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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055814
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】異種材接合装置及び異種材接合方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/352 20140101AFI20220401BHJP
   B29C 65/20 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B23K26/352
B29C65/20
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163460
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000227836
【氏名又は名称】日本アビオニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 元彦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 綾介
(72)【発明者】
【氏名】関本 隆司
【テーマコード(参考)】
4E168
4F211
【Fターム(参考)】
4E168AB01
4E168CB04
4E168DA42
4E168DA43
4E168EA15
4E168JA03
4E168JA04
4E168JA17
4F211AD03
4F211TA01
4F211TH17
4F211TH24
4F211TN07
4F211TQ04
(57)【要約】
【課題】既に成形されている金属ワークと樹脂ワークの強固な接合を、低価格な装置構成で、かつ短時間に行う。
【解決手段】金属ワークの樹脂ワークとの接合面をパルスレーザにより表面加工し、表面加工された金属ワークの接合面と、この接合面と接合する樹脂ワークの接合面の両方またはいずれか一方にプラズマ照射する。そして、プラズマ照射された金属ワークの接合面及び/または樹脂ワークの接合面を合わせた状態で、パルスヒート装置で金属ワークを加圧しながら加熱し、熱によって樹脂ワークを溶融して金属ワークと樹脂ワークを接合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料で構成される金属ワークと、樹脂材料で構成される樹脂ワークを接合する異種材接合装置であって、
前記樹脂ワークと接合する前記金属ワークの接合面をレーザにより表面加工するレーザ照射装置と、
前記レーザ照射装置によって表面加工された前記金属ワークの接合面及び/または前記金属ワークと接合する前記樹脂ワークの接合面に対してプラズマ照射するプラズマ照射部と、
前記金属ワークの接合面と前記樹脂ワークの接合面とを合わせた状態で、前記金属ワークを加圧及び加熱するパルスヒート装置と、を備える
異種材接合装置。
【請求項2】
前記レーザ照射装置は、
前記レーザを発生させるレーザ光源と、
前記レーザ光源から発生したレーザ光を走査するレーザ走査部と、
前記レーザ走査部を制御するレーザ走査制御部と、を備え、
前記レーザ走査制御部は、異なる走査方向の前記レーザ光の走査軌跡が重ならないように前記レーザ走査部を制御する
請求項1に記載の異種材接合装置。
【請求項3】
前記プラズマ照射部は、
前記金属ワークにプラズマを照射する第一プラズマ照射部と、
前記樹脂ワークにプラズマを照射する第二プラズマ照射部と、を備える
請求項1または2に記載の異種材接合装置。
【請求項4】
前記プラズマ照射部は、大気圧プラズマ処理部である
請求項1~3のいずれか1項に記載の異種材接合装置。
【請求項5】
前記パルスヒート装置は、
パルスヒート電源と、
前記金属ワークに密着する発熱部材と、
前記発熱部材が取り付けられ、前記金属ワークと前記樹脂ワークを加圧するリフロヘッドと、を備え、
前記リフロヘッドにより、前記金属ワークと前記樹脂ワークを加圧した状態で、前記パルスヒート電源により、前発熱部材に電流を流して前記発熱部材を発熱させ、
前記発熱部材で発熱した熱を、前記金属ワークを経由して前記樹脂ワークに伝導して前記樹脂ワークを溶融し、前記金属ワークと前記樹脂ワークを接合する
請求項1~4のいずれか1項に記載の異種材接合装置。
【請求項6】
前記パルスヒート装置は、
前記金属ワーク及び前記樹脂ワークが固定される治具と、
前記治具における前記樹脂ワークが載置される載置面から突出し、前記治具と前記金属ワークとの間に介在されるストッパと、を備える
請求項5に記載の異種材接合装置。
【請求項7】
金属材料で構成される金属ワークと、樹脂材料で構成される樹脂ワークを接合する異種材接合方法であって、
前記金属ワークと前記樹脂ワークを用意するステップと、
前記樹脂ワークと接合する前記金属ワークの接合面に、レーザ照射により表面加工処理を行うステップと、
前記樹脂ワークと接合する前記金属ワークの接合面と、前記金属ワークと接合する前記樹脂ワークの接合面の両方またはいずれか一方にプラズマ照射するステップと、
前記金属ワーク及び/または前記樹脂ワークのプラズマ照射した接合面を合わせて、前記金属ワークと前記樹脂ワークを密着させて治具に固定するステップと、
前記治具で固定された前記金属ワークと前記樹脂ワークのうち、前記金属ワークの接合面と反対側を加圧し、前記金属ワークを加熱するステップと、
加熱され前記金属ワークの熱を前記樹脂ワークに伝導して、前記樹脂ワークの接合面を溶融するステップと、を含む
異種材接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料と樹脂材料等の異種材接合装置及び異種材接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、樹脂材料からなる樹脂ワークと金属材料からなる金属ワーク等の異種材の接合に関しては、接着剤を用いる方法、摩擦攪拌接合(FSW: Friction Stir Welding)、あるいはレーザ接合等のいくつかの方法が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、レーザ加工技術を利用して金属材料の表面を加工した後に、樹脂材料等の異種材料を、例えば射出成形によって接合する技術が記載されている。
特に、特許文献1には、金属材料と異種材料の接合部において、金属材料の表面をある走査方向にレーザスキャニングした後、この走査方向とは交差する方向にレーザスキャニングして金属材料の表面加工をする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4020957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接着剤を用いる方法は、接着後の強度が接着剤の能力に依存すること、また硬化に時間がかかるため、金属ワークと樹脂ワークを短時間に接合して所望の製品を製造するといった要求に対して、十分に応えることができない。
【0006】
FSWは、主にアルミニウム合金等の軽金属同士の接着では良好な堅牢性を有するものの、樹脂と金属との接着に適用する場合には、金属側に摩擦力による温度上昇を与える必要がある。しかし、FSWでは金属における温度の管理が難しくなることや、樹脂が熱くなり過ぎて良好な接着を達成できないといった問題がある。
【0007】
また、近年では、接合する部品の小型化に伴い、金属ワークと樹脂ワークとの接合面を重ねて加熱する、いわゆるパルスヒートを用いた接合が求められている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ある走査方向についてレーザスキャニングをしてから、その走査方向に交差する方向にクロスレーザスキャニングしているため、交差した個所に必要以上に突起が形成されていた。その結果、特許文献1に記載の技術を用いてパルヒートを行うと、レーザ光が交差した箇所に発生した突起により、金属ワークから樹脂ワークに熱が伝達されにくくなり、金属ワークと樹脂ワークを強固に接合できないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、既に成形されている金属ワークと樹脂ワークを、パルスヒートにより加圧及び加熱して接合することで、低価格な装置構成で、しかも短時間で金属ワークと樹脂ワークの強固な接合が得られる異種材接合装置及び異種材接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、金属材料で構成される金属ワークと、樹脂材料で構成される樹脂ワークを接合する異種材接合装置である。
本発明の異種材接合装置は、樹脂ワークと接合する金属ワークの接合面をレーザ光により表面加工するレーザ照射装置と、表面加工された金属ワークの接合面及び/または金属ワークと接合する樹脂ワークの接合面に対してプラズマ照射するプラズマ照射部と、を備える。
さらに、本発明の異種材接合装置は、金属ワークの接合面と樹脂ワークの接合面とを合わせた状態で、金属ワークを加圧及び加熱するパルスヒート装置を備える。
【0010】
また、本発明の異種材接合方法は、以下のステップ(a)~(f)を含む。
(a)金属ワークと樹脂ワークを用意するステップ、
(b)樹脂ワークと接合する金属ワークの接合面に、レーザ光により表面加工処理するステップ、
(c)樹脂ワークと接合する金属ワークの接合面と、金属ワークと接合する樹脂ワークの接合面の両方またはいずれか一方にプラズマ照射するステップ、
(d)金属ワーク及び/または樹脂ワークのプラズマ照射した接合面を合わせて、金属ワークと樹脂ワークを密着させて治具に固定するステップ、
(e)治具で固定された金属ワークと樹脂ワークのうち、金属ワークの接合面の反対側をリフロヘッドにより加圧し、リフロヘッドの先端に取り付けた発熱部材に電流を流して金属ワークを加熱するステップ、
(f)加熱した金属ワークの熱を樹脂ワークに伝導して、樹脂ワークの接合面を溶融するステップ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特に金属ワークの接合面のレーザ光による表面加工、金属ワークと樹脂ワークの接合面へのプラズマ照射、及びパルスヒートによる加圧及び加熱を組み合わせたことにより、金属ワークと樹脂ワークの強固な接合を、低価格な装置構成で、かつ短時間で行うことができる。
なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る異種材接合装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る異種材接合装置に用いられるレーザ照射装置の例を示す構成図である。
図3図2のパルスレーザ発生装置により形成される金属ワーク上の走査軌跡の例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る異種材接合装置に用いられるプラズマ照射装置の例を示す構成図である。
図5】本発明の実施形態に係る異種材接合装置に用いられるパルスヒート装置の例を示す構成図である。
図6】パルスヒート装置のヒータチップと、金属ワーク及び樹脂ワークの位置関係を示す斜視図である。
図7】金属ワークに接合する樹脂ワークに並べてストッパを配置した変形例を示す構成図である。
図8】本発明の実施形態に係る異種材接合方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の異種材接合装置の実施形態例の全体構成>
以下、図1図8を参照して、本発明の異種材接合装置の実施形態例(以下、「本例」ということもある)について説明する。
図1は、本例の異種材接合装置の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本例の異種材接合装置は、金属材料からなる金属ワーク1と、樹脂材料からなる樹脂ワーク2を接合する装置である。近年、金属で形成される部品と樹脂で形成される部品を直接接合したいという要求は、自動車の部品やスマートフォンの部品等において多くなっている。
【0014】
図1に示す金属ワーク1と樹脂ワーク2は、既に成形されて部品として提供されるものである。金属ワーク1を構成する金属材料としては、アルミニウム、銅、黄銅(合金)、ステンレス等が挙げられる。
【0015】
また、樹脂ワーク2を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂の総称)、アクリル、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP:Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastics)などが挙げられる。
【0016】
特に、CFRTPは、軽量で、強度が高く、かつたわみにくい(高剛性)という性質があること、また疲労特性に優れ、熱伝導率が高く、錆びないという特性があることから、様々な産業分野において注目されている。例えば、自動車や機械部品をはじめ、スポーツ、レジャー関係、航空宇宙産業、医療機器関係、土木建築用部材など極めて多くの産業分野において用いられている。
【0017】
図1に示すように、本例の異種材接合装置100は、樹脂ワーク2と接合される金属ワーク1の接合面にレーザ光を用いて表面加工を施す表面加工処理部3と、レーザ光を照射するパルスレーザ発生装置4と、パルスレーザ発生装置4の強度、走査方向、走査時間等を制御するパルスレーザ走査制御部5を備える。ここで、表面加工処理部3は、金属ワーク1を不図示の治具(保持台)で固定した状態で、金属ワーク1の表面加工処理を行う。
パルスレーザ発生装置4、パルスレーザ走査制御部5及び表面加工処理部3を合わせて、図2で後述するパルスレーザ装置20が構成される。
【0018】
上述したように、本例の異種材接合装置100で接合する対象物は、金属材料からなる金属ワーク1と、熱可塑性樹脂からなる樹脂ワーク2である。樹脂ワーク2を形成する熱可塑性樹脂の融点は、金属ワーク1の融点より遥かに低い。また、熱可塑性樹脂と金属が合金を形成する可能性は殆どないため、加熱によって溶解する対象物は熱可塑性樹脂である樹脂ワーク2のみであり、金属ワーク1が溶融する可能性は極めて低い。
【0019】
つまり、金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合は、樹脂ワーク2のみが溶融して、金属ワーク1に接着される。したがって、樹脂ワーク2が金属ワーク1に良好に接合されるためには、溶融した樹脂ワーク2が機械的接着によって金属ワーク1の接合面に食いつき易くするように、金属ワーク1の接合面に表面加工処理を施す必要がある。
【0020】
パルスレーザ発生装置4と表面加工処理部3は、金属ワーク1の接合面に対して溶融した樹脂ワーク2が食いつき易くするために、パルスレーザ走査制御部5によりレーザ光の走査を制御することによって金属ワーク1の接合面の表面処理を行う。ここでは、パルスレーザ発生装置4及びパルスレーザ走査制御部5を実施の形態例として用いているが、パルスレーザ以外の連続波を発するレーザを含める場合も考えられるので、これらを合わせて、より上位概念の「レーザ発生装置」、「レーザ走査制御部」と呼ぶことにする。
【0021】
パルスレーザ装置20のパルスレーザ走査制御部5は、パルスレーザ発生装置4から発せられたレーザ光の走査を制御して、金属ワーク1の所望の位置に照射させる。
すなわち、パルスレーザ発生装置4は、パルスレーザ走査制御部5の制御下で、パルスレーザ光を出射して、金属ワーク1の接合面に凹凸をつける溝加工を行う。なお、金属ワーク1の加工部分と未加工部分とでは、加工部分の方が樹脂ワーク2との接合強度は高くなる。
【0022】
パルスレーザ発生装置4からパルス出射したレーザ光のスポットをオーバーラップさせればライン上の溝となり、オーバーラップさせなければ連続したスポット状の穴の溝となる(詳細は図3参照)。また、図3で後述するように、パルスレーザ走査としては、一方向の走査だけではなく、様々な複数の走査軌跡が考えられる。
【0023】
ここで、パルスレーザ走査制御部5は、表面加工処理部3における金属ワーク1上のレーザ光の複数の走査方向の軌跡が交差しないようにパルスレーザ発生装置4を制御する。なぜなら、上述したように、レーザ光の走査軌跡が交差すると、その交差個所は過熱過多となって突き出しが高くなるので、金属ワーク1から樹脂ワーク2に必要な熱が伝わりにくくなり、その交差個所の接続強度が弱くなるからである。
【0024】
なお、パルスレーザ発生装置4から照射されるレーザは、金属ごとで吸収率が異なるため、照射時間は数秒~数十秒で、金属の種類に応じて変化させるようにしている。本例の異種材接合装置100では、レーザ光によるスポットの溝や形状の形は、ピッチ0.05~0.1mm、深さ3~30μmとすることで、金属ワーク1と樹脂ワーク2の結合が良好になることが確認されている。
【0025】
また、本例の異種材接合装置100は、金属ワーク1にプラズマ照射する第一プラズマ照射部6aと、樹脂ワーク2にプラズマ照射する第二プラズマ照射部6bと、第一プラズマ照射部6a及び第二プラズマ照射部6bを制御するプラズマ照射制御部7を備える。
第一プラズマ照射部6a、第二プラズマ照射部6bを含むプラズマ照射部とプラズマ照射制御部7を合わせて、図4で後述するプラズマ照射装置30が構成される。
【0026】
第一プラズマ照射部6aは、レーザによって表面加工処理がなされた金属ワーク1の接合面に対して、プラズマ照射による表面処理を行い、第二プラズマ照射部6bは、樹脂ワーク2における金属ワーク1との接合面に対して、同様のプラズマ照射による表面処理を行う。このプラズマ照射処理には、例えばバッチ式の減圧プラズマ照射処理と大気圧プラズマ照射処理の2種類の処理が考えられる。図4で後述するプラズマ照射処理は、大気圧プラズマによるものである。プラズマ生成に係るガスとしては、窒素またはアルゴン等のガスが用いられる。
【0027】
図1では、第一プラズマ照射部6aと第二プラズマ照射部6bを別々に設けて金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合面のプラズマ表面処理を別々に行っている。このように、第一プラズマ照射部6aと第二プラズマ照射部6bを別個に設けるのは、図4で後述するようなプラズマノズルを使った大気圧プラズマ処理装置に適用されることが多いが、一つのプラズマ照射部により、金属ワーク1と樹脂ワーク2に対するプラズマ照射を順次行うようにしてもよい。
【0028】
また、バッチ式の減圧プラズマ照射処理の場合には、金属ワーク1及び樹脂ワーク2を減圧した容器に入れて、ワーク全体を一括してプラズマ照射処理を行うので、特に第一プラズマ照射部6aと第二プラズマ照射部6bのように分割して複数のプラズマ照射部を設ける必要はない。
なお、減圧プラズマ照射処理と大気圧プラズマ照射処理では、処理能力的には特に差異はないが、減圧プラズマ照射処理の場合は真空容器内に金属ワーク1及び樹脂ワーク2を配置してプラズマ照射を行うため、真空ポンプ等の新たな設備が必要になる。
【0029】
バッチ式の減圧プラズマ照射処理の場合、金属ワーク1及び樹脂ワーク2の表面全体にプラズマ照射が行われるので、プラズマ照射された金属ワーク1及び樹脂ワーク2の表面全体に表面処理が施される。これに対して、図4で後述するプラズマノズルを使った大気圧プラズマ照射処理の場合には、金属ワーク1及び樹脂ワーク2における接合面のみにプラズマを照射させることができる。
【0030】
第一プラズマ照射部6aと第二プラズマ照射部6bによる表面処理工程では、金属ワーク1及び樹脂ワーク2の接合面に官能基(-OH等)が付与される。この官能基の付与は、親水性を向上させる効果がある。
すなわち、官能基が金属ワーク1の表面に存在すると、金属ワーク1に加圧及び加熱を与えることで、異種物質の分子に含まれる水素同士が結合する水素結合が生じる。この水素結合により、分子同士が引き付け合う分子間力(ファンデルワールス力)に基づいて、物理的接着がより強固になる。
【0031】
図1では、第一プラズマ照射部6aにより金属ワーク1の接合面にプラズマ照射し、第二プラズマ照射部6bにより樹脂ワーク2の接合面にプラズマ照射しているが、このプラズマ照射は、金属ワーク1と樹脂ワーク2の両方の接合面に行う必要はない。第一プラズマ照射部6aまたは第二プラズマ照射部6bのいずれか一方を用いて、金属ワーク1または樹脂ワーク2のいずれか一方のみにプラズマ照射を行うようにしてもよい。
【0032】
なお、金属ワーク1及び/または樹脂ワーク2の接合面にプラズマ照射することで、金属ワーク1と樹脂ワーク2の両方またはいずれか一方に付着した汚れが除去されるので、金属ワーク1や樹脂ワーク2の接合をより強固にすることができる。
【0033】
さらに、本例の異種材接合装置100は、金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合面を重ねて接合する接合部8と、接合部8に配置された金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合部分に圧力と熱を加えるパルスヒート部9、接合された金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合体を冷却する冷却部10を備える。ここで、パルスヒート部9と接合部8は、図5で後述するパルスヒート装置40を構成する。
【0034】
パルスヒート部9は、電子部品を接合するための装置であり、電気を流すためのパルスヒート電源9aと、接合体を押さえて圧力を加えためのリフロヘッド9bと、接合体に熱を加えるためのヒータチップ9cとから構成される。パルスヒートとは、瞬間加熱方式のことであり、樹脂ワーク2を溶かすだけの時間、パルス的に金属ワーク1を加熱することをいう。
【0035】
図5で後述するように、リフロヘッド9bはヒータチップ9cを上下動させる装置であるが、図1では、ヒータチップ9cは、接合部8の治具(保持台)で固定された金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合体に密着した状態、つまり最下点の位置にある状態が示されている。
【0036】
パルスヒート電源9aは、ヒータチップ9cに電流を流す装置である(詳細は、図5で後述)。パルスヒート電源9aとしては、接合体の材質や形状及び求められる接合品質に応じて、適切な通電容量を持つ電源が選択される。パルスヒート電源9aは、温度フィードバックにより制御されるため、作業者の熟練も不要であり、また省エネ効果も高いので、汎用性、生産性に優れているということができる。
【0037】
また、パルスヒートは、制御の応答が早く、その特性上、金属部品からなる先端のヒータチップ9cの熱容量が小さいほどより高速な応答となる。そのため、パルスヒートによれば、局所的な接触で瞬間的に加熱することができるので、周囲への熱拡散を抑えて昇温させることが可能になる。
【0038】
リフロヘッド9bは、接合体を押さえ込み、ばねで加圧力を調整して圧力を加える装置である。リフロヘッド9bは、接合体に応じた加圧力を持ち、使用するヒータチップ9cに適合するヘッドが選択される。
【0039】
ヒータチップ9cは、抵抗発熱する部分であり、比較的面積が狭いものをいう。ヒータチップ9cは、接合体に合わせて大きさ及び形状が選択される。また、ヒータチップ9cは、接合する特定の物品等に応じて専用に加工して用いられることもある。なお、ヒータチップ9cの材質としては、抵抗値が高く発熱し易いモリブデンやチタン等の素材が使用される。
【0040】
上述のように、リフロヘッド9bは、金属でできたヒータチップ9cに瞬間的に電流を流し、抵抗発熱で金属ワーク1を加熱する。そして、昇温した金属ワーク1の熱伝導により、金属ワーク1と密着している樹脂ワーク2を溶融する。樹脂ワーク2が溶けたらヒータチップ9cに電流を流すのを止めて、リフロヘッド9bで金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合体を加圧した状態で、冷却部10で冷却する。
リフロヘッド9bにより、樹脂ワーク2が硬化するまで加圧することで、溶けた樹脂ワーク2が金属ワーク1に密着接合され、浮きのない強固な接合が形成される。
【0041】
このとき、リフロヘッド9bが金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合体を高い加重で加圧すると、軟化した樹脂ワークが接合面の外にはみ出して、接合強度が低下する可能性がある。そこで、ストッパなどにより下死点を設定したり(図7参照)、リフロヘッド9bの押し込み量を制御したりすることが考えられる。
【0042】
なお、樹脂ワーク2に過剰な熱を印加すると樹脂材料の劣化が起こるため、金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合に要する加熱温度は、ヒータチップ9cの温度を精密に制御することが可能なパルスヒートが有効である。パルスヒートは、特に小型のワークの接合に有効であり、FSWやレーザなどによる異種材の接合に比べても、パルスヒートを使用することにより局所的な加熱が可能になる。
【0043】
<パルスレーザ装置20>
図2は、図1の表面加工処理部3、パルスレーザ発生装置4、パルスレーザ走査制御部5をまとめてパルスレーザ装置20として示した装置の構成図である。ここでは、パルスレーザ光を照射するパルスレーザ装置20を好適な例として説明するが、必ずしもパルスレーザ光に限定されない。例えば、パルスレーザ装置20に代えて、連続波を発生するCW(Continuous Wave)レーザ装置を用いることもできる。したがって、パルスレーザ装置とCWレーザ装置を含む場合には、上位概念の「レーザ照射装置」という用語を用いることとする。
【0044】
パルスレーザ装置20は、パルスファイバレーザ21と、ガルバノスキャナ22と、fθレンズ23と、光ファイバケーブル24と、を備える。なお、パルスレーザ装置20は、金属ワーク1の表面上にレーザ光を照射するので、通常、外光が遮光された安全カバー付きの筐体内に配置される。
【0045】
レーザ光源となるパルスファイバレーザ21は、光ファイバケーブル24を介してガルバノスキャナ22に接続されている。パルスファイバレーザ21は、レーザ光を発生して、光ファイバケーブル24を通してガルバノスキャナ22に送る。ガルバノスキャナ22は、レーザ走査部を構成するスキャナであり、周知の技術によりレーザ光を走査してfθレンズ23を通して金属ワーク1に照射する。
【0046】
ガルバノスキャナ22は、図1に示すパルスレーザ走査制御部5に接続されており、パルスレーザ走査制御部5により制御される。このとき、金属ワーク1は、治具(保持台)25上に固定され、金属ワーク1の表面における樹脂ワーク2との接合面がガルバノスキャナ22によって走査される。
【0047】
図3は、ガルバノスキャナ22によって走査されたレーザ光により形成された金属ワーク1の表面上のキズの軌跡である。これらの走査軌跡は、ガルバノスキャナ22から照射されたレーザ光がパルスレーザ走査制御部5によって制御された結果、金属ワーク1の走査面上に描かれた軌跡である。
【0048】
図3Aは、レーザ光の複数の走査方向を互いに平行に走査した例であり、図3Bは、レーザ光の複数の走査方向を異なる方向(互いに垂直となる2方向)に走査した例と、円形状に走査した例を示している。図3A及び図3Bのいずれもレーザ光の軌跡は重なっていない。
【0049】
図3Bの走査軌跡の例では、横方向と縦方向の2方向の走査を行っているが、その軌跡はクロスしていない。なお、図3Aまたは図3Bの中の走査軌跡のうちで、どの軌跡を選択するかは、金属ワーク1とそれに接合する樹脂ワーク2の種類に応じて、作業者が任意に設定することができるものである。
【0050】
<プラズマ照射装置30>
図4は、図1の第一プラズマ照射部6a、第二プラズマ照射部6b及びプラズマ照射制御部7をまとめてプラズマ照射装置30として示した装置の構成図である。
図4に示すプラズマ照射装置30は、大気圧プラズマを生成して金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合面に照射する装置である。
プラズマ照射装置30は、金属ワーク1にプラズマ照射を行うための大気圧プラズマ電源31a及びプラズマノズル32aと、樹脂ワーク2にプラズマ照射を行うための大気圧プラズマ電源31b及びプラズマノズル32bと、ガス発生装置34と、を備える。
【0051】
大気圧プラズマ電源31aとプラズマノズル32aは、図1の第一プラズマ照射部6aに相当し、大気圧プラズマ電源31bとプラズマノズル32bは、図1の第二プラズマ照射部6bに相当する。
【0052】
ガス発生装置34は、プラズマノズル32a、32bにプラズマを生成させるためのガスを供給する、いわゆるガスボンベである。ガス発生装置34からプラズマノズル32a、32bに供給された窒素またはアルゴン等のプラズマの素となるガスは、大気圧プラズマ電源31a、31bから供給される電源電圧により電離され、大気圧プラズマ33a、33bとして、それぞれ金属ワーク1及び樹脂ワーク2に供給される。
【0053】
金属ワーク1と樹脂ワーク2は、それぞれ治具(保持台)35a、35bで固定される。また、プラズマノズル32a、32bは、不図示の走査機構により移動可能に支持されている。治具(保持台)35a、35bに固定された金属ワーク1及び樹脂ワーク2の接合面のそれぞれに、大気圧プラズマ33a、33bが照射されるように、図1に示すプラズマ照射制御部7により、不図示の走査機構が制御される。これにより、金属ワーク1及び樹脂ワーク2の接合面に大気圧プラズマ33a、33bが照射される。
【0054】
なお、プラズマ照射装置30も、大気圧プラズマ電源31a、31b及びガス発生装置34を除いて、パルスレーザ装置20と同様に、外光が遮光された安全カバー付きの筐体内に配置される。
【0055】
なお、本例のプラズマ照射装置30では、2つの大気圧プラズマ電源31a、31b及びプラズマノズル32a、32bを設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。プラズマ照射装置に設ける大気圧プラズマ電源及びプラズマノズルは、一つだけでもよい。そして、一つのプラズマノズル及び大気圧プラズマ電源を用いて、金属ワーク1と樹脂ワーク2の両方を順番にプラズマ照射をしてもよいし、金属ワーク1と樹脂ワーク2のいずれか一方のみにプラズマ照射を行うようにしてもよい。
【0056】
<パルスヒート装置40>
図5は、図1のパルスヒート部9、接合部8をまとめてパルスヒート装置40として示した装置の構成図である。
図5に示すように、パルスヒート装置40は、リフロヘッド41と、パルスヒート電源42、トランス43及びモータコントローラ44から構成される。
【0057】
リフロヘッド41は、接合体を押さえ込んで圧力を加えるとともに、先端には、例えばモリブデン等の高抵抗材料からなるヒータチップ41aが取り付けられている。このヒータチップ41aの先端部分には、熱電対(図6参照)からなる温度センサが固定されている。また、リフロヘッド41は、モータコントローラ44に接続されている。
【0058】
また、図5には図示していないが、リフロヘッド41には、モータコントローラ44によって、ヒータチップ41aを上下動させる昇降機構と、ヒータチップ41aの沈み量を検知するための変位センサが設けられている。モータコントローラ44は、不図示の変位センサからの信号を検出して、ヒータチップ41aが最下点(下死点)より深く沈み込み過ぎないようにヒータチップ41aの上下動を制御する。
【0059】
パルスヒート電源42は、トランス43を経由して、リフロヘッド41の先端に取り付けられたヒータチップ41aに接続されている。そして、パルスヒート電源42は、ヒータチップ41aに電流を流す。この電流により、ヒータチップ41aが抵抗発熱し、発熱した熱が金属ワーク1に加えられる。なお、ヒータチップという場合は比較的接触する面積が狭いものをいい、面積が広いものはヒータツールという。ここでは、ヒータチップ、ヒータツールの両方を含む上位概念の言葉として、総合的に「発熱部材」と呼ぶことにする。
【0060】
図5に示すように、電流が流れるヒータチップ41aは、治具(保持台)41bに固定された金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合体のうちの金属ワーク1に接触し、これを加熱する。なお、金属ワーク1は、下側が図4のプラズマ照射処理を行った接合面であり、樹脂ワーク2は、上側が図4のプラズマ照射処理を行った接合面になっている。
【0061】
金属ワーク1がヒータチップ41aにより加熱されると、金属ワーク1は熱伝導率が高いため、ヒータチップ41aで発熱した熱が金属ワーク1から樹脂ワーク2に伝えられ、金属ワーク1と接している樹脂ワーク2が加熱されて溶融する。そして、樹脂ワーク2の溶融した部分が金属ワーク1の、パルスレーザ加工処理とプラズマ照射処理を行った接合面に流れ込み、金属ワーク1と樹脂ワーク2が強固に接合される。
【0062】
図6は、図5で示したヒータチップ41aと、金属ワーク1及び樹脂ワーク2の位置関係を立体的に示した斜視図である。ヒータチップ41aには、リフロヘッド41により金属ワーク1に向かう方向(図6に示す例では、下向き)の圧力が加えられる。これにより、金属ワーク1がヒータチップ41aにより樹脂ワーク2に押し付けられる。そして、金属ワーク1と樹脂ワーク2が加圧された状態でパルスヒート電源42から供給された電流がヒータチップ41aに流れる。
【0063】
すると、上述したように、加熱された金属ワーク1から樹脂ワーク2に熱が伝わり、樹脂ワーク2の一部(ヒータチップ41aの下の部分)が溶融する。
このとき、ヒータチップ41aへの上方からの圧力が強すぎると、金属ワーク1が樹脂ワーク2側に沈み込み過ぎてしまう場合が起こり得る。このため、モータコントローラ44は、ヒータチップ41aが樹脂ワーク2側に沈み込みすぎないように、リフロヘッド41の上下動に最下点(下死点)を設けて、ヒータチップ41aの上下動を制御している。
【0064】
<変形例>
図7は、パルスヒート装置40の変形例を示す図である。図7に示す変形例では、治具(保持台)41bにストッパ41cが設けられている。ストッパ41cは、治具41bにおける樹脂ワーク2が載置される載置面から突出して設けられる。
【0065】
すなわち、ストッパ41cは、金属ワーク1と樹脂ワーク2を治具41bに配置する際に、治具41bと金属ワーク1との間に設けられる。このストッパ41cを設けることで、金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合部分に圧力を加えて加熱しても、金属ワーク1が溶融した樹脂ワーク2側に沈み込み過ぎることを防止できる。
なお、治具41bの表面からのストッパ41cの突出高さは、樹脂ワーク2の厚さや、金属ワーク1の押し込み量等に応じて適宜設定されるものである。
【0066】
仮に、ストッパ41cを設けないで、かつヒータチップ41aの下死点が設定されていないとすると、金属ワーク1が樹脂ワーク2内に沈み込み過ぎて、樹脂ワーク2の接合部分が薄くなってしまう場合が起こる。そのため、金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合強度が弱くなるおそれがある。
したがって、図5に示すモータコントローラ44によりヒータチップ41aの下死点の設定をするか、あるいは図7に示すように、ストッパ41cを設けて機械的に下死点を設定することが好ましい。
【0067】
<本例の異種材接合方法の処理手順>
図8は、本例の異種材接合装置100を用いた異種材接合方法の手順を示すフローチャートである。
まず、本例の異種材接合装置100において、接合される金属ワーク1と樹脂ワーク2が用意される(ステップS1)。次に、ステップS1で用意された樹脂ワーク2に接合する金属ワーク1の接合面に対して、パルスレーザ装置20により表面加工処理を行う(ステップS2)。
【0068】
次に、パルスレーザ装置20からのレーザ光により表面加工処理が行われた金属ワーク1の接合面に第一プラズマ照射部6aによりプラズマ照射がなされる(ステップS3)。同様に、金属ワーク1と接合される樹脂ワーク2の接合面に対して第二プラズマ照射部6bによりプラズマ照射がなされる(ステップS4)。
【0069】
ステップS3とステップS4のプラズマ照射は、図4に示すように、金属ワーク1と樹脂ワーク2のそれぞれに対応するプラズマノズル32a、32bを使って同時に行うこともできるが、どちらか一つのプラズマノズルを用いる場合には、順番に行うようにしてもよい。また、不図示の真空容器に減圧プラズマを満たして、金属ワーク1と樹脂ワーク2を一緒にプラズマ照射を行うことも可能である。
【0070】
なお、図8では、金属ワーク1と樹脂ワーク2の両方の接合面に対してプラズマ照射を行うようにしているが、既に述べたように、金属ワーク1または樹脂ワーク2のいずれか一方の接合面だけにプラズマ照射するようにしてもよい。その場合には、ステップS3またはステップS4のいずれか一方だけが採用されることになる。
【0071】
続いて、ステップS3でプラズマ照射された金属ワーク1の接合面と、ステップS4でプラズマ照射された樹脂ワーク2の接合面を合わせ、治具により固定する(ステップS5)。そして、ステップS5で治具により固定した金属ワーク1と樹脂ワーク2の金属ワーク1側を、図5に示すリフロヘッド41で加重をかけて加圧する。さらに、パルスヒート電源42により、ヒータチップ41aに電流を流して金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合部を加熱する(ステップS6)。
【0072】
ステップS6のリフロヘッド41による加圧及び加熱処理が終了すると、次に、圧縮空気等を吹きかけて冷却処理を行う(ステップS7)。なお、このステップS7の冷却処理において圧縮空気を吹きかけて冷却するのはあくまで一例であり、急冷が必要でない場合には自然冷却でも構わない。
【0073】
ステップS7における金属ワーク1と樹脂ワーク2の冷却処理の後で、発熱した個所が十分に冷却されたことを確認して、リフロヘッド41による金属ワーク1と樹脂ワーク2への加重を解く。そして、接合された金属ワーク1と樹脂ワーク2を治具から取り外して、金属ワーク1と樹脂ワーク2の接合部材を得る(ステップS8)。以上で、本例の異種材接合方法の一連の処理が終了する。
【0074】
なお、前述した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
100…異種材接合装置、1…金属ワーク、2…樹脂ワーク、3…表面加工処理部、4…パルスレーザ発生装置、5…パルスレーザ走査制御部、6a…第一プラズマ照射部、6b…第二プラズマ照射部、7…プラズマ照射制御部、8…接合部、9…パルスヒート部、9a…パルスヒート電源、9b…リフロヘッド、9c…ヒータチップ、10…冷却部、20…パルスレーザ装置、21…パルスファイバレーザ、22…ガルバノスキャナ、23…fθレンズ、24…光ファイバケーブル、25…治具(保持台)、30…プラズマ照射装置、31a、31b…大気圧プラズマ電源、32a、32b…プラズマノズル、33a、33b…大気圧プラズマ、34…ガス発生装置(ガスボンベ)、35a、35b…治具(保持台)、40…パルスヒート装置、41…リフロヘッド、41a…ヒータチップ、41b…治具(保持台)、42…パルスヒート電源、43…トランス、44…モータコントローラ、41c…ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8