大勢の人物の情報があらかじめ登録されているシステムにおいて、ある人物の認証を行うための認証システムであれば、どのような形態にも適用が可能である。例えば、コンサート等のイベント会場において、会場が入った施設の入口等で入場者の第1顔情報を取得し、入場者が会場に辿り着くまでに登録情報の抽出を済ませておいて、入場者が入場する際には改めて第2顔情報を取得して抽出された登録情報と照合して認証を行うような形態にも適用が可能である。
【0093】
<より精度の高い顔認証について>
非常に多くの人物の顔画像があらかじめ登録されている場合の顔認証では、誤認証が問題となる。例えば、1万人分の顔画像が管理されている場合、誤認証の割合が仮に百万分の1の低確率であっても、単純計算では100回の顔認証に1回の割合で誤認証が発生してしまう。なお、誤認証とは、登録されているはずの人物の認証が成功しない、または、他人を本人として認証してしまうことを指す。
【0094】
誤認識が一定の確率で起きる場合、誤認識の発生数を減らすためには、照合の対象となる顔画像の母数を減らすことが重要である。以下では、照合の対象となる顔画像の母数をあらかじめ減らすことにより、認証精度を向上させることができる顔認証について説明する。
【0095】
膨大な数の顧客の顔画像が顔認証データベースにあらかじめ登録されている場合について考える。認証精度を向上させるために、顔認証データベースの中から、あらかじめ認証対象の顧客の顔画像と合致する可能性が高い少数の顔画像をあらかじめ選別する。以下の説明において、顧客の顔画像と合致する可能性が高い少数の顔画像を、顔テンプレートと記載する。顔テンプレートに含まれる顔画像の数は、1つでなくてもよく、元の顔認証データベースに登録されている顔画像の数よりも少なければよい。ただし、認証精度や効率を考えると、顔テンプレートに含まれる顔画像の数はある程度少ない方がよい。
【0096】
顔テンプレートは、例えば以下のような方法により選別される。1つの例として、顔画像を照合する際の一致度の閾値を低く設定し、同じ顔ではなく、似たような顔の顔画像をすべて顔テンプレートとして選別する方法が挙げられる。
【0097】
また、他の方法として、顧客の入店時等に、読取機で会員カード等を読み取ることで、会員カードに記憶されている会員IDに紐づけられている顔画像を顔テンプレートとして選別する方法が挙げられる。
【0098】
さらに他の方法として、顧客の入店時等に、画面表示や自動音声等により、顧客に対して出身県や生年月日等の簡単な質問を行い、その質問の回答結果に基づいて、顔画像に紐づけられている個人情報を検索し、合致する顔画像を顔テンプレートとして選別する方法が挙げられる。回答を音声で行わせることにより、顧客の声紋を採取し、合致する声紋を検索し、検出した声紋に紐づけられている顔画像を顔テンプレートとして選別するようにしてもよい。
【0099】
さらに他の方法として、顧客の入店時等に、顧客にサインを行わせ、サインの形状に基づいて顔画像を選別する方法が挙げられる。サインの形状は、例えば紙等に行われた多淫をカメラでスキャンして取得してもよいし、タッチパネル上でサインを行わせることで取得してもよい。
【0100】
このようにして選別した顔テンプレートを用いて、実際に認証が必要になった場合に、改めて顧客の顔画像を撮影し、顔テンプレートとの照合を行うことで顔認証を行う。これにより、顔認証の際に顔認証データベースから合致する顔画像を一度に抽出する場合と比較して、照合する顔画像の数が少なくて済むため、認証に要する時間や負荷が少なくて済むとともに、認証の精度を向上させることができる。
【0101】
なお、上記のように選別した顔テンプレートは、顧客の顔認証が行われた後は不要となる。このため、以下のような条件で顔テンプレートを削除するようにすることで、顔テンプレートを記憶しておく記憶領域を解放することができる。
【0102】
例えば、店舗から顧客が退店するとき、当該顧客の顔を撮影し、類似する顔を含む顔テンプレートがあった場合に、その顔テンプレートを削除すればよい。顧客の退店は、例えば店舗の出口に設けられた退店ゲートを顧客が通過したことにより検知されればよい。
【0103】
また、退店ゲートに会員カードの読取機が設けられており、退店時に読取機で会員カードを読み取ることで、会員カードに記憶されている会員IDに紐づけられている顔画像を含む顔テンプレートを削除してもよい。
【0104】
さらに、顧客が入店してからの時間を計測しておき、入店から一定時間が経過した場合に、その顧客のための顔テンプレートを削除してもよい。
【0105】
さらに、顧客の顔認証が完了した時点で、当該顧客の顔テンプレートを削除してもよい。
【0106】
なお、上述の説明では、より精度の高い顔認証について説明したが、顔認証以外の生体認証に対しても同様の方法を採用することで、より精度の高い生体認証を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本開示は、大勢の人物の情報があらかじめ登録されている場合に、素早く認証を行うことができる認証システムに有用である。
【符号の説明】
【0108】
100,200 認証システム
10 店舗装置
11 第1撮像部
12 端末情報取得部
13 位置情報取得部
14 第2撮像部
15 決済処理部
16 店舗通信部
20 管理装置
21 情報管理部
22 抽出部
23 情報保持部
24 位置判定部
25 サービス提供部
27 認証通信部
17 情報保持部
18 認証処理部