IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧 ▶ 横河メータ&インスツルメンツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-差動増幅器 図1
  • 特開-差動増幅器 図2
  • 特開-差動増幅器 図3
  • 特開-差動増幅器 図4
  • 特開-差動増幅器 図5
  • 特開-差動増幅器 図6
  • 特開-差動増幅器 図7
  • 特開-差動増幅器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055237
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】差動増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20220331BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
H03F3/45
H03F3/68
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162723
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】吉原 智朗
(72)【発明者】
【氏名】光永 克規
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和輝
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AC53
5J500AC62
5J500AC72
5J500AF15
5J500AH02
5J500AH09
5J500AH25
5J500AK01
5J500AK02
5J500AK03
5J500AK05
5J500AK23
5J500AM01
5J500AM02
5J500AM05
5J500AM06
5J500AT01
5J500AT03
5J500DM02
5J500DM03
5J500DM04
5J500DP01
(57)【要約】
【課題】高いCMRR、高い入力インピーダンス及び広い周波数帯域を有することが可能な差動増幅器を提供する。
【解決手段】本開示に係る差動増幅回路1は、2つの信号の差分を増幅する。差動増幅器1は、2つの信号の一方の信号が入力される第1のバッファ回路21と、2つの信号の他方の信号が入力される第2のバッファ回路22と、第1のバッファ回路21の出力信号と第2のバッファ回路22の出力信号との差分を増幅する第1の差動増幅回路11と、第1のバッファ回路21の出力信号と第2のバッファ回路22の出力信号との差分を、第1の差動増幅回路11とは反対の極性で増幅する第2の差動増幅回路12と、第1の差動増幅回路11の出力信号と第2の差動増幅回路12の出力信号との差分を増幅する第3の差動増幅回路13と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの信号の差分を増幅する差動増幅器であって、
前記2つの信号の一方の信号が入力される第1のバッファ回路と、
前記2つの信号の他方の信号が入力される第2のバッファ回路と、
前記第1のバッファ回路の出力信号と前記第2のバッファ回路の出力信号との差分を増幅する第1の差動増幅回路と、
前記第1のバッファ回路の出力信号と前記第2のバッファ回路の出力信号との差分を、前記第1の差動増幅回路とは反対の極性で増幅する第2の差動増幅回路と、
前記第1の差動増幅回路の出力信号と前記第2の差動増幅回路の出力信号との差分を増幅する第3の差動増幅回路と、
を備える、差動増幅器。
【請求項2】
請求項1に記載の差動増幅器において、
前記第1の差動増幅回路、前記第2の差動増幅回路及び前記第3の差動増幅回路は、それぞれ、オペアンプと、4つの抵抗とを備える、差動増幅器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の差動増幅器において、
前記第1のバッファ回路及び前記第2のバッファ回路は、それぞれ、ボルテージフォロワ回路である、差動増幅器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の差動増幅器において、
前記第1のバッファ回路及び前記第2のバッファ回路は、それぞれ、ソースフォロワとエミッタフォロワとを組み合わせた回路である、差動増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、差動増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの信号の差分を増幅して出力する差動増幅器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
差動増幅器の特性として、同相信号除去比(CMRR:Common Mode Rejection Ratio)がある。差動増幅器は、高いCMRRを有することが好ましい。
【0004】
また、差動増幅器は、測定対象への影響を小さくするため、高い入力インピーダンスを有することが好ましい。
【0005】
また、差動増幅器は、広い周波数帯域を有することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-127443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
差動増幅器の特性として、高いCMRR、高い入力インピーダンス及び広い周波数帯域を有することが望まれている。
【0008】
そこで、本開示は、高いCMRR、高い入力インピーダンス及び広い周波数帯域を有することが可能な差動増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
幾つかの実施形態に係る差動増幅器は、2つの信号の差分を増幅する差動増幅器であって、前記2つの信号の一方の信号が入力される第1のバッファ回路と、前記2つの信号の他方の信号が入力される第2のバッファ回路と、前記第1のバッファ回路の出力信号と前記第2のバッファ回路の出力信号との差分を増幅する第1の差動増幅回路と、前記第1のバッファ回路の出力信号と前記第2のバッファ回路の出力信号との差分を、前記第1の差動増幅回路とは反対の極性で増幅する第2の差動増幅回路と、前記第1の差動増幅回路の出力信号と前記第2の差動増幅回路の出力信号との差分を増幅する第3の差動増幅回路と、を備える。このような差動増幅器によれば、高いCMRR、高い入力インピーダンス及び広い周波数帯域を有することが可能である。
【0010】
一実施形態に係る差動増幅器において、前記第1の差動増幅回路、前記第2の差動増幅回路及び前記第3の差動増幅回路は、それぞれ、オペアンプと、4つの抵抗とを備えてもよい。これにより、4つの抵抗の抵抗値を調整することで、第1の差動増幅回路、第2の差動増幅回路及び第3の差動増幅回路を所望の特性に調整することができる。
【0011】
一実施形態に係る差動増幅器において、前記第1のバッファ回路及び前記第2のバッファ回路は、それぞれ、ボルテージフォロワ回路であってもよい。これにより、第1のバッファ回路及び第2のバッファ回路を高い入力インピーダンスを有する回路とすることができる。
【0012】
一実施形態に係る差動増幅器において、前記第1のバッファ回路及び前記第2のバッファ回路は、それぞれ、ソースフォロワとエミッタフォロワとを組み合わせた回路であってもよい。これにより、第1のバッファ回路及び第2のバッファ回路を高い入力インピーダンスを有する回路とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、高いCMRR、高い入力インピーダンス及び広い周波数帯域を有することが可能な差動増幅器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る差動増幅器の概略構成を示す図である。
図2】第1の差動増幅回路の構成の一例を示す図である。
図3】第1のバッファ回路の構成の一例を示す図である。
図4】第1のバッファ回路の構成の他の例を示す図である。
図5】比較例に係る差動増幅器の概略構成を示す図である。
図6】CMRRの一例を示すグラフである。
図7】入力インピーダンスの一例を示すグラフである。
図8】一実施形態に係る差動増幅器とアッテネータとを組み合わせた構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、一実施形態に係る差動増幅器1の概略構成を示す図である。図1を参照して、差動増幅器1の構成及び機能の概略について説明する。
【0017】
差動増幅器1は、第1の差動増幅回路11と、第2の差動増幅回路12と、第3の差動増幅回路13と、第1のバッファ回路21と、第2のバッファ回路22とを備える。また、差動増幅器1は、入出力端子として、入力端子31と、入力端子32と、出力端子33とを備える。
【0018】
差動増幅器1は、入力端子31及び入力端子32に入力される2つの信号の差分を増幅し、増幅した信号を出力端子33に出力する。差動増幅器1に入力される2つの信号の一方の信号は入力端子31に入力され、他方の信号は入力端子32に入力される。
【0019】
第1の差動増幅回路11は、入出力ポートとして、入力ポートP1と、入力ポートP2と、出力ポートP3とを備える。第1の差動増幅回路11は、入力ポートP1及び入力ポートP2に入力される2つの信号の差分を増幅し、増幅した信号を出力ポートP3に出力する。第1の差動増幅回路11に入力される2つの信号の一方の信号は入力ポートP1に入力され、他方の信号は入力ポートP2に入力される。
【0020】
第2の差動増幅回路12及び第3の差動増幅回路13は、第1の差動増幅回路11と同じ構成である。第2の差動増幅回路12及び第3の差動増幅回路13の構成については、説明を省略する。
【0021】
第1のバッファ回路21は、入出力ポートとして、入力ポートP4と、出力ポートP5とを備える。第1のバッファ回路21は、入力ポートP4に入力された信号を、そのまま出力ポートP5から出力する。入力ポートP4は、高い入力インピーダンスを有する。出力ポートP5は、低い出力インピーダンスを有する。
【0022】
なお、入力ポートP4に入力された信号が、そのまま出力ポートP5から出力されるとは、出力ポートP5から出力される信号が入力ポートP4に入力される信号と完全に同一である場合のみを意味するのではない。入力ポートP4に入力された信号と、出力ポートP5から出力される信号とがほぼ同程度である場合も含む。
【0023】
第2のバッファ回路22は、第1のバッファ回路21と同じ構成である。第2のバッファ回路22の構成については、説明を省略する。
【0024】
続いて、第1のバッファ回路21、第2のバッファ回路22、第1の差動増幅回路11、第2の差動増幅回路12及び第3の差動増幅回路13の電気的な接続について説明する。
【0025】
第1のバッファ回路21の入力ポートP4は、入力端子31と接続されている。第1のバッファ回路21の出力ポートP5は、第1の差動増幅回路11の入力ポートP1と、第2の差動増幅回路12の入力ポートP2とに接続されている。
【0026】
第2のバッファ回路22の入力ポートP4は、入力端子32と接続されている。第2のバッファ回路22の出力ポートP5は、第1の差動増幅回路11の入力ポートP2と、第2の差動増幅回路12の入力ポートP1とに接続されている。
【0027】
第1の差動増幅回路11の入力ポートP1は、第1のバッファ回路21の出力ポートP5と、第2の差動増幅回路12の入力ポートP2とに接続されている。第1の差動増幅回路11の入力ポートP2は、第2のバッファ回路22の出力ポートP5と、第2の差動増幅回路12の入力ポートP1とに接続されている。第1の差動増幅回路11の出力ポートP3は、第3の差動増幅回路13の入力ポートP1と接続されている。
【0028】
第2の差動増幅回路12の入力ポートP1は、第2のバッファ回路22の出力ポートP5と、第1の差動増幅回路11の入力ポートP2とに接続されている。第2の差動増幅回路12の入力ポートP2は、第1のバッファ回路21の出力ポートP5と、第1の差動増幅回路11の入力ポートP1とに接続されている。第2の差動増幅回路12の出力ポートP3は、第3の差動増幅回路13の入力ポートP2と接続されている。
【0029】
第3の差動増幅回路13の入力ポートP1は、第1の差動増幅回路11の出力ポートP3と接続されている。第3の差動増幅回路13の入力ポートP2は、第2の差動増幅回路12の出力ポートP3と接続されている。第3の差動増幅回路13の出力ポートP3は、出力端子33と接続されている。
【0030】
このような接続となっているため、第1の差動増幅回路11は、第1のバッファ回路21の出力信号と、第2のバッファ回路22の出力信号との差分を増幅する。
【0031】
また、第2の差動増幅回路12は、第1のバッファ回路21の出力信号と、第2のバッファ回路22の出力信号との差分を増幅する。ここで、第2の差動増幅回路12の入力ポートP1及びP2に対する第1のバッファ回路21及び第2のバッファ回路22の接続は、第1の差動増幅回路11の入力ポートP1及びP2に対する第1のバッファ回路21及び第2のバッファ回路22の接続と逆である。したがって、第2の差動増幅回路12は、第1のバッファ回路21の出力信号と、第2のバッファ回路22の出力信号との差分を、第1の差動増幅回路11とは反対の極性で増幅する。
【0032】
また、第3の差動増幅回路13は、第1の差動増幅回路11の出力信号と、第2の差動増幅回路12の出力信号との差分を増幅する。
【0033】
図1に示すように、差動増幅器1は、差動増幅回路を2段で接続した構成である。1段目の差動増幅回路は、第1の差動増幅回路11と第2の差動増幅回路12である。2段目の差動増幅回路は、第3の差動増幅回路13である。
【0034】
1段目の差動増幅回路である第1の差動増幅回路11は、固有のCMRR特性を有する。第1の差動増幅回路11は、第1の差動増幅回路11が有するCMRR特性により同相信号を抑圧する。
【0035】
同様に、1段目の差動増幅回路である第2の差動増幅回路12も、第2の差動増幅回路12が有するCMRR特性により同相信号を抑圧する。
【0036】
したがって、2段目の差動増幅回路である第3の差動増幅回路13に入力される信号は、1段目の差動増幅回路である第1の差動増幅回路11及び第2の差動増幅回路12によって同相信号が抑制された信号である。第3の差動増幅回路13は、このような同相信号が抑制された入力信号に対し、第3の差動増幅回路13が有するCMRR特性により、さらに同相信号を抑圧する。
【0037】
このように、差動増幅器1は、2段に接続された差動増幅回路によって同相信号を抑圧するため、高いCMRRを有する。
【0038】
また、差動増幅器1の入力端子31は、第1のバッファ回路21に接続され、入力端子32は、第2のバッファ回路22に接続されている。第1のバッファ回路21及び第2のバッファ回路22は高い入力インピーダンスを有するため、差動増幅器1は、高い入力インピーダンスを有する。
【0039】
図2に第1の差動増幅回路11の構成の一例を示す。なお、第1の差動増幅回路11が図2に示すような構成である場合、第2の差動増幅回路12及び第3の差動増幅回路13も、図2に示すような構成である。
【0040】
第1の差動増幅回路11は、オペアンプ15と、抵抗R1~R4とを備える。
【0041】
抵抗R2の一端は、入力ポートP1と接続されている。抵抗R2の他端は、抵抗R1の一端と、オペアンプ15の反転入力端子とに接続されている。
【0042】
抵抗R1の一端は、抵抗R2の他端と、オペアンプ15の反転入力端子とに接続されている。抵抗R1の他端は、オペアンプ15の出力端子と、出力ポートP3とに接続されている。
【0043】
抵抗R3の一端は、入力ポートP2と接続されている。抵抗R3の他端は、抵抗R4の一端と、オペアンプ15の非反転入力端子とに接続されている。
【0044】
抵抗R4の一端は、抵抗R3の他端と、オペアンプ15の非反転入力端子とに接続されている。抵抗R4の他端はグランドに接続されている。
【0045】
図2に示す第1の差動増幅回路11において、入力ポートP1から見た同相信号に対する入力インピーダンスZinc-と、入力ポートP2から見た同相信号に対する入力インピーダンスZinc+とは、それぞれ、以下の式(1)及び式(2)のようになる。
【数1】
【数2】
【0046】
また、図2に示す第1の差動増幅回路11において、入力ポートP1から見た差動信号に対する入力インピーダンスZind-と、入力ポートP2から見た差動信号に対する入力インピーダンスZind+とは、それぞれ、以下の式(3)及び式(4)のようになる。
【数3】
【数4】
【0047】
図2に示す第1の差動増幅回路11は、オペアンプ15の出力をR1によってオペアンプ15の反転入力端子に戻す負帰還の構成となっている。このような構成の場合、第1の差動増幅回路11の周波数帯域は、オペアンプ15の入力容量、オペアンプ15を基板などに実装したときの入力端子及び出力端子における寄生容量などによって狭くなる。この際、抵抗R1が大きいほど、第1の差動増幅回路11の周波数帯域は狭くなる。
【0048】
第1の差動増幅回路11の周波数帯域を広くする場合、抵抗R1の大きさを小さくする必要があり、それに伴って抵抗R2~R4の大きさも小さくする必要がある。この場合、第1の差動増幅回路11の入力インピーダンスは小さくなる。また、第2の差動増幅回路12は第1の差動増幅回路11と同じ構成であるため、第2の差動増幅回路12の入力インピーダンスも小さくなる。
【0049】
しかしながら、差動増幅器1は、第1の差動増幅回路11及び第2の差動増幅回路12の前段に第1のバッファ回路21及び第2のバッファ回路22を備えているため、第1の差動増幅回路11及び第2の差動増幅回路12の入力インピーダンスが小さくても、差動増幅器1の入力インピーダンスは大きい。したがって、差動増幅器1は、高い入力インピーダンスと広い周波数帯域とを両立することができる。
【0050】
図3に第1のバッファ回路21の構成の一例を示す。なお、第1のバッファ回路21が図3に示すような構成である場合、第2のバッファ回路22も図3に示すような構成である。
【0051】
図3に示す第1のバッファ回路21は、ボルテージフォロワ回路である。第1のバッファ回路21は、オペアンプ25を備える。
【0052】
オペアンプ25の非反転入力端子は、入力ポートP4と接続されている。オペアンプ25の反転入力端子は、オペアンプ25の出力端子と、出力ポートP5とに接続されている。すなわち、図3に示す第1のバッファ回路21は、オペアンプ25の出力を反転入力端子に戻す負帰還の構成となっている。
【0053】
図4に第1のバッファ回路21の構成の他の例を示す。なお、第1のバッファ回路21が図4に示すような構成である場合、第2のバッファ回路22も図4に示すような構成である。
【0054】
図4に示す第1のバッファ回路21は、ソースフォロワとエミッタフォロワとを組み合わせた回路である。第1のバッファ回路21は、FET(Field Effect Transistor)43と、トランジスタ44と、抵抗R5と、電流源26とを備える。FET43は、例えば、JFET(Junction Field Effect Transistor)であってよい。トランジスタ44は、例えば、バイポーラトランジスタであってよい。
【0055】
FET43のドレインは、プラス電源41と接続されている。FET43のゲートは、入力ポートP4と接続されている。FET43のソースは、トランジスタ44のベースと、抵抗R5の一端とに接続されている。
【0056】
トランジスタ44のコレクタは、プラス電源41と接続されている。トランジスタ44のベースは、FET43のソースと、抵抗R5の一端とに接続されている。トランジスタ44のエミッタは、抵抗R5の他端と、電流源26の一端と、出力ポートP5とに接続されている。
【0057】
抵抗R5の一端は、FET43のソースと、トランジスタ44のベースとに接続されている。抵抗R5の他端は、トランジスタ44のエミッタと、電流源26の一端と、出力ポートP5とに接続されている。
【0058】
電流源26の一端は、抵抗R5の他端と、トランジスタ44のエミッタと、出力ポートP5とに接続されている。電流源26の他端は、マイナス電源42と接続されている。マイナス電源42は、グランドであってよい。
【0059】
図4に示すように、FET43は、ソースフォロワを構成している。また、トランジスタ44は、エミッタフォロワを構成している。
【0060】
(比較例)
図5に、比較例に係る差動増幅器101の概略構成を示す。比較例に係る差動増幅器101は、図1に示した第1のバッファ回路21及び第2のバッファ回路22を備えていないという点で、図1に示した差動増幅器1と相違する。
【0061】
比較例に係る差動増幅器101において、第1の差動増幅回路11及び第2の差動増幅回路12が、図2に示すような構成である場合、周波数帯域を広くするためには抵抗R1~R4を小さくする必要がある。抵抗R1~R4を小さくすると、第1の差動増幅回路11及び第2の差動増幅回路12の入力インピーダンスは小さくなる。
【0062】
そうすると、比較例に係る差動増幅器101の入力インピーダンスは、第1の差動増幅回路11と第2の差動増幅回路12とを並列に接続した構成の入力インピーダンスに相当するため、差動増幅器101の入力インピーダンスは小さくなる。したがって、比較例に係る差動増幅器101は、図1に示した差動増幅器1とは異なり、高い入力インピーダンスと広い周波数帯域とを両立することができない。
【0063】
(シミュレーション結果)
図6に、本実施形態に係る差動増幅器1及び比較例に係る差動増幅器101のCMRRのシミュレーション結果の一例を示す。図6において、横軸は周波数を示し、縦軸はCMRRを示す。
【0064】
本実施形態に係る差動増幅器1のCMRRと、比較例に係る差動増幅器101のCMRRとは、いずれも図6において符号61で示す特性である。このように、本実施形態に係る差動増幅器1及び比較例に係る差動増幅器101のいずれも、高いCMRRを有する。これは、本実施形態に係る差動増幅器1及び比較例に係る差動増幅器101のいずれも、差動増幅回路を2段で接続した構成であることによる。差動増幅回路を2段で接続した構成ではない従来の差動増幅器の場合、CMRRは、例えば低周波数領域で80数dB程度である。これに対し、本実施形態に係る差動増幅器1及び比較例に係る差動増幅器101は、低周波数領域で140dB程度という高いCMRRを有する。
【0065】
図7に、本実施形態に係る差動増幅器1及び比較例に係る差動増幅器101の入力インピーダンスのシミュレーション結果の一例を示す。図6において、横軸は周波数を示し、縦軸は入力インピーダンスを示す。
【0066】
本実施形態に係る差動増幅器1の入力インピーダンスは、図7において符号71で示す特性である。比較例に係る差動増幅器101の入力インピーダンスは、図7において符号72で示す特性である。このように、本実施形態に係る差動増幅器1は、比較例に係る差動増幅器101に比べて、高い入力インピーダンスを有する。これは、本実施形態に係る差動増幅器101が第1のバッファ回路21及び第2のバッファ回路22を備えていることによる。
【0067】
(使用例)
本実施形態に係る差動増幅器1は、様々な用途で用いることができる。例えば、本実施形態に係る差動増幅器1とアッテナータとを組み合わせた構成を、プローブ又は測定器の入力部に用いることができる。
【0068】
図8に、本実施形態に係る差動増幅器1とアッテネータ40とを組み合わせた構成の一例を示す。図8に示す例では、アッテネータ40は、抵抗で構成された分圧回路である。差動増幅器1が高い入力インピーダンスを有するため、アッテネータ40は、差動増幅器1の入力インピーダンスの影響を受けずに、精度の高い減衰比を得ることができる。
【0069】
本実施形態に係る差動増幅器1は、各種信号を検出するセンサ用に用いることもできる。本実施形態に係る差動増幅器1は、高いCMRRを有するため、ノイズの入りやすい環境で使用された場合、同相信号であるノイズを十分に抑圧することができる。また、本実施形態に係る差動増幅器1は、高い入力インピーダンスを有するため、検出対象の信号に影響を与えずに、微弱な信号を検出することができる。
【0070】
以上のような一実施形態に係る差動増幅器1によれば、高いCMRR、高い入力インピーダンス及び広い周波数帯域を有することが可能となる。より具体的には、差動増幅器1は、差動増幅回路を2段で接続した構成である。すなわち、1段目の差動増幅回路は、第1の差動増幅回路11と第2の差動増幅回路12であり、2段目の差動増幅回路は、第3の差動増幅回路13である。このように差動増幅回路が2段の構成となっていることにより、差動増幅器1は、高いCMRRを有することができる。また、差動増幅器1は、2つの信号の入力部に、高い入力インピーダンスを有する第1のバッファ回路21及び第2のバッファ回路22を備える。これにより、差動増幅器1は、高い入力インピーダンスを有することができる。また、差動増幅器1は、第1のバッファ回路21及び第2のバッファ回路22を備えるため、後段の第1の差動増幅回路11、第2の差動増幅回路12及び第3の差動増幅回路13を広い周波数帯域を有する構成としても、高い入力インピーダンスを有することができる。
【0071】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。従って、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含される。
【0072】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0073】
上述した実施形態において、第1の差動増幅回路11の構成の一例を図2に示したが、第1の差動増幅回路11の構成は図2に示した構成に限定されない。第1の差動増幅回路11は、任意の構成の差動増幅回路であってよい。
【0074】
上述した実施形態において、第1の差動増幅回路11、第2の差動増幅回路12及び第3の差動増幅回路13が同じ構成であるとして説明したが、必ずしも同じ構成でなくてもよい。例えば、第1の差動増幅回路11と第2の差動増幅回路12とは同じ構成で、第3の差動増幅回路13は、第1の差動増幅回路11及び第2の差動増幅回路12とは異なる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 差動増幅器
11 第1の差動増幅回路
12 第2の差動増幅回路
13 第3の差動増幅回路
15 オペアンプ
21 第1のバッファ回路
22 第2のバッファ回路
25 オペアンプ
26 電流源
31 入力端子
32 入力端子
33 出力端子
40 アッテネータ
41 プラス電源
42 マイナス電源
43 FET
44 トランジスタ
101 差動増幅器
P1 入力ポート
P2 入力ポート
P3 出力ポート
P4 入力ポート
P5 出力ポート
R1~R5 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8