(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055873
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】移動体システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220401BHJP
【FI】
G05D1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163557
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】梶 雄登
(72)【発明者】
【氏名】竹内 愛
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅之
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301BB05
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301EE08
5H301FF06
5H301FF15
5H301GG08
5H301JJ01
5H301LL06
5H301QQ08
(57)【要約】
【課題】移動体の移動を円滑に行うことができる移動体システムを提供する。
【解決手段】被検知物を検知可能な二次元LIDAR13を有する移動可能な移動体10と、二次元LIDAR13の検知範囲外の周囲環境情報と紐付けられ、二次元LIDAR13の検知範囲内に設けられた特徴点20と、二次元LIDAR13による特徴点20の検知に基づいて、移動体10の動作を制御する制御部30と、を具備する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知物を検知可能な二次元LIDARを有する移動可能な移動体と、
前記二次元LIDARの検知範囲外の周囲環境情報と紐付けられ、前記二次元LIDARの検知範囲内に設けられた特徴点と、
前記二次元LIDARによる前記特徴点の検知に基づいて、前記移動体の動作を制御する制御部と、
を具備する、
移動体システム。
【請求項2】
前記周囲環境情報には、
前記移動体が移動する路面に関する情報である路面情報が含まれ、
前記制御部は、
前記路面情報と紐付けられた前記特徴点の検知に基づいて、前記移動体の動作を制御する、
請求項1に記載の移動体システム。
【請求項3】
前記周囲環境情報には、
前記移動体の移動経路上にある障害物に関する情報である障害物情報が含まれ、
前記制御部は、
前記障害物情報と紐付けられた前記特徴点の検知に基づいて、前記移動体の移動経路を調整する、
請求項1又は請求項2に記載の移動体システム。
【請求項4】
前記周囲環境情報には、
前記移動体の移動経路上にある扉の開閉を行う開閉部に関する情報である開閉部情報が含まれ、
前記制御部は、
前記開閉部情報と紐付けられた前記特徴点の検知に基づいて、前記開閉部を動作させ前記扉を開放する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の移動体システム。
【請求項5】
前記移動体の移動経路は、複数の場所それぞれを訪問するように設定されており、
前記周囲環境情報には、
各場所への訪問の必要性に関する情報である必要性情報が含まれ、
前記制御部は、
前記必要性情報と紐付けられた前記特徴点の検知に基づいて、訪問が不要な前記場所は訪問しないように前記移動経路を変更する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の移動体システム。
【請求項6】
前記移動体は、牽引物を牽引しながら走行するものであり、
前記周囲環境情報には、
前記牽引物に関する情報である牽引物情報が含まれ、
前記制御部は、
前記牽引物情報と紐付けられた前記特徴点の検知に基づいて、前記移動体の移動経路を調整する、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の移動体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能な移動体を有する移動体システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動可能な移動体を有する移動体システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、工場内の通路を走行可能な無人搬送車(AGC)が記載されている。特許文献1に記載の無人搬送車は、水平方向の検知(センシング)を行う二次元LIDARを備えており、二次元LIDARによって柱や壁といった障害物を検知することができる。これにより、当該障害物との衝突を回避することができる。
【0004】
しかしながら、二次元LIDARでは、当該二次元LIDARの水平方向(検知範囲内)にある物を検知することができるものの、床面の段差や床見切り等は検知範囲外となり、検知することはできない。このため、従来の移動体システムでは、二次元LIDARによって検知できない周囲の環境によって移動体の移動を円滑に行うことができないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、移動体の移動を円滑に行うことができる移動体システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、被検知物を検知可能な二次元LIDARを有する移動可能な移動体と、前記二次元LIDARの検知範囲外の周囲環境情報と紐付けられ、前記二次元LIDARの検知範囲内に設けられた特徴点と、前記二次元LIDARによる前記特徴点の検知に基づいて、前記移動体の動作を制御する制御部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記周囲環境情報には、前記移動体が移動する路面に関する情報である路面情報が含まれ、前記制御部は、前記路面情報と紐付けられた前記特徴点の検知に基づいて、前記移動体の動作を制御するものである。
【0010】
請求項3においては、前記周囲環境情報には、前記移動体の移動経路上にある障害物に関する情報である障害物情報が含まれ、前記制御部は、前記障害物情報と紐付けられた前記特徴点の検知に基づいて、前記移動体の移動経路を調整するものである。
【0011】
請求項4においては、前記周囲環境情報には、前記移動体の移動経路上にある扉の開閉を行う開閉部に関する情報である開閉部情報が含まれ、前記制御部は、前記開閉部情報と紐付けられた前記特徴点の検知に基づいて、前記開閉部を動作させ前記扉を開放するものである。
【0012】
請求項5においては、前記移動体の移動経路は、複数の場所それぞれを訪問するように設定されており、前記周囲環境情報には、各場所への訪問の必要性に関する情報である必要性情報が含まれ、前記制御部は、前記必要性情報と紐付けられた前記特徴点の検知に基づいて、訪問が不要な前記場所は訪問しないように前記移動経路を変更するものである。
【0013】
請求項6においては、前記移動体は、牽引物を牽引しながら走行するものであり、前記周囲環境情報には、前記牽引物に関する情報である牽引物情報が含まれ、前記制御部は、前記牽引物情報と紐付けられた前記特徴点の検知に基づいて、前記移動体の移動経路を調整するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、移動体の移動を円滑に行うことができる。
【0016】
請求項2においては、路面の状態によって移動体の移動が妨げられるのを回避することができる。
【0017】
請求項3においては、移動経路上にある障害物によって移動体の移動が妨げられるのを回避することができる。
【0018】
請求項4においては、移動経路上にある扉によって移動体の移動が妨げられるのを回避することができる。
【0019】
請求項5においては、移動経路を最適化することができる。
【0020】
請求項6においては、牽引物によって移動体の移動が妨げられるのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る移動体システムの構成を示したブロック図。
【
図2】移動体が作業者に追従して走行している状態を示した側面図。
【
図3】二次元LIDARによって取得される二次元情報を示した平面図。
【
図4】移動体の動作の制御方法を示したフローチャート。
【
図5】(a)段差を有する路面を移動体が走行している状態を示した側面図。(b)移動体が路面の段差を乗り越えている状態を示した側面図。
【
図6】(a)移動経路上にテーブルが置かれた路面を移動体が走行している状態を示した側面図。(b)テーブルを示した背面図。(c)移動体がテーブルを迂回する様子を示した平面図。
【
図7】(a)移動経路上に開閉扉が配置された路面を移動体が走行している状態を示した側面図。(b)移動体が開閉扉を通過する様子を示した側面図。
【
図8】移動体が複数の部屋を訪問する場合の移動経路等を示した図。
【
図9】(a)移動体が牽引物を牽引しながら路面を走行している状態を示した側面図。(b)移動体の移動経路を示した平面図。
【
図10】(a)本発明の第二実施形態に係る移動体が牽引する牽引物を示した平面図。(b)同じく、正面図。
【
図11】(a)移動体が直進しているときの牽引物及び二次元LIDARの位置関係を示した平面図。(b)移動体がカーブしているときの牽引物及び二次元LIDARの位置関係を示した平面図。
【
図12】(a)移動体が牽引物を牽引しながら斜面を有する路面を走行している状態を示した側面図。(b)移動体が上り坂を走行している状態を示した側面図。(c)移動体が下り坂を走行している状態を示した側面図。
【
図13】(a)移動体が接続機構を介して接続された牽引物を牽引しながら路面を走行している状態を示した側面図。(b)移動体と牽引物との接続が解除された状態を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0023】
以下では、
図1から
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る移動体システム1の概略について説明する。
【0024】
図1に示す移動体システム1は、移動可能な移動体(後述する移動体10)を備えるものである。移動体システム1は、当該移動体10により物の搬送等を行うことができる。移動体システム1は、移動体10、特徴点20及び制御部30を具備する。
【0025】
図1及び
図2に示す移動体10は、所定の環境内で移動可能なものである。所定の環境としては、例えば工場などが挙げられる。移動体10としては、例えば無人搬送ロボットなどが挙げられる。移動体10は、図示せぬ検知部により、路面Aに設置されたライン(不図示)を検知することにより、当該ラインに沿って走行するライントレースモードで運転することができる。また、移動体10は、人や別の移動体に追従して走行する自動追従モードで運転することができる。移動体10は、当該移動体10に設けられたスイッチ等により、ライントレースモードと自動追従モードとを適宜切り替え可能に構成される。
図2は、自動追従モードに設定された移動体10が作業者Oに追従して走行している状態を示している。移動体10は、主として筐体部11、車輪12及び二次元LIDAR13を具備する。
【0026】
図2に示す筐体部11は、移動体10の主たる構造体を構成するものである。筐体部11は、適宜の形状に形成される。筐体部11は、被搬送物Bを載置可能に構成される。
【0027】
図2に示す車輪12は、移動体10が走行するためのものである。車輪12は、筐体部11の前部と後部に設けられる。筐体部11の前部の車輪12(前輪)と筐体部11の後部の車輪12(後輪)とは、それぞれ左右一対設けられる。
【0028】
図1及び
図2に示す二次元LIDAR13は、被検知物(所定の範囲内の対象物)を検知(検出)するものである。被検知物には、周囲環境情報が含まれる。ここで、「周囲環境情報」とは、走行する移動体10の周囲の環境に関する情報を示すものである。二次元LIDAR13は、移動体10の適宜の箇所に設けられる。二次元LIDAR13は、水平方向にレーザーを照射可能に形成される。二次元LIDAR13は、照射したレーザーに対する散乱光を測定することで、当該二次元LIDAR13と同じ高さであって路面Aに対して平行な二次元平面Pの情報を取得することができる。これにより、遠距離にある対象の存在及び形状、並びに当該対象までの距離を分析することができる。
【0029】
図3は、二次元LIDAR13によって取得した二次元平面Pの情報の一例を示している。なお、二次元LIDAR13によるレーザーの照射範囲(平面視における照射角度α)は、任意の値とすることができる。二次元LIDAR13は、水平方向に照射したレーザーに対する散乱光を測定することで、作業者Oの脚O1の存在及び形状、並びに二次元LIDAR13から脚O1までの距離を検知することができる。
【0030】
図1に示す特徴点20は、移動体10の動作の制御に用いられるものである。特徴点20は、二次元LIDAR13によって区別し得るように特徴のある形状に形成される。また、特徴点20は、光の反射率が互いに異なる複数のテープ等で構成されたバーコードであってもよい。特徴点20は、二次元LIDAR13によって検知可能な位置に設けられる。より詳細には、特徴点20は、二次元LIDAR13と略同じ高さであって、移動体10の走行の妨げとならない位置に設けられる。特徴点20の形状に関する情報は、二次元LIDAR13の検知範囲外の周囲環境情報と紐付けられて、後述する制御部30のデータベースに記憶されている。
【0031】
特徴点20と紐付けられる周囲環境情報には、特に、移動体10の走行の妨げとなる環境(障害物)に関する情報が含まれる。特徴点20は、複数設けられてもよい。各特徴点20は、当該特徴点20の検知に基づく制御の内容(詳細は後述する)に応じて異なる形状に形成される。特徴点20及び周囲環境情報の例については後述する。
【0032】
図1に示す制御部30は、移動体10の動作を制御するものである。制御部30には、取得された周囲環境情報に応じて実行する制御内容を予め定めたプログラムが組み込まれている。制御部30は、前記プログラムに基づいて、取得された周囲環境情報に応じて移動体10の動作(走行/停止、走行速度、走行経路等)を制御する。例えば、制御部30は、二次元LIDAR13によって作業者O(
図2参照)が検知された場合、前記プログラムに基づいて、移動体10を作業者Oに追従して走行させることができる。また、制御部30は、二次元LIDAR13によって柱や壁といった障害物が検知された場合、前記プログラムに基づいて、当該障害物との衝突を回避するように移動体10の走行経路を変更することができる。
【0033】
また、前述の如く、制御部30は、特徴点20の形状に関する情報と周囲環境情報とを紐付けてデータベースに記憶している。制御部30は、前記データベースを参照することにより、二次元LIDAR13によって検知される特徴点20と対応する周囲環境情報を取得することができる。これにより、制御部30は、移動体10の動作を制御することができる。
【0034】
次に、
図4を参照して、移動体10がライントレースモードに設定されているときの制御部30の制御について説明する。なお、
図4に示す制御は、移動体10が起動している間、常時実行されている。
【0035】
ステップS11において、制御部30は、路面Aに設置されたラインの検知があったか否かを判定する。この処理において、制御部30は、図示せぬ検知部からの情報に基づいて当該判定を行う。
【0036】
制御部30は、ラインの検知があったと判定した場合(ステップS11で「YES」)、ステップS12に移行する。一方、制御部30は、ラインの検知がなかったと判定した場合(ステップS11で「NO」)、再びステップS11に処理を戻す。
【0037】
ステップS12において、制御部30は、移動体10をラインに沿って走行させる。この処理において、制御部30は、ステップS11で検知したラインの情報に基づいて移動体10を走行させる。
【0038】
制御部30は、ステップS12の処理を行った後、ステップS13に移行する。
【0039】
ステップS13において、制御部30は、二次元LIDAR13による特徴点20の検知があった(二次元LIDAR13によって特徴点20が読み取られた)か否かを判定する。この処理において、制御部30は、二次元LIDAR13からの情報に基づいて当該判定を行う。
【0040】
制御部30は、特徴点20の検知があったと判定した場合(ステップS13で「YES」)、ステップS14に移行する。一方、制御部30は、特徴点20の検知がなかったと判定した場合(ステップS13で「NO」)、再びステップS11に処理を戻す。
【0041】
ステップS14において、制御部30は、移動体10の動作を修正する。この処理において、制御部30は、二次元LIDAR13によって検知された特徴点20に応じて、移動体10の動作(走行/停止、走行速度、走行経路等)を修正する。具体的には、制御部30は、データベースを参照して、二次元LIDAR13によって検知された特徴点20に紐付けられた周囲環境情報を取得する。そして、制御部30は、取得した周囲環境情報に基づいて、移動体10の動作を修正する。
【0042】
制御部30は、ステップS12の処理を行った後、
図4に示す制御を終了する。
【0043】
以下、特徴点20の配置及び移動体10の制御等について、例を挙げて説明する。
【0044】
図5(a)は、段差Cを有する路面Aを移動体10が走行している状態を示している。移動体10は、ライントレースモードで運転し、被搬送物Bを搬送している。移動体10は、所定の走行速度で走行しているが、当該走行速度で走行すると段差Cを乗り越える際にバランスを崩して被搬送物Bが落下したり移動体10が転倒したりするおそれがある。また、段差Cは二次元LIDAR13の検知範囲外にあるため、段差Cの検知に基づいて移動体10の走行を制御するということはできない。
【0045】
そこで、
図5に示す例においては、路面Aの段差Cと対応して特徴点20が設けられている。すなわち、周囲環境情報には路面Aの状態(凹凸等)に関する路面情報が含まれており、特徴点20は路面情報と紐付けられている。特徴点20は、移動体10が進行方向に対して段差Cよりも手前側に位置するときに、二次元LIDAR13によって検知可能な位置に設けられる。特徴点20は、例えば壁面に設けられる。
【0046】
制御部30は、二次元LIDAR13が特徴点20を検知すると(
図5(a)参照)、データベースを参照し、特徴点20と紐付けられた路面情報(段差Cの位置や、高さ、幅等の情報)を取得する。制御部30は、取得した路面情報に基づいて、移動体10の走行速度を低減させる。これにより、移動体10は、路面Aの段差Cをゆっくりと乗り越えることができる(
図5(b)参照)。したがって、被搬送物Bの落下や移動体10の転倒等を防止することができる。制御部30は、特徴点20の検知から一定時間経過後、または一定距離走行後、移動体10の走行速度を元の値に戻す。
【0047】
図6(a)は、移動経路上にテーブルTが置かれた路面Aを移動体10が走行している状態を示している。
図6(b)は、テーブルTの背面図を示している。移動体10は、ライントレースモードで運転している。テーブルTは、脚部Taと、脚部Taに載置された天板Tbとを備えている。天板Tbは、脚部Taよりも左右幅が広く形成されている。また、天板Tbの一部は、脚部Taよりも後方に突出している。
図6に示す例においては、二次元LIDAR13は、脚部Taの当該二次元LIDAR13と同じ高さの部分を検知することができるが、天板Tbを検知することはできない。このため、移動体10がテーブルTの天板Tbに衝突するおそれがある。そうすると、移動体10が緊急停止してしまい、再起動に時間を要する等の問題がある。
【0048】
そこで、
図6に示す例においては、テーブルTの天板Tbと対応して特徴点20が設けられている。すなわち、周囲環境情報には移動体10の移動経路上にある障害物(テーブルTの天板Tb)に関する情報である障害物情報が含まれており、特徴点20は障害物情報と紐付けられている。特徴点20は、移動体10が進行方向に対して天板Tb(の後端部)よりも手前側に位置するときに、二次元LIDAR13によって検知可能な位置に設けられる。特徴点20は、例えばテーブルTの脚部Taの後部に設けられる。
【0049】
制御部30は、二次元LIDAR13が特徴点20を検知すると(
図6(a)参照)、データベースを参照し、特徴点20と紐付けられた障害物情報(天板Tbの突出長さや左右幅等の情報)を取得する。制御部30は、取得した障害物情報に基づいて、テーブルTを迂回するように移動体10の走行経路を修正する。これにより、移動体10は、テーブルT(の天板Tb)との衝突を回避することができる(
図6(c)参照)。制御部30は、移動体10がテーブルTを通過した後、再び元の走行経路を(ラインに沿って)走行させる。
【0050】
図7(a)は、移動経路上に開閉扉Dが配置された路面Aを移動体10が走行している状態を示している。移動体10は、ライントレースモードで運転している。開閉扉Dは、例えば厨房の入口等に設けられる。開閉扉Dは、自閉機能を有するスイングドアやウエスタン扉である。開閉扉Dは、所定の駆動部(アクチュエータ)によって開閉可能に形成されている。開閉扉Dの近傍には、前記駆動部を制御可能な開閉部D1が設けられる。開閉部D1は、外部から所定の信号を受信した場合に前記駆動部を制御し、開閉扉Dを適宜開閉することができる。移動体10は、所定の移動経路を走行しているが、当該移動経路を走行すると、閉鎖された開閉扉Dに衝突するおそれがある。そうすると、移動体10が緊急停止してしまい、再起動に時間を要する等の問題がある。
【0051】
そこで、
図7に示す例においては、開閉扉D及び開閉部D1と対応して特徴点20が設けられている。すなわち、周囲環境情報には開閉扉D及び開閉部D1に関する情報である開閉部情報が含まれており、特徴点20は開閉部情報と紐付けられている。特徴点20は、移動体10が進行方向に対して開閉扉D及び開閉部D1よりも手前側に位置するときに、二次元LIDAR13によって検知可能な位置に設けられる。特徴点20は、例えば壁面に設けられる。
【0052】
制御部30は、二次元LIDAR13が特徴点20を検知すると(
図7(a)参照)、データベースを参照し、特徴点20と紐付けられた開閉部情報(閉鎖された開閉扉Dが移動経路上にあること、開閉扉Dを開放可能な開閉部D1があること等)を取得する。制御部30は、取得した開閉部情報に基づいて、開閉部D1に所定の信号を送信して前記駆動部を遠隔操作し、開閉扉Dを開放する。これにより、移動体10は、開閉扉Dとの衝突を回避することができる(
図7(b)参照)。また、移動体10が停止することなく、走行を持続することができる。
【0053】
図8は、移動体10が複数の部屋(101号室から106号室)を訪問する場合の移動経路を示している。移動体10は、例えば、病院等で各部屋の患者に必要な物を届けたりするために、各部屋を順に走行する。一方で、移動体10の訪問が必要ない部屋が存在する場合もある。したがって、全ての部屋を訪問するように事前に決められた移動経路を走行すると、訪問が不要な部屋(103号室、106号室)にも訪問することとなり(
図8の矢印の破線部参照)、業務の効率化が図れないという問題がある。
【0054】
そこで、
図8に示す例においては、訪問が不要な部屋と対応して特徴点20が設けられている。すなわち、周囲環境情報には各部屋への訪問の必要性に関する情報である必要性情報が含まれており、特徴点20は必要性情報と紐付けられている。特徴点20は、移動体10が進行方向に対して訪問が不要な部屋の直前に位置するとき(具体的には、移動体10が102号室から103号室へ向かう途中、及び105号室から106号室へ向かう途中で)、二次元LIDAR13によって検知可能な位置に設けられる。
【0055】
制御部30は、二次元LIDAR13が特徴点20を検知すると、データベースを参照し、特徴点20と紐付けられた必要性情報を取得する。制御部30は、取得した必要性情報に基づいて、訪問が不要な部屋(103号室、106号室)へは訪問しないように移動経路を変更する(
図8の矢印の実線部参照)。そうすることで、移動体10の無駄な移動を抑制することができ、ひいては業務の効率化が図ることができる。また、訪問の不要な部屋は時と場合によって変化するが、特徴点20の設置場所を変更するだけで、柔軟なルート変更を行うことができる。
【0056】
図9(a)は、移動体10が牽引物14を牽引しながら路面Aを走行している状態を示している。移動体10は種々の牽引物14を牽引することができる。ここで、移動体10が進行方向の長さの比較的長い牽引物14を牽引しながら急なカーブを走行する場合、牽引物14が壁面(カーブ内側の壁面)に接触するおそれがある。
【0057】
そこで、
図9に示す例においては、牽引物14に関する情報と対応して特徴点20が設けられている。すなわち、周囲環境情報には牽引物14に関する情報である牽引物情報が含まれており、特徴点20は牽引物情報と紐付けられている。牽引物情報には、牽引物14の長手方向(より詳細には、移動体10が直進しているときの牽引物14の進行方向)の長さや、種類、重さ、幅、車軸間距離等の情報が含まれる。特徴点20は、牽引物14の前面の、二次元LIDAR13によって検知可能な位置(二次元LIDAR13と略同じ高さ)に設けられる。
【0058】
制御部30は、二次元LIDAR13が特徴点20を検知することにより、データベースを参照し、特徴点20と紐付けられた牽引物情報(牽引物14の進行方向の長さ等の情報)を取得する。制御部30は、取得した牽引物情報に基づいて、移動体10の走行経路を調整する。より詳細には、
図9(b)に示すように、移動体10が急なカーブ(略直角に屈曲する通路)を移動する場合、牽引物14の長手方向の長さに応じた旋回軌跡とすることで(
図9(b)の矢印の実線部参照)、牽引物14が壁面に接触するのを回避することができる。
【0059】
以上のように本実施形態に係る移動体システム1においては、特徴点20を、二次元LIDAR13の検知範囲外の周囲環境情報と紐付けたうえで、二次元LIDAR13の検知範囲内に配置している。これにより、二次元LIDAR13によって特徴点20を検知することで、当該検知範囲外の周囲環境情報を間接的(擬似的)に取得することができる。したがって、二次元LIDAR13の検知範囲外に移動体10の走行を妨げる周囲環境が存在する場合であっても、特徴点20の検知に基づいて移動体10の動作を制御することで、移動体10の走行を円滑に行うことができる。
【0060】
以上の如く、本実施形態に係る移動体システム1は、被検知物を検知可能な二次元LIDAR13を有する移動可能な移動体10と、前記二次元LIDAR13の検知範囲外の周囲環境情報と紐付けられ、前記二次元LIDAR13の検知範囲内に設けられた特徴点20と、前記二次元LIDAR13による前記特徴点20の検知に基づいて、前記移動体10の動作を制御する制御部30と、を具備するものである。
【0061】
このように構成されることにより、移動体10の移動を円滑に行うことができる。
【0062】
また、前記周囲環境情報には、前記移動体10が移動する路面Aに関する情報である路面情報が含まれ、前記制御部30は、前記路面情報と紐付けられた前記特徴点20の検知に基づいて、前記移動体10の動作を制御するものである。
【0063】
このように構成されることにより、路面Aの状態によって移動体10の移動が妨げられるのを回避することができる。
【0064】
また、前記周囲環境情報には、前記移動体10の移動経路上にある障害物(例えばテーブルT)に関する情報である障害物情報が含まれ、前記制御部30は、前記障害物情報と紐付けられた前記特徴点20の検知に基づいて、前記移動体10の移動経路を調整するものである。
【0065】
このように構成されることにより、移動経路上にある障害物によって移動体10の移動が妨げられるのを回避することができる。
【0066】
また、前記周囲環境情報には、前記移動体10の移動経路上にある開閉扉D(扉)の開閉を行う開閉部D1に関する情報である開閉部情報が含まれ、前記制御部30は、前記開閉部情報と紐付けられた前記特徴点20の検知に基づいて、前記開閉部D1を動作させ前記開閉扉Dを開放するものである。
【0067】
このように構成されることにより、移動経路上にある開閉扉Dによって移動体10の移動が妨げられるのを回避することができる。
【0068】
また、前記移動体10の移動経路は、複数の場所それぞれを訪問するように設定されており、前記周囲環境情報には、各場所への訪問の必要性に関する情報である必要性情報が含まれ、前記制御部30は、前記必要性情報と紐付けられた前記特徴点20の検知に基づいて、訪問が不要な前記場所は訪問しないように前記移動経路を変更するものである。
【0069】
このように構成されることにより、移動経路を最適化することができる。
【0070】
また、前記移動体10は、牽引物14を牽引しながら走行するものであり、前記周囲環境情報には、前記牽引物14に関する情報である牽引物情報が含まれ、前記制御部30は、前記牽引物情報と紐付けられた前記特徴点20の検知に基づいて、前記移動体10の移動経路を調整するものである。
【0071】
このように構成されることにより、牽引物14によって移動体10の移動が妨げられるのを回避することができる。
【0072】
次に、
図10から
図13を参照して、本発明の第二実施形態に係る移動体システム1について説明する。
【0073】
第二実施形態に係る移動体システム1においては、特徴点20は牽引物14に設けられており、当該特徴点20の検知結果に基づいて移動体10の動作を制御する。また、第二実施形態においては、必ずしも特徴点20が周囲環境情報とは紐付けられていなくてもよい。以下では、第二実施形態に係る移動体システム1のうち第一実施形態に係る移動体システム1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
以下、第二実施形態における特徴点20の配置及び移動体10の制御等について、例を挙げて説明する。
【0075】
図10(a)及び(b)に示す例においては、特徴点20は、牽引物14の前面に左右に間隔をおいて設けられる。左右の特徴点20は、互いに略同じ高さに配置される。
【0076】
図11(a)は、
図10(a)及び(b)に示す牽引物14を牽引する移動体10が直進しているときの、牽引物14及び二次元LIDAR13の位置関係を示している。このとき、平面視における二次元LIDAR13と左側の特徴点20との距離X1と、平面視における二次元LIDAR13と右側の特徴点20との距離X2とは、略同じである。
【0077】
図11(b)は、
図10(a)及び(b)に示す牽引物14を牽引する移動体10がカーブ(右に曲がりながら走行している)しているときの、牽引物14及び二次元LIDAR13の位置関係を示している。このとき、平面視における二次元LIDAR13と左側の特徴点20との距離X1は、平面視における二次元LIDAR13と右側の特徴点20との距離X2よりも長くなる。制御部30は、両距離X1、X2の比較により、移動体10の進行方向に対して牽引物の長手方向(より詳細には、移動体10が直進しているときの牽引物14の進行方向)が傾いていることを認識することができ、また平面視において移動体10の進行方向と牽引物14の長手方向とがなす角度を算出することができる。制御部30は、算出した前記角度の変化に基づいて、適宜移動経路を調整することができる。
【0078】
具体的には、制御部30は、予め設定された移動経路と牽引物14の情報から算出される前記角度と、実際の走行時の前記角度とを比較することで、スリップ等によって生じる、事前に想定される旋回軌跡と実際の旋回軌跡との違い(曲がりきれるはずのカーブが、曲がりきれない可能性があること等)を認識することができる。制御部30は、両角度の違いを検知すると、走行速度を低下させたり、移動体10の進行方向を調整したりする。これにより、牽引物14が移動経路から外れるのを回避することができる。
【0079】
図12(a)は、移動体10が牽引物14を牽引しながら路面Aを走行している状態を示している。路面Aは、傾斜面(上り坂)を有するように形成されている。移動体10は、所定の駆動力で走行しているが、路面Aに一定角度以上の傾斜がある場合、当該駆動力のまま走行すると上り坂を上りきれないおそれがある。
【0080】
そこで、
図12に示す例においては、特徴点20は複数設けられており、複数の前記特徴点20は、移動体10の前面に互いに上下に並ぶように配置されている。以下では、上下中央の特徴点20を第一特徴点20aと称し、第一特徴点20aの上方に設けられる特徴点20を第二特徴点20bと称し、第一特徴点20aの下方に設けられる特徴点20を第三特徴点20cと称する。
【0081】
第一特徴点20aは、移動体10が略平坦な路面Aを走行している時に二次元LIDAR13によって検知可能な位置(二次元LIDAR13と略同じ高さ)に設けられる。第二特徴点20bは、第一特徴点20aの所定距離だけ上方に設けられる。第三特徴点20cは、第一特徴点20aの所定距離だけ下方に設けられる。
【0082】
図12(b)に示すように、移動体10が上り坂に差し掛かると、移動体10が後下がりに傾き、これに伴って二次元LIDAR13によって取得される二次元平面も後下がりに傾く。このため、第一特徴点20aは二次元LIDAR13の検知範囲(二次元平面)から外れ、第三特徴点20cが二次元LIDAR13の検知範囲に位置するようになる。制御部30は、二次元LIDAR13によって第三特徴点20cが検知されていることに基づいて、移動体10が一定角度以上の傾きの上り坂を走行していると認識することができる。制御部30は、第三特徴点20cが検知されると、移動体10を上り坂に応じた運転とする。具体的には、制御部30は、第三特徴点20cが検知されると、牽引物14を牽引しながらの走行は困難と判断し、移動体10の走行を停止させる。これにより、上りきれない上り坂を移動体10が走行しようとするのを防止することができる。
【0083】
また、
図12(c)に示すように、移動体10が下り坂に差し掛かると、移動体10が前下がりに傾き、これに伴って二次元LIDAR13によって取得される二次元平面も前下がりに傾く。このため、第一特徴点20aは二次元LIDAR13の検知範囲(二次元平面)から外れ、第二特徴点20bが二次元LIDAR13の検知範囲に位置するようになる。制御部30は、二次元LIDAR13によって第二特徴点20bが検知されることに基づいて、移動体10が一定角度以上の傾きの下り坂を走行していると認識することができる。制御部30は、第二特徴点20bが検知されると、移動体10を下り坂に応じた運転とする。具体的には、制御部30は、第二特徴点20bが検知されると、移動体10の安全な走行が維持できないと判断し、移動体10の走行速度を低下させる。これにより、スピードの出しすぎを抑制し、移動体10を円滑に走行させることができる。
【0084】
図13(a)は、移動体10が牽引物14を牽引しながら路面Aを走行している状態を示している。移動体10と牽引物14とは接続機構15により接続されている。より詳細には、接続機構15は2つの電磁石15aを具備し、通電された電磁石15a同士が吸着されることで移動体10と牽引物14とが接続されている。また、特徴点20は、牽引物14の前面に二次元LIDAR13によって検知可能に設けられる。
【0085】
制御部30は、二次元LIDAR13による特徴点20の検知に基づいて、牽引物14の有無(移動体10が牽引物14を牽引していること)を認識することができる。制御部30は、特徴点20を検知した状態で移動体10が目的地に到着したと判断すると、電磁石15aの通電を解除する。これにより、接続機構15(電磁石15a)による移動体10と牽引物14との接続を解除することができる。したがって、操作者が移動体10と牽引物14との接続を解除する手間を省くことができる。
【0086】
以上のように第二実施形態に係る移動体システム1においては、特徴点20を、牽引物14の二次元LIDAR13によって検知可能な位置に設け、この特徴点20の検知結果に基づいて移動体10の動作を制御している。これにより、牽引物14に応じて移動体10を円滑に移動させることができる。
【0087】
以上の如く、第二実施形態に係る移動体システム1は、被検知物を検知可能な二次元LIDAR13を有し、牽引物14を牽引しながら走行する移動体10と、前記牽引物14に前記二次元LIDARによって検知可能に設けられた特徴点20と、前記二次元LIDAR13による前記特徴点20の検知結果に基づいて、前記移動体10の動作を制御する制御部30と、を具備するものである。
【0088】
このように構成されることにより、移動体10の移動を円滑に行うことができる。
【0089】
また、前記制御部30は、前記二次元LIDAR13による前記特徴点20の検知に基づいて、平面視において前記移動体10の移動方向と前記牽引物14の所定方向とがなす角度を算出し、算出した前記角度の変化に基づいて前記移動体10の動作を制御するものである。
【0090】
このように構成されることにより、牽引物14によって移動体10の移動が妨げられるのを回避することができる。
【0091】
また、前記制御部30は、前記特徴点20が前記二次元LIDAR13の検知範囲外となった場合、前記移動体10の走行速度を調整するものである。
【0092】
このように構成されることにより、移動体10の移動が滞るのを回避することができる。
【0093】
また、互いに異なる複数の前記特徴点20を具備し、複数の前記特徴点20は、互いに上下に並ぶように配置され、前記制御部30は、前記二次元LIDAR13によって複数の前記特徴点20のうちどの特徴点20を検知しているかに基づいて、前記移動体10の動作を制御するものである。
【0094】
このように構成されることにより、路面Aの傾斜によって移動体10の移動が滞るのを回避することができる。
【0095】
また、複数の前記特徴点20は、前記移動体10が略平坦な路面Aを走行している時に前記二次元LIDAR13によって検知される第一特徴点20aと、前記第一特徴点20aよりも上方に設けられる第二特徴点20bと、を有し、前記制御部30は、前記二次元LIDAR13によって前記第二特徴点20bを検知している場合、下り坂に応じた運転となるよう前記移動体10の動作を制御するものである。
【0096】
このように構成されることにより、路面Aが下り坂である場合であっても移動体10の移動を円滑に行うことができる。
【0097】
また、複数の前記特徴点20は、前記移動体10が略平坦な路面を走行している時に前記二次元LIDAR13によって検知される第一特徴点20aと、前記第一特徴点20aよりも下方に設けられる第三特徴点20cと、を有し、前記制御部30は、前記二次元LIDAR13によって前記第三特徴点20cを検知している場合、上り坂に応じた運転となるよう前記移動体10の動作を制御するものである。
【0098】
このように構成されることにより、路面Aが上り坂である場合であっても移動体10の移動を円滑に行うことができる。
【0099】
また、前記牽引物14を牽引する際に前記移動体10と前記牽引物14とを接続する接続機構15を具備し、前記制御部30は、前記二次元LIDAR13によって前記特徴点20を検知した状態で前記移動体10が目的地に到着した場合、前記接続機構15による前記移動体10と前記牽引物14との接続を解除するものである。
【0100】
このように構成されることにより、移動体10と牽引物14との接続を解除する手間を省くことができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0102】
例えば、第一実施形態及び第二実施形態においては、移動体10は、路面Aに設置されたラインに沿って走行したり、人や別の移動体に追従して走行したりするものとしたが、走行することで地図を自動的に生成するマッピング機能を有し、当該機能を利用して走行するものとしてもよい。具体的には、移動体10は、操作者が移動体10のスタートとゴールを指定する(スタートとゴールが制御部30に入力される)だけで、マッピング機能を利用して移動経路を決定(判断)するものであってもよい。
【0103】
また、第一実施形態及び第二実施形態においては、二次元LIDAR13のレーザー照射方向(取得される二次元平面P)は、路面Aに平行なものとしたが、必ずしも路面Aに平行でなくてもよく、路面Aに対して多少傾いていてもよい。
【0104】
また、第一実施形態において「周囲環境情報」とは、走行する移動体10の周囲の環境に関する情報を示すものとしたが、周囲の環境そのものに関する情報に限定されるものではなく、周囲の環境に応じて採用し得る移動体10の運転内容に関する情報であってもよい。すなわち、第一実施形態においては、制御部30は、特徴点20が検知されると、当該特徴点20に紐付けられた周囲の環境そのもの(例えば路面の凹凸)に関する情報を取得し、当該情報に基づいて移動体10の動作を制御するものとしたが、特徴点20が検知されると、当該特徴点20に紐付けられた移動体10の運転内容(例えば走行速度を所定速度まで落とす)に関する情報を取得し、当該情報に従って移動体10の動作を制御するものとしてもよい。
【0105】
また、第一実施形態及び第二実施形態においては、各特徴点20は紐付けられた周囲環境情報に応じて異なる形状に形成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、互いに区別し得るものであればよい。
【0106】
また、第一実施形態及び第二実施形態においては、主として移動体10がライントレースモードで運転する場合の、特徴点20の検知に基づく移動体10の動作の制御について説明したが、自動追従モードでも同様に、特徴点20の検知に基づく移動体10の動作の制御を行うことができる。
【0107】
また、
図12に示す例においては、第一特徴点20a、第二特徴点20b及び第三特徴点20cが互いに上下に並ぶように配置されるものとしたが、第二特徴点20b及び第三特徴点20cは必ずしも設けられていなくてもよい。この場合、第一特徴点20aが二次元LIDAR13の検知範囲外となったことに基づいて移動体10の動作を制御することができる。
【0108】
また、
図12(b)に示す例においては、第三特徴点20cが検知されると、移動体10が一定角度以上の傾きの上り坂を走行していると認識し、移動体10の走行を停止させるものとしたが、反対に上り坂を上りきれるように走行速度や駆動力を高めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 移動体システム
10 移動体
13 二次元LIDAR
14 牽引物
15 接続機構
20 特徴点
20a 第一特徴点
20b 第二特徴点
20c 第三特徴点
30 制御部