(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055287
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記憶した機器
(51)【国際特許分類】
G06K 7/14 20060101AFI20220331BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
G06K7/14 004
G06K7/10 372
G06K7/10 436
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038292
(22)【出願日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2020162338
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】特許業務法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大堀 宏海
(72)【発明者】
【氏名】齋喜 雅仁
(72)【発明者】
【氏名】西澤 有翼
(57)【要約】
【課題】ユーザ負荷を大きくすることなく、シンボルの読み取りのチェックを行えるようにする。
【解決手段】光学式情報読取装置100は、撮像部10により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る読取部42と、複数の入力ウィンドウを有する表示部3と、表示部3に表示される複数の入力ウィンドウから、入力対象となる入力対象ウィンドウを選択する操作部32と、操作部32により選択された入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの入力条件を設定する設定部43と、撮像部10により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、入力条件を満たすか否かを判定する判定部44とを備える。読取部42は、判定部44により一のシンボルの情報が入力条件を満たすと判定された場合に、入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を入力するよう構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象となるシンボルを撮像して、該シンボルの情報を読み取り、入力対象ウィンドウに入力するための光学式情報読取装置であって、
シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する撮像部と、
前記撮像部により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る読取部と、
複数の入力ウィンドウを有する表示部と、
前記表示部に表示される前記複数の入力ウィンドウから、入力対象となる入力対象ウィンドウを選択する操作部と、
前記操作部により選択された入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの入力条件を設定する設定部と、
前記撮像部により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、前記入力条件を満たすか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記読取部は、前記判定部により前記一のシンボルの情報が前記入力条件を満たすと判定された場合に、前記入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を入力するよう構成されてなる光学式情報読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式情報読取装置であって、
前記入力条件として設定される設定項目が、シンボルの読取コード種別、コードパラメータの少なくともいずれかを含んでなる光学式情報読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学式情報読取装置であって、
前記設定部は、前記撮像部の動作を規定する動作条件を、前記操作部により選択された入力ウィンドウに紐づけて設定可能に構成され、
前記撮像部は、前記操作部により複数の入力ウィンドウから入力対象として選択された入力対象ウィンドウに紐づけられた動作条件に従って、撮像処理又は読取処理を実行するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光学式情報読取装置であって、
前記動作条件は、
前記撮像部による撮像処理を開始する条件を設定するトリガ設定、
前記撮像部の視野の広狭を設定するターゲット設定、
シンボルの収集方式又は収集するシンボルの数を設定するコード収集設定、
の少なくともいずれかを含む光学式情報読取装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
読み取られた情報に関するデータを出力するための出力部を備えており、
前記設定部は、
出力するデータに特定のデータを付加するデータ付加設定、
出力するデータをソートするソート設定
の少なくともいずれかを含む出力条件を、前記操作部により選択された入力ウィンドウに紐づけて設定可能に構成され、
前記出力部は、前記操作部により複数の入力ウィンドウから入力対象として選択された入力対象ウィンドウに紐づけられた出力条件に従って、出力処理を実行するよう構成されてなる光学式情報読取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光学式情報読取装置であって、
前記設定部が前記複数の入力ウィンドウに対してそれぞれ、前記複数の入力条件のいずれかを設定する際、前記複数の入力ウィンドウを、各入力ウィンドウに設定された画面名、ID情報、テキスト情報の少なくともいずれかに基づいて特定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記設定部で設定される入力条件が、読取対象となるシンボルのコード種を含み、
前記読取部は、複数の異なるコード種のシンボルを読み取る読取アルゴリズムを、シンボルのコード種毎に切り替え可能としており、
前記判定部は、前記設定部で設定されたコード種の種別に従って、前記撮像部により生成された画像データに含まれる一のシンボルが読取対象のシンボルか否かの判定を行い、
前記読取部は、前記入力条件に含まれるコード種の種別に基づいて該当するシンボルの読取アルゴリズムを特定し、前記判定部により前記一の読取対象シンボルが読取対象であると判定された場合に、該一のシンボルを前記読取アルゴリズムに従って読み取るよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記設定部で設定される入力条件が、読取対象となるシンボルの文字列の規則を含み、
前記判定部は、前記入力対象ウィンドウに対して設定された読取終了条件に含まれる文字列の規則と、該読取部により読み取ったシンボルの情報に含まれる文字列の規則とが一致しているか否かの判定を行い、
前記読取部は、前記入力対象ウィンドウに対して設定された読取終了条件に含まれる文字列の規則と読み取ったシンボルの情報に含まれる文字列の規則とが一致していると判定された場合に、前記入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を入力するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記設定部で設定される入力条件が、コード収集設定を含み、
前記コード収集設定が、予め定められた個数の情報を読み取る一括読みの設定を含み、
前記読取部は、前記一括読みの設定が設定された場合は、該一括読みの設定に含まれる個数のシンボルの情報の読取が完了するまで、一の撮像処理を継続するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光学式情報読取装置であって、
複数の情報が読み取られた場合は、入力対象ウィンドウに対して設定された入力規則に従って入力対象ウィンドウに複数のシンボルの情報を入力するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項11】
請求項10に記載の光学式情報読取装置であって、
前記入力対象ウィンドウに対して設定された入力規則が、前記入力対象ウィンドウに読み取られた情報に、所定のデータを付加するものである光学式情報読取装置。
【請求項12】
請求項10に記載の光学式情報読取装置であって、
前記入力対象ウィンドウに対して設定された入力規則が、前記入力対象ウィンドウに読み取られた複数の情報を、所定の書式に変更するものである光学式情報読取装置。
【請求項13】
請求項3に記載の光学式情報読取装置であって、
前記設定部で設定される動作条件が、トリガ設定を含み、
入力対象ウィンドウに対して設定された動作条件にトリガ設定が含まれる場合、当該トリガ設定に従って前記撮像部の撮像を制御するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記設定部で設定される動作条件が、前記撮像部による画像データの撮像時の明るさの設定を含み、
前記判定部は、前記設定部で設定された明るさ設定に従って、前記撮像部により生成された画像データに含まれるシンボルに対して、読取対象のシンボルか否かの判定を行うよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項15】
請求項14に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記撮像部によるシンボルを含む画像データの撮像時に、照明光を照射するための照明部を備え、
前記設定部で設定される明るさ設定が、前記撮像部による画像データの撮像時の前記照明部の照明設定を含み、
前記判定部は、前記設定部で設定された照明設定に従って、前記照明部の照明光の明るさを設定して前記撮像部により生成された画像データに含まれるシンボルに対して、読取対象のシンボルか否かの判定を行うよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記表示部に表示される複数の入力ウィンドウに対して相異なる設定を行うことが可能で、
前記操作部により複数の入力ウィンドウから入力対象ウィンドウが選択されると、その入力対象ウィンドウに紐づく設定を特定して、
特定した設定に従って撮像処理を実行するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記設定部は、所定のモデルシンボルを前記読取部で読み取らせることにより、当該モデルシンボルに含まれる情報に従って、自動的に入力条件設定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記設定部で設定され保存された複数の異なる入力条件のいずれかを選択する条件選択部を備えており、
前記設定部は、前記入力ウィンドウに対し、複数の異なる入力条件のいずれかから前記条件選択部で選択された入力条件を設定可能に構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項19】
請求項18に記載の光学式情報読取装置であって、
前記設定部で複数の前記入力ウィンドウのそれぞれに設定された入力条件を、一覧表示させた設定セット一覧画面を、前記表示部に表示可能に構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記読取部は、前記入力対象ウィンドウに関連付けた設定を特定し、読み取った情報が設定と一致しているかを判定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記制御部は、前記入力対象ウィンドウに関連付けた設定が存在しない場合には、予め定められた動作設定に基づいて、読み取った情報がデフォルトの動作設定と一致しているかを判定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項22】
読取対象となるシンボルを撮像して、該シンボルの情報を読み取り、入力対象ウィンドウに入力する光学式情報読取方法であって、
表示部に表示される、複数の入力ウィンドウの内、任意の入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの入力条件を設定部で設定する工程と、
前記表示部に表示される前記複数の入力ウィンドウから、入力対象となる前記入力対象ウィンドウを操作部で選択する工程と、
シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を電気信号に変換し、撮像部で画像データを生成する工程と、
前記撮像部により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、前記入力条件を満たすか否かを判定部で判定する工程と、
前記判定部により前記一のシンボルの情報が前記入力条件を満たすと判定された場合に、前記入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を読取部により入力する工程と、
を含む光学式情報読取方法。
【請求項23】
請求項22に記載の光学式情報読取方法であって、
前記入力条件を設定する工程が、
複数の入力条件を設定して保存する工程と、
前記複数の入力条件のいずれかを、前記複数の入力ウィンドウのいずれかに割り当てる工程と、
を含む光学式情報読取方法。
【請求項24】
請求項23に記載の光学式情報読取方法であって、
前記複数の入力条件を設定して保存する工程が、
入力条件番号を設定する工程と、
当該入力条件番号の入力条件について、所望の設定項目の選択を促す工程と、
前記選択された設定項目を設定する工程と、
前記制限項目の設定された入力条件を、入力条件保存部に保存する工程と、
を含む光学式情報読取方法。
【請求項25】
請求項23又は24に記載の光学式情報読取方法であって、
前記複数の入力条件のいずれかを、前記複数の入力ウィンドウのいずれかに割り当てる工程が、
ユーザアプリケーションを選択する工程と、
前記選択されたユーザアプリケーションを構成する入力ウィンドウを選択する工程と、
前記選択された入力ウィンドウに割り当てる入力条件を、予め登録された複数の入力条件から選択する工程と、
前記選択された入力条件を、前記選択された入力ウィンドウに割り当てる工程と、
を含む光学式情報読取方法。
【請求項26】
請求項23~25のいずれか一項に記載の光学式情報読取方法であって、
前記入力条件を設定する工程において設定される入力条件に、シンボルのコード種が含まれており、
光学式情報読取方法はさらに、
前記入力条件に含まれるコード種の設定を満たすか否かを前記判定部で判定する工程に
先立ち、前記撮像部により生成された画像データに基づいて、前記読取部でシンボルの情報を読み取り、読み取ったシンボルが、前記入力条件に含まれるコード種の設定を満たすか否かを判定する工程を含む光学式情報読取方法。
【請求項27】
請求項23~25のいずれか一項に記載の光学式情報読取方法であって、
前記入力条件を設定する工程において設定される入力条件に、シンボルのコード種が含まれており、
光学式情報読取方法はさらに、
前記入力条件に含まれるコード種の設定を満たすか否かを前記判定部で判定する工程において、前記入力条件に含まれるコード種の設定を満たすと判定された場合に、前記設定されたコード種に従って、対応する読み取りアルゴリズムを特定し、その特定されたアルゴリズムに従って、前記撮像部により生成された画像データに基づいて、前記読取部でシンボルの情報を読み取る工程を含む光学式情報読取方法。
【請求項28】
読取対象となるシンボルを撮像して、該シンボルの情報を読み取り、入力対象ウィンドウに入力するための光学式情報読取プログラムであって、
表示部に表示される、複数の入力ウィンドウの内、任意の入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの条件を設定部で設定する機能と、
前記表示部に表示される前記複数の入力ウィンドウから、入力対象となる前記入力対象ウィンドウを操作部で選択する機能と、
シンボルからの反射光を電気信号に変換し、撮像部で画像データを生成する機能と、
前記撮像部により生成された画像データに基づいて、読取部でシンボルの情報を読み取る機能と、
前記撮像部により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、前記入力条件を満たすか否かを判定部で判定する機能と、
前記判定部により前記一のシンボルの情報が前記入力条件を満たすと判定された場合に、前記入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を読取部により入力する機能と、
をコンピュータに実現させるための光学式情報読取プログラム。
【請求項29】
請求項28に記載のプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記憶した機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取る光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記憶した機器に関する。
【背景技術】
【0002】
読取対象となるバーコード、QRコード等のシンボルからの光を受光し、イメージセンサによりシンボルの画像データを取得し、その画像データを解析することでシンボルに応じた情報を読み取る、ハンディタイプ等と呼ばれる手持ち式の光学式情報読取装置が知られている。このような光学式情報読取装置では、シンボルを読み取った情報を、所定の入力対象ウィンドウに入力していく。
【0003】
このような入力対象ウィンドウの中には、品番や数値など、異なる入力形式が存在する。また、ユーザが作業する作業空間には、品番や数量に対応した異なるデータの種類のバーコードが多数存在している。
【0004】
しかしながら、従来の光学式情報読取装置では、どのような種類のコードでも読み取りが可能な状態に設定されていることから、所望のバーコードの近くにある別のバーコードを意図せず読み取ってしまい、生産性を下げる要因となっていった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一は、ユーザ負荷を大きくすることなく、シンボルの読み取りのチェックを行えるようにした光学式情報読取装置、光学式情報読取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の一の側面に係る光学式情報読取装置によれば、読取対象となるシンボルを撮像して、該シンボルの情報を読み取り、入力対象ウィンドウに入力するための光学式情報読取装置であって、シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する撮像部と、前記撮像部により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る読取部と、複数の入力ウィンドウを有する表示部と、前記表示部に表示される前記複数の入力ウィンドウから、入力対象となる入力対象ウィンドウを選択する操作部と、前記操作部により選択された入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの入力条件を設定する設定部と、前記撮像部により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、前記入力条件を満たすか否かを判定する判定部とを備え、前記読取部は、前記判定部により前記一のシンボルの情報が前記入力条件を満たすと判定された場合に、前記入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を入力するよう構成できる。上記構成により、入力ウィンドウ毎にシンボルの条件、例えばコード種や桁数、読取動作などを限定することで、不要なシンボルを読み取る誤読などを低減させることができる。
【0008】
また、本発明の他の側面に係る光学式情報読取方法によれば、読取対象となるシンボルを撮像して、該シンボルの情報を読み取り、入力対象ウィンドウに入力する光学式情報読取方法であって、表示部に表示される、複数の入力ウィンドウの内、任意の入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの入力条件を設定部で設定する工程と、前記表示部に表示される前記複数の入力ウィンドウから、入力対象となる前記入力対象ウィンドウを操作部で選択する工程と、シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を電気信号に変換し、撮像部で画像データを生成する工程と、前記撮像部により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、前記入力条件を満たすか否かを判定部で判定する工程と、前記判定部により前記一のシンボルの情報が前記入力条件を満たすと判定された場合に、前記入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を読取部により入力する工程とを含むことができる。これにより、入力ウィンドウ毎にシンボルの条件、例えばコード種や桁数、読取動作などを限定することで、不要なシンボルを読み取る誤読などを低減させることができる。
【0009】
さらに、本発明の他の側面に係る光学式情報読取プログラムによれば、読取対象となるシンボルを撮像して、該シンボルの情報を読み取り、入力対象ウィンドウに入力するための光学式情報読取プログラムであって、表示部に表示される、入力対象ウィンドウを構成する複数の入力ウィンドウの内、任意の入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの条件を設定部で設定する機能と、前記表示部に表示される前記複数の入力ウィンドウから、入力対象となる前記入力対象ウィンドウを操作部で選択する機能と、シンボルからの反射光を電気信号に変換し、撮像部で画像データを生成する機能と、前記撮像部により生成された画像データに基づいて、読取部でシンボルの情報を読み取る機能と、前記撮像部により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、前記入力条件を満たすか否かを判定部で判定する機能と、前記判定部により前記一のシンボルの情報が前記入力条件を満たすと判定された場合に、前記入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を読取部により入力する機能とをコンピュータに実現させることができる。上記構成により、入力ウィンドウ毎にシンボルの条件、例えばコード種や桁数、読取動作などを限定することで、不要なシンボルを読み取る誤読などを低減させることができる。
【0010】
さらにまた、本発明の他の側面に係るコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記憶した機器は、上記プログラムを格納する媒体又は該プログラムを記憶した機器である。記録媒体には、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、Blu-ray(商品名)、UHD BD(商品名)、HD DVD(AOD:商品名)等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記憶した機器には、上記プログラムがソフトウェアやファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。また本明細書においてコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、非一過性で有形の媒体、又は一過性の伝搬信号を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る光学式情報読取装置の外観斜視図である。
【
図2】
図1の光学式情報読取装置のブロック図である。
【
図3】ユーザアプリケーションの複数の入力ウィンドウがいずれも選択されていない状態を示すイメージ図である。
【
図4】
図3において入力ウィンドウ1を入力対象ウィンドウとして選択した状態を示すイメージ図である。
【
図5】制限条件を切り替える制限条件選択部の一例を示すイメージ図である。
【
図6】複数の制限条件を設定し保存する手順を示すフローチャートである。
【
図7】制限条件設定画面の例を示すイメージ図である。
【
図8】
図7の制限条件設定画面を下方向にスクロールしたイメージ図である。
【
図9】
図8の制限条件設定画面を下方向にスクロールしたイメージ図である。
【
図11A】ターゲット設定画面を示すイメージ図である。
【
図11B】デコード視野で狭(1D)を選択した場合の撮像視野を示す模式図である。
【
図11C】デコード視野で狭(2D)を選択した場合の撮像視野を示す模式図である。
【
図12】コード収集設定画面を示すイメージ図である。
【
図13】デコード設定画面を示すイメージ図である。
【
図14】
図13のデコード設定画面を下方向にスクロールしたイメージ図である。
【
図15】読取コード種別設定画面を示すイメージ図である。
【
図16A】コードパラメータ種別設定画面を示すイメージ図である。
【
図16B】コードパラメータ設定画面を示すイメージ図である。
【
図17】フォーマット設定画面を示すイメージ図である。
【
図18B】ターミネータ設定画面を示すイメージ図である。
【
図19】読取成功時設定画面を示すイメージ図である。
【
図20】読取失敗時設定画面を示すイメージ図である。
【
図21】データ出力時設定画面を示すイメージ図である。
【
図22】制限条件を入力ウィンドウに割り当てる手順を示すフローチャートである。
【
図23】
図7の制限条件設定画面でリストボックスを表示された状態を示すイメージ図である。
【
図24】入力ボックス割当一覧画面を示すイメージ図である。
【
図25】アプリケーション選択画面を示すイメージ図である。
【
図26】ユーザアプリケーションの入力ウィンドウ選択画面を示すイメージ図である。
【
図27】制限条件選択画面を示すイメージ図である。
【
図28】
図24の入力ボックス割当一覧画面が更新された状態を示すイメージ図である。
【
図29】入力ウィンドウ設定一覧画面を示すイメージ図である。
【
図30】
図4の入力ボックス情報詳細表示画面を示すイメージ図である。
【
図31】
図3において入力ウィンドウ2を選択した状態を示すイメージ図である。
【
図32】
図31の入力ウィンドウ詳細情報表示画面を示すイメージ図である。
【
図33】
図3において入力ウィンドウ3を選択した状態を示すイメージ図である。
【
図34】
図33の入力ボックス情報詳細表示画面を示すイメージ図である。
【
図35】入力ウィンドウに入力対象データを入力する手順を示すフローチャートである。
【
図36】
図4のユーザアプリケーションに対して入力対象データが入力された状態を示すイメージ図である。
【
図37】実施形態2に係る光学式情報読取装置のブロック図である。
【
図38】オートラーニング機能で読取コード種別を限定する手順を示すフローチャートである。
【
図39】オートラーニング機能で読取条件を最適化する手順を示すフローチャートである。
【
図40】実施形態3に係る光学式情報読取装置のブロック図である。
【
図41】入力条件設定画面を示すイメージ図である。
【
図42】ラーニング結果表示画面を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記憶した機器を例示するものであって、本発明は光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記憶した機器を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[実施形態1]
【0013】
光学式情報読取装置は、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取るための端末装置である。光学式情報読取装置は、シンボルを読み取って出力するハンディスキャナの他、読み取った情報を登録したりデータ照合したりといった任意のデータ処理を行うハンディターミナルや業務用PDA等も含む意味で使用する。
【0014】
読取対象となるシンボルは、バーコード、二次元コードなどの規格化されたコード、あるいは独自規格のコードの他、文字や数字等で構成される文字列も含む。これらのシンボルは、読取対象物である製品などのワークや棚の表面に直接印刷され、あるいはワークの表面に貼付されたラベルに印刷されている。またシンボルの読み取りとは、一般にシンボルに符号化(エンコード)された情報を復号化(デコード)することを意味する。ただ、上述の通りシンボルが文字列の場合は、文字や数字の光学読取(OCR)を意味する。
【0015】
本発明の実施形態1に係る光学式情報読取装置100を、
図1~
図2に示す。これらの図において、
図1は光学式情報読取装置100の外観斜視図、
図2はブロック図を、それぞれ示している。これらの図に示す光学式情報読取装置100は、ハンディターミナルである。
図1の光学式情報読取装置100は、略方形である筐体2の外形を一方向に延長した板状である。筐体2の先端部分又は背面部分には、読取対象であるシンボルの光学的読取を行うための撮像モジュール1が設けられている。撮像モジュール1は、バーコードや二次元コード、文字列等のシンボルを読み取るカメラモジュールやバーコードをスキャンするスキャンモジュール等で構成される。
【0016】
筐体2の上面には、表示部3と、キー配置部30が設けられている。筐体2の一端側に表示部3が、表示部3と反対側の他端側にキー配置部30が、それぞれ設けられている。キー配置部30は、操作部32として機能する
【0017】
筐体2は、表示部3を備える表示部分DAと、キー配置部30を備える把持部分HAとで構成されており、ユーザは、把持部分HAを手で把持して、表示部分DAに設けられた表示部3の表示内容を参照しながら、把持部分HAの表面側に配置されたキー配置部30の各操作キーを操作する。筐体2は、平面視において表示部分DAを幅広とし、把持部分HAを幅狭とする一方、側面視においては、把持部分HAが厚くなるようにしてある。これにより、把持部分HAを持ちやすくしている。
【0018】
表示部3は、筐体2の一面側に設けられており、読取対象のシンボルをカメラ部で撮像した画像、シンボルを復号化した情報、その他の設定情報といった各種の情報を表示する。表示部3は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、有機EL等で構成されている。また、表示部3は、タッチパネルとして構成されていても良い。タッチパネルで構成された表示部3は、キー入力部としても機能する。
【0019】
キー配置部30には、各種の操作を行うテンキーや電源キー、ファンクションキーといった複数の操作キーが配置されている。キー配置部30に配置された各入力デバイスは、各種の入力操作を受け付けるキー入力部を構成している。またキー配置部30には、トリガキー31が設けられている。トリガキー31を操作することで、シンボルの情報を収集するデータ収集タイミングが規定される。すなわち撮像部10(詳細は後述)は、トリガキー31が操作されたことを検知して、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する撮像処理を開始する。このようにトリガキー31は、トリガ信号を規定する。なお本発明においてはトリガキーを物理的なキーに限定するものでなく、例えばユーザインターフェース上に表示される仮想的なキーとしてもよい。
【0020】
光学式情報読取装置100は、携帯性を担保するべく、駆動電力を供給するためのバッテリを備えている。また、撮像する位置を特定する、すなわち読取位置を示す照準光を照射するエイミング光照射部15、及び撮像モジュール1は、筐体2の背面側に設けられている。
【0021】
図2は、実施形態1に係る光学式情報読取装置100のブロック図である。この図に示すように、光学式情報読取装置100は、少なくとも動作を制御する制御プログラムを実行する制御部40、RAM51、記憶部52、表示部3、操作部32、通信インターフェース50、撮像モジュール1を備えている。
【0022】
この光学式情報読取装置100は、専用のユーザアプリケーションなどのコンピュータプログラムをインストールして、あるいは予め記録されたプログラムを実行させることができる。コンピュータプログラムは、例えば記憶部やRAMに保持され、あるいはこれらにロードされて、制御部40で実行される。
【0023】
制御部40は、内部バス等を介して光学式情報読取装置100の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶部52に記憶されているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。このような制御部40はCPUやMPU、SoC、ASICなどで好適に実現できる。RAM51は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0024】
また制御部40は、読取部42、設定部43、判定部44、出力部49等の機能を実現する。読取部42は、撮像部10により生成された画像データに基づいてシンボルの情報を読み取る。設定部43は、操作部32により選択された入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの制限条件を設定する。制限条件としては、入力ウィンドウへの入力対象情報の入力を制限する入力条件や、撮像部10の動作を規定する動作条件、読み取ったデータの出力に関する出力条件が含まれていてもよい。判定部44は、撮像部により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、入力条件を満たすか否かを判定する。出力部49は、読み取られた情報に関するデータを出力するための部材である。
【0025】
記憶部52は、画像データや設定情報等の各種の情報を保持するための部材である。例えば撮像モジュール50で撮像された画像データや、コンピュータプログラム、ファームウェア等を保持する。この記憶部52は、ROM等の不揮発性メモリで構成できる。
【0026】
記憶部52は、制限条件保存部53、割当保存部54等の機能を実現する。制限条件保存部53は、入力ウィンドウへの入力対象情報の入力を制限する入力条件や撮像部10の動作を規定する動作条件、読み取ったデータの出力に関する出力条件等の制限条件(詳細は後述)を保存するための部材である。また割当保存部54は、入力ウィンドウに割り当てられた制限条件の対応関係(詳細は後述)を保持するための部材である。さらに記憶部52には、ファームウェアも記憶されている。ファームウェアは、接続されている各ハードウェアの動作を制御するドライバソフトウェア等のプログラム群である。
【0027】
通信インターフェース50は内部バスに接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網に接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。操作部32となるキー配置部30は、各種の入力操作を受け付けるキー入力部として機能し、キー入力により操作のための入力を受け付ける。
【0028】
エイミング光照射部15は、光学系12と隣接させて、エイミング光を照射する。このエイミング光照射部15でエイミング光を照射して、撮像部10で撮像した画像をエイマー画像と呼ぶ。読取部42は、このエイマー画像に基づいて、シンボルまでの距離を推定することができる。
(撮像モジュール1)
【0029】
撮像モジュール1は、照明部14と、撮像部10と、エイミング光照射部15とを備える。照明部14は、光学系用の照明光を照射する。照明部14は、光学系12での撮像に適した照明光を発光させるよう、撮像視野に応じた配光や光量に調整される。照明部14には、LEDや有機EL等の半導体発光素子が好適に利用できる。
【0030】
撮像部10は、光学系12と撮像素子11で構成される。光学系12は、シンボルからの反射光を集光する部材であり、好適には一以上の光学レンズで構成される。また固定焦点光学系とすることが好ましい。撮像素子11は、光学系12により集光された光を電気信号に変換し、画像データを生成するための部材である。撮像素子11は、CMOSやCCD等のイメージセンサが利用できる。ここでは、撮像素子11として、モノクロ画像を撮像するイメージセンサを用いている。
(エイミング光照射部15)
【0031】
また、エイミング光照射部15は、ワークやシンボルにエイミング光(照準光)を照射するための部材である。エイミング光照射部15は、読取位置を視認できるように、撮像しようとするワーク等の表面に光を所定の走査パターンに走査させ、その軌跡で所定のパターンを描画させる。本明細書ではこのパターンをエイミング光又は照準光と呼ぶ。エイミング光は、撮像視野や撮像した画像の水平方向に延伸させた直線状の光や、この水平方向と垂直方向の十字を形成する光等、任意のパターンが利用できる。ここでは、エイミング光を十字状のパターンとしている。エイミング光照射部15は、好適にはレーザ光源と、このレーザ光源からのレーザ光を走査可能なスキャナで構成される。
【0032】
これら照明部14と、撮像部10と、エイミング光照射部15は、一直線状に配置される。このように、カメラや照明を二段に配置せず一列に並べて配置することで、筐体2の先端側に、シンボルの読み取りに必要なハードウェアを撮像モジュール1としてまとめると共に、撮像モジュール1を薄型にして光学式情報読取装置100の薄型化、軽量化、小型化に寄与できる。
【0033】
また光学式情報読取装置100は、
図2に示すように、撮像部10と、読取部42と、表示部3と、操作部32と、設定部43と、判定部44を備える。撮像部10は、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する。読取部42は、撮像部10により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る。表示部3は、複数の入力ウィンドウを有する。操作部32は、表示部3に表示される複数の入力ウィンドウから、入力対象となる入力対象ウィンドウを選択する。操作部32による操作は、操作キーによるキー操作と、表示部3のタッチパネル操作の両方を含む。
【0034】
このような光学式情報読取装置100を用いて、異なる種類のシンボルを読み取ることができる。例えばシンボルを光学式情報読取装置100で読み取り、デコードした情報をユーザアプリケーションに取り込んで処理する。ユーザアプリケーションは、複数の入力ウィンドウや入力ボックス等を備えており、ユーザは各入力ウィンドウに対し、必要な情報を入力していく。ところで光学式情報読取装置を用いてユーザが作業する作業空間には、品番や数量に対応した異なるデータの種類のバーコードや二次元コードなどのシンボルが多数存在していることがある。このような状況において、ユーザアプリケーションの中には、入力ウィンドウ毎に入力すべき情報が異なることがある。例えば
図3に示すユーザアプリケーションUAの例では、3つの入力ウィンドウIW1~1W3が設けられている。入力ウィンドウIW1には製品の置かれた棚番号などの位置(Location)、入力ウィンドウIW2には製品の名称(Product)、入力ウィンドウIW3には製品の数量(Qty)を入力するような場合である。このような場合において、ユーザは各入力ウィンドウ毎に異なるシンボルをそれぞれ読み取ることで入力していく。例えば
図4に示すように3つの入力ウィンドウ中から、入力対象ウィンドウとして入力ウィンドウIW1を選択した例を示している。
【0035】
各シンボルは、記録された情報が異なるだけでなく、例えばシンボルの種別(バーコードや二次元コードの規格)、桁数、文字情報か数値かなど、属性も異なっている。一方で、共通の光学式情報読取装置を用いて異なるシンボルを読み取れるよう、コードリーダとしての汎用性を高めるために光学式情報読取装置の読取条件を限定せず、様々な種類のシンボルを読み取れるように設定している。しかしながら、この場合において、所望のバーコードを読み取る際に、近くにある別のバーコードを意図せず読み取ってしまい、読取エラーが発生し、生産性を下げる要因となっていた。
【0036】
このような場合において、ユーザの誤入力を防止し、読取を正確に行うためには、例えばユーザがユーザアプリケーション上で、エラーチェックのための煩雑な設定を事前に行うことや、ユーザアプリケーションからデータを集めるサーバ上でエラー判定を行うプログラムを組むこと等が考えられる。
【0037】
しかしながら、これらの方法はいずれもユーザに負荷の大きな作業を要する。また、このようなエラーチェックを容易に実現できるアプリケーションは提供されていないのが実情であった。これに対し本実施形態に係る光学式情報読取装置100は、入力ウィンドウに入力される情報自体に制約を設けることで、入力する段階でのエラーチェックを簡単に実現可能としている。
【0038】
具体的に、
図2に示す光学式情報読取装置100は、設定部43と、判定部44を備える。設定部43は、操作部32により選択された入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの制限条件を設定する。制限条件としては、例えば入力ウィンドウへの入力対象情報の入力を制限する読取条件や、撮像部10の動作を規定する動作条件、読み取ったデータの出力に関する出力条件が含まれていてもよい。判定部44は、撮像部10により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、入力条件を満たすか否かを判定する。読取部42は、判定部44により一のシンボルの情報が入力条件を満たすと判定された場合に、入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を入力するよう構成されている。このような構成により、入力ウィンドウ毎にシンボルの条件、例えばコード種や桁数、読取動作などを限定することで、不要なシンボルを読み取る誤読などを低減させることができる。
【0039】
例えば、光学式情報読取装置100に実装されたユーザアプリケーションUAが、製品のLocation(場所)とシリアルナンバーを読み取る入力ウィンドウを有する場合において、1つのLocationに対して複数(例えば10個)のシリアルナンバーを読み取るケースを考える。ここで各入力ウィンドウの入力規則として、Locationは「123456」のように6桁、シリアルナンバーは1234567890のように10桁であるとする。この場合において、ユーザアプリケーションUA上の入力ウィンドウの内、Locationの入力欄をタップして入力対象ウィンドウを指定し、Locationに対応する6桁の情報を持つシンボルだけが読取対象として自動的に設定されるようにする。また異なる入力ウィンドウであるシリアルナンバーの入力欄をタップして、シリアルナンバーに対応する10桁の情報を持つシンボルを、所望の数(ここでは10個)読み取るまで繰り返すことが可能となる。
(入力条件)
【0040】
複数の入力ウィンドウの内から選択された入力対象ウィンドウに対して入力される入力対象データを制限する入力条件は、設定部43で設定される。入力条件は、例えばシンボルのコード種、桁数、読取モード、読取数等が挙げられる。このような制限条件を事前に設定部43で登録し、アプリケーション画面上の入力ウィンドウと制限条件とを関連付ける。そしてユーザによりある入力ウィンドウが入力対象ウィンドウとして選択された場合、その入力対象ウィンドウに関連付けた設定に従って動作をさせる。またユーザにより選択された入力ウィンドウが変更された場合は、変更後の入力対象ウィンドウに関連付けた制限条件に従って動作させる。
【0041】
また入力条件に従って撮像や読み取りを行うことで、処理の簡素化や高速化も図られる。例えば読取部42で、入力条件に含まれるコード種の種別に基づいて該当するシンボルの読取アルゴリズムを特定しておく。そして判定部44により一の読取対象シンボルが読取対象であると判定された場合に、このシンボルを読取アルゴリズムに従って読み取る。このように入力ウィンドウごとにシンボルのコード種を限定することで、不要なシンボルを読み取る誤読を低減できる。また、読取アルゴリズムを特定のコード種に限定して読み取ることで、不要な読取アルゴリズムの実行を避け、読取速度も向上される。
【0042】
また、例えば入力条件に、シンボルの桁数、形式等、文字列の規則を含めてもよい。判定部44は、入力対象ウィンドウに対して設定された読取終了条件に含まれる文字列の規則と、読取部42により読み取ったシンボルの情報に含まれる文字列の規則とが一致しているか否かの判定を行う。そして読取部42は、入力対象ウィンドウに対して設定された読取終了条件に含まれる文字列の規則と読み取ったシンボルの情報に含まれる文字列の規則とが一致していると判定された場合に、入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を入力するよう構成する。これにより、入力ウィンドウごとにシンボルの桁数や形式などの規則を限定することで、不要なシンボルを読み取る誤読などを低減させることができる。
(動作条件)
【0043】
制限条件として、トリガ設定やコード収集設定、照明設定を含むデコード設定などを含む動作条件が設定されてもよい。設定された動作条件に従ってトリガ動作やコード収集方式、照明の有無、デコード処理などが特定されてもよい。
【0044】
トリガ設定は、トリガキー31の押下時のふるまいを設定するものであり、設定に従って撮像部10の撮像を制御するよう構成できる。例えば「標準モード」に設定した場合、トリガキー31を押下すると、押下期間中のみ撮像を継続する。また「オートオフ」に設定した場合、トリガキー31の押下後、一定時間経過後まで撮像を継続する。
【0045】
動作条件には、一括収集連続枚数を含めてもよい。この場合判定部44は、指定桁数の情報が一括収集連続枚数以内か否かを判定する。
【0046】
また動作条件には、コード収集設定を含めてもよい。またコード収集設定は、予め定められた個数の情報を読み取る一括読みの設定を含めてもよい。一括読みの設定が設定された場合、読取部42は、一括読みの設定に含まれる個数のシンボルの情報の読取が完了するまで、一の撮像処理を継続する。例えば、8桁のバーコードを10個読む用途において、バーコードが10個に至るまで光学式情報読取装置100で読み続ける。
【0047】
さらに複数の情報が読み取られた場合は、入力対象ウィンドウに対して設定された入力規則に従って、入力対象ウィンドウに複数のシンボルの情報を入力するように構成してもよい。なおデコード設定の詳細については後述する。
(出力条件)
【0048】
制限条件として、読み取ったデータの出力に関する出力条件を設定し、出力部49は設定された出力条件に従って読み取ったデータの出力を行ってもよい。
【0049】
出力条件には、入力対象ウィンドウに対して設定された入力規則が、入力対象ウィンドウに読み取られた情報に、所定のデータを付加するデータ付加設定が含まれてもよい。所定のデータは、エンターやタブ等の特定のキーの情報とできる。このような構成により、入力時に求められる所定のデータ、例えばエンターキーやタブキーを押下して入力する手間を省力化できる利点が得られる。
【0050】
さらに出力設定には、入力対象ウィンドウに読み取られた複数の情報を、所定の書式に変更するものでもよい。例えば複数の情報をカンマで区切る等、所定のフォーマットに変更することで、このような変換の手間を省力化できる利点が得られる。
【0051】
さらに、出力設定には、出力するデータをソートするソート設定が含まれていてもよい。このような構成による、ユーザは所定のルールに従った形式でソートされたデータを得ることができる。
(モデルシンボル)
【0052】
さらに、制限条件の設定は、設定部43からユーザが手動で行う他、専用のモデルシンボルを用意し、このモデルシンボルを読み込ませることで、該モデルシンボルの読み取り動作の結果から、設定させることもできる。例えば、モデルシンボルの一例として、モデルバーコードを用意し、このモデルバーコードを読み取らせることで、そのモデルバーコードの種別や、それに含まれる桁数などの規則に従って、自動的に制限条件を設定することができる。また、読み取り時の画像の明るさ等から、明るさ設定も行うことができる。これにより、ユーザが個別に制限条件を設定せずとも、予め準備されたモデルコードを読み取らせることで、このモデルコードに設定された情報、例えばコード種別や桁数などの規則を自動的に制限条件として設定部43で設定することが可能となり、設定の省力化が図られる。
【0053】
設定部43では、複数の異なる制限条件を設定できる。また、設定された複数の異なる制限条件を予め保存しておくことができる。保存された複数の制限条件は、制限条件選択部で呼び出して、いずれかの制限条件を選択することができる。つまり入力ウィンドウに対し、保存された複数の制限条件のいずれかを選択して、制限条件として設定する。このような入力ウィンドウと制限条件の紐付け乃至関連付けを行うことで、複数の入力ウィンドウに対し、異なる制限条件の設定を行う作業を簡素化できる。このような制限条件を切り替える制限条件選択部60の一例を、
図5に示す。ここでは、SET01~SET06の6つの制限条件を予め登録しておくことができる。また、初期値として選択される制限条件を設定してもよい。
図5の例では、制限条件SET01がデフォルトの制限条件として設定されている。またデフォルトの制限条件であることを示すデフォルト表示を付加してもよい。後述する
図7~
図9に示す制限条件設定画面70の例では、デフォルトの制限条件であるSET01の右上には、「デフォルト」であることを示す●印のアイコンが表示されている。
(制限条件の設定)
【0054】
上述の通り、光学式情報読取装置100は、予め複数の制限条件を保持している。制限条件は、例えば10個や20個等、上限の個数まで保持することができる。この例では、SET01~SET10まで、10個の制限条件を保存可能としている。また、各制限条件には、ユーザが任意に設定を行うことができる。例えばSET01は標準動作、SET02は特定コード種を限定した設定、SET03は一気に複数のコードを読み取る設定等とできる。さらに、一旦設定した制限条件を、個別にカスタマイズすることもできる。
[光学式情報読取方法]
【0055】
本実施形態に係る光学式情報読取方法は表示部に表示される、ユーザアプリケーションを構成する複数の入力ウィンドウの内、任意の入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの制限条件を設定部で設定する工程と、表示部に表示される複数の入力ウィンドウから、入力対象となる入力対象ウィンドウを操作部32で選択する工程と、シンボルからの反射光を電気信号に変換し、撮像部で画像データを生成する工程と、撮像部により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、入力条件を満たすか否かを判定部で判定する工程と、判定部により一のシンボルの情報が入力条件を満たすと判定された場合に、入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を読取部により入力する工程とを含む
【0056】
以上の光学式情報読取方法を整理すると、入力条件を光学式情報読取装置100に設定する方法(設定方法)と、入力条件を設定後の光学式情報読取装置100を用いて実際にシンボルを読み取る方法(読取方法)に大別される。ここで、本実施形態に係る光学式情報読取装置100でシンボルを適切に読み取れるよう、予め読取条件に関する設定を行う設定方法と、運用時において実際に光学式情報読取装置100を用いてシンボルを読み取る方法(入力ウィンドウへの入力対象データの入力方法)とに分けて説明する。
(設定方法)
【0057】
制限条件を設定する方法は、さらに、予め複数の制限条件を設定して保存する工程(制限条件の設定方法)と、設定された複数の制限条件のいずれかを、複数の入力ウィンドウのいずれかに割り当てる工程(制限条件の割り当て方法)に大別される。以下、順次説明する。
(制限条件の設定方法)
【0058】
以下、複数の制限条件を設定し保存する方法を、
図6のフローチャート及び
図7~
図21に基づいて説明する。
図7~
図9は、制限条件を設定する設定部43の一態様である制限条件設定画面70の例を示している。
図7の画面を下にスクロールすると
図8、
図9の画面に順次切り替わる。
【0059】
まず、ステップS601において、制限条件の番号を設定する。制限条件を複数設定できるよう、予め各制限条件には番号が付されている。例えば制限条件SET01~SET10の10個の制限条件を
図2の制限条件保存部53に保存可能としている。
図7~
図8の制限条件設定画面70の例では、予め制限条件番号SET01~SET10を選択可能としており、この中から設定対象の制限条件として制限条件SET01が選択された状態を示している。制限条件番号SET01~SET10は上段においてタブ状に表示されており、所望の制限条件番号を選択することで、該当する制限条件番号の各制限項目を設定、あるいは編集できるようになる。なお、この例では、予め付与された制限条件番号の中から、いずれかを選択するように構成としているが、本発明はこの構成に限らず、例えばユーザが任意の制限条件番号を設定するようにしてもよい。また、付与された設定条件番号の名称をユーザが変更できるようにしてもよい。さらに制限条件番号は、番号、すなわち数値のみに限らず、文字や記号などの文字列で構成したり、数値と文字を組み合わせてもよい。
図7等に示す制限条件設定画面70の例では、SET01のように、英文字と数値の組み合わせで制限条件番号を構成している。
【0060】
次にステップS602において、制限条件を構成する複数の制限項目の中から、所望の制限項目を選択する。そしてステップS603において、選択された制限項目の設定を行う。制限項目として、シンボルの読み取りに関する読取パラメータ、読取コード、データ出力、読取時動作等が挙げられる。
図7~
図9の例では、読取パラメータとして、トリガ設定、ターゲット設定、コード収集設定、デコード設定を挙げている。また読取コードとして、読取コード種別、コードパラメータが挙げられる。さらにデータ出力として、フォーマット設定、出力設定が挙げられる。さらに読取時動作として、読取成功時の処理、読取失敗時の処理、データ出力時設定等が挙げられる。なおアプリケーション情報は、ユーザアプリケーションのバージョン情報を示している。これらの図において、該当する制限項目を押下すると、選択された制限項目に関する設定画面に遷移する。例えば
図7において「トリガ設定」欄71を押下すると、
図10のトリガ設定画面90に切り替わる。トリガ設定画面90では、トリガモード、読取タイムアウトを設定できる。トリガモードとしては、標準(トリガキー31を押したときにトリガ発行)、オートオフ(トリガキー31を押下後、所定時間経過後に自動的にトリガOFF)、離して読み(トリガキー31を押下時にトリガ発行し、トリガキー31を離したときもトリガ発行)等を選択できる。また読取タイムアウトとしては、25秒など、時間を数値で規定したり、選択肢から選択することができる。
【0061】
また
図7において「ターゲット設定」欄72を押下すると、
図11Aのターゲット設定画面110に切り替わる。ターゲット設定画面110では、エイマーターゲット、デコード視野、デコード距離(4m等、数値で規定、あるいは選択肢から選択)、データフォーマットを設定できる。エイマーターゲットとしては、無効、エイマー中心、エイマー水平ラインなどを指定できる。エイマー中心では、エイミング光の中心がバーコード等のシンボルに重なると読み取りが開始される。またエイマー水平ラインでは、エイミング光の水平ラインがシンボルに重なると読み取りが開始される。一方、デコード視野では、標準、狭(1D)、狭(2D)等を選択できる。狭(1D)を選択した場合、
図11Bに示すようにエイミング光ALの中心を通る横方向に細長い領域(図において破線で示す)を読取対象領域SAとする。また狭(2D)を選択した場合、
図11Cに示すようにエイミング光ALの中心を通る領域(図において破線で示す)を読取対象領域SAとする。さらにデータフォーマットとしては、例えばシンボルに含まれる情報の頭文字がAの場合のみ(A****のようにAから始まる5桁のデータなど)読み取りを開始する等の読取条件を設定する。
【0062】
さらに
図7において「コード収集設定」欄73を押下すると、
図12のコード収集設定画面120に切り替わる。コード収集設定画面120では、収集方法(累積収集か一括収集か)、コード数(1個など、個数を数値で規定、あるいは選択肢から選択)、コード探索タイムアウト時間(200msなど、時間を数値で規定、あるいは選択肢から選択)などを設定できる。コード探索タイムアウト時間で設定された時間毎に、新たなシンボルがないかを判断する。コード探索タイムアウト時間が長い場合は、1つの画像からデコードをトライし続ける。一方コード探索タイムアウト時間が短い場合は、短時間でデコードを断念して、次の画像に遷移する。
【0063】
さらにまた
図7において「デコード設定」欄74を押下すると、
図13~
図14のデコード設定画面130、140に切り替わる。
図14は
図13を下方向にスクロールしたデコード設定画面140を示している。これらのデコード設定画面130、140では、白黒反転(白地に黒/黒地に白/自動切替)、鏡像反転(無効/有効)、カメラ切替(スキャンカメラ/カラーカメラ/スキャンカメラ+カラーカメラ)、照明LED(無効/全点灯/片側などの部分点灯)、読取レベル(標準/熟考)、フィルタ設定(無効/有効)、一致回数(1回など、数値で規定、あるいは選択肢から選択)などを設定できる。白黒反転の設定によって、読取部42でシンボルからエッジパターンを切り出すアルゴリズムが変更される。
【0064】
またカメラ切替では、スキャンカメラである第一撮像部10のみ、カラーカメラである第二撮像部のみ、スキャンカメラとカラーカメラ、すなわち第一撮像部10と第二撮像部20の切替の、いずれかを選択できる。カメラ切替でスキャンカメラ+カラーカメラを選択することで、本実施形態で説明した、条件に応じた第一撮像部10から第二撮像部20への切り替え制御が実行される。またカメラ切替でスキャンカメラ又はカラーカメラを選択すると、このような第一撮像部10から第二撮像部20への切り替え制御が行われず、いずれかの撮像部による撮像に固定される。
【0065】
さらに照明LEDでは、照明光の明るさ等の明るさ設定を設定できる。例えば、照明部を構成するLEDの有効/無効を切り替える。また明るさ設定には、照明光の数や光量の他、撮像部側の設定、例えばシャッタスピードや絞り等を含めてもよい。
【0066】
さらにまた一致回数は、例えば1~5回の範囲で設定できる。読み取りを複数回繰り返して、得られたシンボルの情報が、一致回数で指定された数だけ、繰り返し同じ結果が得られなかった場合は、そのデータは読み取れていないと判定される。
【0067】
図8において「読取コード種別」欄75を押下すると、
図15の読取コード種別設定画面150に切り替わる。読取コード種別設定画面150では、読み取り可能なコード種を選択する。
図15の例では、読み取り可能なコード種別が一覧で列挙され、チェックボックスで選択する。この例では、UPC/EAN/JAN、Code128、Code39、ITF、GS1DataBar、Datamatrix、OCR等が選択肢として挙げられている。また
図8において「コードパラメータ種別」欄76を押下すると、
図16Aのコードパラメータ種別設定画面160に切り替わる。コードパラメータ種別設定画面160では、選択された各コード種別の読み取りパラメータを設定する。例えばUPC/EAN/JANについて、初期値やマージン設定等、Code128について、初期値やマージン設定、コード桁数設定等、Code39について、初期値やマージン設定、コード桁数設定等、ITFについて、初期値やマージン設定、コード桁数設定等、GS1DataBarについて、初期値やコード桁数設定等、Datamatrixについて、初期値やコードの最小桁数・最大桁数などを設定する。なおマージン設定では、バーコード等のシンボルの前後にどの程度の余白を設定するかを規定する。さらに
図8において「フォーマット設定」欄77を押下すると、
図17のフォーマット設定画面170に切り替わる。フォーマット設定画面170では、切り出し設定(無効/有効)、16進変換(無効/有効)、プレフィックスAIM ID(無効/有効)、プレフィックス、サフィックス、エンコードなどを設定する。例えば、コードパラメータでCode128を選択すると、
図16Bのようなコードパラメータ設定画面160Bが表示され、詳細の設定が可能となる。プレフィックスやサフィックスでは、読み取られた情報の冒頭や末尾に、指定された情報を付加する。例えば読み取った情報の先頭や末尾に“A”など、特定の情報を付加することができる。また出力設定では、例えば、読み取られた入力対象データの末尾に、エンターキーやタブキーの出力情報を付加することができる。さらにまた
図8において「出力設定」欄78を押下すると、
図18Aの出力設定画面180が表示される。出力設定画面180では、キーボード出力(無効/有効)、ターミネータ(なし/エンターキー/タブキー)、キーイベントディレイ(0msなど、時間を数値で規定、あるいは選択肢から選択)、出力方式(カンマ区切りをするか否かなど)、コード出力順(アルファベット順/読み取り順/読み取った座標順)、データタイプ等を設定する。例えばターミネータの設定を例示すると、
図18Aの出力設定画面180で「ターミネータ」欄を押下すると、
図18Bに示すターミネータ設定画面180Bが表示される。このターミネータ設定画面180Bから、ターミネータの設定、例えば読み取られた入力対象データの末尾に、エンターやタブ、コントロール、エディタ起動やこれらの組み合わせといった出力情報を付加するよう設定することができる。
【0068】
また、
図8の例において、OCRの設定をする「OCR設定」欄が設けられてもよい。「OCR設定」欄を押下すると、OCR設定画面に切り替わる。OCR設定画面においては、読取対象の文字列フォーマット設定や日付フォーマット設定などの設定をすることができる。
【0069】
文字列フォーマット設定として、***@***のように途中に特定の記号を含む形式や、A***のように特定の文字から始まる文字列のみを読み取るなどの設定ができる。さらに、出力設定として出力文字に記号やスペースを含めるか否かなどが設定できてもよい。
【0070】
日付フォーマット設定として、最小日付や最大日付、日付セパレータとしてスラッシュやピリオド、ハイフン、スペース、「年」「月」なども文字列、などのいずれを用いるか、あるいは、日付セパレータを用いないなどの設定ができる。また、日付形式として年月日や月日日、日付表記として、2桁の年表示や1桁の月/日表示を読み取るか、エイジ表記の月を読み取るかなどの設定が可能であってもよい。
【0071】
さらに
図9において、「読取成功時」欄79を押下すると、
図19の読取成功時設定画面190に切り替わる。また「読取失敗時」欄80を押下すると、
図20の読取失敗時設定画面200に切り替わる。さらに「データ出力時」欄81を押下すると、
図21のデータ出力時設定画面210に切り替わる。これら読取成功時設定画面190や読取失敗時設定画面200、データ出力時設定画面210では、サウンド(ブザー/無効)、音階(16階など、数値で規定、あるいは選択肢から選択)、バイブレータ(無効/有効)、LED(無効/有効)等を設定できる。さらに読取成功時設定画面190や読取失敗時設定画面200では、ON時間やOFF時間(100msなど、時間を数値で規定、あるいは選択肢から選択)等の設定も可能である。
【0072】
以上のようにして、所望の制限項目の設定を終えると、
図6のステップS604において、他に設定したい制限項目の有無を判定する。他に設定したい制限項目がある場合は、ステップS602に戻って制限項目の選択を行う。そして設定したい制限項目の設定を終えると、ステップS605に進み、設定を終えた制限条件番号の制限条件を
図2の制限条件保存部53に保存する。そしてステップS606に進み、他に設定したい制限条件番号の有無を判定する。他に設定したい制限条件番号が残っている場合は、ステップS601に戻って上記処理を繰り返す。一方、すべての制限条件番号について設定を終えた場合は、処理を終了する。このようにして、複数の制限条件をそれぞれ設定する。
(制限条件の割り当て方法)
【0073】
以上のようにして複数の制限条件が設定されると、次に、これら設定された複数の制限条件のいずれかを、ユーザアプリケーションを構成する複数の入力ウィンドウに割り当てる。以下、制限条件の割り当て方法を、
図22のフローチャート及び
図23~
図28に基づいて説明する。まずステップS2201において、制限条件を割り当てたいユーザアプリケーションUAを選択する。ここでは
図7の制限条件設定画面70の右上に設けられたハンバーガーアイコン82をクリックし、
図23に示すようにリストボックス83が表示された状態で、「自動設定切り替え」ボタン84を押下する。これにより、
図24に示すように入力ボックス割当一覧画面220が表示される。入力ボックス割当一覧画面220では、制限条件が割り当て済みの入力ウィンドウが一覧表示されている。ここでは、ユーザプログラム名221と入力ウィンドウのテキスト情報222が、制限条件番号223と共に表示されている。この画面で、新たな入力ウィンドウと制限条件の割り当てを行うには、すなわち入力ボックス割当一覧画面220に新たな割り当てを追加するには、右下の追加ボタン224を押下する。これにより
図25のアプリケーション選択画面230が表示される。アプリケーション選択画面230には、ユーザアプリケーションの一覧が表示される。ユーザは、制限条件を割り当てたい所望のユーザアプリケーションを選択する。ここでは、ユーザアプリケーションとして「DemoSample」を選択する。
【0074】
次にステップS2202において、制限条件を割り当てたいユーザアプリケーションの入力ウィンドウを選択する。まず、
図25のアプリケーション選択画面230でユーザアプリケーションとして「DemoSample」を選択すると、
図26のように選択されたユーザアプリケーションUAが起動され、入力ウィンドウを選択可能な入力ウィンドウ選択画面240が表示される。この状態でユーザは、制限条件を割り当てたい入力ウィンドウを設定対象ウィンドウとして選択する。例えば表示部3のタッチパネル上で、所望の入力ウィンドウをタップしてフォーカスの当たった状態とする。ここでは、入力ウィンドウとしてLocation、Product、Qtyの3つが設けられた中から、Locationが設定対象ウィンドウとして選択されている。この状態で、
図26の右下に設けられた「APPLY」ボタン241を押下すると、
図27に示す制限条件選択画面250が表示される。
【0075】
そしてステップS2203において、所望の制限条件を選択する。ここでは、
図27の制限条件選択画面250で一覧表示される制限条件のいずれかを、ユーザに選択させる。
図27の例では、制限条件番号順に設定済みの制限条件が一覧表示され、ラジオボタンでいずれかを選択可能としている。ユーザがいずれかの制限条件を選択すると、選択された制限条件が入力ウィンドウに割り当てられ、その関連付けが
図2の割当保存部54に保存される(ステップS2204)。また、
図28に示すように、入力ボックス割当一覧画面220が更新され、新たに登録された入力ウィンドウの割り当て(図において最下段の設定セット#3)が一覧に加えられる。
【0076】
さらにステップS2205において、他の割り当てを行うか否かを判定する。他の入力ウィンドウへの割り当てを行う場合は、ステップS2201に戻って上記処理を繰り返す。そして各入力ウィンドウへの割り当てをすべて終えた後、処理を終了する。このようにして、必要な入力ウィンドウに対して、所望の制限条件を割り当てることができる。
(ID情報、テキスト情報)
【0077】
ここで、入力ウィンドウを特定する方法として、画面名、ID情報、テキスト情報等を利用することが挙げられる。ここでID情報とは、アプリケーション画面内で一意に設定される、入力ウィンドウの識別情報である。ID情報には、数値や文字列が利用できる。またテキスト情報はヒントテキスト等とも呼ばれ、ユーザに知覚可能な文字情報である。例えば
図3の例では、入力ウィンドウIW1にはテキスト情報としてLocation、入力ウィンドウIW2にはProduct、入力ウィンドウIW3にはQtyが、それぞれ表示されている。このような文字情報であるテキスト情報を手掛かりに、ユーザは入力ウィンドウを視覚的に区別できる。例えばユーザアプリケーションによっては、ID情報が設定されていない場合や、ID情報がテキスト情報と同じ場合なども想定されるため、本実施形態においてはアプリケーション名、アプリケーション画面名、ID情報、テキスト情報の4つに基づいて、入力ウィンドウを特定している。ただ、本発明はこの構成に限らず、例えばテキスト情報のみ、あるいはID情報のみで入力ウィンドウを特定してもよい。また、ID情報を優先して入力ウィンドウを区別し、ID情報のみでは特定できない場合にテキスト情報を利用するようにしてもよい。
【0078】
ID情報とテキスト情報の例を、
図29~
図34に基づいて説明する。
図29は入力ウィンドウの一覧を示す入力ウィンドウ設定一覧画面260であり、ここでは3つの入力ウィンドウが表示されている。例えば
図26で示すユーザアプリケーションでフォーカスされている入力ウィンドウIW1について、入力ウィンドウ詳細情報表示画面を表示させるため、
図29のペン型アイコン261をタップすると、
図30に示す画面のようになる。
図30の入力ウィンドウ詳細情報表示画面270Aには、入力ウィンドウIW1の詳細情報として、アプリケーション名表示欄271、アプリケーション画面名表示欄272、ID情報表示欄273、テキスト情報表示欄274が設けられている。各表示欄には、それぞれアプリケーション名(com.example.demonsample)、アプリケーションの画面名(com.example.demonsample.MainActivity)、ID情報(165)、テキスト情報(Location)が表示される。また
図31に示すユーザアプリケーションUAでフォーカスされている入力ウィンドウIW2について、
図32の入力ウィンドウ詳細情報表示画面270Bを表示させると、入力ウィンドウIW2の詳細情報として、アプリケーション名表示欄271にアプリケーション名(com.example.demonsample)、アプリケーション画面名表示欄272にアプリケーションの画面名(com.example.demonsample.MainActivity)、ID情報表示欄273にID情報(168)、テキスト情報表示欄274にテキスト情報(Product)が、それぞれ表示される。さらに
図33に示すユーザアプリケーションUAでフォーカスされている入力ウィンドウIW3について、
図34の入力ウィンドウ詳細情報表示画面270Cを表示させると、入力ウィンドウIW3の詳細情報として、アプリケーション名表示欄271にアプリケーション名(com.example.demonsample)、アプリケーション画面名表示欄272にアプリケーションの画面名(com.example.demonsample.MainActivity)、ID情報表示欄273にID情報(171)、テキスト情報表示欄274にテキスト情報(Qty)が、それぞれ表示される。このように、
図30、
図32、
図34において、アプリケーション名とアプリケーション画面名は同じとなるため、これらの情報のみでは区別できない。このため、上述の通りID情報やテキスト情報を利用して区別する。
(入力ウィンドウへの入力対象データの入力方法)
【0079】
以上のようにして、ユーザアプリケーションに対し、入力ウィンドウへの制限条件の割り当てを行うことで、光学式情報読取装置100の運用に際して、各入力ウィンドウへの入力に際して、読み取ったシンボルの情報を適切に入力することが可能となり、設定された制限条件に合致しない入力を検知して誤読を阻止できる。以下、光学式情報読取装置100の実運用時、すなわちユーザアプリケーションの各入力ウィンドウに対し、光学式情報読取装置100で読み取ったシンボルの情報を入力対象データとして入力する際に、フォーカスされている入力ウィンドウに応じて制限条件を切り替える手順を、
図35のフローチャートに基づいて説明する。ここでは
図3のユーザアプリケーションUAの入力ウィンドウや入力ボックスに、入力対象データとして光学式情報読取装置100でシンボルを読み込んだ値を入力する例を示す。まずステップS3501において、画面タップ等のユーザ動作の有無を判定する。ユーザ動画が検出されない場合は、ステップS3501の動作を繰り返す待機状態となる。
【0080】
ユーザ動作が検出されると、ステップS3502に進み、入力ウィンドウが選択されているか否かを判定する。ここでは、ユーザインターフェース上の複数の入力ウィンドウ、例えば
図3や
図4のLocationやProductなどの入力ウィンドウの何れかにフォーマスが当たっているかどうかを判定する。
図3のように、いずれの入力ウィンドウにもフォーカスされていない場合は、ステップS3501に戻って上記処理を繰り返す。
【0081】
一方、
図4に示すように入力ウィンドウにフォーカスされている場合は、ステップS3503に進み、トリガキーが押下されたか否かを判定する。トリガキーが押下されていない場合は、ステップS3501に戻って上記処理を繰り返す。そしてトリガキーが押下された場合は、ステップS3504に進み、フォーカスされている入力ウィンドウ情報を取得する。ここでは入力ウィンドウ情報は、ユーザアプリケーションの種類や画面の種類などである。そしてステップS3505に進み、登録済みの入力ウィンドウとその画面か否かを判定する。ここでは、フォーカスされている入力ウィンドウに対して制限条件が登録されているかを判定することになる。ここで登録済みの入力ウィンドウでない場合やその入力ウィンドウの画面でもない、すなわち登録済みの入力ウィンドウにフォーカスされていない場合は、ステップS3510に進み、デフォルトの設定で読取動作を実行して処理を終了する。このようにユーザにより特定の制限条件が実行されていない入力ウィンドウに対しては、デフォルトの制限条件で制限条件を行う。上述した
図7等の例では、SET01の制限条件がデフォルトとして設定されている。
【0082】
なお、制限条件が登録済みの入力ウィンドウにフォーカスされていない場合は、デフォルト設定での読取動作に代えて、ユーザアプリケーションUAに対して共通に割り当てられた制限条件である共通設定に従って読取動作を行ってもよい。例えば、ユーザアプリケーションに対して、共通設定として予め入力条件や動作条件、出力条件が定められてもよく、入力ウィンドウに対して特定の制限条件が割り当てられた場合には、当該特定の制限条件に従って読み取り動作を行い、入力ウィンドウに対して特定の制限条件が割り当てられていない場合には、共通設定に従って動作条件を行ってもよい。
【0083】
一方、登録済みの入力ウィンドウであり、かつ当該入力ウィンドウの画面と判定された場合は、ステップS3506に進み、この入力ウィンドウが登録済みのID情報か否かを判定する。登録済みのID情報の場合は、ステップS3507に進み、制限条件を切り替える。すなわち、フォーカスされている入力ウィンドウにID情報が付与されているか否かを判定して、ID情報が付与されている場合は、入力ウィンドウとその制限条件をID情報により紐付けることができる。一方、登録済みのID情報でない場合は、ステップS3509に進み、入力ウィンドウに登録済みのテキスト情報があるか否かを判定する。例えば
図30に示した入力ボックス情報詳細表示画面の例では、入力ウィンドウに対応して、「Text information」に相当するものがあるか否かを判定する。そしてText informationがLocationと入力されており、Locationに対応する制限条件が存在すれば、その入力ウィンドウとその制限条件をText informationに紐付けることができる
【0084】
このような登録済みのテキスト情報がない場合は、ステップS3510に進み、デフォルトの設定で読取動作を実行して処理を終了する。一方、ステップS3509で登録済みのテキスト情報がある場合は、ステップS3507に進み、同じく制限条件を切り替える。
【0085】
そしてステップS3508において、設定された制限条件で読み取り動作を開始する。設定された制限条件を満たした場合、その入力対象ウィンドウに対する読み取りを終了する。例えば
図36に示すように、入力対象ウィンドウであるLocationの入力ウィンドウIW1に、入力対象データとして光学式情報読取装置100で読み取られた値「Shelf101」が入力される。そしてステップS3512に進み、未入力の入力ウィンドウがあるかを判定し、ある場合はステップS3501に戻り、上記の処理を繰り返す。そして未入力の入力ウィンドウがなくなった場合、すなわち入力が必要なすべての入力ウィンドウに対し入力が終了した場合は、処理を終了する。
【0086】
このように制限条件を事前に登録し、アプリケーション画面上の入力ウィンドウと制限条件とを関連付けておく。そして、ユーザによりある入力ウィンドウが選択された場合、その入力ウィンドウに紐付けられた制限条件に従って動作をさせる。さらにユーザにより選択された入力ウィンドウが変更された場合は、変更後の入力対象ウィンドウに紐付けられた制限条件に従って動作させる。このように入力ウィンドウ毎にコード種や桁数、読取動作などを限定することで、不要なコードを読み取る誤読などを低減させることができる。
[実施形態2]
【0087】
上記実施形態1では、ユーザ負荷を大きくすることなく、シンボルの読取のチェックを行えるようにすることで、生産性を向上させる方法について説明した。一方、実施形態2に係る光学式情報読取装置、光学式情報読取方法として、シンボルの読取のチェックを行うための設定作業そのものを容易に行えるようにする方法を説明する。
【0088】
実施形態2に係る光学式情報読取装置においては、実際のシンボルを読み取らせることで入力条件として設定される入力パラメータの一部、具体的には読取対象のシンボルに依存するパラメータであるシンボル依存パラメータを最適化することができる。さらにこの最適化されたシンボル依存パラメータを、上述の通り特定の入力ウィンドウに紐付けることもできる。このようなモデルシンボルの読み取りからシンボル依存パラメータの最適化、及び特定の入力ウィンドウへの割り当てを行う機能を、本明細書ではオートラーニング機能と呼ぶ。
【0089】
具体的にユーザアプリケーションを構成する複数の入力ウィンドウには、それぞれ異なる入力項目がある。例えばロケーション番号、品番、数量、シリアル番号等である。これらの入力を行う際は、各業務に即したシンボルを読み取ることになるが、業務ごとにコード種やコードの大きさ、データ桁数などが異なることが多い。このような用途においてユーザの誤入力を防ぐには、ユーザアプリケーションで読み取りコード種の限定を行ったり、サーバ上でエラー判定用のチェックプログラムを実装するなどの対応を行う必要があった。
【0090】
しかしながら、このようなプログラムの実装にはコストがかかる。また読取コード種を限定しようとすれば、業務の用途に応じて個別にユーザアプリケーションに設定する必要があり、煩雑であった。一方、ユーザアプリケーション側でコード種の限定などの設定をしない場合は、光学式情報読取装置側で様々な種類のコードを読み取り可能とする汎用設定で運用することとなるが、誤ったコードを読み取るミスが発生し得ることに加え、読取処理が冗長となるため処理が遅くなる問題があった。
【0091】
これに対して、本実施形態に係る光学式情報読取装置においては、上述した入力対象ウィンドウ毎に、実際にシンボルを読み取らせることで、制限条件の設定を行えるように構成してもよい。オートラーニングモードの終了後は、設定された制限条件を、業務フローに応じて自動切換えしてもよい。これにより複雑な設定手順を踏むことなく、業務フローに従った操作で読取設定の最適化を行える。この結果、プログラム等の事前準備をせずに、不要なコードを読み取ってしまう作業ミスを抑制し、読み取り速度を向上させることによる作業効率の向上が図られる。ここでのシンボルとしては、実際のワーク等の読取対象物に付されたシンボルを利用してもよい。特に実シンボルを、ユーザアプリケーションで読み取ることで、実際の用途や使用環境等に応じた適切な設定を行うことが可能となる。
【0092】
また、動作モードとして実際にシンボルの読み込みで設定の最適化を行うラーニングモードと、運用時の作業モードを切替可能とすることで、より便利に使用できる。例えば、実運用時に環境光の変化などの要因によりバーコードなどのシンボルの読み取りエラーが頻発するような状況において、作業モードからラーニングモードに一時的に切り替えて設定を最適化し、ファインチューニングを行うことで、シンボルの読み取りの成功率を向上させることが可能となる。また、このような動作モードの切り替えは、ユーザが手動で行う他、自動で行うようにしてもよい。例えば、読み取りエラーが所定回数以上繰り返した場合、あるいは読み取りエラーの連続する時間が所定時間以上続いた場合に、自動的に作業モードからオートラーニングモードに一時的に切り替えて、制限条件の最適化を実行した上で、作業モードに復帰させて読み取りを行うようにしてもよい。この方法であれば、ユーザの手を煩わすことなく、読み取り失敗が継続した場合に読取設定を再設定することが可能となり、利便性が向上する。
【0093】
ここで、オートラーニング機能を備える光学式情報読取装置を実施形態2として、
図37の機能ブロック図に示す。なお上述した実施形態と同じ部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。この図に示す光学式情報読取装置200は、撮像部10と、読取部42と、表示部3と、操作部32と、条件生成部45と、設定部43と、判定部44と、出力部49を備える。撮像部10は、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する。読取部42は、撮像部10により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る。表示部3は、複数の入力ウィンドウを表示させる。操作部32は、表示部3に表示される複数の入力ウィンドウから、入力対象となる入力対象ウィンドウを選択する。操作部32による操作は、操作キーによるキー操作であってもよいし、表示部3のタッチパネル操作であってもよい。
【0094】
実施形態2に係る光学式情報読取装置200は、実際に読み取ったシンボルの情報に従って入力ウィンドウに入力される情報自体に対する制約を設定することで、シンボルの読取のチェックを行うための設定作業そのものを簡単に実現可能としている。
【0095】
具体的に、
図37に示す光学式情報読取装置200は、設定部43で、操作部32により選択された入力対象ウィンドウに対して入力する入力対象データの制限条件を設定する。制限条件としては、例えば入力ウィンドウへの入力対象情報の入力を制限する入力条件が含まれていてもよい。
【0096】
入力条件は、例えばシンボルのコード種、桁数、読取モード、読取数等が挙げられる。また、入力条件の内、シンボルに応じて変化するパラメータであるコード種や桁数、コード種毎のパラメータは、シンボル依存パラメータと称されてもよい。
【0097】
撮像部10は、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する。読取部42は、撮像部10により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る。条件生成部45は、オートラーニング実行時に読取部42により読み取られたシンボルに含まれる情報に従って、シンボル依存パラメータを生成する。具体的には、条件生成部45は、読取部42により読み取られたシンボルに含まれる情報から、読み取られたシンボルのコード種の特定と、桁数の特定とを行い、特定したコード種および桁数とをシンボル依存パラメータとして格納する。設定部43は、条件生成部45により生成されたシンボル依存パラメータを含む入力条件を制限条件として、アプリケーション画面上の入力ウィンドウと関連付けて設定する。そしてユーザにより、ある入力ウィンドウが入力対象ウィンドウとして選択された場合、その入力対象ウィンドウに関連付けた設定に従って動作をさせる。またユーザにより選択された入力ウィンドウが変更された場合は、変更後の入力対象ウィンドウに関連付けた制限条件に従って動作させる。
【0098】
入力対象ウィンドウに関連付けられた設定に従って、光学式情報読取装置200が動作する場合、判定部44は、撮像部10により生成された画像データに含まれる一のシンボルの情報が、制限条件を満たすか否かを判定する。読取部42は、判定部44により一のシンボルの情報が制限条件を満たすと判定された場合に、入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を入力するよう構成されている。このような構成により、入力ウィンドウ毎にシンボルの条件、例えばコード種や桁数を限定することで、不要なシンボルを読み取る誤読などを低減させることができる。さらに、読取部によって読み取られたシンボルに含まれる情報から、シンボル依存パラメータを生成することにより、複雑な設定手順を踏むことなく、制限条件の最適化を行える。この結果、プログラム等の事前準備をせずに、不要なコードを読み取ってしまう作業ミスを抑制し、読み取り速度を向上させることによる作業効率の向上が図られる。
【0099】
以下、本実施形態に係るオートラーニングの方法を
図38のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、既にオートラーニングモードが選択された状態であるとする。まずステップS3801において、ユーザアクションの有無を判定する。具体的には、画面タップ等のユーザによるアクションがあったか否かを判定し、ない場合はステップS3801を繰り返す待機状態となる。このS3801では、複数の入力ウィンドウの中から、設定対象の入力ウィンドウの選択を受け付ける。そしてユーザアクションを検出するとステップS3802に進み、トリガキーの押下の有無を判定する。トリガキーの押下が検出されない場合は、ステップS3801に戻って上記の処理を繰り返す。一方、トリガキーの押下を検出すると、ステップS3803に進み、選択中の入力ウィンドウ情報を取得する。ここでは複数の入力ウィンドウ中から選択された入力ウィンドウである設定対象ウィンドウが、どのアプリケーション上のどの入力ウィンドウであるかということを特定する情報が入力ウィンドウ情報として取得される。ここで特定される情報としては、例えば、アプリケーションの画面名やID情報などである。そしてステップS3804において、入力ウィンドウに対して制限条件が割当済みか否かを判定する。ここでは、設定対象ウィンドウに対して既に制限条件が割り当てられているか否かを判定する。例えば、仮保存/本保存(詳細は後述)のいずれかの制限条件群の中に、入力ウィンドウと紐づけられた制限条件があるか否かを判定する。割り当て済みの場合は、ステップS3805において、割当てられた制限条件に切り替えた上でステップS3807に進む。一方、未割り当ての場合は、ステップS3806において、チューニング数が上限以下か否かを判定する。チューニング数が上限以下の場合はステップS3807に進む。一方、上限以下でない場合、すなわち上限に達した場合はステップS3801に戻り、上記の処理を繰り返す。ここでチューニング数とは、割り当て済みの入力ウィンドウの数である。この例ではチューニング数が最大割り当て可能数である上限数を超えると新たなメモリの割り当てができなくなるため、オートラーニングを中止している。ただ、チューニング数が上限に達していた場合でも、設定を上書きするなどして各入力ウィンドウに対して追加でラーニングさせることができるようにしてもよい。
【0100】
ステップS3807においては、シンボル依存パラメータをラーニング用のシンボル依存パラメータに切り替える。ここでシンボル依存パラメータは、読み取れたシンボルに応じて最適化される設定であり、入力条件の内、コード種や桁数、コードパラメータが含まれてもよい。例えばステップS3804でYESの場合は、すでに設定された制限の内、「シンボル依存パラメータ」のみを切り替える。
【0101】
またラーニング用シンボル依存パラメータは、多様なパターンのコード等のシンボルを読み取れるようにシンボル依存パラメータを拡張した設定である。このようにラーニング用シンボル依存パラメータを、幅広いシンボルを読み取り可能とした汎用性の高い制限条件とすることで、実際のシンボルに応じた設定に柔軟に適応、最適化することができる。例えばシンボルのコード種、桁数などのパラメータ値を、特定の種類のコード、特定の桁数のコードの読取に限定、あるいは特化した設定から、非限定の汎用的な値に変更する。一例として、シンボルのコード種を「すべて有効」、桁数を「すべて読み取る(制限なし)」、コードパラメータを「可能な範囲でON」に、それぞれラーニング用シンボル依存パラメータのパラメータ値を設定する。このような設定とすることで、1つのシンボルを読み取るのに時間はかかるものの、広範な種類のシンボルを読み取ることが可能となる。なおラーニング用シンボル依存パラメータは、自動で設定する他、ユーザが手動で変更するように構成してもよい。
【0102】
そしてステップS3808において、シンボルの読み取り動作を開始する。ここでは、運用時に実際に読み取る対象となる実シンボルを用いている。さらにステップS3809において、読取に成功したか否かを判定する。読取に失敗した場合は、ステップS3801に戻って上記の処理を繰り返す。一方、読み取りに成功した場合は、ステップS3810に進み、読取に成功したコード情報を取得する。ここでコード情報としては、コード種別、桁数、コード種毎のパラメータ、例えばコード種別がQRコードの場合は、正方形か長方形か等が挙げられる。
【0103】
さらにステップS3811において、取得したコード情報に基づきシンボル依存パラメータを生成する。ここでは、読み取ったシンボルを読み取れる条件にシンボル依存パラメータを制限する。例えば、S3810で読み取られたコード種がCode128で、桁数が4桁だった場合、コード種をCode128に、桁数を4桁に制限したシンボル依存パラメータを生成する。そしてステップS3812において、入力ウィンドウに制限条件が割当済みか否かを判定する。ここで入力ウィンドウと制限条件の割り当て判定は、仮保存/本保存のいずれかの制限条件群の中に、入力ウィンドウと紐づけられた制限条件があるかどうかを判定する。入力ウィンドウに制限条件が割り当て済みの場合は、ステップS3813に進み、割当済みの制限条件にシンボル依存パラメータをマージしてステップS3815に進む。ここで、シンボル依存パラメータのマージは、二つのシンボル依存パラメータのORを取ることが挙げられる。すなわち、新たに読み取られたシンボルも追加して読み取ることができるようにシンボル依存パラメータを更新する。
【0104】
一方で、ステップS3812において、入力ウィンドウに制限条件が割り当て済みでない場合は、ステップS3814に進み、制限条件を入力ウィンドウに割り当ててステップS3815に進む。そしてステップS3815では、制限条件を仮保存する。ここで仮保存とは、本登録前で、ラーニング実行中に一時保存された状態である。そしてステップS3816において、チューニング終了操作がユーザによって行われたか否かを判定する。チューニング終了操作が行われていない場合は、ステップS3801に戻って上記の処理を繰り返す。一方、チューニング終了操作が行われた場合は、ステップS3817に進み、仮保存された制限条件群を本保存し、オートラーニング処理を終了する。
【0105】
以上は、設定時においてオートラーニング処理をユーザが明示的に実行する例を説明したが、所定の条件において自動的にオートラーニング処理を起動させるようにしてもよい。例えば運用時においてシンボルの読み取り動作を行う際、読み取りに失敗することが一定時間続いた場合に、自動的にラーニングモードに切り替える。これによって、読取条件を実際のシンボルに応じてより適切な条件に再設定して、読み取りの成功率を上げることが可能となる。
【0106】
以上の例では、コード種や桁数等の入力条件をオートラーニングで設定する手順について説明した。ただ本発明は、さらに撮像条件や照明条件などについても自動的に設定するよう構成できる。ここで、オートラーニングの他の例として、シンボルを読み取ることで、明るさ条件等の撮像パラメータ、およびシンボルのデコード設定等のデコードパラメータの最適化を行う手順を、
図39のフローチャートに基づいて説明する。ここでも、既にオートラーニングモードが選択された状態であるとする。まずステップS3901において、ユーザアクションの有無を判定する。ユーザアクションがない場合はステップS3901を繰り返す待機状態となる。一方、ユーザアクションを検出するとステップS3902に進み、トリガキーの押下の有無を判定する。トリガキーの押下が検出されない場合は、ステップS3901に戻って上記の処理を繰り返す。一方、トリガキーの押下を検出すると、ステップS393に進み、選択中の入力ウィンドウ情報を取得する。
【0107】
そしてステップS3904において、入力ウィンドウに対して制限条件が割当済みか否かを判定する。制限条件が割り当て済みの場合は、ステップS3905において、割当てられた制限条件に切り替えた上でステップS3907に進む。一方、未割り当ての場合は、ステップS3906において、チューニング数が上限以下か否かを判定する。チューニング数が上限以下の場合はステップS3907に進み、上限に達した場合はステップS3901に戻り、上記の処理を繰り返す。
【0108】
ステップS3907においては、シンボル依存パラメータをラーニング用のシンボル依存パラメータに切り替える。ここでシンボル依存パラメータは、読み取れたシンボルに応じて最適化される設定であり、コード種や桁数、コードパラメータに加えて、デコード設定が含まれてもよい。またデコード設定には、白黒反転、鏡像反転、デコードレベル、コントラスト閾値等が含まれてもよい。例えばステップS3804でYESの場合は、設定された制限条件の内、「シンボル依存パラメータ」のみを切り替える。
【0109】
またラーニング用シンボル依存パラメータは、多様なパターンのコード等のシンボルを読み取れるようにコード依存パラメータを拡張した設定である。このようにラーニング用シンボル依存パラメータを、幅広いシンボルを読み取り可能とした汎用性の高い入力条件とすることで、実際のシンボルに応じた設定に柔軟に適応、最適化することができる。例えばデコード設定、読取コード種別、コードパラメータなどのパラメータ値を、特定の種類のコードの読取に限定、あるいは特化した設定から、非限定の汎用的な値に変更する。一例として、シンボルのコード種を「すべて有効」、桁数を「すべて読み取る(制限なし)」、コードパラメータを「可能な範囲でON」、デコード設定(白黒反転)を「自動」、デコード設定(鏡像反転)を「自動」、デコード設定(デコードレベル)を「熟考」、コントラスト閾値を「低」に、それぞれラーニング用シンボル依存パラメータのパラメータ値を設定する。このような設定とすることで、1つのシンボルを読み取るのに時間はかかるものの、広範な種類のシンボルを読み取ることが可能となる。なおラーニング用シンボル依存パラメータは、自動で設定する他、ユーザが手動で変更するように構成してもよい。
【0110】
そしてステップS3908において、シンボルの読み取り動作を開始する。ここでもシンボルとして、運用時に実際に読み取る対象となる実シンボルを用いている。
【0111】
さらにステップS3909において、撮像条件を設定する。ここでは複数の撮像条件候補を設定して、いずれか一の撮像条件を選択する。そしてステップS3910において、読取に成功したか否かを判定する。読み取りに失敗した場合はステップS3911に進み、キャンセル操作が行われたか否かを判定する。キャンセル操作が行われた場合はステップS3901に戻って上記の処理を繰り返す。一方、キャンセル操作が行われていない場合はステップS3909に戻って、別の撮像条件に変更して同様の処理を繰り返す。
【0112】
一方、ステップS3910において読み取りに成功した場合はステップS3912に進み、読取に成功したコード情報を取得する。そしてステップS3913において、最も良い撮像条件が見つかったか否かを判定する。見つかった場合はステップS3914に進み、見つかっていない場合はステップS3909に戻って、異なる撮像条件に切り替えて同様の処理を繰り返す。このようにして、最も良い撮像条件を探索する。ここで最も良い撮像条件とは、例えば複数回連続して、読取能力が向上しない場合が挙げられる。また、規定回数に達するまでは、最も良い撮像条件が見つかっていないとし、規定回数に達したときに得られたパラメータの内、読取能力が最も高いものを最も良い撮像条件としてもよい。あるいは、規定回数に達した後、複数回連続して読取能力が向上しなくなるまで処理を継続して、最も良い撮像条件を決定しても良い。
【0113】
以上のようにしてステップS3909~ステップS3913で、撮像条件の最適化を行う。ここで撮像条件には、明るさ条件、フォーカス距離、カメラタイプ、色調整等が含まれてもよい。ここで明るさ条件については、複数回の明るさ条件で読み取りを行い、最もコントラストが確保できる明るさを決定する。また通常運用では、設定された明るさを基準に明るさ調整を行う。一方、フォーカス距離は、複数回のフォーカス条件で読み取りを行い、最もコントラストが確保できるフォーカス位置を設定する。また通常運用では設定されたフォーカス位置を基準にフォーカス調整を行う。さらにカメラタイプは、スキャンカメラ、カラーカメラで撮像を行い、コードサイズやコントラストから最適なカメラを選択する。さらにまた色調整は、RGBの各要素をグレースケール化する方法を数パターン実施して読取を行い、最もコントラストが確保できる調整方式を選択する。このようにして最適撮像条件が設定され、例えば明るさ条件が128;フォーカス距離が40cm;カメラタイプがカラーカメラ;色調整が赤補正等の撮像条件が設定される。
【0114】
このようにしてステップS3913において最も良い撮像条件が得られると、ステップS3914において、取得したコード情報と、そのときの撮像条件に基づき、シンボル依存パラメータを生成する。ここでは、読み取れたシンボルが読める条件にシンボル依存パラメータを制限する。
【0115】
ここでコード情報としては、コード種別、桁数、コード種毎のパラメータに加えて、白地に黒色のシンボルか黒地に白色のシンボルかの別(白黒反転の要否)、コントラストが十分か、鏡像反転か等が含まれてもよい。
【0116】
そしてステップS3915において、入力ウィンドウに制限条件が割当済みか否かを判定する。入力ウィンドウに制限条件が割り当て済みの場合は、ステップS3916に進み、割当済みの制限条件にシンボル依存パラメータをマージしてステップS3918に進む。
【0117】
ここで、シンボル依存パラメータのマージは、二つのシンボル依存パラメータのORを取ってもよい。例えば、シンボル依存パラメータの内、デコード設定(白黒反転)については、二つのシンボル依存パラメータのORを取る。またデコード設定(鏡像反転)についても同様にORを取る。一方、デコード設定(デコードレベル)については、高い方のパラメータ値に合わせてもよい。すなわち、新たに読み取られたシンボルも追加して読み取ることができるようにシンボル依存パラメータを更新する。
【0118】
一方で、ステップS3915において、入力ウィンドウに制限条件が割り当て済みでない場合は、ステップS3917に進み、制限条件を入力ウィンドウに割り当ててステップS3918に進む。そしてステップS3918では、制限条件を仮保存する。そしてステップS3919において、チューニング終了操作がユーザによって行われたか否かを判定する。チューニング終了操作が行われていない場合は、ステップS3901に戻って上記の処理を繰り返す。一方、チューニング終了操作が行われた場合は、ステップS3920に進み、仮保存された制限条件群を本保存し、オートラーニング処理を終了する。
[実施形態3]
【0119】
また、実運用時の条件に従って、オートラーニングモードを切り替え可能としてもよい。このような例を実施形態3に係る光学式情報読取装置として、
図40の機能ブロック図に基づいて説明する。なお上述した各実施形態と同じ部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。実施形態3に係る光学式情報読取装置300では、設定時においてオートラーニング処理を実行し、実際の運用時は、オートラーニング処理により設定された制限条件に従ってシンボルの読み取りを行う。これにより、本実施形態に係る光学式情報読取装置においては、複雑な設定手順を踏むことなく、業務フローに従った操作で制限条件の最適化を行える。さらに、制限条件を設定することにより、不要なシンボルを読み取ることを低減させることができる。
【0120】
光学式情報読取装置300は、
図40に示すように、撮像部10と、読取部42と、表示部3と、操作部32と、モード切替部46と、条件生成部45と、設定部43と、判定部44と、出力部49を備える。モード切替部46は、ユーザによる入力を受け付け、オートラーニングモードと実運用モードとを切り替える。
(モード切替部46)
【0121】
モード切替部46は、オートラーニングモードへの移行指示を受け取ると、オートラーニングモードへ移行する。オートラーニングモードにおいては、実際のシンボルの読み取りを通じて、シンボル依存パラメータが最適化された制限条件が設定される。オートラーニングモードでは、さらに、撮像条件が最適化されてもよい。
【0122】
モード切替部46は、オートラーニングモードから実運用モードへのモード切替入力を受け付けると、実運用モードに切り替える。実運用モードにおいては、オートラーニングモードで設定された制限条件に従って動作する。例えば、桁数が最適化された制限条件が設定された場合、判定部44は、読取部42により読み取ったシンボルの桁数が、入力対象ウィンドウに対して設定された制限条件を満たすか否かの判定を行う。そして、読取部42は、判定部44により読み取ったシンボルの桁数が制限条件を満たすと判定された場合に、入力対象ウィンドウに読み取ったシンボルの情報を入力するよう構成する。
(モードの自動切り替え)
【0123】
上記では設定時においてオートラーニング処理をユーザが明示的に実行する例を説明したが、所定の条件において自動的にオートラーニング処理を起動させるようにしてもよい。例えば運用時においてシンボルの読み取り動作を行う際、読み取りに失敗することが一定時間続いた場合に、自動的にオートラーニングモードに切り替える。これによって、シンボル依存パラメータや撮像条件を実際のシンボルに応じてより適切な条件に再設定して、読み取りの成功率を上げることが可能となる。
(オートラーニング後の設定変更)
【0124】
オートラーニング処理では実際のシンボルの読み取りを行い、読み取ったシンボルの情報に基づいて、シンボル依存パラメータが最適化された制限条件と、最適化された撮像条件が設定されることを説明した。このように自動的に最適化されることに加えて、ユーザが後から最適化された設定を変更できてもよい。この様子を
図41の入力条件設定画面70’に基づいて説明する。
図41は入力条件設定画面70’において、オートラーニング実行後の「Product」タブを表示させた状態を示している。この画面において、制限条件群等の設定群を参照する。例えば「Product」の入力ウィンドウに対してオートラーニング機能が実行された場合は、
図41のように設定群の設定番号が「SET02」等でなく、「Product」と表示される。これにより、ユーザはどの入力ボックスに対する設定かを容易に判別できる。また、「コード種」欄85において、オートラーニング機能を実行済みであることを示す「ラーニング済み」と表示させることで、同様にユーザはオートラーニング機能が実行されたことを認識できる。さらに必要に応じて、
図7等で説明したのと同様の手順で、「トリガ設定」欄71や「ターゲット設定」欄72、「コード収集設定」欄73等、所望の設定を選択して、一連の設定項目を調整することができる。
(カラーカメラ)
【0125】
一方で、オートラーニングに用いたシンボルを撮影した写真を記録として残すこともできる。この様子を
図42のラーニング結果表示画面280に基づいて説明する。ラーニング結果表示画面280は、オートラーニングが実行されたこと、及びこのオートラーニングで用いたシンボルを確認するための画面である。
図42の例では、ラーニング結果表示画面280はラーニングシンボル表示欄281を設けており、オートラーニングで用いた光学画像OI1、0I2を示している。
【0126】
入力ウィンドウに対して制限条件を設定する際に、一つのシンボルを用いてラーニングを実行した場合、ラーニング結果表示画面280には、ラーニングシンボルOI1が表示される。また、入力ウィンドウに対して制限条件を設定する際に、複数のシンボルを用いてラーニングを実行した場合、ラーニング結果表示画面280には、複数のラーニングシンボルが表示される。ここで、複数のシンボルを用いてラーニングが実行される場合は、例えば、すでに制限条件が割り当て済みの入力ウィンドウに対して、さらにシンボルを読み取り、オートラーニングを実行する場合が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記憶した機器は、倉庫や工場、店舗、病院等で使用される、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取ってデータの登録、照合を行うハンディスキャナやハンディターミナル、業務用PDA等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0128】
100…光学式情報読取装置
1…撮像モジュール
2…筐体
3…表示部
10…撮像部
11…撮像素子
12…光学系
14…照明部
15…エイミング光照射部
30…キー配置部
31…トリガキー
32…操作部
40…制御部
42…読取部
43…設定部
44…判定部
45…条件生成部
46…モード切替部
49…出力部
50…通信インターフェース
51…RAM
52…記憶部
53…入力条件保存部
54…割当保存部
60…入力条件選択部
70、70’…入力条件設定画面
71…「トリガ設定」欄
72…「ターゲット設定」欄
73…「コード収集設定」欄
74…「デコード設定」欄
75…「読取コード種別」欄
76…「コードパラメータ種別」欄
77…「フォーマット設定」欄
78…「出力設定」欄
79…「読取成功時」欄
80…「読取失敗時」欄
81…「データ出力時」欄
82…ハンバーガーアイコン
83…リストボックス
84…「自動設定切り替え」ボタン
85…「コード種」欄
90…トリガ設定画面
110…ターゲット設定画面
120…コード収集設定画面
130、140…デコード設定画面
150…読取コード種別設定画面
160、160B…コードパラメータ種別設定画面
170…フォーマット設定画面
180…出力設定画面
180B…ターミネータ設定画面
190…読取成功時設定画面
200…読取失敗時設定画面
210…データ出力時設定画面
220…入力ボックス割当一覧画面
221…ユーザプログラム名
222…テキスト情報
223…入力条件番号
224…追加ボタン
230…アプリケーション選択画面
240…入力ウィンドウ選択画面
241…「APPLY」ボタン
250…入力条件選択画面
260…入力ウィンドウ設定一覧画面
261…ペン型アイコン
270A、270B、270C…入力ウィンドウ詳細情報表示画面
271…アプリケーション名表示欄
272…アプリケーション画面名表示欄
273…ID情報表示欄
274…テキスト情報表示欄
280…ラーニング結果表示画面
281…ラーニングコード表示欄
DA…表示部分;HA…把持部分
UA…ユーザアプリケーション
IW1~1W3…入力ウィンドウ
AL…エイミング光
SA…読取対象領域
OI1、0I2…光学画像