(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055789
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】光学部品駆動装置、撮像装置及び携帯式電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20220401BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20220401BHJP
G03B 17/04 20210101ALI20220401BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20220401BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/04 D
G03B17/02
G03B17/04
G02B7/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163414
(22)【出願日】2020-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏和
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
2H101
【Fターム(参考)】
2H044AD03
2H044BD02
2H044BD11
2H044BE02
2H044BE18
2H100AA33
2H100EE06
2H101BB07
(57)【要約】
【課題】本発明は、光学部品駆動装置、撮像装置及び携帯式電子機器を提供する。
【解決手段】本発明に係る光学部品駆動装置は、アクチュエータユニット及び光学部品を支持する昇降ユニットを含み、アクチュエータユニットは、駆動源である電磁モータと、昇降ユニットに動力を伝達する動力伝達機構とを含み、動力伝達機構は、主軸と、主軸に套設され、主軸の軸方向に運動可能なリンクプレートとを含み、リンクプレートが昇降ユニットに接続され、電磁モータが発生する駆動力により、リンクプレートを介して昇降ユニットの昇降を制御する。本発明の光学部品駆動装置は、従来技術に記載の屈曲光学系に対し、撮影装置の立体スペースを省スペース化することが可能となり、且つレンズ群には撮影状態で高解像度を有した光学系の性能を持たせることができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータユニット及び光学部品を支持する昇降ユニットを含み、前記アクチュエータユニットは、駆動源である電磁モータと、前記昇降ユニットに動力を伝達する動力伝達機構とを含み、前記動力伝達機構は、主軸と、前記主軸に套設され、前記主軸の軸方向に運動可能なリンクプレートとを含み、前記リンクプレートが前記昇降ユニットに接続され、前記電磁モータが発生する駆動力により、前記リンクプレートを介して前記昇降ユニットの昇降を制御することを特徴とする光学部品駆動装置。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、前記電磁モータに取り付けられる駆動ギヤ、前記駆動ギヤに接続される中間ギヤ、前記中間ギヤに接続される従動ギヤ、前記従動ギヤに固定接続されるリードスクリュー、及び前記リードスクリューにねじ接続されるナットを含み、前記ナットが前記リンクプレートと当接し、前記駆動ギヤ、前記中間ギヤ、前記従動ギヤ及び前記リードスクリューの軸線は前記光学部品の光軸及び前記電磁モータの軸線と平行であることを特徴とする請求項1に記載の光学部品駆動装置。
【請求項3】
前記ナットは、前記ナットの回転を規制するナット凸部を有することを特徴とする請求項2に記載の光学部品駆動装置。
【請求項4】
前記リンクプレートは、前記リンクプレートの回転を規制するリンクプレート凸部を有することを特徴とする請求項2に記載の光学部品駆動装置。
【請求項5】
前記ナットの前記従動ギヤに近い面はナット傾斜面として設置されることを特徴とする請求項2に記載の光学部品駆動装置。
【請求項6】
前記昇降ユニットは、副軸と、前記副軸に套設され、前記副軸の軸方向に運動可能な昇降プレートと、前記副軸に套設され、前記副軸の軸方向に前記昇降プレートに弾性力を加えることが可能なばねとを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学部品駆動装置。
【請求項7】
前記昇降プレートは、前記昇降プレートが前記副軸回りに回転することを規制する昇降プレート凸部を有することを特徴とする請求項6に記載の光学部品駆動装置。
【請求項8】
前記昇降ユニットは、板ばねを有し、前記板ばねは、一端が前記昇降プレートに固定されており、他端が前記リンクプレートに当接して前記リンクプレートに弾性力を加えることを特徴とする請求項6に記載の光学部品駆動装置。
【請求項9】
前記アクチュエータユニットは位置検知センサーを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学部品駆動装置。
【請求項10】
ケースと、光学部品と、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学部品駆動装置とを備え、前記光学部品は、前記光学部品駆動装置により駆動されることにより、光軸方向において前記ケースから繰り出され、又は前記ケースへ引っ込められることを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記光学部品は、前記ケースと前記昇降プレートとの間に設置された伸縮可能な筒状部材を含むことを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記ケースは、前記光学部品駆動装置の昇降プレートの回転を規制するケース嵌合部をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか一項に記載の撮像装置を備えることを特徴とする携帯式電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯式電子機器に関し、特に携帯式電子機器に用いられる撮像装置及び撮像装置に用いられる光学部品駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像素子の高画素化や高画質の光学系への要求が高くなり、光学部品駆動装置は、数多くの撮影装置で広く応用されている。光学部品駆動装置を各種の携帯式電子機器、例えば携帯電話、タブレットコンピュータ等に応用したものは、特に消費者に受け入れられている。
【0003】
通常の携帯式電子機器に適用された光学部品駆動装置の駆動機構は、撮像素子に対しレンズ群は固定であるか、倍率を有する光学系を用いている。しかしながら、例えば携帯式電子機器に搭載する小型の光学機器であって、光学全長の長い高倍率光学系では携帯式電子機器にそのまま搭載することは難しく、屈曲構造を用いる必要があった。
この屈曲構造を用いた光学系では、光線を屈曲するためのプリズムやミラーが光学系の前後に配置される。小型化が進む携帯式電子機器では屈曲光学系の全長は長くなり、携帯式電子機器の搭載面積占有率が増し、小型化を阻害する可能性があった。
【0004】
従って、以上の課題を解決できる新しい光学部品駆動装置、撮像装置及び携帯式電子機器を提供することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-177904号公報
【特許文献2】特開2014-13420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の問題点を鑑みてなされたものであり、高解像度を有した光学系の性能を劣化させることなく、かつ、従来技術に記載の屈曲光学系のように立体スペースを多くとることなく、省スペースな光学部品駆動装置、撮像装置及び携帯式電子機器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は以下のように実現された。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0008】
上記の技術的課題を解決するために、本発明には、光学部品駆動装置が提供され、前記光学部品駆動装置は、アクチュエータユニット及び光学部品を支持する昇降ユニットを含み、前記アクチュエータユニットは、駆動源である電磁モータと、前記昇降ユニットに動力を伝達する動力伝達機構とを含み、前記動力伝達機構は、主軸と、前記主軸に套設され、前記主軸の軸方向に運動可能なリンクプレートとを含み、前記リンクプレートが前記昇降ユニットに接続され、前記電磁モータが発生する駆動力により、前記リンクプレートを介して前記昇降ユニットの昇降を制御する。
【0009】
好ましくは、前記動力伝達機構は、前記電磁モータに取り付けられる駆動ギヤ、前記駆動ギヤに接続される中間ギヤ、前記中間ギヤに接続される従動ギヤ、前記従動ギヤに固定接続されるリードスクリュー、及び前記リードスクリューにねじ接続されるナットを含み、前記ナットが前記リンクプレートと当接し、前記駆動ギヤ、前記中間ギヤ、前記従動ギヤ及び前記リードスクリューの軸線は前記光学部品の光軸及び前記電磁モータの軸線と平行である。
【0010】
好ましくは、前記ナットは、前記ナットの回転を規制するナット凸部を有する。
【0011】
好ましくは、前記リンクプレートは、前記リンクプレートの回転を規制するリンクプレート凸部を有する。
【0012】
好ましくは、前記ナットの前記従動ギヤに近い面はナット傾斜面として設置される。
【0013】
好ましくは、前記昇降ユニットは、副軸と、前記副軸に套設され、前記副軸の軸方向に運動可能な昇降プレートと、前記副軸に套設され、前記副軸の軸方向に前記昇降プレートに弾性力を加えることが可能なばねとを含む。
【0014】
好ましくは、前記昇降プレートは、前記昇降プレートが前記副軸回りに回転することを規制する昇降プレート凸部を有する。
【0015】
好ましくは、前記昇降ユニットは、板ばねを有し、前記板ばねは、一端が前記昇降プレートに固定されており、他端が前記リンクプレートに当接して前記リンクプレートに弾性力を加える。
【0016】
好ましくは、前記アクチュエータユニットは位置検知センサーを含む。
【0017】
本発明には、撮像装置がさらに提供され、前記撮像装置は、ケースと、光学部品と、上記の光学部品駆動装置とを備え、前記光学部品は、前記光学部品駆動装置により駆動されることにより、光軸方向において前記ケースから繰り出され、又は前記ケースへ引っ込められる。
【0018】
好ましくは、前記光学部品は、前記ケースと前記昇降プレートとの間に設置された伸縮可能な筒状部材を含む。
【0019】
好ましくは、前記ケースは、前記光学部品駆動装置の昇降プレートの回転を規制するケース嵌合部をさらに含む。
【0020】
本発明には、上記の撮像装置を備える携帯式電子機器がさらに提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の利点として、本発明の光学部品駆動装置は、従来技術に記載の屈曲光学系に対し、撮影装置の立体スペースを省スペース化することが可能となり、且つレンズ群には撮影状態で高解像度を有した光学系の性能を持たせることができる。本発明に係る光学部品駆動装置は、非撮影時に光学系、光学系を保持している部材、手振れ防止・ピント調整モジュール等の部材をケースへ格納する機構により、撮影装置の厚み方向においても小型化を可能としている。
その為、本発明は、高画素化、高性能な撮影装置を実現することができ、且つ小型化が進む携帯式電子機器の中でより効率の良いカメラ機構を成立させる目的が達成でき、撮像画像の品質を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態の撮像装置を上方向から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の撮像装置を下方向から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態の撮像装置のアクチュエータカバーを除き、上方向から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態の撮像装置のアクチュエータケース、アクチュエータカバーを除き、前方向から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態の撮像装置のケースを除き、前方向から見た斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態の撮像装置の前方向から見た分解図である。
【
図7】本発明の実施形態の撮像装置の後方向から見た分解図である。
【
図8】本発明の実施形態の撮像装置を、レンズ群が繰り出された状態で光軸に平行な面で切った断面図である。
【
図9】本発明の実施形態の撮像装置を、レンズ群が引っ込められた状態で光軸に平行な面で切った断面図である。
【
図10】本発明の実施形態の撮像装置を光軸に平行な面で主軸と副軸を通る断面図である。
【
図11a】本発明の実施形態の撮像装置を主軸に平行な面で切った断面図の拡大図である。
【
図11b】本発明の実施形態の撮像装置を、撮影状態にて主軸に平行な面で切った断面図の拡大図である。
【
図12】本発明の実施形態の撮像装置を光軸に平行な面で切った断面図の拡大図である。
【
図13】本発明の実施形態の撮像装置の板ばね部を光軸に平行な面で切った断面図の拡大図である。
【
図14】本発明の実施形態の撮像装置のナットとナット嵌合部、及びリンクプレートとリンクプレート嵌合部の拡大図である。
【
図15】本発明の実施形態の撮像装置のアクチュエータケースとアクチュエータカバーフックの符号付きの図である。
【
図16】本発明の実施形態の撮像装置のリードスクリューとナットの回転規制部の詳細図である。
【
図17】本発明の実施形態の撮像装置のナット傾斜面の詳細図である。
【
図18】本発明の実施形態の撮像装置においてアクチュエータユニットの詳細図である。
【
図19】本発明の実施形態の撮像装置において昇降プレートとケースの回転方向の規制関係の詳細図である。
【
図20】本発明の実施形態の撮像装置において昇降プレートとばねの関係の詳細図である。
【
図21】本発明の実施形態の撮像装置において昇降プレートとケースの撮影時の位置決め関係の詳細図である。
【
図22】本発明の実施形態の撮像装置においてカバーと撮像素子周辺の関係についての詳細図である。
【
図23】本発明の撮像装置を備えた携帯式電子機器(携帯情報端末)である。
【符号の説明】
【0023】
10a … レンズ群
10b … レンズバレル
10c … 手振れ防止・ピント調整モジュール
10d … オーナメントリング
10e … カバーガラス
11 … 電磁モータ
12 … アクチュエータケース
12a、12b … ナット嵌合部
12c、12d … リンクプレート嵌合部
12e … アクチュエータケース爪
13 … アクチュエータカバー
13a … アクチュエータカバーフック
14 … ケース
14a … ケース嵌合部
14b … 内部面
15 … カバー
16a … 駆動ギヤ
16b … 中間ギヤ
16c … 従動ギヤ
16c-1 … 第1カット
17 … 主軸
18a … 第1ブッシュ
18b … 第2ブッシュ
19 … リンクプレート
19a … リンクプレート凸部
20 … リードスクリュー
20a … 第2カット
21 … ばね
21a … ばねフック
23 … 板ばね
24 … 副軸
25 … ナット
25a … ナット凸部
25b … ナット傾斜面
26 … 昇降プレート
26a … 昇降プレート凸部
26b … ボス形状
27 … 筒状部材
28 … フレキシブルプリント基板
29 … 位置検知センサー
30a … 撮像素子
30b … 撮像素子ケース
30c … 赤外カットフィルター
30d … 撮像素子基板
100 … 撮像装置
110 … アクチュエータユニット
200 … 携帯式電子機器
O1 … 光軸
O2 … 昇降プレート回転方向
S1 … 第1クリアランス
S2 … 第2クリアランス
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
【0025】
図1~
図16に示されるように、本発明に係る撮像装置100は、カバー15と、カバー15に取り付けられ、カバー15と共に収容空間を形成するケース14と、光軸O1に沿ってケース14から繰り出すことが可能である光学部品と、ケース14に設置され且つ光学部品を昇降させるよう駆動するための光学部品駆動装置と、カバー15の底部に設置される撮像素子モジュールとを備える。
【0026】
図1~
図13は、本発明の実施形態に係る光学部品駆動装置、撮像装置及びそれらの構成要素を示している。撮像装置100の撮像光学系は、光学部品としてのレンズ群10aと、撮像素子モジュールとしての赤外カットフィルター30c及び撮像素子30aとを含む。
【0027】
撮像時に、光軸O1に沿って入射した被写体からの光束は、カバーガラス10eを通り、レンズ群10a、赤外カットフィルター30cを通り、撮像素子30aの撮像面上に結像される。
【0028】
図1~
図6、
図18に示されるように、光学部品駆動装置は、アクチュエータユニット110及び光学部品を支持する昇降ユニットを含み、アクチュエータユニット110は、駆動源である電磁モータ11と、昇降ユニットに動力を伝達する動力伝達機構とを含む。動力伝達機構は、主軸17と、主軸17に套設され、主軸の軸方向に運動可能なリンクプレート19とを含む。リンクプレート19が昇降ユニットに接続され、電磁モータ11が発生する駆動力により、リンクプレート19を介して昇降ユニットの昇降を制御する。
【0029】
したがって、昇降ユニットにより光学部品の光軸O1方向における昇降を駆動することができる。即ち、撮影時に、アクチュエータユニット110が昇降ユニットを上昇させるように制御し、光学部品は光軸O1に沿ってケース14へ繰り出される。非撮影時に、アクチュエータユニット110が昇降ユニットを降下させるように制御し、光学部品はケース14へ引っ込められる。
【0030】
以上の構成により、本発明の光学部品駆動装置は、従来技術に記載の屈曲光学系に対し、撮影装置の立体スペースを省スペース化することが可能となり、且つレンズ群には撮影状態で高解像度を有した光学系の性能を持たせることができる。
【0031】
本発明では、電磁モータ11はリンクプレート19の主軸17の軸方向における運動を直接的又は間接的に制御することができる。
【0032】
図18に示されるように、リンクプレート19は、電磁モータ11からの駆動力を受け取ってから、リンクプレート19に接続される昇降ユニットを昇降させるように制御する。具体的には、動力伝達機構は、電磁モータ11に取り付けられる駆動ギヤ16a、駆動ギヤ16aに接続される中間ギヤ16b、中間ギヤ16bに接続される従動ギヤ16c、従動ギヤ16cに固定接続されるリードスクリュー20、及びリードスクリュー20にねじ接続されるナット25を含んでもよく、ナット25がリンクプレート19と当接し、駆動ギヤ16a、中間ギヤ16b、従動ギヤ16c及びリードスクリュー20の軸線は光学部品の光軸及び電磁モータ11の軸線と平行である。電磁モータ11が発生する駆動力により、上記の部品を介してリンクプレート19に接続される昇降ユニットを昇降させるように制御する。このような本発明の動力伝達機構により、光学部品駆動装置の構造をコンパクトにすることができ、動力伝達の効果が優れている。
【0033】
図7に示されるように、アクチュエータユニット110は、位置検知センサー29が設けられたフレキシブルプリント基板28を含んでもよい。フレキシブルプリント基板28は外部の制御システムに接続されている。外部の制御システムは位置検知センサー29から取得した情報に基づいて電磁モータを制御することができる。位置検知センサー29を設置することで、昇降プレート26に搭載される光学部品が光軸方向に運動する際の位置を検知することができる。
【0034】
図3、
図4及び
図6に示されるように、駆動ギヤ16aは電磁モータ11の回転軸に圧入固定されている。アクチュエータユニット110は、電磁モータ11を保持するためのアクチュエータケース12と、アクチュエータケース12に固定されるアクチュエータカバー13とをさらに含む。中間ギヤ16b、従動ギヤ16c、リードスクリュー20及び主軸17はアクチュエータケース12及び/又はアクチュエータカバー13により支持されている。中間ギヤ16bが駆動ギヤ16aと従動ギヤ16cの間に配置されることにより、駆動ギヤ16aの駆動力を従動ギヤ16cに伝達する。リードスクリュー20にはナット25がねじ嵌合しており、ナット25はリンクプレート19と当接する。
図14に示されるように、ナット25は、ナット25の回転を規制するナット凸部25aを有し、ナット凸部25aはアクチュエータケース12のナット嵌合部12a、12bに抱え込まれるようにナット25の回転運動を規制し、これにより、ナット25はリードスクリュー20に対しリードスクリュー20の軸方向にのみ運動する。
【0035】
また、
図7に示されるように、リンクプレート19は第1ブッシュ18aに固定されることができ、第1ブッシュ18aは主軸17に対し主軸17の軸方向に運動することが可能である。第1ブッシュ18aが主軸17の軸方向に運動する際に、リンクプレート19は第1ブッシュ18aに従って主軸17の軸方向に運動するようになる。
図14に示されるように、リンクプレート19は、リンクプレート19の回転を規制するリンクプレート凸部19aを有し、リンクプレート凸部19aは、アクチュエータケース12のリンクプレート嵌合部12c、12dに抱え込まれるようにリンクプレートの回転運動を規制し、これにより、リンクプレート19は主軸17の軸方向にのみ運動する。アクチュエータユニット110はケース14における光学部品側に設置されることが好ましい。
【0036】
図15に示されるように、アクチュエータカバー13はアクチュエータカバーフック13aを有し、アクチュエータカバーフック13aはアクチュエータケース12のアクチュエータケース爪12eと係合固定される。この構成により、アクチュエータユニット110を容易に組み立てることができ、構造がコンパクトになる。
【0037】
図16に示されるように、従動ギヤ16cは第1カット16C-1を有し、リードスクリュー20は第2カット20aを有する。第1カット16C-1と第2カット20aを嵌合させることで、従動ギヤ16cのリードスクリュー20に対する回転を規制することができ、リードスクリュー20は従動ギヤ16cと共に回転することができる。
【0038】
図11a及び
図11bに示されるように、リードスクリュー20に係合しているナット25と従動ギヤ16cとの間に第1クリアランスS1が存在し、ナット25がこの領域まで運動すると、ナット25とリンクプレート19は
図11bに示す非接触状態にある。具体的には、
図5及び
図10に示されるように、リードスクリュー20が回転駆動されてナットが被写体側へ運動すると、昇降プレート26はばね21による弾性力で上昇し、昇降プレート26はリンクプレート19を上昇させるよう駆動し、これによってリンクプレート19とナット25はずっと当接保持状態を保持している。昇降プレート26が撮影状態まで上昇すると、
図21に示されるように、昇降プレート26に設置された被写体側に向かうボス形状26bがケース14の内部面14bに当接し、これによって昇降プレート26は上昇し続けることができない。この時、リンクプレート19が昇降プレート26に接続されているため、リンクプレート19も上昇し続けることができなくなる。リンクプレート19が
図11aに示す上昇し続けることができない位置にある場合、ナット25が依然としてリンクプレート19と接触すれば、ナット25と従動ギヤ16cとの間のクリアランスは本発明で定義された第1クリアランスS1である。第1クリアランスS1を設置することで、リンクプレート19が上昇し続けることができない位置にあっても、ナット25は依然として第1クリアランスS1における任意の位置まで上昇でき、ナット25とリンクプレート19は非接触状態となる。ナット25とリンクプレート19が非接触状態となると、ばね21により、リンクプレート19を確実に、ボス形状26bが内部面14bに当接する撮影位置まで押すことができる。
【0039】
図17に示されるように、ナット25の従動ギヤ16cに近い面はナット傾斜面25bとして設置される。ナット傾斜面25bと水平面との間の傾斜角はリードスクリュー20のリード角と略同じである。ナット傾斜面25bを設置することで、制御不能となってナット25が従動ギヤ16cと接触した場合、ナット25は従動ギヤ16cから脱出し易くなる。
【0040】
図18に示されるように、リンクプレート19の中間部分に第1ブッシュ18aが固定されており、第1ブッシュ18aはリンクプレート19と共に主軸17に套設されており、リンクプレート19と第1ブッシュ18aは主軸17に対し主軸17の軸方向に運動することが可能である。リンクプレート19の片側は、リードスクリュー20の軸方向に運動可能にリードスクリュー20に套設され、ナット25に当接する。リードスクリュー20が回転駆動されると、ナット25はリードスクリュー20に沿って上昇したり降下したりし、これにより、リンクプレート19はナット25の動きに伴って昇降する。リンクプレート19の他方側は昇降ユニットに接続されており、リンクプレート19が駆動されて降下する時に、昇降ユニットを降下させるよう駆動する。
【0041】
図5~
図10に示されるように、昇降ユニットは、副軸24と、副軸24に套設され、副軸24の軸方向に運動可能な昇降プレート26と、副軸24に套設され、副軸24の軸方向に昇降プレート26に弾性力を加えることが可能なばね21とを含む。
【0042】
図10に示されるように、副軸24はケース14とカバー15により支持されており、副軸24の軸線は光軸O1に平行で且つ主軸17と間隔をあけて設置されている。昇降プレート26は光軸O1に平行な方向に副軸24に沿って運動する。昇降ユニットは、副軸24に套設され、副軸24の軸方向に運動可能な第2ブッシュ18bを含んでもよい。昇降プレート26は第2ブッシュ18bに固定されている。これによって、第2ブッシュ18bにより、昇降プレート26が副軸24の軸方向に運動するよう駆動することができる。
【0043】
図19に示されるように、昇降プレート26は、昇降プレート26が副軸24回りに回転することを規制する昇降プレート凸部26aを有する。昇降プレート26の副軸24回りの回転を規制するために、昇降プレート凸部26aはケース14に設けられたケース嵌合部14aに嵌合される。
【0044】
図20は、
図5における昇降プレート26とばね21の関係の詳細図である。ばね21のばねフック21aと昇降プレート26の位置関係をより明確に示すために、
図20には、
図5における昇降プレート26とばね21を逆転させた後の状態が示されている。
図20に示されるように、昇降ユニットは副軸24に套設されるばね21を有し、ばね21は光軸方向において常時被写体側へ昇降プレート26に付勢を加える。リードスクリュー20が回転駆動されてナット25が被写体側へ運動すると、昇降プレート26はばね21の弾性力により上昇し、さらに昇降プレート26はリンクプレート19を上昇させるよう駆動し、これにより、リンクプレート19とナット25の当接保持状態が保持されている。また、ばね21には、巻き込まれて形成されたばねフック21aがさらに設置されており、ばねフック21aは昇降プレート26の側面に当接し、トーションばねの弾性力を利用して常時O2方向へ付勢を加え、さらに昇降プレート26の副軸24回りの回転を規制する。
【0045】
図21に示されるように、昇降プレート26は、光学系が撮影状態の位置決めを行うために、被写体側に向かうボス形状26bを有する。ボス形状26bはケース14の内部面14bと当接されることができる。
【0046】
図8に示されるように、昇降ユニットは板ばね23を含んでもよく、昇降プレート26とリンクプレート19は板ばね23を介して接続することができる。板ばね23は、一端が昇降プレート26の片側に固定されており、他端がリンクプレート19に当接してリンクプレート19に弾性力を加える。上述したように、昇降プレート26とリンクプレート19が同期して運動する。ナット25により昇降プレート26を降下させる過程において、リンクプレート19は板ばね23を介して昇降プレート26と当接して昇降プレート26に従って降下し、これによってばね21を押し下げる。昇降プレート26を上昇させる過程において、リードスクリュー20の回転により昇降プレート26とリンクプレート19が当接保持されている状態を保持しながら、ばね21の弾性力によりナット25を上昇させる。光軸方向に外部から撮像装置100に外力が加わった場合は、板ばね23とばね21により外部からの衝撃を緩和することが可能になる。
【0047】
図8及び
図9に示されるように、上記の光学部品は、ケース14と昇降プレート26との間に設置された伸縮可能な筒状部材27を含む。伸縮可能な筒状部材27により、外部からの塵や水を撮像素子モジュール側への侵入を最小限とすることができる。光学部品は、レンズ群10a、レンズ群10aを固定するレンズバレル10b、レンズ群10aの物体側に設置されたカバーガラス10e、オーナメントリング10d、及び手振れ防止・ピント調整モジュールをさらに含む。
【0048】
図22に示されるように、撮像素子モジュールは、撮像素子基板30d、撮像素子基板30dの上方に設置される撮像素子30a、撮像素子30aの上方に設置される赤外カットフィルター30c及び撮像素子基板30dに固定される撮像素子ケース30bを含み、撮像素子基板30dと撮像素子ケース30bにより形成された空間は撮像素子30aと赤外カットフィルター30cを収容することに用いられる。撮像素子モジュールは、カバー15の底部の凹んだ空間内に配置され、且つカバー15との間に第2クリアランスS2が形成される。撮像素子モジュールをカバー15に固定する際に、第2クリアランスS2は撮像素子モジュールの光軸を補正することに用いられる。
【0049】
図23に示されるように、上述した撮像装置100は、例えばいわゆるスマートフォン、いわゆるフィーチャーフォン、又はタブレット機器等の携帯式電子機器200用の撮像装置100に用いられてもよい。
【0050】
以上は、ただ本発明の好ましい実施形態に過ぎなく、本発明の保護範囲は、上記実施形態に限定されたものではなく、本領域の技術者が本発明に開示された内容に基づき作られた同等の修正または変形は、すべて本願の特許請求の範囲に記載された本発明に含まれている。
【手続補正書】
【提出日】2021-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
前記動力伝達機構は、前記電磁モータに取り付けられる駆動ギヤ、前記駆動ギヤに接続される中間ギヤ、前記中間ギヤに接続される従動ギヤ、前記従動ギヤに固定接続されるリードスクリュー、及び前記リードスクリューにねじ接続されるナットを含み、前記駆動ギヤ、前記中間ギヤ、前記従動ギヤ及び前記リードスクリューの軸線は前記光学部品の光軸及び前記電磁モータの軸線と平行であることを特徴とする請求項1に記載の光学部品駆動装置。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータユニット及び光学部品を支持する昇降ユニットを含み、前記アクチュエータユニットは、駆動源である電磁モータと、前記昇降ユニットに動力を伝達する動力伝達機構とを含み、前記動力伝達機構は、主軸と、前記主軸に套設され、前記主軸の軸方向に運動可能なリンクプレートとを含み、前記リンクプレートが前記昇降ユニットに接続され、前記電磁モータが発生する駆動力により、前記リンクプレートを介して前記昇降ユニットの昇降を制御し、前記昇降ユニットは、板ばねと昇降プレートを含み、前記板ばねは、一端が前記昇降プレートに固定されており、他端が前記リンクプレートに当接して前記リンクプレートに弾性力を加えることを特徴とする光学部品駆動装置。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、前記電磁モータに取り付けられる駆動ギヤ、前記駆動ギヤに接続される中間ギヤ、前記中間ギヤに接続される従動ギヤ、前記従動ギヤに固定接続されるリードスクリュー、及び前記リードスクリューにねじ接続されるナットを含み、前記駆動ギヤ、前記中間ギヤ、前記従動ギヤ及び前記リードスクリューの軸線は前記光学部品の光軸及び前記電磁モータの軸線と平行であることを特徴とする請求項1に記載の光学部品駆動装置。
【請求項3】
前記ナットは、前記ナットの回転を規制するナット凸部を有することを特徴とする請求項2に記載の光学部品駆動装置。
【請求項4】
前記リンクプレートは、前記リンクプレートの回転を規制するリンクプレート凸部を有することを特徴とする請求項2に記載の光学部品駆動装置。
【請求項5】
前記ナットの前記従動ギヤに近い面はナット傾斜面として設置されることを特徴とする請求項2に記載の光学部品駆動装置。
【請求項6】
前記昇降ユニットは、副軸と、前記副軸に套設され、前記副軸の軸方向に前記昇降プレートに弾性力を加えることが可能なばねとを含み、前記昇降プレートは前記副軸に套設され、前記副軸の軸方向に運動可能であることを特徴とする請求項1に記載の光学部品駆動装置。
【請求項7】
前記昇降プレートは、前記昇降プレートが前記副軸回りに回転することを規制する昇降プレート凸部を有することを特徴とする請求項6に記載の光学部品駆動装置。
【請求項8】
前記アクチュエータユニットは位置検知センサーを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学部品駆動装置。
【請求項9】
ケースと、光学部品と、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学部品駆動装置とを備え、前記光学部品は、前記光学部品駆動装置により駆動されることにより、光軸方向において前記ケースから繰り出され、又は前記ケースへ引っ込められることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記光学部品は、前記ケースと前記昇降プレートとの間に設置された伸縮可能な筒状部材を含むことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記ケースは、前記光学部品駆動装置の昇降プレートの回転を規制するケース嵌合部をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載の撮像装置を備えることを特徴とする携帯式電子機器。