(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055182
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】滅菌器
(51)【国際特許分類】
A61L 2/07 20060101AFI20220331BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A61L2/07
A61C19/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162629
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000150327
【氏名又は名称】株式会社ナカニシ
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 広典
【テーマコード(参考)】
4C052
4C058
【Fターム(参考)】
4C052LL06
4C058AA13
4C058BB05
4C058EE22
4C058EE26
(57)【要約】
【課題】医療器具の乾燥状態を維持しやすく、速やかに滅菌を行うことが可能な滅菌器を提供する。
【解決手段】滅菌器100は、筐体10と、筐体10の内部に配置され、ハンドピース(医療器具)Hを収納するチャンバー40と、チャンバー40の内部に給水するための給水口45と、チャンバー40の内部から外部へ排水するための排水口46と、チャンバー40の内部にエアを供給するエア吹出し口43と、チャンバー40の内部からエアを排出するエア排出口47と、チャンバー40の内部の水を加熱する加熱部42と、を備え、チャンバー40の内部において、給水口45は、収納されたハンドピース(医療器具)Hの収納位置より下側の位置に形成されている。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置され、医療器具を収納するチャンバーと、
前記チャンバーの内部に給水するための給水口と、
前記チャンバーの内部から外部へ排水するための排水口と、
前記チャンバーの内部にエアを供給するエア吹出し口と、
前記チャンバーの内部からエアを排出するエア排出口と、
前記チャンバーの内部の水を加熱する加熱部と、を備えた滅菌器であって、
前記チャンバーの内部において、前記給水口は、収納された医療器具の収納位置より下側の位置に形成されている、滅菌器。
【請求項2】
請求項1に記載の滅菌器であって、
滅菌工程において給水される水は、収納された医療器具の収納位置より常に下に位置するように、給水される水の量が設定されている、滅菌器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の滅菌器であって、
前記エア吹出し口と前記給水口がそれぞれ独立して形成されるとともに、前記エア吹出し口は、収納された医療器具の収納位置より上側に位置する、滅菌器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の滅菌器であって、
前記給水口と前記排水口が同一の開口によって形成される、滅菌器。
【請求項5】
請求項4に記載の滅菌器であって、
前記給水口と前記排水口が前記チャンバーの底面に形成される、滅菌器。
【請求項6】
請求項3に記載の滅菌器であって、
前記チャンバーの内部の温度を検出する温度検出部が、前記チャンバーの内部において水が貯留する位置の上方に設けられる、滅菌器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の滅菌器であって、
前記チャンバーに対し医療器具を出し入れする開口が上方向を向き、前記給水口及び前記排水口は前記チャンバーの底面に形成される、滅菌器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の滅菌器であって、
前記チャンバーの内部に収納される医療器具はハンドピースであり、当該ハンドピースは起立した状態で収納される、滅菌器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハンドピース等の医療器具を高圧の蒸気により滅菌する滅菌器がある。滅菌器は、内部に医療器具を収納するチャンバーと、チャンバー内部に給水する水を保持する給水タンクと、チャンバー内部に注がれた水を加熱して蒸気にする加熱手段を備える。滅菌器は、蒸気をチャンバー内部に封じ込めて高温高圧状態にすることで、医療器具を滅菌する。このような滅菌器の給水タンクは、一般的に筐体内部に備えられており、前扉や蓋を開放して給水を行う。
【0003】
また、このような滅菌器の中には、チャンバー内部に水を給水する給水経路が、滅菌する医療器具の上方の位置に形成されたものが存在する。つまり、水の給水口が、チャンバー内に収められた医療器具の上に位置する。また、給水経路が、チャンバー内部に乾燥エアを供給する乾燥エア配管を兼ねているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給水タンクが筐体内部に備えられている滅菌器においては、滅菌器が設置された位置で給水を行わなければならず給水作業がしにくい。例えば作業者は、滅菌器を給水場所にもっていく必要がある。また、給水タンクが筐体と一体化しているものが多いため、給水タンクのメンテナンスが必ずしも容易ではないものが多い。
【0006】
また、チャンバー内に収納された医療器具の上方向に給水口が配置されており、給水の際に直接医療器具に水がかかってしまうおそれがある。また、給水経路と乾燥エアの経路が同一であるため、給水経路に残った水が乾燥工程の際に、医療器具に降り注ぐおそれがある。この結果、医療器具の乾燥までに長い時間を要することになるおそれがある。また、滅菌が不完全となる懸念も存在する。
【0007】
本発明は、給水作業や給水タンクのメンテナンス作業を容易とし得る滅菌器を提供する。更に本発明は、医療器具の乾燥、滅菌をより確実になし得る滅菌器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の滅菌器は、筐体と、前記筐体の内部に配置され、医療器具を収納するチャンバーと、前記チャンバーの内部に給水するための給水口と、前記チャンバーの内部から外部へ排水するための排水口と、前記チャンバーの内部にエアを供給するエア吹出し口と、 前記チャンバーの内部からエアを排出するエア排出口と、前記チャンバーの内部の水を加熱する加熱部と、を備えた滅菌器であって、前記チャンバーの内部において、前記給水口は、収納された医療器具の収納位置より下側の位置に形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、医療器具の乾燥状態を維持しやすく、速やかに滅菌を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は排水チューブによって接続された滅菌器及び排水タンクを備える滅菌システムの斜視図である。
【
図2】
図2は蓋体を上方に開いた状態の滅菌器の斜視図である。
【
図3】
図3は蓋体を上方に開くとともに給水タンクを外した状態の滅菌器の斜視図である。
【
図4】
図4は給水タンクを外す際の状態の滅菌器の斜視図である。
【
図5】
図5は給水タンクを外して滅菌器の筐体の前面を示す図である。
【
図6】給水タンクの斜視図であり、(A)は前方から見た斜視図、(B)は後方から見た斜視図である。
【
図7】
図7は蓋体を上方に開いた状態で、筐体及びチャンバーの内部を示す斜視図である。
【
図8】
図8は滅菌器の上面図及び断面図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のI-I線に沿った断面図である。
【
図9】
図9は滅菌器の上面図及び断面図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のII-II線に沿った断面図である。
【
図10】
図10は滅菌器の上面図及び断面図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のIII-III線に沿った断面図である。
【
図11】
図11は滅菌器の上面図及び断面図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のIV-IV線に沿った断面図である。
【
図12】
図12は滅菌器の上面図及び断面図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のV-V線に沿った断面図である。
【
図13】
図13はハンドピースを収容したチャンバーの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した滅菌器の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、排水チューブ120によって接続された滅菌器100及び排水タンク110を備える滅菌システム1の斜視図である。滅菌システム1は、歯科治療で用いられるハンドピースの如き医療器具を滅菌するシステムである。滅菌器100の内部に配置された医療器具は、高温高圧の水蒸気によって滅菌され、水蒸気及び水蒸気が液化した排水が排水チューブ120を介して排水タンク110に送られる。
【0012】
滅菌器100は、その外郭を構成する筐体10と、筐体10の内部に配置され、医療器具を収納するチャンバー40(
図2参照)と、チャンバー40の上方に設けられた開口を開閉する蓋体20と、を備えている。更に本実施形態では、筐体10の外面、特に前面に対して着脱自在に取り付けられた給水タンク80を備えている。給水タンク80は水を保持し、滅菌作業時に筐体10に水を送る役割を果たす。
【0013】
図2に示す様に作業者が、蓋体20の側面に設けられた蓋ロックレバー21を操作して、蓋体20を上に持ち上げることにより、筐体10の内部に形成されたチャンバー40が露出する。チャンバー40の内部には、医療器具を収納する収納かご50が設置されており、作業者は収納かご50の把持部51を把持して収納かご50をチャンバー40から上方へ引き出すことができる。
図2は、収納かご50がチャンバー40から途中まで引き出された状態を示している。
【0014】
図3に示す様に、筐体10の前面60であってかつ筐体10の下方には、前方に突出した受け部61が設けられるとともに、筐体10の前面60であってかつ筐体10の上方には、滅菌器100を操作する操作パネル30が設けられている。給水タンク80の筐体10への装着時には、給水タンク80は、操作パネル30の下側に位置し、給水タンク80の底が受け部61に嵌り込んで支持される。
【0015】
本実施形態の滅菌器100においては、給水タンク80が、筐体10のいずれかの外面に対して着脱自在に取り付けられており、給水タンク80を取り外すことにより、水の補給を容易に行うとともに、給水タンク80のメンテナンスも容易に行うことができる。また、作業者が筐体10から給水タンク80を取り外した状態で、水を給水タンク80に注ぐため、医療器具に水がかかってしまうことを防止することができる。貯留可能な水の量を増やすこともできる。
【0016】
特に本実施形態では、給水タンク80が筐体10の前面60に対し、取り外し可能となっているため、給水タンク80の装着、取り外し作業が容易であり、取り扱い性が向上するとともに作業性が向上する。
【0017】
また、
図4に示す様に、作業者が、給水タンク80の前面上側に形成された凹状の手掛け部81を手前に引くことにより、受け部61を支点として、給水タンク80を筐体10から取り外しすることができる。給水タンク80を筐体10に取り付ける際は、逆の操作をすればよい。このような構成により、給水タンク80の装着、取り外し作業を容易かつ着実に行うことができる。また、給水タンク80を筐体10から取り外す際、受け部61が給水タンク80を下から支えると共に、給水タンク80は下端を軸に回転するので、水を充填した給水タンク80が重くても取り外しが容易である。更には、別のヒンジ部材を設ける必要性がないため、低コストかつ簡易な構成で、給水タンク80の装着、取り外しを実現することができる。
【0018】
操作パネル30は蓋体20の手前側に位置しており、操作パネル30の下側に給水タンク80が位置する。このような構成により、滅菌器100をコンパクトにするとともに、意匠性が向上する。また、操作パネル30の下側に給水タンク80が位置するので、使用者が操作する際に、操作パネル30から視線を大きく動かすこと無く、給水タンク80の状態を確認することができる。ここで言う給水タンク80の状態とは、例えば、給水タンク80の筐体10への取り付け状態や、給水タンク80の内部の水の量などである。
【0019】
図3、4、6に示す様に、給水タンク80は、水を貯めることが可能な空間を有する 貯水部85を有しており、貯水部85の上面には、上方に向けて開口する水取り込み口83が形成されている。作業者は、給水タンク80を筐体10から取り外した後、上方から水取り込み口83を介して水を貯水部85に注ぐことができるため、水の注入を容易に行うことができる。
【0020】
また、給水タンク80の前面には水位を確認する窓部82が設けられている。窓部82は透明な樹脂等によって構成され、外側から貯水部85の内部を視認可能にしている。窓部82は水取り込み口83の下側に位置しており、作業者は筐体10から取り外した給水タンク80に水を注ぐ過程で、窓部82を介して水位を確認することができる。また、給水タンク80を筐体10に取り付けた後、窓部82を介して水の残存量をも確認することができる。
【0021】
図10(B)に示す様に、筐体10の操作パネル30の下方には、給水タンク80の水位を確認するための照明部31が設けられている。照明部31は例えばLED(発光ダイオード)によって構成され、給水タンク80が筐体10に取り付けられた状態において、水取り込み口83の上方に位置する。照明部31が発光して水取り込み口83を介して、貯水部85の窓部82が設けられた領域を照らすため、窓部82に露出した水位の確認が容易となる。
【0022】
図5に示す様に、筐体10の前面60には、給水タンク80の水をチャンバー40に送る給水管41(
図8(B)参照)の接続端62が設けられている。一方、
図6(B)に示す様に、給水タンク80の背面には、給水タンク80の内部の水を汲み上げる汲み上げ管86(
図8(B)参照)の接続端84が設けられている。給水タンク80が筐体10に取り付けられることにより、汲み上げ管86の接続端84と給水管41の接続端62が接続し、給水タンク80から筐体10への水の供給が可能となる。これにより、給水タンク80から筐体10への水の供給を簡易にかつ確実に実現することができる。先述した様に、給水タンク80はその下端を軸として、筐体10に取り外し可能であり(
図4参照)、給水管41の接続端62と汲み上げ管86の接続端84は、この様な操作に対応する位置関係になっている。作業者は位置合わせを特に意識することなく、給水タンク80の着脱を行うことができる。
【0023】
また、筐体10の前面にはスプリング式ロック爪63が設けられている。上述の給水タンク80の取り付け作業時に、給水タンク80に設けられた嵌合凹部87(
図6参照)と、スプリング式ロック爪63が嵌合し、給水タンク80は筐体10に確実に固定される。
【0024】
以上の様に、本実施形態の滅菌器100によれば、筐体10のいずれかの外面に対して給水タンク80が着脱自在に取り付けられており、給水タンク80への水の補給を容易に行うとともに、給水タンク80のメンテナンスも容易に行うことができる。また、作業者が筐体10から給水タンク80を取り外した状態で、水を給水タンク80に注ぐため、医療器具に水がかかってしまうことを防止することができる。更には貯留可能な水の量を増やすこともできる。特に本実施形態では、給水タンク80が筐体10の前面60に対し、取り外し可能となっているため、給水タンク80の装着、取り外し作業が容易となり、取り扱い性が向上するとともに作業性が向上する。
【0025】
次に、主としてチャンバー40の構成を説明する。
図7はチャンバー40の内部を斜め上方から示している。筐体10の背面から、外部からの電力を供給するための電源コード70が延出している。
図8(B)~
図12(B)は、
図8(A)~
図12(A)における破線に沿った筐体10の断面及びチャンバー40の断面を示している。尚、
図8(B)~
図12(B)において、収納かご50は図示されていない。
【0026】
チャンバー40は略円筒形状を有しており、底面48はドーム状の曲面に形成されるとともに、側面49が底面48から上方に円筒形状に延びている。底面48にはチャンバー40の内部に給水するための給水口45と、チャンバー40の内部から外部へ排水するための排水口46が設けられている。側面49にはチャンバー40の内部にエアを供給するエア吹出し口43と、チャンバー40の内部からエアを排出するエア排出口47が設けられている。更にチャンバー40の底面48には、チャンバー40の内部の水を加熱する加熱部(ヒーター)42が設けられている。
【0027】
図13は、医療器具であるハンドピースHを収容したチャンバー40の概念図である。
本図においては収納かご50が破線で示されている。ハンドピースHは収納かご50の中で起立した状態で収納されている。そして、チャンバー40の内部において、収納されたハンドピースHの収納位置より下側の位置に、少なくとも給水口45が形成される。更に、滅菌工程において給水される水Wは、収納されたハンドピースHの収納位置より常に下に位置するように、給水される水Wの量が設定されている。
【0028】
給水口45がハンドピースHの収納位置より下側の位置に形成されることにより、給水口45から供給される水は、直接ハンドピースHに当たることを防止することができる。これにより、ハンドピースHの乾燥状態を維持しやすく、速やかに滅菌を行うことができる。特に給水される水がハンドピースHの収納位置より常に下に位置するように制御されており、より確実にハンドピースHの乾燥状態を維持し、滅菌を速やかに行うことができる。
【0029】
エア吹出し口43は側面49の上面近くに形成され、底面48に形成された給水口45とは独立して形成される。エア吹出し口43は、収納されたハンドピースHの収納位置より上側に位置する。このような構成によれば、エア吹出し口34の内部に水が貯留することを抑制できるため、ハンドピースHの乾燥時におけるエア吹出し口34からのエア供給において、エア吹出し口34に残っている水が噴き出す事態を防止することができる。よって、水がハンドピースHに当たることを防止することができ、乾燥性能を向上することができる。また、エアを供給する管と水を供給する管を分離することになり、管の耐久度を別々にすることができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0030】
また、本実施形態では、給水口45と排水口46は、チャンバー40の底面48に同一の開口によって形成されている。この様な構成によれば、例えば用いるフィルターを共通化することを含め、構成を簡易にすることができる。また、給水口45と排水口46が底面48に形成されることにより、水は、直接ハンドピースHに当たることを防止することができる。
【0031】
更に、チャンバー40の側面49には、チャンバー40の内部の温度を検出する温度検出部44が露出している。温度検出部44は、チャンバー40の内部において水が貯留する位置の上方に設けられる。温度検出部44が濡れることを抑制し、より正確な温度測定が可能となる。
【0032】
また、チャンバー40に対しハンドピースHを出し入れする開口が上方向を向き、給水口45及び排水口46はチャンバー40の底面48に形成される。これにより、収納かご50とともにハンドピースHの出し入れが容易となる。
【0033】
上述した様にチャンバー40の内部に収納される医療器具は、例えば歯科で用いられるハンドピースHであり、ハンドピースHは起立した状態で収納される。これにより、ハンドピースHの乾燥を促進することができる。
【0034】
図14は、滅菌システム1のブロック図である。医療器具を収納するチャンバー40に対する媒体(水及びエア)の供給及び排出の系統の観点から、滅菌システム1は、(1)低温低圧水系、(2)高温高圧水系、(3)エア系、(4)高温高圧エア系の四つに分類される。
図14では、それぞれの系は異なる線で表されている。
【0035】
(1)低温低圧水系は通常の水を供給する系であり、給水タンク80→水フィルター131→水ポンプ132の流れに沿って水を供給する。(2)高温高圧水系は、水ポンプ132によって高圧化された水を供給するとともに、チャンバー40から高温高圧の水や水蒸気を排出する系である。まず、水ポンプ132→給水口45→チャンバー40の流れに沿って水を供給する。水はチャンバー40の加熱部42によって加熱されて蒸気化し、チャンバー40に収納された医療器具を滅菌する。
【0036】
滅菌工程終了後に残存した高温高圧水は、排水口46は、排水弁151、排水チューブ120を経由して、排水タンク110に排水される。水のチャンバー40からの排水時には排水弁151が開き、水ポンプ132が停止する。
【0037】
(3)エア系は通常の乾燥エアを細菌フィルター141→乾燥ポンプ142→逆止弁143の流れに沿って供給する。(4)高温高圧エア系は、逆止弁143によって高圧化されたエアを、安全弁144、校正コネクタ145を経由して圧力を調整し、エア吹出し口43からチャンバー40に供給し、医療器具を乾燥する。さらに乾燥終了後、高温高圧のエアは、チャンバー40のエア排出口47から圧力センサ161、排気弁162、排水チューブ120を経由して、排水タンク110に送られる。
【0038】
(1)低温低圧水系と(2)高温高圧水系により、水をチャンバー40に供給し、水蒸気により医療器具を滅菌し、排水した後、(3)エア系と(4)高温高圧エア系によりエアをチャンバー40に供給し、医療器具を乾燥する。
【0039】
本実施形態では、チャンバー40の底面、すなわち下方において水を給水口45、排水口46を経由して供給、排出するため、医療器具に水を直接当てることを抑制することができる。また、水ポンプ132から(3)エア系、(4)高温高圧エア系に水を供給することがないため、水がエア吹出し口43からチャンバー40に供給されることを防止し、医療器具の乾燥を円滑に行うことができる。
【0040】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
【0041】
(1)筐体と、
前記筐体の内部に配置され、医療器具を収納するチャンバーと、
前記チャンバーの内部に給水するための給水口と、
前記チャンバーの内部から外部へ排水するための排水口と、
前記チャンバーの内部にエアを供給するエア吹出し口と、
前記チャンバーの内部からエアを排出するエア排出口と、
前記チャンバーの内部の水を加熱する加熱部と、を備えた滅菌器であって、
前記チャンバーの内部において、前記給水口は、収納された医療器具の収納位置より下側の位置に形成されている、滅菌器。
これにより、給水口から供給される水が、直接医療器具に当たることを防止することができ、医療器具の乾燥状態を維持しやすく、速やかに滅菌を行うことができる。
【0042】
(2)(1)に記載の滅菌器であって、
滅菌工程において給水される水は、収納された医療器具の収納位置より常に下に位置するように、給水される水の量が設定されている、滅菌器。
これにより、より確実に医療器具の乾燥状態を維持し、滅菌を速やかに行うことができる。
【0043】
(3)(1)1または(2)に記載の滅菌器であって、
前記エア吹出し口と前記給水口がそれぞれ独立して形成されるとともに、前記エア吹出し口は、収納された医療器具の収納位置より上側に位置する、滅菌器。
これにより、エア吹出し口の内部に水が貯留することを抑制できるため、エア吹出し口に残っているエアが噴き出す事態を防止することができる。
【0044】
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の滅菌器であって、
前記給水口と前記排水口が同一の開口によって形成される、滅菌器。
これにより、構成を簡易にすることができる。
【0045】
(5)(4)に記載の滅菌器であって、
前記給水口と前記排水口が前記チャンバーの底面に形成される、滅菌器。
これにより、水が直接医療器具に当たることを防止することができる。
【0046】
(6)(3)に記載の滅菌器であって、
前記チャンバーの内部の温度を検出する温度検出部が、前記チャンバーの内部において水が貯留する位置の上方に設けられる、滅菌器。
これにより、
【0047】
更に、チャンバー40の側面49には、チャンバー40の内部の温度を検出する温度検出部44が露出している。温度検出部44は、チャンバー40の内部において水が貯留する位置の上方に設けられる。温度検出部が濡れることを抑制し、より正確な温度測定が可能となる。
【0048】
(7)(1)から(6)のいずれかに記載の滅菌器であって、
前記チャンバーに対し医療器具を出し入れする開口が上方向を向き、前記給水口及び前記排水口は前記チャンバーの底面に形成される、滅菌器。
これにより、医療器具の出し入れが容易となる。
【0049】
(8)(1)から(7)のいずれかに記載の滅菌器であって、
前記チャンバーの内部に収納される医療器具はハンドピースであり、当該ハンドピースは起立した状態で収納される、滅菌器。
これにより、医療器具の乾燥を促進することができる。
【0050】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0051】
1 滅菌システム
10 筐体
20 蓋体
21 蓋ロックレバー
30 操作パネル
40 チャンバー
41 給水管
42 加熱部
43 エア吹出し口
44 温度検出部
45 給水口
46 排水口
47 エア排出口
48 底面
49 側面
50 収納かご
51 把持部
60 前面
61 受け部
62 給水管の接続端
70 電源コード
80 給水タンク
81 手掛け部
82 窓部
83 水取り込み口
84 汲み上げ管の接続端
85 貯水部
86 汲み上げ管
100 滅菌器
110 排水タンク
120 排水チューブ
131 水フィルター
132 水ポンプ
141 細菌フィルター
142 乾燥ポンプ
143 逆止弁
144 安全弁
145 校正コネクタ
151 排水弁
161 圧力センサ
162 排気弁
H ハンドピース(医療器具)