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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055407
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】照明装置および照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20220401BHJP
   H05B 47/175 20200101ALI20220401BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/175
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162816
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 有輝
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA28
3K273RA17
3K273SA21
3K273SA37
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA29
3K273TA41
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA55
3K273TA64
3K273TA66
3K273UA15
3K273UA22
3K273VA02
(57)【要約】
【課題】照明器具を的確に点灯させることができる照明装置および照明システムを提供する。
【解決手段】照明装置は、光源と、カメラと、送信部とを具備する。カメラは、照射対象物を含む領域のデータを取得する。送信部は、カメラで取得されたデータに含まれる領域を複数の領域に区画した領域のうち照射対象物が含まれる領域と、カメラで取得されたデータから推定される照射対象物の方向と、を用いて推定される対象物の移動方向に位置する照明器具に対する動作指示を送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と;
照射対象物を含む領域のデータを取得するカメラと;
前記カメラで取得されたデータに含まれる領域を複数の領域に区画した領域のうち前記照射対象物が含まれる領域と、前記カメラで取得されたデータから推定される前記照射対象物の方向とを用いて推定される前記照射対象物の移動方向に位置する照明器具に対する動作指示を送信する送信部と;
を具備する照明装置。
【請求項2】
前記送信部から送信される前記動作指示を受信する照明器具が発信する発信情報を取得する取得部と;
前記送信部が送信した前記動作指示を記憶する記憶部と;
を具備する請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記照射対象物が所定の位置を通過した場合に、前記所定の位置を照明する照明器具に対し、消灯を指示する動作指示を送信する
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
光源をそれぞれ有する複数の照明器具と;
照射対象物を含む領域のデータを取得するカメラと;
前記カメラで取得されたデータに含まれる領域を複数の領域に区画した領域のうち前記照射対象物が含まれる領域と、前記カメラで取得されたデータから推定される前記照射対象物の方向と、を用いて前記照射対象物の移動方向を推定する判別部と;
前記複数の照明器具のうち、前記判別部が推定した前記移動方向に対応付けられた照明器具に対する動作指示を示す指示情報を送信する送信部と;
を具備する照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明装置および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人感センサにより予測した人の移動方向に応じて、複数の照明器具をグループごとに制御する照明システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-216356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような照明システムでは、電力消費を低減する観点から対象物の移動に応じて照明器具を的確に点灯させることが求められている。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、照明器具を的確に点灯させることができる照明装置および照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る照明装置は、光源と、カメラと、送信部とを具備する。カメラは、照射対象物を含む領域のデータを取得する。送信部は、カメラで取得されたデータに含まれる領域を複数の領域に区画した領域のうち照射対象物が含まれる領域と、カメラで取得されたデータから推定される照射対象物の方向と、を用いて推定される照射対象物の移動方向に位置する照明器具に対する動作指示を送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、照明器具を的確に点灯させることができる照明装置および照明システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る照明システムの概要を示す説明図である。
図2図2は、実施形態に係る照明装置の一例を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る照明装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、領域情報に基づいて区画された複数の領域の一例を示す図である。
図5図5は、接続機器情報の一例を示す図である。
図6図6は、動作情報の一例を示す図である。
図7図7は、画像に映り込む対象物画像の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る照明装置が実行する制御処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る照明装置および照明システムを説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する照明装置および照明システムは、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。
【0010】
以下に説明する実施形態に係る照明装置1は、光源31と、カメラ21と、送信部(通信部10)とを具備する。カメラ21は、照射対象物(対象物3)を含む領域のデータを取得する。送信部は、カメラ21で取得されたデータに含まれる領域を複数の領域に区画した領域のうち照射対象物が含まれる領域と、カメラ21で取得されたデータから推定される照射対象物の方向と、を用いて推定される照射対象物の移動方向に位置する照明器具1Aに対する動作指示を送信する。
【0011】
以下に説明する実施形態に係る照明装置1は、取得部(通信部10)と記憶部60とを具備する。取得部は、送信部(通信部10)から送信される動作指示を受信する照明器具が発信する発信情報を取得する。記憶部60は、送信部が送信した動作指示を記憶する。
【0012】
以下に説明する実施形態に係る送信部(通信部10)は、照射対象物(対象物3)が所定の位置を通過した場合に、所定の位置を照明する照明器具1Aに対し、消灯を指示する動作指示を送信する。
【0013】
以下に説明する実施形態に係る照明システム100は、複数の照明器具1Aと、カメラ21と、判別部43と、送信部(通信部10)とを具備する。複数の照明器具1Aは、光源をそれぞれ有する。カメラ21は、照射対象物(対象物3)を含む領域のデータを取得する。判別部43は、カメラ21で取得されたデータに含まれる領域を複数の領域に区画した領域のうち照射対象物が含まれる領域と、カメラ21で取得されたデータから推定される照射対象物の方向と、を用いて照射対象物の移動方向を推定する。送信部は、複数の照明器具1Aのうち、判別部43が推定した移動方向に対応付けられた照明器具1Aに対する動作指示を示す指示情報64を送信する。
【0014】
[実施形態]
[照明システム]
まず、図1を用いて、実施形態に係る照明システム100の適用例を説明する。図1は、実施形態に係る照明システムの概要を示す説明図である。
【0015】
図1に示す照明システム100は、照明装置1と、照明装置1と相互に通信可能な複数の照明器具1Aとを備える。照明装置1、照明器具1Aは、例えば、廊下などの通路2の天井に設置され、点灯により通路2の床面を照明する照明器具である。また、照明装置1は、自装置の周囲を撮影するカメラを有する。照明装置1は、照明器具1Aに対する動作指示の送信により、照明器具1Aを制御する制御装置である。一方、照明器具1Aは、照明装置1から送信された動作指示に応じて点灯または消灯する光源を有している。
【0016】
図1に示す通路2は、分岐部P0と、第1経路P1と、第2経路P2と、第3経路P3と、第4経路P4とを有する。第1経路P1と第2経路P2とは、分岐部P0を挟んで互いに反対側に延びている。第3経路P3と第4経路P4とは、分岐部P0を挟んで互いに反対側に延びている。また、第3経路P3および第4経路P4は、第1経路P1および第2経路P2が延びる方向と交差する方向に延びている。これにより、図1に示す通路2の第1経路P1~第4経路P4は、分岐部P0を起点としてそれぞれ異なる方向に延びている。
【0017】
第1経路P1~第4経路P4には、照明装置1からの動作指示に応じて同様の動作を行う照明グループG1~G4に属する照明器具1Aが、それぞれ配置されている。すなわち、照明グループG1~G4は、分岐部P0を起点として異なる方向に延びる第1経路P1~第4経路P4を照明する1以上の照明器具1Aをそれぞれ含む。照明グループG1~G4に属する照明器具1Aの数はそれぞれ、第1経路P1~第4経路P4の長さや明るさ、照明器具1Aの間隔等に応じて適宜変更することができる。なお、複数の照明器具1Aは、例えば、各照明器具1Aを個別に点灯させる都度、照明装置1が有するカメラが撮影する画像に基づいて推定される照明器具1Aの配置方向と対応付けることにより、照明グループG1~G4のいずれかに分類することができる。また、照明グループG1~G4の設定は、通路2に設置された照明器具1Aごとに個別に行ってもよい。
【0018】
また、照明装置1は、分岐部P0に取り付けられる。ここで、照明装置1について、図2を用いて説明する。
【0019】
図2は、実施形態に係る照明装置の一例を示す斜視図である。実施形態に係る照明装置1は、天井直付けタイプの照明装置であり、いわゆるベースライトである。図2に示す例において、照明装置1は、カメラユニット20と照明ユニット30とを有する。なお、照明装置1は、ベースライトに限られず、シーリングライトやダウンライト、スポットライトなどであってもよい。
【0020】
カメラユニット20は、所定範囲の通路2、具体的には、分岐部P0を撮影する撮影装置である。照明ユニット30は、光源の点灯により所定範囲の通路2を照明する照明装置である。なお、カメラユニット20が撮影する範囲と、照明ユニット30が照明する範囲は一致しなくてもよい。また、カメラユニット20は照明ユニット30と一体に配設されていなくてもよく、カメラユニット20と照明ユニット30との間に空間を設けて配設されてもよい。
【0021】
図1に示した照明システム100は、カメラユニット20が撮影する画像に通路2を移動する対象物3(照明対象物)が映り込んだ場合において、画像に映り込む対象物3の位置および移動方向に基づいて、対象物3が移動する方向に位置する照明器具1Aを判断し、各照明器具1Aに対する動作指示を決定し、各照明器具1Aに対する動作指示を示す指示情報を送信する。このように、照明システム100によれば、照明装置1と相互に通信する照明器具1Aを的確に点灯させることができる。以下、実施形態に係る照明装置1について、詳細に説明する。
【0022】
[照明装置の構成]
次に、照明装置1の構成例について説明する。図3は、実施形態に係る照明装置の構成を示すブロック図である。図3に示すように、照明装置1は、通信部10と、カメラユニット20と、照明ユニット30と、画像処理ユニット40と、制御ユニット50と、記憶部60とを有する。なお照明器具1Aは、少なくとも通信部10、照明ユニット30、制御ユニット50を備えている。照明器具1Aは、カメラユニット20、画像処理ユニット40、記憶部60は備えていても、備えていなくてもよい。
【0023】
通信部10は、照明器具1Aとの間で情報の送受信をそれぞれ行う。通信部10は、例えば、所定の通信回路またはNIC(Network Interface Card)等によって実現される。照明装置1と照明器具1Aとの通信方式は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)などの無線通信であってよい。なお、照明装置1と照明器具1Aとの通信方式は、任意の通信方式であってよく、例えば、有線通信、赤外線通信等であってもよい。
【0024】
通信部10は、照明器具1Aがそれぞれ発信する発信情報を取得する。通信部10が取得する発信情報は、例えば、照明装置1に接続された機器である複数の照明器具1Aに関する情報(接続機器情報)である。また、通信部10は、照明装置1の動作指示に関する指示情報を取得してもよい。通信部10は、取得部の一例である。
【0025】
また、通信部10は、照明器具1Aに対する動作指示を示す指示情報64を送信する。例えば、通信部10は、照明グループG1~G4のうち、いずれかに属する照明器具1Aに対し、消灯→点灯を指示する指示情報を送信する。また、通信部10は、照明グループG1~G4のうち、いずれかに属する照明器具1Aに対し、点灯→消灯を指示する指示情報を送信する。また、照明装置1は、照明グループG1~G4のうち、いずれかに属する照明器具1Aに対し、消灯→消灯を指示する指示情報を送信してもよい。通信部10は、送信部の一例である。
【0026】
カメラユニット20は、カメラ21と、カメラ制御部22と、記憶部23とを有する。カメラ21は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)など、電子的に画像を取得する撮像素子を備え、所定の画角を撮影してデータを生成する。なお、カメラユニット20で生成されるデータは、静止画データであっても、動画データであってもよい。
【0027】
カメラ制御部22は、カメラ21による撮影を制御する。また、カメラ制御部22は、カメラ21の撮影により生成した画像データを画像処理ユニット40に出力する。
【0028】
記憶部23は、カメラユニット20の各種制御を実現するためのプログラムやデータを記憶する。記憶部23は、カメラ21が撮影した画像、またはカメラ21の撮影により生成した画像データを記憶してもよい。記憶部23は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実装される。なお、この記憶部23は、後述する記憶部60に設けられていてもよい。
【0029】
照明ユニット30は、光源31と、照明制御部32とを有する。光源31は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子を有する。光源31は、照明制御部32から出力された制御信号に応じた態様で点灯または消灯する。
【0030】
照明制御部32は、光源31の点灯および消灯を制御する。照明制御部32は、後述する取得部51が取得した情報に基づく制御信号を出力し、消灯する光源31を点灯し、あるいは点灯する光源を消灯する。光源31の調光が可能な照明ユニット30の場合、照明制御部32は、光源31の調光度を制御してもよい。
【0031】
なお、照明ユニット30は記憶部33を備えていてもよく、この場合、記憶部33は、例えば、照明ユニット30の各種制御を実現するためのプログラムやデータを記憶する。記憶部33は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実装される。なお、この記憶部33は、後述する記憶部60に設けられていてもよい。
【0032】
記憶部60は、画像処理ユニット40および制御ユニット50の各種制御を実現するためのプログラムを記憶する。記憶部60は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部60には、領域情報61、接続機器情報62、動作情報63、指示情報64が記憶される。
【0033】
領域情報61は、画像処理ユニット40の区画部41で区画する複数の領域の位置および範囲に関する情報である。領域情報61は、例えば、撮影対象となる通路2の座標に関する情報を含んでもよい。区画部41は、領域情報61に基づいて、カメラ21で撮影された画像24を、複数の領域に区画することができる。ここで、領域情報61に基づいて区画された複数の領域について、図4を用いて説明する。
【0034】
図4は、領域情報に基づいて区画された複数の領域の一例を示す図である。図4は、例えば、カメラユニット20で生成された画像データである。図4では、画像24を4分割した部分24a~24dのうち、隣り合う2つの部分を1つの領域とする4つの領域R01~R04に区画している。具体的には、区画部41は、部分24a,24bからなる領域R01と、部分24c,24dからなる領域R02と、部分24a,24dからなる領域R03と、部分24b,24cからなる領域R04とに画像24を区画する。なお、区画部41が区画する領域の数、配置および形状は、図示した例に限られない。例えば、照明装置1が設置された分岐部P0を起点として延びる経路の数に応じて画像24を区画してもよい。また、画像24は、複数の領域のいずれにも属しない部分を有してもよい。
【0035】
接続機器情報62は、照明装置1に接続された機器である複数の照明器具1Aに関する情報である。図5は、接続機器情報の一例を示す図である。
【0036】
図5に示すように、接続機器情報62には、例えば、「Macアドレス」、「番号」、「強度」および「グループ」が含まれる。「Macアドレス」は、照明装置1に接続されている複数の照明器具1Aを識別するための識別情報を示す。「番号」は、装置間の通信に割り当てられたチャンネル番号を示す。「強度」は、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)であり、照明器具1Aがそれぞれ発信する発信情報を受信する強度を示す。「グループ」は、照明器具1Aが属する照明グループを示す。なお、接続機器情報62には、自装置である照明装置1の機器情報が含まれてもよい。
【0037】
動作情報63は、照明装置1に接続されている照明器具1Aに対する動作指示に関する情報である。図6は、動作情報の一例を示す図である。
【0038】
図6に示すように、動作情報63は、対象物3が映り込んでいると抽出部42が特定した「領域」、判別部43が判別した対象物3の「移動方向」および照明器具1Aに対する「動作指示」を対応付けたものである。
【0039】
指示情報64は、照明器具1Aに対する動作指示を示す情報である。照明装置1は、照明器具1Aに対する動作指示を送信するとともに、記憶部60に指示情報64を記憶させる。なお、指示情報64は、接続機器情報62と対応付けて記憶部60に記憶させてもよい。
【0040】
画像処理ユニット40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部メモリに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、画像処理ユニット40は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0041】
画像処理ユニット40は、カメラユニット20で撮影された画像を処理する。画像処理ユニット40は、区画部41と、抽出部42と、判別部43と、決定部44とを有する。
【0042】
区画部41は、カメラ21で撮影された画像を、複数の領域に区画する。区画部41は、記憶部60に記憶された領域情報61に基づいて画像24を区画する(図4参照)。
【0043】
抽出部42は、カメラ21で撮影された画像24に映り込む対象物3を抽出する。抽出部42は、例えば、カメラユニット20からの入力画像を画像処理した結果に基づき、画像24に映り込む対象物3を認識する。抽出部42は、認識部の一例である。抽出部42による対象物3の認識処理には、任意の画像認識処理を適用することができる。抽出部42は、例えば、エッジAI(Artificial Intelligence)などの学習モデルを利用して対象物3を認識してもよい。かかるエッジAIは、例えば、照明装置1に内蔵されていてもよく、照明装置1に接続されたエッジサーバを備えてもよい。
【0044】
抽出部42が認識する対象物3は、例えば、通路2を移動する人および動物である。また、対象物3は、通路2を自律的に移動するロボットその他の移動体を含んでもよい。
【0045】
また、抽出部42は、区画部41が処理した複数の領域のうち、認識部としての抽出部42が認識した対象物3が映り込む領域を特定する。抽出部42は、特定部の一例である。抽出部42は、対象物3と特定された部分の全面積のうち50%超、例えば、75%以上が位置する領域を、対象物3が映り込む領域と特定する。
【0046】
なお、抽出部42は、複数の領域を特定してもよい。例えば、図4に示す画像24の部分24aに対象物3が映り込んでいる場合、抽出部42は、領域R01,R03に対象物3が映り込んでいると特定することができる。
【0047】
図7は、画像に映り込む対象物画像の一例を示す図である。図7に示すように、画像24には、通路2の分岐部P0を移動する照射対象物としての対象物3(図1参照)を撮影した対象物画像3Aが含まれており、抽出部42は、対象物画像3Aの有無に基づいて画像24に映り込む対象物3を認識する。
【0048】
また、抽出部42は、対象物3が、画像24の領域R01~R04のうち、どの領域に映り込んでいるかを特定する。図7に示す例では、対象物画像3Aは、領域R01に位置している。このため、抽出部42は、対象物3が領域R01に映り込んでいると特定する。
【0049】
判別部43は、抽出部42が認識した対象物3の方向を判別する。ここでの対象物3の方向とは、例えば、対象物3の向きであったり、対象物3の移動方向であったりする。対象物3の向きや移動方向は、画像に映り込む対象物3のベクトルに基づいて判別することができる。判別部43による移動方向の判別処理には、任意の画像認識処理を適用することができる。例えば、1枚の画像ないし時間を空けて撮影した複数の画像から対象物3のベクトルを推定することで対象物3の向きや移動方向を推定してもよいし、対象物3の体のパーツ(顔、体、手、足など)の向きから対象物3のベクトルを推定することで対象物3の向きや移動方向を推定してもよい。また、判別部43は、例えば、エッジAIなどの学習モデルを利用して対象物3の移動方向を判別してもよい。かかるエッジAIは、例えば、照明装置1に内蔵されていてもよく、照明装置1に接続されたエッジサーバを備えてもよい。
【0050】
図7に示す例では、判別部43は、対象物3の移動方向が、方向D01~D04のうち、いずれに該当するかを判別する。ここで、方向D01は、図1に示す照明グループG1に属する照明器具1Aが配置された第1経路P1に向かう第1方向である。同様に、方向D02は、照明グループG2に属する照明器具1Aが配置された第2経路P2に向かう第2方向である。方向D03は、照明グループG3に属する照明器具1Aが配置された第3経路P3に向かう第3方向である。方向D04は、照明グループG4に属する照明器具1Aが配置された第4経路P4に向かう第4方向である。このように、判別部43は、照明グループG1~G4に対応付けて方向D01~D04を判別することができる。
【0051】
決定部44は、照明装置1に接続されている照明器具1Aに対する動作指示を決定する。決定部44は、例えば、対象物3が映り込んでいると抽出部42が特定した領域と、判別部43が判別した対象物3の移動方向との組に対応付けられた照明器具1Aに対する動作指示を決定する。決定部44は、記憶部60に予め記憶された動作情報63(図1図6参照)に基づいて動作指示を決定することができる。なお、決定部44は、動作情報63により学習されており、決定部44が動作指示を判断してもよい。
【0052】
例えば、「領域」がR01、「移動方向」がD01のとき、決定部44は、照明グループG1に対し、照明器具1Aを点灯する「動作指示」を行うと決定する。同様に、「領域」がR2、「移動方向」がD02のとき、決定部44は、照明グループG2に対し、照明器具1Aを点灯する「動作指示」を行うと決定する。
【0053】
このように、決定部44は、対象物3の移動方向だけではなく、さらに対象物3が位置する領域に応じて照明器具1Aに対する動作指示を決定する。これにより、対象物3の移動に応じて照明器具1Aを的確に点灯させることができる。例えば、領域R02に位置する対象物3の移動方向で動作指示を決定した場合、領域R01で決定するときと比べて対象物3が進行方向を変更する可能性が高いため、動作指示を決定した方向に対象物3が向かわないケースが存在する。
【0054】
なお、図6に示した例では、「動作指示」は照明器具1Aの点灯指示であるとして説明したが、これに限らず、消灯指示を含んでもよい。また、「動作指示」が、自装置である照明装置1が有する照明ユニット30の点灯、消灯、または調光率の変更に関する制御指示を含んでもよい。
【0055】
制御ユニット50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部メモリに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御ユニット50は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0056】
制御ユニット50は、照明装置1に接続されている複数の照明器具1Aに対する動作指示を行う。制御ユニット50は、照明装置1のカメラユニット20および/または照明ユニット30に対する動作指示を行う。
【0057】
制御ユニット50は、通信部10が照明器具1Aから取得した発信情報を記憶部60に記憶させる。また、制御ユニット50は、照明装置1の動作指示に関する指示情報を記憶部60に記憶させてもよい。
【0058】
制御ユニット50は、照明器具1Aに対する動作指示を示す指示情報64を、通信部10を介して送信させる。また、制御ユニット50は、照明装置1のカメラユニット20および/または照明ユニット30に対する制御信号を出力する。また、制御ユニット50は、指示情報64を記憶部60に記憶させてもよい。これにより、照明装置1は、照明システム100に属する複数の照明器具1Aに対する指示内容を一括して把握することができる。
【0059】
なお、制御ユニット50が行う処理の一部または全部を画像処理ユニット40が実行してもよく、画像処理ユニット40が有する各処理部の一部または全部を制御ユニット50が有してもよい。
【0060】
[照明装置が実行する制御処理]
図8は、実施形態に係る照明装置が実行する制御処理の一例を説明する図である。図8では、図1に示す照明システム100において、照明グループG4に属する照明器具1Aが点灯する通路2の第4経路P4に位置する対象物3が、分岐部P0に向かって移動する場合を例に挙げて説明する。
【0061】
第4経路P4を移動する対象物3が分岐部P0に到達すると、対象物3は、照明装置1のカメラユニット20(図1図3参照)が撮影する画像に映り込む。照明装置1は、カメラユニット20(図1図3参照)が撮影した画像を処理し、照明装置1に接続された照明器具1Aに対する指示情報を送信する。
【0062】
具体的には、照明装置1は、照明グループG1に属する照明器具1Aに対し、消灯→点灯を指示する指示情報を送信する。また、照明装置1は、照明グループG4に属する照明器具1Aに対し、点灯→消灯を指示する指示情報を送信する。なお、照明装置1は、照明グループG2、G3に属する照明器具1Aに対し、消灯→消灯を指示する指示情報を送信してもよく、指示情報を送信しなくてもよい。
【0063】
このように、実施形態に係る照明装置1は、複数の照明器具1Aのうち、照明装置1が推定した対象物3の移動に応じて照明器具1Aを的確に点灯させることができる。
【0064】
以上説明したように、実施形態に係る照明装置1は、光源31と、カメラ21と、送信部(通信部10)とを具備する。カメラ21は、照射対象物(対象物3)を含む領域のデータを取得する。送信部は、カメラ21で取得されたデータに含まれる領域を複数の領域に区画した領域のうち照射対象物が含まれる領域と、カメラ21で取得されたデータから推定される照射対象物の方向と、を用いて推定される照射対象物の移動方向に位置する照明器具に対する動作指示を送信する。これにより、対象物3の移動に応じて照明器具1Aを的確に点灯させることができる。
【0065】
また、実施形態に係る照明装置1は、取得部(通信部10)と記憶部60とを具備する。取得部は、送信部から送信される動作指示を受信する照明器具1Aが発信する発信情報を取得する。記憶部60は、送信部が送信した動作指示を記憶する。これにより、照明器具1Aに対する指示情報を把握しやすくなる。
【0066】
また、実施形態に係る照明システム100は、複数の照明器具1Aと、カメラ21と、判別部43と、送信部(通信部10)とを具備する。複数の照明器具1Aは、光源をそれぞれ有する。カメラ21は、照射対象物(対象物3)を含む領域のデータを取得する。判別部43は、カメラ21で取得されたデータに含まれる領域を複数の領域に区画した領域のうち照射対象物が含まれる領域と、カメラ21で取得されたデータから推定される照射対象物の方向と、を用いて照射対象物の移動方向を推定する。送信部は、複数の照明器具1Aのうち、判別部43が推定した移動方向に対応付けられた照明器具1Aに対する動作指示を示す指示情報64を送信する。これにより、対象物3の移動に応じて照明器具1Aを的確に点灯させることができる。
【0067】
[変形例]
上記した実施形態では、照明装置1がカメラユニット20を有するとして説明したが、これに限らず、照明装置1とは別体のカメラユニット20を有してもよい。かかる場合、画像処理ユニット40は、カメラユニット20を有する撮像装置(不図示)が有してもよい。また、画像処理ユニット40の一部を照明装置1が有してもよい。
【0068】
また、上記した実施形態では、照明装置1が有するカメラ21は自装置の周囲を撮影するとして説明したが、これに限らず、通路2上の所定の位置を撮影してもよい。また、カメラ21が撮影する所定の位置を対象物3が通過したことを照明装置1が認識した場合に、照明装置1(送信部52)は、所定の位置を照明する照明器具1Aに対し、消灯を指示する指示情報64を送信してもよい。これにより、対象物3の移動に応じて照明器具1Aを的確に点灯させることができる。なお、所定の位置を対象物3が通過してから、所定の位置を照明する照明器具1Aを消灯するまでに、所定の時間差(例えば、5秒)を有してもよい。
【0069】
また、上記した実施形態では、照明システム100は、照明装置1と、照明装置1と相互に通信可能な複数の照明器具1Aとを備えるとして説明したが、これに限られない。照明システム100は、例えば、照明装置1との通信は行わず、照明器具1Aからの制御信号に応じて点灯および消灯する照明器具を有してもよい。
【0070】
また、実施形態に係る照明システム100は、複数の照明装置1を有してもよい。例えば、照明システム100が複数の分岐部P0を有する場合、分岐部P0ごとに照明装置1を配置してもよい。また、照明システム100を適用する通路2が、例えば、フロアに設けられた1または複数の部屋をつなぐ廊下である場合、廊下に面した部屋の出入口ごとに照明装置1を有してもよい。これにより、対象物3の移動に応じて照明器具1Aを的確に点灯させることができる。
【0071】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 照明装置
1A 照明器具
10 通信部
20 カメラユニット
30 照明ユニット
41 区画部
42 抽出部
43 判別部
44 決定部
50 制御ユニット
61 領域情報
62 接続機器情報
63 動作情報
64 指示情報
100 照明システム
図1
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