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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055401
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】草刈作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/535 20060101AFI20220401BHJP
   A01D 34/56 20060101ALI20220401BHJP
   A01D 34/58 20060101ALI20220401BHJP
   A01D 34/62 20060101ALI20220401BHJP
   A01D 34/86 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
A01D34/535
A01D34/56
A01D34/58
A01D34/62
A01D34/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162810
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】土棟 志龍
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真也
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA01
2B083BA12
2B083BA16
2B083CA09
2B083CA28
2B083DA02
2B083EA18
2B083GA02
2B083GA04
2B083HA52
2B083KA01
2B083KA02
2B083KA07
2B083KA09
2B083KA10
(57)【要約】
【課題】伝動部材を増強せずとも作業部の回転負荷を判断して刈り取った草をスムーズに排出することができる草刈作業機を提供すること。
【解決手段】草刈作業機1は、回転軸41周りに刈刃42を有し、回転することによって作業を行う作業部4と、作業部4の後方で一端側を軸にして他端側を回動可能に設け、且つ、作業部4を遮蔽する遮蔽位置から作業部を開放する開放位置の間で回動可能な開閉カバー54と、を備える。さらに、開閉カバー54を回動駆動させるための駆動装置56と、回転軸41の回転数を検出可能に設け、且つ、回転数を検出した信号を回転信号として発信可能に設けた回転センサ74と、回転信号を受信するとともに比較演算することが可能で、過去の回転信号である第1回転信号と現在の回転信号である第2回転信号との比較演算の結果に応じて、駆動装置56を駆動させることが可能な制御部7と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸周りに刈刃を有し、回転することによって作業を行う作業部と、
前記作業部の後方で一端側を軸にして他端側を回動可能に設け、且つ、前記作業部を遮蔽する遮蔽位置から前記作業部を開放する開放位置の間で回動可能な開閉カバーと、
前記開閉カバーを回動駆動させるための駆動装置と、
前記回転軸の回転数を検出可能に設け、且つ、前記回転数を検出した信号を回転信号として発信可能に設けた回転センサと、
前記回転信号を受信するとともに比較演算することが可能で、過去の回転信号である第1回転信号と現在の回転信号である第2回転信号との比較演算の結果に応じて、前記駆動装置を駆動させることが可能な制御部と、
を備えることを特徴とした草刈作業機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2回転信号の示す値が前記第1回転信号の示す値より大きい場合に前記開閉カバーを開放位置側に回動させ、前記第2回転信号の示す値が前記第1回転信号の示す値以下の場合に前記開閉カバーを遮蔽位置側に回動させる、
ことを特徴とした請求項1に記載の草刈作業機。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2回転信号と前記第1回転信号との比較演算を行う第1回転比較の後に、再度、前記第2回転信号と前記第1回転信号との比較演算を行う第2回転比較及び前記第2回転信号と前記第1回転信号との比較演算を行う第3回転比較を実施し、前記第2回転比較及び前記第3回転比較の演算結果が前記第1回転比較の演算結果と異なる結果になるまで前記駆動装置を待機状態にさせる、
ことを特徴とした請求項1又は2に記載の草刈作業機。
【請求項4】
前記制御部は、制御開始時において、前記開閉カバーを前記遮蔽位置に回動させた後に前記第2回転信号と前記第1回転信号との比較演算を行う、
ことを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載の草刈作業機。
【請求項5】
前記回転センサは、前記回転軸と一体となって回転する突起片によって回転数を検出する、
ことを特徴とした請求項1乃至4のいずれかに記載の草刈作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体であるトラクタに装着して草等の草刈作業を行う農業用機械に関する。
【背景技術】
【0002】
地上の植物等を刈る装置が、特許文献1に草刈機として開示されている。この草刈機は、カバーの内部に草刈刃を装着した回転軸を垂直面内で回転可能に装設し、草刈刃で刈り取られた草をカバー後部に設けられる放出窓に導くためのカバー内周に内方に案内板を取り付けたものである。地面に生えている草は、前方部の取込口から取り込まれると、カバー体である樋状体内部の草刈刃で刈り取られる。刈り取られた草は、カバー体である樋状体の後面と地上との間に形成された隙間の放出口から放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-103635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に草刈機は、草刈刃で刈り取り処理される草が多量になると、放出口から放出が間に合わず、カバー体である樋状体内部に刈り取られた草が溜まることとなる。すると、刈り取られた草が草刈刃に接触することで草刈刃の回転抵抗となり、動力負荷も増大する。動力負荷に耐えうるようにするためには、動力伝動に関わる部材の強度も数多く強化させる必要が生じ、機体価格の高騰を招く問題がある。また、特許文献1の草刈機を用いて、負荷を増大させずに作業を行う場合、草刈刃の回転抵抗を考慮しながら作業速度を調整する必要がある。しかしながら、作業部である草刈刃の回転抵抗、及び、この原因となっているカバー内の刈り取られた草の状況を作業者が判断することは困難となっている。
【0005】
したがって、本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、伝動部材を増強せずとも作業部の回転負荷を判断して刈り取った草をスムーズに排出することができる草刈作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、回転軸周りに刈刃を有し、回転することによって作業を行う作業部と、作業部の後方で一端側を軸にして他端側を回動可能に設け、且つ、作業部を遮蔽する遮蔽位置から刈刃部を開放する開放位置の間で回動可能な開閉カバーと、開閉カバーを回動駆動させるための駆動装置と、回転軸の回転数を検出可能に設け、且つ、回転数を検出した信号を回転信号として発信可能に設けた回転センサと、回転信号を受信するとともに比較演算することが可能で、過去の回転信号である第1回転信号と現在の回転信号である第2回転信号との比較演算の結果に応じて、駆動装置を駆動させることが可能な制御部と、を備える草刈作業機であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、伝動部材を増強せずとも作業部の回転負荷を判断して刈り取った草をスムーズに排出することができる草刈作業機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態である草刈作業機を進行方向に対する前方から後方に向かって見た正面図であり、カバー部の一部を切欠した図である。
図2】本発明の実施形態である草刈作業機を進行方向に対する左方から右方に向かって見た側面図である。
図3図1の平面図である。
図4図2を進行方向に対する左右方向で断面した正面図であって、開閉カバー、ゲージ部、押圧板を示す図である。
図5図1を進行方向で断面した側面図であって、開閉カバーが遮蔽位置のときを示す図である。
図6図1を進行方向で断面した側面図であって、開閉カバーが遮蔽位置のときを示す図である。
図7】本発明の実施形態である草刈作業機のブロック図である。
図8】本発明の実施形態である草刈作業機の荷重センサを用いた開閉カバーの動作に係る制御フロー図である。
図9】本発明の実施形態である草刈作業機の回転センサを用いた開閉カバーの動作に係る制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。説明においては、図1に示す左側を進行方向に対する右方、右側を進行方向に対する左方として説明する。また、図2に示す左側を進行方向に対する前方、右側を進行方向に対する後方として説明する。内部の構造を説明するため、図1においてベルトカバーは二点鎖線で示し、図2においてベルトカバーは図示を省略している。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して、その説明を省略することがある。加えて、説明に用いる図面は模式的なものであり、各部の寸法との関係等は現実のものとは異なることがある。また、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
草刈作業機1は、農業用トラクタ等の走行機体(図示せず)の後部に設けられた昇降装置である3点リンク機構(図示せず)に装着して、草刈作業に使用される。3点リンク機構には草刈作業機1の機枠であるフレーム部2が連結される。フレーム部2には、変速部3が備えられ、走行機体から回転動力を獲得するとともに変速し、動力を作業部4に伝動する。作業部4は、進行方向左右に長い水平軸である回転軸41に刈刃42を複数個配置して、これを回転させることで草刈作業を行う。
【0011】
作業部4の前方から上部を経由し、後部にかけてカバー部5が配置され、作業部4を覆っている。カバー部5の後方部は、上下方向に回動可能に設けた開閉カバー54が配置されていて、制御部7によって制御された駆動装置56によって回動駆動を行うことができる。制御部7は、荷重センサ72及び回転センサ74と接続していて、これらセンサの信号を検出することによって、駆動装置56を駆動させて開閉カバー54を回動させることができる。草刈作業機1は、開閉カバー54を回動させることによって、作業部4の後方を開放あるいは遮蔽して草刈作業をすることができるのである。
【0012】
以下、草刈作業機1の詳細を説明する。機枠であるフレーム部2は、走行機体の3点リンク機構のロワーリンクに装着するための2つのロワー装着体22と、3点リンク機構のトップリンクに装着するための1つのトップ装着体23を備える。ロワー装着体22の後端部はパイプフレーム21が取り付けられている。パイプフレーム21は進行方向左右に長いパイプ状部材で、草刈作業機1の骨格となっている。パイプフレーム21の左右に対する中央部には、変速部3の構成部材の1つであるギヤケース31が配置されていて、トップ装着体23はギヤケース31に固着されている。走行機体への装着は、クイックカプラー又はオートヒッチと称される連結枠を介して装着してもよい。
【0013】
パイプフレーム21の左右両端部には、側板24の一方側を取り付け、この他端側に架け渡すように、後述する作業部4を支持することができる。
【0014】
変速部3は、走行機体から出力される回転動力を獲得するとともに変速し、この動力を作業部4に伝達する。パイプフレーム21の左右に対する中央部に配置したギヤケース31から前方に向けて、回転自在な入力軸32を取り付ける。入力軸32と走行機体のPTO軸(図示せず)とを、ユニバーサルジョイント等(図示せず)により連結して、回転動力が入力され駆動される。
【0015】
入力軸32が獲得した回転動力は、ギヤケース31内部に備えるギヤ等によって、変速されるとともに、動力の伝達方向を変更する。実施形態における動力の伝達方向は、ギヤケース31の左方に向けて変更される。回転動力は、ギヤケース31から左方の側板側に向けたパイプフレーム21内に配置した出力軸(図示せず)によって、伝動される。出力軸の先端部は側板24に到達するとともに貫通し、この先端部には第1プーリ33が取り付けられている。側板24一端側に配置した第1プーリ33の下方には、第2プーリ34を配置する。第2プーリ34は側板24の他端側である下方に配置し、後述する作業部4の回転軸41の先端部が固着されている。第2プーリ34は回転軸41と一体となって回転自在である。
【0016】
第1プーリ33と第2プーリ34には、伝動ベルト35が巻き掛けられている。入力軸32で獲得した回転動力は、伝動ベルト35を介して第2プーリ34を回転させる。第1プーリ33と第2プーリ34の中間部には、伝動ベルト35の張りを適正に保つアイドラプーリ36が配置されている。第2プーリ34の回転によって、後述する回転軸41に伝達され、作業部4が回転駆動する。側板24に配置した第1プーリ33、第2プーリ34、伝動ベルト35、アイドラプーリ36は、ベルトカバー37により覆われて防護されている。
【0017】
作業部4は、長尺の回転軸41に刈刃を円周方向及び軸方向に間隔を置いて、複数配置した刈刃42を有している。刈刃42は、回転軸41と共に回転することで、草を刈ることができる。作業部4は、トラクタ進行方向と直交する水平方向の回転軸41に配置した複数の揺動自在な刈刃42を、前方から後方に向けて相対移動してくる草を掬い上げるように回転軸41を軸にして回転させることで、草葉を切断する。
【0018】
第2プーリ34の回転によって回転駆動する回転軸41を左右水平方向に配置し、回転軸41の両端部をパイプフレーム21の左右両端部に配置した側板24に架け渡すように配置している。回転軸41は、端部に固着された第2プーリ34の回転を受けて、回転駆動することができる。
【0019】
回転軸41には、刈刃42が複数取り付けられている。刈刃42の回転軸41側は、ヒンジ43によって回転軸41と連結されていて、刈刃42は回転軸に対して揺動自在である。刈刃42が草以外の硬い石や障害物等への衝突があった場合、刈刃42はヒンジ43を軸にして、回転半径に対する先端側を回転方向の後方側に後退することで、衝撃を緩和することができる。
【0020】
作業部4の回転軌跡外周の、前方部から上方部を経て後方部に至るまでカバー部5で覆われている。カバー部5は、切断された草葉の飛散を防止するとともに、切断された草葉を作業部4の後方及びカバー部5の下方に案内する。カバー部5は、作業部4の回転軌跡外周の前方部から上方部を覆う刈刃カバー51と、作業部4の回転軌跡外周の後方部を覆うことが可能で、刈刃カバー51の後端部で上下回動可能に設けた開閉カバー51を備える。
【0021】
刈刃カバー51は、作業部4の左右幅全体の前方部から上方部にかけて覆うことで、作業部4によって切断された草葉が前方及び上方側への飛散することを防止するとともに、切断された草葉を刈刃カバー51の内側面に沿って刈刃カバー51の後方側に案内する。実施形態の場合は、左右の側板24を架け渡すように刈刃カバー51を配置している。
【0022】
刈刃カバー51の前方の下端部には、下端側が後方側に回動可能に垂れ下げるようにフラップカバー53を取り付ける。フラップカバー53は、後方側に回動することで、走行機体の進行と共に相対的に前方から移動する草を作業部4に容易に案内する。また、フラップカバー53の下方に草がない場合は、フラップカバー53の下端が下方に移動することで、刈刃カバー51の前方の下端に形成した隙間を覆い、切断された草葉の前方への飛散を防止する。
【0023】
刈刃カバー51の後端部には、開閉カバー54が配置されている。開閉カバー54の一端側を、刈刃カバー後端部に備えたヒンジ55を連結することによって、上下に回動可能にしている。開閉カバー54は、作業部4の後方側を完全に覆う遮蔽位置と、作業部4の後方側を完全に開放させた開放位置に、上下回動することが可能である。また、開閉カバー54は、遮蔽位置から開放位置にかけて、作業者が望む任意の位置に固定することができる。すなわち、開閉カバー54は、作業部4の後方で、遮蔽位置から開放位置の間で回動可能である。実施形態の場合、開放位置の開閉カバー54の角度は、図6に示すように、遮蔽位置に対して相対的に20乃至30度角程度、上方に回動させているが、この相対的な設定角度に限定はなく、任意に決めることができる。
【0024】
開閉カバー54の他端と、地面Gとの間には隙間Hが形成される。切断された草葉は、開閉カバー54に案内された後、隙間Hから地面Gに向けて放出あるいは排出される。隙間Hは、開閉カバー54が遮蔽位置のときに最小となり、開放位置のときに最大となる。開閉カバー54の回動によって形成される隙間Hの大小に、カバー部5内から排出される切断された草葉の量の大小が比例する。つまり、隙間Hが小さいと排出量が小さく、反対に、隙間Hが大きいと排出量が大きくなる。
【0025】
開閉カバー54が遮蔽位置の場合は、刈刃カバー51の内側面に沿って移動した切断された草葉は、開閉カバー54の刈刃部側の面に沿って、作業部4の直後部に落下させることができる。開閉カバー54が開放位置の場合は、刈刃カバー51の内側面に沿って移動した切断された草葉は、開閉カバー54の刈刃部側の面に沿って、作業部4より遠く離れた後方に落下させることができる。以上のように、切断された草葉は開閉カバー54の回動角度によって任意の位置に落下させることが可能である。
【0026】
開閉カバー54の回動は、駆動装置56によって駆動させる。駆動装置56は油圧シリンダを使用する。駆動装置56は、この一端部をパイプフレーム21に設けた取付部211に連結し、他端部を開閉カバー54から上方に向けて固着されている取付板541に連結している。開閉カバー54は、駆動装置56の伸縮に伴って、遮蔽位置から開放位置にかけて回動させることができる。また、駆動装置56の伸縮を停止させ、伸縮長さを維持することによって、開閉カバー54を任意の位置で固定させることが可能である。
【0027】
実施形態の場合の油圧シリンダは、電動ポンプが付属していて、油圧配管を特別配置することなく、電源と接続されることで動作可能なものを使用している。また、図面において、駆動装置56は、パイプフレーム21及び開閉カバー54の左右2か所に配置しているが、個数に限定はない。また、駆動装置56はシリンダの類に限らず、モータを使用し、この回転動力を使用して開閉カバー54を回動させてもよい。
【0028】
開閉カバー54の下方にはサポート部材57を取り付ける。サポート部材57は、左右方向に長い部材で、左右に配置された側板24のそれぞれの後部同士を固定している。サポート部材57は、遮蔽位置の開閉カバー54の他端側に位置していて、遮蔽位置のときは、切断された草葉は、開閉カバー54と、サポート部材57のそれぞれ作業部4側の面に沿って、作業部4の直後部の地面Gに落下する。
【0029】
側板24の後部且つ下部には、ゲージ部6が位置している。ゲージ部6は、左右の側板を架け渡すように配置し、地面Gに接触しながら回転可能なゲージローラ61を配置する。ゲージローラ61は回転軸62周りに回転自在な丸棒状あるいは丸パイプ状の部材である。ゲージローラ61によって作業部4は、地面Gからの高さを一定にできるので、回転する刈刃42が地面Gに接触することなく、安定した草刈作業を行うことができる。
【0030】
開閉カバー54に沿って案内された切断された草葉は、開閉カバー54の他端側から地面Gに向かって放出される。この実施形態の場合の放出された草葉は、開閉カバー54が遮蔽位置のときは、サポート部材57の前方面に沿って、ゲージ部6の前方に落下する。また、開閉カバー54が遮蔽位置以外の開放位置側に回動したときの放出された草葉は、サポート部材57の後方を通って、ゲージ部6の後方に落下する。
【0031】
開閉カバー54が遮蔽位置のとき、ゲージ部6の前方に落下した切断された草葉は、草刈作業機1の移動に伴って、隙間Hからカバー部5の外側に開放される。説明する実施形態の場合、隙間Hの場所にサポート部材57及びゲージ部6のゲージローラ61が位置しているので、切断された草葉は、隙間Hからサポート部材57及びゲージローラ61の高さを差し引いた隙間Haから開放される。また、ゲージローラ61は機体の進行によって自転する構成であるので、地面Gに堆積した切断された草葉を踏みつけることができる。このため、切断された草葉は、ゲージローラ61によって乗り越えることで、草刈作業機1に対して後方側に相対移動する。
【0032】
開閉カバー54が遮蔽位置のとき、隙間Hは最小であるため、切断された草葉が多量に存在する場合は排出が間に合わず、作業部4の後方且つゲージ部6の前方に過剰に堆積することがある。この状態になると、図5の二点鎖線部で示すように、切断された草葉がカバー部5の内部に堆積し、堆積物Tとなる。堆積物Tは徐々に圧縮されて硬くなるため、図5に一点鎖線で示す作業部4の回転領域にこの堆積物Tが接触すると、作業部4の回転に負荷がかかる。すると、変速部3の、特に伝動ベルト35が損傷あるいは伸長することで、適正に動力の伝動ができず、作業部4の回転が低下する。この状態を継続すると、作業部4の回転が低下し続け、ついには、草刈作業の続行が不能になる。この場合、堆積物Tを取り除くと上記の不都合な状態は解消され、草刈作業の続行が可能となる。
【0033】
具体的には、開閉カバー54を開放位置側に回動させることで、草刈作業機1の進行と共に順次、刈刃カバー51及び開閉カバー54に沿って送られてくる切断された草葉を、既にゲージ部6の前方に堆積している堆積物T上に堆積させずに、後方に放出する。すると、既にゲージ部6の前方に堆積している堆積物Tの排出が促され、カバー部5の内部への堆積物Tの堆積は解消される。
【0034】
このため草刈作業機1は、開閉カバー54を自動で開閉させるべく、駆動装置56の動作を制御する制御部7を備える。実施形態の場合の制御部7はトップ装着体23の近傍に配置している。制御部7は、カバー部5内部の堆積物Tの堆積状態を検出することができる荷重センサ72と、作業部4の回転軸41の回転状態を検出することができる回転センサ74に接続している。さらに、制御部7は駆動装置56に接続している。制御部7は、荷重センサ72及び回転センサ74から発信された信号を受領し、この信号に基いて演算することで、予め指定された制御プログラムに基いた動作を駆動装置56にさせることができる。
【0035】
荷重センサ72は作業部4の後方、且つ、作業部4に面した位置に配置する。実施形態において、荷重センサ72は圧縮用ロードセルを使用し、サポート部材57の前面に2個配置している。荷重センサ72は、前面に受けた荷重を荷重信号として制御部7に発信可能である。堆積物Tが堆積して嵩が増すと、荷重センサ72に接触し、さらに、嵩が増し続けると荷重センサ72を押圧する。押圧後に荷重が変化するので、これも荷重信号として制御部7に発信する。制御部7は、荷重センサ72によって、堆積物Tで受ける荷重の変化を常時受領する。制御部7は、受領した荷重信号が示す情報を検出荷重値として認識し、この検出荷重値と予め決められた設定荷重値とを比較演算する。制御部7は、比較演算の結果に基づいて、駆動装置56に予め指定された制御プログラムに沿った動作をさせることができる。
【0036】
荷重センサ72の前方には、押圧板73が位置している。押圧板73は、サポート部材57とほぼ同じ長さの左右に長い断面コ字状の部材で、荷重センサ72の感圧部に接触可能に設けている。つまり、押圧板73は前後に移動可能に設けている。押圧板73によって、荷重センサ72が位置していない場所の荷重が、押圧板73を介して検出可能となる。
【0037】
荷重センサ72は作業部4の長手方向に対してほぼ均等に分割するように配置しているので、作業部4の後方且つ開閉カバー54の前面の地面Gに堆積した堆積物Tを偏りなく検出することができる。また、荷重センサ72は、開閉カバー54の下方に形成される隙間H内又は隙間Hに近接して配置するので、隙間H付近の堆積物Tの堆積具合をすぐに検出できる。実施形態の場合、荷重センサ72は、左右方向に長いサポート部材57に取り付けるので、堆積物Tが発生しやすい作業部4の幅方向に対する中央部付近に配置でき、荷重の検出精度の向上が望める。
【0038】
荷重センサ72は図示する実施形態によらず、センサ形式、設置場所及び向き、設置個数に限定はない。つまり、荷重センサ72は、荷重を検出でき、且つ、作業部4に面した後方の位置にあればよく、設置個数は1個以上であればよい。具体的には、実施形態はサポート部材57及びゲージ部6が存在するものとして説明したが、サポート部材57及びゲージ部6が存在せずとも実施が可能である。この場合、荷重センサ72及び押圧板73は、開閉カバー54の作業部4の後部且つ作業部4に面する場所に設置することが望ましい。荷重センサはロードセル形式として説明したが、設定した荷重時に単純なオン・オフ動作をするスイッチでもよい。荷重センサ72の設置個数は1個以上であれば、押圧板73によって押された荷重を検知可能である。荷重センサ72の設置個数が増えるほど、検出精度の向上が期待できる。
【0039】
回転センサ74は、作業部4の回転軸41の回転数を検出する非接触型のセンサであり、回転パルス数を検出することによって回転数を計測する。回転センサ74は、第2プーリ34の近傍に配置していて、作業部4の回転軸41と一体となって回転する第2プーリ34の回転数を計測する。回転センサ74は、第2プーリ34に取り付けた突起片75の回転パルスを検出することで、回転軸41の回転数を直接的に計測する。突起片75は、第2プーリ34の回転外周より外側に突出するように設ける。回転センサ74は、第2プーリ34と共に回転する突起片75に近接配置し、回転センサ74に近接した回数であるパルス数を検出する。制御部7は検出したパルス数を回転数として認識できる。
【0040】
回転センサ74は、常時、回転信号を制御部7に発信するように構成している。回転信号を受領した制御部7は、回転信号が示す情報を検出回転数として認識し、この検出回転数に基いた演算処理を行う。制御部7は、回転センサ74による回転軸41回転数を検出後、検出回転数に変化があるかどうかを比較演算する。演算処理の結果に基づいて、予め指定された制御プログラムに沿った動作を駆動装置56にさせることができる。
【0041】
回転センサ74は図示する実施形態によらず、センサの形式及び設置場所に限定は無く、回転軸41の回転数を検出できればよい。また、回転センサ74での回転数の検出は、回転数の変動を直接的に検出することで、この検出精度を高めることができることから、作業を行う作業部4の回転系統を直接計測することが望ましい。
【0042】
次に、制御部7によって、荷重センサ72及び回転センサ74から発信された信号基にして、駆動装置56を動作させる手順を説明する。制御部7には、荷重センサ72及び回転センサ74からの信号を基にして、駆動装置56が指定された動作を行うようにプログラムが組み込まれている。
【0043】
荷重センサ72を用いた場合の駆動装置56の動作手順を、図8を用いて説明する。制御が開始されると、ステップS1にて駆動装置56を動作させて開閉カバー54を遮蔽位置の方向に回動させる。すなわち、開閉カバー54を閉じる。この時、駆動装置56は予め設定された時間だけ動作し、その後停止する。このステップS1によって、開閉カバー54を強制的に遮蔽位置にさせて、この位置を基準位置として、以後の制御動作を進める。なお、開閉カバー54が物理的に遮蔽位置及び遮蔽位置側への回動の限界位置に達していても、駆動装置56は予め設定された時間だけ動作する。
【0044】
ステップS1が終了すると、ステップS2に移行する。ステップS2で、制御部7は、荷重センサ72から受領した荷重信号が示す検出荷重値と、予め設定された荷重の値である設定荷重値とを比較演算する。このステップS2での比較演算を第1荷重比較と呼称する。第1荷重比較の結果、検出荷重値が設定荷重値より大きいと判断した場合、制御部7はステップS3に移行させる。
【0045】
ステップS3では、ステップS2の第1荷重比較の結果に基づいて、駆動装置56を動作させて、開閉カバー54の開放位置側への回動を開始させる。次いで制御部7はステップS4に移行する。
【0046】
ステップS4で、制御部7はステップS3で駆動装置56の動作を開始した時点から経過した時間である経過時間が、設定された時間である設定時間を超過したかを判断する。制御部7によって、駆動装置56の動作開始からの経過時間が設定時間に満たないと判断された場合は、ステップS2に戻り、制御ステップを繰り返す。制御部7によって、駆動装置56の動作開始からの経過時間が設定時間を超過したと判断された場合は、ステップS5に移行させる。
【0047】
ステップS5に移行すると、制御部7は駆動装置56の動作を停止させる。つまり、開閉カバー54の開放位置側への回動を停止させる。次いで、ステップS6に移行する。ステップS6での制御部7は、荷重センサ72から受領した荷重信号が示す検出荷重値と、予め設定された荷重の値である設定荷重値とを比較演算する。比較演算を第2荷重比較と呼称する。第2荷重比較の結果、検出荷重値が設定荷重値より大きいと判断した場合、制御部7はステップS6の判断を再度繰り返す。第2荷重比較の結果、検出荷重値が設定荷重値より大きくないと判断した場合、制御部7はステップS2まで戻り、制御ステップを繰り返す。
【0048】
上記ステップS2で、制御部7による第1荷重比較の結果、検出荷重値が設定荷重値より大きくないと判断した場合、制御部7はステップS7に移行させる。ステップS7では、ステップS2の第1荷重比較の結果に基づいて、駆動装置56を動作させて、開閉カバー54の遮蔽位置側への回動動作を開始させる。すなわち、開閉カバーを閉じる動作をさせる。次いで制御部7はステップS8に移行する。
【0049】
ステップS8で、制御部7はステップS7で駆動装置56の動作を開始した時点から経過した時間である経過時間が、設定された時間である設定時間を超過したかを判断する。制御部7によって、駆動装置56の動作開始からの経過時間が設定時間に満たないと判断された場合は、ステップS2に戻り、制御ステップを再度繰り返す。制御部7によって、駆動装置56の動作開始からの経過時間が設定時間を超過したと判断された場合は、ステップS9に移行させる。
【0050】
ステップS9に移行すると、制御部7は駆動装置56の動作を停止させる。つまり、開閉カバー54の遮蔽位置側への回動を停止させる。次いで、ステップS10に移行する。ステップS10での制御部7は、荷重センサ72から受領した荷重信号が示す検出荷重値と、予め設定された荷重の値である設定荷重値とを比較演算する。この比較演算を第3荷重比較と呼称する。第3荷重比較の結果、検出荷重値が設定荷重値より大きくないと判断した場合、制御部7はステップS10の第3荷重比較を再度繰り返す。第3荷重比較の結果、検出荷重値が設定荷重値より大きいと判断した場合、制御部7はステップS2まで戻り、第1荷重比較を行う制御ステップから順次制御を繰り返す。
【0051】
ステップS6での第2荷重比較及びステップS10での第3荷重比較は、ステップS2の第1荷重比較と同様の判断のステップを踏むものの、検出荷重値と設定荷重値との比較演算の結果の判断した先の制御ステップの進め方が異なる。第1荷重比較が終了後、制御部7はすぐに、開閉カバー54を開放位置側又は遮蔽位置に回動させるべく駆動装置56を動作させるが、第2荷重比較及び第3荷重比較の終了後は、すぐに駆動装置56を動作させない。
【0052】
具体的には、第1荷重比較で検出荷重値が設定荷重値より大きいと判断した場合に、開閉カバーを開放位置側に回動させるべく駆動装置56を動作させる。この第1荷重比較に対し、第2荷重比較では再度検出した検出荷重値が設定荷重値より大きいと判断した場合に、駆動装置56を動作させずに再度第2荷重比較を繰り返すことで、駆動装置56の動作を待機状態にさせる。同様に、第1荷重比較で検出荷重値が設定荷重値より大きくないと判断した場合に、開閉カバーを遮蔽位置側に回動させるべく駆動装置56を動作させる。この第1荷重比較に対し、第3荷重比較では再度検出した検出荷重値が設定荷重値より大きくないと判断した場合に、駆動装置56を動作させずに再度第3荷重比較を繰り返すことで、駆動装置56の動作を待機状態にさせる。
【0053】
つまり、制御部7は、第1荷重比較の後に、再度、類似の判断となる第2荷重比較及び第3荷重比較を実施し、第2荷重比較及び第3荷重比較の結果が第1荷重比較の結果と異なる結果になるまで、第2荷重比較及び第3荷重比較を繰り返して駆動装置56を待機状態にすることができる。第2荷重比較及び第3荷重比較の結果が第1荷重比較の結果と異なる結果となった場合は、改めて第1荷重比較を行って駆動装置56を動作させる。
【0054】
第2荷重比較及び第3荷重比較を行うことによって、第1荷重比較による駆動装置56の動作及びこの停止後に、すぐに駆動装置56が再動作することを防ぐことができる。つまり、第1荷重比較の結果に基づいて開閉カバー54を開放位置側に回動させた後に、堆積物Tによる荷重センサ72の押圧状態が解除され、設定荷重値以下にならないと、次の駆動装置56を動作させるための制御ステップに進めないようになっている。したがって、開閉カバー54が開放位置側に回動し、隙間Hを確保した状態で、堆積物Tがカバー部5内から排出される。堆積物Tによる荷重センサ72への押圧が解除されない限り、駆動装置56は待機状態を維持するのである。また、この待機状態のときに、カバー部5内の荷重の変化が起きた都度、即時開閉カバー54を動作させることができる。
【0055】
また、第1荷重比較の結果に基づいて開閉カバー54を遮蔽位置側に回動させた後も同様に、堆積物Tによる荷重センサ72の押圧状態が形成され、検出荷重値が設定荷重値より大きくならないと、次の駆動装置56を動作させるための制御ステップに進めない。したがって、開閉カバー54が遮蔽位置側に回動し、その後、堆積物Tがカバー部5内に滞留し、作業部4への負荷状態が形成されない限り、駆動装置56は待機状態を維持する。また、この待機状態のときに、カバー部5内の荷重の変化が起きた都度、即時開閉カバー54を動作させることができる。
【0056】
制御部7で第1乃至第3荷重比較を行うにあたり、複数ある荷重センサ72からの信号によって検出する検出荷重値の内、少なくとも1つの検出荷重値が設定荷重値より大きいと判断した場合は、すべての荷重センサ72の検出荷重値が設定荷重値より大きいと判定する。このため、荷重センサ72のいずれかのみに荷重がかかる偏荷重状態が発生しても、カバー部5内の堆積物Tの発生状況を制御部7が正しく認識でき、開閉カバー54の回動動作が可能となる。
【0057】
荷重センサ72を用いた駆動装置56の動作は、予め設定された動作時間のみで動作するように、極めて単純化している。駆動装置56の動作時間を任意の時間に決めることで、開閉カバー54の開放位置の角度を変更することができる。駆動装置56の動作に係る装置及び部材を可能な限り省略でき、駆動装置56の周辺部品での不具合が発生するリスクを可能な限り抑制できる。
【0058】
回転センサ74を用いた場合の駆動装置56の動作手順を、図9を用いて説明する。制御が開始されると、ステップS101にて駆動装置56を動作させて開閉カバー54を遮蔽位置の方向に回動させる。すなわち、開閉カバー54を閉じる。この時、駆動装置56は予め設定された時間だけ動作し、その後停止する。このステップS101によって、開閉カバー54を強制的に遮蔽位置にさせて、この位置を基準位置として、以後の制御動作を進める。なお、開閉カバー54が物理的に遮蔽位置及び遮蔽位置側への回動の限界位置に達していても、駆動装置56は予め設定された時間だけ動作する。
【0059】
ステップS101が終了すると、ステップS102に移行する。ステップS102で、回転センサ74の検出時間である第1時間の間に、回転センサ74がパルス計測を行うとともに第1回転信号として制御部7に送信する。制御部7は、第1回転信号を受領すると、第1時間の回転数である第1検出回転数として認識する。なお、第1時間は任意の時間に設定することが可能で、実施形態の場合は3秒としているが、時間に限定はない。検出時間が短ければリアルタイムに近い回転数が検出でき、検出時間が長ければ計測時に発生し得るノイズの取得を低減できる。
【0060】
ステップS102が終了すると、ステップS103に移行する。ステップS103はステップS102と同様に、回転センサ74の検出時間である第2時間の間に、回転センサ74がパルス計測を行うとともに第2回転信号として制御部7に送信する。制御部7は、第2回転信号を受領すると、第2時間の回転数である第2検出回転数として認識する。なお、第2時間は任意の時間に設定することが可能で、実施形態の場合は3秒としているが、時間に限定はない。検出時間が短ければリアルタイムに近い回転数が検出でき、検出時間が長ければ計測時に発生し得るノイズの取得を低減できる。また、図9に示す制御フローから、第1検出回転数は第2検出回転数より過去に測定したもの、とも言える。
【0061】
ステップS103が終了すると、ステップS104に移行する。ステップS104で制御部7は、回転センサ74で計測した第1検出回転数と第2検出回転数とを比較演算する。このステップS104での比較演算を第1回転数比較と呼称する。第1回転数比較の結果、第1検出回転数が第2検出回転数より大きいと判断した場合、制御部7はステップS105に移行させる。すなわち、作業部4の回転数が負荷により、過去の回転数より現在の回転数が低下しているものとして判断して、ステップS105に移行するのである。
【0062】
ステップS105では、ステップS104の第1回転数比較の結果に基づいて、駆動装置56を動作させて、開閉カバー54の開放位置側への回動を開始させる。つまり開閉カバーを開く。次いで制御部7はステップS106に移行させる。
【0063】
ステップS106で、制御部7はステップS105で駆動装置56の動作を開始した時点から経過した時間である経過時間が、設定された時間である設定時間を超過したかを判断する。制御部7によって、駆動装置56の動作開始からの経過時間が設定時間に満たないと判断された場合は、ステップS102に戻り、制御ステップを繰り返す。制御部7によって、駆動装置56の動作開始からの経過時間が設定時間を超過したと判断された場合は、ステップS107に移行させる。
【0064】
ステップS107に移行すると、制御部7は駆動装置56の動作を停止させる。つまり、開閉カバー54の開放側への回動を停止させる。次いで、ステップS108に移行する。
【0065】
ステップS108で、再度、回転センサ74の検出時間である第1時間の間に、回転センサ74がパルス計測を行うとともに第1回転信号として制御部7に送信する。制御部7は、第1回転信号を受領すると、第1時間の回転数である第1検出回転数として認識する。
【0066】
ステップS108が終了すると、ステップS109に移行する。ステップS109は、回転センサ74の検出時間である第2時間の間に、回転センサ74がパルス計測を行うとともに第2回転信号として制御部7に送信する。制御部7は、第2回転信号を受領すると、第2時間の回転数である第2検出回転数として認識する。また、図9に示す制御フローから、第1検出回転数は第2検出回転数より過去に測定したもの、とも言える。
【0067】
ステップS109が終了すると、ステップS110に移行する。ステップS110で制御部7は、ステップS108及びステップS109において回転センサ74が計測した第1検出回転数と第2検出回転数とを比較演算する。このステップS110での比較演算を第2回転数比較と呼称する。第2回転数比較の結果、ステップS108において検出した第1検出回転数が、ステップS109において検出した第2検出回転数より大きいと判断した場合、制御部7はステップS108に戻り、制御ステップを繰り返す。すなわち、作業部4の回転数が負荷により、過去の回転数より現在の回転数が低下しているものとして判断して、ステップS108に戻って制御を繰り返すのである。
【0068】
上記ステップS110での第2回転数比較の結果、ステップS108において検出した第1検出回転数が、ステップS109において検出した第2検出回転数より大きくないと判断した場合、制御部7はステップS102に戻り、制御ステップを繰り返すように制御する。すなわち、作業部4の回転数が、過去の回転数より現在の回転数が同じか、これ以上に上昇しているものとして判断して、ステップS102に戻って再度制御を繰り返すのである。
【0069】
ステップS102において、制御部7が第1回転数比較の結果、第1検出回転数が第2検出回転数より大きくないと判断した場合、制御部7はステップS111に移行させる。すなわち、作業部4に負荷等がなく、過去の回転数より現在の回転数が同じか、これ以上に上昇しているものと判断して、ステップS111に移行する。
【0070】
ステップS111では、ステップS104の第1回転数比較の結果に基づいて、駆動装置56を動作させて、開閉カバー54の遮蔽位置側への回動を開始させる。つまり開閉カバーを閉じる。次いで制御部7は、制御をステップS112に移行させる。
【0071】
ステップS112で制御部7は、ステップS111で駆動装置56の動作を開始した時点から経過した時間である経過時間が、設定された時間である設定時間を超過したかを判断する。制御部7によって、駆動装置56の動作開始からの経過時間が設定時間に満たないと判断された場合は、ステップS102に戻り、制御ステップを繰り返す。制御部7によって、駆動装置56の動作開始からの経過時間が設定時間を超過したと判断された場合は、ステップS113に移行させる。
【0072】
ステップS113に移行すると、制御部7は駆動装置56の動作を停止させる。つまり、開閉カバー54の遮蔽位置側への回動を停止させる。次いで、ステップS114に移行する。
【0073】
ステップS114で、回転センサ74の検出時間である第1時間の間に、回転センサ74がパルス計測を行うとともに第1回転信号として制御部7に送信する。制御部7は、第1回転信号を受領すると、第1時間の回転数である第1検出回転数として認識する。
【0074】
ステップS114が終了すると、ステップS115に移行する。ステップS115は、回転センサ74の検出時間である第2時間の間に、回転センサ74がパルス計測を行うとともに第2回転信号として制御部7に送信する。制御部7は、第2回転信号を受領すると、第2時間の回転数である第2検出回転数として認識する。また、図9に示す制御フローから、第1検出回転数は第2検出回転数より過去に測定したもの、とも言える。
【0075】
ステップS115が終了すると、ステップS116に移行する。ステップS116で制御部7は、ステップS114及びステップS115において回転センサ74が計測した第1検出回転数と第2検出回転数とを比較演算する。このステップS116での比較演算を第3回転数比較と呼称する。第3回転数比較の結果、ステップS114において検出した第1検出回転数が、ステップS115において検出した第2検出回転数より大きくないと判断した場合、制御部7はステップS114に戻り、制御ステップを繰り返す。すなわち、作業部4に負荷等がなく、過去の回転数より現在の回転数が同じかこれ以上に上昇しているものとして判断して、ステップS114に戻って制御を繰り返すのである。
【0076】
上記ステップS116での第3回転数比較の結果、ステップS114において検出した第1検出回転数が、ステップS115において検出した第2検出回転数より大きいと判断した場合、制御部7はステップS102に戻り、制御ステップを繰り返すように制御する。すなわち、作業部4の回転数が負荷等によって、過去の回転数より現在の回転数が低下しているものとして判断して、ステップS102に戻って再度制御を繰り返すのである。
【0077】
ステップS110での第2回転数比較及びステップS116での第3回転数比較は、ステップS104の第1回転数比較と同様の判断のステップを踏むものの、比較演算の結果で判断した先の制御ステップの進め方が異なる。第1回転数比較が終了後、制御部7はすぐに、開閉カバー54を開放位置側又は遮蔽位置に回動させるべく駆動装置56を動作させるが、第2回転数比較及び第3回転数比較の終了後は、すぐに駆動装置56を動作させない。
【0078】
具体的には、第1回転数比較で第1検出回転数が第2検出回転数より大きいと判断した場合に、開閉カバーを開放位置側に回動させるべく駆動装置56を動作させる。この第1回転数比較に対し、第2回転数比較では再度検出した第1検出回転数が第2検出回転数より大きいと判断した場合に、駆動装置56を動作させずに再度第2回転数比較を繰り返すことで、駆動装置56の動作を待機状態にさせる。同様に、第1回転数比較で第1検出回転数が第2検出回転数より大きくないと判断した場合に、開閉カバーを遮蔽位置側に回動させるべく駆動装置56を動作させる。この第1回転数比較に対し、第3回転数比較では再度検出した第1検出回転数が第2検出回転数より大きくないと判断した場合に、駆動装置56を動作させずに再度第3回転数比較を繰り返すことで、駆動装置56の動作を待機状態にさせる。
【0079】
つまり、制御部7は、第1回転数比較の後に、再度、類似の判断となる第2回転数比較及び第3回転数比較を実施し、第2回転数比較及び第3回転数比較の結果が第1回転数比較の結果と異なる結果になるまで、第2回転数比較及び第3回転数比較を繰り返して駆動装置56を待機状態にすることができる。第2回転数比較及び第3回転数比較の結果が第1回転数比較の結果と異なる結果となった場合は、改めて第1回転数比較を行って駆動装置56を動作させる。
【0080】
第2回転数比較及び第3回転数比較を行うことによって、第1回転数比較による駆動装置56の動作及びこの停止後に、すぐに駆動装置56が再動作することを防ぐことができる。つまり、第1回転数比較の結果に基づいて開閉カバー54を開放位置側に回動させた後に、堆積物T等による作業部4への回転負荷が解消され、作業部4の回転軸41の回転数が維持状態あるいは上昇状態に移行しないと、駆動装置56を動作させるための制御ステップに進めないようになっている。したがって、開閉カバー54が開放位置側に回動し、隙間Hを確保した状態で、堆積物Tがカバー部5内から排出され、堆積物Tによる作業部4へ回転負荷が解除されない限り、駆動装置56は待機状態を維持するのである。また、この待機状態のときに、作業部4の回転軸41の回転数の変化が起きた都度、即時開閉カバー54を動作させることができる。
【0081】
また、第1回転数比較の結果に基づいて開閉カバー54を遮蔽位置側に回動させた後も同様に、堆積物T等によって作業部4への回転負荷が増大することで、作業部4の回転軸41の回転数が低下し続ける状態に移行しないと、駆動装置56を動作させるための制御ステップに進めないようになっている。したがって、開閉カバー54が遮蔽位置側に回動した状態で、堆積物Tがカバー部5内に滞留して回転軸4へ回転負荷が増加しない限り、駆動装置56は待機状態を維持する。また、この待機状態のときに、作業部4の回転軸41の回転数の変化が起きた都度、即時開閉カバー54を動作させることができる。
【0082】
第2回転数比較及び第3回転数比較の演算結果が、第1回転数比較の演算結果と異なる結果になるまで駆動装置56を待機状態にするので、駆動装置56が頻繁に繰り返し動作を続けることを防ぐことができる。
【0083】
回転センサ74を用いた駆動装置56の動作は、予め設定された動作時間のみで動作するように、極めて単純化している。駆動装置56の動作時間を任意の時間に決めることで、開閉カバー54の開放位置の角度を変更することができる。駆動装置56の動作に係る装置及び部材を可能な限り省略でき、駆動装置56の周辺部品での不具合が発生するリスクを可能な限り抑制できる。
【0084】
以上、説明したように、荷重センサ72又は回転センサ74を用いて、作業部4の後方に位置する開閉カバー54の回動を制御部7で制御する。これにより、所要動力及びこの伝動部材を強力なものにせずとも、カバー部5内の押圧状態や、作業部4に係る負荷の状態を検出し、制御部7の判断のもと開閉カバー54が動作する。したがって、刈り取った草を拡大した隙間Hからスムーズに排出することで、カバー部5内の堆積物Tによる不都合がなく草刈作業の続行が可能となる。
【0085】
また、例示においては、サポート部材57やゲージ部6があるものとして説明したが、これらの部材がなくても、荷重センサ72又は回転センサ74による開閉カバー54の動作は可能である。また、説明において、理解しやすくするために、荷重センサ72と、回転センサ74を用いた動作を、それぞれ別の動作フローとして説明したが、荷重センサ72と、回転センサ74を同時に使用した制御で開閉カバー54動作させてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 草刈作業機
2 フレーム部
24 側板
3 変速部
33 第1プーリ
34 第2プーリ
35 伝動ベルト
4 作業部
41 回転軸
42 刈刃
5 カバー部
51 刈刃カバー
54 開閉カバー
55 ヒンジ
56 駆動装置
57 サポート部材
71 制御部
72 荷重センサ
74 回転センサ
G 地面
H 隙間
Ha 隙間
T 堆積物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9