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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055135
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20220331BHJP
   H05B 45/14 20200101ALI20220331BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20220331BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20220331BHJP
   H05B 45/52 20200101ALI20220331BHJP
   H05B 45/58 20200101ALI20220331BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20220331BHJP
   H05B 47/17 20200101ALI20220331BHJP
   H05B 47/21 20200101ALI20220331BHJP
【FI】
A61L2/10
H05B45/14
H05B45/325
H05B45/345
H05B45/52
H05B45/58
H05B47/105
H05B47/17
H05B47/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162546
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】竹口 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】山羽 義郎
(72)【発明者】
【氏名】下出 浩治
【テーマコード(参考)】
3K273
4C058
【Fターム(参考)】
3K273AA08
3K273BA32
3K273BA36
3K273CA02
3K273CA13
3K273DA02
3K273DA09
3K273EA03
3K273EA25
3K273EA35
3K273FA03
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA15
3K273FA26
3K273FA27
3K273FA32
3K273GA18
3K273GA25
3K273HA20
4C058AA16
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD07
4C058DD12
4C058DD14
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK32
4C058KK46
(57)【要約】
【課題】本発明は、殺菌能力の長寿命化を図ることができる紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【解決手段】紫外線照射装置1は、並列に接続された複数の紫外線発光素子111a,111b,111cと、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の強度を検出する光検出素子12と、光検出素子12が検出した紫外線の合計強度と予め決定した目標紫外線強度とを比較した結果に基づき複数の紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動する駆動電流の一定時間当たりの平均駆動電流量を制御するマイクロプロセッサ131とを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された複数の紫外線発光素子と、
前記複数の紫外線発光素子が発光する紫外線の強度を検出する光検出素子と、
前記光検出素子が検出した前記紫外線の合計強度と予め決定した目標紫外線強度とを比較した結果に基づき前記複数の紫外線発光素子を駆動する駆動電流の一定時間当たりの平均駆動電流量を制御する制御装置と、
を備える紫外線照射装置。
【請求項2】
前記駆動電流はパルス電流であり、
前記制御装置は、前記パルス電流のデューティ比を変化させて前記平均駆動電流量を制御する
請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記デューティ比の閾値は、前記複数の紫外線発光素子の初期の合計紫外線強度に基づき決定する
請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記パルス電流のデューティ比が前記閾値を上回った場合に警告を発する
請求項3に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記複数の紫外線発光素子のそれぞれには紫外線強度閾値が定められ、
前記制御装置は、前記複数の紫外線発光素子の1つ以上が前記紫外線強度閾値を下回った場合に警告を発する
請求項1から4までのいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記複数の紫外線発光素子それぞれの前記紫外線強度閾値を記憶する記憶部を備え、
前記制御装置は、前記記憶部に記憶された前記紫外線強度閾値の少なくとも一方に基づいて警告を発し、かつ/又は前記平均駆動電流量を上げる
請求項5に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記光検出素子は、前記複数の紫外線発光素子の発光する紫外線が入射する光学部材と、前記光学部材を介して前記紫外線を検出する光センサとを有する、
請求項1から6までのいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記光学部材は、波長変換材料で形成されている、
請求項7に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記複数の紫外線発光素子は同一の円の円周上に配置される
請求項7又は8に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記光学部材は、前記円の内部であって前記複数の紫外線発光素子のそれぞれとの距離が等しい場所に配置されている
請求項9に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記複数の紫外線発光素子が発光する紫外線が照射される殺菌対象物を収容する収容部を備える
請求項1から10までのいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を照射して殺菌対象物を殺菌する紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、殺菌に十分な紫外線を水に照射する殺菌装置が開示されている。このような殺菌対象物に紫外線を照射する装置は、紫外線を発光する素子の経年劣化などによって殺菌能力が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-63410公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、殺菌能力の長寿命化を図ることができる紫外線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による紫外線照射装置は、並列に接続された複数の紫外線発光素子と、前記複数の紫外線発光素子が発光する紫外線の強度を検出する光検出素子と、前記光検出素子が検出した前記紫外線の合計強度と予め決定した目標紫外線強度とを比較した結果に基づき前記複数の紫外線発光素子を駆動する駆動電流の一定時間当たりの平均駆動電流量を制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、殺菌能力の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態による紫外線照射装置の概略構成を示す部分断面図である。
図2】本発明の第1実施形態による紫外線照射装置に備えられた複数の紫外線発光素子及び光検出素子の相対位置関係を説明する図である。
図3】本発明の第1実施形態による紫外線照射装置の回路構成を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態による紫外線照射装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態による紫外線照射装置におけるモード0の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の第1実施形態による紫外線照射装置におけるモード1の処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の第1実施形態による紫外線照射装置におけるモード2の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】本発明の第1実施形態による紫外線照射装置におけるモード3の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本発明の第2実施形態による紫外線照射装置におけるモード0の処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の第3実施形態による紫外線照射装置におけるモード0の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態による紫外線照射装置について図1から図4を用いて説明する。まず、本実施形態による紫外線照射装置の概略構成について図1から図3を用いて説明する。なお、図1では、紫外線照射装置に備えられた収容部及び流水流入出部が切断されて図示されている。本実施形態による紫外線照射装置は、殺菌装置として用いることができ、例えば透析装置の殺菌に用いられる。
【0009】
(紫外線照射装置の全体構成)
図1に示すように、本実施形態による紫外線照射装置1は、並列に接続された複数(本実施形態では3個、図1では2個図示されている)の紫外線発光素子111a,111b,111cを備えている。紫外線照射装置1は、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cが発する紫外線を照射する殺菌対象物を収容する収容部14を備えている。紫外線照射装置1は、殺菌対象物が外部から導入されたり外部に導出されたりする導入出部15を備えている。紫外線照射装置1は、収容部14に取り付けられた流入出部材16と、導入出部15に取り付けられた流入出部材17とを備えている。紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cと、紫外線発光素子111a,111b,111cが実装される金属基板112とを有する光源11を備えている。紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cから発生する熱を放熱する放熱部材18を備えている。
【0010】
図1に示すように、収容部14は、筒形状を有する外壁141と、外壁141で三方を囲まれて殺菌対象物が収容される内部空間142とを有している。外壁141は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成され、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線は、内部空間142において外壁141の内面で反射を繰り返す多重反射をする。これにより、紫外線照射装置1は、内部空間142に収容される殺菌対象物(本実施形態では、内部空間142を流通する流水)の殺菌効率を向上することができる。収容部14の一方の端部は開放され、導入出部15に挿入されている。
【0011】
収容部14の他方の端部のほぼ中央には、外壁141を貫通する取付口141aが形成されている。取付口141aには、流入出部材16が取り付けられている。流入出部材16は、殺菌対象物が流入及び流出することが可能に構成されている。具体的には、流入出部材16の内側領域には、流入出部材16の一端部及び他端部に亘って貫通孔が形成されている。流入出部材16を取付口141aに取り付けると、当該貫通孔と内部空間142とが連通され、紫外線照射装置1は、流入出部材16の外部から内部空間142に殺菌対象物を流入、流出が可能である。流入出部材16の外表面及び取付口141aの内表面の少なくとも一方には、パッキン(不図示)が設けられ、流入出部材16は、流入出部材16の外表面と取付口141aの内表面との間に隙間がない状態で取付口141aに取り付けられる。これにより、紫外線照射装置1は装置内部の殺菌対象物が漏れることを防止できる。
【0012】
図1に示すように、導入出部15は、収容部14よりも一回り大きく、かつ収容部14よりも長さの短い筒形状を有する外壁151と、外壁151の三方を囲まれ、殺菌対象物が導入・導出される導入出空間152とを有している。導入出部15の一端部には、収容部14を挿入できる大きさの開口部151aが形成されている。外壁141の外表面及び開口部151aの内表面の少なくとも一方には、パッキン(不図示)が設けられている。このため、収容部14は、外壁141の外表面と開口部151aとの間に隙間がない状態で導入出部15に挿入され、紫外線照射装置1は、開口部151aと外壁141との間から殺菌対象物の外部への漏れを防止できる。
【0013】
導入出部15の側壁の一部には、外壁151を貫通する取付口151bが形成されている。取付口151bには、流入出部材17が取り付けられている。流入出部材17は、流入出部材16と同様の構造を有する。流入出部材17を取付口151bに取り付けると、流入出部材17に形成された貫通孔と導入出空間152とが連通され、紫外線照射装置1は、流入出部材17の外部から導入出空間152に殺菌対象物を導入・導出が可能となる。流入出部材17の外表面及び取付口151bの内表面の少なくとも一方には、パッキン(不図示)が設けられ、流入出部材17は、流入出部材17の外表面と取付口151bの内表面との間に隙間がない状態で取付口151bに取り付けられ、紫外線照射装置1は、装置内部の殺菌対象物の漏れを防止できる。
【0014】
図1に示すように、放熱部材18は、内部空間142及び導入出空間152のそれぞれに一部が露出した状態で導入出部15に取り付けられている。放熱部材18は、光源11が取り付けられる光源取付部182と、光源11で発生する熱を放熱する放熱部181とを有している。放熱部材18は、例えばステンレス鋼(SUS)で形成されている。本実施形態では、殺菌対象物としての流水は内部空間142を流通するので紫外線照射装置1は、光源11を水冷によって効率的に冷却可能である。
【0015】
流入出部材16は収容部14に取り付けられ、流入出部材17が導入出部15に取り付けられると、流入出部材17の貫通孔、導入出空間152の下側領域、導入出空間152の上側領域、内部空間142及び流入出部材16の貫通孔は、連通される。本実施形態では、殺菌対象物は例えば、紫外線照射装置1の外部から流入される流水である。導入出空間152のうち、放熱部181の板状部181aの上側が導入出空間152の上側領域であり、板状部181aの下側が導入出空間152の下側領域である。導入出空間152の上側領域及び導入出空間152の下側領域は、収容部14の外壁141に形成された貫通孔141bと、板状部181aに形成された貫通孔181bとによって連通されている。このため、紫外線照射装置1は例えば、流入出部材17を介して外部から殺菌対象物として流水を導入出部15に導入し、収容部14に収容するとともに複数の紫外線発光素子111a,111b,111cを照射して殺菌する。紫外線照射装置1は、収容部14で殺菌した流水を流入出部材16から他の外部に流出することができる。また、紫外線照射装置1は、流入出部材16を介して外部から殺菌対象物とした流水を収容部14に収容するとともに複数の紫外線発光素子111a,111b,111cを照射して殺菌する。紫外線照射装置1は、収容部14で殺菌した流水を流入出部材17から他の外部に流出することができる。
【0016】
図1に示すように、紫外線照射装置1は、光源11を覆って光源取付部182に取り付けられたカバー部材10を備えている。カバー部材10は例えば石英で形成されている。これにより、カバー部材10は、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線を透過できるようになっている。カバー部材10は、半球状のドーム型を有している。これにより、紫外線照射装置1は、平板形状のカバー部材と比較して光取り出し効率の向上を図ることができる。カバー部材10を光源取付部182に取り付けた場合に、光源取付部182と重なるカバー部材10の内表面の領域及びカバー部材10と重なる光源取付部182の外表面の領域の少なくとも一方には、パッキン(不図示)が設けられている。このため、カバー部材10は、光源取付部182の外表面との間に隙間がない状態で光源取付部182に取り付けられる。これにより、紫外線照射装置1は、カバー部材10と光源取付部182との間から殺菌対象物が光源11上に進入することを防止できる。
【0017】
放熱部材18の内側領域には、光源取付部182及び放熱部181を貫通する貫通孔(図1では不図示、図2(b)参照)が形成されている。貫通孔183には、紫外線発光素子111a,111b,111c及び光源管理回路13(図1では不図示、図2(b)及び図3参照)に電力を供給する電源ケーブル(不図示)が挿通される。放熱部材18は、導入出部15の外壁151の底部に貫通孔183を露出させた状態で導入出部15に取り付けられている。これにより、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111c及び光源管理回路13に電力を供給する電源ケーブルを外部に引き出して当該部に設けられた電源19(図1では不図示、図3参照)に接続することができるようになっている。
【0018】
(紫外線発光素子及び光検出素子の相対位置関係)
図2は、紫外線照射装置1に備えられた紫外線発光素子111a,111b,111c及び光検出素子12の相対位置関係を説明する図である。図2(a)は、放熱部材18の光源取付部182を収容部14の取付口141a(図2では不図示、図1参照)側から見た状態を模式的に示す図である。図2(b)は、図2(a)中に示すA-A線で光源取付部182などを切断した部分切断面を模式的に示す図である。図2(b)では、理解を容易人するため、光源取付部182、金属基板112及び遮光板101が切断された状態で図示されている。
【0019】
図2に示すように、紫外線照射装置1は、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の強度を検出する光検出素子12(図2(b)参照)を備えている。図2(b)に示すように、光検出素子12は、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cの発光する紫外線が入射する光学部材121と、光学部材121を介して紫外線を検出する光センサ122とを有している。
【0020】
光源取付部182における貫通孔183は、光源11側の方が放熱部181側よりも大きく形成されている。これにより、光源取付部182における貫通孔183は、段差形状を有している。光学部材121は、一部分が光源取付部182から突出した状態で貫通孔183の段差部に配置されている。
【0021】
紫外線照射装置1は、放熱部181における貫通孔183に配置されて光源取付部182に固定された回路基板133を備えている。光センサ122は、回路基板133の一方の面側に実装され、光源取付部182における貫通孔183内に配置されている。光センサ122は、光学部材121と対向して配置されている。
【0022】
紫外線照射装置1は、回路基板133の他方の面側に実装されたマイクロプロセッサ(制御装置の一例)131と、マイクロプロセッサ131に制御されて紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動する駆動回路132a,132b,132cとを備えている。詳細は後述するが、マイクロプロセッサ131及び駆動回路132a,132b,132cによって光源管理回路13が構成されている。
【0023】
図2(a)に示すように、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cは同一の仮想円(円の一例)VCの円周上に配置されている。紫外線発光素子111a,111b,111cは、仮想円VC上において等間隔(例えば120°間隔)に配置されている。光学部材121は、仮想円VCの内部であって複数の紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれとの距離が等しい場所に配置されている。光学部材121が紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれと等距離に配置されることにより、光検出素子12での紫外線発光素子111a,111b,111cの配置に伴う検出感度のばらつきを抑制することができる。
【0024】
図2に示すように、紫外線照射装置1は、光学部材121の上部を覆って配置された遮光板101を備えている。遮光板101は、光源取付部182から突出する光学部材121の上部を覆って配置されている。遮光板101は、側壁に形成された受光窓101aを有している(図2(b)参照)。受光窓101aは、紫外線発光素子111a,111b,111cと対向する部分に形成され、当該側壁を貫通して形成されている。これにより、光学部材121は、受光窓101aを介して紫外線発光素子111a,111b,111cが発する紫外線を受光できる。また、紫外線発光素子111a,111b,111cと受光窓101aとは、高さの差が少ないと、外光の影響を抑制し、且つ発光の妨げないのでより好ましい。
【0025】
遮光板101は、収容部14の外壁141に形成された取付口141a(図1参照)側から見た場合に、光学部材121の全体を覆い、かつ紫外線発光素子111a,111b,111cを覆わずに露出させた状態で配置されるため、光学部材121は、収容部14の外壁141の内表面で反射した紫外線が光学部材121に入射するのを抑制できるので、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれの紫外線強度の検出精度向上が可能である。
【0026】
光学部材121は、例えば波長変換材料で形成されている。光学部材121は、例えばルミラスG-9等の蛍光ガラスで構成される。光学部材121は、光センサ122の検出感度が相対的に高い波長範囲で最大ピークとなる蛍光スペクトルを有する。光学部材121は、例えば波長540nmで最大ピークとなる蛍光スペクトルを有し、緑色の蛍光を発する。また、光センサ122は、例えば波長560nmで最大感度を有し、半値幅が約120nmの検出特性を有する。これにより、光学部材121に照射される紫外線の光量が少なく、光学部材121の蛍光の強度が低くても、光センサ122は光学部材121が発する光を受光できる。また光センサ122は、光学部材121を介して紫外線を検出するので紫外線に直接曝されず、紫外線による劣化を抑制できる。
【0027】
紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれは、ランバート配光に類似する配光の紫外線を発光する。紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれは例えば、半値角が約50°の指向性の配光パターンを有する紫外線を発光する。光学部材121は、紫外線発光素子111a,111b,111cがそれぞれ発光する紫外線の配光パターンの領域内に配置される。これにより、図2(b)に示すように、紫外線発光素子111a,111b,111c(図2(b)では紫外線発光素子111bは不図示)のそれぞれが発光する紫外線の一部UV2が光学部材121に入射する。
【0028】
遮光板101は、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光するそれぞれの紫外線の光軸上であって紫外線の強度が最も強い紫外線UV1を横切って配置されない。遮光板101は、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光するそれぞれの紫外線の半値角における相対放射強度よりも相対放射強度の低い紫外線の一部UV2を横切って配置される。これにより、紫外線照射装置1は、殺菌対象物に照射される紫外線の光量の低減を抑制しつつ、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光するそれぞれの紫外線を光学部材121に入射できる。これにより、紫外線照射装置1は、殺菌対象物の殺菌効率の低下を防止できる。
【0029】
(紫外線照射装置に備えられた光源管理回路の構成)
本実施形態による紫外線照射装置1の回路構成について図3を用いて説明する。
【0030】
図3に示すように、紫外線照射装置1は、並列に接続された複数の紫外線発光素子111a,111b,111cと、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の強度を検出する光検出素子12とを備えている。また、紫外線照射装置1は、光検出素子12が検出した紫外線の合計強度と予め決定した目標紫外線強度とを比較した結果に基づき複数の紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動する駆動電流の一定時間当たりの平均駆動電流量を制御するマイクロプロセッサ(制御装置の一例)131を備えている。紫外線照射装置1は、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cそれぞれの紫外線強度閾値(詳細は後述)の少なくとも一方を記憶する記憶部131aを備えている。本実施形態による紫外線照射装置1は、初期の合計紫外線強度(以下、「初期合計紫外線強度」)を記憶部131aに記憶するようになっている。本実施形態では、記憶部131aは、マイクロプロセッサ131の所定領域に設けられているが、マイクロプロセッサ131とは別に設けられていてもよい。記憶部131aは、初期合計紫外線強度又は紫外線強度閾値の他に種々の情報を記憶するように構成されている。
【0031】
さらに、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111aを駆動する駆動回路132aと、紫外線発光素子111bを駆動する駆動回路132bと、紫外線発光素子111cを駆動する駆動回路132cとを備えている。駆動回路132a,132b,132cはそれぞれ、マイクロプロセッサ131から入力される制御信号に基づいて、紫外線発光素子111a,111b,111cを例えばパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)で駆動するようになっている。
【0032】
紫外線発光素子111aは、例えば紫外線を発光する発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)で構成されている。紫外線発光素子111aのアノードは例えば電源19の電流出力端子に接続され、紫外線発光素子111aのカソードは例えば駆動回路132aの電流入力端子に接続されている。紫外線発光素子111bは、例えば紫外線を発するLEDで構成されている。紫外線発光素子111bのアノードは例えば電源19の電流出力端子に接続され、紫外線発光素子111bのカソードは例えば駆動回路132bの電流入力端子に接続されている。紫外線発光素子111cは、例えば紫外線を発光するLEDで構成されている。紫外線発光素子111cのアノードは例えば電源19の電流出力端子に接続され、紫外線発光素子111cのカソードは例えば駆動回路132cの電流入力端子に接続されている。紫外線発光素子111aのアノード、紫外線発光素子111bのアノード及び紫外線発光素子111cのアノードは、同一の電流出力端子に接続されている。
【0033】
駆動回路132aの電流出力端子は、基準電位端子(グランド端子)に接続されている。駆動回路132aは、電流入力端子と電流出力端子との間に直列に接続されたスイッチ132a-1及び定電流回路132a-2を有している。スイッチ132a-1の一端子は、駆動回路132aの電流入力端子を介して紫外線発光素子111aのカソードに接続されている。スイッチ132a-1の他端子は、定電流回路132a-2の正極側端子に接続されている。定電流回路132a-2の負極側端子は基準電位端子に接続されている。
【0034】
駆動回路132bの電流出力端子は、基準電位端子(グランド端子)に接続されている。駆動回路132bは、電流入力端子と電流出力端子との間に直列に接続されたスイッチ132b-1及び定電流回路132b-2を有している。スイッチ132b-1の一端子は、駆動回路132bの電流入力端子を介して紫外線発光素子111bのカソードに接続されている。スイッチ132b-1の他端子は、定電流回路132b-2の正極側端子に接続されている。定電流回路132b-2の負極側端子は基準電位端子に接続されている。
【0035】
駆動回路132cの電流出力端子は、基準電位端子(グランド端子)に接続されている。駆動回路132cは、電流入力端子と電流出力端子との間に直列に接続されたスイッチ132c-1及び定電流回路132c-2を有している。スイッチ132c-1の一端子は、駆動回路132cの電流入力端子を介して紫外線発光素子111cのカソードに接続されている。スイッチ132c-1の他端子は、定電流回路132c-2の正極側端子に接続されている。定電流回路132c-2の負極側端子は基準電位端子に接続されている。
【0036】
紫外線発光素子111a及び駆動回路132aは、電源19と基準電位端子との間で直列に接続されている。紫外線発光素子111b及び駆動回路132bは、電源19と基準電位端子との間で直列に接続されている。紫外線発光素子111c及び駆動回路132cは、電源19と基準電位端子との間で直列に接続されている。また、紫外線発光素子111a及び駆動回路132aと、紫外線発光素子111b及び駆動回路132bと、紫外線発光素子111c及び駆動回路132cとは、電源19と基準電位端子との間で並列に接続されている。したがって、紫外線発光素子111a、紫外線発光素子111b及び紫外線発光素子111cは、電源19の電流出力端子と基準電位端子との間で並列に接続されている。
【0037】
駆動回路132aは、マイクロプロセッサ131が出力する制御信号が入力される制御信号入力端子を有している。スイッチ132a-1は、駆動回路132aの制御信号入力端子から入力される制御信号に基づいて、オンオフ制御される。スイッチ132a-1がオン状態(導通状態)の場合、紫外線発光素子111aには、定電流回路132a-2で生成される定電流が流れる。一方、スイッチ132a-1がオフ状態(非導通状態)の場合、紫外線発光素子111aには電流が流れない。マイクロプロセッサ131は、スイッチ132a-1をオンオフ制御して駆動回路132aをパルス駆動する。このように、マイクロプロセッサ131は、駆動回路132aをパルス駆動することによって紫外線発光素子111aもパルス駆動し、紫外線発光素子111aの紫外線強度を制御するように構成されている。
【0038】
駆動回路132bは、マイクロプロセッサ131が出力する制御信号が入力される制御信号入力端子を有している。スイッチ132b-1は、駆動回路132bの制御信号入力端子から入力される制御信号に基づいて、オンオフ制御される。スイッチ132b-1がオン状態(導通状態)の場合、紫外線発光素子111bには、定電流回路132b-2で生成される定電流が流れる。一方、スイッチ132b-1がオフ状態(非導通状態)の場合、紫外線発光素子111bには電流が流れない。マイクロプロセッサ131は、スイッチ132b-1をオンオフ制御して駆動回路132bをパルス駆動する。このように、マイクロプロセッサ131は、駆動回路132bをパルス駆動することによって紫外線発光素子111aもパルス駆動し、紫外線発光素子111bの紫外線強度を制御するように構成されている。
【0039】
駆動回路132cは、マイクロプロセッサ131が出力する制御信号が入力される制御信号入力端子を有している。スイッチ132c-1は、駆動回路132cの制御信号入力端子から入力される制御信号に基づいて、オンオフ制御される。スイッチ132c-1がオン状態(導通状態)の場合、紫外線発光素子111cには、定電流回路132c-2で生成される定電流が流れる。一方、スイッチ132c-1がオフ状態(非導通状態)の場合、紫外線発光素子111cには電流が流れない。マイクロプロセッサ131は、スイッチ132c-1をオンオフ制御して駆動回路132cをパルス駆動する。このように、マイクロプロセッサ131は、駆動回路132cをパルス駆動することによって紫外線発光素子111cもパルス駆動し、紫外線発光素子111cの紫外線強度を制御するように構成されている。
【0040】
マイクロプロセッサ131は、駆動回路132a、駆動回路132b及び駆動回路132cのそれぞれに異なる制御信号を出力して、駆動回路132a、駆動回路132b及び駆動回路132cを個別に制御するように構成されている。これにより、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cも個別に制御できるようになっている。
【0041】
このように、本実施形態では、紫外線発光素子111a,111b,111cは、駆動回路132a,132b,132cによってパルス駆動される。このため、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれを駆動する駆動電流はパルス電流となる。マイクロプロセッサ131は、当該パルス電流のデューティ比を変化させて平均駆動電流量を制御する。平均駆動電流量は、紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動するためのそれぞれの駆動電流の平均の電流量である。ここで、デューティ比をIdtとし、駆動電流が流れる期間をTonとし、駆動電流が流れない期間をToffとすると、デューティ比は以下の式(1)で表すことができる。式(1)の分子は、パルス電流の一周期に相当する。
Idt=Ton/(Ton+Toff) ・・・(1)
【0042】
紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動するための駆動電流は、連続的な電流でもよいが、本実施形態ではパルス電流である。紫外線発光素子111a,111b,111cがパルス電流で駆動される場合、デューティ比を小さくすることによって低電流と等価の駆動ができる。パルス電流の場合、電流値一定でデューティ比を変更することによって駆動電流の電流量を変更できる。このため、電流値を変更する必要がある連続的な駆動電流よりもパルス電流の方が紫外線発光素子111a,111b,111cを制御しやすく、かつ回路構成の簡略化を図ることができる。
【0043】
光検出素子12に設けられた光センサ122は、例えばフォトダイオード(Photodiode:PD)で構成されている。光センサ122のカソードは例えば電源19に接続され、光センサ122のアノードは例えばマイクロプロセッサ131に接続されている。光センサ122は、光学部材121から発せられる蛍光を電流に変換してマイクロプロセッサ131に出力するようになっている。マイクロプロセッサ131は、光センサ122から入力される電流の電流量と目標紫外線強度に対応する目標電流量との比較結果に基づいて、紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動する駆動電流の一定時間当たりの平均駆動電流量を制御するようになっている。紫外線照射装置1は、光センサ122から入力される電流を電圧に変換する電流電圧変換回路(不図示)を有している。マイクロプロセッサ131は、当該電流電圧変換回路で変換された電圧と目標紫外線強度に対応する目標電圧とを比較するように構成されている。すなわち、マイクロプロセッサ131は、電圧によって光センサ122から入力される電流を検出するように構成されている。このように、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の合計強度と、予め決定した目標紫外線強度との比較を電圧によって実行するように構成されている。
【0044】
マイクロプロセッサ131は、光検出素子12から出力される電流の電流量が目標電流量よりも小さくなると、パルス電流のデューティ比が大きくなるように、駆動回路132a,132b,132cを制御する。マイクロプロセッサ131は例えば、電流が一定時間当たりに紫外線発光素子111a,111b,111cに流れる期間が長くなるように駆動回路132a,132b,132cを制御する。
【0045】
また、マイクロプロセッサ131は、光検出素子12から出力される電流の電流量が目標電流量よりも大きくなると、パルス電流のデューティ比が小さくなるように、駆動回路132a,132b,132cを制御する。マイクロプロセッサ131は例えば、電流が一定時間当たりに紫外線発光素子111a,111b,111cに流れる期間が短くなるように駆動回路132a,132b,132cを制御する。
【0046】
(紫外線照射装置の動作)
次に、本実施形態による紫外線照射装置1の動作について図5から図8を用いて説明する。図4は、本実施形態による紫外線照射装置1の動作の一例を示すフローチャートである。紫外線照射装置1では、モード(詳細は後述)の切り替えは、電源19をオフ状態とし、不図示のモード選択用スイッチ(例えばディップスイッチ)によってモードを選択し、その後に電源19を再び投入することによって動作するように構成されている。
【0047】
(ステップS11)
図4に示すように、電源が投入されると、まずステップS11において、紫外線照射装置1に備えられたマイクロプロセッサ131は、設定されているモードがモード0であるか否かを判定する。マイクロプロセッサ131は、モード選択用スイッチによってモード0が選択されていると判定した場合にはステップS101に移行する。一方、マイクロプロセッサ131は、モード選択用スイッチによってモード0が選択されていないと判定した場合にはステップS13の処理に移行する。
【0048】
(ステップS13)
ステップS13において、マイクロプロセッサ131は、設定されているモードがモード1であるか否かを判定する。マイクロプロセッサ131は、モード選択用スイッチによってモード1が選択されていると判定した場合にはステップS103に移行する。一方、マイクロプロセッサ131は、モード選択用スイッチによってモード1が選択されていないと判定した場合にはステップS15の処理に移行する。
【0049】
(ステップS15)
ステップS15において、マイクロプロセッサ131は、選択されているモードがモード2であるか否かを判定する。マイクロプロセッサ131は、モード選択用スイッチによってモード2が選択されていると判定した場合にはステップS105に移行する。一方、マイクロプロセッサ131は、モード選択用スイッチによってモード2が選択されていないと判定した場合にはステップS17の処理に移行する。
【0050】
(ステップS17)
ステップS17において、マイクロプロセッサ131は、選択されているモードがモード3であるか否かを判定する。マイクロプロセッサ131は、モード選択用スイッチによってモード3が選択されていると判定した場合にはステップS107に移行する。一方、マイクロプロセッサ131は、モード選択用スイッチによってモード3が選択されていないと判定した場合には停止する。これにより、紫外線照射装置1は停止状態又は待機状態となる。
【0051】
(ステップS101)
ステップS101において、マイクロプロセッサ131は、モード0の処理(詳細は後述)を実行し、ステップS13の処理に移行する。モード0は、紫外線照射装置1が殺菌対象物を殺菌するモードである。マイクロプロセッサ131は、モード0の処理が終了するとステップS11に処理を戻す。紫外線照射装置1は、モード0の処理を開始すると、その後に電源供給の停止又はモードの選択が変更されるまで、モード0の処理を繰り返し実行する。
【0052】
(ステップS103)
ステップS103では、マイクロプロセッサ131は、モード1の処理(詳細は後述)を実行して停止する。これにより、紫外線照射装置1は停止状態又は待機状態となる。モード1は、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれの初期(劣化のない状態)の紫外線強度をマイクロプロセッサ131に学習(記憶部131aに記憶)させるモードである。ステップS103では、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれの紫外線強度が所定の時間間隔でm回取得され、取得された紫外線強度の合計値が初期の紫外線強度(初期紫外線強度)として記憶部131aに記憶される。初期紫外線強度は、紫外線発光素子111a,111b,111cごとに記憶部131aに記憶される。
【0053】
(ステップS105)
ステップS105では、マイクロプロセッサ131は、モード2の処理(詳細は後述)を実行して停止する。これにより、紫外線照射装置1は停止状態又は待機状態となる。モード2は、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれの初期の紫外線の合計の強度(合計紫外線強度)をマイクロプロセッサ131に学習(記憶部131aに記憶)させるモードである。
【0054】
(ステップS107)
ステップS107では、マイクロプロセッサ131は、モード3の処理(詳細は後述)を実行して停止する。これにより、紫外線照射装置1は停止状態又は待機状態となる。モード3は、ステップS103で学習された初期紫外線強度の値及びステップS105で学習された初期合計紫外線強度の値の少なくとも一方を、マイクロプロセッサ131に接続された外部表示装置(不図示)に表示するモードである。
【0055】
次に、モード0の処理について図5を用いて説明する。図5は、紫外線照射装置1でのモード0の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0056】
(ステップS101-1)
モード0の処理が開始されると、マイクロプロセッサ131は、まず、紫外線照射装置1に電源19から電源が投入された直後か否かを判定する。マイクロプロセッサ131は、モード0の処理を未だに実行しておらず電源投入直後であると判定した場合には、ステップS101-3の処理に移行する。一方、マイクロプロセッサ131は、少なくとも1回のモード0の処理を実行しており電源投入直後でないと判定した場合には、後述するステップS101-3からステップS101-11の処理を実行せずに、ステップS101-13の処理に移行する。
【0057】
(ステップS101-3)
ステップS101-3において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a(図5では、「LEDa」と表記されている)の紫外線強度を取得して、ステップS101-5に移行する。具体的には、ステップS101-3において、マイクロプロセッサ131は、駆動回路132aのみに制御信号を入力して紫外線発光素子111aのみを初期の動作状態とし、紫外線発光素子111aが発光する紫外線のみを光検出素子12で検出する。マイクロプロセッサ131は、光検出素子12から入力される電流を変換した電圧の電圧値によって紫外線発光素子111aの紫外線強度を取得する。マイクロプロセッサ131は、取得した紫外線強度と、モード1の処理(ステップS103)において学習した初期紫外線強度とを比較する。マイクロプロセッサ131は、取得した紫外線強度の方が初期紫外線強度を所定量だけ低くした値よりも低い、すなわち「取得した紫外線強度<初期紫外線強度×劣化率」の関係を満たす場合に、紫外線発光素子111aが劣化していること示す劣化フラグを立てる、すなわち劣化フラグをオン状態に設定する。劣化率は、初期紫外線強度を100%とした場合に殺菌対象物を殺菌するために許容できる紫外線強度の低下量に基づいて設定される。本実施形態では、劣化率は例えば65%に設定されている。ここで、「初期紫外線強度×劣化率」が紫外線強度閾値に相当する。
【0058】
マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111aの紫外線強度を所定の時間間隔でn回(例えば20回)取得して、取得した紫外線強度の合計値を算出する。紫外線発光素子111aの紫外線強度の取得回数nは、モード1の処理における紫外線発光素子111aの初期紫外線強度の取得回数mと、紫外線発光素子111aの紫外線強度の劣化率とに基づいて決定される。取得回数nは、ステップS101-3の処理において取得される紫外線発光素子111aの紫外線強度が初期紫外線強度に対して所定の劣化率で低下していると仮定した場合に、取得した紫外線発光素子111aの紫外線強度の合計値が、モード1の処理において記憶部131aに記憶された初期紫外線強度と同一となる回数に設定される。
【0059】
紫外線照射装置1では、劣化率は例えば65%に設定されている。紫外線照射装置1では、初期の紫外線強度を100%とした場合、紫外線発光素子111aの紫外線強度が65%以下となった場合を「警告」(詳細は後述)の閾値に設定されている。モード1において紫外線発光素子111aの初期紫外線強度を取得するために、紫外線発光素子111aの紫外線強度が13回(m=13)取得されたとする。この場合、初期紫外線強度は1300(=100×13)となる。ステップS101-3における紫外線発光素子111aの紫外線強度が初期の紫外線強度(100%)に対して65%の劣化率65%で低下していると仮定した場合、紫外線発光素子111aの紫外線強度を20回取得することによって、初期紫外線強度の1300と同一の紫外線強度(100×0.65×20=1300)を取得することができる。
【0060】
したがって、マイクロプロセッサ131は、ステップS101-3の処理において取得される紫外線発光素子111aの紫外線強度の合計値が、記憶部131aに記憶された初期紫外線強度以上の場合には、劣化フラグをオフ状態に設定する。一方、マイクロプロセッサ131は、ステップS101-3の処理において取得される紫外線発光素子111aの紫外線強度の合計値が、記憶部131aに記憶された初期紫外線強度よりも小さい場合には、劣化フラグをオン状態に設定する。
【0061】
マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111aの光強度の取得及び初期紫外線強度との比較処理が完了すると、駆動回路132aを制御して紫外線発光素子111aの動作を停止する。
【0062】
(ステップS101-5)
ステップS101-5において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111b(図5では、「LEDb」と表記されている)の紫外線強度を取得して、ステップS101-7に移行する。具体的な処理は、駆動回路132bのみが制御されて紫外線発光素子111bのみが動作させられる点を除いて、ステップS101-3と同様であるため、説明は省略する。ステップS101-5において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111bの光強度の取得及び初期紫外線強度との比較処理が完了すると、駆動回路132bを制御して紫外線発光素子111bの動作を停止する。
【0063】
(ステップS101-7)
ステップS101-7において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111c(図5では、「LEDc」と表記されている)の紫外線強度を取得して、ステップS101-9に移行する。具体的な処理は、駆動回路132cのみが制御されて紫外線発光素子111cのみが動作させられる点を除いて、ステップS101-3と同様であるため、説明は省略する。ステップS101-7において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111cの光強度の取得及び初期紫外線強度との比較処理が完了すると、駆動回路132cを制御して紫外線発光素子111cの動作を停止する。
【0064】
(ステップS101-9)
ステップS101-9において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cの少なくとも1つの紫外線強度が初期紫外線強度よりも小さいか否かを判定する。上述のとおり、劣化フラグの状態は、紫外線発光素子111a,111b,111cの紫外線強度と初期紫外線強度との関係を反映している。このため、マイクロプロセッサ131は、例えば劣化フラグの状態に基づいて、紫外線発光素子111a,111b,111cの少なくとも1つの紫外線強度が初期紫外線強度よりも小さいか否かを判定する。すなわち、マイクロプロセッサ131は、ステップS101-3、ステップS101-5及びステップS101-7の処理のいずれかにおいて、オン状態に設定された劣化フラグが存在するか否かを判定する。マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cの少なくとも1つの紫外線強度が初期紫外線強度よりも小さいと判定した場合、ステップS101-11の処理に移行する。一方、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cのいずれの紫外線強度とも初期紫外線強度以上であると判定した場合、ステップS101-13の処理に移行する。
【0065】
複数の紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれには紫外線強度閾値が定められている。上述のとおり、本実施形態では、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれには初期の紫外線強度が定められている。初期の紫外線強度は、モード1の処理(ステップS103)において取得される紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれの紫外線強度である。つまり、紫外線発光素子111a,111b,111cが劣化していない場合の紫外線強度である。ステップS101-9の処理において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111aを対象とする劣化フラグがオン状態か否かを判定する。また、ステップS101-9の処理において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111bを対象とする劣化フラグがオン状態か否かを判定する。さらに、ステップS101-9の処理において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111cを対象とする劣化フラグがオン状態か否かを判定する。
【0066】
(ステップS101-11)
ステップS101-11において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cを対象とする劣化フラグの少なくとも1つがオン状態に設定されている場合には警告を発し、ステップS101-13の処理に移行する。本実施形態では、マイクロプロセッサ131は、紫外線照射装置1に設けられた警告用の発光素子(不図示)を赤色に発光させて警告を発する。本実施形態では、警告用の発光素子は例えばLEDで構成されている。紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cの少なくとも1つに紫外線強度が低い素子が含まれている場合に警告を発することによって、紫外線発光素子111a,111b,111cのいずれかに不具合が発生している、又は不具合が発生する可能性のあることを紫外線照射装置1の使用者に報知できる。
【0067】
このように、マイクロプロセッサ131は、ステップS101-3からステップS101-11の流れにおいて、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cの1つ以上の紫外線強度が紫外線強度閾値(初期紫外線強度に劣化率を乗算した値)を下回った場合に警告を発する。
【0068】
(ステップS101-13)
ステップS101-13において、マイクロプロセッサ131は、イネーブル信号(不図示)がオン状態(例えば電圧レベルが高レベル状態)であるか否かを判定する。イネーブル信号は、紫外線照射装置1が殺菌動作状態であるか否かを規定するための信号であり、マイクロプロセッサ131に入力される。マイクロプロセッサ131は、イネーブル信号がオン状態であると判定するまで、ステップS101-13の処理を繰り返し実行する。すなわち、マイクロプロセッサ131は、イネーブル信号がオフ状態(例えば電圧レベルが低レベルの状態)を維持している間は、ステップS101-13の処理を繰り返し実行する。一方、マイクロプロセッサ131は、イネーブル信号がオン状態(例えば電圧レベルが高レベル状態)であって殺菌動作状態にあると判定した場合には、ステップS101-15の処理に移行する。
【0069】
(ステップS101-15)
ステップS101-15において、マイクロプロセッサ131は、殺菌動作を開始し、ステップS101-17の処理に移行する。具体的には、マイクロプロセッサ131は、ステップS101-3からステップS101-7における条件と同様の条件で駆動回路132a,132b,132cを制御して、紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動する。これにより、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線が殺菌対象物に照射されて殺菌動作が開始される。
【0070】
(ステップS101-17)
ステップS101-17において、マイクロプロセッサ131は、パルス制御処理を実行し、ステップS101-19の処理に移行する。具体的には、マイクロプロセッサ131は、パルス制御処理として、光検出素子12から入力される電流に基づいて、紫外線発光素子111a,111b,111cの合計の紫外線強度を取得する。マイクロプロセッサ131は、当該合計の紫外線強度を所定の時間間隔でn回(例えば20回)取得して、取得した紫外線強度の合計値を算出する。マイクロプロセッサ131は、光検出素子12から入力される電流を変換した電圧の電圧値の合計値を算出する。また、マイクロプロセッサ131は、算出した合計値と、モード2において記憶部131aに記憶された初期合計紫外線強度とを比較する。詳細は後述するが、モード2において記憶部131aには、初期合計紫外線強度が電流値又は電圧値として記憶されている。本実施形態では、マイクロプロセッサ131は、算出した当該合計値と、初期合計紫外線強度に対応する電圧値とを比較する。
【0071】
さらに、マイクロプロセッサ131は、算出した当該合計値が当該初期合計紫外線強度に対応する電圧値よりも小さい場合には、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれに流すパルス電流のデューティ比が大きくなるように駆動回路132a,132b,132cを制御する。これにより、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれに流れる駆動電流が大きくなるため、当該駆動電流の平均である平均駆動電流が上昇する。その結果、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の強度が高くなるので、紫外線照射装置1の殺菌能力が向上する。
【0072】
このように、マイクロプロセッサ131は、ステップS101-3からステップS101-11の流れにおいて複数の紫外線発光素子111a,111b,111cの紫外線強度の1つ以上が紫外線強度閾値を下回った場合に警告を発する。さらに、マイクロプロセッサ131は、ステップS101-13からステップS101-17の流れにおいて複数の紫外線発光素子111a,111b,111cの紫外線強度の合計が初期合計紫外線強度よりも小さくなった場合に平均駆動電流を上げる。
【0073】
一方、マイクロプロセッサ131は、算出した当該合計値よりも紫外線強度に対応する電圧値が大きい場合には、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれに流すパルス電流のデューティ比が小さくなるように駆動回路132a,132b,132cを制御する。その結果、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の強度が低くなるものの、紫外線照射装置1は、必要十分な殺菌能力を維持できる。さらに、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の強度を低くすることにより、紫外線発光素子111a,111b,111cの長寿命化を図ることができる。
【0074】
(ステップS101-19)
ステップS101-19において、マイクロプロセッサ131は、イネーブル信号(不図示)がオフ状態(例えば電圧レベルが低レベル状態)であるか否かを判定する。マイクロプロセッサ131は、イネーブル信号がオフ状態であって殺菌動作状態でないと判定した場合には、ステップS101-21の処理に移行する。一方、マイクロプロセッサ131は、イネーブル信号がオン状態(例えば電圧レベルが高レベル状態)であると判定した場合には、ステップS101-17の処理に戻る。
【0075】
(ステップS101-21)
ステップS101-21において、マイクロプロセッサ131は、殺菌動作を終了し、モード0の処理を終了し、モード選択処理(図4参照)に戻る。具体的には、マイクロプロセッサ131は、駆動回路132a,132b,132cを制御して、紫外線発光素子111a,111b,111cの駆動を停止する。これにより、紫外線発光素子111a,111b,111cが紫外線の発光を停止するので、紫外線照射装置1は殺菌動作を停止する。
【0076】
次に、モード1の処理について図6を用いて説明する。図6は、紫外線照射装置1でのモード1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0077】
(ステップS103-1)
図6に示すように、モード1の処理が開始されると、マイクロプロセッサ131は、まず、紫外線発光素子111a(図6では「LEDa」と表記されている)の紫外線強度の記憶処理を実行し、ステップS103-3の処理に移行する。具体的には、ステップS103-1において、マイクロプロセッサ131は、駆動回路132aのみに制御信号を入力して紫外線発光素子111aのみを動作状態とし、紫外線発光素子111aが発光する紫外線のみを光検出素子12で検出する。その際、駆動回路132aが処理できる駆動電流であり、かつ紫外線発光素子111a,111b,111c全体で所望の殺菌力が得られる紫外線強度とするために、例えば40%のデューティ比で紫外線発光素子111aがパルス駆動される。マイクロプロセッサ131は、光検出素子12から入力される電流を変換した電圧に基づいて紫外線発光素子111aの紫外線強度を取得する。マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111aの紫外線強度を所定の時間間隔でm回(例えば13回)取得する。マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111aの紫外線強度を取得するごとに加算し、紫外線発光素子111aの紫外線強度の合計値を初期紫外線強度として記憶部131aに記憶する。マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111aの紫外線強度を電圧値で加算し、当該電圧値の合計を記憶部131aに記憶する。マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111aの光強度の合計値の記憶部131aへの記憶が完了すると、駆動回路132aを制御して紫外線発光素子111aの動作を停止する。
【0078】
(ステップS103-3)
ステップS103-3において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111b(図6では、「LEDb」と表記されている)の紫外線強度を取得して、ステップS103-5に移行する。具体的な処理は、駆動回路132bのみが制御されて紫外線発光素子111bのみが動作させられる点を除いて、ステップS103-1と同様であるため、説明は省略する。ステップS103-3において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111bの光強度の取得が完了すると、駆動回路132bを制御して紫外線発光素子111bの動作を停止する。
【0079】
(ステップS103-5)
ステップS103-5において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111c(図6では、「LEDc」と表記されている)の紫外線強度を取得して、モード1の処理を終了し、モード選択処理(図4)に戻る。具体的な処理は、駆動回路132cのみが制御されて紫外線発光素子111cのみが動作させられる点を除いて、ステップS103-1と同様であるため、説明は省略する。ステップS103-5において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111cの光強度の取得が完了すると、駆動回路132cを制御して紫外線発光素子111cの動作を停止する。
【0080】
上述の劣化率は、種々の値に設定することも可能である。しかしながら、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれの初期紫外線強度の取得回数が多くなると、モード1の処理に時間がかかるという問題が生じる。また、大容量の記憶部131aが必要になる。このため、5%の精度であれば判定に重大な問題がないことを考慮し、本実施形態による紫外線照射装置1では、モード1の処理のステップS103-1からステップS103-5において紫外線発光素子111a,111b,111cの紫外線強度が13回取得され、モード0において紫外線発光素子111a,111b,111cの紫外線強度が20回取得されるアルゴリズムになっている。また、複数回取得された紫外線強度の平均値を用いることも可能であるが、平均値の計算には除算処理が必要になるので、プログラムエリアが必要になる。マイクロプロセッサ131の処理負荷を減らすためにも、本実施形態にように加算結果を用いて判定する方が好ましい。
【0081】
次に、モード2の処理について図7を用いて説明する。図7は、紫外線照射装置1でのモード2の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0082】
(ステップS105-1)
図7に示すように、モード2の処理が開始されると、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a(図7では「LEDa」と表記されている)、紫外線発光素子111b及び紫外線発光素子111c(図7では「LEDc」と表記されている)のそれぞれの紫外線強度を合計した合計紫外線強度の記憶処理を実行し、モード2の処理を終了する。これにより、紫外線照射装置1は停止状態又は待機状態となる。
【0083】
具体的には、ステップS105-1において、マイクロプロセッサ131は、駆動回路132a,132b,132cのそれぞれに制御信号を入力して紫外線発光素子111a,111b,111cを動作状態とし、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線を光検出素子12で検出する。マイクロプロセッサ131は、光検出素子12から入力される電流に基づいて紫外線発光素子111a,111b,111cの合計紫外線強度を取得する。マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cの合計紫外線強度を所定の時間間隔でk回(例えば12回)取得する。マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cの合計紫外線強度を取得するごとに加算し、紫外線発光素子111a,111b,111cの合計紫外線強度の合計値を記憶部131aに記憶する。マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cの合計紫外線強度を電流値又は電圧値で加算し、当該電流値又は当該電圧値の合計を初期合計紫外線強度として記憶部131aに記憶する。マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cの初期合計紫外線強度の記憶部131aへの記憶が完了すると、駆動回路132a,132b,132cを制御して紫外線発光素子111a,111b,111cの動作を停止する。
【0084】
次に、モード3の処理について図8を用いて説明する。図8は、紫外線照射装置1でのモード3の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0085】
(ステップS107-1)
図8に示すように、モード3の処理が開始されると、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a(図8では「LEDa」と表記されている)、紫外線発光素子111b及び紫外線発光素子111c(図8では「LEDc」と表記されている)のそれぞれの初期紫外線強度と、紫外線発光素子111a,111b,111cの初期合計紫外線強度との少なくとも一方を必要に応じて記憶部131aから読み出して外部表示装置(不図示)に表示する表示処理を実行し、モード3の処理を終了する。これにより、紫外線照射装置1は停止状態又は待機状態となる。具体的には、例えば、紫外線照射装置1の使用者が紫外線発光素子111a,111b,111cの少なくとも1つの初期紫外線強度の外部表示装置への表示を設定した場合、マイクロプロセッサ131は、表示対象の初期紫外線強度を記憶部131aから読み出して当該外部表示装置に表示する。また、例えば、紫外線照射装置1の使用者が、初期合計紫外線強度の外部表示装置への表示を設定した場合、マイクロプロセッサ131は、初期合計紫外線強度を記憶部131aから読み出して外部表示装置に表示する。紫外線照射装置1は、紫外線照射装置1の使用者が出荷調整などのために初期紫外線強度や初期合計紫外線強度の確認を必要とした場合に、マイクロプロセッサ131に接続された外部表示装置にこれらの値を表示できるようになっている。外部表示装置は、マイクロプロセッサ131に着脱可能に構成されている。これにより、紫外線照射装置1は、モード3以外の処理の際には外部表示装置を取り外すことができるので、使用状態が煩雑となることを防止できる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態による紫外線照射装置1は、並列に接続された複数の紫外線発光素子111a,111b,111cと、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の強度を検出する光検出素子12と、光検出素子12が検出した紫外線の合計強度と予め決定した目標紫外線強度とを比較した結果に基づき複数の紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動する駆動電流の一定時間当たりの平均駆動電流量を制御するマイクロプロセッサ131とを備えている。
【0087】
このように、紫外線照射装置1は、複数(本実施形態では3個)の紫外線発光素子111a,111b,111cを備えている。これにより、紫外線照射装置1は、殺菌対象物に照射する紫外線の光量が同じ場合に、紫外線発光素子が1個の場合と比較して、紫外線発光素子111a,111b,111cの1個当たりに流れる駆動電流の電流量の低減を図ることができる。これにより、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cの長寿命化を図ることができる。その結果、紫外線照射装置1は、殺菌能力の長寿命化を図ることができる。
【0088】
また、紫外線発光素子111a,111b,111c全体で高電流域の電流(例えば500mA)に対応する紫外線強度が必要な場合でも、紫外線発光素子111a,111b,111cそれぞれの1個当たりに流れる電流は、紫外線発光素子が1個の場合と比較して、紫外線発光素子の個数分の1(本実施形態では1/3)となる。このため、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cの長寿命化を図ることができる。
【0089】
また、紫外線照射装置1は、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cを備えることにより、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cのうちの一部が劣化したり誤動作したりしても、残余の紫外線発光素子で補うことができる。また、紫外線照射装置1は、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cを備えていると、単一の紫外線発光素子を備えている場合と比較して、1個当たりに供給される電流を低くすることができる。このため、紫外線照射装置1は、長寿命化を図ることができる。
【0090】
また、紫外線照射装置1は、パルス電流によって紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動するように構成されている。紫外線発光素子111a,111b,111c全体で低電流域の電流(例えば100mA)に対応する紫外線強度が必要な場合、例えば250mAの電流をデューティ比40%のパルス電流とすることによって100mAの駆動電流とすることができる。このように、紫外線照射装置1は、中間電流域の電流(例えば250mA)によって低電流域の駆動電流で紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動することができる。これにより、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cの発光分布ムラ(輝度ムラ)及び水分の影響の低減を図ることができる。
【0091】
(変形例1)
本実施形態の変形例1による紫外線照射装置1は、本実施形態による紫外線照射装置1と同様の構成を有している。また、本変形例による紫外線照射装置1は、モード0の処理(図5参照)のパルス制御処理(ステップS101-17)において、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれの紫外線強度及び初期紫外線強度に基づいて、駆動回路132a,132b,132cが個別に制御される点に特徴を有している。
【0092】
ステップS101-17において、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれに初期の紫外線強度(初期紫外線強度)が定められており、初期紫外線強度に劣化率を乗算した値を下回った紫外線発光素子と当該初期紫外線強度に劣化率を乗算した値を下回っていない紫外線発光素子とが複数の紫外線発光素子111a,111b,111cに混在した場合に、マイクロプロセッサ131は、当該初期紫外線強度に劣化率を乗算した値を下回っていない紫外線発光素子への平均駆動電流量を上げるように制御する。より具体的には、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cのうち、紫外線強度が最大となる条件で駆動した場合でも紫外線強度が紫外線強度閾値よりも下回った紫外線発光素子については当該紫外線発光素子を駆動する駆動回路を制御して、当該紫外線発光素子への駆動電流の供給を維持する。例えば、紫外線強度が最大となる条件で紫外線発光素子111aを駆動した場合の紫外線強度が紫外線強度閾値よりも下回った場合には、マイクロプロセッサ131は、駆動回路132aを制御して、紫外線発光素子111aへの駆動電流の供給を維持する。さらに、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111b,111cを駆動する駆動回路132b,132cを制御して、紫外線発光素子111b,111cを駆動する駆動パルスのデューティ比を大きくして、平均駆動電流量を上げるように制御する。これにより、紫外線照射装置1は、殺菌対象物を殺菌するために必要な紫外線の照射量を維持できる。
【0093】
(変形例2)
本実施形態の変形例2による紫外線照射装置1は、本実施形態による紫外線照射装置1と同様の構成を有している。また、本変形例による紫外線照射装置1は、モード0の処理(図5参照)のパルス制御処理(ステップS101-17)において、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれの紫外線強度閾値に基づいて、駆動回路132a,132b,132cが個別に制御される点に特徴を有している。
【0094】
ステップS101-17において、マイクロプロセッサ131は、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cに紫外線強度閾値を下回った紫外線発光素子と紫外線強度閾値を下回っていない紫外線発光素子とが混在した場合に、紫外線強度閾値を下回っていない紫外線発光素子への平均駆動電流量を上げるように制御する。より具体的には、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cのうち、紫外線強度が最大となる条件で駆動した場合でも紫外線強度が紫外線強度閾値よりも下回った紫外線発光素子については当該紫外線発光素子を駆動する駆動回路を制御して、当該紫外線発光素子への駆動電流の供給を維持する。例えば、紫外線強度が最大となる条件で紫外線発光素子111aを駆動した場合の紫外線強度が紫外線強度閾値よりも下回った場合には、マイクロプロセッサ131は、駆動回路132aを制御して、紫外線発光素子111aへの駆動電流の供給を維持する。さらに、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111b,111cを駆動する駆動回路132b,132cを制御して、紫外線発光素子111b,111cを駆動する駆動パルスのデューティ比を大きくして、平均駆動電流量を上げるように制御する。これにより、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cの合計の紫外線強度の減少を防止できるので、殺菌対象物を殺菌するために必要な紫外線の照射量を維持できる。
【0095】
本変形例よる紫外線照射装置1では、紫外線発光素子111a,111b,111cが並列接続されているため、紫外線発光素子111a,111b,111cの2個まで動作が停止しても殺菌能力を維持できる。
【0096】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態による紫外線照射装置について図9を用いて説明する。本実施形態による紫外線照射装置は、連続的な駆動電流で紫外線発光素子を駆動する点及びモード0の処理の一部が異なる点を除いて、上記第1実施形態による紫外線照射装置1と同様の構成を有している。駆動回路132aに設けられたスイッチ132a-1、駆動回路132bに設けられたスイッチ132b-1及び駆動回路132cに設けられたスイッチ132c-1をオン状態(導通状態)に維持することにより、定電流回路132a-2,132b-2,132c-2のそれぞれで生成される定電流を連続的な駆動電流として紫外線発光素子111a,111b,111cに流すことができる。このため、本実施形態による紫外線照射装置については、図1から図3を参照しつつ上記第1実施形態による紫外線照射装置1と同一の符号を用いて説明する。
【0097】
(紫外線照射装置の動作)
本実施形態による紫外線照射装置1の動作において、モード選択処理、モード1の処理、モード2の処理及びモード3の処理は、上記第1実施形態による紫外線照射装置1のこれらの処理と同一であるため、説明は省略する。
【0098】
図9は、本実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0099】
(ステップS101-1からステップS101-15)
本実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理のステップS101-1からステップS101-15の処理は、上記第1実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理のステップS101-1からステップS101-15の処理と同一であるため、説明は省略する。
【0100】
(ステップS101-18)
ステップS101-15の次に実行されるステップS101-18において、マイクロプロセッサ131は、電流量制御処理を実行し、ステップS101-19の処理に移行する。具体的には、マイクロプロセッサ131は、電流制御処理として、光検出素子12から入力される電流を変換した電圧の電圧値に基づいて、紫外線発光素子111a,111b,111cの合計の紫外線強度を取得する。マイクロプロセッサ131は、当該合計の紫外線強度を所定の時間間隔でn回(例えば20回)取得して、取得した紫外線強度の合計値を算出する。マイクロプロセッサ131は、取得した紫外線強度の合計値を、光検出素子12から入力される電流を変換した電圧の電圧値の合計値によって算出する。また、マイクロプロセッサ131は、算出した合計値と、モード2の処理(ステップS105)において記憶部131aに記憶した初期合計紫外線強度に対応する電圧値とを比較する。
【0101】
さらに、マイクロプロセッサ131は、当該初期合計紫外線強度に対応する電圧値よりも当該合計値が小さい場合には、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれに供給する駆動電流の電流値が大きくなるように駆動回路132a,132b,132cを制御する。例えば、駆動回路132a,132b,132cに設けられた定電流回路132a-2,132b-2,132c-2で生成される電流が増加される。これにより、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれに供給される駆動電流の電流値が大きくなるため、当該駆動電流の平均である平均駆動電流が上昇する。その結果、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の強度が高くなるので、紫外線照射装置1の殺菌能力が向上する。
【0102】
このように、マイクロプロセッサ131は、ステップS101-3からステップS101-11流れにおいて複数の紫外線発光素子111a,111b,111cの紫外線強度の1つ以上が紫外線強度閾値を下回った場合に警告を発する。さらに、マイクロプロセッサ131は、ステップS101-13からステップS101-18の流れにおいて複数の紫外線発光素子111a,111b,111cの紫外線強度の合計が初期合計紫外線強度よりも小さくなった場合に平均駆動電流を上げる。
【0103】
一方、マイクロプロセッサ131は、算出した当該合計値よりも紫外線強度に対応する電圧値が大きい場合には、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれに供給する駆動電流の電流値が小さくなるように駆動回路132a,132b,132cを制御する。その結果、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の強度が低くなるものの、紫外線照射装置1は、必要十分な殺菌能力を維持できる。さらに、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cが発光する紫外線の強度を低くすることにより、紫外線発光素子111a,111b,111cの長寿命化を図ることができる。
【0104】
(ステップS101-19及びからステップS101-21)
本実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理のステップS101-19及びステップS101-21の処理は、上記第1実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理のステップS101-19及びステップS101-21の処理と同一であるため、説明は省略する。
【0105】
以上説明したように、本実施形態による紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動するための駆動電流の制御が上記第1実施形態による紫外線照射装置1よりも煩雑になるものの、殺菌能力の長寿命化という点においては上記第1実施形態による紫外線照射装置1と同一の効果が得られる。
【0106】
(変形例1)
本実施形態の変形例1による紫外線照射装置1は、本実施形態による紫外線照射装置1と同様の構成を有している。また、本変形例による紫外線照射装置1は、モード0の処理(図5参照)のパルス制御処理(ステップS101-17)において、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれの紫外線強度及び初期紫外線強度に基づいて、駆動回路132a,132b,132cが個別に制御される点に特徴を有している。
【0107】
ステップS101-18において、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれに初期の紫外線強度(初期紫外線強度)が定められており、初期紫外線強度に劣化率を乗算した値を下回った紫外線発光素子と当該初期紫外線強度に劣化率を乗算した値を下回っていない紫外線発光素子とが複数の紫外線発光素子111a,111b,111cに混在した場合に、マイクロプロセッサ131は、当該初期紫外線強度に劣化率を乗算した値を下回っていない紫外線発光素子への平均駆動電流量を上げるように制御する。一方、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cのうち、紫外線強度が最大となる条件で駆動した場合でも紫外線強度が紫外線強度閾値よりも下回った紫外線発光素子については当該紫外線発光素子を駆動する駆動回路を制御して、当該紫外線発光素子への駆動電流の供給を維持する。これにより、当該初期紫外線強度に劣化率を乗算した値を下回っていない紫外線発光素子への平均駆動電流量が増加し、当該初期紫外線強度に劣化率を乗算した値を下回っている紫外線発光素子への平均駆動電流量は変わらない。その結果、紫外線照射装置1は、殺菌対象物を殺菌するために必要な紫外線の照射量を維持できる。
【0108】
(変形例2)
本実施形態の変形例2による紫外線照射装置1は、本実施形態による紫外線照射装置1と同様の構成を有している。また、本変形例による紫外線照射装置1は、モード0の処理(図9参照)のパルス制御処理(ステップS101-18)において、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれの紫外線強度閾値に基づいて、駆動回路132a,132b,132cが個別に制御される点に特徴を有している。
【0109】
ステップS101-18において、マイクロプロセッサ131は、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cに紫外線強度閾値を下回った紫外線発光素子と紫外線強度閾値を下回っていない紫外線発光素子とが混在した場合に、紫外線強度閾値を下回っていない紫外線発光素子への平均駆動電流量を上げるように制御する。より具体的には、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cのうち、紫外線強度が最大となる条件で駆動した場合でも紫外線強度が紫外線強度閾値よりも下回った紫外線発光素子については当該紫外線発光素子を駆動する駆動回路を制御して、当該紫外線発光素子への駆動電流の供給を維持する。例えば、紫外線強度が最大となる条件で紫外線発光素子111aを駆動した場合の紫外線強度が紫外線強度閾値よりも下回った場合には、マイクロプロセッサ131は、駆動回路132aを制御して、紫外線発光素子111aへの駆動電流の供給を維持する。さらに、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111b,111cを駆動する駆動回路132b,132cを制御して、紫外線発光素子111b,111cを駆動する駆動電流の電流値を大きくして、平均駆動電流量を上げるように制御する。これにより、紫外線照射装置1は、殺菌対象物を殺菌するために必要な紫外線の照射量を維持できる。
【0110】
このように、本変形例よる紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動するための駆動電流の制御が上記第1実施形態の変形例による紫外線照射装置1よりも煩雑になる点を除いて、上記第1実施形態の変形例よる紫外線照射装置1と同様の効果が得られる。
【0111】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態による紫外線照射装置について図10を用いて説明する。本実施形態による紫外線照射装置は、モード0の処理の一部が異なる点を除いて、上記第1実施形態による紫外線照射装置1と同様の構成を有している。このため、本実施形態による紫外線照射装置については、図1から図3を参照しつつ上記第1実施形態による紫外線照射装置1と同一の符号を用いて説明する。
【0112】
(紫外線照射装置の動作)
本実施形態による紫外線照射装置1の動作において、モード選択処理、モード1の処理、モード2の処理及びモード3の処理は、上記第1実施形態による紫外線照射装置1のこれらの処理と同一であるため、説明は省略する。
【0113】
図10は、本実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0114】
(ステップS101-1からステップS101-9)
本実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理のステップS101-1からステップS101-9の処理は、上記第1実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理のステップS101-1からステップS101-9の処理と同一であるため、説明は省略する。
【0115】
(ステップS101-12)
ステップS9の次のステップS101-12において、マイクロプロセッサ131は、第一警告を発し、ステップS101-13の処理に移行する。本実施形態では、マイクロプロセッサ131は、紫外線照射装置1に設けられた警告用の発光素子(不図示)を例えば黄色に発光させて警告を発する。本実施形態では、第一警告用の発光素子は例えばLEDで構成されている。紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cの少なくとも1つに初期の発光が低い素子が含まれている場合に第一警告を発することによって、紫外線発光素子111a,111b,111cのいずれかに初期不良が発生していることを紫外線照射装置1の使用者に報知できる。あるいは、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cの少なくとも1つに、設計上の動作可能期間に比べて極めて短い期間で紫外線強度の低下が発生する可能性のあることを紫外線照射装置1の使用者に報知できる。
【0116】
このように、マイクロプロセッサ131は、ステップS101-3からステップS101-12の流れにおいて、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cの1つ以上が紫外線強度閾値を下回った場合に第一警告を発する。これにより、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cのいずれかの初期不良の発生又は初期不良の発生の可能性を報知できる。また、紫外線照射装置1は、紫外線発光素子111a,111b,111cのそれぞれに対応させて3つの警告用の発光素子を備える場合には、初期不良の発生又は初期不良の発生の可能性を紫外線発光素子111a,111b,111cを特定して報知できる。
【0117】
(ステップS101-13からステップS101-17)
本実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理のステップS101-13からステップS101-17の処理は、上記第1実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理のステップS101-13からステップS101-17の処理と同一であるため、説明は省略する。
【0118】
(ステップS201)
ステップS101-17の次のステップS201において、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動するパルス電流のデューティ比が設定上限より小さいか否かを判定する。すなわち、マイクロプロセッサ131は、当該パルス電流のデューティ比がパルス電流のデューティ比の閾値(すなわち設定上限)を上回ったか否かを判定する。本実施形態におけるデューティ比は、上述の式(1)によって表すことができる。
【0119】
デューティ比の閾値は、複数の紫外線発光素子111a,111b,111cの初期合計紫外線強度に基づき決定される。モード2の処理(図7参照)のステップS105-1において記憶部131aに記憶された初期合計紫外線強度が用いられる。また、デューティ比の閾値は、紫外線照射装置1が必要とする寿命に基づいて決定されてもよい。マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動するパルス電流のデューティ比がデューティ比の閾値(設定上限)よりも小さいと判定した場合には、ステップS101-19の処理に移行する。一方、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動するパルス電流のデューティ比がデューティ比の閾値(設定上限)よりも大きいと判定した場合には、ステップS203の処理に移行する。
【0120】
(ステップS203)
ステップS203において、マイクロプロセッサ131は、第二警告を発し、ステップS101-19の処理に移行する。本実施形態では、マイクロプロセッサ131は、紫外線照射装置1に設けられた第二警告用の発光素子(不図示)を第一警告とは異なる色(例えば赤色)に発光させて警告を発する。本実施形態では、第二警告用の発光素子は例えばLEDで構成されている。上述のとおり、デューティ比の閾値は、初期合計紫外線強度に基づいて決定されている。このため、マイクロプロセッサ131は、記憶部131aに記憶された初期合計紫外線強度に基づいて第二警告を発する。また、マイクロプロセッサ131は、紫外線発光素子111a,111b,111cを駆動するパルス電流のデューティ比がデューティ比の閾値を上回った場合に第二警告(警告の一例)を発する。紫外線照射装置1は、第二警告を発することによって、紫外線発光素子111a,111b,111cのいずれかに動作不良(例えば経年劣化)が発生していることを紫外線照射装置1の使用者に報知できる。
【0121】
(ステップS101-19及びステップS101-21)
本実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理のステップS101-19及びステップS101-21の処理は、上記第1実施形態による紫外線照射装置1の動作におけるモード0の処理のステップS101-19及びステップS101-21の処理と同一であるため、説明は省略する。
【0122】
以上説明したように、本実施形態による紫外線照射装置1は、上記第1実施形態による紫外線照射装置1と同一の効果が得られる。さらに、本実施形態による紫外線照射装置1は、二種類の警告を発することができる。
【0123】
本実施形態による紫外線照射装置1は、上記第1実施形態の変形例1から3による紫外線照射装置1と同様に変形することができる。
【0124】
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
上記第1実施形態から上記第3実施形態による紫外線照射装置は、3個の紫外線発光素子を備えているが、本発明はこれに限られない。紫外線照射装置は例えば、2個又は4個以上の紫外線発光素子を備えていてもよい。紫外線発光素子の個数は、例えば設置面積から決定することができる。
【0125】
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0126】
1 紫外線照射装置
10 カバー部材
11 光源
12 光検出素子
13 光源管理回路
14 収容部
15 導入出部
16,17 流入出部材
18 放熱部材
19 電源
101 遮光板
101a 受光窓
111a,111b,111c 紫外線発光素子
112 金属基板
121 光学部材
122 光センサ
131 マイクロプロセッサ
131a 記憶部
132a,132b,132c 駆動回路
132a-1,132b-1,132c-1 スイッチ
132a-2,132b-2,132c-2 定電流回路
133 回路基板
141,151 外壁
141a,151b 取付口
141b,151c,181b,183 貫通孔
142 内部空間
151a 開口部
152 導入出空間
181 放熱部
181a 板状部
182 光源取付部
VC 仮想円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10