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  • 特開-乳化組成物 図1
  • 特開-乳化組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055268
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/045 20060101AFI20220331BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220331BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220331BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220331BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220331BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20220331BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220331BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20220331BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220331BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220331BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220331BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220331BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220331BHJP
   A61P 31/02 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A61K31/045
A61K8/92
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/06
A61Q17/00
A61Q19/00
A61K9/107
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/44
A61K8/34
A61P17/00
A61P31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020173594
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿安 智美
(72)【発明者】
【氏名】後藤 昌史
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅崇
(72)【発明者】
【氏名】川野 元一
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076BB31
4C076CC31
4C076DD37
4C076DD50
4C076EE08
4C076EE23
4C076EE58
4C076FF11
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC541
4C083AC542
4C083AD091
4C083AD092
4C083CC02
4C083CC24
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE10
4C206AA10
4C206CA03
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA42
4C206MA83
4C206NA06
4C206ZA90
4C206ZB31
(57)【要約】
【課題】高濃度のエタノール及び油性成分を含有する乳化組成物の提供。
【解決手段】エタノール、油性成分、カルボキシビニルポリマー又はその塩、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有し、前記エタノールの含有量が50%以上である、乳化組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール、
油性成分、
カルボキシビニルポリマー又はその塩、及び
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有し、
前記エタノールの含有量が50%以上である、乳化組成物。
【請求項2】
さらに、アルカノールアミンを含有する、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項3】
前記アルカノールアミンが、トリエタノールアミン、又は2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールである、請求項2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の酸化エチレンの平均付加モル数が、25~80である、請求項1~3のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項5】
粘度が、1000mPa・s以上である、請求項1~4のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項6】
pHが、6~8である、請求項1~5のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項7】
外用組成物である、請求項1~6のいずれかに記載の乳化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乳化組成物に関する。詳細には、高濃度のエタノールを含有する乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、感染症対策等のため、手指消毒用の製品が多数市場に流通している。しかし、これらの製品は、高濃度のエタノールを含有することが多く、手荒れ症状に悩む消費者も多い。
【0003】
このため、高濃度のエタノールに加えて、水溶性の保湿成分を含有する製品の開発が行われている(特許文献1)。しかし、水溶性の保湿成分を含有することによって、塗布後にべたつきが感じられやすくなるといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-155712
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、高濃度のエタノールに、エモリエント剤(油溶性の成分)を含有させると、水溶性成分と油溶性成分が分離してしまうことが課題となっていた。そこで、本開示では、高濃度のエタノール及び油性成分を含有する乳化組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、エタノール及び油性成分に加えて、カルボキシビニルポリマー及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いることによって、高濃度のエタノール中であっても、油性成分を乳化できることを見出し、さらに改良を重ねた。
【0007】
本開示は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
エタノール、
油性成分、
カルボキシビニルポリマー又はその塩、及び
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有し、
前記エタノールの含有量が50%以上である、乳化組成物。
項2.
さらに、アルカノールアミンを含有する、項1に記載の乳化組成物。
項3.
前記アルカノールアミンが、トリエタノールアミン、又は2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールである、項2に記載の乳化組成物。
項4.
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の酸化エチレンの平均付加モル数が、25~80である、項1~3のいずれかに記載の乳化組成物。
項5.
粘度が、1000mPa・s以上である、項1~4のいずれかに記載の乳化組成物。
項6.
pHが、6~8である、項1~5のいずれかに記載の乳化組成物。
項7.
外用組成物である、項1~6のいずれかに記載の乳化組成物。
【発明の効果】
【0008】
高濃度のエタノール及び油性成分を含有する乳化組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】調製した乳化組成物の写真を示す。
図2】乳化組成物のpHと粘度との相関を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0011】
本開示に包含される乳化組成物は、エタノール、油性成分、カルボキシビニルポリマー又はその塩、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有する。本明細書において、当該乳化組成物を「本開示の乳化組成物」と表記することがある。
【0012】
本開示の乳化組成物におけるエタノールの含有量は、組成物全量に対して50%以上であることが好ましい。より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、さらにより好ましくは70%以上である。
【0013】
本開示の乳化組成物は、エタノール以外のアルコールを含んでいてもよい。エタノール以外のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
本開示の乳化組成物におけるエタノール以外のアルコールの含有量は、適宜設定することができ、例えば、組成物全量に対して0.1~5質量%とすることができる。
【0015】
油性成分としては、例えば、医薬品、医薬部外品、又は化粧品分野において用いることができる公知の油性成分(エモリエント剤と称される成分を包含する)を適宜選択することができる。例えば、油脂類、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも油脂類を用いることが好ましい。
【0016】
油脂類としては、例えば、植物性油脂成分が挙げられる。より具体的には、例えば、オリーブ油、オリーブ果実油、アボガド油、アマニ油、ツバキ油、アルモンド油、サザンカ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、キョウニン油、ブドウ油、グレープシード油、メドフォーム油、ホホバ油、ヒマワリ油、ナタネ油、シナモン油、卵黄油、ゴマ油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、米胚芽油、コメヌカ油、カカオ脂、ヤシ油、月見草油、シア脂、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
ロウ類としては、例えば、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、還元ラノリン、POEラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、スクワラン、パラフィン、イソパラフィン、オクタン、デカン、ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、アラキドン酸等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
合成エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
本開示の乳化組成物における油性成分の含有量は、例えば組成物全量に対して0.1~10質量%とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9質量%であってもよい。より具体的には、例えば、0.5~9質量%であってもよい。
【0023】
カルボキシビニルポリマーはアクリル酸系の水溶性高分子であり、本開示の属する技術分野ではカルボマーと称されることもある。カルボキシビニルポリマーの塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、(モノ、ジ又はトリ)エタノールアミン塩、アミノ酸塩などが挙げられる。また、本開示で用いるカルボキシビニルポリマーとしては、例えば、医薬品、医薬部外品、又は化粧品分野において、増粘剤などとして使用可能なものであれば、その粘度や分子量などは特に制限されず、公知のものを使用することができる。例えば、NaOH中和液における0.2%水溶液の粘度(25℃)が、4000~15000mPa・s程度のものなどが挙げられる。また、このような粘度を有するカルボキシビニルポリマーは市販されており、例えば、ハイビスワコー104(富士フイルム和光純薬株式会社)などとして商業的に入手することができる。カルボキシビニルポリマー又その塩は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
本開示の乳化組成物におけるカルボキシビニルポリマー又その塩の含有量は、例えば、組成物全量に対して0.1~2質量%とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば0.2、0.3、0.4、0.5、又は1質量%であってもよい。より具体的には、例えば、0.2~1質量%であってもよい。
【0025】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、例えば、酸化エチレンの平均付加モル数が25~80であることが好ましい。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、又は79であってもよい。より具体的には、例えば、25~70であってもよく、25~70であってもよい。
【0026】
本開示の乳化組成物におけるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量は、例えば組成物全量に対して0.1~5質量%とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、又は4質量%であってもよい。より具体的には、例えば、0.2~4質量%であってもよい。
【0027】
本開示の乳化組成物は、上記の成分に加えて、さらに、アルカノールアミンを含有することができる。
【0028】
アルカノールアミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエチルアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエチルヘキシルアミン、トリアミルアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパンジオール等が挙げられる。中でも、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールが好ましく、トリエタノールアミンがより好ましい。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
本開示の乳化組成物におけるアルカノールアミンの含有量は、例えば組成物全量に対して0.001~1質量%とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば0.005、0.01、0.02、0.03、0.04.0.05、0.06.0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、又は0.9質量%であってもよい。より具体的には、例えば、0.005~0.9質量%であってもよい。
【0030】
本開示の乳化組成物は、上記の成分に加えて、さらに水を含有することができる。本開示の乳化組成物における水の含有量は、適宜設定することができ、例えば、組成物全量に対して10~50質量%とすることができる。
【0031】
本開示の乳化組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、上記の成分に加えてさらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、医薬品、医薬部外品、又は化粧品分野において、配合しうる任意の成分が挙げられる。例えば、セラミド、セラミド様物質等の油溶性保湿成分;グリセリン、ヒアルロン酸ナトリウム等の水溶性保湿成分;殺菌剤;抗菌剤;界面活性剤;増粘剤;着色剤;酸化防止剤;金属封鎖剤;防腐剤;pH調整剤;清涼剤;香料;抗酸化剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
本開示の乳化組成物の剤形としては、特に限定されないが、例えば、液剤、スプレー剤、ジェル剤、塗布剤等が挙げられる。
【0033】
本開示の乳化組成物の粘度は、例えば、1000mPa・s以上であってもよく、2000mPa・s以上であってもよく、3000mPa・s以上とすることもできる。
乳化組成物の粘度は、B型粘度計(回転粘度計)を用いて測定される。
本開示の乳化組成物の粘度を当該数値範囲とすることによって、より一層経時安定性に優れた乳化組成物を得ることができる。
【0034】
本開示の乳化組成物のpHは、例えば、6~8であってもよい。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、又は7.9であってもよい。より具体的には、例えば、6.1~7.9であってもよく、6.7~7.3がより好ましい。
本開示の乳化組成物のpHを当該数値範囲とすることによって、減粘することなくより一層経時安定性に優れた乳化組成物を得ることができる。
【0035】
本開示の乳化組成物は、例えば、エタノール、アルカノールアミン以外の成分を混合し乳化させ、当該乳化物と、必要に応じてアルカノールアミンとを混合し、当該混合物とエタノールとを混合することによって調製することができる。乳化は公知の乳化機(例えばホモミキサーやホモジナイザー等)により行うことができる。
【0036】
本開示の乳化組成物は、外用組成物として好適に用いることができる。より具体的には、例えば医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物等として好適に用いることができる。
また、本開示の乳化組成物は、消毒用として好適に用いることができる。本開示の乳化組成物によれば、例えば、細菌等の微生物、ウイルス等による感染防止のための消毒用として好適に用いることができる。
本開示の乳化組成物は、特に限定されないが、皮膚に対して好適に用いることができ、中でも手、指、腕等に対して好適に用いることができる。
また、本開示の乳化組成物は、油性成分が肌の内部に浸透するため、肌に塗布した際にべたつきが少ないことが期待できる。
【0037】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term ″comprising″ includes ″consisting essentially of” and ″consisting of.″)。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
【0038】
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0039】
本開示の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明する。しかし、本開示はこれらに何ら限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び常温条件下で行っている。また特に言及する場合を除いて、「%」は「質量%」を意味する。また、各表に記載される各成分の配合量値も特に断らない限り「質量%」を示す。
【0040】
下記の表1に示す処方に従って、乳化組成物を調製した。より詳細には、表1に記載の組成に従い、オリーブ果実油と各種界面活性剤とを混合した。さらに、水を添加し、ホモミキサー(ホモミキサーMARKII:PRIMIX社)を用いて、5000rpm、5分攪拌し、乳化を行った。得られた乳化溶液をエタノールと混合し、乳化組成物を得た。
【0041】
【表1】
【0042】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油-10(HCO-10)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油-20(HCO-20)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油-30(HCO-30)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油-40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油-60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油-100(HCO-100)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(モノステアリン酸デカグリセリル、Decaglyn1-SV)、ソルビタン脂肪酸エステル(モノオレイン酸ソルビタン、SO-10V)、ソルビタン脂肪酸エステル(モノステアリン酸ソルビタン、SS-10V)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンステアリルエーテル、BS-2)、グリセリン脂肪酸エステル(ステアリン酸グリセリル、MGS-BV2)を用いた。
【0043】
得られた乳化組成物について、作成直後の乳化状態を以下の基準に基づいて評価した。結果を図1及び表2に示す。
○:問題なく乳化している。
×:エタノール投入直後から油滴や固形物の沈殿が進み、性状が透明になる。
【0044】
また、得られた乳化組成物を、室温で1ヶ月静置した後、乳化状態を以下の基準に基づいて評価した。結果を図1及び表2にあわせて示す。
○:若干の沈殿が見られるが、問題なく乳化を維持している。
△:作成直後と比較すると沈殿は進んでいるが、乳化粒子は存在する。
×:油滴・固形物が沈殿し、乳化粒子も確認されない。
【0045】
室温で1ヶ月静置した後の乳化組成物について、体積平均粒子径をレーザー回折式粒度分布系(SHIMADZU、SALD-7500nano)を用いて測定した。結果を表2にあわせて示す。
【0046】
さらに、以下の基準に基づいて乳化組成物を総合評価した。結果を表2にあわせて示す。
◎:作成直後との性状変化が比較的少なく、乳化物は安定維持している。
○:作成直後の性状状態からやや悪化しているが、乳化物は安定維持している。
×:作成直後からの性状状態の悪化が著しい、又は作成直後から不安定。
【0047】
【表2】
【0048】
表2に示す通り、界面活性剤として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いることによって、高濃度のエタノール及び油性成分を含有する場合であっても、乳化組成物が得られることが分かった。また、酸化エチレンの平均付加モル数が30、40、又は60のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いることによって、作成1ヶ月後であっても乳化粒子が確認され、安定した乳化組成物が得られることが分かった。
【0049】
下記の表3に示す処方に従って、乳化組成物を調製した。より詳細には、表3に記載の組成に従い、オリーブ果実油とポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを混合した。さらに、水、カルボキシビニルポリマー、及びセラミド類似ポリマーを添加し、ホモミキサー(ホモミキサーMARKII:PRIMIX社)を用いて、5000rpmで5分攪拌し、乳化を行った。乳化溶液にトリエタノールアミンを添加し、混合した後に、当該混合液とエタノールとを混合し、乳化組成物を得た。なお、調製した各乳化組成物のpHを図2にあわせて示す。
【0050】
【表3】
【0051】
得られた乳化組成物の粘度を、B型粘度計(回転粘度計)を用いて、ローターNo.4、30回転の測定条件にて粘度を測定した。
また、-5℃の低温庫に1日放置し、翌日取り出した直後の乳化組成物の粘度をB型粘度計(回転粘度計)で測定した。乳化組成物のpHと粘度との相関を図2に示す。
【0052】
図2に示す通り、乳化組成物に、トリエタノールアミンをさらに含有させ、乳化組成物のpHを調整することによって、所望の粘度の乳化組成物を得ることができ、減粘することなくより乳化安定性に優れた乳化組成物を得られることが分かった。
【0053】
なお、トリエタノールアミンに代えて、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールを用いた場合にも、所望の粘度の乳化組成物を得ることができることが分かった。
図1
図2