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  • 特開-デカらくがき本 図1
  • 特開-デカらくがき本 図2
  • 特開-デカらくがき本 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055110
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】デカらくがき本
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/00 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
B42D15/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162507
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】520336517
【氏名又は名称】有限会社松原製本所
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100210332
【弁理士】
【氏名又は名称】洲崎 竜弥
(72)【発明者】
【氏名】松原 英樹
(57)【要約】
【課題】子供が自由にかつ安全に落書きをすることができるデカらくがき本を提供する
【解決手段】見開き状態にした大きさが縦80cm横106cm以上の大きさを有する本であって、表紙紙2と、表紙紙2を2つ折りにした内面2f,2f間に配置される複数枚の落書き用紙3と、を備えており、複数枚の落書き用紙3は、各落書き用紙3が2つ折りにされた状態かつ折り目3bが表紙紙2の折り目2b側に配置された状態で、隣接する落書き用紙3における折り目3bと対向する外端縁部同士が連結されており、複数枚の落書き用紙3のうち外方に位置する2枚の落書き用紙3の外端縁部がそれぞれ表紙紙2における折り目2bと対向する外端縁部に連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見開き状態にした大きさが縦80cm横106cm以上の大きさを有する本であって、
表紙紙と、
該表紙紙を2つ折りにした内面間に配置される複数枚の落書き用紙と、を備えており、
該複数枚の落書き用紙は、
各落書き用紙が2つ折りにされた状態かつ折り目が前記表紙紙の折り目側に配置された状態で、隣接する落書き用紙における折り目と対向する外端縁部同士が連結されており、
該複数枚の落書き用紙のうち外方に位置する2枚の落書き用紙の外端縁部がそれぞれ前記表紙紙における折り目と対向する外端縁部に連結されている
ことを特徴とするデカらくがき本。
【請求項2】
前記表紙紙における折り目の内面と、前記複数枚の落書き用紙における折り目の外面と、が非連結状態である
ことを特徴とする請求項1記載のデカらくがき本。
【請求項3】
前記隣接する落書き用紙における折り目と対向する外端縁部の外面同士および/または前記外方に位置する2枚の落書き用紙の外端縁部の外面と前記表紙紙における折り目と対向する外端縁部の内面は、一定の連結範囲が面接触した状態で連結されており、
該連結範囲以外の部分は、
前記隣接する落書き用紙の外面同士および/または前記外方に位置する2枚の落書き用紙の外面と前記表紙紙の内面とが非連結状態である
ことを特徴とする請求項1または2記載のデカらくがき本。
【請求項4】
前記落書き用紙がA0サイズの紙である
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のデカらくがき本。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デカらくがき本に関する。具体的には、子供が自由にらくがきができるデカらくがき本に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、こどもがらくがきなどをするノートとして落書き帳が販売されている。従来の落書き帳は、机の上で使用することを想定しており、その大きさはせいぜいA3サイズ(29.7cm×42.0cm)やA2サイズ(42.0cm×59.4cm)の大きさである。
【0003】
しかし、従来の落書き帳の大きさでは、こどもが落書きをしたいという要求を十分に満たすことができなかった。
また、従来の落書き帳の大きさでは、一人で落書きすることはできても、友達と一緒に落書きをすることは難しかった。
【0004】
そこで、従来の落書き帳よりも大きいスケッチブックが開発されている(特許文献1参照)。特許文献1のスケッチブックは、AOサイズ(84.1cm×118.9cm)の紙を螺旋状の止め具によって束ねて形成したものである。したがって、特許文献1のスケッチブックを開いて床などにおけば、168.2cm×118.9cmという大きなサイズの落書き帳になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3065936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1のスケッチブックは、螺旋状の止め具によって紙を束ねているので、開いて168.2cm×118.9cmという大きなサイズにしても、子供が思うように落書きをすることができない。つまり、スケッチブックを開いた場合、真ん中に止め具があるので、この止め具が邪魔になって思うように落書きをすることができない。しかも、スケッチブックの上に載って子供が落書きをする場合、止め具によって子供が怪我をしてしまう可能性もある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、子供が自由にかつ安全に落書きをすることができるデカらくがき本を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のデカらくがき本は、見開き状態にした大きさが縦80cm以上横106cm以上の大きさを有する本であって、表紙紙と、該表紙紙を2つ折りにした内面間に配置される複数枚の落書き用紙と、を備えており、該複数枚の落書き用紙は、各落書き用紙が2つ折りにされた状態かつ折り目が前記表紙紙の折り目側に配置された状態で、隣接する落書き用紙における折り目と対向する外端縁部同士が連結されており、該複数枚の落書き用紙のうち外方に位置する2枚の落書き用紙の外端縁部がそれぞれ前記表紙紙における折り目と対向する外端縁部に連結されていることを特徴とする。
第2発明のデカらくがき本は、第1発明において、前記表紙紙における折り目の内面と、前記複数枚の落書き用紙における折り目の外面と、が非連結状態であることを特徴とする。
第3発明のデカらくがき本は、第1または第2発明において、前記隣接する落書き用紙の折り目と対向する外端縁部の外面同士および/または前記外方に位置する2枚の落書き用紙の外端縁部の外面と前記表紙紙における折り目と対向する外端縁部の内面は、一定の連結範囲が面接触した状態で連結されており、該連結範囲以外の部分は、前記隣接する落書き用紙の外面同士および/または前記外方に位置する2枚の落書き用紙の外面と前記表紙紙の内面とが非連結状態であることを特徴とする。
第4発明のデカらくがき本は、第1、第2または第3発明において、前記落書き用紙がA0サイズの紙であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、見開き状態にした大きさが縦80cm以上横106cm以上の大きさになるので、子供が複数人で同時に使用しても十分に落書きできる。しかも、見開き状態では、落書き用紙の折り目を延ばしただけの状態になるので、折り目部分も落書きできる。また、表面紙と落書き用紙だけで作られているので、子供が怪我などをする心配もない。
第2、第3発明によれば、見開き状態にした際に落書きしやすい状態になる。
第4発明によれば、落書きに十分な大きさを持ちつつ持ち運びしやすくなる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のデカらくがき本1の概略説明図であり、(A)は閉じた状態であり、(B)は開いた状態である。
図2】(A)は本実施形態のデカらくがき本1の背の部分の拡大断面説明図であり、(B)は落書き用紙3の外端縁部同士の連結部分および落書き用紙3の外端縁部と表紙紙2の外端縁部との連結部分の拡大断面説明図である。
図3】本実施形態のデカらくがき本1に子供Cが落書きしている状態の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態のデカらくがき本は、子供が自由に落書きできるものであり、複数人の子供が安全かつ同時に落書きをすることができるようにしたものである。
【0012】
<デカらくがき本1の使用状態>
まず、本実施形態のデカらくがき本1の詳細を説明する前に、本実施形態のデカらくがき本1の使用状態を説明する。なお、以下では、本実施形態のデカらくがき本1を単にデカらくがき本1という場合がある。
【0013】
図3に示すように、本実施形態のデカらくがき本1を見開き状態にして床などに置いた場合、デカらくがき本1の落書き用紙3が延ばされて折り目がほとんど無い状態になる。つまり、あたかも落書き用紙3を床などにそのまま置いた場合と近い状態にすることができる。すると、デカらくがき本1ののど部に相当する落書き用紙3の折り目3bの部分も落書きしやすくなる。
【0014】
また、デカらくがき本1は見開き状態ではその大きさが縦80cm以上横106cm以上になるように製造されているので、複数人の子供Cが同時に落書きしても、全ての子供Cの落書き欲求を満たすことができる。しかも、子供Cがデカらくがき本1の上にのって落書きできるし、複数人の子供Cが同時に落書きしても、子供Cの体が当たったり場所を奪い合ったりすることなく、複数人の子供Cが同時にかつ自由に落書きすることができる。
【0015】
<デカらくがき本1>
図1に示すように、本実施形態のデカらくがき本1は、閉じた状態(図1(A))と、開いた状態(図1(B)、見開き状態)と、をとることができるように形成されたものである。このデカらくがき本1は、表紙紙2と、複数枚の落書き用紙3と、によって形成されている。
【0016】
<表紙紙2>
図2(A)に示すように、表紙紙2は、一枚の紙を折り曲げて形成されたものであり、一対の表紙部2a,2aと、一対の表紙部2a,2aを連結する折り目部2bと、を有している。なお、折り目部2bは、一般的な本であれば背に相当する部分になる。
【0017】
<落書き用紙3>
図2(A)に示すように、表紙紙2の表紙部2a,2aの内面2f,2f間には、4枚の落書き用紙3A~3Dが設けられている。具体的には、閉じた状態(2つ折りにした状態)における表紙紙2の表紙部2a,2aの内面2f,2f間に、2つ折りにした状態の4枚の落書き用紙3A~3Dがその折り目3bが表紙紙2の折り目部2b側に位置するように設けられている。
【0018】
4枚の落書き用紙3A~3Dは、その折り目3bの両側に位置する一対の落書き部3a,3aの外面3f同士が対面した状態で配置されている。そして、4枚の落書き用紙3A~3Dは、隣接する落書き用紙3の落書き部3aにおける折り目2bと対向する端部(以下、外端縁部という)同士が連結されている。例えば、落書き用紙3Aと落書き用紙3Bとは、落書き用紙3Aの落書き部3aの外端縁部の外面3f(図2では左側の落書き部3aの外面3f)における一定の範囲(図2(B)ではL1の範囲、連結範囲)と、落書き用紙3Bの落書き部3aの外端縁部の外面3f(図2では右側の落書き部3aの外面3f)における一定の範囲(図2(B)ではL1の範囲、連結範囲)とが、面接触した状態で接着剤によって連結されている。そして、落書き用紙3Aの落書き部3aと落書き用紙3Bの落書き部3aとは、連結範囲では連結されているが、他の部分は非連結状態となるように連結されている。
なお、落書き用紙3Bと落書き用紙3Cの連結や、落書き用紙3Cと落書き用紙3Dの連結も、落書き用紙3Aと落書き用紙3Bの連結方法と同様な方法で連結されている。
【0019】
また、4枚の落書き用紙3A~3Dのうち、外方に位置する2枚の落書き用紙3A,3Dは、落書き部3aの外面3fの外端縁部が、表紙紙2の表紙部2の内面2fの折り目2aと対向する端部(以下外端縁部という)と連結されている。例えば、落書き用紙3Aでれば、落書き用紙3Aの落書き部3aの外端縁部の外面3f(図2では右側(一方)の落書き部3aの外端縁部の外面3f)における一定の範囲(図2(B)ではL2の範囲、連結範囲)と、表紙紙2の表紙部2の外端縁部の内面2f(図2では右側の表紙部2の外端縁部の内面2f)における一定の範囲(図2(B)ではL2の範囲、連結範囲)とが、面接触した状態で接着剤によって連結されている。そして、落書き用紙3Aの落書き部3aと表紙紙2の右側の表紙部2とは、連結範囲では連結されているが、他の部分は非連結状態となるように連結されている。
なお、落書き用紙3Dと表紙紙2の他方の表紙部2の連結、落書き用紙3Aと表紙紙2の一方の表紙部2の連結方法と同様な方法で連結されている。
【0020】
また、4枚の落書き用紙3A~3Dと表紙紙2は、その折り目3bの外面が表紙紙2の折り目2bの内面と非連結状態となっている。つまり、4枚の落書き用紙3A~3Dのうち、落書き用紙3B,3Cは、表紙紙2とは直接連結されず、落書き用紙3A,3Dを介してのみ表紙紙2に連結されている。
【0021】
本実施形態のデカらくがき本1は以上のような構造を有しているので、見開き状態にすれば、落書き用紙3の折り目を延ばした状態にしやすくなる。つまり、見開き状態にすれば、落書き用紙3の折り目3b部分に段差や凹み等が形成されにくくなるので、落書き用紙3の折り目3bの部分も落書きしやすくなる。
【0022】
<表紙紙2について>
表紙紙2に使用する紙はとくに限定されず、デカらくがき本1の形状をある程度維持できる程度に強度や厚さを有していればよい。
【0023】
<落書き用紙3について>
上記例では、デカらくがき本1が4枚の落書き用紙3を有する場合を説明したが、デカらくがき本1に設ける落書き用紙3の枚数はとくに限定されない。落書き用紙3は3枚以下でもよいが5枚以上でもよい。しかし、落書き用紙3の枚数が多くなりすぎると、デカらくがき本1を見開き状態にしたときに厚さが厚くなり落書きをしにくくなる。したがって、デカらくがき本1に設ける落書き用紙3の枚数は3~5枚が望ましい。
【0024】
また、落書き用紙3に使用する紙の大きさや厚さもとくに限定されず、見開き状態にした大きさが縦80cm以上横106cm以上の大きさになる紙であればよい。落書き用紙3としては、例えば、A0用紙(84.1cm×118.9cm)を使用することができる。A0用紙であれば、見開き状態において落書きに十分な大きさを持ちつつ、閉じた状態ではデカらくがき本1を持ち運びもしやすい大きさにできる。しかも、A0用紙は規格品になるので、デカらくがき本1の製造コストを抑えることができる。
【0025】
また、落書き用紙3に使用する紙として、見開き状態にした大きさが縦80cm横106cm以下となる紙を使用してもよい。この場合には、デカらくがき本1の上にのって落書きしたり複数人で落書きすることはやりずらくなるが、折り畳んだ大きさを小さくできるので、持ち運びしやすくなる。また、このような大きさの場合でも、
【0026】
<落書き用紙3同士の連結および落書き用紙3と表紙紙2の連結について>
隣接する落書き用紙3の落書き部3aの外端縁部の外面3f同士を連結する連結範囲の幅L1や、落書き用紙3の外端縁部の外面3fと表紙紙2の表紙部2a,2aの内面2fとを連結する連結範囲の幅L2はとくに限定されない。デカらくがき本1を開いたり閉じたりしやすく、見開き状態で落書き用紙3を伸びた状態にしやすくなるように連結されていればよい。例えば、図2(B)における連結範囲の幅L1は5~20mm程度(好ましくは10mm程度)、連結範囲の幅L2は5~20mm程度(好ましくは10mm程度)とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のデカらくがき本は、託児所や幼稚園などの複数の子供が遊ぶ場所を有する施設で使用するらくがき本として適している。
【符号の説明】
【0028】
1 デカらくがき本
2 表紙紙
2a 表紙部
2b 折り目
2f 内面
3 落書き用紙
3a 落書き部
3b 折り目
3f 外面
3s 落書き面
C 子供

図1
図2
図3