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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055344
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】サーボシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/042 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
G05B19/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155701
(22)【出願日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】P 2020161982
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 秀明
(72)【発明者】
【氏名】中村 学
(72)【発明者】
【氏名】今井 佳子
(72)【発明者】
【氏名】矢野 裕也
(72)【発明者】
【氏名】村上 龍之介
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA04
5H220BB10
5H220CC03
5H220CX04
5H220CX05
5H220JJ12
5H220JJ26
5H220JJ29
5H220JJ38
(57)【要約】
【課題】サーボシステムにおいて、接続されたAMPとCNTの設置場所がそれぞれ位置的に離れた場所にある場合において、作業者がAMPやCNTに近づいてくことが困難な場合などにおいて、それぞれのアラーム情報を確認することが難しい。
【解決手段】コントローラとモータ制御装置とが互いにデータ通信可能にネットワーク接続されたサーボシステムであって、前記コントローラは、第一のデータ通信部により取得した前記のモータ制御装置の各種情報を記憶するコントローラ記憶部を有し、前記モータ制御装置は、第二のデータ通信部により取得した前記コントローラと前記のモータ制御装置の各種情報を記憶するモータ制御装置記憶部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラとモータ制御装置とが互いにデータ通信可能なデータ通信部を有するネットワーク接続されたサーボシステムであって、
前記コントローラは、
前記データ通信部により取得した前記モータ制御装置の各種情報を記憶するコントローラ記憶部を有し、
前記モータ制御装置は、
前記データ通信部により取得した前記コントローラまたは前記モータ制御装置の各種情報を記憶するモータ制御装置記憶部を有する、
ことを特徴とするサーボシステム。
【請求項2】
前記コントローラ記憶部は、
前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を一時的に記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に一時的に記憶された前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を非一時的に記憶する第2の記憶部と、
前記第1の記憶部と前記第2の記憶部との記憶データの差分を検出し、前記記憶データの差分を前記第2の記憶部に反映する第一記憶制御部と、
を有し、
前記モータ制御装置記憶部は、
前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を一時的に記憶する第3の記憶部と、
前記第3の記憶部に一時的に記憶された前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を非一時的に記憶する第4の記憶部と、
前記第3の記憶部と前記第4の記憶部との記憶データの差分を検出し、前記記憶データの差分を前記第4の記憶部に反映する第二記憶制御部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーボシステム。
【請求項3】
さらに、
前記コントローラおよび前記モータ制御装置のそれぞれは、
前記第2の記憶部と前記第4の記憶部のそれぞれに記憶された情報を抽出する情報抽出機器との間のインターフェイス部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のサーボシステム。
【請求項4】
前記情報抽出機器は、前記第2の記憶部又は前記第4の記憶部に前記インターフェイス部を介して電力を供給する電力供給部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のサーボシステム。
【請求項5】
コントローラとモータ制御装置とが互いにデータ通信可能にネットワーク接続され、さらに前記モータ制御装置と位置検出器を備えたサーボモータのエンコーダとが互いにデータ通信可能にシリアル通信接続された、サーボシステムであって、
前記コントローラは、
前記モータ制御装置との間でデータ通信を行う第一のデータ通信部と、
前記第一のデータ通信部により取得した前記モータ制御装置の各種情報を記憶するコントローラ記憶部を有し、
前記モータ制御装置は、
前記コントローラとの間でデータ通信を行う前記第一のデータ通信部と、
前記エンコーダと前記モータ制御装置との間でシリアル通信を行う第二のデータ通信部を有し、
前記第一のデータ通信部により取得した前記コントローラまたは前記モータ制御装置の各種情報を記憶するモータ制御装置記憶部を有し、
前記サーボモータのエンコーダは、
前記第二のデータ通信部により取得した前記コントローラまたは前記モータ制御装置の各種情報を記憶するエンコーダ記憶部を有する、
ことを特徴とするサーボシステム。
【請求項6】
前記コントローラ記憶部は、
前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を一時的に記憶する第1の記憶部と、
前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を非一時的に記憶する第2の記憶部と、
前記第1の記憶部と前記第2の記憶部との記憶データの差分を検出し、前記記憶データの差分を前記第2の記憶部に反映する第一記憶制御部と、
を有し、
前記モータ制御装置記憶部は、
前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を一時的に記憶する第3の記憶部と、
前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を非一時的に記憶する第4の記憶部と、
前記第3の記憶部と前記第4の記憶部との記憶データの差分を検出し、前記記憶データの差分を前記第4の記憶部に反映する第二記憶制御部と、を有し、
前記エンコーダ記憶部は、
前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を一時的に記憶する第5の記憶部と、
前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を非一時的に記憶する第6の記憶部と、
前記第5の記憶部と前記第6の記憶部との記憶データの差分を検出し、前記記憶データの差分を前記第6の記憶部に反映する第三記憶制御部と、を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のサーボシステム。
【請求項7】
前記エンコーダは、外部機器との間で無線通信を行う無線通信処理部を有し、
前記無線通信処理部は、前記コントローラから転送されて前記エンコーダ記憶部に保存されている、前記各種情報を、前記外部機器に送信可能であることを特徴とする請求項5に記載のサーボシステム。
【請求項8】
前記エンコーダ記憶部と前記無線通信処理部は、外部の無線給電部から給電可能であることを特徴とする請求項6に記載のサーボシステム。
【請求項9】
前記無線通信処理部は、前記コントローラから転送されて前記第6の記憶部に保存されている、前記各種情報を、他のコントローラに送信可能であることを特徴とする請求項8に記載のサーボシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボシステムに関し、特に、サーボシステムを構成する各機器固有の情報やアラーム情報や装置情報の抽出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ネットワークで接続されたコントローラ(以下、「CNT」ともいう。),サーボアンプ(以下、「モータ制御装置」、「AMP」ともいう。)を有するサーボシステムが知られている。
このようなサーボシステムに異常が発生した場合には、現場の作業者は、異常があったAMP固有の基本情報やアラーム情報などの各種情報をそのAMP自身またはCNTから情報を抽出し、異常修復処置を行っていた。
【0003】
また、1台のプログラマブルロジックコントローラに複数の表示器が接続される表示器システムも知られている。
例えば、表示器群が1台のマスタ表示器とそれ以外のスレーブ表示器とで構成されているシステムにおいて、コンピュータをマスタ表示器に接続することで、任意のスレーブ表示器との間でデータのダウンロード又はアップロードを行うことのできる表示器システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-135176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サーボシステムにおいて、接続されたAMPとCNTの設置場所がそれぞれ位置的に離れた場所にある場合において、作業者がAMPやCNTに近づくことが困難な場合などにおいて、それぞれのアラーム情報などの各種情報を確認することが難しいという問題があった。
また、AMPやCNTに電源を供給することにより情報を抽出することができるようにするため、サーボシステム全体に電源を供給しなければならないという問題があった。
本発明は、上記の問題を解決し、これらの情報を抽出しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、コントローラとモータ制御装置とが互いにデータ通信可能なデータ通信部を有するネットワーク接続されたサーボシステムであって、前記コントローラは、前記データ通信部により取得した前記モータ制御装置の各種情報を記憶するコントローラ記憶部を有し、前記モータ制御装置は、前記データ通信部により取得した前記コントローラまたは前記モータ制御装置の各種情報を記憶するモータ制御装置記憶部を有することを特徴とするサーボシステムが提供される。
【0007】
コントローラCNTと複数のモータ制御装置AMPの間の通信は、マスタ(CNT)-スレーブ(AMP)方式によって行われる。
上記構成によれば、ネットワークに接続されたコントローラ及びモータ制御装置が有する固有の基本情報や、アラーム発生時の情報をそれぞれの機器で共有し、コントローラ及びモータ制御装置内の独立した記憶部に保持する。いずれかの機器にアクセスすると、ネットワークに接続されたコントローラ及びモータ制御装置の各種情報がすべて確認できる。
【0008】
アラーム発生時、各種情報を抽出するためにコントローラ及びモータ制御装置に抽出機器(表示器)を接続する。電池を搭載した抽出機器から電源供給することにより、AMP・CNT本体の電源が入らなくても、各種情報を抽出することができる。
抽出機器(表示器)は、QRコードで情報を表示させ、携帯端末と連携し、作業者の処置に活用することができる。
【0009】
また、前記コントローラ記憶部は、前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を一時的に記憶する第1の記憶部と、前記第1の記憶部に一時的に記憶された前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を非一時的に記憶する第2の記憶部と、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部との記憶データの差分を検出し、前記記憶データの差分を前記第2の記憶部に反映する第一記憶制御部と、を有し、前記モータ制御装置記憶部は、前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を一時的に記憶する第3の記憶部と、前記第3の記憶部に一時的に記憶された前記コントローラと前記モータ制御装置の各種情報を非一時的に記憶する第4の記憶部と、前記第3の記憶部と前記第4の記憶部との記憶データの差分を検出し、前記記憶データの差分を前記第4の記憶部に反映する第二記憶制御部と、を有する、ことを特徴とする。
上記の構成により、前記第2の記憶部と前記第4の記憶部との記憶情報を同期させることができ、いずれの装置においても、各種情報を記憶させることができる。
【0010】
さらに、前記コントローラおよび前記モータ制御装置のそれぞれは、前記第2の記憶部と前記第4の記憶部のそれぞれに記憶された情報を抽出する情報抽出機器との間のインターフェイス部を有することを特徴とする。
【0011】
前記情報抽出機器は、前記第2の記憶部又は前記第4の記憶部に前記インターフェイス部を介して電力を供給する電力供給部を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の一観点によれば、コントローラとモータ制御装置とが互いにデータ通信可能にネットワーク接続され、さらに前記モータ制御装置と位置検出器を備えたサーボモータのエンコーダとが互いにデータ通信可能にシリアル通信接続された、サーボシステムであって、前記コントローラは、前記モータ制御装置との間でデータ通信を行う第一のデータ通信部と、前記第一のデータ通信部により取得した前記モータ制御装置の各種情報を記憶するコントローラ記憶部を有し、前記モータ制御装置は、前記コントローラとの間でデータ通信を行う前記第一のデータ通信部と、前記エンコーダと前記モータ制御装置との間でシリアル通信を行う第二のデータ通信部を有し、前記第一のデータ通信部により取得した前記コントローラまたは前記モータ制御装置の各種情報を記憶するモータ制御装置記憶部を有し、前記サーボモータのエンコーダは、前記第二のデータ通信部により取得した前記コントローラまたは前記モータ制御装置の各種情報を記憶するエンコーダ記憶部を有する
ことを特徴とするサーボシステムが提供される。
【0013】
上記構成によれば、サーボモータのエンコーダからも無線通信により各種情報を取得し、確認できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、サーボシステムにおいて、アラーム発生に関する情報等を抽出しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)は、本発明の第1実施形態によるサーボシステムの一構成例を示す機能ブロック図である。図1(b)は、送信フレーム(CNTからAMPへ)のデータ構成例を示す図である。図1(c)は、受信フレーム(AMPからCNTへ)のデータ構成例を示す図である。
図2】アラーム情報のデータ構成例を示すアラーム情報テーブルである。
図3】基本情報のデータ構成例を示すテーブルである。
図4】コントローラCNTと複数のモータ制御装置AMP間での基本情報とアラーム情報との共有手順の一例を示すフローチャート図である。
図5】情報抽出機器をコントローラCNTと複数のモータ制御装置AMPに接続する外観構成例を示す図である。図5(a)は、情報抽出機器をコントローラCNTと複数のモータ制御装置AMPに接続するまえの状態を示す。図5(b)は、情報抽出機器をコントローラCNTと複数のモータ制御装置AMPに接続した状態を示す。
図6】1台のモータ制御装置AMPと、情報抽出機器と、携帯端末と、データベースサーバとの配置例を示すシステム構成図である。
図7】データベースサーバの記憶部に、アラーム情報とアラームへの対処法とを対応させて対処法提供テーブルのデータ構成例を示す図である。
図8】スター型の通信方式を示す図である。
図9】デイジーチェーン・リング型通信方式を示す図である。
図10図10(a)は、本発明の第2実施形態によるサーボシステムの一構成例を示す機能ブロック図である。図10(b)は、要求コマンド(外部機器から無線通信処理部へ)のデータ構成例を示す図である。図10(c)は、返信フレーム(無線通信処理部から外部機器へ)のデータ構成例を示す図である。
図11】機械情報のデータ構成例を示すテーブルである。
図12】座標位置情報のデータ構成例を示すテーブルである。
図13】制御機器情報のデータ構成例を示すテーブルである。
図14】各種情報の保存/送信の手順の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、「非一時的」とは「一時的」と対比される用語であって、電源のオン、オフにかかわらず記憶が保持される様を意味する。
また、本発明において、「同期する」機能とは、2つ以上の異なる装置(機器)同士で、指定した情報を同じ状態に保つことができる機能のことである。例えば、保持するデータを同一にする機能などである。
【0017】
(第1実施形態)
以下に、本発明の第1実施形態によるサーボシステムについて図1~9を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態によるサーボシステムの一構成例を示す機能ブロック図である。
【0018】
(全体構成例)
図1(a)に示すように、サーボシステムAは、コントローラCNT1と複数のモータ制御装置(サーボアンプ)AMP3(3a、3b,…)と、情報抽出機器5(5a,5b,5c、…)とを有している。図1(b)は、送信フレーム(CNTからAMPへ)のデータ構成例を示す図である。図1(c)は、受信フレーム(AMPからCNTへ)のデータ構成例を示す図である。コントローラCNT1と複数のモータ制御装置AMP3との間の通信は、マスタ(CNT)-スレーブ(AMP)方式によって行われる。
【0019】
図1(b)に示すように、コントローラCNT1から各モータ制御装置(サーボアンプ)AMP3に、ヘッダ部41、指令コマンド部42、データ部43、基本情報データ部44,アラームデータ部45の各情報が送信される。
【0020】
本明細書では、コントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3の固有の基本情報、コントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3のアラーム情報、機械情報、座標位置情報、制御機器情報を含んだ装置情報、サーボモータのゲイン情報、パラメータ設定情報、動作履歴情報、サーボモータ駆動用のエンコーダの位置情報などの情報を各種情報と称する。各種情報はサーボシステムの各種装置が保有している情報であればよく、これらに限定されるものではない。
【0021】
図1(c)に示すように、各モータ制御装置AMP3からコントローラCNT1にヘッダ部51と、状態フィードバックデータ部52と、データ部53の各情報が返信される。状態フィードバックデータ部52のデータは、各モータ制御装置(サーボアンプ)AMP3におけるアラーム発生時に、状態フィードバックデータ部52にアラーム情報を設定し、コントローラCNT1に送信するものであり、各モータ制御装置(サーボアンプ)AMP3の状態の変更をコントローラCNT1にフィードバックするための情報である。
【0022】
アラーム発生時に、アラームの通知とその要因となるアラーム番号を通信フレームの状態フィードバックデータ部52とデータ部53に設定する。周期的な通信により、これらのデータは、コントローラCNT1に返信される。
【0023】
(コントローラの構成例)
コントローラCNT1は、複数のモータ制御装置AMP3をデータ通信により制御するマスタ装置である。コントローラCNT1は、図示しないデータ通信を行うデータ通信部を含む各種処理を行う処理部(CPU)11と、処理部(CPU)11に含まれるデータ通信部により取得したモータ制御装置AMPの各種情報を記憶するコントローラ記憶部を有する。
【0024】
コントローラ記憶部は、例えば、以下に説明するように、2種類記憶部を有していても良い。
コントローラ記憶部は、例えば、コントローラCNT1の情報とデータ通信によりモータ制御装置AMP3(3a、3b,…)から取得した各種情報を一時的に保存する記憶部(1)13を有する。さらに、コントローラ記憶部は、記憶部(1)13に一時的に記憶された各種情報を、非一時的に記憶する記憶部(2)15を有する。データを非一時的に記憶する記憶部とは、例えば、電力を供給しない場合でも記憶情報を保持するEEPROMなどである。データを一時的に記憶する記憶部とは、電力を供給しないと記憶情報が失われるSRAMなどである。処理部(CPU)11は、第1の記憶部(1)13と第2の記憶部(2)15との記憶データの差分を所定のタイミングで検出し、検出された記憶データの差分を第2の記憶部(2)15に反映する図示しない第一記憶制御部を備える。第2の記憶部(2)15に記憶されているデータは、故障などにより電力が供給されない場合でも記憶情報を保持することで、後述するように、基本情報やアラーム情報等を抽出することが可能である。
【0025】
(モータ制御装置の構成例)
各モータ制御装置AMP3a,3b,…は、コントローラCNT1により制御されるスレーブ装置であり、それぞれが以下の構成を有する。
1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…の中から代表して説明するモータ制御装置AMP3aは、コントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3b、…との間でデータ通信を行う図示しないデータ通信部と、データ通信部により取得したコントローラCNTとモータ制御装置AMPの各種情報を記憶するモータ制御装置記憶部を有する。
【0026】
モータ制御装置記憶部は、以下に説明するように、2種類記憶部を有していても良い。 モータ制御装置記憶部は、例えば、データ通信部により取得したコントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3b,…の固有の基本情報と、異常発生時に検出されデータ通信部により取得したコントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3b,…のアラーム情報と、を一時的に記憶する第3の記憶部(3)23を有する。
【0027】
さらに、モータ制御装置記憶部は、第3の記憶部(3)23に一時的に記憶されたコントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3b,…の固有の基本情報と前記コントローラと前記1又は複数のモータ制御装置のアラーム情報とを、非一時的に記憶する第4の記憶部(4)25を有する。第4の記憶部(4)25に記憶されているデータは、故障などにより電力が供給されない場合でも記憶情報を保持することで、後述するように、基本情報やアラーム情報等を抽出することが可能である。
【0028】
処理部(CPU部)21は、第3の記憶部(3)23と第4の記憶部(4)25との記憶データの差分を検出し、その記憶データの差分を第4の記憶部(4)25に反映(追加/削除)する第二記憶制御部を備える。
さらに、コントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…は、それぞれが、インターフェイス部17,27,37、47(図5も参照)を有する。インターフェイス部17,27,37、47は、後述する情報抽出機器5と接続するためのインターフェイスである。
【0029】
(各種情報テーブル)
図2は、アラーム情報のデータ構成例を示すアラーム情報テーブルであり、図3は、基本情報のデータ構成例を示すテーブルである。
図2に示すように、アラーム情報テーブル100は、アラーム情報103を有する。アラーム情報103は、アラームの履歴(時刻)項目105と、項目105毎のアラーム状態107と、アラーム番号109とを含む。
【0030】
図3に示すように、基本情報テーブル111は、対象となる機器の固有の基本情報113を有する。基本情報113は、アドレス項目115と、アドレス項目115毎の機器名117と、当該機器の機器情報119とを含む。機器情報119は、対象となる機器についての、機器の型番、機器の情報を表示するためのウェブサイト(機器情報サイトなどへのアクセスを行うためのURLなど)と、シリアル番号と、製造年月日と、MACIDと、機器のメンテナンス情報などを有している。
機器におけるこれらの情報を全ての装置に記憶させておくことで、どの機器からでも、故障等を起こしたいずれかの機器におけるアラーム発生時の対処法などを簡単に抽出することができる。
【0031】
図4は、コントローラCNT1と複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…間での基本情報とアラーム情報との共有手順の一例を示すフローチャート図である。
【0032】
(基本情報の共有手順)
1)マスタ機器であるコントローラCNT1は、電源投入後(ステップS1)、通信により、各モータ制御装置AMP3a,3b,…にアクセスし、第1の記憶部(1)13に保存された基本情報の読み出しをおこなう。
コントローラCNT1は、すべてのモータ制御装置AMP3a,3b,…に基本情報の要求指令を送信し(ステップS3、S4(受信待ち))、モータ制御装置AMPから受信したデータは第1の記憶部(1)13に保存され、そのコピーを図2に示すような基本情報テーブル111として第2の記憶部(2)15に保存する(ステップS5)。
2)コントローラCNT1は、基本情報テーブル111のデータを送信フレームの基本情報データ部44に設定し、すべてのモータ制御装置AMP3a,3b,…に送信する(ステップS6)。
【0033】
3)上記1)、2)で説明した過程において、各モータ制御装置AMP3a,3b,…は、受信した基本情報データ部44を第3の記憶部(3)23,第4の記憶部(4)25に保存する(ステップS21-S26)。例えば、モータ制御装置AMP3aにおいて、ステップS21で電源を投入し、ステップS22において、記憶部(3)23,記憶部(4)25を比較し,基本情報に差異があれば、記憶部(4)25に書込む。そして、コントローラCNT1からの受信を待つ(ステップS23)。ステップS24で、コントローラCNT1からの要求指令を受信し、基本情報を送信する。ステップS26において、コントローラCNT1から全てのモータ制御装置AMP3a,3b,…の基本情報を受信し,記憶部(4)25に書込む。書き込み処理の完了後に、書込み処理の完了通知をコントローラCNT1に送信する。
【0034】
(周期通信モードの動作手順:アラーム情報の共有手順)
このようにして基本情報の保存が完了すると、受信完了信号をコントローラCNT1に送信し、周期動作モードに移行する(ステップS27)。
4)コントローラCNT1と各モータ制御装置AMP3a,3b,…間においては、定期的な通信がおこなわれる(ステップS8,S27)。
【0035】
アラーム発生時において(ステップS28でY、ステップS29でY)、各モータ制御装置AMP3a,3b,…のいずれかは、アラームの項目105の通知とその要因となるアラーム番号109とを通信フレームの状態フィードバックデータ部52とデータ部53に設定する。そして、周期通信により、これらのデータは、コントローラCNT1に返信される(ステップS30)。
【0036】
コントローラCNT1は、受信したアラームデータにより、図2に示すアラーム情報テーブル100を作成し、第1の記憶部(1)13、第2の記憶部(2)15に保存する。 コントローラCNT1は、送信フレームのアラームデータ45にアラーム情報テーブル100のデータを設定し、すべてのモータ制御装置AMP3a,3b,…に送信する(ステップS10)。
各モータ制御装置AMP3a,3b,…、受信したアラーム情報103を第3の記憶部(3)23,第4の記憶部(4)25に保存する(ステップS32)。
【0037】
尚、アラームデータが更新されると(ステップS31でY)、受信したアラームデータを第4の記憶部(4)35に書き込み(ステップS32)、更新後のアラームデータを相手方機器に送信する(ステップS10,ステップS30)。
以上のようにして、ネットワークに接続されたコントローラCNT1及び各モータ制御装置AMP3a,3b,…が有する固有の基本情報や、アラーム発生時の情報をそれぞれの機器で共有し、AMP・CNT内の独立した記憶部に保持する。いずれかの機器にアクセスすると、ネットワークに接続されたAMP・CNTの情報のすべてを確認することができる。
【0038】
5)通信のタイミングについて
電源を投入後、接続されたすべてのモータ制御装置AMP3a,3b,…と通信をおこない、基本情報を受信する(ステップS1~S7,S21からS26)。
コントローラCNT1は、各モータ制御装置AMP3a,3b,…にコントローラCNT1と全モータ制御装置AMP3a,3b,…の基本情報を送信する(ステップS3~S7)。
全モータ制御装置AMP3a,3b,…から受信完了信号を受信すると(ステップS24~S26)、周期動作モードに移行する(ステップS8,ステップS27)。
コントローラCNT1-各モータ制御装置AMP3a,3b,…間は、周期的にデータの送受信を行う。各モータ制御装置AMP3a,3b,…のアラーム発生時には、状態フィードバックにアラーム情報を設定し、コントローラCNT1に送信する(S8~S11,S27~S32)。
【0039】
(情報抽出機器の構成例)
情報抽出機器5は、CNTまたはAMPと接続できるインターフェイスを持っており、基本情報やアラーム情報を抽出することができる。
情報抽出機器5は、基本情報やアラーム情報を抽出し、保存したり、液晶表示部にQRコードで表示したりすることにより、スマートフォン・クラウドなどと連携し、対処法の詳細を示す。
【0040】
図5は、情報抽出機器5をコントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…に接続する外観構成例を示す図である。図5(a)は、情報抽出機器5をコントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…に接続する前の状態を示す。図5(b)は、情報抽出機器5をコントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…に接続した状態を示す。
【0041】
以下に、情報抽出機器5について、図1図5とを参照して説明を行う。
情報抽出機器5は、コントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…に電力を供給することができるバッテリー8と、コントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…と接続するためのインターフェイス部9を有している。情報抽出機器5を、図5(b)に示すように、コントローラCNT1又は1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…の少なくともいずれかと接続することで、コントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…が、第2の記憶部(2)15、第4の記憶部(4)が非一時的に保持している基本情報やアラーム情報などを、接続した機器のインターフェイス部9を介して抽出することができる。
【0042】
さらに、情報抽出機器5には、コントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…抽出した情報を表示等する表示部7や図示しないメモリ等が設けられている。
これにより、コントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…から基本情報やアラーム情報を抽出し、メモリに保存したり、表示部7にQRコードなどにより当該情報などを表示させたりすることができる。表示部7のQRコードを後述する携帯端末等のデコード機能を有する機器に読み取らせる動作等により、スマートフォン・クラウドなどと連携し、アラーム情報に対応するエラー時の対処法などを表示部7に表示させて情報抽出機器5の操作者に示すことができる。
【0043】
図5に示すように、情報抽出機器5のインターフェイス部9は、例えば、汎用的なシリアル通信端子などを有しており、コントローラCNT1と1又は複数のモータ制御装置AMP3a,3b,…とに形成されているインターフェイス部17,27,37、47の端子受入部などに差し込むことでデータ通信や機器制御などが可能である。
情報抽出機器5のテータ通信機能を利用することにより、情報抽出機器5に接続されたモータ制御装置AMP3の基本情報、アラーム履歴などをどのモータ制御装置AMP3、コントローラCNT1からも閲覧可能である。
【0044】
(アラーム情報読み取りシステムの構成例)
以下に、本発明を活用するアラーム情報読み取りシステムの構成例とその動作について、説明を行う。
図6は、1台のモータ制御装置AMP3aと、情報抽出機器5と、携帯端末151と、データベースサーバ201との配置例を示す図である。
図6において図1よりもシステム構成を詳細に示すように、モータ制御装置AMP3aは、CPU部21と、通信部28と、インターフェイス部(通信ポート30およびPHY(物理)デバイス29を含む)と、を有する。
【0045】
さらに、モータ制御装置AMP3aは、第4の記憶部(4)25と、DC電源処理部26bと、電源処理部26aとを有する。
CPU部21は、第3の記憶部(3)23と、サーボ制御部24aと、モータドライブ回路24bと、を有する。通信部28は、通信処理部28aを有する。CPU部21は、エンコーダ(EN)とモータ(M)に接続される。
通信処理部28aは、図4に示すようなコントローラCNT1とその他のモータ制御装置AMP3b、…との通信処理の制御等を行う。
上記の構成において、電源処理部26aは、外部電源からの電力C13をインターフェイス部27cを介してCPU部21に供給する。
第4の記憶部(4)25には、シリアル通信インターフェイス部27aを介して情報抽出機器5との間でデータのシリアル通信C11を行う。情報抽出機器5のバッテリー8からの供給電力がDC電源処理部26bに供給される。
【0046】
情報抽出機器5には、表示部7aが設けられる。表示部7aに表示されたアラーム情報103等を2次元コード化したQRコードを携帯端末151などにより読み取ることで、データベースサーバ201と関連付けされるスマートフォン・クラウドなどと連携し、アラーム情報に対応したエラー時の対処法の詳細などを表示部7に表示させて操作者に提示することができる。
さらに、情報抽出機器5が対象機器(CNT又はAMP1、…)に接続されると、対象機器(CNT又はAMP1、…)の記憶部(2),(4)及び記憶制御部などにインターフェイス部27bを介して情報抽出機器5のバッテリー8から供給電力C12が対象機器に供給されるように構成されている。
【0047】
携帯端末151は、コード読み取り部157と、インターフェイス部153と、バッテリー161と、表示部155と、を有する。携帯端末151は、データベースサーバ201との間で無線通信することで、QRコード情報の解読などを行う。QRコードには、システム等から読み込んだアラーム情報等が表示されており、これを、コード読み取り部157で読み取ることにより、アラームに対応する適切な対処法などを無線通信部159などからデータベースサーバ201に送り、無線通信部203によりデータベースサーバ201からアラームに対応する適切な対処法を取得することができる。
【0048】
図7は、データベースサーバ201の記憶部205に、アラーム情報とアラームへの対処法とを対応させた対処法提供テーブル205aとして記憶する記憶部205の記憶データ構成例を示す図である。
図7に示すように、対処法提供テーブル205aは、対象機器(CNT又はAMP1、…)と、対象機器毎のアラーム番号と、アラーム番号に対応する対処法とを有する。
【0049】
携帯端末151からのアラーム情報(機器種別を含む)を取得すると、データベースサーバの検索処理部207は対処法提供テーブル205aを参照して適切な対処法を検索する。そして、検索処理により得られた対処法を対象機器名と組にして携帯端末151を介して情報抽出機器5に送る。
情報抽出機器5は、得られた対処法と対象機器名とを組にして、シリアル通信C11により第4の記憶部(4)に送り、そこに保存させる。そして、上述のように、情報抽出機器5は、その表示部7aにQRコード等により対処法を表示させ、携帯端末151などが保持するデコード部などによりQRコードをデコードさせることで携帯端末を保持する作業者の処置に活用することができる。
尚、ここでは、情報処理装置と携帯端末が別体である構成例について説明したが、携帯端末が情報抽出機器の機能を内部に有している構成でも良い。
【0050】
(システムの動作例)
以下に、上記のシステムを用い、アラーム発生時の動作例について説明する。
機器におけるアラーム発生時に、アラーム情報を抽出するために、対象機器(CNT又はAMP1、…)に情報抽出機器(表示部付き)を接続する。例えばバッテリーを搭載した情報抽出機器から各機器に電力を供給することにより、対象機器(CNT又はAMP1、…)本体の電源が入っていなくても、基本情報およびアラーム情報を抽出することができる。
情報抽出機器は、表示部にQRコードで情報を表示させ、別途設けられた携帯端末等と連携し、作業者のアラーム対処のための処置を報知するように活用することができる。
【0051】
(システムの有効性)
以上のように、本実施の形態では、機器(CNTまたはAMP)に作業者が近づくことが難しい場所でも、ネットワークに接続された機器のどれかから、すべての機器(CNT及びAMP)の機器固有の基本情報やアラーム情報を収集することができるため、作業者等によるメンテナンス時の作業効率が向上する。
情報抽出機器が接続されたいずれかのAMPまたはCNTの記憶部にのみ電源供給をおこない、情報の取得及び過去のアラーム発生状況が分析できるようにすると、装置全体の電源を供給する必要がない。
また、情報抽出機器により、コントローラCNTや他制御装置AMPの電源等が故障をして動作しない場合でも電力を供給して記憶部にアクセスすることができるため、データの読出しをおこない機器の診断を可能にすることができる。
【0052】
尚、情報を抽出する際は、CNTまたはAMPに情報抽出機器を接続するバッテリ(電池)を搭載した情報抽出機器がAMPまたはCNTの記憶部に電力を供給し、情報抽出機器の表示部にQRコード等により情報を表示させ、コード読み取り機能を有するスマートフォン等の携帯端末によりデコードするように連携させてアラームへの対処に活用することができる。
上記の構成により、前記第2の記憶部と前記第4の記憶部との記憶情報を同期させることができる。従って、いずれの装置においても、共通のシステム情報を記憶させることができる。
【0053】
(機器間の通信方法の一例について)
本実施の形態においては、コントローラCNT(マスタ)とモータ制御装置AMP(スレーブ)とのマスタースレーブ通信には、既存の通信方法を用いることができる。
図8および図9は、通信方式の一例を示す図である。
図8は、スター型の通信方式を示す。L1は、通信回線の例を示し、Sg1~Sg3までの双方向通信を行うことができる。
【0054】
図9は、デイジーチェーン・リング型の通信方式の構成例を示す図である。L1は、通信回線の例を示し、Sg11~Sg14までの双方向通信を行うことができる。
本実施の形態は、このような既存の通信方式を利用できるため、汎用性も高いという利点がある。
【0055】
処理および制御は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)によるソフトウェア処理、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)によるハードウェア処理によって実現することができる。
【0056】
(第2実施形態)
以下に、本発明の第2実施形態によるサーボシステムについて図9~14を参照しながら詳細に説明する。
図10(a)は、本発明の第2実施形態によるサーボシステムの一構成例を示す機能ブロック図である。図10(b)は、要求コマンド(外部機器から無線通信処理部へ)のデータ構成例を示す図である。図10(c)は、返信フレーム(無線通信処理部から外部機器へ)のデータ構成例を示す図である。
【0057】
図10(a)に示すように、サーボシステムBは、コントローラCNT1と複数のモータ制御装置(サーボアンプ)AMP3(3a、3b,…)と、情報抽出機器5(5a,5b,5c、…)と、サーボモータ駆動用のエンコーダEN(ENa、ENb、…)を有している。コントローラCNT1と複数のモータ制御装置AMP3との間の通信は、マスタ(CNT)-スレーブ(AMP)方式によって行われる。また、複数のモータ制御装置AMP3とエンコーダENとの間の通信は、マスタ(AMP)-スレーブ(EN)方式によって行われる。また、エンコーダENの無線通信処理部65、75と無線通信可能な外部機器78との間では、無線通信により各種情報の送受信が行われる。
【0058】
なお、コントローラCNT1と複数のモータ制御装置(サーボアンプ)AMP3(3a、3b,…)は、第1実施形態におけるコントローラCNT1と複数のモータ制御装置(サーボアンプ)AMP3(3a、3b,…)と同一の構成であるため、繰り返し説明は行わない。
【0059】
図10(b)に示すように、無線通信可能な外部機器78から無線通信処理部65、75へ、ヘッダ部81、要求コマンド部82、データ部83からなる要求コマンドが送信される。
【0060】
図10(c)に示すように、無線通信処理部65、75から外部機器78へ、ヘッダ部91、各種情報95(機械情報部92、座標位置情報部93、制御機器情報部94)からなる返信フレームが送信される。
【0061】
(エンコーダの構成例)
各エンコーダEN(ENa、ENb、…)は、モータ制御装置(サーボアンプ)AMP3により制御されるスレーブ装置であり、それぞれが互いに同様の構成を有するために、代表して一つのエンコーダENaを説明する。
エンコーダENaは、モータ制御装置AMP3aとの間でデータ通信を行うEエンコーダ通信処理部60Eと、処理部(CPU部)62と、エンコーダ記憶部と、無線通信可能な外部機器78との間で無線通信を行う無線通信処理部65を有する。エンコーダ記憶部は、Eエンコーダ通信処理部60Eを経由して取得したコントローラCNTとモータ制御装置AMPの各種情報を記憶する。
【0062】
エンコーダ記憶部は、以下に説明するように、2種類記憶部を有していても良い。エンコーダ記憶部は、例えば、Eエンコーダ通信処理部60Eを経由して取得したコントローラCNT1からの各種情報を、一時的に記憶する第5の記憶部(5)63を有する。
【0063】
さらに、エンコーダ記憶部は、第5の記憶部(5)63に一時的に記憶された各種情報を、非一時的に記憶する第6の記憶部(6)64を有する。第6の記憶部(6)64に記憶されているデータは、電力が供給されない場合でも記憶情報を保持することが可能である。
【0064】
処理部(CPU部)62は、第5の記憶部(5)63と第6の記憶部(6)64との記憶データの差分を検出し、その記憶データの差分を第6の記憶部(6)64に反映(追加/削除)する第三記憶制御部を備える。
【0065】
エンコーダENaは、無線通信処理部65を有する。無線通信処理部65は、外部機器78に対して無線通信にて各種情報を送信することが可能である。また、無線通信処理部65及び第6の記憶部(6)64は、故障などにより電力が供給されない場合でも、外部の無線給電部(ワイアレス給電1次コイル77)から2次コイルを経由して給電することで、無線通信にて各種情報を送信することが可能である。さらに、無線通信処理部65は、コントローラCNT
1から転送されて第6の記憶部(6)64に保存されている各種情報を、図示しない他のコントローラに送信可能である。
【0066】
(各種情報テーブル)
図11は、機械情報のデータ構成例を示す機械情報テーブルであり、図12は、座標位置情報のデータ構成例を示すテーブルであり、図13は、制御機器のデータ構成例を示すテーブルである。
図11に示すように、機械情報テーブル120は、機械情報123を有する。機械情報123は、項目番号125と、情報種別127と、当該機械の機械情報129とを含む。情報種別127は、機械基本情報、機械状態、加工・作業状態に関する情報を有する。例えば、機械基本情報は、当該機械の機械情報129である型番、シリアルナンバー、製造年月日、初回電源投入日、電源投入時間、アラーム情報を含む。
【0067】
図12に示すように、座標位置情報テーブル130は、座標位置情報133を有する。座標位置情報133は、軸番号135と、軸番号135毎の位置情報137とを含む。軸番号135は、サーボモータの軸ナンバー、座標やエンコーダENのセンサナンバーなどの情報を有する。例えば、軸ナンバーは位置情報137として当該軸ナンバーのエンコーダ位置情報を有する。
【0068】
図13に示すように、制御機器情報テーブル140は、制御機器情報143を有する。制御機器情報143は、項目番号145と、機器名147と、当該機器の機器情報149とを含む。当該機器の機器情報149は、例えば、機器名147がコントローラCNT1の場合、型番、シリアルナンバー、製造年月日、初回電源投入日、電源投入時間、アラーム情報を含む。
【0069】
図14は、各種情報の保存/送信の手順の一例を示すフローチャート図である。
【0070】
(各種情報の共有手順)
1)各エンコーダEN(ENa、ENb、…)は、電源が投入され(ステップS31)、第5の記憶部(5)63,73、第6の記憶部(6)64,74を比較し,基本情報に差異があれば、第6の記憶部(6)64,74に書込む(ステップS32)。次に、各エンコーダEN(ENa、ENb、…)は、それぞれ位置検出部61、71の位置情報をモータ制御装置AMP3a,3b,…に送信する(ステップS33)。送信された位置情報はモータ制御装置AMP3a,3b,…からコントローラCNT1に送信され、コントローラCNT1から各モータ制御装置AMP3a,3b,…に各種情報が送信される。
2)各エンコーダEN(ENa、ENb、…)は、コントローラCNT1から送信された各種情報をモータ制御装置AMP3a,3b,…から受信し、第5の記憶部(5)63、73に保存し、そのコピーを図11~13に示すような機械情報テーブル120、座標位置情報テーブル130、制御機器情報テーブル140として第6の記憶部(6)64、74に保存する(ステップS34)。書き込み処理の完了後に、書込み処理の完了通知をモータ制御装置AMP3a,3b,…を経由してコントローラCNT1に送信する(ステップS35)。
【0071】
(周期通信モードの動作手順:各種情報の送信手順)
3)このようにして送信情報の保存が完了すると、各エンコーダEN(ENa、ENb、…)は、周期動作モードに移行して、周期的にサーボモータの状態をモータ制御装置AMP3a,3b,…を経由してコントローラCNT1に送信する(ステップS36)。
4)コントローラCNT1と各モータ制御装置AMP3a,3b,…間においては、定期的な通信がおこなわれる(ステップS8,S27)。
【0072】
外部機器78から各種情報の送信要求を受信した場合、第6の記憶部(6)64、74に保存されている各種情報を無線通信処理部65から外部機器78に無線通信にて送信する(ステップS37,ステップS38)。
【0073】
以上から、第1実施形態のようにネットワークに接続されたAMP・CNTから各種情報を確認することができるのに加えて、第2実施形態では、サーボモータの各エンコーダEN(ENa、ENb、…)からも無線通信により各種情報を取得することができる。
【0074】
また、上記の実施の形態において、図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、コントローラCNTは、第一のデータ通信部により取得したモータ制御装置AMPの各種情報を記憶するコントローラ記憶部を有し、モータ制御装置AMPは、第二のデータ通信部により取得したコントローラCNTとモータ制御装置AMPの各種情報を記憶するモータ制御装置記憶部を有しており、これら、コントローラ記憶部とモータ制御装置記憶部とが、非一時的にデータを記憶していれば、抽出装置により記憶データを抽出することができる。
【0075】
また、上記では基本情報やアラーム情報を抽出できることについて説明したが、サーボモータの動作履歴、座標位置など各種情報を抽出できるようにしてもよい。また、CNTやAMP、位置検出器を備えたサーボモータとの接続をUSB接続ではなく、無線技術を使用することができる。この場合、電源供給は無線給電技術を使用すればよい。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、サーボシステムに利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
A サーボシステム
EN(ENa、ENb、…) エンコーダ
M モータ
1 コントローラCNT
3(3a、3b,…) モータ制御装置(サーボアンプ)AMP
5(5a,5b,5c,…) 情報抽出機器
7,7a 表示部
8 バッテリー
9 インターフェイス部
11 処理部(CPU)
13 コントローラ記憶部の第1の記憶部(1)
15 コントローラ記憶部の第2の記憶部(2)
17,27,37、47 インターフェイス部
21、31 CPU部
21E、31E Mエンコーダ通信処理部
23、33 モータ制御装置記憶部の第3の記憶部(3)
24a サーボ制御部
24b モータドライブ回路
25、35 モータ制御装置記憶部の第4の記憶部(4)
26a 電源処理部
26b DC電源処理部
28 通信部
28a 通信処理部
29 PHYデバイス
30 通信ポート
41 ヘッダ部
42 指令コマンド部
43 データ部
44 基本情報データ部
45 アラームデータ部
51 ヘッダ部
52 状態フィードバックデータ部
53 データ部
60E、70E Eエンコーダ通信処理部
61、71 位置検出部
62、72 処理部(CPU)
63、73 エンコーダの第5の記憶部(5)
64、74 エンコーダの第6の記憶部(6)
65、75 無線通信処理部
66、76 2次コイル
77 ワイヤレス給電1次コイル
78 外部機器
81 ヘッダ部
82 要求コマンド部
83 データ部
91 ヘッダ部
92 機械情報部
93 座標位置情報部
94 制御機器情報部
95 各種情報
100 アラーム情報テーブル
103 アラーム情報
105 アラームの履歴(時刻)項目
107 アラーム状態
109 アラーム番号
111 基本情報テーブル
113 基本情報
115 アドレス項目
117 機器名
119 当該機器の機器情報
120 機械情報テーブル
123 機械情報
125 項目番号
127 情報種別
129 当該機械の機械情報
130 座標位置情報テーブル
133 座標位置情報
135 軸番号
137 位置情報
140 制御機器情報テーブル
143 制御機器情報
145 項目番号
147 機器名
149 当該機器の機器情報
151 携帯端末
153 インターフェイス部
155 表示部
157 コード読み取り部
161 バッテリー
201 データベースサーバ
205 記憶部
205a 対処法提供テーブル
207 検索処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14