(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055495
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】ウレタン樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/42 20060101AFI20220401BHJP
C08G 18/40 20060101ALI20220401BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20220401BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20220401BHJP
C08G 18/71 20060101ALI20220401BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20220401BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220401BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20220401BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20220401BHJP
C08K 5/541 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
C08G18/42 088
C08G18/40 018
C08G18/10
C08G18/08 038
C08G18/71 080
C08L75/04
C08K3/013
C08K3/26
C08K3/34
C08K5/541
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162952
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西山 晋太郎
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002CK021
4J002DE266
4J002DJ007
4J002EX039
4J002EX068
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD208
4J002FD209
4J002GH01
4J002GJ01
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF27
4J034DG00
4J034JA42
4J034MA03
4J034QA03
4J034QB13
4J034RA08
(57)【要約】
【課題】
反応前の組成物は充てん剤と液成分が分離沈降することなく、主剤と硬化剤の混合後は十分なポットライフを有し、硬化前、硬化中、硬化後と臭気を発生しないで、かつ安定した接着性を示す2液型ウレタン樹脂組成物であり、解体後も環境負荷物質を漏洩させない2液型ウレタン樹脂組成物を得ることである。
【解決手段】
主剤100質量部のうち、ヒマシ油ポリオール(A)を10~40質量部、数平均分子量が350超過のポリエーテル系ポリオール(B)を1~30質量部、充てん剤(C)を20~60質量部含有し、硬化剤100質量部のうち、ポリエーテル系ポリオール変性イソシアネート末端プレポリマー(D)を40~70質量部、充てん剤(C)を20~50質量部、エポキシシランカップリング剤若しくはイソシアネートシランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤(E)を0.05~5質量部含有し、組成物中に、溶剤と触媒とアミン化合物を含まず、更に組成物中の原材料としてアルデヒド類を含まないことを特徴とする2液型ウレタン樹脂組成物を得ることである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2液型ウレタン樹脂組成物であって、
主剤100質量部のうち、ヒマシ油ポリオール(A)を10~40質量部、数平均分子量が350超過のポリエーテル系ポリオール(B)を1~30質量部、充てん剤(C)を20~60質量部含有し、
硬化剤100質量部のうち、ポリエーテル系ポリオール変性イソシアネート末端プレポリマー(D)を40~70質量部、充てん剤(C)を20~50質量部、エポキシシランカップリング剤若しくはイソシアネートシランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤(E)を0.05~5質量部含有し、
組成物中に、溶剤と触媒とアミン化合物を含まず、更に組成物中の原材料としてアルデヒド類を含まないことを特徴とする2液型ウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
主剤に、ゼオライトを0.5~5質量部、硬化剤に脱水剤を0.1~5質量部含有する請求項1に記載の2液型ウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
主剤のイソシアネート成分と反応しうる水酸基のモル数(-OH)と、硬化剤のポリエーテル系ポリオール変性イソシアネート末端プレポリマーの水酸基と反応しうるイソシアネート基のモル数(-NCO)の比が、(-NCO/-OH)=0.5~3である請求項1または請求項2に記載の2液型ウレタン樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応前の組成物は充てん剤と液成分が分離沈降することなく、主剤と硬化剤の混合後は十分なポットライフを有し、硬化前、硬化中、硬化後と臭気を発生しないで、かつ安定した接着性を示す2液型ウレタン樹脂組成物であり、解体後も環境負荷物質を漏洩させない2液型ウレタン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水酸基含化合物と、イソシアネート基含化合物が反応し、ウレタン結合が生成する。反応前の組成物、この反応および生成物を総称して、ウレタン樹脂と表現される場合がある。ウレタン樹脂は、反応前は液状を呈しているが、反応後は固化する場合もあり、これらの現象を利用してウレタン樹脂は、接着剤、フィルム、人工皮革材料、発泡材料等、さまざまな工業製品として利用されている。
【0003】
ウレタン樹脂を屋内物品の貼り合わせ、組み立て等の接着剤として使用する場合、低臭気のウレタン樹脂組成物が望まれる。低臭気を達成するために、無溶剤、アミン化合物を含有しない、組成物中の原材料としてアルデヒド類を含まないような組成物が求められていた。また、屋内物品の解体後も環境負荷物質を漏洩させない、つまり、触媒を使用しないような組成物が求められていた。
【0004】
ウレタン樹脂は反応成分と、可塑剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、その他添加材等からなる非反応成分からなる液成分と、充てん剤からなる場合がある。反応前のウレタン樹脂組成物は、充てん剤と液成分が分離沈降することなく、主剤と硬化剤の混合後は十分なポットライフを有し、かつ安定した接着性を示す2液型ウレタン樹脂組成物が求められていた。
【0005】
特許文献1は、表面塗料としての使用に適した湿分硬化性塗料組成物に関する公報である。ウレタン樹脂組成物として溶剤が使用してあるので、臭気に関しては改善の余地が有った。
特許文献2は、加熱により短時間で硬化し、且つ貯蔵安定性に優れた硬化型樹脂組成物に関する公報である。ウレタン樹脂組成物としてアミン化合物が使用してあるので、特許文献1同様、臭気に関しては改善の余地が有った。
特許文献3は、注入時の作業性が優れ、注入剤が亀裂や浮き部分の細部にまで行き渡り、漏水防止効果が長期間にわたって保持される注入補修工法に関する公報である。ウレタン樹脂組成物中の原材料としてアルデヒド類が含まれるので、特許文献1、特許文献2同様、臭気に関しては改善の余地が有った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3-070781号公報
【特許文献2】特開2015-209437号公報
【特許文献3】特開平7-048430号公報
【特許文献4】特開平4-202283号公報
【特許文献5】特開2008-081541号公報
【特許文献6】特開2006-124575号公報
【0007】
特許文献4は、接着力が大きく、透湿性が少ない上に耐衝撃性に優れ、かつ弾性率の温度依存性が少ない多層透明板用シーラントおよび該シーラントを用いた多層透明板に関する公報である。ウレタン樹脂組成物としてスズ触媒が使用してあるので、解体後の環境負荷物質の漏洩に関しては改善の余地があった。
特許文献5は、ウレタンプレポリマーを用いた硬化性樹脂組成物であって、油面鋼板および化成処理鋼板に対する接着性に優れる硬化性樹脂組成物に関する公報である。ウレタン樹脂組成物としてシリコーンが添加してあるので、充てん剤と液成分の分離沈降ではなく、液成分そのものが分離する可能性が有った。
特許文献6は、環境に対する負荷が小さく、施工性及び塗膜物性の高い低VOCウレタン系樹脂組成物に関する公報である。明細書中、慣用の顔料成分を添加できると記載があるが、添加された例は示されていない。
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
反応前の組成物は充てん剤と液成分が分離沈降することなく、主剤と硬化剤の混合後は十分なポットライフを有し、硬化前、硬化中、硬化後と臭気を発生しないで、かつ安定した接着性を示す2液型ウレタン樹脂組成物であり、解体後も環境負荷物質を漏洩させない2液型ウレタン樹脂組成物を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
主剤100質量部のうち、ヒマシ油ポリオール(A)を10~40質量部、数平均分子量が350超過のポリエーテル系ポリオール(B)を1~30質量部、充てん剤(C)を20~60質量部含有し、硬化剤100質量部のうち、ポリエーテル系ポリオール変性イソシアネート末端プレポリマー(D)を40~70質量部、充てん剤(C)を20~50質量部、エポキシシランカップリング剤若しくはイソシアネートシランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤(E)を0.05~5質量部含有し、組成物中に、溶剤と触媒とアミン化合物を含まず、更に組成物中の原材料としてアルデヒド類を含まないことを特徴とする2液型ウレタン樹脂組成物を得ることである。
【発明の効果】
【0011】
反応前の組成物は充てん剤と液成分が分離沈降することなく、主剤と硬化剤の混合後は十分なポットライフを有し、硬化前、硬化中、硬化後と臭気を発生しないで、かつ安定した接着性を示す2液型ウレタン樹脂組成物であり、解体後も環境負荷物質を漏洩させない2液型ウレタン樹脂組成物であるので、屋内外を問わず、また接着剤以外の用途展開も行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願の2液型ウレタン樹脂組成物は、主剤100質量部のうちのヒマシ油ポリオール(A)は市販のものを使用することができる。具体的に製品名を挙げると、伊藤製油社製の、商品名:LAV(水酸基価:156~165)、商品名:マルトクA(水酸基価:156~165)、商品名:カクトクA(水酸基価:156~165)、商品名:ダイヤ(水酸基価:156~165)、商品名:カクコウイチ(水酸基価:156~165)、商品名:コウイチ(水酸基価:156~165)、が挙げられる。より好適な材料としてはコウイチで、添加量としては主剤100質量部のうち、10~40質量部、より好適には主剤100質量部のうち、15~35質量部である。
【0013】
本願の2液型ウレタン樹脂組成物は、主剤100質量部のうちの数平均分子量が350超過のポリエーテル系ポリオール(B)は、市販のものを使用することができる。
具体的に製品名を挙げると、ADEKA社製の、商品名:P-400、商品名:P-700、商品名:P-1000、商品名:P-3000、商品名:BPX-11、商品名:BPX-21、商品名:BPX-33、商品名:BPX-55、商品名:BPX-1000、商品名:BPX-2000、商品名:G-400、商品名:G-700、商品名:G-1500、商品名:G-3000B、商品名:G-4000等を挙げることができる。
より好適な材料としてはG-700で、添加量としては主剤100質量部のうち、1~30質量部、より好適には主剤100質量部のうち、3~20質量部である。
【0014】
本願の2液型ウレタン樹脂組成物は、主剤100質量部のうちの充てん剤(C)は、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カオリン、焼成カオリン、クレー、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、ゼオライト、ガラスビーズ、シラスバルーン等の無機系充てん材を添加する事が出来る。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート 、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリカーボネート等の有機系充てん材を添加する事も出来る。
より好適な材料は炭酸カルシウムで、日東粉化工業社、白石カルシウム社、丸尾カルシウム社、井上石灰工業社、清水工業社等より市販されている。
炭酸カルシウムの種類としては、石灰石を破砕して得られる重質炭酸カルシウム、消石灰に二酸化炭素を反応して得られる軽質炭酸カルシウム等が有るが、何れを用いてもよい。炭酸カルシウムの表面処理については未処理品、シランカップリング剤等にて処理した処理品、何れも用いる事ができる。
添加量としては主剤100質量部のうち、20~60質量部、より好適には主剤100質量部のうち、30~55質量部である。
【0015】
本願の2液型ウレタン樹脂組成物は、反応初期に発生する二酸化炭素を除去するため、主剤にゼオライトを添加することができる。ゼオライトは、市販のものを使用することができる。市販品としては、ユニオン昭和社の商品名:モレキュラシーブ5A、モレキュラシーブ13Xを挙げることができる。より好適な材料はモレキュラシーブ5Aで、添加量としては主剤100質量部のうち、0.5~5質量部、より好適には主剤100質量部のうち、1~4質量部である。
【0016】
本願の2液型ウレタン樹脂組成物は、硬化剤100質量部のうちのポリエーテル系ポリオール変性イソシアネート末端プレポリマー(D)は、市販のものを使用することができる。市販品としてはハンツマン社の製品名:SUPRASEC1004、製品名:SUPRASEC1007、製品名:SUPRASEC1306、製品名:SUPRASEC1412、製品名:SUPRASEC2004、製品名:SUPRASEC2008、製品名:SUPRASEC2020、製品名:SUPRASEC2024、製品名:SUPRASEC2026、製品名:2029、製品名:SUPRASEC2045、製品名:SUPRASEC2054、製品名:SUPRASEC2058、製品名:SUPRASEC2060、製品名:SUPRASEC2067、製品名:SUPRASEC2344、製品名:SUPRASEC2405等を挙げることができる。これらは、単独で用いることもでき、組み合わせることも可能である。
より好適な材料はSUPRASEC1007、SUPRASEC2060で、添加量としては硬化剤100質量部のうち40~70質量部、より好適には45~65質量部である。
【0017】
本願の2液型ウレタン樹脂組成物は、硬化剤100質量部のうちの充てん剤(C)は、段落0014で述べた充てん剤と、同様の充填剤を使用することができる。
添加量としては硬化剤100質量部のうち、20~50質量部、より好適には主剤100質量部のうち、35~45質量部である。
【0018】
本願の2液型ウレタン樹脂組成物の硬化剤は、エポキシシランカップリング剤若しくはイソシアネートシランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤(E)を含有する。これらは、市販のものを使用することができる。エポキシシランカップリング剤は、信越化学工業社の製品名:KBM-303、製品名:KBM-402、製品名:KBM-403、製品名:KBE-402、製品名:KBE-403を挙げることができる。イソシアネートシランカップリング剤は、信越化学工業社の製品名:KBE-9007Nを挙げることができる。より好適な材料としてはKBM-403で、添加量としては硬化剤100質量部のうち0.05~5質量部、より好適には0.1~2質量部である。
【0019】
本願の2液型ウレタン樹脂組成物は、系中の水分を除くために、硬化剤に脱水剤を添加することができる。脱水剤としては、パラトルエンスルホニルイソシアネート(PTSI)が挙げられる。添加量としては、硬化剤100質量部のうち0.1~5質量部、より好適には0.5~3質量部である。
【0020】
本願の2液型ウレタン樹脂組成物は、柔軟性を付与するために、硬化剤に可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、アジピン酸ジイソノニル(DINA)等を挙げることができる。添加量としては、硬化剤100質量部のうち0.1~5質量部、より好適には0.5~3質量部である。
【0021】
本願の2液型ウレタン樹脂組成物は、主剤のイソシアネート成分と反応しうる水酸基のモル数(-OH)と、硬化剤のポリエーテル系ポリオール変性イソシアネート末端プレポリマーの水酸基と反応しうるイソシアネート基のモル数(-NCO)の比が、(-NCO/-OH)=0.5~3、より好適には(-NCO/-OH)=1.0~2.0である。
【0022】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお、部数は全て質量部である。
【実施例0023】
実施例1の主剤作製
井上製作所社製プラネタリーミキサー、商品名:PLM-2の釜の中に、コウイチを28g、G-700を12g、備北粉化工業社製の重質炭酸カルシウムである商品名:BF-200を25g、丸尾カルシウム社製の重質炭酸カルシウムである商品名:M-300Jを32g、モレキュラーシーブを3g秤取り、70℃減圧下で攪拌、混合し均一な組成物を得た。
【0024】
実施例1の硬化剤作製
井上製作所社製プラネタリーミキサー、商品名:PLM-2の釜の中に、SUPRASEC1007を20g、SUPRASEC2060を39g、DINAを1g、BF-200を23.5g、M-300Jを15g、PTSIを1g、KBM-403を0.5g秤取り、23℃減圧下で攪拌、混合し均一な組成物を得た。
【0025】
実施例2~6、比較例1~6の主剤作製
実施例1の主剤作製と同様の手順で、表1、表2に示した分量で、実施例2~6、比較例1~6の主剤を得た。尚、GP-250は、三洋化成工業社製の数平均分子量300以下の三官能ポリエーテルポリオールである。
【0026】
実施例2~6、比較例1~6の硬化剤作製
実施例1の硬化剤作製と同様の手順で、表1、表2に示した分量で、実施例2~6、比較例1~6の硬化剤を得た。尚、KBM-903とKBM-1003は、信越化学工業社製のアミノシランカップリング剤とビニルシランカップリング剤である。
各組成物の粘度を、ブルックフィールド型粘度計、BH、No.6、20rpmの1分値を当該粘度とした。尚測定温度は23±1℃である。測定結果を表1、表2に示す。
【0027】
硬化剤の臭気確認
主剤、硬化剤共に、臭気確認を行ったが、主剤は、臭気不合格は確認されず、硬化剤のみ不合格が確認されたので、硬化剤の結果のみ示す。結果は、表3、表4に示しているが、評価方法としては、組成物の上を手で鼻の方にあおいでみて、臭気が確認されない場合を合格の(〇)、臭気が確認される場合を不合格の(×)とした。
尚、臭気確認にて不合格と成った比較例5、比較例6は、この後のポットライフ確認、接着強度確認は行っていない。
【0028】
硬化剤の分離確認
主剤、硬化剤共に、充てん剤と液成分の分離確認を行ったが、主剤は、分離確認にて不合格はなく、硬化剤のみ不合格が確認されたので、硬化剤の結果のみ示す。結果は、表3、表4に示しているが、評価方法としては、直径40mmφ、高さ108mmのフィルムケースに液を充てんし、50℃の恒温槽に14日間インキュベートし、恒温槽から取り出して透明な状態で確認される液成分の深さを測定した。3mm未満は合格、3mm以上は不合格である。
【0029】
実施例1~6、比較例1~4の組成物の作製
実施例1~6の主剤と硬化剤、比較例1~6の主剤と硬化剤をそれぞれ75g秤取り、泡が入らないように、撹拌バネ付きモータにて均一に撹拌した。
この時の主剤のイソシアネート成分と反応しうる水酸基のモル数(-OH)と、硬化剤プレポリマーの水酸基と反応しうるイソシアネート基のモル数(-NCO)の比、(-NCO/-OH)と各主剤、硬化剤作製と同様にして測定を行った粘度を表5、表6に示す。尚、この液を用いて、ポットライフ、接着強度確認を行った。
【0030】
実施例1~6、比較例1~4の組成物のポットライフ確認
実施例1~6、比較例1~4の組成物の作製にて測定した粘度が、23℃にて保管した時、5倍の粘度に達する時間を測定した。結果を表5、表6に示す。
判定基準としては、80分以上は合格、80分未満は不合格である。
【0031】
実施例1~6、比較例1~4の組成物の接着強度確認
25mm×100mm×1mm厚の冷間圧延鋼鈑(SPCC板)を2枚準備した。片方のSPCC板の端部に、組成物を200g/m2となる様に塗布し、もう一枚のSPCCの端部を重ね、接着面積が25mm×25mmとなる様にし、クリップで圧締した。23℃環境にて7日間インキュベートし、接着強度測定試験片とした。
一軸試験機を用い、引っ張り速度が5mmにてせん断強度測定を行った。尚、測定環境は、23±1℃で、n=5平均である。
【0032】
主剤100質量部のうち、ヒマシ油ポリオール(A)を10~40質量部、数平均分子量が350超過のポリエーテル系ポリオール(B)を1~30質量部、充てん剤(C)を20~60質量部含有し、硬化剤100質量部のうち、ポリエーテル系ポリオール変性イソシアネート末端プレポリマー(D)を40~70質量部、充てん剤(C)を20~50質量部、エポキシシランカップリング剤若しくはイソシアネートシランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤(E)を0.05~5質量部含有し、組成物中に、溶剤と触媒とアミン化合物を含まず、更に組成物中の原材料としてアルデヒド類を含まないことを特徴とする2液型ウレタン樹脂組成物である実施例1~6は、硬化剤の臭気確認、硬化剤の分離確認、組成物のポットライフ確認、接着強度確認、全て合格となった。
【0033】
硬化剤にエポキシシランを添加していない比較例1~3は、硬化剤の分離確認で不合格と成った。エポキシシランの代わりに、アミノシランを用いた比較例5、ビニルシランを用いた比較例6は、臭気確認で不合格と成った。
主剤に、数平均分子量が350以下のポリエーテル系ポリオールを用いた比較例4は、ポットライフ確認が不合格と成った。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】