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▶ 内田 正治の特許一覧

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  • 特開-健康食品及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055422
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】健康食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20220401BHJP
   C12P 1/00 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
A23L33/10
C12P1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162834
(22)【出願日】2020-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】505209924
【氏名又は名称】内田 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】内田 正治
【テーマコード(参考)】
4B018
4B064
【Fターム(参考)】
4B018MD79
4B018MD91
4B018ME02
4B018MF13
4B064CA01
4B064CB01
4B064CD22
4B064DA10
(57)【要約】
【課題】カネノナルキの抽出物を含む健康食品の味を摂取しやすいものに改善する。
【解決手段】本発明に係る健康食品は、カネノナルキの抽出物と甘味成分を有する補助食品との混合液からなる。好ましくは、前記混合液には、微生物と前記甘味成分を有する糖類とが含まれており、前記微生物に前記糖類を分解させることにより前記混合液を発酵させる。本発明に係る健康食品の製造方法は、カネノナルキの抽出物、甘味成分を有する補助食品である糖類、及び微生物を混合して混合液を生成する混合工程と、前記混合液を常温で放置することにより発酵させる発酵工程とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カネノナルキの抽出物と甘味成分を有する補助食品との混合液からなることを特徴とする健康食品。
【請求項2】
前記混合液には、微生物と前記甘味成分を有する糖類とが含まれており、
前記微生物に前記糖類を分解させることにより前記混合液を発酵させることを特徴とする請求項1に記載の健康食品。
【請求項3】
カネノナルキの抽出物、甘味成分を有する補助食品である糖類、及び微生物を混合して混合液を生成する混合工程と、
前記混合液を常温で放置することにより発酵させる発酵工程とを備えることを特徴とする健康食品の製造方法。











【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康食品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カネノナルキの使用方法としては、下記特許文献1に記載のように、カネノナルキの抽出物を皮膚外用剤として使用することが知られている。その一方、本発明者は、カネノナルキを育てた経験によりカネノナルキの再生力及び生命力の強さに着目し、カネノナルキの抽出物を健康食品として利用することを検討した。しかし、本発明者がカネノナルキの抽出物を実際に摂取してみると強い渋味を感じたため、カネノナルキの抽出物を含む健康食品の味を摂取しやすいものに改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3987793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、カネノナルキの抽出物には渋味の他に酸味があるという知見を得た。本発明は、この知見に基づいてなされたものであり、カネノナルキの抽出物を含む健康食品の味を摂取しやすいものに改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一項目に係る健康食品は、カネノナルキの抽出物と甘味成分を有する補助食品との混合液からなるものである。この第一項目によれば、カネノナルキの抽出物の渋味及び酸味と補助食品の甘味とを合わせ、この混合液全体の味を甘酸っぱく摂取しやすいものに改善することができる。
【0006】
本発明の第二項目に係る健康食品は、前記混合液に微生物と前記甘味成分を有する糖類とが含まれており、前記微生物に前記糖類を分解させることにより前記混合液を発酵させるものである。この第二項目によれば、この混合液全体の味をさらに甘酸っぱくすることができ、かつ、この混合液におけるカネノナルキの抽出液に起因する渋味を緩和することができる。つまり、上記第一項目に係る健康食品の味をより摂取しやすいものに改善することができる。
【0007】
本発明の第三項目に係る健康食品の製造方法は、カネノナルキの抽出物、甘味成分を有する補助食品である糖類、及び微生物を混合して混合液を生成する混合工程と、前記混合液を常温で放置することにより発酵させる発酵工程とを備えるものである。この第三項目によれば、この混合液を容易に発酵させて健康食品の渋味を緩和することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、カネノナルキの抽出物を含む健康食品の味を摂取しやすいものに改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る健康食品の試験例を示す写真である。
図2】本発明の一実施形態に係る健康食品の試験例を示す写真である。
図3】本発明の一実施形態に係る健康食品の試験例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る健康食品について説明する。以下の説明において、カネノナルキとは、「学名:Crassula ovata」、「学名:Crassula portulacea」、及び「学名:Crassula argentea」を意味する。この健康食品は、カネノナルキの抽出物、甘味成分を有する補助食品である糖類、及び微生物を含む混合液からなる飲料である。この健康食品は、微生物に糖類の一部を分解させることにより混合液を発酵させたものである。
【0011】
カネノナルキの抽出物は、渋味及び酸味を有するものである。この抽出物としては、例えば、カネノナルキの葉から抽出した抽出液を使用することができる。糖類としては、例えば、ブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)を使用することができる。微生物としては、例えば、酵母、麹菌、乳酸菌又はコウジ菌等を使用することができる。
【0012】
本発明の一実施形態に係る健康食品の製造方法について説明する。まず、混合工程において、カネノナルキの抽出物、甘味成分を有する補助食品である糖類、及び微生物を混合して混合液を生成する。次に、発酵工程において、この混合液を常温で1日以上放置することにより発酵させる。そして、この混合液を発酵させたものを本発明の一実施形態に係る健康食品として利用する。
【0013】
なお、上述した健康食品には、カネノナルキの抽出物、甘味成分を有する補助食品及び微生物とは別の食品を含めることができる。また、上述した健康食品には、カネノナルキの抽出物、甘味成分を有する補助食品が含まれていれば、糖類及び微生物は含まれていなくてもよい。
【0014】
本発明者がカネノナルキの特性に関して得た知見について説明する。本発明者は、カネノナルキが非常に強い再生力及び生命力を有することに気がついた。具体的には、カネノナルキは、一定期間水が供給されなくても、その枝の節から根を生やして栄養分を吸収しようとする。また、カネノナルキの枝から葉が落ちると、この落ちた葉は、その内部から不定根及び不定芽を生やして栄養分を吸収しようとする。そこで、本発明者は、カネノナルキの抽出物は人体の健康に良い影響を与えると推測した。
【0015】
本発明者がカネノナルキの抽出物を含む健康食品に関して得た知見について説明する。本発明者は、カネノナルキの葉から抽出した抽出液(カネノナルキの抽出物)を飲んでみた。しかし、この抽出液は、強い渋味を有していたため飲みにくいものであった。その一方、本発明者は、この抽出液が渋味の他に酸味を有することに気がついた。そこで、本発明者は、この抽出液とハチミツ(甘味成分を有する補助食品である糖類)との混合液(甘味混合液)を飲んでみたところ、甘味混合液は甘酸っぱく飲みやすいものであることに気がついた。
【0016】
さらに、本発明者は、甘味混合液と乳酸菌(微生物)を含む補助食品であるヨーグルトとをビンの内部に添加して混合液(発酵前混合液)を生成し、このビンの内部で発酵前混合液を密閉したまま1日以上常温で放置したところ、この発酵前混合液が発酵したことに気がついた。そして、本発明者は、発酵前混合液が発酵したもの(発酵後混合液)を飲んでみたところ、発酵後混合液が甘味混合液よりも甘酸っぱく、かつ、発酵後混合液の渋味が甘味混合液の渋味よりも緩和されていることに気がついた。なお、カネノナルキの葉から抽出した抽出液、乳酸菌を含む補助食品であるヨーグルトのみを混合して混合液を生成した場合、この混合液を1日以上常温で放置しても発酵しなかった。
【0017】
以上により、本発明者は、カネノナルキの抽出物を含む健康食品の味に関して、次の(1)~(3)の知見を得ることができた。(1)カネノナルキの抽出物と甘味成分を有する補助食品との混合液からなる健康食品によれば、カネノナルキの抽出物の渋味及び酸味と補助食品の甘味とを合わせ、この混合液全体の味を甘酸っぱく摂取しやすいものに改善することができる。(2)前記混合液に微生物と前記甘味成分を有する糖類とを含め、前記微生物に前記糖類を分解させることにより前記混合液を発酵させた健康食品によれば、この混合液全体の味をさらに甘酸っぱくすることができ、かつ、この混合液におけるカネノナルキの抽出液に起因する渋味を緩和することができる。(3)カネノナルキの抽出物、甘味成分を有する補助食品である糖類、及び微生物を混合して混合液を生成する混合工程と、前記混合液を常温で放置することにより発酵させる発酵工程とを備える健康食品の製造方法によれば、この混合液を容易に発酵させて健康食品の渋味を緩和することができる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る健康食品の試験例について説明する。本発明者は、カネノナルキの抽出物が人体の健康に与える影響について試験を行った。この試験は、被験者(本発明者である74歳男性)が健康食品を1回10mlで1日2回飲み続けながら自己の身体症状を観察したものである。
【0019】
試験開始から数ヶ月間(第1の期間)では、被験者は、カネノナルキの葉から抽出した抽出液(カネノナルキの抽出物)、ハチミツ(甘味成分を有する補助食品である糖類)、ニンニク汁、アロエ汁、ショウガ汁、HB-101(株式会社フローラ製)及び養命酒(養命酒製造株式会社製)を同量ずつ混合して得られた混合液(甘味混合液)を健康食品として飲み続けた。
【0020】
この結果、被験者は、自己の身体症状について、次の(1)~(8)の変化を観察した。(1)両足の肌にあった黒ずみの一部が消えた。(2)頭髪の量が増加した上に黒髪の量も増加した。(3)身体中の肌が全体的にきめ細かく綺麗になった。(4)片足立ちの状態を長時間維持することができるようになった。(5)勃起するようになった。(6)残尿感がなくなり尿漏れが緩和された。(7)右目のかすみが消えた。(8)軟便が改善された。
【0021】
上記の第1の期間を経過した後から数ヶ月間(第2の期間)では、被験者は、カネノナルキの葉から抽出した抽出液(カネノナルキの抽出物)、ハチミツ(甘味成分を有する補助食品である糖類)、ニンニク汁、アロエ汁、ショウガ汁、HB-101(株式会社フローラ製)及び養命酒(養命酒製造株式会社製)をそれぞれ750ccずつと、乳酸菌(微生物)を含む補助食品である明治プロビオヨーグルトLG21(株式会社明治製)20gとを混合して混合液を生成し、この混合液を常温で1日以上放置して発酵させたもの(発酵後混合液)を健康食品として飲み続けた。なお、第2の期間においては甘味混合液を飲んでいない。
【0022】
この結果、被験者は、自己の身体症状について上記の(1)~(8)の変化を観察した。さらに、発酵後混合液を飲んでいた期間(第2の期間)においては、甘味混合液を飲んでいた期間(第1の期間)よりも一定期間における上記変化が顕著であった。
【0023】
図1図3に示す写真は、この試験において被験者が甘味混合液及び発酵後混合液をそれぞれ所定期間飲み続けた後(第2の期間の経過後)の被験者の両足を示す写真である。これらの写真は、それぞれ被験者の両足を同時期に別角度から撮影したものである。図1図3における丸印は、この試験を行う前に被験者の両足において黒ずみが生じていた箇所である。被験者は、甘味混合液及び発酵後混合液をそれぞれ所定期間飲み続けたことにより、図1図3に示す丸印の内部における箇所にあった黒ずみが消えていることを観察した。このように、被験者は、上記(1)の変化を観察することができた。
【0024】
上記試験例だけでは、カネノナルキの抽出物が人体の健康にどの程度良い影響を与えるかは定かではない。しかし、本発明者は、上記(1)~(7)の変化が人体の血行促進により生じ得るものであることから、カネノナルキの抽出物が人体の血行を促進させるのではないかと推測している。そして、本発明者は、本発明に係る健康食品が血行促進用及び老化防止用の食品(固形物、飲料)及び内用剤として利用されることを期待している。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2020-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カネノナルキの抽出物と甘味成分を有する補助食品であるハチミツと、乳酸菌との混合液からなることを特徴とする健康食品。
【請求項2】
前記混合液が発酵していることを特徴とする請求項1に記載の健康食品。
【請求項3】
請求項2に記載の健康食品の製造方法であって、
前記混合液を密閉して1日以上常温で放置することにより発酵させることを特徴とする健康食品の製造方法。