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特開2022-55142販売促進支援システム、販売促進支援装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055142
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】販売促進支援システム、販売促進支援装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20220331BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220331BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
G06Q30/02 446
G06Q30/06 340
G06F13/00 540P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162576
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】513286225
【氏名又は名称】株式会社アイトリガー
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥川 哲史
(72)【発明者】
【氏名】岩本 千鶴
(72)【発明者】
【氏名】濁沼 広樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 論則
【テーマコード(参考)】
5B084
5L049
【Fターム(参考)】
5B084AA02
5B084AA12
5B084AB04
5B084AB06
5B084AB16
5B084AB35
5B084AB50
5B084BA02
5B084BB15
5B084CE04
5B084CE12
5B084DB05
5B084DC02
5L049BB08
5L049BB47
5L049BB66
(57)【要約】
【課題】商品等の販売に関するwebページを閲覧中のユーザが離脱する際に、当該ユーザを引き留める。
【解決手段】webページを閲覧するための端末装置10と、通信網20を介して端末装置10と通信する販売促進支援装置30と、を含む販売促進支援システム1を提供する。端末装置10は、商品等の販売に関する第1webページに対する操作が行われる毎に当該操作を示す情報を販売促進支援装置30へ送信する一方、販売促進支援装置30から受信する指示に応じた出力を行う。販売促進支援装置30は、第1webページに対して行われた操作を端末装置10から受信する情報に基づいて検知し、第1webページからの離脱タイミングを、検知した操作の履歴に基づいて予測する。販売促進支援装置30は、予測された離脱タイミングにおいて、ユーザを引き留めるための出力を端末装置に実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
webページを閲覧するための端末装置と、通信網を介して前記端末装置と通信する販売促進支援装置と、を含み、
前記端末装置は、
商品等の広告を含む第1webページを表示中にユーザが行った操作を示す操作ログを第1の所定時間が経過する毎に前記販売促進支援装置へ送信する一方、前記通信網を介して前記販売促進支援装置から受信する指示に応じた出力を行い、
前記販売促進支援装置は、
前記第1webページを表示中の前記端末装置に対して前記ユーザが行った操作を、前記端末装置から受信する操作ログに基づいて検知し、
前記ユーザが前記第1webページの表示を前記端末装置に終了させるであろう離脱タイミングを、前記検知した操作の履歴に基づいて予測し、
前記予測された離脱タイミングにおいて、前記ユーザを引き留めるための出力の実行を前記端末装置に指示する、
販売促進支援システム。
【請求項2】
前記販売促進支援装置は、
webページに対して為された操作の履歴を当該webページからの実際の離脱タイミングよりも第2の所定時間だけ前の時点で離脱したように加工を施した加工済履歴を学習データとして用いた機械学習により生成される学習済モデルを用いて、前記第1webページからの離脱タイミングを予測する、請求項1に記載の販売促進支援システム。
【請求項3】
前記ユーザを引き留めるための出力は、前記商品等に関する会話をシミュレートするチャットボットへ前記ユーザを誘導する画像である、請求項1又は請求項2に記載の販売促進支援システム。
【請求項4】
前記販売促進支援装置は、
前記チャットボットによりシミュレートする会話のシナリオを、前記端末装置から受信する操作ログから検知した操作の履歴に基づいて決定する、請求項3に記載の販売促進支援システム。
【請求項5】
前記販売促進支援装置は、
前記第1webページの表示を終了する操作を検知してから第3の所定時間が経過した時点で、前記商品等の広告に関する情報を前記通信網を介して前記端末装置へ送信する、請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の販売促進支援システム。
【請求項6】
商品等の広告を含む第1webページを表示中の端末装置に対してユーザが行った操作を、通信網を介して前記端末装置から受信する操作ログに基づいて検知する検知部と、
前記ユーザが前記第1webページの表示を前記端末装置に終了させるであろう離脱タイミングを、前記検知部により検知した操作の履歴に基づいて予測する予測部と、
前記予測部により予測された離脱タイミングにおいて、前記ユーザを引き留めるための出力を前記端末装置に実行させる出力制御部と、
を有する販売促進支援装置。
【請求項7】
コンピュータに、
商品等の広告を含む第1webページを表示中の端末装置に対してユーザが行った操作を、通信網を介して前記端末装置から受信する操作ログに基づいて検知する検知処理と、
前記ユーザが前記第1webページの表示を前記端末装置に終了させるであろう離脱タイミングを、前記検知処理にて検知した操作の履歴に基づいて予測する予測処理と、
前記予測処理にて予測された離脱タイミングにおいて、前記ユーザを引き留めるための出力を前記端末装置に実行させる出力制御処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
商品等の広告を含む第1webページを表示中に前記第1webページに対してユーザが操作を示す操作ログを第1の所定時間が経過する毎に通信網を介して所定の宛先へ送信する処理と、
前記ユーザを前記第1webページへ引き留めるための出力を前記通信網を介して受信する指示に応じて実行する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売促進支援システム、販売促進支援装置、及びプログラム、に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商品販売サイトにおける商品の販売を支援するための販売支援システムの発明が開示されている。また、特許文献1の段落0038には、ユーザが商品販売サイトから離れるタイミングにおいて、当該ユーザが購入する可能性が高いと推定される商品に関する画面を当該ユーザの端末装置に表示させること、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-208042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが購入する可能性が高いと推定される商品に関する画面を、商品販売サイトからの離脱タイミングにおいて当該ユーザの端末装置に表示させることができれば、当該ユーザを商品販売サイトに引き留めることができ、商品の販売促進にプラスになると考えられる。しかし、特許文献1では、商品等の販売に関するwebページを閲覧中のユーザの離脱タイミングの検知方法が明らかにされていない。このため、特許文献1に開示の技術には、ユーザの引き留めを確実に行うことができない、という問題があった。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、商品等の販売に関するwebページを閲覧中のユーザが当該webページから離脱する際に、当該ユーザを引き留めることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本開示の販売促進支援システムは、webページを閲覧するための端末装置と、通信網を介して前記端末装置と通信する販売促進支援装置と、を含む。前記端末装置は、商品等の広告を含む第1webページを表示中にユーザが行った操作を示す操作ログを第1の所定時間が経過する毎に前記販売促進支援装置へ送信する一方、前記通信網を介して前記販売促進支援装置から受信する指示に応じた出力を行う。前記販売促進支援装置は、前記第1webページを表示中の前記端末装置に対して前記ユーザが行った操作を、前記端末装置から受信する操作ログに基づいて検知し、前記ユーザが前記第1webページの表示を前記端末装置に終了させるであろう離脱タイミングを、前記検知した操作の履歴に基づいて予測し、前記予測された離脱タイミングにおいて、前記ユーザを引き留めるための出力の実行を前記端末装置に指示する。
【0007】
より好ましい態様の販売促進支援システムでは、販売促進支援装置は、webページに対して為された操作の履歴を当該webページからの実際の離脱タイミングよりも第2の所定時間だけ前の時点で離脱したように加工を施した加工済履歴を学習データとして用いた機械学習により生成される学習済モデルを用いて、前記第1webページからの離脱タイミングを予測してもよい。
【0008】
別の好ましい態様の販売促進支援システムでは、前記ユーザを引き留めるための出力は、前記商品等に関する会話をシミュレートするチャットボットへ前記ユーザを誘導する画像であってもよい。
【0009】
更に別の好ましい態様の販売促進支援システムでは、前記販売促進支援装置は、前記チャットボットによりシミュレートする会話のシナリオを、前記端末装置から受信する情報から検知した操作の履歴に基づいて決定してもよい。
【0010】
更に別の好ましい態様の販売促進支援システムでは、前記販売促進支援装置は、前記第1webページの表示を終了する操作を検知してから第3の所定時間が経過した時点で、前記商品等の広告に関する情報を前記通信網を介して前記端末装置へ送信してもよい。
【0011】
また、上記課題を解決するために本開示の販売促進支援装置は、以下の検知部、予測部、及び出力制御部を備える。検知部は、商品等の広告を含む第1webページを表示中の端末装置に対してユーザが行った操作を、通信網を介して前記端末装置から受信する操作ログに基づいて検知する。予測部は、前記ユーザが前記第1webページの表示を前記端末装置に終了させるであろう離脱タイミングを、前記検知部により検知した操作の履歴に基づいて予測する。出力制御部は、前記予測部により予測された離脱タイミングにおいて、前記ユーザを引き留めるための出力を前記端末装置に実行させる。
【0012】
また、上記課題を解決するために本開示のプログラムは、以下の第1処理と第2処理とを、コンピュータに実行させる。第1処理は、商品等の広告を含む第1webページを表示中に前記第1webページに対してユーザが行った操作を示す操作ログを第1の所定時間が経過する毎に通信網を介して所定の宛先へ送信する処理である。第2処理は、前記ユーザを前記第1webページへ引き留めるための出力を前記通信網を介して受信する指示に応じて実行する処理である。
【0013】
また、上記課題を解決するために本開示のプログラムは、コンピュータに、以下の検知処理と、予測処理と、出力制御処理と、を実行させる。検知処理では、コンピュータは、商品等の広告を含む第1webページを表示中の端末装置に対してユーザが行った操作を、通信網を介して前記端末装置から受信する操作ログに基づいて検知する。予測処理では、コンピュータは、前記ユーザが前記第1webページの表示を前記端末装置に終了させるであろう離脱タイミングを、前記検知処理にて検知した操作の履歴に基づいて予測する。出力制御処理では、コンピュータは、前記予測処理にて予測した離脱タイミングにおいて、前記ユーザを引き留めるための出力を前記端末装置に実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態による販売促進支援システム1の構成例を示す図である。
図2】広告サイト40により提供されるwebページに埋め込まれているタグの一例である。
図3】広告サイト40により提供されるwebページに埋め込まれるスクリプトに従って端末装置10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図4】webページの閲覧中に為されるユーザの操作の一覧である。
図5】本実施形態における操作ログの一例である。
図6】学習済モデル314を説明するための図である。
図7】販売促進支援装置30の処理装置320がプログラム312に従って実行する販売促進支援方法の流れを示すフローチャートである。
図8】加工済み履歴の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の実施形態は、以下に述べる形態に限られるものではない。
【0016】
(A:実施形態)
図1は、本開示の一実施形態による販売促進支援システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、販売促進支援システム1は、端末装置10と、通信網20を介して端末装置10と通信する販売促進支援装置30と、を含む。
【0017】
通信網20は、例えばインターネット等の電気通信回線である。通信網20には、端末装置10及び販売促進支援装置30の他に、商品等の広告サイト40が接続される。広告サイト40は、通信網20経由のアクセスに応じて、商品等のバナー広告を含むwebページを表すHTMLデータ等をアクセス元へ返信するサーバ装置を含む。なお、本開示における商品等には商品の他に役務が含まれる。また、広告サイト40が送信するwebページに含まれる商品等の広告はバナー広告には限定されず、当該webページのメインコンテンツであってもよい。広告サイト40から返信されるHTMLデータの表すwebページは本開示における第1webページの一例である。図1には端末装置10が1台だけ図示されているが複数の端末装置10が販売促進支援システム1に含まれてもよい。同様に、図1には広告サイト40が1つだけ図示されているが複数の広告サイト40が販売促進支援システム1に含まれてもよい。
【0018】
端末装置10は、例えばスマートフォンであり、webページの閲覧機能を有する。端末装置10は、ユーザから与えられる指示に応じて広告サイト40にアクセスし、広告サイト40から返信されるHTMLデータの表すwebページ及びバナー広告の表示を行う。また、端末装置10は、通信網20を介して販売促進支援装置30から受信する指示に応じた出力を行う。
【0019】
広告サイト40から返信されるHTMLデータには、本開示の特徴を顕著に示す処理を端末装置10に実行させるスクリプト100を端末装置10に実行させるためのタグが予め埋め込まれている。図2は、スクリプト100を端末装置100に実行させるためのタグの一例である。図2に示すタグでは、「src=」以降のhttps://~/script.jsがスクリプト100を示す識別子(URL)である。広告サイト40から返信されるHTMLデータを端末装置10がブラウザにより解釈する過程で図2に示すタグが読み込まれ、上記識別子の示すスクリプト100が取得され、当該スクリプト100の実行が開始される。図2に示すように、本実施形態におけるスクリプト100はJavascript(登録商標)である。
【0020】
スクリプト100は、上記HTMLデータの表すwebページを表示中の端末装置10に対して操作を、当スクリプト100の実行開始時点から第1の所定時間(本実施形態では1秒)が経過する毎に、直近の第1の所定時間内に為されたユーザの操作を示す操作ログを通信網20経由で販売促進支援装置30へ送信する処理、を端末装置10に実行させる。より詳細には、スクリプト100を実行することにより、端末装置10は、図3のフローチャートに示す処理を実行する。
【0021】
図3に示すようにスクリプト100に従って作動している端末装置10は、まず、Cookieを発行する(ステップSA100)。Cookieは、広告サイト40にユーザが訪れた際に「1回の訪問」を定義するために使用される。具体性にはユーザが広告サイト40に訪れた際に「47dc7a05-9da6-4752-bb4b-cb05e6a31758」のような一意のIDが生成され、第1webページの閲覧を継続中は、後述のステップSA130或いはステップSA170における「操作ログの送信」の際に当該IDを書き込んだ操作ログを送信する。ステップSA100にて発行したCookieはwebサイトからの離脱の際に削除される。つまり、同一のIDを有する複数の操作ログは、「1回の訪問」におけるwebページに対するアクセスの間に為された一連の操作の履歴を示す。
【0022】
ステップSA100に後続するステップSA110では、端末装置10はタイマを起動し、計時を開始する。ステップSA110に後続するステップSA120では、端末装置10は、webページからの離脱を指示する操作(アクション)が為されたか否かを判定する。webページからの離脱を指示する操作とは、「ブラウザの閉じるボタンの押下」及び「ブラウザの戻るボタンの押下」である。これらの操作を行うということは、表示中のwebページを消すというユーザの意思が明確であり、当該webページを再度閲覧する意思がないことが明確だからである。このように、現在閲覧中のwebページを再度閲覧する意思がないことが明確である点において、本実施形態における離脱を指示する操作は、「ブラウザを最小化する操作」或いは「他のアプリに対話権を切り換える操作」と区別される。
【0023】
ステップSA120の判定結果が“Yes”である場合には、端末装置10は、操作ログを販売促進支援装置30へ送信し(ステップSA130)、終了処理(ステップSA140)を実行する。終了処理には、ステップSA100にて発行したCookieの削除と、ステップSA110にて起動したタイマの停止と、が含まれる。これに対して、ステップSA120の判定結果が“No”である場合には、端末装置10は、ステップSA150以降の処理を実行する。
【0024】
ステップSA150では、端末装置10は、タイマにより計時された時間が第1の所定時間に達したか否かを判定する。ステップSA150の判定結果が“Yes”である場合、即ち第1の所定時間が経過したと判定された場合には、端末装置10はステップSA160及びステップSA170の処理を実行する。一方、ステップSA150の判定結果が“No”である場合には、端末装置10は、ステップSA120の処理を再度実行する。
【0025】
ステップSA160では、端末装置10は、webページに対して為された操作を示す情報を操作ログに追記する。webページに対して為される操作としては、前述の離脱を指示する操作を含め、図4の一覧に示す各操作が挙げられる。また、操作ログの一例としては図5に示すログが挙げられる。端末装置10は、pgid=値&path=値&touchstart=値…&cookie=値の形式で1秒毎に1行分の操作ログを追記する。なお、&は各項目を区切る区切り文字である。また、cookieにはステップSA100にて発行したIDが設定される。操作ログの1つの行には、直近の第1の所定時間の間に為された1又は複数の操作の各々を示す情報が含まれる。例えば、直近の第1の所定時間の間にスクロールが為された場合にはscrolの値が1に設定される。なお、第1の所定時間の間に何れの操作も為されなかった場合には、pageshow~popstateまでの各々の値を0とした行が操作ログに追記される。ステップSA160に後続するステップSA170では、端末装置10は、操作ログを販売促進支援装置30へ送信し、タイマの計時時間をリセットして再度計時を開始する。
以上が端末装置10の構成である。
【0026】
次いで、販売促進支援装置30について説明する。
販売促進支援装置30は、第1webページを表示中の端末装置10に対してユーザが行った操作を端末装置10から受信する操作ログに基づいて検知する。販売促進支援装置30は、端末装置10のユーザが第1webページの表示を終了させるであろう離脱タイミングを、操作ログの示す操作の履歴に基づいて予測し、予測した離脱タイミングにおいて、ユーザを引き留めるための出力を端末装置10に実行させる。
【0027】
図1に示すように、販売促進支援装置30は、通信装置300と、記憶装置310と、処理装置320と、を含む。通信装置300は、有線通信モジュールである。通信装置300は通信線及びルータ等の中継装置を介して通信網20に接続される。通信装置300は、処理装置320による制御の下、端末装置10と通信する。
【0028】
記憶装置310は、処理装置320が読み取り可能な記録媒体である。記憶装置310は、例えば、不揮発性メモリーと揮発性メモリーとを含む。不揮発性メモリーは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。揮発性メモリーは、例えば、RAM(Radom Access Memory)である。
【0029】
記憶装置310の不揮発性メモリーには、処理装置320によって実行されるプログラム312と学習済モデル314とが予め記憶されている。記憶装置310の揮発性メモリーはプログラム312を実行する際のワークエリアとして処理装置320によって利用される。プログラム312及び学習済モデル314は、例えば、通信装置300を介して不図示のサーバ等から取得され、その後、記憶装置310に記憶される。プログラム312は、記憶装置310に予め記憶されてもよい。
【0030】
学習済モデル314は、webページに対して為された操作の履歴を当該webページからの実際の離脱タイミングよりも第2の所定時間(例えば、4~6秒)だけ前の時点で離脱したように加工を施して生成した加工済履歴を学習データとして用いた機械学習により生成される再帰ニューラルネットワークである(図6参照)。なお、図6における「NN」はニューラルネットワークを意味する。図6におけるX0、X1、X2…は、操作ログの示す1秒後の操作情報、2秒後の操作情報、3秒後の操作情報…である。学習済モデル314は再帰ニューラルネットワークであるため、図6に示すように、1秒後の操作情報に対する出力H0と、2秒後の操作情報とから、2秒後の出力H1が得られる。
【0031】
学習済モデル314は、操作ログの示す各操作情報を入力されると、各操作情報の示す操作の履歴から推測される離脱のタイミング(以下、離脱タイミング)を示すデータと、予測の確からしさを示すデータとを出力する。学習済モデル314は、上記の要領で作成した学習データを用いた機械学習により生成されるため、学習済モデル314を用いて推定される離脱タイミングは、実際の離脱タイミングよりも第2の所定時間だけ手前の時刻となる。予測の確からしさを示すデータは、(予測が当たる確率,予測が外れる確率)の形式を有する。本実施形態の学習済モデル314は、クロスエントロピー誤差を最適化することで予めチューニングされている。具体的には、予測の確からしさを示すデータの理想値を(1, 0)とした時、アウトプットが(0.8, 0.2)であったとする。この時、H(p,q) = -(1log0.8 + 0log0.2) がクロスエントロピー誤差となり、この数字が小さいほど精度が良いとされる。本実施形態ではクロスエントロピー誤差が小さくなるように学習済モデル314はチューニングされている。このチューニングアルゴリズムについては既存のものを適宜用いるようにすればよい。
【0032】
処理装置320は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータを含んで構成される。処理装置320は、単一のコンピュータで構成されてもよいし、複数のコンピュータで構成されてもよい。処理装置320は、販売促進支援装置30の電源(図示略)の投入を契機として、プログラム312を不揮発性メモリーから揮発性メモリーに読み出し、プログラム312の実行を開始する。プログラム312に従って作動中の処理装置320は、図4に示す検知部322、予測部324、及び出力制御部326として機能する。つまり、図4に示す検知部322、予測部324、及び出力制御部326は、処理装置320をプログラム312に従って動作させることで実現されるソフトウェアモジュールである。
【0033】
検知部322は、第1webページを表示中の端末装置10に対してユーザが行った操作を、通信装置300により受信する操作ログに基づいて検知する。
【0034】
予測部324は、通信装置300により受信する操作ログの示す操作の履歴に基づいて、ユーザが第1webページの表示を端末装置10に終了させるであろう離脱タイミングを予測する。本実施形態では、予測部324は、通信装置300により受信する操作ログの示す操作の履歴を学習済モデル314に入力し、学習済モデル314から出力される離脱タイミングを取得することで、離脱タイミングを予測する。
【0035】
出力制御部326は、予測部324によりされた離脱タイミングにおいて、ユーザを引き留めるための出力を端末装置10に実行させる。より詳細に説明すると、本実施形態において、ユーザを引き留めるための出力は、商品等に関する会話をシミュレートするプログラムであるチャットボットへ誘導するポップアップ画面の表示である。つまり、出力制御部326は、当該チャットボットとの会話へユーザを誘導するポップアップ画面を端末装置10に出力させる。当該チャットボットと会話することで、ユーザは商品等に対する興味を強め、購入に至ることが期待される。より好ましい態様においては、チャットボットによりシミュレートする会話のシナリオを、受信した操作ログの示す操作の履歴に基づいて決定し、決定したシナリオをチャットボットに指示する処理を出力制御部326に実行させてもよい。
【0036】
また、プログラム312に従って作動している処理装置320は、本開示の特徴を顕著に示す販売促進支援方法を実行する。図7は、処理装置320がプログラム312に従って実行する販売促進支援方法の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、本開示の販売促進支援方法は、検知処理SB100、予測処理SB110、及び出力制御処理SB120を含む。
【0037】
検知処理SB100では、処理装置320は、検知部322として機能する。検知処理SB100では、処理装置320は、端末装置10から通信網20を介して受信する操作ログに基づいて、第1webページに対してユーザが行った操作を検知する。
【0038】
予測処理SB110では、処理装置320は、予測部324として機能する。予測処理SB110では、処理装置320は、第1webページの表示を端末装置10に終了させるであろう離脱タイミングを、検知処理SB100にて検知される操作の履歴と学習済モデル314とに基づいて予測する。
【0039】
出力制御処理SB120では、処理装置320は、出力制御部326として機能する。出力制御処理SB120では、処理装置320は、予測処理SB110にて予測された離脱タイミングにおいて、ユーザを引き留めるための出力を端末装置10に実行させる。
【0040】
以上説明したように本実施形態の販売促進支援システム1では、商品等のバナー広告を含む第1webページを閲覧中のユーザが当該webページに対して行う操作の履歴に基づいて離脱タイミングを予測し、その離脱タイミングにおいて当該ユーザを引き留める出力を端末装置10に行わせる。本実施形態において予測される離脱タイミングは、端末装置10のユーザが第1webページの表示を実際に終了させるであろうタイミングよりも第2の所定時間だけ前のタイミングであるから、ユーザが実際に離脱することに先立って当該ユーザを引き留めることが可能になる。
【0041】
(B:変形例)
以上本発明の一実施形態について説明したが、この実施形態に以下の変形を加えても勿論よい。
(1)端末装置10に表示させたバナー広告の表示ログを、imp_back、imp_wait、imp_predictionの3つに分け、imp_predictionのCTRやCVR、CV数で本開示の効果を評価してもよい。imp_backとは、「戻るボタンの押下」を起点にしてバナー広告が表示された回数である。imp_waitとは、「ユーザがページ上で無操作(スクロールやクリックをしない)の時間」を起点にしてバナー広告が表示された回数である。そして、imp_predictionは、販売促進支援装置30による離脱の予測を契機としてバナー広告が表示された回数である。CTRは、バナー広告がクリックされた確率(クリック数÷表示回数)である。CVは、コンバージョンという意味であり、WEBマーケティングにおいて求めるゴール(商品の購入完了や会員登録の完了等)の達成のことである。CVRは、バナー広告をクリックしてチャットボットへ誘導されたユーザが再度webページへ戻り、CVした確率(CV÷チャットボットへの誘導数)である。
【0042】
(2)通信装置300により受信した操作ログに基づいて、第1webページの表示を終了する操作を検知してから第3の所定時間(例えば、2日)が経過した時点で、第1webページに含まれる広告に掲載されている商品等に関する情報を含む電子メールを、通信網20を介して端末装置10へ送信する処理を出力制御部326に実行させてもよい。このようにすることで、チャットボットとの会話だけでは商品購入に至らなかったユーザに対して、再度、販売促進を行うことが可能になる。
【0043】
(3)通信装置300により受信した操作ログに基づいて学習済モデル314を更新する学習部を販売促進支援装置30に設けてもよい。学習部による学習済モデル314の更新は、操作ログを受信する都度ではなく、例えば1週間毎に行うこととし、1週間の間に受信した操作ログを蓄積しておき、蓄積した操作ログに基づいて行うようにすればよい。学習部は、まず、蓄積した操作ログの各々が示す操作の履歴に、当該webページからの実際の離脱タイミングよりも第2の所定時間だけ前の時点で離脱したように加工を施し、図7に示す表形式の加工済履歴を生成する。なお、受信した操作ログから図7に示す表形式の加工済履歴への加工には、Pythonを用いて作成した加工プログラムを利用すればよい。次いで、学習部は、加工済履歴をBig Query等を用いて集計して機械学習を行えばよい。
【0044】
(4)上記実施形態では、販売促進支援装置30の記憶装置310に学習済モデル314が記憶されており、処理装置320は端末装置10から受信する操作情報に基づいて第1webページからの離脱タイミングを予測するとともに、当該操作情報を教師データとする機械学習により学習済モデル314を更新した。しかし、通信網20経由での学習済モデル314へのアクセスが可能であれば、販売促進支援装置30に学習済モデル314を記憶させておく必要はなく、この場合、学習済モデル314の更新は当該学習済モデル314を記憶している装置に実行させればよい。
【0045】
(5)上記実施形態における検知部322、予測部324、及び出力制御部326はソフトウェアモジュールであった。しかし、検知部322、予測部324、及び出力制御部326のうちの1又は複数或いは全部が、ASIC等の電子回路又は当該電子回路の組み合わせ等のハードウェアモジュールであってもよい。検知部322、予測部324、及び出力制御部326のうちの1又は複数或いは全部がハードウェアモジュールであっても、上記実施形態と同じ効果が得られるからである。
【0046】
(6)上記実施形態では、端末装置10と販売促進支援装置30とを含む販売促進支援システム1について説明したが、販売促進支援装置30を単体で製造又は販売してもよい。また、販売促進支援装置30を単一の装置で実現するのではなく、GCS(Google Cloud Storage)等の静的ファイルやコンテンツを格納するのに特化したサーバを提供するサービス或いはGCE(Google Cloud Engine)等のCloud上の汎用的なコンピュータを提供するサービスを利用して実現してもよい。なお、クラウドサービス等、複数のコンピュータの協働により販売支援装置30を実現する場合には、負荷分散器による負荷分散を図りつつ各コンピュータを協働させてもよい。
【0047】
(7)上記実施形態の販売促進支援装置30には、プログラム312が予めインストールされていたが、フラッシュROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体にプログラム312を書き込んで配布してもよく、通信網20経由のダウロードによりプログラム312を配布してもよい。このようにして配布されるプログラム312に従って一般的なコンピュータを作動させることで、当該コンピュータを販売促進支援装置30として機能させることができる。また、スクリプト100及び図2に示すタグについても同様にコンピュータ読み取り可能な記録媒体に書き込んで配布してもよく、通信網20経由のダウロードによりを配布してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…販売促進支援システム、10…端末装置、20…通信網、30…販売促進支援装置、300…通信装置、310…記憶装置、312…プログラム、314…学習済モデル、320…処理装置、322…検知部、324…予測部、326…出力制御部。
図1
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図8