(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055802
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/018 20060101AFI20220401BHJP
A61B 1/012 20060101ALI20220401BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
A61B1/018 513
A61B1/018 511
A61B1/012 511
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163438
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】森島 登祥
(72)【発明者】
【氏名】池谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慶時
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040DA03
2H040DA12
2H040DA18
2H040DA19
2H040DA56
2H040DA57
4C161AA00
4C161BB00
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161FF42
4C161FF43
4C161LL02
(57)【要約】
【課題】処置具の位置制御の精度向上及び液体吸引用の隙間の確保を共に図ることのできる内視鏡を提供する。
【解決手段】体腔内に挿入される丸管状の挿入部を備える内視鏡において、前記挿入部の先端面131に一端が開口し、前記挿入部を軸長方向に貫き、処置具が通る処置具路78と、前記挿入部の先端面に一端が開口し、前記挿入部を軸長方向に貫き、前記一端から流入された流体が流れる流体路79とを備え、処置具路78及び流体路79は断面視で一部が連続している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入される丸管状の挿入部を備える内視鏡において、
前記挿入部の先端面に一端が開口し、前記挿入部を軸長方向に貫き、処置具が通る処置具路と、
前記挿入部の先端面に一端が開口し、前記挿入部を軸長方向に貫き、前記一端から流入された流体が流れる流体路とを備え、
前記処置具路及び前記流体路は断面視で一部が連続していることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記処置具路及び前記流体路は断面視円形であり、
前記処置具路は、前記流体路よりも大きい径を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記挿入部の軸心から前記流体路までの距離は、前記挿入部の軸心から前記処置具路までの距離以上であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
体腔内に挿入される管状の挿入部を備える内視鏡において、
断面視円形の主部と、
前記主部の外周の一ヶ所で、径方向に延設された延出部と、
前記一ヶ所には、前記挿入部を軸長方向に貫く貫通路が形成されていることを特徴とする内視鏡。
【請求項5】
前記貫通路は、前記一ヶ所であって、前記主部の中心から半径だけ離れた位置を含むことを特徴とする請求項4に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記貫通路の一端は前記挿入部の先端面に開口しており、
前記貫通路の一端を介して流体が吸引される請求項4又は5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記挿入部の前記先端面に一端が開口し、前記挿入部を軸長方向に貫き、処置具が通る処置具路を更に備え、
前記主部の軸心から前記貫通路までの距離は、前記主部の軸心から前記処置具路までの距離よりも長いことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入される丸管状の挿入部を備える内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体腔内に挿入される挿入部が、先端側から第1湾曲部及び第2湾曲部を順次有する内視鏡が広く普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮像素子、撮像基板、撮像レンズ等の高価な部品を含む撮像ユニットを有する撮像装置を内視鏡の挿入部から取り出して回収できるようにすることによって、回収された撮像ユニットの再利用を可能にした内視鏡が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、チャンネル内に挿入される処置具の外径に応じてチャンネルの内周面と処置具との隙間を変更できるように構成することによって、チャンネルの内周面と処置具との隙間を小さくした内視鏡が開示されている。
【0005】
例えば、特許文献3には、チャンネルを、長円形状又は半円形状にすることによって、斯かるチャンネル内に処置具が挿入された場合、処置具とチャンネルの内壁との隙間から流体を吸引できるようにした内視鏡が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、湾曲方向に関わらず、チャンネルチューブの曲率半径が同寸法で湾曲する湾曲部を挿入部に設け、該挿入部の操作性を高めた内視鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2018-228334号公報
【特許文献2】国際公開第2020/017245号
【特許文献3】特公平05-57847号公報
【特許文献4】特許第6223218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
1つのチャンネルを有し、チャンネル内に処置具が挿入された場合に処置具とチャンネルの内壁との隙間から体液等の液体を吸引する構成を有する内視鏡は、液体を吸引する為の隙間を確保する必要がある。
【0009】
しかし、液体吸引用の隙間を優先してチャンネルの内径を大きくした場合はチャンネル内の処置具の位置制御の精度が劣り、処置具の位置制御の精度を優先してチャンネル内径を小さくした場合は液体吸引用の隙間が狭くなるという問題がある。また、処置具用のチャンネルと吸引用のチャンネルとを別に設けることも可能であるが、この場合、挿入部の構成が複雑になるという問題がある。
特許文献1-3の内視鏡では、このような問題に対して工夫しておらず、解決することができない。
【0010】
前記挿入部を軸長方向に貫く貫通路を備え、液体の吸引を行う内視鏡において、液体の吸引量を増やすためには、斯かる貫通路の内径を大きくする必要がある。しかし、貫通路の内径を拡大した場合は挿入部の径が大きくなり、内視鏡を用いる検査の際、被検者に負担を強いる。
しかし、特許文献1,4の内視鏡では、このような問題に対して工夫しておらず、解決することができない。
【0011】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、処置具の位置制御の精度向上及び液体吸引用の隙間の確保を共に図ることのできる内視鏡を提供することにある。
【0012】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、チャンネル等の貫通路の内径を拡大しつつも、挿入部の径の拡大を抑制できる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る内視鏡は、体腔内に挿入される丸管状の挿入部を備える内視鏡において、前記挿入部の先端面に一端が開口し、前記挿入部を軸長方向に貫き、処置具が通る処置具路と、前記挿入部の先端面に一端が開口し、前記挿入部を軸長方向に貫き、前記一端から流入された流体が流れる流体路とを備え、前記処置具路及び前記流体路は断面視で一部が連続している。
【0014】
本発明にあっては、前記処置具路及び前記流体路が断面視で一部が連続しているので、前記処置具路及び前記流体路が夫々分離して設けられている場合に比べ、コンパクトな構成にて、処置具の挿入有無に拘わらず前記処置具路を介した安定な液体吸引と、処置具の位置制御の精度向上とを両立できる。
【0015】
本発明に係る内視鏡は、体腔内に挿入される管状の挿入部を備える内視鏡において、断面視円形の主部と、前記主部の外周の一ヶ所で、径方向に延設された延出部と、前記一ヶ所には、前記挿入部を軸長方向に貫く貫通路が形成されている。
【0016】
本発明にあっては、前記貫通路が前記主部の外周に相当する部分(前記一ヶ所)まで含む広い内径を有することができるうえ、前記延出部によって前記貫通路付近が補強されている。このような部分的な補強によって、内視鏡の径が全体的に拡大されることが抑制される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、処置具の位置制御の精度向上及び液体吸引用の隙間の確保を共に図ることができる。
【0018】
本発明によれば、チャンネル等の貫通路の内径を拡大しつつも、挿入部の径の拡大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る内視鏡の外観図である。
【
図3】
図2のIII-III線による断面図である。
【
図5】撮像装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図6】ケーブルユニットと中継部との接続を説明する説明図である。
【
図10】内視鏡から撮像装置を回収する方法を説明する説明図である。
【
図11】内視鏡から撮像装置を回収する方法を説明する説明図である。
【
図12】内視鏡から撮像装置を回収する方法を説明する説明図である。
【
図13】内視鏡から撮像装置を回収する方法を説明する説明図である。
【
図14】実施の形態2に係る内視鏡における先端部の先端面を示す図である。
【
図17】実施の形態3に係る内視鏡における先端部の先端面を示す図である。
【
図18】
図17のXVIII-XVIII線による断面図である。
【
図19】実施の形態4に係る内視鏡における先端部の先端面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態に係る内視鏡について、図面に基づいて詳述する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10の外観図である。本実施の形態の内視鏡10は、いわゆるディスポ―ザブル型の内視鏡である。
内視鏡10は、被検者の体腔内に挿入される挿入部14と、挿入部14を操作する操作部20と、図示しないプロセッサ及び送気送水装置等に接続されるコネクタ部24とを備える。
挿入部14は、折止部16を介して操作部20に接続されており、コネクタ部24はユニバーサルコード25を介して操作部20に接続されている。
【0022】
ユニバーサルコード25は、柔軟性を有しており、挿入部14の前記撮像手段からの電気信号をコネクタ部24に送る電気線と、コネクタ部24から送られる水が通る水路及び空気が通る気路とを含む。
【0023】
操作部20は、把持部205と、ユーザから指示を受け付けるボタン201と、後述する能動湾曲部12の湾曲を操作する湾曲ノブ21とを有している。
【0024】
把持部205は略円筒形状を有しており、折止部16側寄りに、処置具等を挿入するためのチャンネル入口22が設けられている。また、把持部205の内側には、後述する先端部13の撮像ユニット617を前記プロセッサと接続する中継部40が内装されている。
【0025】
挿入部14は、細径の円筒形状を有しており、湾曲可能に構成されている。挿入部14は先端側から順に先端部13、能動湾曲部12及び受動湾曲部11を有している。
【0026】
先端部13は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像手段、該撮像手段を駆動する為の回路基板、観察光学系等を含む後述の撮像ユニット617と、一連のレンズ組からなる後述のレンズユニット62とを有している。また、先端部13は、体腔内の観察対象部位を照射する照射、照明光学系等を有している。先端部13の撮像ユニット617からの電気信号は、中継部40及びコネクタ部24を介して前記プロセッサに送られる。
【0027】
能動湾曲部12は能動的に湾曲可能である。即ち、能動湾曲部12は湾曲ノブ21の操作に応じて4方向に湾曲される。一方、受動湾曲部11は受動的に湾曲される。即ち、受動湾曲部11は対象物との接触によって4方向の何れかに湾曲する。
能動湾曲部12及び受動湾曲部11は例えば、マルチルーメンチューブからなり、一体形成されている。
【0028】
図2は、先端部13の先端面131を示す図であり、
図3は、
図2のIII-III線による断面図であり、
図4は、
図2のIV-IV線による断面図である。
先端部13は、円柱形状を有しており、能動湾曲部12より大きい径を有している。先端部13では、能動湾曲部12側の端面に鍔部70が周縁に沿って設けられている。能動湾曲部12の先端部は鍔部70に内嵌されている。
【0029】
内視鏡10は、挿入部14及び折止部16に亘って、撮像装置15が内装されている。撮像装置15は、レンズユニット62及び撮像ユニット617を含み、撮像ユニット617はケーブルユニット50を介して中継部40に接続されている。
【0030】
図5は、撮像装置15の構成を模式的に示す断面図である。
撮像装置15は、収容筒60を備え、レンズユニット62及び撮像ユニット617を収容している。収容筒60は角筒であり、一端部は円形の内周面を有する円形孔部61であり、他の部分は四角形の内周面を有する角形孔部68である。円形孔部61には、レンズユニット62が挿入されており、角形孔部68には撮像ユニット617が挿入されている。レンズユニット62と撮像ユニット617との間には、遮光マスク614が設けられている。
【0031】
レンズユニット62は観察窓132及び複数の撮像レンズ621を有する。観察窓132及び複数の撮像レンズ621は同一軸心上に配置されている。観察窓132及び複数の撮像レンズ621はピント調整が施された状態で、外周面がレンズ枠622によって覆われて固定されている。
【0032】
撮像ユニット617は、フィルタ623、撮像素子611、撮像基板612を有している。
フィルタ623は、撮像素子611に入射する光から、たとえば赤外線等の不要な光を除去する。レンズユニット62から入射される光が撮像素子611に結像され、撮像素子611が光学像を電気信号に変換する。撮像基板612は、撮像素子611を制御するドライバ回路を内蔵している。撮像基板612には、収容筒60の他端側からケーブルユニット50が接続されている。
【0033】
ケーブルユニット50は、ケーブルチューブ51によって束ねられた複数のケーブル素線511を備える。ケーブルユニット50の一端は撮像基板612と接続されている。ケーブルユニット50の一端と撮像基板612との接続部は、絶縁性の樹脂54によりポッティングされている。
【0034】
フィルタ623、撮像素子611、撮像基板612及びケーブルユニット50の一端部は、組み立てられた状態で、絶縁チューブ535により保持されている。絶縁チューブ535は、熱収縮チューブであり、熱によって収縮されてそれぞれの部品を固定し、組み立ての状態が保たれる。
【0035】
ケーブルユニット50は収容筒60の他端から外側に延出している。ケーブルユニット50の他端は中継部40と接続している(
図1)。
図6は、ケーブルユニット50と中継部40との接続を説明する説明図である。中継部40は、ケーブルユニット50の他端が接続される第1中継基板55と、複数のケーブル素線252が接続された第2中継基板253とを備える。第1中継基板55は接続コネクタ552を備えており、各ケーブル素線252はユニバーサルコード25及びコネクタ部24を経て前記プロセッサに接続されている。第1中継基板55及び第2中継基板253は対向配置されており、これらの間には接続コネクタ552が介在しており、第1中継基板55及び第2中継基板253は接続コネクタ552を介して接続されている。
【0036】
図7は、第1中継基板55を示す図である。
図7においては、説明の便宜上、接続コネクタ552を点線にて示している。
【0037】
第1中継基板55は、略矩形状を有し、一端部の角がR面取りされている。第1中継基板55の前記一端部には、円形の貫通孔554が形成されている。
また、第1中継基板55では、他端から長手方向の中間部にかけて矩形のランド部553が形成されている。第1中継基板55の幅方向に一対のランド部553が形成されており、第1中継基板55の長手方向に一対のランド部553が複数並設されている。
【0038】
各ランド部553は、第1中継基板55の内部を通って接続コネクタ552に接続されている。各ランド部553には、ケーブルユニット50の他端のケーブル素線511が夫々例えば半田付けされている。ケーブル素線511とランド部553との接続部は、絶縁性の樹脂557によりポッティングされている。
【0039】
第2中継基板253も第1中継基板55と同様、ランド部555及び貫通孔556を有している。各ランド部555は、第2中継基板253の内部を通って接続コネクタ552に接続されている。各ランド部555には対応するケーブル素線252が夫々半田付けされている。第1中継基板55及び第2中継基板253は同一形状を有するので、第2中継基板253についての詳しい説明は省略する。
【0040】
また、接続コネクタ552は、第2中継基板253の内部を通ってランド部555とも接続されている。即ち、第1中継基板55の各ランド部553は、接続コネクタ552を介して、第2中継基板253の各ランド部555と一対一に接続されている。
【0041】
第1中継基板55及び第2中継基板253は、ランド部553,555が形成された面が互いに反対向きとなるように、対向配置されている。この際、第1中継基板55の貫通孔554及び第2中継基板253の貫通孔556は、第1中継基板55及び第2中継基板253の対向方向において整合する。ネジ259が第1中継基板55の貫通孔554及び第2中継基板253の貫通孔556に挿入され、操作部20内部に取り付けられたフレーム258に形成されたネジ孔に螺合することによって、第1中継基板55及び第2中継基板253が固定されている。
【0042】
先端部13には、軸長方向に貫くユニット孔71が形成されている。ユニット孔71は、円形の先端面131の半部の中央部に形成されている。ユニット孔71は断面視四角形であり、撮像装置15が挿入されている。観察窓132は先端面131から露出されている。
収容筒60において、円形孔部61の端部には、対向する二つの外面にカニメ穴619が夫々形成されている。また、角形孔部68の端部であって、前記二つの外面のうち一方には、凹部682が形成されている(
図4参照)。
【0043】
収容筒60は、カニメ穴619が形成された前記二つの外面の対向方向が、観察窓132の軸心を通る径方向と一致するように配置されている。この際、凹部682及びカニメ穴619が形成された一面が他の3面よりも縁寄りに位置する。
【0044】
能動湾曲部12においてユニット孔71に対応する位置には、ケーブル孔42が形成されている。ケーブル孔42は、断面視円形であり、能動湾曲部12を軸長方向に貫く。能動湾曲部12のケーブル孔42は先端部13のユニット孔71と連通しており、ユニット孔71及びケーブル孔42は同一の軸心上に配置されている。ケーブル孔42にはケーブルユニット50が挿入されている。
【0045】
受動湾曲部11及び折止部16には、能動湾曲部12のケーブル孔42と同径の貫通孔(図示せず)が夫々形成されており、これら貫通孔はケーブル孔42と連通している。ケーブルユニット50は、受動湾曲部11及び折止部16の前記貫通孔を介して操作部20の中継部40まで延びている。
【0046】
図8は、第1中継基板55の大きさを説明する図である。便宜上、ケーブル孔42を二点鎖線にて示しており、第2中継基板253が外された状態を表示している。
ケーブルチューブ51の径はケーブル孔42の径より小さく、第1中継基板55の幅方向の寸法はケーブルチューブ51の径よりも小さい。よって、第1中継基板55は、能動湾曲部12のケーブル孔42内、受動湾曲部11及び折止部16の前記貫通孔内を移動可能である。
【0047】
先端部13の先端面131には、収容筒60の前記二つの外面の対向方向と直交する方向に、観察窓132を挟んで照明窓133が夫々設けられている。即ち、先端部13には、ユニット孔71の両側に、軸長方向に先端部13を貫通する照明孔76が夫々形成されている。照明孔76は断面視円形であり、一端が先端面131に開口しており、斯かる一端に照明窓133が配置されている。
【0048】
各照明孔76には、発光素子136が挿入されており、照明窓133は、発光素子136から放射される照明光の照射角度を拡げて出射させる。各発光素子136は、照明孔76の他端側から照明ケーブル761に接続されており、照明ケーブル761は発光素子136に電力を供給する。
【0049】
能動湾曲部12において照明孔76に対応する位置には、照明ケーブル孔46が形成されている。照明ケーブル孔46は、断面視円形であってケーブル孔42より小さい径を有し、能動湾曲部12を軸長方向に貫く。能動湾曲部12の照明ケーブル孔46は先端部13の照明孔76と連通しており、照明孔76及び照明ケーブル孔46は同一の軸心上に配置されている。照明ケーブル孔46に照明ケーブル761が挿入されている。
【0050】
受動湾曲部11には、能動湾曲部12の照明ケーブル孔46と同径の貫通孔(図示せず)が夫々形成されており、これら貫通孔は照明ケーブル孔46と連通している。照明ケーブル761は、受動湾曲部11及び折止部16の前記貫通孔を介して操作部20を経由し、コネクタ部24まで延びている。
【0051】
先端部13の先端面131の略半部には、略半円形の凹部75が形成されている。凹部75の底に、2つの照明窓133及び観察窓132が配置されている。即ち、凹部75の底に2つの照明孔76及びユニット孔71が開口している。
【0052】
凹部75には、凹部75に倣う半円形状の窓板145により覆われている。窓板145の表面は、先端面131と面一をなしている。また、窓板145において直線状に延びる縁の両端部はR面取りされ、凹部75の側壁との間に隙間が形成されている。
【0053】
先端面131の残り半部であって、2つの照明窓133のうち、一方の照明窓133の近傍には、内視鏡検査中の窓板145の清掃等に使用される送気ノズル143及び送水ノズル144と、観察対象部位から残渣、粘液及び血液等を洗い流す際に使用されるジェット出口141が設けられている。
【0054】
ユニバーサルコード25と、能動湾曲部12、受動湾曲部11及び折止部16を通る送水孔(図示せず)又は送気孔(図示せず)とを介して送気送水装置から送られた水又は空気は、操作部20の操作に応じて送水ノズル144又は送気ノズル143から観察窓132に向けて放出される。
【0055】
ジェット出口141は、先端面131付近にて縮径されており、ユニバーサルコード25と、能動湾曲部12、受動湾曲部11及び折止部16を貫通する送水孔(図示せず)とを介して送気送水装置から送られた水がジェット出口141から勢い良く放出される。
【0056】
挿入部14には、挿入部14を軸長方向に貫く、先端部13の湾曲操作用の湾曲ワイヤ17の為の湾曲ワイヤ孔が形成されている。前記湾曲ワイヤ孔は、能動湾曲部12に形成された湾曲ワイヤ孔47と、受動湾曲部11及び折止部16夫々に形成された湾曲ワイヤ孔とからなり、能動湾曲部12の湾曲ワイヤ孔47と受動湾曲部11及び折止部16の湾曲ワイヤ孔とは同形状を有し、互いに連通している。便宜上、以下では、湾曲ワイヤ孔47についてのみ説明する。
【0057】
湾曲ワイヤ孔47は、断面視円形であり、能動湾曲部12の外周面近傍に4つの湾曲ワイヤ孔47が形成されている。湾曲ワイヤ孔47は周方向にて等間隔に隔てて形成されている。能動湾曲部12の先端部13側の端面に湾曲ワイヤ孔47の一端が開口している。
【0058】
先端部13においては、能動湾曲部12側の端面であって、湾曲ワイヤ孔47の前記一端と対応する位置に、凹部77が形成されている。即ち、先端部13の前記端面には、周方向に等間隔にて4箇所に凹部77が形成されている。各凹部77は断面視円形であり、湾曲ワイヤ孔47よりも大きい径を有する。各凹部77は、対応する湾曲ワイヤ孔47と同軸心上に形成されている。
【0059】
各湾曲ワイヤ孔47には、湾曲ワイヤ17が挿入されている。湾曲ワイヤ17の一端は、湾曲ワイヤ孔47の前記一端を介して、対応する凹部77内に突出している。湾曲ワイヤ17の一端は、ロー付け、カシメ等により凹部77内に固定されている。湾曲ワイヤ17の他端は、前記湾曲ワイヤ孔を介して操作部20の湾曲ノブ21に連結されている。ユーザが湾曲ノブ21を操作することによって、湾曲ワイヤ17が能動湾曲部12を湾曲させる。
【0060】
また、
図4に示すように、先端部13の外周面には、径方向において、収容筒60の凹部682に対応する位置に、ユニット孔71と連通する連通孔712が形成されている。連通孔712は断面視円形であり、内周面にはネジ山が形成されている。連通孔712には固定ネジ69が螺合されている。固定ネジ69が収容筒60と圧接することによって、ユニット孔71内における収容筒60の位置が固定される。
【0061】
図9は、
図4のIX-IX線による断面図である。
挿入部14には、挿入部14を軸長方向に貫き、チャンネル入口22から挿入された処置具(
図2の二点鎖線参照)が通る処置具路が形成されている。前記処置具路は、先端部13に形成された処置具路78と、能動湾曲部12に形成された処置具路48と、受動湾曲部11に形成された処置具路(図示せず)とを含む(
図4参照)。処置具路78、処置具路48及び受動湾曲部11の処置具路は、断面視略円形であり、同じ径である。処置具路78、処置具路48及び受動湾曲部11の処置具路は、処置具の径より例えば0.1~0.5mm大きい径を有している。
処置具路78の一端(以下、チャンネル出口142)は拡径され、先端面131の前記残り半部にて2つの照明窓133のうち他方の照明窓133の近傍に開口している。処置具路78の他端はチャンネルパイプ781を介して処置具路48の一端と連通している(
図4参照)。
【0062】
即ち、先端部13と能動湾曲部12との間にはチャンネルパイプ781が介在している。チャンネルパイプ781の一端は処置具路78に内嵌されており、チャンネルパイプ781の他端は処置具路48に内嵌されている。チャンネルパイプ781は、処置具路78及び処置具路48と同一軸心上に配置されている。なお、処置具路48の他端は受動湾曲部11の処置具路と連通している。
【0063】
また、挿入部14には、挿入部14を軸長方向に貫く2つの流体路79が形成されている(
図1参照)。各流体路79は、能動湾曲部12、受動湾曲部11及び折止部16を貫く同径の貫通孔を含み、これらの貫通孔は互いに連通している。更に、各流体路79は断面視略円形であり、処置具路78より小さい径を有する。各流体路79の一端(以下、流体路口791)は、先端面131の前記残り半部にて2つの照明窓133のうち前記他方の照明窓133の近傍に開口している。流体路口791を介して灌流液等の流体が吸引され、流体路79を通って操作部20側に流れる。
【0064】
2つの流体路79は、処置具路78、処置具路48及び受動湾曲部11の処置具路の夫々の径方向にて互いに対向するように形成されている。流体路79との位置関係は、処置具路78、処置具路48及び受動湾曲部11の処置具路の何れにおいても同じであり、以下においては、説明の便宜上、処置具路78についてのみ説明する。
【0065】
処置具路78及び2つの流体路79は断面視で一部が連続するように形成されている。即ち、
図2及び
図9に示すように、処置具路78の断面によって定められる円C1が、夫々の流体路79の断面によって定められる円C2と部分的に重なっており、全体的には処置具路78と流体路79とが一体化されている。
換言すれば、処置具路78及び2つの流体路79は一体化され、断面視で、流体路79に係る2箇所の優弧形状部分と、処置具路78に係る2箇所の劣弧形状部分とからなる1つの孔が構成されている。前記優弧形状部分同士及び前記劣弧形状部分同士は互いに対向している。
【0066】
先端部13(挿入部14)の軸心から各流体路79までの距離、即ち、先端部13の軸心から流体路79に係る円C2の中心までの距離L2は、先端部13(挿入部14)の軸心から処置具路78までの距離、即ち、先端部13の軸心から処置具路78に係る円C1の中心までの距離L1以上である。換言すれば、処置具路78及び流体路79は先端部13の外周面から等しい位置に形成され、又は、流体路79が処置具路78よりも挿入部14の外周面から近い外側位置に形成されている。
【0067】
以上の構成を有する実施の形態1の内視鏡10は、1回の使用後、高価な撮像装置15を回収して再利用することができる。
【0068】
図10から
図13は、内視鏡10から撮像装置15を回収する方法を説明する説明図である。以下、撮像装置15の回収について詳しく説明する。
【0069】
まず、操作部20を分解して、中継部40から第1中継基板55を取り外す(
図1及び
図6参照)。次に、窓板145と、凹部75の側壁との間の隙間に治具を差し込んで抉ることにより窓板145を先端部13から取り外す(
図2参照)。
【0070】
次いで、連通孔712から固定ネジ69を外す。これにより、
図10に示すように、連通孔712を介して、凹部682が露出する。
図11に示すように、先端が棒状である押出治具81を、連通孔712を介して凹部682に差し込む。押出治具81を用いて凹部682を先端部13の先端側(
図11の矢印方向)に押し出す。これにより、
図12に示すように撮像装置15の先端が先端部13の先端面131から突出し、カニメ穴619が露出する。
【0071】
この後、
図13に示すように、カニメ治具82を2つのカニメ穴619に差し込み、撮像装置15を引っ張ることにより、撮像装置15を内視鏡10から取り出せる。上述の如く、ケーブルチューブ51及び第1中継基板55はケーブル孔42の径より小さいので、ケーブルチューブ51及び第1中継基板55は、ケーブル孔42及びユニット孔71を介して挿入部14から抜けられる。
以上の作業により、撮像装置15を内視鏡10から取り出すことができる。
【0072】
そして、以上の構成を有することから、実施の形態1の内視鏡10は、処置具の位置制御の精度向上及び液体吸引用の隙間の確保を共に図ることができる。
上述の如く、処置具路78及び処置具路48は、処置具の径より少し大きい径を有している。従って、処置具は処置具路78及び処置具路48に拘束され、処置具の動きは処置具路78及び処置具路48の動きに従う。よって、ユーザが湾曲ノブ21を操作することによって能動湾曲部12を湾曲させることにより、精度良く処置具の向きを制御することができる。
【0073】
また、流体路79の孔は処置具路78とは別に、常に確保されているので、安定して灌流液等の流体が吸引できる。
更に、胆道鏡・膀胱鏡検査のように、生理食塩水等の液体を灌流しながら行う手技においても、処置具路78に処置具を挿通しながら流体路79を介して灌流が十分に行える。
かつ、処置具路78と流体路79とが一体化されて、一つの孔を構成しているので、処置具路78と流体路79と別々に設けた場合に比べて構成をコンパクト化できる。
【0074】
また、実施の形態1の内視鏡10は、上述の如く、流体路79が処置具路78よりも挿入部14の外周面から近い外側位置に形成されている。よって、内視鏡10を用いる内視鏡検査の際、検査対象部位の液体を、より下側から吸い込むことができる。従って、液体が重力に沿って流れ易く、一層キレイに液体を吸い込むことができる。
【0075】
以上においては、内視鏡10が2つの流体路79を有する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、1つの流体路79を有する構成であっても良い。
【0076】
(実施の形態2)
図14は、実施の形態2に係る内視鏡10における先端部13の先端面131を示す図であり、
図15は、
図14のXV-XV線による断面図であり、
図16は、
図15のXVI-XVI線による断面図である。
【0077】
実施の形態2の内視鏡10では、挿入部14は、断面視円形の主部73と、主部73の外周の一ヶ所Pで、径方向に延設された延出部72とを含む。延出部72は挿入部14の全長に亘って形成されている。即ち、挿入部14では、主部73の外周面は断面視優弧形状をなしており、延出部72の外周面は断面視劣弧形状をなしている。
【0078】
先端部13の先端面131の略半部には、実施の形態1と同様、略半円形の凹部75が形成されている。凹部75の中央部に、先端部13を軸長方向に貫くユニット孔71が形成されている。ユニット孔71は断面視四角形であり、撮像装置15が挿入されている。撮像装置15の観察窓132が先端面131から露出されている。また、凹部75の底には、撮像装置15の両側に2つの照明窓133及び観察窓132が配置されている。
【0079】
また、先端面131の残り半部であって、2つの照明窓133のうち、一方の照明窓133の近傍には、内視鏡検査中の窓板145の清掃等に使用される送気ノズル143及び送水ノズル144と、観察対象部位から残渣、粘液及び血液等を洗い流す際に使用されるジェット出口141が設けられている。実施の形態1同じ部分については詳しい説明は省略する。
【0080】
実施の形態2の内視鏡10では、一ヶ所Pに、チャンネル入口22(
図1参照)から挿入された処置具が通る処置具路(貫通路)が形成されている。処置具路は挿入部14を軸長方向に貫いている。前記処置具路は、先端部13に形成された処置具路78Aと、能動湾曲部12に形成された処置具路48Aと、受動湾曲部11に形成された処置具路(図示せず)とを含む。処置具路78A、処置具路48A及び受動湾曲部11の処置具路は、断面視円形であり、同じ径である。
【0081】
処置具路78Aの一端(以下、チャンネル出口142A)は拡径され、先端面131の前記残り半部にて2つの照明窓133のうち他方の照明窓133の近傍に開口している。処置具路78Aの他端はチャンネルパイプ781を介して処置具路48Aの一端と連通している。
【0082】
即ち、先端部13と能動湾曲部12との間にはチャンネルパイプ781が介在しており、チャンネルパイプ781は断面視円形である。チャンネルパイプ781の一端部は処置具路78Aに内嵌されており、チャンネルパイプ781の他端部は処置具路48Aに内嵌されている。チャンネルパイプ781は、処置具路78A及び処置具路48Aと同一軸心上に配置されている。なお、処置具路48Aの他端は受動湾曲部11の処置具路と連通している。
処置具路78A、処置具路48A及び受動湾曲部11の処置具路は、同形状を有するので、以下においては、処置具路78Aについてのみ説明する。
【0083】
上述の如く、処置具路78Aは一ヶ所Pに形成されている。処置具路78Aは、一ヶ所Pであって、主部73の中心から主部73の半径だけ離れた位置を含むように形成されており、処置具路78Aの中心は、一ヶ所Pと主部73の中心とを結ぶ線上に位置している。
【0084】
即ち、延出部72において、主部73の中心から主部73の半径だけ離れた位置、換言すれば、主部73の外周の延長線(
図14の一点鎖線)上の位置が処置具路78A(チャンネル出口142A)に含まれるように形成されている(
図14参照)。
図14では、チャンネル出口142Aの縁が主部73の外周の延長線上に位置している場合を例視しているが、これに限定されるものではなく、主部73の外周の延長線がチャンネル出口142Aの縁よりも内側に位置するように、処置具路78Aを設けても良い。
【0085】
チャンネル入口22(
図1参照)から挿入された処置具は、受動湾曲部11の処置具路、処置具路48A及び処置具路78Aを通してチャンネル出口142Aから出て、体内に対して診断・治療などが行われる。この際、処置具と、処置具路78A、処置具路48A及び受動湾曲部11の処置具路との間には隙間が存在する。斯かる隙間を介して体腔内の体液等の液体を吸い込むことができる。
【0086】
特に、実施の形態2の内視鏡10は、上述したように、処置具路78A、処置具路48A及び受動湾曲部11の処置具路が、主部73の中心から主部73の半径だけ離れた位置を含む広い範囲に形成されている。よって、処置具と処置具路78A、処置具路48A及び受動湾曲部11の処置具路との隙間を広く確保することができ、安定して液体の吸引を行うことができる。
従って、胆道鏡・膀胱鏡検査のように、生理食塩水等の液体を灌流しながら行う手技においても、灌流が十分に行える。
【0087】
また、実施の形態2の内視鏡10においては、上述の如く、処置具路が挿入部14の縁付近まで広い範囲で形成されているので、これに伴う強度補強のため延出部72を設け、処置具路78A、処置具路48A及び受動湾曲部11の処置具路と挿入部14の外周面間の強度に必要な厚みを確保している。
【0088】
即ち、挿入部14の径自体を大きくするのではなく、処置具路78A、処置具路48A及び受動湾曲部11の処置具路が存在する部分にのみ延出部72を設けることにより、挿入部14が太くなることを極力抑えている。これによって、内視鏡検査を受ける被検者の負担を最小限にすることができる。
【0089】
実施の形態2の内視鏡10における他の構成は、実施の形態1の内視鏡10と同じであり、実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0090】
(実施の形態3)
図17は、実施の形態3に係る内視鏡10における先端部13の先端面131を示す図であり、
図18は、
図17のXVIII-XVIII線による断面図である。
【0091】
挿入部14は、断面視円形の主部73と、主部73の外周の一ヶ所Pで、径方向に延設された延出部72とを含む。延出部72は挿入部14の全長に亘って形成されている。即ち、挿入部14では、主部73の外周面は断面視優弧形状をなしており、延出部72の外周面は断面視劣弧形状をなしている。
【0092】
先端部13の先端面131の略半部には、実施の形態1と同様、略半円形の凹部75が形成されており、凹部75の中央部にユニット孔71が形成されている。ユニット孔71には撮像装置15が挿入されており、撮像装置15の観察窓132が先端面131から露出されている。凹部75の底には、撮像装置15の両側に2つの照明窓133及び観察窓132が配置されている。
【0093】
また、先端面131の残り半部であって、2つの照明窓133のうち、一方の照明窓133の近傍には、送気ノズル143、送水ノズル144及びジェット出口141が設けられている。実施の形態1同じ部分については詳しい説明は省略する。
【0094】
挿入部14には、挿入部14を軸長方向に貫き、チャンネル入口22(
図1参照)から挿入された処置具(
図17の二点鎖線参照)が通る処置具路が形成されている。前記処置具路は、先端部13に形成された処置具路78Bと、能動湾曲部12に形成された処置具路48Bと、受動湾曲部11に形成された処置具路(図示せず)とを含む。処置具路78B、処置具路48B及び受動湾曲部11の処置具路は、断面視略円形であり、同じ径である。処置具路78B、処置具路48B及び受動湾曲部11の処置具路は、処置具の径より例えば0.1~0.5mm大きい径を有している。
【0095】
処置具路78Bの一端(以下、チャンネル出口142B)は拡径され、2つの照明窓133のうち他方の照明窓133の近傍に開口している。処置具路78Bの他端はチャンネルパイプ781Aを介して処置具路48Bの一端と連通している。なお、処置具路48Bの他端は受動湾曲部11の処置具路と連通している。
【0096】
また、挿入部14には、挿入部14を軸長方向に貫く流体路(貫通路)が形成されている。前記流体路は、先端部13に形成された流体路79Aと、能動湾曲部12に形成された流体路49と、受動湾曲部11に形成された流体路(図示せず)とを含む。流体路79A、流体路49及び受動湾曲部11の流体路は、断面視略円形であり、同じ径である。流体路79A、流体路49及び受動湾曲部11の流体路は、前記処置具路の径より大きい径を有している。
【0097】
流体路79Aの一端(以下、流体路口791A)は拡径され、2つの照明窓133のうち前記他方の照明窓133の近傍に開口している。流体路79Aの他端はチャンネルパイプ781Aを介して流体路49の一端と連通している。なお、流体路49の他端は受動湾曲部11の流体路と連通している。流体路口791Aを介して灌流液等の流体が吸引され、流体路79A、流体路49を通って操作部20側に流れる。
【0098】
上述の如く、先端部13と能動湾曲部12との間にはチャンネルパイプ781Aが介在しており、チャンネルパイプ781Aは断面視略「8」の字形状である。チャンネルパイプ781Aの一端は処置具路78B及び流体路79Aに内嵌されており、チャンネルパイプ781Aの他端は処置具路48B及び流体路49に内嵌されている。
【0099】
前記処置具路及び前記流体路は隣り合うように形成されている。即ち、処置具路78B、処置具路48B及び受動湾曲部11の処置具路は、夫々流体路79A、流体路49及び受動湾曲部11の流体路と隣り合う。前記処置具路及び前記流体路の位置関係は、挿入部14の全長に亘って同じであり、以下においては、説明の便宜上、処置具路78B及び流体路79Aの位置関係についてのみ説明する。
【0100】
処置具路78B及び流体路79Aは断面視で一部が連続するように形成されている。
図17に示すように、処置具路78Bのチャンネル出口142Bによって定められる円と、流体路79Aの流体路口791Aによって定められる円とが部分的に重なっている。全体的にはチャンネル出口142B及び流体路口791Aが一体化され、略「8」の字形状をなしている。
換言すれば、処置具路78B及び流体路79Aは一体化され、断面視で、流体路79Aに係る優弧形状部分と、処置具路78Bに係る優弧形状部分とからなる1つの孔が構成されている。
【0101】
主部73の軸心から貫通路までの距離は、主部73の軸心から処置具路までの距離よりも長い。即ち、主部73の軸心から流体路79Aの軸心までの距離は、主部73の軸心から処置具路78Bの軸心までの距離よりも長い。換言すれば、流体路79Aが処置具路78Bよりも挿入部14の外周面から近い位置に形成されている。
【0102】
上述の如く、流体路79Aは一ヶ所Pに形成されている。流体路79Aは、一ヶ所Pであって、主部73の中心から主部73の半径だけ離れた位置を含むように形成されており、流体路79Aの中心は、一ヶ所Pと主部73の中心とを結ぶ線上に位置している。
【0103】
即ち、延出部72において、主部73の中心から主部73の半径だけ離れた位置、換言すれば、主部73の外周の延長線(
図17の一点鎖線)上の位置が流体路79A(流体路口791A)に含まれるように形成されている(
図17参照)。
一方、処置具路78Bの中心は、一ヶ所Pと主部73の中心とを結ぶ線上に位置し、流体路79Aの中心よりも主部73の中心寄りに位置する。
【0104】
チャンネル入口22(
図1参照)から挿入された処置具は、受動湾曲部11の処置具路、処置具路48B及び処置具路78Bを通してチャンネル出口142Bから出て、体内に対して診断・治療などが行われる。また、流体路口791Aを介して灌流液等の流体が吸い込まれ、流体路79A、流体路49及び受動湾曲部11の流体路を通って流れる。
【0105】
実施の形態3の内視鏡10は、上述したように、流体路79A、流体路49及び受動湾曲部11の流体路が、主部73の中心から主部73の半径だけ離れた位置を含む広い範囲に形成されている。よって、流体路79A、流体路49及び受動湾曲部11の流体路を広く確保することができ、常に安定して液体の吸引を行うことができる。
従って、胆道鏡・膀胱鏡検査のように、生理食塩水等の液体を灌流しながら行う手技においても、処置具路に処置具を挿通しながら流体路を介して灌流が安定に行える。
【0106】
また、実施の形態3の内視鏡10においては、上述の如く、流体路が挿入部14の縁付近まで広い範囲で形成されているので、これに伴う強度補強のため延出部72を設け、流体路79A、流体路49及び受動湾曲部11の流体路と挿入部14の外周面間の強度に必要な厚みを確保している。
即ち、挿入部14の径自体を大きくするのではなく、流体路79A、流体路49及び受動湾曲部11の流体路が存在する部分にのみ延出部72を設けることにより、挿入部14が太くなることを極力抑えている。これによって、内視鏡検査を受ける被検者の負担を最小限にすることができる。
【0107】
そして、実施の形態3の内視鏡10は、上述の如く、処置具路78B、処置具路48B及び受動湾曲部11の処置具路(以下、単に処置具路)が、処置具の径より少し大きい径を有している。従って、処置具は処置具路に拘束され、処置具の動きは処置具路の動きに従う。よって、ユーザが湾曲ノブ21(
図1参照)を操作することによって能動湾曲部12を湾曲させることにより、精度良く処置具の向きを制御することができる。
【0108】
また、実施の形態3の内視鏡10は、上述の如く、前記流体路が前記処置具路よりも挿入部14の外周面から近い位置に形成されている。よって、内視鏡10を用いる内視鏡検査の際、検査対象部位の液体を、より下側から吸い込むことができる。従って、液体が重力に沿って流れ易く、一層キレイに液体を吸い込むことができる。
【0109】
実施の形態3の内視鏡10における他の構成は、実施の形態1の内視鏡10と同じであり、実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0110】
(実施の形態4)
図19は、実施の形態4に係る内視鏡10における先端部13の先端面131を示す図であり、
図20は、
図19のXX-XX線による断面図である。
実施の形態4の内視鏡10は、挿入部14に、実施の形態2,3と同様、径方向に外方へ主部73よりも延設された延出部72が全長に亘って形成されている。
【0111】
先端部13の先端面131の略半部には、実施の形態1と同様、略半円形の凹部75が形成されており、凹部75の中央部にユニット孔71が形成されている。ユニット孔71には撮像装置15が挿入されており、撮像装置15の観察窓132が先端面131から露出されている。凹部75の底には、撮像装置15の両側に2つの照明窓133及び観察窓132が配置されている。
【0112】
また、先端面131の残り半部であって、2つの照明窓133のうち、一方の照明窓133の近傍には、送気ノズル143、送水ノズル144及びジェット出口141が設けられている。実施の形態1同じ部分については詳しい説明は省略する。
【0113】
挿入部14には、挿入部14を軸長方向に貫き、チャンネル入口22(
図1参照)から挿入された処置具(
図19の二点鎖線参照)が通る処置具路が形成されている。前記処置具路は、先端部13に形成された処置具路78Cと、能動湾曲部12に形成された処置具路48Cと、受動湾曲部11に形成された処置具路(図示せず)とを含む。処置具路78C、処置具路48C及び受動湾曲部11の処置具路は、断面視円形であり、同じ径である。処置具路78C、処置具路48C及び受動湾曲部11の処置具路は、処置具の径より例えば0.1~0.5mm大きい径を有している。
処置具路78Cの一端(以下、チャンネル出口142C)は拡径され、2つの照明窓133のうち他方の照明窓133の近傍に開口している。処置具路78Cの他端はチャンネルパイプ781Bを介して処置具路48Cの一端と連通している。なお、処置具路48Cの他端は受動湾曲部11の処置具路と連通している。
【0114】
また、挿入部14には、挿入部14を軸長方向に貫く流体路(貫通路)が形成されている。前記流体路は、先端部13に形成された流体路79Bと、能動湾曲部12に形成された流体路49Aと、受動湾曲部11に形成された流体路(図示せず)とを含む。流体路79B、流体路49A及び受動湾曲部11の流体路は、断面視円形であり、同じ径である。流体路79B、流体路49A及び受動湾曲部11の流体路は、前記処置具路の径より大きい径を有している。
流体路79Bの一端(以下、流体路口791B)は拡径され、2つの照明窓133のうち前記他方の照明窓133の近傍に開口している。流体路79Bの他端は流体路パイプ782を介して流体路49Aの一端と連通している。なお、流体路49Aの他端は受動湾曲部11の流体路と連通している。流体路口791Bを介して灌流液等の流体が吸引され、流体路79B、流体路49Aを通って操作部20側に流れる。
【0115】
上述の如く、先端部13と能動湾曲部12との間にはチャンネルパイプ781B及び流体路パイプ782が介在しており、チャンネルパイプ781B及び流体路パイプ782は何れも断面視円形である。チャンネルパイプ781Bの一端は処置具路78Cに内嵌されており、チャンネルパイプ781Bの他端は処置具路48Cに内嵌されている。また、流体路パイプ782の一端は流体路79Bに内嵌されており、流体路パイプ782の他端は流体路49Aに内嵌されている。
【0116】
処置具路78C、処置具路48C及び受動湾曲部11の処置具路は同じ形状であり、流体路79B、流体路49A及び受動湾曲部11の流体路も同じ形状である。以下においては、説明の便宜上、処置具路78C及び流体路79Bについてのみ説明する。
【0117】
主部73の軸心から貫通路までの距離は、主部73の軸心から処置具路までの距離よりも長い。即ち、主部73の軸心から流体路79Bの軸心までの距離は、主部73の軸心から処置具路78Cの軸心までの距離よりも長い。換言すれば、流体路79Bが処置具路78Cよりも挿入部14の外周面から近い位置に形成されている。
【0118】
図19に示すように、流体路79Bは一ヶ所Pに形成されている。流体路79Bは、一ヶ所Pであって、主部73の中心から主部73の半径だけ離れた位置を含むように形成されており、流体路79Bの中心は、一ヶ所Pと主部73の中心とを結ぶ線上に位置している。
【0119】
即ち、延出部72において、主部73の中心から主部73の半径だけ離れた位置、換言すれば、主部73の外周の延長線(
図19の一点鎖線)上の位置が流体路79B(流体路口791B)に含まれるように形成されている(
図19参照)。
一方、処置具路78Cの中心は、一ヶ所Pと主部73の中心とを結ぶ線上に位置し、流体路79Bの中心よりも主部73の中心寄りに位置する。
【0120】
チャンネル入口22(
図1参照)から挿入された処置具は、受動湾曲部11の処置具路、処置具路48C及び処置具路78Cを通してチャンネル出口142Cから出て、体内に対して診断・治療などが行われる。また、流体路口791Bを介して灌流液等の流体が吸い込まれ、流体路79B、流体路49A及び受動湾曲部11の流体路を通って流れる。
【0121】
実施の形態4の内視鏡10は、上述したように、流体路79B、流体路49A及び受動湾曲部11の流体路が、主部73の中心から主部73の半径だけ離れた位置を含む広い範囲に形成されている。よって、流体路79B、流体路49A及び受動湾曲部11の流体路を広く確保することができ、常に安定して液体の吸引を行うことができる。
従って、胆道鏡・膀胱鏡検査のように、生理食塩水等の液体を灌流しながら行う手技においても、処置具路に処置具を挿通しながら流体路を介して灌流が安定に行える。
また、高周波焼灼、レーザー照射を行う手技においても、処置具路に処置具を挿通しながら、流体路を介して焼灼時に発生する煙を吸引することができるため、視野を確保しながら、安全に処置が行える。
【0122】
また、実施の形態4の内視鏡10においては、上述の如く、流体路が挿入部14の縁付近まで広い範囲で形成されているので、これに伴う強度補強のため延出部72を設け、流体路79B、流体路49A及び受動湾曲部11の流体路と挿入部14の外周面間の強度に必要な厚みを確保している。
即ち、挿入部14の径自体を大きくするのではなく、流体路79B、流体路49A及び受動湾曲部11の流体路が存在する部分にのみ延出部72を設けることにより、挿入部14が太くなることを極力抑えている。これによって、内視鏡検査を受ける被検者の負担を最小限にすることができる。
【0123】
また、実施の形態4の内視鏡10は、上述の如く、前記流体路が前記処置具路よりも挿入部14の外周面から近い位置に形成されている。よって、内視鏡10を用いる内視鏡検査の際、検査対象部位の液体を、より下側から吸い込むことができる。従って、液体が重力に沿って流れ易く、一層キレイに液体を吸い込むことができる。
【0124】
実施の形態4の内視鏡10における他の構成は、実施の形態1の内視鏡10と同じであり、実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0125】
実施の形態1~4で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
10 内視鏡
14 挿入部
13 先端部
48,78 処置具路
79 流体路
131 先端面
142 チャンネル出口
L1,L2 距離
791 流体路口
48A,48B,48C,78A,78B,78C 処置具路
49,49A,79A,79B 流体路
72 延出部
73 主部
142A,142B,142C チャンネル出口
791A,791B 流体路口