IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイヤニウムの特許一覧

特開2022-55807多機能性塗工液、多機能性塗工液の塗工方法、及び検知装置
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055807
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】多機能性塗工液、多機能性塗工液の塗工方法、及び検知装置
(51)【国際特許分類】
   C09D 5/00 20060101AFI20220401BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20220401BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20220401BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20220401BHJP
   G01N 33/32 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
C09D5/00 Z
B05D7/24 303Z
B05D3/00 D
C09D7/20
G01N33/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163448
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】518350761
【氏名又は名称】株式会社ダイヤニウム
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 利一
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
4D075BB41Z
4D075BB91Z
4D075CA45
4D075CA47
4D075EA06
4D075EA07
4D075EC01
4J038HA026
4J038MA02
4J038MA09
4J038NA01
4J038PB02
(57)【要約】
【課題】多機能性塗工液が塗工されたことを簡便な作業で確認することができる多機能性塗工液、多機能性塗工液の塗工方法、及び検知装置を提供することを目的とする。
【解決手段】多機能性塗工液は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加されたナノダイヤモンド粒子と、を含み、前記液状主剤は、所定の検知装置で検知される被検知部を含むことが好適である。また、別の多機能性塗工液は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加されたナノダイヤモンド粒子と、を含み、前記ナノダイヤモンド粒子は、所定の検知装置で検知される被検知部を含むことが好適である。また、別の多機能性塗工液は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加されたナノダイヤモンド粒子と、前記液状主剤に添加された他の添加物と、を含み、前記他の添加物は、所定の検知装置で検知される被検知部を含むことが好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の液状主剤と、
前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、
を含む多機能性塗工液であって、
前記液状主剤は所定の検知装置で検知される被検知部を含む
ことを特徴とする多機能性塗工液。
【請求項2】
所定量の液状主剤と、
前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、
を含む多機能性塗工液であって、
前記機能性粒子は所定の検知装置で検知される被検知部を含む
ことを特徴とする多機能性塗工液。
【請求項3】
所定量の液状主剤と、
前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、
前記液状主剤に添加された他の添加物と、
を含む多機能性塗工液であって、
前記他の添加物は所定の検知装置で検知される被検知部を含む
ことを特徴とする多機能性塗工液。
【請求項4】
所定量の液状主剤と、
前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、
を含み、前記液状主剤は所定の検知装置で検知される被検知部を含む多機能性塗工液の塗工方法であって、
前記多機能性塗工液を所定の塗工対象物に塗工する塗工工程と、
前記塗工工程の後に、所定の検知装置によって、前記塗工対象物に塗工された多機能性塗工液に含まれる被検知部を検知する塗工確認工程と、
を含むことを特徴とする多機能性塗工液の塗工方法。
【請求項5】
所定量の液状主剤と、
前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、
を含み、前記機能性粒子は所定の検知装置で検知される被検知部を含む多機能性塗工液の塗工方法であって、
前記多機能性塗工液を所定の塗工対象物に塗工する塗工工程と、
前記塗工工程の後に、所定の検知装置によって、前記塗工対象物に塗工された多機能性塗工液に含まれる被検知部を検知する塗工確認工程と、
を含むことを特徴とする多機能性塗工液の塗工方法。
【請求項6】
所定量の液状主剤と、
前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、
前記液状主剤に添加された他の添加物と、
を含み、前記他の添加物は所定の検知装置で検知される被検知部を含む多機能性塗工液の塗工方法であって、
前記多機能性塗工液を所定の塗工対象物に塗工する塗工工程と、
前記塗工工程の後に、所定の検知装置によって、前記塗工対象物に塗工された多機能性塗工液に含まれる被検知部を検知する塗工確認工程と、
を含むことを特徴とする多機能性塗工液の塗工方法。
【請求項7】
所定量の液状主剤と、
前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、
を含み、前記液状主剤は所定の被検知部を含む多機能性塗工液の被検知部を検知する検知装置であって、
前記被検知部に対して非接触状態もしくは接触状態で当該被検知部を検知する検知部を備える
ことを特徴とする検知装置。
【請求項8】
所定量の液状主剤と、
前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、
を含み、前記機能性粒子は所定の被検知部を含む多機能性塗工液の被検知部を検知する検知装置であって、
前記被検知部に対して非接触状態もしくは接触状態で当該被検知部を検知する検知部を備える
ことを特徴とする検知装置。
【請求項9】
所定量の液状主剤と、
前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、
前記液状主剤に添加された他の添加物と、
を含み、前記他の添加物は、所定の被検知部を含む多機能性塗工液の被検知部を検知する検知装置であって、
前記被検知部に対して非接触状態もしくは接触状態で当該被検知部を検知する検知部を備える
ことを特徴とする検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能性塗工液、多機能性塗工液の塗工方法、及び検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナノダイヤモンド粒子、リン酸チタニア、酸化チタン、金属イオン、又は銀イオンなどを含む塗工液はすでに提供されている。また、抗菌、抗ウイルス、消臭、防カビ、若しくは防藻機能あるいはセシウム等の除染機能を持つ粒子、触媒、又は素材を含む塗工液もすでに提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-95782
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまでの塗工液は、無色無臭もしくは添加物が細かいため、目視できないことから、塗工後において確実に塗工作業が完了しているか否かを確認する手段がないという問題があった。なお、かかる塗工液に顔料や香料を加えて有色又は有臭の塗工液とすれば目視等によって容易に確認できるようになるものの、かかる構成では塗工対象の環境を改変してしまう場合があるため、使用可能な環境が制限されてしまう問題が顕在化する。
【0005】
そこで本発明は、多機能性塗工液が塗工されたことを簡便な作業で確認することができる多機能性塗工液、多機能性塗工液の塗工方法、及び検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、を含む多機能性塗工液であって、前記液状主剤は所定の検知装置で検知される被検知部を含むことを特徴とする多機能性塗工液である。ここで、非視認性の機能性粒子としては、例えば、ナノダイヤモンド粒子などの肉眼で確認することができない粒子が例示される。この非視認性の機能性粒子の例示については、以下同様である。
【0007】
また、本発明は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、を含む多機能性塗工液であって、前記機能性粒子は所定の検知装置で検知される被検知部を含むことを特徴とする多機能性塗工液である。
【0008】
また、本発明は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、前記液状主剤に添加された他の添加物と、を含む多機能性塗工液であって、前記他の添加物は所定の検知装置で検知される被検知部を含むことを特徴とする多機能性塗工液である。
【0009】
また、本発明は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、を含み、前記液状主剤は所定の検知装置で検知される被検知部を含む多機能性塗工液の塗工方法であって、前記多機能性塗工液を所定の塗工対象物に塗工する塗工工程と、前記塗工工程の後に、所定の検知装置によって、前記塗工対象物に塗工された多機能性塗工液に含まれる被検知部を検知する塗工確認工程と、を含むことを特徴とする多機能性塗工液の塗工方法である。
【0010】
また、本発明は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、を含み、前記機能性粒子は所定の検知装置で検知される被検知部を含む多機能性塗工液の塗工方法であって、前記多機能性塗工液を所定の塗工対象物に塗工する塗工工程と、前記塗工工程の後に、所定の検知装置によって、前記塗工対象物に塗工された多機能性塗工液に含まれる被検知部を検知する塗工確認工程と、を含むことを特徴とする多機能性塗工液の塗工方法である。
【0011】
また、本発明は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、前記液状主剤に添加された他の添加物と、を含み、前記他の添加物は所定の検知装置で検知される被検知部を含む多機能性塗工液の塗工方法であって、前記多機能性塗工液を所定の塗工対象物に塗工する塗工工程と、前記塗工工程の後に、所定の検知装置によって、前記塗工対象物に塗工された多機能性塗工液に含まれる被検知部を検知する塗工確認工程と、を含むことを特徴とする多機能性塗工液の塗工方法である。
【0012】
また本発明は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、を含み、前記液状主剤は所定の被検知部を含む多機能性塗工液の被検知部を検知する検知装置であって、前記被検知部に対して非接触状態もしくは接触状態で当該被検知部を検知する検知部を備えることを特徴とする検知装置である。
【0013】
また本発明は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、を含み、前記機能性粒子は所定の被検知部を含む多機能性塗工液の被検知部を検知する検知装置であって、前記被検知部に対して非接触状態もしくは接触状態で当該被検知部を検知する検知部を備えることを特徴とする検知装置である。
【0014】
また本発明は、所定量の液状主剤と、前記液状主剤に添加された非視認性の機能性粒子と、前記液状主剤に添加された他の添加物と、を含み、前記他の添加物は、所定の被検知部を含む多機能性塗工液の被検知部を検知する検知装置であって、前記被検知部に対して非接触状態もしくは接触状態で当該被検知部を検知する検知部を備えることを特徴とする検知装置である。
【0015】
本発明において最も重要となる被検知部は、多機能性塗工液全体として、添加物として添加されるものだけでなく、例えば含有される粒子等自体に化学的に結合されたり、化学的に修飾加工を施されたりして機能を発揮するものであってもよく、所定の検知装置で検知されるための手段は特に問われない。
【0016】
ここで、例えば多機能性塗工液には、含有成分として、リン酸チタニア、酸化チタン、銀イオン、又はその他の金属イオンが含まれていてもよい。また例えば多機能性塗工液には、含有成分として、抗菌、抗ウイルス、消臭、防カビ、若しくは防藻機能あるいはセシウム等の除染機能を持つ粒子、触媒、又は素材が含まれていてもよい。なお、これらの含有成分は、前記液状主剤に含まれていてもよいし、他の添加物として含まれていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、多機能性塗工液が塗工されたことの保証として活用することができる優れた効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかる多機能性塗工液を具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0019】
ここで、多機能性塗工液としては、防臭機能、抗菌機能、消臭機能、防かび機能、防藻機能、抗酸化機能、有機物分解機能、有害物質の不活性化機能、抗ウイルス機能、VOC分解機能、あるいはセシウム等の除染機能などを備えることが挙げられる。
【0020】
また、液状主剤としては、例えば精製水、又は各種溶剤(水系、油性、若しくは有機系を問わない。)やバインダー等が採用されてもよい。具体的に液状主剤に、エタノールやイソプロピルアルコール等が採用されてもよい。そして、かかる液状主剤に被検知部を設けることが提案される。
【0021】
また、例えばナノダイヤモンド粒子などの肉眼で確認することができない機能性粒子としては、特開2007-138204号公報に開示されているダイヤモンド微粒子などを用いることができる。そして、かかるナノダイヤモンド粒子に被検知部を設けることが提案される。
【0022】
多機能性塗工液には、液状主剤、およびナノダイヤモンド粒子などの肉眼で確認することができない機能性粒子の他に、他の添加物が加えられてもよい。そして、かかる他の添加物に被検知部を設けることが提案される。
【0023】
上述の被検知部は、当該被検知部を非接触状態あるいは接触状態で検出できる検知部を具備する検知装置で検知可能である。例えば、検知部から透過光が発せされて、前記被検知部が当該透過光を受光もしくは反射することで作業者が当該被検知部を視認できる光学式の構成が提案される。かかる構成とすることにより、塗工対象物に塗工された多機能性塗工液の塗工の有無の保証が実現可能となる。