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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055675
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】カード付シート
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/00 20060101AFI20220401BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B65D73/00 H
B42D15/00 341D
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163231
(22)【出願日】2020-09-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日 令和2年7月20日 販売した場所 インコム・ジャパン株式会社 掲載日 令和2年8月4日 掲載アドレス https://osaka-channel.hikaritv.net/
(71)【出願人】
【識別番号】509273053
【氏名又は名称】山口証券印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】福岡 敬司
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA27
3E067AB40
3E067AC01
3E067BA15A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BC04A
3E067EA04
3E067EA05
3E067EB17
3E067EC22
3E067EC24
3E067EE02
3E067EE03
3E067EE15
3E067EE59
3E067FC05
3E067GD08
(57)【要約】
【課題】接着層を介して前記カードが前記シート側に支持されているカード付シートにおいて、前記カードを前記シート側から剥離させた際に、前記接着層を定着させる方向を容易にコントロールすることができるカード付シートを提供することを課題としている。
【解決手段】少なくとも一方側の面に所定の情報が印字された情報表示部が設けられたカードと、前記カードを支持するシートと、前記カードと前記シートを剥離可能に接着させる接着層とを備え、前記カード又は前記シートは、前記接着層と接着する面の少なくとも一部に、前記接着層からの剥離を促す剥離層を所定パターンで設けることによって、前記接着層との接着力をコントロールする調整部が形成された。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方側の面に所定の情報が印字された情報表示部が設けられたカードと、
前記カードを支持するシートと、
前記カードと前記シートを剥離可能に接着させる接着層とを備え、
前記カード又は前記シートは、前記接着層と接着する面の少なくとも一部に、前記接着層からの剥離を促す剥離層を所定パターンで設けることによって、前記接着層との接着力をコントロールする調整部が形成された
カード付シート。
【請求項2】
前記調整部を前記カード側に形成した
請求項1に記載のカード付シート。
【請求項3】
前記調整部を前記シート側に形成した
請求項1に記載のカード付シート。
【請求項4】
前記調整部は、前記接着層が接着される接着部と、該接着部の外周に形成される外縁部とを有し、前記接着層よりも大きく形成された
請求項1乃至3の何れかに記載のカード付シート。
【請求項5】
前記調整部は、透明な剥離層によって形成された
請求項1乃至4の何れかに記載のカード付シート。
【請求項6】
前記調整部の下層側に所定の情報が印字された情報表示部を設け、
前記情報表示部は、前記カードを前記シートから剥離させることにより閲覧可能な状態となるように構成された
請求項5に記載のカード付シート。
【請求項7】
前記接着層は、ホットメルトによって剥離可能に接着される接着剤により形成された
請求項1乃至6の何れかに記載のカード付シート。
【請求項8】
前記調整部は、前記剥離層の所定パターンを複数種類設けて構成された
請求項1乃至7の何れかに記載のカード付シート。
【請求項9】
前記接着層は、一方が長い長手状に形成され、
前記調整部は、前記接着層の長手方向端部側を長手方向中央側よりも剥離し易くなるように前記剥離層の所定パターンが設定された
請求項8に記載のカード付シート。
【請求項10】
前記接着層は、複数箇所で前記カードと前記シートとを接着するように構成され、
前記調整部は、前記接着層の配置に応じて複数箇所に設けられた
請求項1乃至8の何れかに記載のカード付シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードがシート側に剥離可能に接着されたカード付シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ECサイトで商品を購入したり、情報端末へアプリをダウンロードしたりする際のクレジットカード以外の決済・課金手段として、コンビニ等の店舗で販売されるPOSバーコード等の情報が印字された決済・課金用のカードが用いられており、前記カードの需要が年々増加している。
【0003】
前記カードをシート状の台紙に接着材等で支持したカード付シートとして販売し、購入後に前記カードを前記シートから剥離することにより、前記カード又はシート側に印字された決済に必要な情報が読取可能となるように構成された特許文献1に記載のカード付シートが従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-214080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献1では、少なくとも一方側の面に所定の情報が印字された情報表示部が設けられたカードと、前記カードを支持するシートと、前記カードを前記シート側に剥離可能に接着させる接着層とを備え、前記カード側の前記接着層に対応する位置に表面処理を施すことによって、前記カードが前記シート側から剥離し易く構成されたものであるが、前記カード及びシートの材質や硬度に応じて、前記接着層の全てが前記シート側に定着するように接着力を正確にコントロールすることは困難であり、前記カードの剥し方によっては接着層の一部が前記カード側に残る場合があるという課題があった。
【0006】
本発明は、接着層を介して前記カードが前記シート側に支持されているカード付シートにおいて、前記カードを前記シート側から剥離させた際に、前記接着層を定着させる方向を容易にコントロールすることができるカード付シートを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、少なくとも一方側の面に所定の情報が印字された情報表示部が設けられたカードと、前記カードを支持するシートと、前記カードと前記シートを剥離可能に接着させる接着層とを備え、前記カード又は前記シートは、前記接着層と接着する面の少なくとも一部に、前記接着層からの剥離を促す剥離層を所定パターンで設けることによって、前記接着層との接着力をコントロールする調整部が形成されたことを特徴としている。
【0008】
第2に、前記調整部を前記カード側に形成したことを特徴としている。
【0009】
第3に、前記調整部を前記シート側に形成したことを特徴としている。
【0010】
第4に、前記調整部は、前記接着層が接着される接着部と、該接着部の外周に形成される外縁部とを有し、前記接着層よりも大きく形成されたことを特徴としている。
【0011】
第5に、前記調整部は、透明な剥離層によって形成されたことを特徴としている。
【0012】
第6に、前記調整部の下層側に所定の情報が印字された情報表示部を設け、前記情報表示部は、前記カードを前記シートから剥離させることにより閲覧可能な状態となるように構成されたことを特徴としている。
【0013】
第7に、前記接着層は、ホットメルトによって剥離可能に接着される接着剤により形成されたことを特徴としている。
【0014】
第8に、前記調整部は、前記接着層と接着されるエリアによって前記剥離層のパターンを異ならせたことを特徴としている。
【0015】
第9に、前記接着層は、一方が長い長手状に形成され、前記調整部は、前記接着層の長手方向端部側を長手方向中央側よりも剥離し易くなるように剥離層の所定パターンが設定されたことを特徴としている。
【0016】
第10に、前記接着層は、複数箇所で前記カードと前記シートとを接着するように構成され、前記調整部は、前記接着層の配置に応じて複数箇所に設けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
前記カード又はシートの何れか一方側に前記接着層との接着力を調整する前記調整部を形成したことにより、前記接着層を前記カード又は前記シートの何れか一方に確実に定着させた状態で前記カードを前記シートからスムーズに取外すことができる。また、前記調整部を、所定パターンで前記剥離層を設けて形成したことによって、前記カードや前記シートの材質や前記接着層の種類に応じて、前記接着層との接着力を容易に調整することができるため、汎用性も高くなる。
【0018】
また、前記調整部を前記カード側に形成したものによれば、前記接着層の全てを前記シート側に残した状態で、前記カードを前記シート側からスムーズに剥離させることができるため、前記カードをより綺麗な状態で保管できる他、前記カードに傷等がついたり接着部が残ったりすることで前記情報表示部の一部が見えなくなることも防止できる。
【0019】
また、前記調整部を前記シート側に形成したものによれば、前記接着層の全てを前記カード側に残した状態で、前記カードを前記シート側からスムーズに剥離させることができるため、前記シートをより綺麗な状態で保管できる。
【0020】
また、前記調整部は、前記接着層が接着される接着部と、該接着部の外周に形成される外縁部とを有し、前記接着層よりも大きく形成されたものによれば、前記接着層を介して前記カードと前記シートとを接着させる際の貼り付け公差を大きく取ることができるため、前記カードと前記シートとの接着作業をよりスムーズに行うことができる。
【0021】
また、前記調整部は、透明な剥離層によって形成され、前記調整部の下層側に所定の情報が印字された関連情報部を設け、前記関連情報部は、前記カードを前記シートから剥離させることにより閲覧可能な状態となるように構成されたたものによれば、前記調整部の形成エリアに文字情報を配置できる他、該調整部を含む全体のデザイン性を損なうことも防止できる。
【0022】
また、前記接着層は、ホットメルトによって剥離可能に接着される接着剤により形成されたものによれば、前記カードを前記シート側により簡易な工程で剥離可能に接着支持させることができる。
【0023】
また、前記接着層は、一方が長い長手状に形成され、前記調整部は、前記接着層の長手方向端部側を長手方向中央側よりも剥離し易くなるように前記剥離層の所定パターンが設定されたものによれば、前記カードを前記シートから剥離する際の剥がし易さと、前記カードを前記シート側に確実に接着支持する安定性とを両立させることができる。
【0024】
なお、前記接着層は、複数箇所で前記カードと前記シートとを接着するように構成され、前記調整部は、前記接着層の配置に応じて複数箇所に設けられたものによれば、単一の接着層を用いるものと比較して、前記接着層と、前記調整部とが設けられる範囲を節約しつつ、前記カードと前記シートとを再剥離可能に接着できるため、コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(A)及び(B)は、カード付シートの正面図及び背面図である。
図2】(A)は、カードの接着面側を示す背面図であり、(B)は、シートの接着面側を示す正面図である。
図3】(A)は、カード付シートのA-A断面図であり、(B)は、カードを取外した状態を示すA-A断面図である。
図4】(A)乃至(C)は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。
図5】(D)乃至(F)は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。
図6】(G)乃至(I)は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。
図7】(A)は、別実施例のカードの接着面側を示す背面図であり、(B)は、別実施例のシートの接着面側を示す正面図である。
図8】(A)は、別実施例のカード付シートのA-A断面図であり、(B)は、別実施例のカードを取外した状態を示すA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1(A)及び(B)は、カード付シートの正面図及び背面図であり、図2(A)は、カードの接着面側を示す背面図であり、図2(B)は、シートの接着面側を示す正面図であり、図3(A)は、カード付シートのA-A断面図であり、図3(B)は、カードを取外した状態を示すA-A断面図である。図示されるように、本願発明の前記カード付シートは、所定の情報が印刷された情報表示部を有するカード1と、方形状の板状部材であって表面の下部側に前記カード1が支持される支持シート(シート)2と、前記支持シート2の表面側に前記カード1の裏面側を剥離可能に接着支持する接着層3とを備えている。
【0027】
前記カード1は、所定の金額が決済可能な紙製又は樹脂製のプリペイドカードやギフトカード等である。前記カード1は、前記支持シート2側に接着支持される裏面1b側に、該カード1を特定するためのバーコード等からなる識別情報部(情報表示部)6と、該識別情報部6と関連付けがされたコード情報等からなる関連情報部(情報表示部)7とが並べて表示される他、その他の図示しない文字情報や絵柄(情報表示部)も印刷されている。また、該カード裏面1bには、前記接着層3と接着する接着面に、前記接着層3との接着力を調整するための調整部10が形成されている(図1及び図2(A)等参照)。
【0028】
前記カード裏面1bに印刷された前記識別情報部6と、前記関連情報部7とは、印刷される時点で関連付けされており、前記カード1(付シート)の購入時等に、前記識別情報部6の情報(具体的にはバーコード)を利用して、前記関連情報部7に記載された情報(具体的にはPIN情報)を利用可能とするアクティベーション処理が実行されることにより、前記関連情報部7の情報が利用可能となるように構成されている。
【0029】
前記カード表面1aには、プリペイドカードやギフトカードとして決済可能な金額に関する情報の他、決済可能なサービスに関する絵柄やキャラクターを表したデザイン(情報表示部)を表示しても良い(いずれも図示しない)。該カード表面1aのデザイン(絵柄)は、購入者がカードを集めたくなるように、複数のデザインを用意したり、時期に応じて限定のデザインを用意したりしても良い。
【0030】
前記支持シート2は、図示する例では、その左右方向は前記カード1の横幅よりも若干幅広に形成され、その上下方向は前記カード1の縦幅の2倍以上長く形成された紙製又は樹脂製の方形板状部材である。なお、該支持シート2の横幅と縦幅とは、キャッシュカード程のサイズの前記カード1と同程度から若干大きい範囲に限られず、A4サイズほどの大きさに形成しても良い。該支持シート2の上端側には、什器等のフックに挿通して陳列するための係止孔11が穿設され、該支持シート2の下半部には、前記接着層3を介して前記カード1が接着支持されている。
【0031】
また、該支持シート2の下端側には、前記カード裏面1b側に表示される前記識別情報部6(バーコード)が露出させるための左右方向の開口部12が形成されている。これにより、該支持シート表面2aの下部側に前記接着層3を介して前記カード1が接着支持された状態であっても、前記開口部12を介して前記支持シート裏面2b側から前記カード裏面1bのバーコード6を読み取ることができるように構成されている(図2(B)参照)。
【0032】
ちなみに、該支持シート2の上部側には、接着される前記カード表面1aのデザイン(絵柄)に合わせたデザインを施しても良い。
【0033】
前記接着層3は、メルトガン(図示しない)やこれに準ずる装置を用いて前記カード(裏面)1と前記支持シート(表面)2との間に設けられて両者を圧着する樹脂製のホットメルト接着剤であって、前記カード裏面1bの上下方向中央側の左右方向を、前記シート表面2aの下部側(より具体的には前記開口部12上側に沿った左右方向)に再剥離可能に接着支持できるように構成されている。
【0034】
これにより、前記カード1は、前記接着層3を介してより安定的に前記支持シート2下部側に接着支持することができる。ちなみに、図示する例では、前記接着層3は、前記カードの長手方向に沿った単一の棒状(長方形状)に形成したが、該接着層3は、丸や四角等からなるドット状の接着層3を複数配置して構成したものであっても良い。さらに、前記接着層3は、前記カード1を剥離可能に前記支持シート2側に接着できる接着剤であれば良く、ホットメルト接着剤には限られない。
【0035】
このとき、前記接着層3は、前記カード裏面1b側に形成された前記調整部10と接着支持されており、該接着層3の全てを前記支持シート2側に残した状態で、前記カード1を前記支持シート2(接着層3)からスムーズに取外す(剥離させる)ことができるように構成されている。該調整部10の具体的な構成について、以下説明する。
【0036】
前記調整部10は、前記カード裏面1bの対象箇所に前記接着層3から剥離し易くなる剥離ニス(シリコンニス)等からなる剥離塗料を塗布することにより形成された剥離層である。前記調整部(剥離層)10は、前記接着層3よりも一回り大きく形成(塗布)することによって、前記接着部と熱圧着される接着部(メルトゾーン、圧着部)10aと、該接着部10aの外周を囲うように形成される外縁部10bとから構成されている(図2(A)、図4乃至6等参照)。
【0037】
該構成によれば、前記接着層3を前記カード裏面1bの前記調整部10側に接着させる際の貼り付け公差を大きくとることができるため、前記カードを前記支持シート側に接着支持させてカード付シートを製造する作業がよりスムーズ且つ容易に行うことができるようになる。
【0038】
また、前記調整部10は、前記カード裏面1bに印刷された運用規約その他の文字情報の上から、無色透明な剥離ニス(剥離塗料)を塗布することにより構成しても良い。該構成によれば、前記調整部10に無色透明な剥離塗料を用いたことでカード裏面1bに印刷された文字情報・絵柄等がそのまま視認可能な状態となるため、該調整部10が前記カードのデザインの邪魔にならない。
【0039】
なお、該調整部10を、前記関連情報部7の上から印刷する構成としても良い(図2(A)参照)。これによれば、前記カード1は、前記支持シート2側に接着支持された状態では、前記開口部12を介してカード1裏面の前記識別情報部6のみ視認可能な状態となる一方で、前記カード1(付シート)の購入者が前記カード1を前記支持シート2から取外す(剥離させる)ことにより、前記カード1の裏面に記載された前記関連情報部7が視認可能な状態となるように構成される(図3等参照)。該構成によれば、簡易な構成でカード付シートの購入前に前記関連情報部7を盗み見る行為をより確実に防止することができる。
【0040】
また、前記調整部10は、前記剥離塗料を対象箇所全体に塗布せずに、所定の模様(パターン)で塗布することによって形成されている。該構成の調整部10によれば、前記剥離塗料の塗装パターンを適宜変更することによって、前記カード1と前記接着層3との間の接着力を、前記支持シート2と前記接着層3との間の接着力と比較して、適度に調整しながら弱めることができる。
【0041】
該構成によれば、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から剥がすことができるとともに、前記カード1を前記支持シート2側から取外した際に、前記接着層3の全てが前記支持シート側に残るように前記接着層3の定着方向をより容易且つ確実にコントロールすることができる。
【0042】
これにより、特に前記カード1が紙製の場合であっても、該カード1を前記支持シート2(接着層3)から剥離させた際に、前記カード1と前記接着層3との接着力が強すぎて該カード1の表面が破れてしまうという事態をより確実に防止し、前記カード1を前記支持シート2から綺麗に取外すことができる。また、前記カード1を前記支持シート2から取外した場合に、該カード1の裏面に前記接着層3が残ることによって、前記カード裏面1bに印刷された文字情報や絵柄、前記関連情報部7等が読み取れないという事態を確実に防止することができる。
【0043】
また、該構成によれば、前記接着層3を構成する接着剤の種類や、前記カード1・前記支持シート2を構成する素材の種類等が変わった場合であっても、前記剥離塗料の塗装パターンを変更することによって、前記カード1前記接着層3との間の接着力を自在に調整することができる。該調整部を構成する剥離塗料の所定パターン(塗装パターン)の具体的例については後述する。
【0044】
なお、前記調整部10は、前記接着層3との関係で接着力を調整可能なものであれば剥離塗料を塗布する構成には限られず、前記カード1の対象箇所に剥離を促す剥離シールを貼付したり、前記カード1の対象面に前記接着層からの剥離を促す剥離処理を加工したりする構成であっても良い。
【0045】
ちなみに、前記調整部10は、上述の図示する例では、左右方向に長い棒状の前記接着層3に応じて単一の長方形状に形成されている(図2(A)及び(B)等参照)が、例えば、前記接着層3が、接着剤をドット状に複数配置したことにより構成されている場合には、前記カード裏面1bに形成される前記調整部10を、前記接着層3の形状・配置に応じて、ドット(丸・方形状等)状の剥離層を複数箇所に配置することにより構成しても良い(図示しない)。
【0046】
また、前記調整部10は、上述の図示する例では前記接着層3の全体が収まるように該接着層3よりも一回り大きい長方形状に構成されている(図2(B)等参照)が、該接着層3の一部、例えば、ドット(丸・方形状等)状の前記調整部10を、長方形状に設けられた前記接着層3に沿って所定間隔で複数(2以上)配置した構成としても良い。
【0047】
次に、図4乃至6に基づき、前記調整部を構成するパターンの具体的な例について説明する。図4乃至図6は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。なお、図4乃至6で示した例では、剥離塗料を塗布した箇所を黒色で表示しているが、実際には無色透明な塗料が塗布される。
【0048】
図4(A)に示されるように、前記調整部10は、長方形状の所定の対象箇所に対して、前記剥離塗料による斜線を所定間隔で並べて配置することにより構成されている。図示する例では、斜線のライン幅と、送り幅とが同程度となっているが、一方を太く形成した構成であっても良い。
【0049】
該構成によれば、前記剥離塗料による斜線のライン幅と、隣接する斜線間の幅(ピッチ、送り幅)とを調整(言い換えると、前記調整部10内における前記剥離塗料の面積を調整)することにより、前記接着層3と前記カード1(調整部10)との間の接着力を任意に調整することができる。
【0050】
また、前記支持シート2(接着層3)に接着支持された前記カード1を、前記剥離塗料による斜線の延設方向に沿って(具体的には、左下から右上、又は右上から左下に向けて)剥がすことによって、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から取外すことができる。
【0051】
図4(B)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に対して、前記剥離塗料による斜線を格子状に配置した構成であっても良い。
【0052】
該構成によれば、前記支持シート2(接着層3)に接着支持された前記カード1を、前記調整部10の対角線の方向(斜線方向)に沿って剥がすことにより、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から取外すことができる。
【0053】
図4(C)に示されるように、前記調整部10は、長方形状の所定の対象箇所に対して、左右方向の中心から左方向に向かって「<」を、左右方向の中心から右方向に向かって「>」を並べて配置した(言い換えると、左右方向の中心から菱形状の図形を二重、三重と徐々に大きくしながら複数段に配置した)構成であっても良い。
【0054】
該構成によれば、前記調整部10は、前記剥離塗料によって該調整部10の左右端側から左右内側に向かう上下一対の斜線を複数並べて形成されるため、前記支持シート2(接着層3)に接着支持された前記カード1を、前記調整部10の左右端側から左右内側に向けて剥がすことによって、前記カード1をよりスムーズに前記支持シート2側から取外すことができる。
【0055】
図5(D)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に、前記剥離塗料を格子状に塗布しない構成、言い換えると、菱形状のドットが並べて配置されるように前記剥離塗料を塗布した構成であっても良い。
【0056】
図5(E)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に、前記剥離塗料を市松模様状に塗布した構成であっても良い。
【0057】
図5(F)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に、前記剥離塗料をドット状に塗布した構成であっても良い。
【0058】
上記の図5(D)乃至(F)の構成によれば、前記調整部内に前記剥離塗料を偏りなく配置できるため、前記カードをより安定的に前記支持シート側に接着支持することができる。また、ドット等の大きさや粗密を調整することで、前記調整部10内における前記剥離塗料の面積の調整も簡単にできるため、前記カードの前記支持シート(接着層)側への接着力の調整もスムーズ且つ容易に行うことができる。
【0059】
図6(G)に示されるように、前記調整部10は、調整左部10Lと、調整中央部10Cと、調整右部10Rとに長手方向に3分割するとともに、前記調整左部10Lと前記調整右部10Rは、前記剥離塗料をベタ塗し、前記調整中央部10Cは、前記剥離塗料を塗らない構成としても良い。
【0060】
該構成によれば、左右方向に長い前記調整部10の左右端側は、前記接着層3から剥離し易くなる一方で、前記調整部10の中央側ではしっかりと前記接着層3に接着されるため、前記カード1の前記支持シート2側への十分な支持と、前記カード1の前記支持シート2(接着層4)からの取外し易さとを両立させることができる。
【0061】
これに対し、前記調整左部10Lと調整右部10Rは、前記剥離塗料をベタ塗する一方で、前記調整中央部10Cには、左右方向の中心から菱形状の図形を二重、三重と徐々に大きくしながら複数段に配置した構成(図6(H)参照)や、前記調整左部10Lと調整右部10Rは、前記剥離塗料をベタ塗する一方で、前記調整中央部10Cには、前記剥離塗料をドット状に塗布した構成(図6(I)参照)としても良い。なお、上記において、左右の調整部10L,10Rも剥離塗料を所定パターンで塗布する構成としても良い。
【0062】
該構成によれば、前記調整中央部(カード表面)と前記接着層との間の接着力が強く、前記カードを前記支持シート側から綺麗に剥がせないという事態にも対応することができる。
【0063】
ちなみに、上述の例では、前記調整部10を長手方向に3分割して各エリアで剥離塗料の塗装パターンを変更したが、前記調整部10を長手方向に2分割したり、より細かく複数分割したり、短手方向に複数分割したりした構成であっても良い。さらに、上述の例では、分割された前記調整部10を、剥離塗料をベタ塗りしたエリアと、所定パターンで塗布したエリアとの2種類に分けたが、3種類以上のパターンを用いて前記調整部10を形成しても良い。
【0064】
次に、図7及び図8に基づき、本発明のカード付シートの別実施例について、上述の例と異なる点を説明する。図7(A)は、カードの接着面側を示す背面図であり、図7(B)は、シートの接着面側を示す正面図であり、図8(A)は、カード付シートのA-A断面図であり、図8(B)は、カードを取外した状態を示すA-A断面図である。
【0065】
前記カード1は、前記支持シート2側に接着支持される裏面側に、前記識別情報部6が表示されている。
【0066】
前記支持シート2は、その上端側には、前記係止孔11が穿設され、その下端側には、前記開口部12が形成されている。また、該支持シート表面2aの下部には、前記識別情報部6と関連付けがされた前記関連情報部7が印字されており、該関連情報部7上には無色透明な剥離塗料からなる前記調整部10が設けられている(図7及び図8参照)。
【0067】
前記接着層3は、前記カード1を前記支持シート2側に接着支持する。このとき、該接着層3は、前記支持シート2表面側の前記調整部10と接着することにより、前記接着層3と前記支持シート2側との接着力を調整できるように構成されている。
【0068】
該構成によれば、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から剥がすことができるとともに、前記カード1を前記支持シート2側から取外した際に、前記接着層3の全てが前記カード1の裏面側に残るように前記接着層3の定着方向をコントロールすることができる。これにより、前記支持シート2をより綺麗な状態で保管することができるため、絵柄に特徴のある前記支持シートを蒐集する目的の購入者の需要を満たすことができる。
【0069】
すなわち、購入者は、前記カード1を前記支持シート2側から取外すことによって、前記支持シート2側に記載された前記関連情報部7上に接着された接着層3を綺麗に除去して視認できる状態とすることができる(図8(A)及び(B)参照)。
【符号の説明】
【0070】
1 カード
2 支持シート(シート)
3 接着層
6 識別情報部(情報表示部)
7 関連情報部(情報表示部)
10 調整部
10a 圧着部(接着部)
10b 外縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方側の面に所定の情報が印字された情報表示部が設けられたカードと、
前記カードを支持するシートと、
前記カードと前記シートを剥離可能に接着させる接着層とを備え、
前記カード又は前記シートは、前記接着層と接着する面の少なくとも一部に、前記接着層からの剥離を促す剥離層を所定パターンで設けることによって、前記接着層との接着力をコントロールする調整部が形成され
前記調整部は、前記接着層が接着される接着部と、該接着部の外周に形成される外縁部とを有し、前記接着層よりも大きく形成され、
前記調整部は、前記外縁部内で剥離塗料を所定の塗装パターンで塗布することにより形成され、前記剥離塗料の塗装パターンによって前記カードと前記シートの間の接着力を調整できるように構成された
カード付シート。
【請求項2】
前記調整部を前記カード側に形成した
請求項1に記載のカード付シート。
【請求項3】
前記調整部を前記シート側に形成した
請求項1に記載のカード付シート。
【請求項4】
前記調整部は、透明な剥離層によって形成された
請求項1乃至の何れかに記載のカード付シート。
【請求項5】
前記調整部の下層側に所定の情報が印字された情報表示部を設け、
前記情報表示部は、前記カードを前記シートから剥離させることにより閲覧可能な状態となるように構成された
請求項に記載のカード付シート。
【請求項6】
前記接着層は、ホットメルトによって剥離可能に接着される接着剤により形成された
請求項1乃至の何れかに記載のカード付シート。
【請求項7】
前記調整部は、前記剥離層の所定パターンを複数種類設けて構成された
請求項1乃至の何れかに記載のカード付シート。
【請求項8】
前記接着層は、一方が長い長手状に形成され、
前記調整部は、前記接着層の長手方向端部側を長手方向中央側よりも剥離し易くなるように前記剥離層の所定パターンが設定された
請求項に記載のカード付シート。
【請求項9】
前記接着層は、複数箇所で前記カードと前記シートとを接着するように構成され、
前記調整部は、前記接着層の配置に応じて複数箇所に設けられた
請求項1乃至の何れかに記載のカード付シート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードがシート側に剥離可能に接着されたカード付シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ECサイトで商品を購入したり、情報端末へアプリをダウンロードしたりする際のクレジットカード以外の決済・課金手段として、コンビニ等の店舗で販売されるPOSバーコード等の情報が印字された決済・課金用のカードが用いられており、前記カードの需要が年々増加している。
【0003】
前記カードをシート状の台紙に接着材等で支持したカード付シートとして販売し、購入後に前記カードを前記シートから剥離することにより、前記カード又はシート側に印字された決済に必要な情報が読取可能となるように構成された特許文献1に記載のカード付シートが従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-214080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献1では、少なくとも一方側の面に所定の情報が印字された情報表示部が設けられたカードと、前記カードを支持するシートと、前記カードを前記シート側に剥離可能に接着させる接着層とを備え、前記カード側の前記接着層に対応する位置に表面処理を施すことによって、前記カードが前記シート側から剥離し易く構成されたものであるが、前記カード及びシートの材質や硬度に応じて、前記接着層の全てが前記シート側に定着するように接着力を正確にコントロールすることは困難であり、前記カードの剥し方によっては接着層の一部が前記カード側に残る場合があるという課題があった。
【0006】
本発明は、接着層を介して前記カードが前記シート側に支持されているカード付シートにおいて、前記カードを前記シート側から剥離させた際に、前記接着層を定着させる方向を容易にコントロールすることができるカード付シートを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、少なくとも一方側の面に所定の情報が印字された情報表示部が設けられたカードと、前記カードを支持するシートと、前記カードと前記シートを剥離可能に接着させる接着層とを備え、前記カード又は前記シートは、前記接着層と接着する面の少なくとも一部に、前記接着層からの剥離を促す剥離層を所定パターンで設けることによって、前記接着層との接着力をコントロールする調整部が形成され、前記調整部は、前記接着層が接着される接着部と、該接着部の外周に形成される外縁部とを有し、前記接着層よりも大きく形成され、前記調整部は、前記外縁部内で剥離塗料を所定の塗装パターンで塗布することにより形成され、前記剥離塗料の塗装パターンによって前記カードと前記シートの間の接着力を調整できるように構成されたことを特徴としている。
【0008】
第2に、前記調整部を前記カード側に形成したことを特徴としている。
【0009】
第3に、前記調整部を前記シート側に形成したことを特徴としている。
【0010】
第4に、前記調整部は、透明な剥離層によって形成されたことを特徴としている。
【0011】
第5に、前記調整部の下層側に所定の情報が印字された情報表示部を設け、前記情報表示部は、前記カードを前記シートから剥離させることにより閲覧可能な状態となるように構成されたことを特徴としている。
【0012】
第6に、前記接着層は、ホットメルトによって剥離可能に接着される接着剤により形成されたことを特徴としている。
【0013】
第7に、前記調整部は、前記接着層と接着されるエリアによって前記剥離層のパターンを異ならせたことを特徴としている。
【0014】
第8に、前記接着層は、一方が長い長手状に形成され、前記調整部は、前記接着層の長手方向端部側を長手方向中央側よりも剥離し易くなるように剥離層の所定パターンが設定されたことを特徴としている。
【0015】
第9に、前記接着層は、複数箇所で前記カードと前記シートとを接着するように構成され、前記調整部は、前記接着層の配置に応じて複数箇所に設けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
前記カード又はシートの何れか一方側に前記接着層との接着力を調整する前記調整部を形成したことにより、前記接着層を前記カード又は前記シートの何れか一方に確実に定着させた状態で前記カードを前記シートからスムーズに取外すことができる。また、前記調整部を、所定パターンで前記剥離層を設けて形成したことによって、前記カードや前記シートの材質や前記接着層の種類に応じて、前記接着層との接着力を容易に調整することができるため、汎用性も高くなる。
【0017】
また、前記調整部を前記カード側に形成したものによれば、前記接着層の全てを前記シート側に残した状態で、前記カードを前記シート側からスムーズに剥離させることができるため、前記カードをより綺麗な状態で保管できる他、前記カードに傷等がついたり接着部が残ったりすることで前記情報表示部の一部が見えなくなることも防止できる。
【0018】
また、前記調整部を前記シート側に形成したものによれば、前記接着層の全てを前記カード側に残した状態で、前記カードを前記シート側からスムーズに剥離させることができるため、前記シートをより綺麗な状態で保管できる。
【0019】
また、前記調整部は、前記接着層が接着される接着部と、該接着部の外周に形成される外縁部とを有し、前記接着層よりも大きく形成されたものによれば、前記接着層を介して前記カードと前記シートとを接着させる際の貼り付け公差を大きく取ることができるため、前記カードと前記シートとの接着作業をよりスムーズに行うことができる。
【0020】
また、前記調整部は、透明な剥離層によって形成され、前記調整部の下層側に所定の情報が印字された関連情報部を設け、前記関連情報部は、前記カードを前記シートから剥離させることにより閲覧可能な状態となるように構成されたたものによれば、前記調整部の形成エリアに文字情報を配置できる他、該調整部を含む全体のデザイン性を損なうことも防止できる。
【0021】
また、前記接着層は、ホットメルトによって剥離可能に接着される接着剤により形成されたものによれば、前記カードを前記シート側により簡易な工程で剥離可能に接着支持させることができる。
【0022】
また、前記接着層は、一方が長い長手状に形成され、前記調整部は、前記接着層の長手方向端部側を長手方向中央側よりも剥離し易くなるように前記剥離層の所定パターンが設定されたものによれば、前記カードを前記シートから剥離する際の剥がし易さと、前記カードを前記シート側に確実に接着支持する安定性とを両立させることができる。
【0023】
なお、前記接着層は、複数箇所で前記カードと前記シートとを接着するように構成され、前記調整部は、前記接着層の配置に応じて複数箇所に設けられたものによれば、単一の接着層を用いるものと比較して、前記接着層と、前記調整部とが設けられる範囲を節約しつつ、前記カードと前記シートとを再剥離可能に接着できるため、コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(A)及び(B)は、カード付シートの正面図及び背面図である。
図2】(A)は、カードの接着面側を示す背面図であり、(B)は、シートの接着面側を示す正面図である。
図3】(A)は、カード付シートのA-A断面図であり、(B)は、カードを取外した状態を示すA-A断面図である。
図4】(A)乃至(C)は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。
図5】(D)乃至(F)は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。
図6】(G)乃至(I)は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。
図7】(A)は、別実施例のカードの接着面側を示す背面図であり、(B)は、別実施例のシートの接着面側を示す正面図である。
図8】(A)は、別実施例のカード付シートのA-A断面図であり、(B)は、別実施例のカードを取外した状態を示すA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1(A)及び(B)は、カード付シートの正面図及び背面図であり、図2(A)は、カードの接着面側を示す背面図であり、図2(B)は、シートの接着面側を示す正面図であり、図3(A)は、カード付シートのA-A断面図であり、図3(B)は、カードを取外した状態を示すA-A断面図である。図示されるように、本願発明の前記カード付シートは、所定の情報が印刷された情報表示部を有するカード1と、方形状の板状部材であって表面の下部側に前記カード1が支持される支持シート(シート)2と、前記支持シート2の表面側に前記カード1の裏面側を剥離可能に接着支持する接着層3とを備えている。
【0026】
前記カード1は、所定の金額が決済可能な紙製又は樹脂製のプリペイドカードやギフトカード等である。前記カード1は、前記支持シート2側に接着支持される裏面1b側に、該カード1を特定するためのバーコード等からなる識別情報部(情報表示部)6と、該識別情報部6と関連付けがされたコード情報等からなる関連情報部(情報表示部)7とが並べて表示される他、その他の図示しない文字情報や絵柄(情報表示部)も印刷されている。また、該カード裏面1bには、前記接着層3と接着する接着面に、前記接着層3との接着力を調整するための調整部10が形成されている(図1及び図2(A)等参照)。
【0027】
前記カード裏面1bに印刷された前記識別情報部6と、前記関連情報部7とは、印刷される時点で関連付けされており、前記カード1(付シート)の購入時等に、前記識別情報部6の情報(具体的にはバーコード)を利用して、前記関連情報部7に記載された情報(具体的にはPIN情報)を利用可能とするアクティベーション処理が実行されることにより、前記関連情報部7の情報が利用可能となるように構成されている。
【0028】
前記カード表面1aには、プリペイドカードやギフトカードとして決済可能な金額に関する情報の他、決済可能なサービスに関する絵柄やキャラクターを表したデザイン(情報表示部)を表示しても良い(いずれも図示しない)。該カード表面1aのデザイン(絵柄)は、購入者がカードを集めたくなるように、複数のデザインを用意したり、時期に応じて限定のデザインを用意したりしても良い。
【0029】
前記支持シート2は、図示する例では、その左右方向は前記カード1の横幅よりも若干幅広に形成され、その上下方向は前記カード1の縦幅の2倍以上長く形成された紙製又は樹脂製の方形板状部材である。なお、該支持シート2の横幅と縦幅とは、キャッシュカード程のサイズの前記カード1と同程度から若干大きい範囲に限られず、A4サイズほどの大きさに形成しても良い。該支持シート2の上端側には、什器等のフックに挿通して陳列するための係止孔11が穿設され、該支持シート2の下半部には、前記接着層3を介して前記カード1が接着支持されている。
【0030】
また、該支持シート2の下端側には、前記カード裏面1b側に表示される前記識別情報部6(バーコード)が露出させるための左右方向の開口部12が形成されている。これにより、該支持シート表面2aの下部側に前記接着層3を介して前記カード1が接着支持された状態であっても、前記開口部12を介して前記支持シート裏面2b側から前記カード裏面1bのバーコード6を読み取ることができるように構成されている(図2(B)参照)。
【0031】
ちなみに、該支持シート2の上部側には、接着される前記カード表面1aのデザイン(絵柄)に合わせたデザインを施しても良い。
【0032】
前記接着層3は、メルトガン(図示しない)やこれに準ずる装置を用いて前記カード(裏面)1と前記支持シート(表面)2との間に設けられて両者を圧着する樹脂製のホットメルト接着剤であって、前記カード裏面1bの上下方向中央側の左右方向を、前記シート表面2aの下部側(より具体的には前記開口部12上側に沿った左右方向)に再剥離可能に接着支持できるように構成されている。
【0033】
これにより、前記カード1は、前記接着層3を介してより安定的に前記支持シート2下部側に接着支持することができる。ちなみに、図示する例では、前記接着層3は、前記カードの長手方向に沿った単一の棒状(長方形状)に形成したが、該接着層3は、丸や四角等からなるドット状の接着層3を複数配置して構成したものであっても良い。さらに、前記接着層3は、前記カード1を剥離可能に前記支持シート2側に接着できる接着剤であれば良く、ホットメルト接着剤には限られない。
【0034】
このとき、前記接着層3は、前記カード裏面1b側に形成された前記調整部10と接着支持されており、該接着層3の全てを前記支持シート2側に残した状態で、前記カード1を前記支持シート2(接着層3)からスムーズに取外す(剥離させる)ことができるように構成されている。該調整部10の具体的な構成について、以下説明する。
【0035】
前記調整部10は、前記カード裏面1bの対象箇所に前記接着層3から剥離し易くなる剥離ニス(シリコンニス)等からなる剥離塗料を塗布することにより形成された剥離層である。前記調整部(剥離層)10は、前記接着層3よりも一回り大きく形成(塗布)することによって、前記接着部と熱圧着される接着部(メルトゾーン、圧着部)10aと、該接着部10aの外周を囲うように形成される外縁部10bとから構成されている(図2(A)、図4乃至6等参照)。
【0036】
該構成によれば、前記接着層3を前記カード裏面1bの前記調整部10側に接着させる際の貼り付け公差を大きくとることができるため、前記カードを前記支持シート側に接着支持させてカード付シートを製造する作業がよりスムーズ且つ容易に行うことができるようになる。
【0037】
また、前記調整部10は、前記カード裏面1bに印刷された運用規約その他の文字情報の上から、無色透明な剥離ニス(剥離塗料)を塗布することにより構成しても良い。該構成によれば、前記調整部10に無色透明な剥離塗料を用いたことでカード裏面1bに印刷された文字情報・絵柄等がそのまま視認可能な状態となるため、該調整部10が前記カードのデザインの邪魔にならない。
【0038】
なお、該調整部10を、前記関連情報部7の上から印刷する構成としても良い(図2(A)参照)。これによれば、前記カード1は、前記支持シート2側に接着支持された状態では、前記開口部12を介してカード1裏面の前記識別情報部6のみ視認可能な状態となる一方で、前記カード1(付シート)の購入者が前記カード1を前記支持シート2から取外す(剥離させる)ことにより、前記カード1の裏面に記載された前記関連情報部7が視認可能な状態となるように構成される(図3等参照)。該構成によれば、簡易な構成でカード付シートの購入前に前記関連情報部7を盗み見る行為をより確実に防止することができる。
【0039】
また、前記調整部10は、前記剥離塗料を対象箇所全体に塗布せずに、所定の模様(パターン)で塗布することによって形成されている。該構成の調整部10によれば、前記剥離塗料の塗装パターンを適宜変更することによって、前記カード1と前記接着層3との間の接着力を、前記支持シート2と前記接着層3との間の接着力と比較して、適度に調整しながら弱めることができる。
【0040】
該構成によれば、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から剥がすことができるとともに、前記カード1を前記支持シート2側から取外した際に、前記接着層3の全てが前記支持シート側に残るように前記接着層3の定着方向をより容易且つ確実にコントロールすることができる。
【0041】
これにより、特に前記カード1が紙製の場合であっても、該カード1を前記支持シート2(接着層3)から剥離させた際に、前記カード1と前記接着層3との接着力が強すぎて該カード1の表面が破れてしまうという事態をより確実に防止し、前記カード1を前記支持シート2から綺麗に取外すことができる。また、前記カード1を前記支持シート2から取外した場合に、該カード1の裏面に前記接着層3が残ることによって、前記カード裏面1bに印刷された文字情報や絵柄、前記関連情報部7等が読み取れないという事態を確実に防止することができる。
【0042】
また、該構成によれば、前記接着層3を構成する接着剤の種類や、前記カード1・前記支持シート2を構成する素材の種類等が変わった場合であっても、前記剥離塗料の塗装パターンを変更することによって、前記カード1前記接着層3との間の接着力を自在に調整することができる。該調整部を構成する剥離塗料の所定パターン(塗装パターン)の具体的例については後述する。
【0043】
なお、前記調整部10は、前記接着層3との関係で接着力を調整可能なものであれば剥離塗料を塗布する構成には限られず、前記カード1の対象箇所に剥離を促す剥離シールを貼付したり、前記カード1の対象面に前記接着層からの剥離を促す剥離処理を加工したりする構成であっても良い。
【0044】
ちなみに、前記調整部10は、上述の図示する例では、左右方向に長い棒状の前記接着層3に応じて単一の長方形状に形成されている(図2(A)及び(B)等参照)が、例えば、前記接着層3が、接着剤をドット状に複数配置したことにより構成されている場合には、前記カード裏面1bに形成される前記調整部10を、前記接着層3の形状・配置に応じて、ドット(丸・方形状等)状の剥離層を複数箇所に配置することにより構成しても良い(図示しない)。
【0045】
また、前記調整部10は、上述の図示する例では前記接着層3の全体が収まるように該接着層3よりも一回り大きい長方形状に構成されている(図2(B)等参照)が、該接着層3の一部、例えば、ドット(丸・方形状等)状の前記調整部10を、長方形状に設けられた前記接着層3に沿って所定間隔で複数(2以上)配置した構成としても良い。
【0046】
次に、図4乃至6に基づき、前記調整部を構成するパターンの具体的な例について説明する。図4乃至図6は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。なお、図4乃至6で示した例では、剥離塗料を塗布した箇所を黒色で表示しているが、実際には無色透明な塗料が塗布される。
【0047】
図4(A)に示されるように、前記調整部10は、長方形状の所定の対象箇所に対して、前記剥離塗料による斜線を所定間隔で並べて配置することにより構成されている。図示する例では、斜線のライン幅と、送り幅とが同程度となっているが、一方を太く形成した構成であっても良い。
【0048】
該構成によれば、前記剥離塗料による斜線のライン幅と、隣接する斜線間の幅(ピッチ、送り幅)とを調整(言い換えると、前記調整部10内における前記剥離塗料の面積を調整)することにより、前記接着層3と前記カード1(調整部10)との間の接着力を任意に調整することができる。
【0049】
また、前記支持シート2(接着層3)に接着支持された前記カード1を、前記剥離塗料による斜線の延設方向に沿って(具体的には、左下から右上、又は右上から左下に向けて)剥がすことによって、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から取外すことができる。
【0050】
図4(B)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に対して、前記剥離塗料による斜線を格子状に配置した構成であっても良い。
【0051】
該構成によれば、前記支持シート2(接着層3)に接着支持された前記カード1を、前記調整部10の対角線の方向(斜線方向)に沿って剥がすことにより、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から取外すことができる。
【0052】
図4(C)に示されるように、前記調整部10は、長方形状の所定の対象箇所に対して、左右方向の中心から左方向に向かって「<」を、左右方向の中心から右方向に向かって「>」を並べて配置した(言い換えると、左右方向の中心から菱形状の図形を二重、三重と徐々に大きくしながら複数段に配置した)構成であっても良い。
【0053】
該構成によれば、前記調整部10は、前記剥離塗料によって該調整部10の左右端側から左右内側に向かう上下一対の斜線を複数並べて形成されるため、前記支持シート2(接着層3)に接着支持された前記カード1を、前記調整部10の左右端側から左右内側に向けて剥がすことによって、前記カード1をよりスムーズに前記支持シート2側から取外すことができる。
【0054】
図5(D)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に、前記剥離塗料を格子状に塗布しない構成、言い換えると、菱形状のドットが並べて配置されるように前記剥離塗料を塗布した構成であっても良い。
【0055】
図5(E)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に、前記剥離塗料を市松模様状に塗布した構成であっても良い。
【0056】
図5(F)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に、前記剥離塗料をドット状に塗布した構成であっても良い。
【0057】
上記の図5(D)乃至(F)の構成によれば、前記調整部内に前記剥離塗料を偏りなく配置できるため、前記カードをより安定的に前記支持シート側に接着支持することができる。また、ドット等の大きさや粗密を調整することで、前記調整部10内における前記剥離塗料の面積の調整も簡単にできるため、前記カードの前記支持シート(接着層)側への接着力の調整もスムーズ且つ容易に行うことができる。
【0058】
図6(G)に示されるように、前記調整部10は、調整左部10Lと、調整中央部10Cと、調整右部10Rとに長手方向に3分割するとともに、前記調整左部10Lと前記調整右部10Rは、前記剥離塗料をベタ塗し、前記調整中央部10Cは、前記剥離塗料を塗らない構成としても良い。
【0059】
該構成によれば、左右方向に長い前記調整部10の左右端側は、前記接着層3から剥離し易くなる一方で、前記調整部10の中央側ではしっかりと前記接着層3に接着されるため、前記カード1の前記支持シート2側への十分な支持と、前記カード1の前記支持シート2(接着層4)からの取外し易さとを両立させることができる。
【0060】
これに対し、前記調整左部10Lと調整右部10Rは、前記剥離塗料をベタ塗する一方で、前記調整中央部10Cには、左右方向の中心から菱形状の図形を二重、三重と徐々に大きくしながら複数段に配置した構成(図6(H)参照)や、前記調整左部10Lと調整右部10Rは、前記剥離塗料をベタ塗する一方で、前記調整中央部10Cには、前記剥離塗料をドット状に塗布した構成(図6(I)参照)としても良い。なお、上記において、左右の調整部10L,10Rも剥離塗料を所定パターンで塗布する構成としても良い。
【0061】
該構成によれば、前記調整中央部(カード表面)と前記接着層との間の接着力が強く、前記カードを前記支持シート側から綺麗に剥がせないという事態にも対応することができる。
【0062】
ちなみに、上述の例では、前記調整部10を長手方向に3分割して各エリアで剥離塗料の塗装パターンを変更したが、前記調整部10を長手方向に2分割したり、より細かく複数分割したり、短手方向に複数分割したりした構成であっても良い。さらに、上述の例では、分割された前記調整部10を、剥離塗料をベタ塗りしたエリアと、所定パターンで塗布したエリアとの2種類に分けたが、3種類以上のパターンを用いて前記調整部10を形成しても良い。
【0063】
次に、図7及び図8に基づき、本発明のカード付シートの別実施例について、上述の例と異なる点を説明する。図7(A)は、カードの接着面側を示す背面図であり、図7(B)は、シートの接着面側を示す正面図であり、図8(A)は、カード付シートのA-A断面図であり、図8(B)は、カードを取外した状態を示すA-A断面図である。
【0064】
前記カード1は、前記支持シート2側に接着支持される裏面側に、前記識別情報部6が表示されている。
【0065】
前記支持シート2は、その上端側には、前記係止孔11が穿設され、その下端側には、前記開口部12が形成されている。また、該支持シート表面2aの下部には、前記識別情報部6と関連付けがされた前記関連情報部7が印字されており、該関連情報部7上には無色透明な剥離塗料からなる前記調整部10が設けられている(図7及び図8参照)。
【0066】
前記接着層3は、前記カード1を前記支持シート2側に接着支持する。このとき、該接着層3は、前記支持シート2表面側の前記調整部10と接着することにより、前記接着層3と前記支持シート2側との接着力を調整できるように構成されている。
【0067】
該構成によれば、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から剥がすことができるとともに、前記カード1を前記支持シート2側から取外した際に、前記接着層3の全てが前記カード1の裏面側に残るように前記接着層3の定着方向をコントロールすることができる。これにより、前記支持シート2をより綺麗な状態で保管することができるため、絵柄に特徴のある前記支持シートを蒐集する目的の購入者の需要を満たすことができる。
【0068】
すなわち、購入者は、前記カード1を前記支持シート2側から取外すことによって、前記支持シート2側に記載された前記関連情報部7上に接着された接着層3を綺麗に除去して視認できる状態とすることができる(図8(A)及び(B)参照)。
【符号の説明】
【0069】
1 カード
2 支持シート(シート)
3 接着層
6 識別情報部(情報表示部)
7 関連情報部(情報表示部)
10 調整部
10a 圧着部(接着部)
10b 外縁部
【手続補正書】
【提出日】2021-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方側の面に所定の情報が印字された情報表示部が設けられたカードと、
前記カードを支持するシートと、
前記カードと前記シートを剥離可能に接着させる接着層とを備え、
前記カード又は前記シートは、前記接着層と接着する面の少なくとも一部に、前記接着層からの剥離を促す剥離層を所定パターンで設けることによって、前記接着層との接着力をコントロールする調整部が形成され、
前記調整部は、前記接着層が接着される接着部と、該接着部の外周に形成される外縁部とを有し、前記接着層よりも大きく形成され、
前記調整部は、前記外縁部内で剥離塗料を所定の塗装パターンで塗布することにより形成され、前記剥離塗料の塗装パターンによって前記外縁部内における剥離塗料の面積を調整することにより、前記カードと前記シートの間の接着力を調整できるように構成された
カード付シート。
【請求項2】
前記調整部は、前記剥離層の所定パターンを複数種類設けて構成され、
前記接着層は、一方が長い長手状に形成され、
前記調整部は、前記接着層の長手方向端部側を長手方向中央側よりも剥離し易くなるように前記剥離層の所定パターンが設定された
請求項1に記載のカード付シート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードがシート側に剥離可能に接着されたカード付シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ECサイトで商品を購入したり、情報端末へアプリをダウンロードしたりする際のクレジットカード以外の決済・課金手段として、コンビニ等の店舗で販売されるPOSバーコード等の情報が印字された決済・課金用のカードが用いられており、前記カードの需要が年々増加している。
【0003】
前記カードをシート状の台紙に接着材等で支持したカード付シートとして販売し、購入後に前記カードを前記シートから剥離することにより、前記カード又はシート側に印字された決済に必要な情報が読取可能となるように構成された特許文献1に記載のカード付シートが従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-214080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献1では、少なくとも一方側の面に所定の情報が印字された情報表示部が設けられたカードと、前記カードを支持するシートと、前記カードを前記シート側に剥離可能に接着させる接着層とを備え、前記カード側の前記接着層に対応する位置に表面処理を施すことによって、前記カードが前記シート側から剥離し易く構成されたものであるが、前記カード及びシートの材質や硬度に応じて、前記接着層の全てが前記シート側に定着するように接着力を正確にコントロールすることは困難であり、前記カードの剥し方によっては接着層の一部が前記カード側に残る場合があるという課題があった。
【0006】
本発明は、接着層を介して前記カードが前記シート側に支持されているカード付シートにおいて、前記カードを前記シート側から剥離させた際に、前記接着層を定着させる方向を容易にコントロールすることができるカード付シートを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、少なくとも一方側の面に所定の情報が印字された情報表示部が設けられたカードと、前記カードを支持するシートと、前記カードと前記シートを剥離可能に接着させる接着層とを備え、前記カード又は前記シートは、前記接着層と接着する面の少なくとも一部に、前記接着層からの剥離を促す剥離層を所定パターンで設けることによって、前記接着層との接着力をコントロールする調整部が形成され、前記調整部は、前記接着層が接着される接着部と、該接着部の外周に形成される外縁部とを有し、前記接着層よりも大きく形成され、前記調整部は、前記外縁部内で剥離塗料を所定の塗装パターンで塗布することにより形成され、前記剥離塗料の塗装パターンによって前記外縁部内における剥離塗料の面積を調整することにより、前記カードと前記シートの間の接着力を調整できるように構成されたことを特徴としている。
【0008】
第2に、前記調整部は、前記剥離層の所定パターンを複数種類設けて構成され、前記接着層は、一方が長い長手状に形成され、前記調整部は、前記接着層の長手方向端部側を長手方向中央側よりも剥離し易くなるように前記剥離層の所定パターンが設定されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
前記カード又はシートの何れか一方側に前記接着層との接着力を調整する前記調整部を形成したことにより、前記接着層を前記カード又は前記シートの何れか一方に確実に定着させた状態で前記カードを前記シートからスムーズに取外すことができる。また、前記調整部を、所定パターンで前記剥離層を設けて形成したことによって、前記カードや前記シートの材質や前記接着層の種類に応じて、前記接着層との接着力を容易に調整することができるため、汎用性も高くなる。
【0010】
また、前記調整部を前記カード側に形成したものによれば、前記接着層の全てを前記シート側に残した状態で、前記カードを前記シート側からスムーズに剥離させることができるため、前記カードをより綺麗な状態で保管できる他、前記カードに傷等がついたり接着部が残ったりすることで前記情報表示部の一部が見えなくなることも防止できる。
【0011】
また、前記調整部を前記シート側に形成したものによれば、前記接着層の全てを前記カード側に残した状態で、前記カードを前記シート側からスムーズに剥離させることができるため、前記シートをより綺麗な状態で保管できる。
【0012】
また、前記調整部は、前記接着層が接着される接着部と、該接着部の外周に形成される外縁部とを有し、前記接着層よりも大きく形成されたものによれば、前記接着層を介して前記カードと前記シートとを接着させる際の貼り付け公差を大きく取ることができるため、前記カードと前記シートとの接着作業をよりスムーズに行うことができる。
【0013】
また、前記調整部は、透明な剥離層によって形成され、前記調整部の下層側に所定の情報が印字された関連情報部を設け、前記関連情報部は、前記カードを前記シートから剥離させることにより閲覧可能な状態となるように構成されたたものによれば、前記調整部の形成エリアに文字情報を配置できる他、該調整部を含む全体のデザイン性を損なうことも防止できる。
【0014】
また、前記接着層は、ホットメルトによって剥離可能に接着される接着剤により形成されたものによれば、前記カードを前記シート側により簡易な工程で剥離可能に接着支持させることができる。
【0015】
また、前記接着層は、一方が長い長手状に形成され、前記調整部は、前記接着層の長手方向端部側を長手方向中央側よりも剥離し易くなるように前記剥離層の所定パターンが設定されたものによれば、前記カードを前記シートから剥離する際の剥がし易さと、前記カードを前記シート側に確実に接着支持する安定性とを両立させることができる。
【0016】
なお、前記接着層は、複数箇所で前記カードと前記シートとを接着するように構成され、前記調整部は、前記接着層の配置に応じて複数箇所に設けられたものによれば、単一の接着層を用いるものと比較して、前記接着層と、前記調整部とが設けられる範囲を節約しつつ、前記カードと前記シートとを再剥離可能に接着できるため、コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)及び(B)は、カード付シートの正面図及び背面図である。
図2】(A)は、カードの接着面側を示す背面図であり、(B)は、シートの接着面側を示す正面図である。
図3】(A)は、カード付シートのA-A断面図であり、(B)は、カードを取外した状態を示すA-A断面図である。
図4】(A)乃至(C)は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。
図5】(D)乃至(F)は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。
図6】(G)乃至(I)は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。
図7】(A)は、別実施例のカードの接着面側を示す背面図であり、(B)は、別実施例のシートの接着面側を示す正面図である。
図8】(A)は、別実施例のカード付シートのA-A断面図であり、(B)は、別実施例のカードを取外した状態を示すA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1(A)及び(B)は、カード付シートの正面図及び背面図であり、図2(A)は、カードの接着面側を示す背面図であり、図2(B)は、シートの接着面側を示す正面図であり、図3(A)は、カード付シートのA-A断面図であり、図3(B)は、カードを取外した状態を示すA-A断面図である。図示されるように、本願発明の前記カード付シートは、所定の情報が印刷された情報表示部を有するカード1と、方形状の板状部材であって表面の下部側に前記カード1が支持される支持シート(シート)2と、前記支持シート2の表面側に前記カード1の裏面側を剥離可能に接着支持する接着層3とを備えている。
【0019】
前記カード1は、所定の金額が決済可能な紙製又は樹脂製のプリペイドカードやギフトカード等である。前記カード1は、前記支持シート2側に接着支持される裏面1b側に、該カード1を特定するためのバーコード等からなる識別情報部(情報表示部)6と、該識別情報部6と関連付けがされたコード情報等からなる関連情報部(情報表示部)7とが並べて表示される他、その他の図示しない文字情報や絵柄(情報表示部)も印刷されている。また、該カード裏面1bには、前記接着層3と接着する接着面に、前記接着層3との接着力を調整するための調整部10が形成されている(図1及び図2(A)等参照)。
【0020】
前記カード裏面1bに印刷された前記識別情報部6と、前記関連情報部7とは、印刷される時点で関連付けされており、前記カード1(付シート)の購入時等に、前記識別情報部6の情報(具体的にはバーコード)を利用して、前記関連情報部7に記載された情報(具体的にはPIN情報)を利用可能とするアクティベーション処理が実行されることにより、前記関連情報部7の情報が利用可能となるように構成されている。
【0021】
前記カード表面1aには、プリペイドカードやギフトカードとして決済可能な金額に関する情報の他、決済可能なサービスに関する絵柄やキャラクターを表したデザイン(情報表示部)を表示しても良い(いずれも図示しない)。該カード表面1aのデザイン(絵柄)は、購入者がカードを集めたくなるように、複数のデザインを用意したり、時期に応じて限定のデザインを用意したりしても良い。
【0022】
前記支持シート2は、図示する例では、その左右方向は前記カード1の横幅よりも若干幅広に形成され、その上下方向は前記カード1の縦幅の2倍以上長く形成された紙製又は樹脂製の方形板状部材である。なお、該支持シート2の横幅と縦幅とは、キャッシュカード程のサイズの前記カード1と同程度から若干大きい範囲に限られず、A4サイズほどの大きさに形成しても良い。該支持シート2の上端側には、什器等のフックに挿通して陳列するための係止孔11が穿設され、該支持シート2の下半部には、前記接着層3を介して前記カード1が接着支持されている。
【0023】
また、該支持シート2の下端側には、前記カード裏面1b側に表示される前記識別情報部6(バーコード)が露出させるための左右方向の開口部12が形成されている。これにより、該支持シート表面2aの下部側に前記接着層3を介して前記カード1が接着支持された状態であっても、前記開口部12を介して前記支持シート裏面2b側から前記カード裏面1bのバーコード6を読み取ることができるように構成されている(図2(B)参照)。
【0024】
ちなみに、該支持シート2の上部側には、接着される前記カード表面1aのデザイン(絵柄)に合わせたデザインを施しても良い。
【0025】
前記接着層3は、メルトガン(図示しない)やこれに準ずる装置を用いて前記カード(裏面)1と前記支持シート(表面)2との間に設けられて両者を圧着する樹脂製のホットメルト接着剤であって、前記カード裏面1bの上下方向中央側の左右方向を、前記シート表面2aの下部側(より具体的には前記開口部12上側に沿った左右方向)に再剥離可能に接着支持できるように構成されている。
【0026】
これにより、前記カード1は、前記接着層3を介してより安定的に前記支持シート2下部側に接着支持することができる。ちなみに、図示する例では、前記接着層3は、前記カードの長手方向に沿った単一の棒状(長方形状)に形成したが、該接着層3は、丸や四角等からなるドット状の接着層3を複数配置して構成したものであっても良い。さらに、前記接着層3は、前記カード1を剥離可能に前記支持シート2側に接着できる接着剤であれば良く、ホットメルト接着剤には限られない。
【0027】
このとき、前記接着層3は、前記カード裏面1b側に形成された前記調整部10と接着支持されており、該接着層3の全てを前記支持シート2側に残した状態で、前記カード1を前記支持シート2(接着層3)からスムーズに取外す(剥離させる)ことができるように構成されている。該調整部10の具体的な構成について、以下説明する。
【0028】
前記調整部10は、前記カード裏面1bの対象箇所に前記接着層3から剥離し易くなる剥離ニス(シリコンニス)等からなる剥離塗料を塗布することにより形成された剥離層である。前記調整部(剥離層)10は、前記接着層3よりも一回り大きく形成(塗布)することによって、前記接着部と熱圧着される接着部(メルトゾーン、圧着部)10aと、該接着部10aの外周を囲うように形成される外縁部10bとから構成されている(図2(A)、図4乃至6等参照)。
【0029】
該構成によれば、前記接着層3を前記カード裏面1bの前記調整部10側に接着させる際の貼り付け公差を大きくとることができるため、前記カードを前記支持シート側に接着支持させてカード付シートを製造する作業がよりスムーズ且つ容易に行うことができるようになる。
【0030】
また、前記調整部10は、前記カード裏面1bに印刷された運用規約その他の文字情報の上から、無色透明な剥離ニス(剥離塗料)を塗布することにより構成しても良い。該構成によれば、前記調整部10に無色透明な剥離塗料を用いたことでカード裏面1bに印刷された文字情報・絵柄等がそのまま視認可能な状態となるため、該調整部10が前記カードのデザインの邪魔にならない。
【0031】
なお、該調整部10を、前記関連情報部7の上から印刷する構成としても良い(図2(A)参照)。これによれば、前記カード1は、前記支持シート2側に接着支持された状態では、前記開口部12を介してカード1裏面の前記識別情報部6のみ視認可能な状態となる一方で、前記カード1(付シート)の購入者が前記カード1を前記支持シート2から取外す(剥離させる)ことにより、前記カード1の裏面に記載された前記関連情報部7が視認可能な状態となるように構成される(図3等参照)。該構成によれば、簡易な構成でカード付シートの購入前に前記関連情報部7を盗み見る行為をより確実に防止することができる。
【0032】
また、前記調整部10は、前記剥離塗料を対象箇所全体に塗布せずに、所定の模様(パターン)で塗布することによって形成されている。該構成の調整部10によれば、前記剥離塗料の塗装パターンを適宜変更することによって、前記カード1と前記接着層3との間の接着力を、前記支持シート2と前記接着層3との間の接着力と比較して、適度に調整しながら弱めることができる。
【0033】
該構成によれば、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から剥がすことができるとともに、前記カード1を前記支持シート2側から取外した際に、前記接着層3の全てが前記支持シート側に残るように前記接着層3の定着方向をより容易且つ確実にコントロールすることができる。
【0034】
これにより、特に前記カード1が紙製の場合であっても、該カード1を前記支持シート2(接着層3)から剥離させた際に、前記カード1と前記接着層3との接着力が強すぎて該カード1の表面が破れてしまうという事態をより確実に防止し、前記カード1を前記支持シート2から綺麗に取外すことができる。また、前記カード1を前記支持シート2から取外した場合に、該カード1の裏面に前記接着層3が残ることによって、前記カード裏面1bに印刷された文字情報や絵柄、前記関連情報部7等が読み取れないという事態を確実に防止することができる。
【0035】
また、該構成によれば、前記接着層3を構成する接着剤の種類や、前記カード1・前記支持シート2を構成する素材の種類等が変わった場合であっても、前記剥離塗料の塗装パターンを変更することによって、前記カード1前記接着層3との間の接着力を自在に調整することができる。該調整部を構成する剥離塗料の所定パターン(塗装パターン)の具体的例については後述する。
【0036】
なお、前記調整部10は、前記接着層3との関係で接着力を調整可能なものであれば剥離塗料を塗布する構成には限られず、前記カード1の対象箇所に剥離を促す剥離シールを貼付したり、前記カード1の対象面に前記接着層からの剥離を促す剥離処理を加工したりする構成であっても良い。
【0037】
ちなみに、前記調整部10は、上述の図示する例では、左右方向に長い棒状の前記接着層3に応じて単一の長方形状に形成されている(図2(A)及び(B)等参照)が、例えば、前記接着層3が、接着剤をドット状に複数配置したことにより構成されている場合には、前記カード裏面1bに形成される前記調整部10を、前記接着層3の形状・配置に応じて、ドット(丸・方形状等)状の剥離層を複数箇所に配置することにより構成しても良い(図示しない)。
【0038】
また、前記調整部10は、上述の図示する例では前記接着層3の全体が収まるように該接着層3よりも一回り大きい長方形状に構成されている(図2(B)等参照)が、該接着層3の一部、例えば、ドット(丸・方形状等)状の前記調整部10を、長方形状に設けられた前記接着層3に沿って所定間隔で複数(2以上)配置した構成としても良い。
【0039】
次に、図4乃至6に基づき、前記調整部を構成するパターンの具体的な例について説明する。図4乃至図6は、剥離塗料の塗装パターンの例を示した図である。なお、図4乃至6で示した例では、剥離塗料を塗布した箇所を黒色で表示しているが、実際には無色透明な塗料が塗布される。
【0040】
図4(A)に示されるように、前記調整部10は、長方形状の所定の対象箇所に対して、前記剥離塗料による斜線を所定間隔で並べて配置することにより構成されている。図示する例では、斜線のライン幅と、送り幅とが同程度となっているが、一方を太く形成した構成であっても良い。
【0041】
該構成によれば、前記剥離塗料による斜線のライン幅と、隣接する斜線間の幅(ピッチ、送り幅)とを調整(言い換えると、前記調整部10内における前記剥離塗料の面積を調整)することにより、前記接着層3と前記カード1(調整部10)との間の接着力を任意に調整することができる。
【0042】
また、前記支持シート2(接着層3)に接着支持された前記カード1を、前記剥離塗料による斜線の延設方向に沿って(具体的には、左下から右上、又は右上から左下に向けて)剥がすことによって、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から取外すことができる。
【0043】
図4(B)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に対して、前記剥離塗料による斜線を格子状に配置した構成であっても良い。
【0044】
該構成によれば、前記支持シート2(接着層3)に接着支持された前記カード1を、前記調整部10の対角線の方向(斜線方向)に沿って剥がすことにより、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から取外すことができる。
【0045】
図4(C)に示されるように、前記調整部10は、長方形状の所定の対象箇所に対して、左右方向の中心から左方向に向かって「<」を、左右方向の中心から右方向に向かって「>」を並べて配置した(言い換えると、左右方向の中心から菱形状の図形を二重、三重と徐々に大きくしながら複数段に配置した)構成であっても良い。
【0046】
該構成によれば、前記調整部10は、前記剥離塗料によって該調整部10の左右端側から左右内側に向かう上下一対の斜線を複数並べて形成されるため、前記支持シート2(接着層3)に接着支持された前記カード1を、前記調整部10の左右端側から左右内側に向けて剥がすことによって、前記カード1をよりスムーズに前記支持シート2側から取外すことができる。
【0047】
図5(D)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に、前記剥離塗料を格子状に塗布しない構成、言い換えると、菱形状のドットが並べて配置されるように前記剥離塗料を塗布した構成であっても良い。
【0048】
図5(E)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に、前記剥離塗料を市松模様状に塗布した構成であっても良い。
【0049】
図5(F)に示されるように、前記調整部10は、前記カード1の所定の対象箇所に、前記剥離塗料をドット状に塗布した構成であっても良い。
【0050】
上記の図5(D)乃至(F)の構成によれば、前記調整部内に前記剥離塗料を偏りなく配置できるため、前記カードをより安定的に前記支持シート側に接着支持することができる。また、ドット等の大きさや粗密を調整することで、前記調整部10内における前記剥離塗料の面積の調整も簡単にできるため、前記カードの前記支持シート(接着層)側への接着力の調整もスムーズ且つ容易に行うことができる。
【0051】
図6(G)に示されるように、前記調整部10は、調整左部10Lと、調整中央部10Cと、調整右部10Rとに長手方向に3分割するとともに、前記調整左部10Lと前記調整右部10Rは、前記剥離塗料をベタ塗し、前記調整中央部10Cは、前記剥離塗料を塗らない構成としても良い。
【0052】
該構成によれば、左右方向に長い前記調整部10の左右端側は、前記接着層3から剥離し易くなる一方で、前記調整部10の中央側ではしっかりと前記接着層3に接着されるため、前記カード1の前記支持シート2側への十分な支持と、前記カード1の前記支持シート2(接着層4)からの取外し易さとを両立させることができる。
【0053】
これに対し、前記調整左部10Lと調整右部10Rは、前記剥離塗料をベタ塗する一方で、前記調整中央部10Cには、左右方向の中心から菱形状の図形を二重、三重と徐々に大きくしながら複数段に配置した構成(図6(H)参照)や、前記調整左部10Lと調整右部10Rは、前記剥離塗料をベタ塗する一方で、前記調整中央部10Cには、前記剥離塗料をドット状に塗布した構成(図6(I)参照)としても良い。なお、上記において、左右の調整部10L,10Rも剥離塗料を所定パターンで塗布する構成としても良い。
【0054】
該構成によれば、前記調整中央部(カード表面)と前記接着層との間の接着力が強く、前記カードを前記支持シート側から綺麗に剥がせないという事態にも対応することができる。
【0055】
ちなみに、上述の例では、前記調整部10を長手方向に3分割して各エリアで剥離塗料の塗装パターンを変更したが、前記調整部10を長手方向に2分割したり、より細かく複数分割したり、短手方向に複数分割したりした構成であっても良い。さらに、上述の例では、分割された前記調整部10を、剥離塗料をベタ塗りしたエリアと、所定パターンで塗布したエリアとの2種類に分けたが、3種類以上のパターンを用いて前記調整部10を形成しても良い。
【0056】
次に、図7及び図8に基づき、本発明のカード付シートの別実施例について、上述の例と異なる点を説明する。図7(A)は、カードの接着面側を示す背面図であり、図7(B)は、シートの接着面側を示す正面図であり、図8(A)は、カード付シートのA-A断面図であり、図8(B)は、カードを取外した状態を示すA-A断面図である。
【0057】
前記カード1は、前記支持シート2側に接着支持される裏面側に、前記識別情報部6が表示されている。
【0058】
前記支持シート2は、その上端側には、前記係止孔11が穿設され、その下端側には、前記開口部12が形成されている。また、該支持シート表面2aの下部には、前記識別情報部6と関連付けがされた前記関連情報部7が印字されており、該関連情報部7上には無色透明な剥離塗料からなる前記調整部10が設けられている(図7及び図8参照)。
【0059】
前記接着層3は、前記カード1を前記支持シート2側に接着支持する。このとき、該接着層3は、前記支持シート2表面側の前記調整部10と接着することにより、前記接着層3と前記支持シート2側との接着力を調整できるように構成されている。
【0060】
該構成によれば、前記カード1をスムーズに前記支持シート2側から剥がすことができるとともに、前記カード1を前記支持シート2側から取外した際に、前記接着層3の全てが前記カード1の裏面側に残るように前記接着層3の定着方向をコントロールすることができる。これにより、前記支持シート2をより綺麗な状態で保管することができるため、絵柄に特徴のある前記支持シートを蒐集する目的の購入者の需要を満たすことができる。
【0061】
すなわち、購入者は、前記カード1を前記支持シート2側から取外すことによって、前記支持シート2側に記載された前記関連情報部7上に接着された接着層3を綺麗に除去して視認できる状態とすることができる(図8(A)及び(B)参照)。
【符号の説明】
【0062】
1 カード
2 支持シート(シート)
3 接着層
6 識別情報部(情報表示部)
7 関連情報部(情報表示部)
10 調整部
10a 圧着部(接着部)
10b 外縁部