(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055261
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】転圧ロボット
(51)【国際特許分類】
E01C 19/34 20060101AFI20220331BHJP
E01C 19/26 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
E01C19/34 Z
E01C19/26
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162755
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593027716
【氏名又は名称】株式会社エステック
(71)【出願人】
【識別番号】517055416
【氏名又は名称】フィールド開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】吉本 正浩
(72)【発明者】
【氏名】足立 倫海
(72)【発明者】
【氏名】諏訪田 浩明
(72)【発明者】
【氏名】菊池 奈保美
(72)【発明者】
【氏名】田中 健嗣
(72)【発明者】
【氏名】椙島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 直信
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA06
2D052AB01
2D052AD16
2D052BB05
2D052BC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】転圧作業を自動化し、作業員の負担の軽減を図ることが可能な転圧ロボットを提供する。
【解決手段】転圧ロボット100の構成は、溝の中に配置された地中管路の上に被せた土18を締め固める転圧ロボット100であって、本体部110と、本体部110の前後方向の一方側に配置された左右一対の車輪120と、本体部110の前後方向の他方側に配置され土を締め固めるブレード板130と、前後方向の障害物を検出する前後センサ160と、左右方向の障害物を検出する左右センサ170と、左右一対の車輪120を個別に駆動する駆動部140と、駆動部140を制御する制御部150とを備え、制御部150は、前後センサからの信号に基づいて進行方向を切り替え、左右センサ170からの信号に基づいて溝の壁面に倣いながら走行することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝の中に配置された地中管路の上に被せた土を締め固める転圧ロボットであって、
本体部と、
前記本体部の前後方向の一方側に配置された左右一対の車輪と、
前記本体部の前後方向の他方側に配置され前記土を締め固めるブレード板と、
前後方向の障害物を検出する前後センサと、
左右方向の障害物を検出する左右センサと、
前記左右一対の車輪を個別に駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記前後センサからの信号に基づいて進行方向を切り替え、前記左右センサからの信号に基づいて溝の壁面に倣いながら走行することを特徴とする転圧ロボット。
【請求項2】
前記ブレード板は、地面に対向する底面と、該底面の前端から上方に向かって傾斜する前斜面と、該底面の後端から上方に向かって傾斜する後斜面とを有し、
前記底面と前記前斜面との角度および前記底面と前記後斜面との角度は、一方が他方よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の転圧ロボット。
【請求項3】
前記底面は、前記前斜面または前記後斜面のいずれか一方に向かって上方に傾斜することを特徴とする請求項1または2に記載の転圧ロボット。
【請求項4】
幅方向に回転自在であって前記本体部と前記ブレード板とを連結するヒンジを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の転圧ロボット。
【請求項5】
前記本体部に搭載された太陽光パネルを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の転圧ロボット。
【請求項6】
締め固める地面を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影した映像を送信する通信部とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の転圧ロボット。
【請求項7】
請求項6に記載の転圧ロボットを用いた転圧システムであって、
前記転圧ロボットを操作する操作端末を含み、
前記転圧ロボットは、前記通信部を介して前記カメラで撮影した映像を前記操作端末に送信し、
前記操作端末は、前記転圧ロボットから送信された映像を表示することを特徴とする転圧システム。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の転圧ロボットを用いた転圧方法であって、
前記前後センサによって前後方向の障害物を検出しつつ、前記左右センサによって左右方向の障害物を検出し、
前記前後センサからの信号に基づいて進行方向を切り替え、前記左右センサからの信号に基づいて溝の壁面に倣いながら、前記溝内で前記転圧ロボットを往復走行させることにより、溝内の土を締め固めることを特徴とする転圧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝の中に配置された地中管路の上に被せた土を締め固める転圧ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、都市における景観への配慮や安全性という観点から地中配線の普及が進んでいる。地中配線では、地中に配管(地中管路)を埋設し、かかる配管内に電力ケーブルや通信ケーブル等を敷設する。そして、配管の上面から30cm程度の高さまで土を被せて砂埋めを行った後に、ランマーやタンパ等の転圧機器を用いて土を締め固める。
【0003】
転圧機器としては、例えば特許文献1に開示されたタンピングランマーを挙げることができる。なお特許文献1のタンピングランマーの特徴は、エンジンもしくは機体内の燃料タンクとの間にオートコック機構を備えている。オートコック機構は、エンジンの回転もしくは機体内の機械的運動によって生ずる正圧・負圧の圧力変動により開閉して、燃料をエンジンへ供給する負圧バルブによって構成される。特許文献1によれば、オートコック機構を備えることにより、作業が終了した際に、燃料供給路を自動的に遮断することが可能であるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のダンピングランマーのような転圧機器を用いた従来の作業は、作業員による人力の作業である。1台70kg程度の重さを有する転圧機器を現場に搬入し、それを用いて振動作業を行うことは極めて重労働であり、作業員への負担が大きい。また転圧機器の取り扱いには作業員の経験と技量が求められると共に、現状では、転圧作業の完了の判断は作業員の経験に委ねられている。更に、転圧作業が作業員によって行われる作業であることにより、転圧作業を行っている間は、他の作業を行うことが可能な作業員の人数が減ってしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、転圧作業を自動化し、作業員の負担の軽減を図ることが可能な転圧ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる転圧ロボットの代表的な構成は、溝の中に配置された地中管路の上に被せた土を締め固める転圧ロボットであって、本体部と、本体部の前後方向の一方側に配置された左右一対の車輪と、本体部の前後方向の他方側に配置され前記土を締め固めるブレード板と、前後方向の障害物を検出する前後センサと、左右方向の障害物を検出する左右センサと、左右一対の車輪を個別に駆動する駆動部と、駆動部を制御する制御部とを備え、制御部は、前後センサからの信号に基づいて進行方向を切り替え、左右センサからの信号に基づいて溝の壁面に倣いながら走行することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、溝の中の土上で転圧ロボットを走行させることにより、作業員による転圧作業を行うことなく、土を締め固めることができる。したがって、転圧作業を自動化し、作業員の負担の軽減を図ることが可能となる。特にブレード板を備えることにより、左右一対の車輪によって土を締め固めつつ、車輪の間の土をブレード板によってならしつつ締め固めることができる。したがって、溝の全体の土を均一且つ効率的に締め固められる。特に、転圧作業を自動化することにより、転圧作業と他の作業を並列処理することが可能となる。
【0009】
また上記構成では前後センサおよび左右センサが設けられている。前後センサの信号を制御部によって検出することにより、前後方向の障害物を避けながら転圧ロボットを走行させることができる。そして、左右センサの信号を制御部によって検出することにより、転圧ロボットは溝の壁面に倣いながら走行することとなる。したがって、転圧ロボットを溝内において転回することなく自動的に往復させることが可能となる。
【0010】
上記ブレード板は、地面に対向する底面と、底面の前端から上方に向かって傾斜する前斜面と、底面の後端から上方に向かって傾斜する後斜面とを有し、底面と前斜面との角度および底面と後斜面との角度は、一方が他方よりも大きいとよい。かかる構成によれば、走行する際には、角度が大きい(曲がりが小さい)方では土を締め固めることができ、角度が小さい(曲がりが大きい)方では土を引きならす(凹凸をなくする)ことができる。
【0011】
上記底面は、前斜面または後斜面のいずれか一方に向かって上方に傾斜するとよい。これにより、転圧ロボットが走行する際に土に緩やかに乗り上げることができる。土に乗り上げることにより、引きならす(押しのける)よりも締め固めの作用を強めることができる。
【0012】
当該転圧ロボットは、幅方向に回転自在であって本体部とブレード板とを連結するヒンジを備えるとよい。これにより、ブレード板は進行方向に向かって左右方向に傾く(回転する)ことができる。したがって、溝の幅方向で生じている地面の起伏にブレード板が追従することができる。大きな起伏に追従しつつ、細かな凹凸をならしながら往復することにより、土の抵抗を減らして、最終的には、土を平坦に締め固めることが可能となる。
【0013】
当該転圧ロボットは、本体部に搭載された太陽光パネルを備えるとよい。これにより、太陽光パネルによって発電した電力を転圧ロボットの動力源とすることができる。したがって、ガソリンや軽油等の化石燃料のみを動力源とした場合に比して、燃料を削減しつつ、駆動時間を長くすることが可能となる。
【0014】
当該転圧ロボットは、締め固める地面を撮影するカメラと、カメラで撮影した映像を送信する通信部とを備えるとよい。これにより、転圧ロボットが走行する地面の状態を作業員が目視で観察することが可能となる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明にかかる転圧システムの代表的な構成は、上記の転圧ロボットを用いた転圧システムであって、転圧ロボットを操作する操作端末を含み、転圧ロボットは、通信部を介して前記カメラで撮影した映像を操作端末に送信し、操作端末は、転圧ロボットから送信された映像を表示することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明にかかる転圧方法の代表的な構成は、上記の転圧ロボットを用いた転圧方法であって、前後センサによって前後方向の障害物を検出しつつ、左右センサによって左右方向の障害物を検出し、前後センサからの信号に基づいて進行方向を切り替え、左右センサからの信号に基づいて溝の壁面に倣いながら、溝内で転圧ロボットを往復走行させることにより、溝内の土を締め固めることを特徴とする。
【0017】
上述した転圧ロボットにおける技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該転圧システムおよび転圧方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、転圧作業を自動化し、作業員の負担の軽減を図ることが可能な転圧ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】地中管路の埋設工事について説明する図である。
【
図2】本実施形態にかかる転圧ロボットを説明する図である。
【
図3】本実施形態にかかる転圧ロボットを説明する図である。
【
図4】転圧ロボットの走行時の動きを説明する図である。
【
図7】転圧ロボットのバリエーションを説明する図である。
【
図8】本実施形態の転圧ロボットによる転圧作業の密度試験結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
図1は、地中管路16の埋設工事について説明する図である。地中管路16の埋設工事では、まず掘削機10によって地中を掘削して溝12を形成し、溝12内に土留14を設置する。そして、溝12内に地中管路16を設置し、地中管路16の上面から30cm程度の高さまで土18を被せて砂埋めを行った後に、転圧ロボット100を用いて土18を締め固める。その後、締め固めた土18の上に路盤材20を敷き、アスファルト22によって舗装する。
【0022】
説明の便宜上、上記作業のうち、地中を掘削して溝12を形成する作業が行われている領域を掘削エリアと称する。土18の締め固めの作業が行われている領域を締め固めエリアと称する。路盤材20の敷設およびアスファルト22による舗装が行われている領域を舗装エリアと称する。
【0023】
図2および
図3は、本実施形態にかかる転圧ロボット100を説明する図である。
図2は、本実施形態の転圧ロボット100を側方から観察した状態を示す図である。
図3(a)は、本実施形態の転圧ロボット100を上方から観察した状態を示す図であって、天板112および太陽光パネル114を透過表示にしている。
図3(b)は、本実施形態の転圧ロボット100を前方から観察した状態を示す図である。
図3(c)は、本実施形態の転圧ロボット100を後方から観察した状態を示す図である。
【0024】
図2および
図3に示す転圧ロボット100は、溝12の中に配置された地中管路16の上に被せた土18(
図1参照)を締め固める。転圧ロボット100は本体部110を有し、本体部110の前後方向の一方側(本実施形態では後側)には左右一対の車輪120が配置されている。
【0025】
なお本実施形態では4つの車輪120を備えるように図示しているが、左右2つずつの車輪120が組になっていて、2個と2個で一対になっている。左右一対の車輪120は駆動部140によって個別に駆動される。駆動部140はバッテリー142の電力で動作し、制御部150によって制御される。また本実施形態では2個1組の車輪120を左右一対に配置しているがこの数は例示に過ぎず、数については任意に変更してもよい。
【0026】
本体部110の前後方向の他方側(本実施形態では前側)には、土18を締め固めるブレード板130が配置されている。本実施形態では、本体部110の前側にブレード板130を、後側に車輪120を配置する構成を例示したが、これらの位置は逆であってもよい。
【0027】
本体部110には、前後方向の障害物を検出する前後センサ160、および左右方向の障害物を検出する左右センサ170が取り付けられている。前後センサ160および左右センサ170の信号は制御部150によって検出される。これにより、制御部150はその信号に基づいて転圧ロボット100の走行を制御する。
【0028】
図4は、転圧ロボット100の走行時の動きを説明する図である。
図4(a)は、走行時の転圧ロボット100を上方から観察した状態を示す図であって、天板112および太陽光パネル114を透過表示にしている。
図4(b)は、走行時の転圧ロボット100を後方から観察した状態を示す図であって、制御部150を透過表示にしている。以下、転圧ロボット100の動作を詳述しながら、転圧システムおよび転圧方法についても併せて説明する。
【0029】
本実施形態では、上述した制御部150は、前後センサ160からの信号に基づいて進行方向を切り替え、左右センサ170からの信号に基づいて溝12の壁面12aに倣いながら走行する。
【0030】
前後センサ160が前方および後方の障害物を検知したら、制御部150は、進行方向の前後を切り替える。これにより、障害物への転圧ロボット100の衝突を防ぐことができると共に、自動的に往復走行することができる。制御部150は左右センサ170によって溝の壁面12aとの距離を測定し、近づきすぎたらその壁面12aの反対側の駆動部140の速度を落とすように制御し、離れ始めたら速度を戻すように制御する。これにより壁面12aに衝突せずに、溝12の壁面12aに倣って走行するように転圧ロボット100を制御することができる。
【0031】
上述した転圧ロボット100が溝12内を走行することにより、
図4(b)に示すように車輪120によって土18が締め固められる。車輪120から土18に加えられる圧力は拡散するので、車輪120の間の土も締め固められる。ブレード板130は、土の凹凸をならす役割と、車重によって締め固める役割の両方を有する。したがって、溝12内で転圧ロボット100を往復させることにより、作業員による転圧作業を行うことなく、土18を効率的に締め固めることができる。その結果、転圧作業を自動化し、作業員の負担の軽減を図ることが可能となる。
【0032】
特に本実施形態の転圧ロボット100では、溝12内の左右の壁面12aに倣いながら走行する際に、
図4(a)に示すようにジグザグ状に走行する。したがって、溝12内の土18を均一に締め固めることが可能となる。
【0033】
図5は、ブレード板130について説明する図である。
図5に示すように、本実施形態の転圧ロボット100では、ブレード板130は、地面に対向する底面132と、底面132の前端から上方に向かって傾斜する前斜面134と、底面132の後端から上方に向かって傾斜する後斜面136とを有する。そして、底面132と前斜面との角度θ1および底面132と後斜面136との角度θ2は、一方が他方よりも大きくなっている(本実施形態では、底面132と後斜面136との角度θ2(例えば150°)を、底面132と前斜面134との角度θ1(例えば135°)よりも大きくしている)。
【0034】
上記構成によれば、転圧ロボット100が走行する際に、角度が大きい(曲がりが小さい)方(後斜面)では土を締め固めることができ、角度が小さい(曲がりが大きい)方(前斜面)では土を引きならす(凹凸をなくする)ことができる。
【0035】
また底面132は、前斜面134または後斜面136のいずれか一方に向かって上方に傾斜している(本実施形態では、後斜面に向かって角度θ3(例えば5°)だけ上方に傾斜している)。これにより、転圧ロボット100が走行する際に土に緩やかに乗り上げることができる。そして、転圧ロボット100が土に乗り上げることにより、引きならす(押しのける)よりも締め固めの作用を強めることができる。
【0036】
図6は、転圧ロボット100のヒンジ180を説明する図である。
図6では、転圧ロボット100を前方から観察した状態を示している。本実施形態の転圧ロボット100では、本体部110に固定されたブラケット182と、ブレード板130に固定された金具184とが、ボルト186によって連結されてヒンジ180を構成している。ボルト186はダブルナット188によって締め付けられずに固定されているため、ヒンジ180は
図6に示すように幅方向に回転自在に連結されている。
【0037】
上記構成によれば、ブレード板130は転圧ロボット100の進行方向に向かって左右方向に傾く(回転する)ことができる。したがって、溝12の幅方向で生じている地面の大きな起伏にブレード板130が追従することができる。その結果、大きな起伏に追従しつつ、細かな凹凸をならしながら往復し、土の抵抗を減らして、最終的には、土を平坦に締め固めることが可能となる。
【0038】
また本実施形態では、
図2に示すように、本体部110の天板112の上には太陽光パネル114が搭載されている。太陽光パネル114で発電した電力は、バッテリー142に蓄えられるか、または駆動部140に直接供給される。かかる構成によれば、太陽光パネル114によって発電した電力を転圧ロボット100の動力源とすることができる。したがって、ガソリンや軽油等の化石燃料のみを動力源とした場合に比して、燃料を削減しつつ、駆動時間を長くすることが可能となる。
【0039】
更に本実施形態の転圧ロボット100では、本体部110には、締め固める地面を撮影するカメラ190が搭載されている(
図3(a)(b)参照)。カメラ190によって撮影された画像は、制御部150に格納されている通信部192(
図2参照)を経由して作業者の操作端末(不図示)に送信される。そして操作端末には、転圧ロボット100から送信された映像が表示される。これにより、転圧ロボット100が走行する地面の状態を作業員が目視で観察することが可能となる。
【0040】
図7は、転圧ロボット100のバリエーションを説明する図である。転圧ロボット100には、
図7(a)に示すようにブレード板130に固定されるキャスター116を着脱可能に設けてもよい。これにより、
図7(b)に示すように転圧ロボット100がアスファルトやコンクリートなどの路面上も走行することが可能となり、転圧ロボット100を溝12まで好適に自走させることが可能となる。
【0041】
図8は、本実施形態の転圧ロボット100による転圧作業の密度試験結果を説明する図である。密度試験(JIS試験:A1214 砂置換法による密度試験)では、転圧ロボット100を土上で10往復させた場合、15往復させた場合、20往復させた場合の締め固め度(%)および山中式土壌硬度を測定した。
【0042】
図8に示すように、車輪120(右車輪部および左車輪部)が通過する領域では、締め固め度90%以上と、極めて良好に土が締め固められていた。そして中央部すなわち左右の車輪120の間の領域においても締め固め度はほぼ90%程度であった。このように、車輪120が通過しない領域も土を好適に締め固めできるのは、車輪120の圧力が拡散すること、およびブレード板130によって均しと締め固めを行うためと考えられる。また山中式土壌硬度も、いずれの往復回数においても36mm以上の硬度が得られた。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、溝の中に配置された地中管路の上に被せた土を締め固める転圧ロボットに利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10…掘削機、12…溝、12a…壁面、14…土留、16…地中管路、18…土、20…路盤材、22…アスファルト、100…転圧ロボット、110…本体部、112…天板、114…太陽光パネル、120…車輪、130…ブレード板、140…駆動部、142…バッテリー、150…制御部、160…前後センサ、170…左右センサ、180…ヒンジ、182…ブラケット、184…金具、186…ボルト、188…ダブルナット