(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055642
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】直線駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/06 20060101AFI20220401BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
H02K7/06 A
F16H25/20 B
F16H25/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163178
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】春日 孝文
【テーマコード(参考)】
3J062
5H607
【Fターム(参考)】
3J062AB21
3J062AC07
3J062BA01
3J062CD02
3J062CD22
3J062CD44
3J062CG83
5H607BB01
5H607BB10
5H607BB14
5H607CC03
5H607CC07
5H607DD03
5H607EE52
5H607HH01
5H607HH06
(57)【要約】
【課題】出力側において可動体の位置を検知する位置検知機構から引き出されるリード線が反出力側に引き回されていても、リード線の引き回し位置のばらつきを抑制することが可能な直線駆動装置を提供する。
【解決手段】直線駆動装置1では、出力側において可動体3の位置を検知する位置検知機構9から引き出されるリード線10は、フレーム14の底面部14aの底面14rに沿って反出力側に引き回されている。直線駆動装置1は、リード線10の引き回し位置を規定するためのホルダ11を備えており、ホルダ11は、ホルダ11のリード線規制部11dとフレーム14の底面部14aとの間にリード線10の一部が配置された状態で底面部14aに固定されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送りねじ軸を有するモータと、前記送りねじ軸に係合するとともに前記送りねじ軸が回転すると前記送りねじ軸の軸方向に直線的に移動する可動体と、前記送りねじ軸の軸方向における前記可動体の位置を検知するための位置検知機構と、前記位置検知機構から引き出されるリード線と、前記リード線の引き回し位置を規定するためのホルダとを備え、
前記送りねじ軸に直交する所定の方向を第1方向とし、前記送りねじ軸の軸方向の一方側を出力側とし、前記送りねじ軸の軸方向の他方側を反出力側とし、第1方向の一方側を第2方向側とし、第1方向の他方側を第3方向側とすると、
前記モータは、前記送りねじ軸と一緒に回転する駆動用磁石を有するロータと、駆動用コイルを有するとともに前記駆動用磁石の外周側に配置されるステータと、前記送りねじ軸の出力側部分を支持する出力側軸受と、前記ステータの出力側に固定されるとともに前記出力側軸受を保持するフレームとを備え、
前記フレームは、前記フレームの第3方向側部分を構成する平板状の底面部と、前記底面部の出力側部分から第2方向側に向かって立ち上がるとともに前記出力側軸受を保持する軸受保持部と、前記底面部の反出力側部分から第2方向側に向かって立ち上がるとともに前記ステータに固定される被固定部とを備え、
前記底面部の厚さ方向は、第1方向と一致しており、
前記可動体は、前記送りねじ軸の軸方向において前記軸受保持部と前記被固定部との間に配置され、
前記位置検知機構は、前記底面部の第3方向側の面である底面の出力側部分に取り付けられ、出力側において前記可動体の位置を検知し、
前記リード線は、前記底面部の前記底面に沿って反出力側に引き回され、
前記ホルダは、前記底面部との間に前記リード線の一部が配置されるリード線規制部を備え、前記底面部に固定されていることを特徴とする直線駆動装置。
【請求項2】
前記ホルダは、前記可動体の可動範囲における反出力側端まで移動したときの前記可動体よりも反出力側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の直線駆動装置。
【請求項3】
前記ホルダには、前記底面部の前記底面に接触する接触面が形成され、
前記リード線規制部には、前記接触面よりも第3方向側に窪むとともに前記リード線の一部が配置されるリード線配置凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の直線駆動装置。
【請求項4】
前記リード線規制部は、前記リード線配置凹部に配置される前記リード線の一部を保持するリード線保持部を備えることを特徴とする請求項3記載の直線駆動装置。
【請求項5】
前記リード線保持部は、前記リード線の一部を挟んで配置される一対の保持突起を備え、
前記保持突起の先端部には、前記リード線保持部からの前記リード線の一部の抜けを防止する凸部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の直線駆動装置。
【請求項6】
前記ホルダは、第1方向に直交する方向において前記底面部に対する前記ホルダの位置を決めるための位置決め用突起を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の直線駆動装置。
【請求項7】
2本の前記リード線を備え、
前記可動体は、前記位置検知機構に検知される被検知部を備え、
前記被検知部は、第3方向側に向かって突出し、
前記被検知部の第3方向端は、前記底面部の前記底面よりも第3方向側に配置され、
前記底面部には、前記送りねじ軸の軸方向に前記可動体が移動するときに前記被検知部の一部が通過する通過溝が形成され、
前記送りねじ軸の軸方向と第1方向とに直交する方向を第4方向とすると、
2本の前記リード線のうちの一方の前記リード線は、第4方向における前記通過溝の一方側で引き回され、他方の前記リード線は、第4方向における前記通過溝の他方側で引き回されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の直線駆動装置。
【請求項8】
前記位置検知機構は、検知器本体と、前記検知器本体の端子ピンが接続される基板とを備え、
前記基板は、前記基板の厚さ方向と第1方向とが一致するように配置されるとともに、前記底面部の第3方向側に固定され、
前記基板には、前記端子ピンが挿通される端子用貫通穴と、前記端子ピンの先端部が半田付けされる半田ランドとが形成され、
前記端子ピンは、第3方向側から前記端子用貫通穴に挿通され、
前記半田ランドは、前記端子用貫通穴の縁に形成されるとともに、前記基板の第2方向側の面に形成され、
前記底面部の、前記半田ランドの第2方向側の部分には、第1方向で前記底面部を貫通する底面部貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の直線駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送りねじ軸を回転させて可動体を直線的に移動させる直線駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に螺旋溝が形成された送りねじ軸(リードスクリュー)を有するモータと、送りねじ軸に沿って直線的に移動する可動体と、可動体の移動方向の原点位置を検知する位置検知機構とを備える直線駆動装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の直線駆動装置では、モータは、送りねじ軸が形成される回転軸および駆動用磁石を有するロータと、駆動用コイルを有するとともに駆動用磁石の外周側に配置されるステータと、ステータの出力側端に固定されるフレームとを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の直線駆動装置では、フレームは、平板状のフレーム本体と、フレーム本体の出力側端から直角に立ち上がる第1支持部と、フレーム本体の反出力側端から直角に立ち上がる第2支持部とから構成されている。第1支持部には、送りねじ軸の出力側の端部を支持する軸受が取り付けられている。第2支持部は、ステータの出力側の端面に固定されている。可動体は、送りねじ軸の軸方向において、第1支持部と第2支持部との間に配置されている。
【0004】
また、特許文献1に記載の直線駆動装置では、モータは、駆動用コイルが電気的に接続される端子ピンを備えている。端子ピンの一端部は、給電基板に半田付けされて固定されている。ステータには、給電基板を保持する基板保持部材が取り付けられている。すなわち、給電基板は、基板保持部材を介してステータに取り付けられている。位置検知機構は、給電基板に取り付けられており、可動体よりも反出力側に配置されている。位置検知機構は、可動体の原点位置を反出力側で検知する。なお、給電基板には、直線駆動装置が搭載される所定の上位装置と直線駆動装置とを電気的に接続するためのリード線の一端部が固定されており、給電基板からリード線が引き出されている。
【0005】
また、送りねじ軸を有するモータと、送りねじ軸に沿って直線的に移動する可動体と、可動体の移動方向の原点位置を検知する位置検知機構とを備える直線駆動装置として、可動体の原点位置を出力側で検知する直線駆動装置が知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の直線駆動装置では、位置検知機構は、フレーム本体の出力側部分に取り付けられている。また、位置検知機構は、フレーム本体の底面側に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-54648号公報
【特許文献2】特開2018-54063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明者は、特許文献2に記載された直線駆動装置のように、位置検知機構がフレーム本体の出力側部分の底面側に取り付けられていて可動体の原点位置を出力側で検知する直線駆動装置において、位置検知機構に一端部が接続されるリード線を位置検知機構から給電基板に向けて反出力側に引き回すとともに、給電基板から引き出されるリード線とこのリード線とをまとめてコネクタに接続することを検討している。
【0008】
この場合、位置検知機構から引き出されて反出力側に引き回されるリード線の引き回し位置がばらつくと、送りねじ軸の軸方向に移動する可動体とリード線とが接触して、リード線の断線等の問題が生じるおそれがある。また、位置検知機構から引き出されて反出力側に引き回されるリード線の引き回し位置がばらつくと、直線駆動装置を上位装置に取り付けたときに、上位装置の構成部品とリード線とが干渉して何らかの問題が生じるおそれもある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、出力側において可動体の位置を検知する位置検知機構から引き出されるリード線が反出力側に引き回されていても、リード線の引き回し位置のばらつきを抑制することが可能な直線駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の直線駆動装置は、送りねじ軸を有するモータと、送りねじ軸に係合するとともに送りねじ軸が回転すると送りねじ軸の軸方向に直線的に移動する可動体と、送りねじ軸の軸方向における可動体の位置を検知するための位置検知機構と、位置検知機構から引き出されるリード線と、リード線の引き回し位置を規定するためのホルダとを備え、送りねじ軸に直交する所定の方向を第1方向とし、送りねじ軸の軸方向の一方側を出力側とし、送りねじ軸の軸方向の他方側を反出力側とし、第1方向の一方側を第2方向側とし、第1方向の他方側を第3方向側とすると、モータは、送りねじ軸と一緒に回転する駆動用磁石を有するロータと、駆動用コイルを有するとともに駆動用磁石の外周側に配置されるステータと、送りねじ軸の出力側部分を支持する出力側軸受と、ステータの出力側に固定されるとともに出力側軸受を保持するフレームとを備え、フレームは、フレームの第3方向側部分を構成する平板状の底面部と、底面部の出力側部分から第2方向側に向かって立ち上がるとともに出力側軸受を保持する軸受保持部と、底面部の反出力側部分から第2方向側に向かって立ち上がるとともにステータに固定される被固定部とを備え、底面部の厚さ方向は、第1方向と一致しており、可動体は、送りねじ軸の軸方向において軸受保持部と被固定部との間に配置され、位置検知機構は、底面部の第3方向側の面である底面の出力側部分に取り付けられ、出力側において可動体の位置を検知し、リード線は、底面部の底面に沿って反出力側に引き回され、ホルダは、底面部との間にリード線の一部が配置されるリード線規制部を備え、底面部に固定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の直線駆動装置は、リード線の引き回し位置を規定するためのホルダを備えており、ホルダは、ホルダのリード線規制部とフレームの底面部との間にリード線の一部が配置された状態でフレームの底面部に固定されている。そのため、本発明では、出力側において可動体の位置を検知する位置検知機構から引き出されるリード線が反出力側に引き回されていても、リード線の引き回し位置のばらつきを抑制することが可能になる。
【0012】
本発明において、ホルダは、可動体の可動範囲における反出力側端まで移動したときの可動体よりも反出力側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、反出力側端まで移動したときの可動体よりも反出力側において、リード線規制部と底面部との間にリード線の一部が配置されていてリード線の位置が規定されているため、可動体の可動範囲の全域において、位置検知機構から引き出されるリード線の引き回し位置のばらつきを抑制しやすくなる。
【0013】
本発明において、ホルダには、底面部の底面に接触する接触面が形成され、リード線規制部には、接触面よりも第3方向側に窪むとともにリード線の一部が配置されるリード線配置凹部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、リード線の一部が配置される凹部が底面部に形成されている場合と比較して、フレームの構成を簡素化することが可能になる。
【0014】
本発明において、リード線規制部は、リード線配置凹部に配置されるリード線の一部を保持するリード線保持部を備えることが好ましい。このように構成すると、底面部にホルダを固定する際に、底面部の底面とホルダの接触面との間にリード線の一部が挟み込まれるのを防止することが可能になる。したがって、底面部にホルダを固定する際に、底面部の底面とホルダの接触面との間にリード線の一部が挟み込まれないようにリード線の位置を調整しなくても良くなる。そのため、底面部にホルダを固定する作業を容易に行うことが可能になる。
【0015】
本発明において、たとえば、リード線保持部は、リード線の一部を挟んで配置される一対の保持突起を備え、保持突起の先端部には、リード線保持部からのリード線の一部の抜けを防止する凸部が形成されている。この場合には、比較的簡易な構成で、リード線の一部を保持することが可能になる。
【0016】
本発明において、ホルダは、第1方向に直交する方向において底面部に対するホルダの位置を決めるための位置決め用突起を備えることが好ましい。このように構成すると、底面部にホルダを固定する作業を容易に行うことが可能になる。
【0017】
本発明において、たとえば、直線駆動装置は、2本のリード線を備え、可動体は、位置検知機構に検知される被検知部を備え、被検知部は、第3方向側に向かって突出し、被検知部の第3方向端は、底面部の底面よりも第3方向側に配置され、底面部には、送りねじ軸の軸方向に可動体が移動するときに被検知部の一部が通過する通過溝が形成され、送りねじ軸の軸方向と第1方向とに直交する方向を第4方向とすると、2本のリード線のうちの一方のリード線は、第4方向における通過溝の一方側で引き回され、他方のリード線は、第4方向における通過溝の他方側で引き回されている。この場合には、2本のリード線が、第4方向における通過溝の一方側または他方側で引き回されている場合と比較して、2本のリード線を引き回しやすくなる。
【0018】
本発明において、たとえば、位置検知機構は、検知器本体と、検知器本体の端子ピンが接続される基板とを備え、基板は、基板の厚さ方向と第1方向とが一致するように配置されるとともに、底面部の第3方向側に固定され、基板には、端子ピンが挿通される端子用貫通穴と、端子ピンの先端部が半田付けされる半田ランドとが形成され、端子ピンは、第3方向側から端子用貫通穴に挿通され、半田ランドは、端子用貫通穴の縁に形成されるとともに、基板の第2方向側の面に形成され、底面部の、半田ランドの第2方向側の部分には、第1方向で底面部を貫通する底面部貫通穴が形成されている。
【0019】
この場合には、底面部に基板が固定された状態でも、底面部貫通穴を利用して、底面部の第2方向側から、検知器本体の端子ピンと基板の半田ランドとの半田付け作業を行うことが可能になる。また、この場合には、基板の第2方向側の面が底面部の底面に接触していても、検知器本体の端子ピンと基板の半田ランドとの半田付け部と底面部との干渉を防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の直線駆動装置では、出力側において可動体の位置を検知する位置検知機構から引き出されるリード線が反出力側に引き回されていても、リード線の引き回し位置のばらつきを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる直線駆動装置の側面図である。
【
図2】
図1のE-E断面の構成を説明するための断面図である。
【
図4】
図1に示す直線駆動装置の一部の平面図である。
【
図5】
図1のF-F断面の構成を説明するための断面図である。
【
図6】
図5に示すホルダをフレームの底面部に取り付ける前の状態を示す図である。
【
図7】本発明の他の実施の形態にかかるホルダの構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(直線駆動装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる直線駆動装置1の側面図である。
図2は、
図1のE-E断面の構成を説明するための断面図である。
図3は、
図1に示す直線駆動装置1の底面図である。
図4は、
図1に示す直線駆動装置1の一部の平面図である。
【0024】
本形態の直線駆動装置1は、モータ2と、モータ2の動力で直線的に移動する可動体3とを備えている。モータ2は、ステッピングモータである。モータ2は、回転軸4および駆動用磁石5を有するロータ6と、駆動用コイル7を有するとともに駆動用磁石5の外周側に配置されるステータ8とを備えている。回転軸4の出力側部分は、ステータ8よりも出力側へ突出している。回転軸4の、ステータ8よりも突出している部分は、外周面に送りねじが形成された送りねじ軸(リードスクリュー)4aとなっている。可動体3は、送りねじ軸4aに係合するとともに送りねじ軸4aが回転すると送りねじ軸4aの軸方向に直線的に移動する。
【0025】
また、直線駆動装置1は、送りねじ軸4aの軸方向における可動体3の位置を検知するための位置検知機構9と、位置検知機構9から引き出されるリード線10と、リード線10の引き回し位置を規定するためのホルダ11とを備えている。本形態の直線駆動装置1は、2本のリード線10を備えており、ホルダ11は、2本のリード線10の引き回し位置を規定している。なお、
図1では、リード線10の図示を省略している。
【0026】
以下の説明では、回転軸4の軸方向(すなわち、送りねじ軸4aの軸方向)である
図1等のX方向を前後方向とし、前後方向の一方側である
図1等のX1方向側を「前」側とし、前後方向の他方側である
図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。また、以下では、説明の便宜上、前後方向に直交する
図1等のY方向を左右方向とし、前後方向と左右方向とに直交する
図1等のZ方向を上下方向とする。また、上下方向の一方側であるZ1方向側を「上」側とし、上下方向の他方側であるZ2方向側を「下」側とする。
【0027】
本形態の前側(X1方向側)は、送りねじ軸4aの軸方向の一方側である出力側となっており、後ろ側(X2方向側)は、送りねじ軸4aの軸方向の他方側である反出力側となっている。また、本形態の上下方向(Z方向)は、送りねじ軸4aの軸方向に直交する所定の方向である第1方向となっており、左右方向(Y方向)は、送りねじ軸4aの軸方向と第1方向とに直交する方向である第4方向となっている。また、上側(Z1方向側)は、第1方向の一方側である第2方向側となっており、下側(Z2方向側)は、第1方向の他方側である第3方向側となっている。
【0028】
モータ2は、ロータ6およびステータ8に加えて、ステータ8の前側に固定されるフレーム14と、回転軸4の前側部分(すなわち、送りねじ軸4aの出力側部分)を支持する出力側軸受16と、回転軸4の後ろ側部分を支持する反出力側軸受17と、回転軸4の後端に接触して回転軸4を前側に付勢する板バネ18とを備えている。また、モータ2は、
図3に示すように、駆動用コイル7の端部が電気的に接続される端子ピン19と、端子ピン19が固定される基板20と、基板20を保持する基板ホルダ21と、基板20から引き出されるリード線22とを備えている。なお、
図2では、板バネ18、基板20、基板ホルダ21およびリード線22の図示を省略している。
【0029】
図2に示すように、ロータ6は、回転軸4の後端側部分に固定されるボス24を備えている。ボス24は、たとえば、肉厚の円筒状に形成されており、回転軸4の外周面に固定されている。駆動用磁石5は、円筒状に形成されている。駆動用磁石5は、ボス24の外周面に固定されている。駆動用磁石5は、送りねじ軸4aよりも後ろ側に配置されている。駆動用磁石5は、送りねじ軸4aと一緒に回転する。
【0030】
ステータ8は、全体として略円筒状に形成されている。ステータ8の前端面および後端面は、前後方向に直交する環状の平面となっている。ステータ8は、駆動用コイル7に加えて、駆動用磁石5の外周面に対向配置される複数の極歯が形成されるステータコア25と、ステータコア25と駆動用コイル7との間に配置されるボビン26とを備えている。駆動用コイル7は、ボビン26に巻回されている。駆動用コイル7は、ボビン26を介して、複数の極歯の外周側に配置されている。また、ステータ8は、ステータコア25の前面に固定される平板状の端板29と、ステータコア25の後面に固定される平板状の端板30とを備えている。
【0031】
端子ピン19の一端部は、ボビン26に形成される端子保持部に固定されている。端子ピン19は、左右方向の一方側に突出している。基板ホルダ21は、ステータコア25の左右方向の一端部に固定されている。基板20は、ガラスエポキシ基板等の平板状のリジッド基板である。基板ホルダ21に保持される基板20は、基板20の厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。基板20には、端子ピン19の他端部が半田付けされて固定されている。リード線22の一端部は、基板20に半田付けされて固定されている。リード線22は、基板20から後ろ側に向かって引き回されている。
【0032】
フレーム14は、フレーム14の下側部分を構成する平板状の底面部14aを備えている。底面部14aは、底面部14aの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。すなわち、底面部14aの厚さ方向は、上下方向と一致している。また、フレーム14は、底面部14aの前側部分から上側に向かって立ち上がる平板状の側面部14bと、底面部14aの後ろ側部分から上側に向かって立ち上がる平板状の側面部14cとを備えている。側面部14bは、底面部14aの前端から直角に立ち上がり、側面部14cは、底面部14aの後端から直角に立ち上がっている。
【0033】
フレーム14は、底面部14aと2個の側面部14b、14cとから構成されており、角溝状に形成されている。側面部14bは、出力側軸受16を保持している。ステータ8には、側面部14cが固定されている。側面部14cは、ステータ8の前端面(具体的には、端板29の前面)に固定されている。側面部14cには、回転軸4が挿通される貫通穴が形成されている。フレーム14には、可動体3を前後方向に案内するガイド軸27が固定されている。ガイド軸27の前端部は、側面部14bに固定され、ガイド軸27の後端部は、側面部14cに固定されている。本形態の側面部14bは、出力側軸受16を保持する軸受保持部となっている。また、側面部14cは、ステータ8に固定される被固定部となっている。
【0034】
底面部14aには、可動体3が前後方向に移動するときに可動体3の一部を構成する後述の被検知部28bの一部が通過する通過溝14dが形成されている。通過溝14dは、上下方向で底面部14aを貫通している。通過溝14dは、前後方向に細長い長方形状に形成されている。
【0035】
図4に示すように、底面部14aの前側部分には、位置検知機構9を構成する後述の基板34にリード線10を半田付けして固定する際等に使用される作業用の貫通穴14fと、位置検知機構9を位置決めするための貫通穴14g、14hとが形成されている。底面部14aの後ろ側部分には、ホルダ11を固定するための貫通穴14iと、ホルダ11を位置決めするための貫通穴14j、14kが形成されている。貫通穴14f~14kは、上下方向で底面部14aを貫通している。本形態の貫通穴14fは、底面部貫通穴である。
【0036】
貫通穴14fは、底面部14aの前端部に形成されている。貫通穴14fは、左右方向に細長い長方形状に形成されている。貫通穴14g、14hは、貫通穴14fの後ろ側に形成されている。貫通穴14gは、丸穴である。貫通穴14hは、左右方向を長手方向とする長穴である。貫通穴14gと貫通穴14hとは、前後方向において同じ位置に形成されている。また、貫通穴14gと貫通穴14hとは、左右方向で隣り合うように配置されている。
【0037】
貫通穴14i~14kは、底面部14aの後端部に形成されている。貫通穴14iは、前後方向を長辺方向とする長方形状に形成されている。貫通穴14iは、底面部14aの左右方向の両端部の2箇所に形成されている。貫通穴14jは、丸穴である。貫通穴14kは、左右方向を長手方向とする長穴である。貫通穴14gと貫通穴14hとは、前後方向において同じ位置に形成されている。また、貫通穴14gと貫通穴14hとは、左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。貫通穴14g、14hは、左右方向において2個の貫通穴14iの間に配置されている。
【0038】
上述のように、出力側軸受16は、側面部14bに保持されている。出力側軸受16は、回転軸4の前端部(すなわち、送りねじ軸4aの前端部)を支持している。また、出力側軸受16は、回転軸4の軸方向(前後方向)および回転軸4の径方向で回転軸4を支持している。反出力側軸受17は、端板30に保持されている。反出力側軸受17は、回転軸4の後端部を支持している。また、反出力側軸受17は、回転軸4の径方向で回転軸4を支持している。板バネ18は、端板30の後面に固定されている。
【0039】
可動体3は、前後方向において側面部14bと側面部14cとの間に配置されている。可動体3は、送りねじ軸4aに係合するねじ穴が形成されるナット部材(図示省略)と、ナット部材と一緒に前後方向に直線的に移動するスライダ28とを備えている。スライダ28は、送りねじ軸4aを回動の中心とするスライダ28の回動を防止するための回動防止突起28aを備えている(
図1参照)。回動防止突起28aは、たとえば、前後方向におけるスライダ28の中間位置において下側に向かって突出している。回動防止突起28aは、底面部14aの上側に配置されている。スライダ28には、ガイド軸27が挿通されるガイド穴(図示省略)と、ナット部材が配置されるナット配置凹部(図示省略)とが形成されている。
【0040】
また、スライダ28は、位置検知機構9に検知される被検知部28bを備えている。被検知部28bは、スライダ28の後端部において下側に向かって突出している。被検知部28bの下端は、底面部14aの下側の面である底面14rよりも下側に配置されている。被検知部28bの一部は、通過溝14dの中に配置されている。被検知部28bは、上下方向に細長い略長方形の平板状に形成されている。被検知部28bは、被検知部28bの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。
【0041】
直線駆動装置1を組み立てる際には、ロータ6およびステータ8を組み立てて、ステータ8の内周側に駆動用磁石5を配置するとともに、ステータ8にフレーム14を固定して、回転軸4の両端を出力側軸受16および反出力側軸受17で支持させる。その後、ナット部材を送りねじ軸4aに取り付けてから、スライダ28を移動させて、スライダ28のナット配置凹部にナット部材を配置することで、ナット部材にスライダ28を組み込む。その後、スライダ28のガイド穴にガイド軸27を挿通して、ガイド軸27をフレーム14に固定する。
【0042】
(位置検知機構の構成およびリード線の引き回し)
位置検知機構9は、底面部14aの底面14rの前側部分に取り付けられている。位置検知機構9は、被検知部28bよりも前側に配置されており、前側において可動体3の位置を検知する。具体的には、位置検知機構9は、前側において可動体3の前後方向の原点位置を検知する。位置検知機構9は、接触式スイッチである。位置検知機構9は、検知器本体32と、検知器本体32の端子ピン33が接続される基板34とを備えている。検知器本体32は、2本の端子ピン33を備えている。検知器本体32および基板34は、底面部14aの底面14rよりも下側に配置されている。
【0043】
検知器本体32は、前後方向に移動可能な接点部35を備えている。接点部35は、後ろ側に向かって突出しており、後ろ側に向かって付勢されている。可動体3の被検知部28bが接点部35に接触して接点部35が所定の位置まで前側に移動すると、可動体3が原点位置にあることが検知される。検知器本体32には、上下方向に直交する方向において検知器本体32を位置決めするための位置決め用突起32a、32bが形成されている(
図4参照)。位置決め用突起32a、32bは、上側に向かって突出している。位置決め用突起32aと位置決め用突起32bとは、左右方向で隣り合うように配置されている。端子ピン33は、検知器本体32の前側に配置されている。端子ピン33は、検知器本体32から前側に向かって伸びた後、上側に向かって伸びるL形状に形成されている。
【0044】
基板34は、ガラスエポキシ基板等の平板状のリジッド基板である。基板34は、基板34の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。基板34は、底面部14aの下側に固定されている。基板34の上面は、底面部14aの底面14rに接触している。また、基板34は、2本のねじ36によって底面部14aの前側部分に固定されている。ねじ36は、底面部14aに形成されるねじ穴に下側からねじ込まれている。2本のねじ36は、検知器本体32を左右方向で挟むように配置されており、1本のねじ36は、検知器本体32の右側に配置され、もう1本のねじ36は、検知器本体32の左側に配置されている。
【0045】
検知器本体32は、基板34に形成される後述の半田ランド34cに端子ピン33が半田付けされることで基板34に固定されている。検知器本体32の上面は、基板34の下面に接触している。基板34には、検知器本体32の位置決め用突起32a、32bが挿通される貫通穴が形成されている。位置決め用突起32a、32bは、基板34の貫通穴と、底面部14aの貫通穴14g、14hとに差し込まれている。
【0046】
図4に示すように、基板34には、端子ピン33が挿通される2個の貫通穴34aと、リード線10の一端部の芯線が挿通される2個の貫通穴34bと、端子ピン33の先端部が半田付けされる2個の半田ランド34cと、リード線10の芯線が半田付けされる2個の半田ランド34dとが形成されている。本形態の貫通穴34aは、端子用貫通穴である。なお、
図4では、端子ピン33およびリード線10の芯線の図示を省略している。
【0047】
貫通穴34a、34bおよび半田ランド34c、34dは、基板34の前端部に形成されている。貫通穴34a、34bおよび半田ランド34c、34dは、検知器本体32よりも前側に配置されている。貫通穴34a、34bは、上下方向で基板34を貫通する丸穴である。貫通穴34aには、下側から端子ピン33が挿通され、貫通穴34bには、下側からリード線10の芯線が挿通されている。
【0048】
貫通穴34a、34bは、前後方向において同じ位置に形成されている。2個の貫通穴34aは、左右方向において間隔をあけた状態で配置され、2個の貫通穴34bは、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。また、2個の貫通穴34aは、2個の貫通穴34bの左右方向の内側に配置されている。半田ランド34c、34dは、基板34の上面に形成されている。半田ランド34cは、貫通穴34aの縁に形成され、半田ランド34dは、貫通穴34bの縁に形成されている。
【0049】
底面部14aの上側から見たときに、基板34の前端部は、底面部14aの貫通穴14fの中に配置されており、貫通穴34a、34bおよび半田ランド34c、34dは、貫通穴14fの中に配置されている。すなわち、底面部14aの、貫通穴34a、34bおよび半田ランド34c、34dの上側の部分に貫通穴14fが形成されている。本形態では、貫通穴14fを利用して、底面部14aの上側から端子ピン33を半田ランド34cに半田付けする。また、貫通穴14fを利用して、底面部14aの上側からリード線10の芯線を半田ランド34dに半田付けする。
【0050】
基板34から引き出されるリード線10は、底面部14aの底面14rに沿って後ろ側に引き回されている(
図3参照)。2本のリード線10のうちの一方のリード線10は、通過溝14dの右側で引き回され、他方のリード線10は、通過溝14dの左側で引き回されている。リード線10は、基板20から引き出されるリード線22と一緒にステータ8の後ろ側でコネクタ37に接続されている。
【0051】
(ホルダの構成)
図5は、
図1のF-F断面の構成を説明するための断面図である。
図6は、
図5に示すホルダ11をフレーム14の底面部14aに取り付ける前の状態を示す図である。なお、
図5では、送りねじ軸4aおよびステータ8の図示を省略している。
【0052】
ホルダ11は、底面部14aの底面14rに沿って後ろ側に引き回される2本のリード線10の引き回し位置を規定するために設けられている。ホルダ11は、樹脂で形成されている。ホルダ11は、底面部14aに固定されている。具体的には、ホルダ11は、底面部14aの後端部に固定されている。より具体的には、ホルダ11は、底面部14aの後端に近い位置に固定されており、可動体3の可動範囲(前後方向の可動範囲)における後端まで可動体3が移動したときの可動体3よりも後ろ側に配置されている。
【0053】
ホルダ11は、左右方向に細長い直方体状に形成される本体部11aと、上下方向に直交する方向おいて底面部14aに対してホルダ11を位置決めするための2本の位置決め用突起11bと、底面部14aに係合する2本の係合突起11cとを備えている。本形態のホルダ11は、本体部11aと2本の位置決め用突起11bと2本の係合突起11cとから構成されている。
【0054】
本体部11aは、底面部14aの下側に配置されている。本体部11aの左右方向の両端部には、リード線規制部11dが形成されており、リード線10の一部は、上下方向において底面部14aとリード線規制部11dとの間に配置されている。すなわち、ホルダ11は、底面部14aとの間にリード線10の一部が配置されるリード線規制部11dを備えている。本体部11aの、リード線規制部11dを除いた部分の上面は、上下方向に直交する平面となっており、底面部14aの底面14rに接触している。本形態では、本体部11aの、リード線規制部11dを除いた部分の上面は、底面14rに接触する接触面11eとなっている。なお、本体部11aの下面も上下方向に直交する平面となっている。
【0055】
リード線規制部11dには、接触面11eよりも下側に窪むとともにリード線10の一部が配置されるリード線配置凹部11fが形成されている。本形態では、リード線規制部11dの下端部から上側に向かって立ち上がる一対の保持突起11g、11hの間にリード線配置凹部11fが形成されている。保持突起11gと保持突起11hとは、左右方向において間隔をあけた状態で形成されており、リード線10の一部は、左右方向において保持突起11gと保持突起11hとに挟まれている。
【0056】
保持突起11gは、保持突起11hよりも左右方向の内側に配置されている。保持突起11gの左右方向の内側には、保持突起11gを左右方向に弾性変形させるための凹部11pが形成されている。本形態では、左右方向において保持突起11g、11hおよび凹部11pが形成されている部分がリード線規制部11dとなっている。また、本形態では、保持突起11g、11hの上端面は、上下方向に直交する平面となっており、底面14rに接触している。
【0057】
図6に示すように、保持突起11gの先端部(すなわち、保持突起11gの上端部)には、保持突起11h側に向かって膨らむ凸部11jが形成されている。保持突起11hの先端部(すなわち、保持突起11hの上端部)には、保持突起11g側に向かって膨らむ凸部11kが形成されている。凸部11jと凸部11kとの左右方向の距離は、リード線10の外径よりも小さくなっている。また、リード線10の一部は、凸部11j、11kよりも下側に配置されており、凸部11jと凸部11kとによって、保持突起11gと保持突起11hとの間からのリード線10の一部の抜けが防止されている。すなわち、凸部11jと凸部11kとによって、リード線配置凹部11fからのリード線10の一部の抜けが防止されている。
【0058】
本形態では、一対の保持突起11g、11hによって、リード線配置凹部11fに配置されるリード線10の一部を保持するリード線保持部11rが構成されている。すなわち、リード線規制部11dは、リード線配置凹部11fに配置されるリード線10の一部を保持するリード線保持部11rを備えている。また、保持突起11g、11hの先端部には、リード線保持部11rからのリード線10の一部の抜けを防止する凸部11j、11kが形成されている。また、本形態では、接触面11eよりも下側に窪むリード線配置凹部11fにリード線10の一部が配置されており、リード線10の一部は、底面14rとリード線規制部11dとの間に配置されている。
【0059】
位置決め用突起11bは、接触面11eから上側に向かって立ち上がる円柱状に形成されている。2本の位置決め用突起11bは、2箇所に形成されるリード線規制部11dよりも左右方向の内側に配置されている。2本の位置決め用突起11bは、前後方向において同じ位置に配置されるとともに左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。2本の位置決め用突起11bのうちの一方の位置決め用突起11bは、貫通穴14jに下側から差し込まれ、他方の位置決め用突起11bは、貫通穴14kに下側から差し込まれている。
【0060】
係合突起11cは、本体部11aの左右方向の両端のそれぞれから上側に向かって立ち上がっている。係合突起11cは、全体として左右方向を厚さ方向とする平板状に形成されており、左右方向に弾性変形可能となっている。係合突起11cは、貫通穴14iの中に配置されている。係合突起11cの上端部は、貫通穴14iの左右方向の内側において底面部14aの上面に接触する接触面が形成される爪部11sとなっている。
【0061】
本形態では、係合突起11cの弾性を利用したスナップフィットによってホルダ11が底面部14aに固定されている。ホルダ11を底面部14aに固定するときには、係合突起11cの爪部11sが貫通穴14iを下側から上側に向かって通過する。爪部11sが貫通穴14iを通過するときには、係合突起11cは、左右方向の外側に弾性変形しており、爪部11sが貫通穴14iを通過し終わると、係合突起11cは、左右方向の内側に弾性変形して元の状態に戻る。ホルダ11を底面部14aに固定するときには、リード線10の一部がリード線保持部11rに保持されている。
【0062】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の直線駆動装置1は、リード線10の引き回し位置を規定するためのホルダ11を備えており、ホルダ11は、フレーム14の底面部14aとリード線規制部11dとの間にリード線10の一部が配置された状態で底面部14aに固定されている。そのため、本形態では、前側において可動体3の原点位置を検知する位置検知機構9から引き出されるリード線10が後ろ側に引き回されていても、リード線10の引き回し位置のばらつきを抑制することが可能になる。
【0063】
本形態では、ホルダ11は、可動体3の可動範囲における後端まで移動したときの可動体3よりも後ろ側に配置されている。すなわち、本形態では、後端まで移動したときの可動体3よりも後ろ側において、リード線規制部11dと底面部14aとの間にリード線10の一部が配置されていてリード線10の位置が規定されている。そのため、本形態では、可動体3の可動範囲の全域において、位置検知機構9から引き出されるリード線10の引き回し位置のばらつきを抑制しやすくなる。また、本形態では、ホルダ11は、底面部14aの後端に近い位置に固定されているため、前後方向における底面部14aの全域において、位置検知機構9から引き出されるリード線10の引き回し位置のばらつきを抑制しやすくなる。
【0064】
本形態では、リード線規制部11dに、底面部14aの底面14rに接触する接触面11eよりも下側に窪むリード線配置凹部11fが形成されており、リード線配置凹部11fにリード線10の一部が配置されている。そのため、本形態では、リード線10の一部が配置される凹部が底面部14aの底面14r側に形成されている場合と比較して、フレーム14の構成を簡素化することが可能になる。
【0065】
本形態では、リード線規制部11dは、リード線配置凹部11fに配置されるリード線10の一部を保持するリード線保持部11rを備えており、ホルダ11を底面部14aに固定する際には、リード線保持部11rがリード線10の一部を保持している。そのため、本形態では、底面部14aにホルダ11を固定する際に、底面部14aの底面14rとホルダ11の接触面11eとの間にリード線10の一部が挟み込まれるのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、底面部14aにホルダ11を固定する際に、底面11rと接触面11eとの間にリード線10の一部が挟み込まれないようにリード線10の位置を調整しなくても良くなる。その結果、本形態では、底面部14aにホルダ11を固定する作業を容易に行うことが可能になる。
【0066】
本形態では、リード線保持部11rは、リード線10の一部を挟んで配置される一対の保持突起11g、11hによって構成されており、保持突起11g、11hの先端部に、リード線保持部11rからのリード線10の一部の抜けを防止する凸部11j、11kが形成されている。そのため、本形態では、比較的簡易な構成で、リード線10の一部を保持することが可能になる。
【0067】
本形態では、ホルダ11は、上下方向に直交する方向において底面部14aに対するホルダ11の位置を決めるための位置決め用突起11bを備えている。そのため、本形態では、底面部14aにホルダ11を固定する作業を容易に行うことが可能になる。また、本形態では、2本のリード線10のうちの一方のリード線10は、通過溝14dの右側で引き回され、他方のリード線10は、通過溝14dの左側で引き回されているため、2本のリード線10が、通過溝14dの右側または左側で引き回されている場合と比較して、2本のリード線10を引き回しやすくなる。
【0068】
本形態では、底面部14aの上側から見たときに、半田ランド34c、34dは、貫通穴14fの中に配置されている。また、本形態では、貫通穴14fを利用して、底面部14aの上側から端子ピン33が半田ランド34cに半田付けされるとともに、底面部14aの上側からリード線10の芯線が半田ランド34dに半田付けされている。そのため、本形態では、底面部14aに基板34が固定された状態でも、貫通穴14fを利用して、底面部14aの上側から端子ピン33およびリード線10の芯線の半田付け作業を容易に行うことが可能になる。
【0069】
また、本形態では、底面部14aの上側から見たときに、半田ランド34c、34dが貫通穴14fの中に配置されているため、基板34の上面が底面部14aの底面14rに接触していても、端子ピン33と半田ランド34cとの半田付け部と底面部14aとの干渉、および、リード線10の芯線と半田ランド34dとの半田付け部との干渉を防止することが可能になる。
【0070】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0071】
上述した形態において、リード線保持部11rは、保持突起11g、11hに代えて、リード線10の一部を上側から押え付ける押圧片を備えていても良い。この場合には、押圧片は、たとえば、上下方向を厚さ方向とする平板状に形成されており、上下方向において弾性変形可能となっている。また、この場合には、たとえば、押圧片は、左右方向の内側に向かって伸びており、リード線10の一部は、左右方向の内側から弾性片の下側に押し込まれる。
【0072】
上述した形態において、
図7(A)に示すように、リード線規制部11dは、リード線保持部11rを備えていなくても良い。
図7(A)に示す変形例では、接触面11eよりも下側に窪むリード線配置凹部11fがリード線規制部11dに形成されており、リード線配置凹部11fの左右方向の幅は、保持突起11gと保持突起11hとの左右方向の間隔よりも広くなっている。また、この変形例では、左右方向においてリード線配置凹部11fが形成されている部分がリード線規制部11dとなっている。なお、
図7(A)では、上述した形態と同様の構成には同一の符号を付している。
【0073】
上述した形態において、
図7(B)に示すように、リード線規制部11dにリード線配置凹部11fが形成されていなくても良い。すなわち、リード線規制部11dの上面が、底面14rに接触する接触面11eの一部となっていても良い。この場合には、底面部14aの底面14r側にリード線10の一部が配置される凹部14tが形成されている。凹部14tは、底面14rよりも上側に窪んでいる。この変形例では、左右方向において凹部14tの下側に配置される部分がリード線規制部11dとなっている。なお、
図7(B)では、上述した形態と同様の構成には同一の符号を付している。
【0074】
上述した形態では、直線駆動装置1は、2本のリード線10の引き回し位置を規定するための1個のホルダ11を備えているが、直線駆動装置1は、ホルダ11に代えて、または、ホルダ11に加えて、通過溝14dの右側を通過するリード線10の引き回し位置を規定するためのホルダと、通過溝14dの左側を通過するリード線10の引き回し位置を規定するためのホルダとの2個のホルダを備えていても良い。
【0075】
直線駆動装置1がホルダ11に代えて2個のホルダを備えている場合には、上述した形態と同様に、2個のホルダは底面部14aの後端部に配置されていても良いし、通過溝14dの右側と左側のそれぞれに1個のホルダが配置されていても良い。ただし、通過溝14dの右側と左側のそれぞれに1個のホルダが配置されている場合には、前後方向における底面部14aの後端とホルダとの間でリード線10の引き回し位置がばらつくおそれがあるため、2個のホルダは底面部14aの後端部に配置されていることが好ましい。
【0076】
上述した形態において、基板34から引き出された直後のリード線10は、ねじ36の頭部の左右方向の外側部分に沿って引き回されていても良い。また、上述した形態において、2本のリード線10が通過溝の右側または左側で一緒に引き回されていても良い。さらに、上述した形態では、回転軸4の一部が送りねじ軸4aとなっているが、回転軸4と別体で形成された送りねじ軸4aが回転軸4に固定されていても良い。また、上述した形態において、モータ2は、ステッピングモータ以外のモータであっても良い。
【符号の説明】
【0077】
1 直線駆動装置
2 モータ
3 可動体
4a 送りねじ軸
5 駆動用磁石
6 ロータ
7 駆動用コイル
8 ステータ
9 位置検知機構
10 リード線
11 ホルダ
11b 位置決め用突起
11d リード線規制部
11e 接触面
11f リード線配置凹部
11g、11h 保持突起
11j、11k 凸部
11r リード線保持部
14 フレーム
14a 底面部
14b 側面部(軸受保持部)
14c 側面部(被固定部)
14d 通過溝
14f 貫通穴(底面部貫通穴)
14r 底面
16 出力側軸受
28b 被検知部
32 検知器本体
33 端子ピン
34 基板
34a 貫通穴(端子用貫通穴)
34c 半田ランド
X 送りねじ軸の軸方向
X1 出力側
X2 反出力側
Y 第4方向
Z 第1方向
Z1 第2方向側
Z2 第3方向側