(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055434
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】ふとん籠及びふとん籠の吊り上げ方法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/08 20060101AFI20220401BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
E02B3/08 301
E02D17/20 103G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162856
(22)【出願日】2020-09-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和2年7月20日に施工業者にメール添付にて送付した構造図。 (2)令和2年8月3日に施工業者にメール添付にて送付した割付図。 (3)令和2年8月6日に施工業者に手渡した組立説明書。
(71)【出願人】
【識別番号】591083901
【氏名又は名称】共和ハーモテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森谷 完
【テーマコード(参考)】
2D044
2D118
【Fターム(参考)】
2D044DB43
2D118AA28
2D118BA01
2D118CA07
2D118FA06
2D118GA32
2D118GA51
(57)【要約】
【課題】低コストであって施工の手間が少なく、石を積めた後の吊り上げにおいて変形や破壊のないふとん籠を提供する。
【解決手段】本発明のふとん籠は、中詰め材を詰めた後に吊り上げて移動させるふとん籠であって、溶接金網からなる金網パネルを複数組み合わせて略直方体形状に形成されており、前面及び背面を構成する金網は、当該金網の最上部に位置する横方向の鉄線の径が縦方向の鉄線の径よりも大きく、前記前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線は、両端に連結部を備えた補強部材によって底面を構成する金網と連結されており、吊り上げる際には、前記前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線のうち、前記補強部材の前記連結部が連結されている部分の近傍に吊り上げ部材を掛けて吊り上げる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中詰め材を詰めた後に吊り上げて移動させるふとん籠であって、
溶接金網からなる金網パネルを複数組み合わせて略直方体形状に形成されており、
前面及び背面を構成する金網は、当該金網の最上部に位置する横方向の鉄線の径が縦方向の鉄線の径よりも大きく、
前記前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線は、両端に連結部を備えた補強部材によって底面を構成する金網と連結されており、
吊り上げる際には、前記前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線のうち、前記補強部材の前記連結部が連結されている部分の近傍に吊り上げ部材を掛けて吊り上げる、ふとん籠。
【請求項2】
前記前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線の径が縦方向の鉄線の径の1.4倍以上3倍以下である、請求項1に記載されているふとん籠。
【請求項3】
1つの金網パネルを折り曲げて、前記前面と背面と底面とを構成している、請求項1又は2に記載されているふとん籠。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のふとん籠に中詰め材を詰めて吊り上げるふとん籠の吊り上げ方法であって、
溶接金網からなる金網パネルを複数組み合わせて略直方体形状の籠本体を組み立てる工程と、
両端に連結部を備えた補強部材によって、前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線と底面を構成する金網とを連結する工程と、
籠本体の中に中詰め材を詰める工程と、
前記前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線のうち、前記補強部材の前記連結部が連結されている部分の近傍に吊り上げ部材を掛けて吊り上げる工程と
を含む、ふとん籠の吊り上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふとん籠及びふとん籠の吊り上げ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より河川の護岸や斜面の崩落防止のために、内部に石を詰めたいわゆるふとん籠が用いられている。ふとん籠は金網を組み合わせて箱状とし、石詰めをした後に蓋を被せて形成される。
【0003】
通常の護岸工事や道路工事等においてふとん籠を設置する場合は、設置現場においてまず金網を箱状に組み立ててそこに石を入れるという工程で工事が行われる。
【0004】
けれども搬入車両が進入できないような現地では設置現場でのふとん籠の組み立てが困難であり、また、土砂崩れ等の災害によって緊急にふとん籠を設置したい場合は、別の場所で組み立てから石詰めまで行って石詰めしたふとん籠を設置現場まで運び、クレーンで石詰籠を吊り上げて設置するという方法をとることにより、短時間でふとん籠の設置を行っている。例えば道路の脇の斜面にふとん籠を設置する場合、工事のための道路の通行止めをできるだけ短時間にしたいため、このような予め石詰めしたふとん籠を現場に運び込むという方法がとられる。また、設置現場の作業スペースが狭くてふとん籠の組み立てや石詰めが困難な場合等にも同様の方法が行われている。
【0005】
このように石詰め後のふとん籠を吊り上げて移動させて設置する場合、一般的なふとん籠を用いると吊り上げによってふとん籠が変形したり、金網を構成する鉄線の交点の溶接部が破壊されてしまい、土留めや護岸、崩落防止という機能が損なわれてしまうため、ふとん籠に様々な工夫がなされてきた(例えば特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-353353号公報
【特許文献2】特開2013-68007号公報
【特許文献3】特開2016-20581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~3に開示されている技術には種々の問題がある。例えば特許文献1に開示されている技術は、金属製吊下枠部材が底面網及び側面網を囲繞しているものであるが、底面網と側面網とによってかご型のユニットを形成した後に金属製吊下枠部材をかご型ユニットに取り付ける必要があるので、施工コスト・時間が増え、また金属製吊下枠部材にかかるコストが増えてしまう。
【0008】
特許文献2に開示されている技術では、菱形金網製の籠本体の内部に側面網に連結され底面網に掛けられた複数のワイヤーロープにリフト手段を吊り掛けて吊り上げるものであるが、籠本体の内部にワイヤーロープが入っているため石を詰める際にワイヤーロープが邪魔になるとともに、籠が傾かずに吊り上げられるようにワイヤーロープの位置に注意を払いながら石詰めを行う必要があるので、施工コストが増大してしまう。
【0009】
特許文献3に開示されている技術は、籠の内側に棒鋼あるいは鉄線からなる補強枠を複数配置してその補強枠に吊り上げ部材を掛けて吊り上げるものであるが、籠本体の他に補強枠を用意して組立を行うので、施工コスト・時間が増え、また補強枠にかかるコストが増えてしまう。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コストであって施工の手間が少なく、石を積めた後の吊り上げにおいて変形や破壊のないふとん籠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明のふとん籠は、中詰め材を詰めた後に吊り上げて移動させるふとん籠であって、溶接金網からなる金網パネルを複数組み合わせて略直方体形状に形成されており、前面及び背面を構成する金網は、当該金網の最上部に位置する横方向の鉄線の径が縦方向の鉄線の径よりも大きく、前記前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線は、両端に連結部を備えた補強部材によって底面を構成する金網と連結されており、吊り上げる際には、前記前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線のうち、前記補強部材の前記連結部が連結されている部分の近傍に吊り上げ部材を掛けて吊り上げる構成を備えている。ここで、前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線のうち、補強部材の連結部が連結されている部分の近傍に吊り上げ部材を掛ける、とは補強部材の連結部と吊り上げ部材との間に存する縦方向の鉄線の数が1以下であることである。また、鉄線とは、JIS G 3101,JIS G 3112,JIS G 3532、JIS G 3547に記載されている部材である。このような構成により、補強部材によって縦方向の鉄線と最上部に位置する横方向の鉄線との溶接部分が吊り上げる際に破壊されてしまうことを防ぐとともに、吊り上げ時のふとん籠の変形を防ぐことができる。
【0012】
前記前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線の径が縦方向の鉄線の径の1.4倍以上3倍以下であることが好ましい。
【0013】
1つの金網パネルを折り曲げて、前記前面と背面と底面とを構成していてもよい。
【0014】
本発明のふとん籠の吊り上げ方法は、上記のふとん籠を用いており、溶接金網からなる金網パネルを複数組み合わせて略直方体形状の籠本体を組み立てる工程と、両端に連結部を備えた補強部材によって、前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線と底面を構成する金網とを連結する工程と、籠本体の中に中詰め材を詰める工程と、前記前面及び背面を構成する金網において最上部に位置する横方向の鉄線のうち、前記補強部材の前記連結部が連結されている部分の近傍に吊り上げ部材を掛けて吊り上げる工程とを含む構成を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のふとん籠は、前面及び背面の金網の最上部に位置する横方向の鉄線の径を大きくして、その最上部の横方向の鉄線と底面とを補強部材によって連結し、補強部材の近傍において最上部の横方向の鉄線に吊り上げ部材を掛けるように構成されているので、簡単な構造であって且つ低コストで吊り上げ時の変形・破壊を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係るふとん籠の模式的な斜視図である。
【
図2】実施形態に係る前面、底面及び背面を構成する金網パネルの模式的な図である。
【
図3】
図2の金網パネルに補強部材を連結させた模式的な図である。
【
図4】実施形態に係るふとん籠の模式的な正面図である。
【
図5】実施形態に係るふとん籠の蓋を取り払った模式的な上面図である。
【
図6】実施形態に係るふとん籠を吊り上げている模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
【0018】
(実施形態1)
実施形態1に係るふとん籠において、上面を上げて斜め上から見た状態を
図1に示す。また、
図4は本実施形態に係るふとん籠を前面側から見た図であり、
図5は上面19を取り払った状態で上から見た図である。本実施形態に係るふとん籠では
図2に示すように、1つの溶接金網からなる矩形の金網パネルを折り曲げて、前面12、底面18及び背面14を形成している。側面16、上面19も溶接金網からなっており、これらの金網パネルを組み合わせて、隣り合うパネル同士をコイル51,52によって接続してふとん籠を形成している。すなわち、パネルの外縁(外枠)となる鉄線同士を平行に隣接させて並べ、それらの鉄線をコイル51,52の螺旋内に入れることにより接続を行っている。なお
図1は、上面19と前面12とのコイル52による接続が外されて上面19が上げられた状態を示している。
【0019】
前面12、底面18及び背面14を形成している金網パネル100は、1つの溶接金網からなる矩形の金網パネルを2カ所折り曲げて形成されているため、ふとん籠の部品点数を少なくでき、組み立て時間も短縮できてコストダウンにつながる。また、吊り上げ時の変形抑制にも有利な構造である。この金網パネル100は側面視においてコの字であるが、前面12と底面18とがなす角、及び背面14と底面18とがなす角は約100°となっている。このように金網パネル100は前面12と背面14とが側面視で上方に開いている形状であるため、金網パネル100を複数用意した場合にこれらを重ねてコンパクトに保管することができる。従って、保管や運搬時に全体の嵩が低くなって保管や運搬のコストを低減できる。
【0020】
本実施形態に係る溶接金網からなる金網パネルは、鉄線から構成されており、複数の横線及び縦線42を直角に交わるように配列させて、その交点を溶接して形成されており、表面に亜鉛アルミ合金めっきが施されている。コイル51,52及び後述するステー(補強部材)32,34にも表面に亜鉛アルミ合金めっきが施されている。亜鉛アルミ合金めっきは耐食性が高いため、塩害がある地域での使用及び河川での使用にも適しているが、蛇籠やふとん籠に多く用いられている菱形金網には亜鉛めっきが一般的であり、溶接金網パネルを用いる本実施形態に係るふとん籠はこの点で優れた耐食性を有している。
【0021】
前面12を構成する金網において、縦方向の鉄線(縦線42)径と横方向の鉄線(横線)のうち最上部に位置する鉄線(最上部横線22)の径を比較すると、本実施形態では全ての縦線42が同じ径であって且つ縦線42の径よりも最上部横線22の径の方が大きい。背面14を構成する金網においても、同様に最上部横線24の径の方が縦線42の径よりも大きい。
【0022】
最上部横線22,24と縦線42との径の比率は、ふとん籠の大きさや金網の網目の大きさなどによって適宜設定をすればよい。例えばふとん籠の大きさが幅2m、奥行き80cm、高さ50cm、金網の網目が10cm×10cmの場合、最上部横線22,24の径を13mm、縦線42の径を6mm(最上部横線/縦線=2.17倍)とすればよい。他には、最上部横線22,24の径を13mm、縦線42の径を9mm(最上部横線/縦線=1.44倍)としたり、最上部横線22,24の径を13mm、縦線42の径を5mm(最上部横線/縦線=2.60倍)としてもよい。
【0023】
本実施形態では、金網パネル100の横線のうち、前面12においては最上部と上から3番目の横線の径が大きく、それ以外の横線は縦線42と同じ径であり、背面14においては最上部の横線の径が大きく、それ以外の横線は縦線42と同じ径である。前面12においては上から3番目の横線の径を大きくしているので、中詰め材を詰めてもふとん籠の前面12が外側に大きく膨らむことを抑制することができる。中詰め材は、割り栗石や取り壊した構造物から発生するコンクリート破砕物などを利用することができる。なお、溶接金網の鉄線の径を大きくすれば、ふとん籠の強度が上がり変形や破壊を抑制できるが、製造コストを小さくするためには鉄線の径を小さくする必要があり、両方の事情を考慮して鉄線の径が決められる。
【0024】
本実施形態に係るふとん籠では、
図3,5に示すように、ステー(補強部材)32が前面12と底面18とを連結し、背面14と底面18とを連結している。ステー32は、金網パネル100の縦線42よりも径が大きい鉄線から構成されており、直線状の鉄線の両端が鈎状に曲げられた形状を有している。この鈎状の部分(連結部35)によって前面12及び背面14の最上部横線22,24を引っかけているとともに、底面18の横線を引っかけている。なお本実施形態では、前面12及び背面14において、3カ所にそれぞれステー32が連結されている
また、
図1,5に示すように側面16と底面18とをステー34が連結している。ステー34は両端の鈎状の部分(連結部)によって側面16の最上部横線及び底面の縦線42を引っかけている。これらのステー32,34により、中詰め材をふとん籠に詰めた際の中詰め材の圧力によって、底面18が垂れ下がってしまうこと、前面12、背面14及び側面16の上部が拡がってしまうことを防止するとともに、後述するふとん籠の吊り上げ時に前面12及び背面14の最上部横線22,24と縦線42との溶接部分にかかる応力を緩和させて、その溶接部分が破壊されること及びふとん籠が変形してしまうことを防止する。
【0025】
本実施形態に係るふとん籠の組み立て方法は以下の通りである。まず、前面12、底面18及び背面14を構成する口の開いた略コの字形に折り曲げた金網パネル100において、ステー32を前面12及び背面14の最上部横線22,24と底面18とに引っかけて、金網パネル100のコの字にし、補強を行う。次に、その金網パネル100と、側面16を構成する金網パネルとをコイル51を用いて接続して箱形状に組み立てる。側面16は、金網パネル100の外側に置かれるのではなく、金網パネル100の横方向における端部の縦線42の上に置かれる。それからステー34を、側面16の最上部横線と底面18とに引っかけて補強を行う。次に、箱形状の内部に中詰め材を詰め込む。その後、蓋となる金網パネルの上面19を載せて、前面12、側面16及び背面14とコイル52を用いて接続を行う。これで中詰め材を詰め込んだふとん籠が出来上がる。
【0026】
図6は、中詰め材を詰め込んだ本実施形態に係るふとん籠200を吊り上げている斜視図である。図を見やすくするため中詰め材を不図示としている。6つのフック(吊り上げ部材)62は前面12の最上部横線22の3カ所、背面14の最上部横線24の3カ所に掛けられている。フック62にはワイヤ64が接続されて吊り上げられるようになっている。
【0027】
フック62が掛けられているのは、ステー32の連結部35が連結されている部分の近傍である。具体的には、フック62と連結部35が隣接していたり、フック62と連結部35との間に縦線42が介在しているという位置関係である。なお、フック62と連結部35、又はフック62と縦線42とは接触していなくても構わない。フック62と連結部35が隣接している場合はフック62と連結部35とが同じ網目の最上部横線に掛けられていればよく、フック62と連結部35との間に縦線42が介在している場合は、連結部35の掛けられている網目の隣の網目の最上部横線に掛けられていればよい。
【0028】
本実施形態においては、中詰め材が詰められたふとん籠200を吊り上げて移動させ、設置場所に運んでも、ふとん籠にはほとんど変形が生じず、またふとん籠の破壊(特に金網の溶接部分)も生じない。これは、フック62を掛ける最上部横線22,24を縦線42よりも大きな径にしているとともに、最上部横線22,24においてフック62を掛ける位置の近傍に補強部材32の連結部35を掛けているためである。最上部横線22,24が大きな径であるため、ふとん籠の変形が抑制され、フック62を掛ける位置の近傍に補強部材32の連結部35が連結されているためにふとん籠の破壊が防止されると考えられる。
【0029】
本実施形態では、1つのふとん籠200に対して6つのフック62を掛けて吊り上げているので、ふとん籠200をバランスよく傾くことなく吊り上げることができ、吊り上げの応力も6カ所に分散されてふとん籠200の変形や破壊が防止されている。
【0030】
道路の脇に斜面が迫っている場合、その道路を造ったり補修したりする時に斜面の土留めをするのに本実施形態に係るふとん籠を用いると、ふとん籠を設置する場所が狭いため、別の広い場所で組み立て、中詰め材充填を行って運んでくることができ、その場で組み立てるふとん籠と比べて、工期を大幅に短くできる。そしてふとん籠の変形がほとんどないため、複数のふとん籠を隙間なく並べることができ、土留めの役割を十分発揮させることができる。また、特許文献に記載されているふとん籠に比べて、軽量、安価且つ早く作成できるので、低コスト且つ短工期とすることができる。
【0031】
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
【0032】
ふとん籠を構成する金網パネルの大きさ、構造、枚数、構成する線材の材質・径などは上記の実施形態に限定されない。前面、底面及び背面をそれぞれ1枚ずつのパネルで構成してもよいし、L字形に折り曲げた2つのパネルを組み合わせて(底面が2つのL字形パネルからなる)構成してもよい。また、ふとん籠自体の大きさも、吊り上げて移動することが可能であれば特に限定はされない。
【0033】
ふとん籠の組み立て方法および中詰め材を詰め込んだふとん籠の吊り上げ・設置方法も実施形態の方法に限定されない。溶接金網パネル同士の接続に用いる部材もコイルに限定されない。
【0034】
1つのふとん籠に用いる補強部材の数は4つ(前面2つ、背面2つ)以上が好ましいが、コストの面から変形を抑制できる必要最小限の数が好ましい。ふとん籠の前面の長さ(側面間の長さ)が1.5m以下の場合は補強部材を4つ以上、1.5mを超え2.5m以下の場合は補強部材を6つ以上とすることが好ましい。
【0035】
なお、補強部材の底面に掛ける位置は実施形態1の位置以外であっても構わない。また、補強部材を構成する線材の材料や径等も特に限定されない。
【符号の説明】
【0036】
12 前面
14 背面
18 底面
22,24 最上部横線
32,34 ステー(補強部材)
35 連結部
42 縦線
62 フック(吊り上げ部材)
100 金網パネル
200 ふとん籠