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特開2022-55917アンプ制御装置及びアンプ制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055917
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】アンプ制御装置及びアンプ制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20220401BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B60R11/02 B
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163629
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100183760
【弁理士】
【氏名又は名称】山鹿 宗貴
(72)【発明者】
【氏名】笛木 俊宏
【テーマコード(参考)】
3D020
5D220
【Fターム(参考)】
3D020BA02
3D020BB01
3D020BE03
5D220AA02
5D220AB08
(57)【要約】
【課題】車両の搭乗者がロードノイズによってスピーカからの出力音を聴き取りにくくなるのを防ぐこと。
【解決手段】車両に設置されるアンプの出力ワット数を制御するアンプ制御装置を、車両が走行中か停車中かを判定する判定部と、ボリューム設定値毎にアンプの出力ワット数を関連付けた第一のテーブルと、各ボリューム設定値に関連付けられた出力ワット数が、それぞれ、第一のテーブルにて対応するボリューム設定値に関連付けられた出力ワット数よりも小さい、第二のテーブルと、を保持する保持部と、車両が走行中と判定されると第一のテーブルを設定し、車両が停車中と判定されると第二のテーブルを設定する設定部と、設定されたテーブルに基づいてアンプの出力ワット数を調整する調整部と、を備える構成とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置されるアンプの出力ワット数を制御するアンプ制御装置において、
前記車両が走行中か停車中かを判定する判定部と、
ボリューム設定値毎にアンプの出力ワット数を関連付けた第一のテーブルと、各前記ボリューム設定値に関連付けられた前記出力ワット数が、それぞれ、前記第一のテーブルにて対応する前記ボリューム設定値に関連付けられた前記出力ワット数よりも小さい、第二のテーブルと、を保持する保持部と、
前記車両が走行中と判定されると前記第一のテーブルを設定し、前記車両が停車中と判定されると前記第二のテーブルを設定する設定部と、
設定されたテーブルに基づいて前記アンプの出力ワット数を調整する調整部と、
を備える、
アンプ制御装置。
【請求項2】
前記調整部は、前記設定部により前記テーブルが切り替えられると、前記アンプの出力ワット数を、切替後のテーブルで、切替直前の前記ボリューム設定値と関連付けられている出力ワット数に調整する、
請求項1に記載のアンプ制御装置。
【請求項3】
前記第一のテーブルが設定されているときに前記判定部により前記車両が停車中と判定されると、前記調整部は、前記アンプの出力ワット数を、前記第二のテーブルで、現在の前記ボリューム設定値と関連付けられている出力ワット数まで徐々に下げる、
請求項1に記載のアンプ制御装置。
【請求項4】
前記第一のテーブルが設定されているときに前記判定部により前記車両が停車中と判定され、且つ前記出力ワット数が前記第二のテーブルで最も大きい前記ボリューム設定値に関連付けられた最大出力ワット数よりも大きい場合、前記調整部は、前記アンプの出力ワット数を、前記第一のテーブルに従って前記最大出力ワット数まで徐々に下げ、
前記最大出力ワット数まで下げられると、前記設定部は、前記第一のテーブルから前記第二のテーブルへ切り替え、
前記第二のテーブルへ切り替えられると、前記調整部は、前記アンプの出力ワット数を、前記第二のテーブルに従い、前記最大出力ワット数まで徐々に下げる直前の前記ボリューム設定値と関連付けられている出力ワット数まで徐々に下げる、
請求項3に記載のアンプ制御装置。
【請求項5】
前記調整部は、前記設定部により前記第二のテーブルから前記第一のテーブルに切り替えられた場合、切替の前後で前記アンプの出力ワット数が変化しないように前記ボリューム設定値を調整する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のアンプ制御装置。
【請求項6】
前記第二のテーブルにて複数の前記ボリューム設定値のそれぞれに関連付けられた出力ワット数は、前記第一のテーブルで対応するボリューム設定値に関連付けられている出力ワット数に所定の係数k(k<1)を乗算した値となっている、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載のアンプ制御装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記車両に設けられた車速センサと接続されており、前記車速センサからの入力に従い、前記車両が走行中か停車中かを判定する、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載のアンプ制御装置。
【請求項8】
ボリューム設定値毎にアンプの出力ワット数を関連付けた第一のテーブルと、各前記ボリューム設定値に関連付けられた前記出力ワット数が、それぞれ、前記第一のテーブルにて対応する前記ボリューム設定値に関連付けられた前記出力ワット数よりも小さい、第二のテーブルと、を用いて、車両に設置されるアンプの出力ワット数を制御するアンプ制御装置が実行するアンプ制御プログラムであって、
前記車両が走行中か停車中かを判定する判定ステップと、
前記車両が走行中と判定されると前記第一のテーブルを設定し、前記車両が停車中と判定されると前記第二のテーブルを設定する設定ステップと、
設定されたテーブルに基づいて前記アンプの出力ワット数を調整する調整ステップと、
を含む、
アンプ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンプ制御装置及びアンプ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両が徐行等の低速走行状態になると、スピーカからの出力音が車両の周囲にいる第三者に比較的長い時間に亘って聞こえてしまい、人によってはこれを迷惑騒音と感じることがある。そこで、この種の迷惑騒音を抑制することができるアンプ制御装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のアンプ制御装置では、車両が低速走行状態になると、スピーカからの出力音が、第三者が気にならない程度の小さい音量に下げられる。これにより、低速走行時において、車両の周囲にいる第三者への迷惑騒音が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-89617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の走行中、ロードノイズが発生する。なお、本明細書では、タイヤと路面との摩擦が原因で発生するノイズをロードノイズとする。この種のロードノイズは、車両が低速走行状態であっても発生する。そのため、スピーカからの出力音を下げると、車両の搭乗者はロードノイズのせいで出力音を聴き取りにくくなってしまう。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑み、車両の搭乗者がロードノイズによってスピーカからの出力音を聴き取りにくくなるのを防ぐことができるアンプ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るアンプ制御装置は、車両に設置されるアンプの出力ワット数を制御する装置であり、車両が走行中か停車中かを判定する判定部と、ボリューム設定値毎にアンプの出力ワット数を関連付けた第一のテーブルと、各ボリューム設定値に関連付けられた出力ワット数が、それぞれ、第一のテーブルにて対応するボリューム設定値に関連付けられた出力ワット数よりも小さい、第二のテーブルと、を保持する保持部と、車両が走行中と判定されると第一のテーブルを設定し、車両が停車中と判定されると第二のテーブルを設定する設定部と、設定されたテーブルに基づいてアンプの出力ワット数を調整する調整部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態に係るアンプ制御装置によれば、車両の搭乗者がロードノイズによってスピーカからの出力音を聴き取りにくくなるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るオーディオシステムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施例に係るアンプ制御装置に備えられるMPU(Micro Processing Unit)が実行するアンプ制御プログラムを示すフローチャートである。
図3A】本発明の第1実施例において、MPUの内部メモリに保持される、ボリューム設定値毎にアンプの出力ワット数を関連付けたテーブル(第一のテーブル)を示す図である。
図3B】本発明の第1実施例において、MPUの内部メモリに保持される、ボリューム設定値毎にアンプの出力ワット数を関連付けたテーブル(第二のテーブル)を示す図である。
図4】本発明の第2実施例に係るアンプ制御装置に備えられるMPUが実行するアンプ制御プログラムを示すフローチャートである。
図5A図4のステップS202~S204の説明を補助する図である。
図5B図4のステップS202~S204の説明を補助する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用可能なアンプ制御装置を備えるオーディオシステムについて説明する。なお、以下の説明において、共通の又は対応する要素については、同一又は類似の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るオーディオシステム1の構成を示すブロック図である。本実施形態において、オーディオシステム1は、アイドリングストップ機能が搭載された自動車に設置される。なお、オーディオシステム1は、別の形態の車両(例えば電車)に設置されてもよい。
【0012】
図1に示されるように、オーディオシステム1は、アンプ制御装置10、音源20、パワーアンプ30、スピーカ40、車速センサ50及び電流センサ60を備える。
【0013】
アンプ制御装置10は、車両に組み込まれた装置である。アンプ制御装置10は、パワーアンプ30の出力ワット数を制御することにより、スピーカ40からの出力音の音量を制御する。音源20は、例えば、CD(Compact Disc)、SACD(Super Audio CD)等のディスクメディアや、HDD(Hard Disk Drive)、USB(Universal Serial Bus)等のストレージメディアである。
【0014】
なお、アンプ制御装置10は、車両に組み込まれた装置に限らず、持ち運び可能な装置に内蔵されたものであってもよい。例示として、アンプ制御装置10は、スマートフォン、フィーチャフォン、PHS(Personal Handy phone System)、タブレット端末、ノートPC、PDA(Personal Digital Assistant)、PND(Portable Navigation Device)、携帯ゲーム機等の携帯型端末に内蔵された装置であってもよい。
【0015】
図1に示されるように、アンプ制御装置10は、MPU11、ボリューム回路12及びHMI(Human Machine Interface)13を備える。なお、図1では、本実施形態の説明に必要な主たる構成要素を図示しており、例えばアンプ制御装置10として必須な構成要素である筐体など、一部の構成要素については、その図示を適宜省略する。
【0016】
HMI13は、車両に搭乗するオペレータとアンプ制御装置10とが情報をやり取りするためのインタフェースであり、具体的には、タッチパネルディスプレイ及びその周りに配置されたメカニカルキー、リモートコントローラ等である。HMI13は、オペレータがボリューム調整(音量調整)を行うための操作手段を含む。例えば、オペレータは、タッチパネルディスプレイに表示されたボリューム調整用アイコンやリモートコントローラに設けられたボリューム調整用ボタンを操作することにより、スピーカ40からの出力音の音量を変えることができる。
【0017】
より詳細には、オペレータは、HMI13を操作してボリューム設定値を設定することができる。本実施形態では、0~41の計41段階のボリューム設定値を設定することができる。なお、この41段階という値は一例に過ぎない。別の実施形態で設定可能なボリューム設定値は、41段階より少なくてもよく、また、41段階より多くてもよい。
【0018】
ボリューム回路12には、音源20からオーディオ信号が入力される。MPU11は、テーブル11A又はテーブル11B(詳しくは後述)及びHMI13に対する操作で指定されたボリューム設定値(又は電源オン後に初期設定されるボリューム設定値)に基づいてボリューム回路12を制御して、音源20より入力されるオーディオ信号の信号レベル(単位:dB)を調整(減衰)させる。例えば、ボリューム設定値が-6dB相当の値の場合、ボリューム回路12は、オーディオ信号の信号レベルを約0.5倍(-6dB≒0.5倍)に減衰させる。
【0019】
ボリューム回路12にて減衰されたオーディオ信号は、パワーアンプ30にて所定の増幅率で増幅されて、スピーカ40より出力される。これにより、車両の搭乗者は、音源の楽曲等を聴くことができる。
【0020】
このように、MPU11は、音源20より入力されるオーディオ信号の信号レベルをテーブル11A又は11B及びボリューム設定値に基づいてボリューム回路12で調整することより、パワーアンプ30の出力ワット数を調整する調整部として動作する。
【0021】
なお、本実施形態では、パワーアンプ30自体にボリューム調整機能はないが、本発明に係るアンプ制御装置の構成はこれに限らない。別の実施形態では、パワーアンプ30は、ボリューム回路12に相当するボリューム調整機能を含み、増幅率が可変なものであってもよい。すなわち、MPU11は、テーブル11A又は11B及びボリューム設定値に基づいてパワーアンプ30の増幅率を決定することにより、パワーアンプ30の出力ワット数を調整する構成としてもよい。
【0022】
次に、MPU11が実行するアンプ制御プログラムを2例説明する。
【0023】
概略的には、下記の第1実施例では、参照するテーブル(すなわち、パワーアンプ30の出力ワット数を決めるためのテーブル)がテーブル11Aとテーブル11Bとの間で切り替わると、パワーアンプ30の出力ワット数(言い換えると、スピーカ40からの出力音の音量)が、切替後のテーブルで、現在(より正確にはテーブルの切替直前)のボリューム設定値と関連付けられている出力ワット数に調整される。下記の第2実施例では、参照するテーブルがテーブル11Aからテーブル11Bへ切り替えられると、パワーアンプ30の出力ワット数が、テーブル11Bで、現在(より正確にはテーブルの切替直前)のボリューム設定値と関連付けられている出力ワット数まで徐々に下げられる。また、下記の第2実施例では、参照するテーブルがテーブル11Bからテーブル11Aへ切り替えられると、切替の前後でパワーアンプ30の出力ワット数が変化しないようにボリューム設定値が調整されるため、スピーカ40からの出力音の音量が切替の前後で変わらない。
【0024】
なお、第1実施例と第2実施例とを適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。例えば、第1実施例において、参照するテーブルがテーブル11Aからテーブル11Bへ切り替えられたとき、パワーアンプ30の出力ワット数が、テーブル11Bで、現在のボリューム設定値と関連付けられている出力ワット数まで徐々に下がるようにしてもよい。また、第1実施例において、参照するテーブルがテーブル11Bからテーブル11Aへ切り替えられたとき、切替の前後でパワーアンプ30の出力ワット数が変化しないようにボリューム設定値が調整されてもよい。
【0025】
[第1実施例に係るアンプ制御プログラム]
図2に、第1実施例に係るアンプ制御プログラムをフローチャートで示す。MPU11は、例えば、アンプ制御装置10の電源がオンされるとアンプ制御プログラムの実行を開始し、アンプ制御装置10の電源がオフされるとアンプ制御プログラムの実行を終了する。
【0026】
図3A図3Bのそれぞれに、MPU11の内部メモリに保持されるテーブル11A、11Bをグラフで示す。
【0027】
図3A及び図3Bに示されるように、テーブル11A及び11Bは、ボリューム設定値(=0~40)毎にパワーアンプ30の出力ワット数を関連付けたテーブルとなっている。図3A及び図3Bに示されるカーブは、各ボリューム設定値に対応する計41の出力ワット数のプロット(不図示)を接続して示すものとなっており、ボリューム設定値に対する出力ワット数の変化が最初に大きいCカーブに近似した特性となっている。なお、これらのカーブは、Cカーブに近似した特性に限らず、Aカーブ、Bカーブ又はDカーブに近似した特性であってもよい。
【0028】
第1実施例では、パワーアンプ30の最大出力ワット数が50Wとなっている。MPU11は、テーブル11Aを参照する場合、パワーアンプ30の出力ワット数を0~50Wの範囲内で調整することができる。また、MPU11は、テーブル11Bを参照する場合、パワーアンプ30の出力ワット数を0~30Wの範囲内で調整することができる。
【0029】
テーブル11Bにて各ボリューム設定値1~40に関連付けられた出力ワット数は、それぞれ、テーブル11Aにて各ボリューム設定値1~40に関連付けられた出力ワット数よりも小さい。例えば、テーブル11Bにてボリューム設定値40に関連付けられた出力ワット数が30Wであるのに対し、テーブル11Aにてボリューム設定値40に関連付けられた出力ワット数は50Wとなっている。
【0030】
すなわち、MPU11は、ボリューム設定値毎にパワーアンプ30の出力ワット数を関連付けたテーブル11A(第一のテーブル)と、各ボリューム設定値に関連付けられた出力ワット数が、それぞれ、テーブル11Aにて対応するボリューム設定値に関連付けられた出力ワット数よりも小さい、テーブル11B(第二のテーブル)と、を保持する保持部として動作する。
【0031】
より詳細には、テーブル11Bにてボリューム設定値0~40のそれぞれに関連付けられた出力ワット数は、テーブル11Aで対応するボリューム設定値に関連付けられている出力ワット数に所定の係数k(k<1)を乗算した値となっている。
【0032】
第1実施例では、係数kは、0.6に設定されている。そのため、例えば、テーブル11Bにてボリューム設定値40に関連付けられた出力ワット数は、テーブル11Aにてボリューム設定値40に関連付けられた出力ワット数50Wに0.6を乗算した30Wとなっている。附言するに、図3Bに示されるカーブ特性は、図3Aに示されるカーブ特性を縦軸方向のみ0.6倍の縮尺(横軸方向は1.0倍の縮尺)で縮めた特性となっている。
【0033】
アンプ制御プログラムの実行が開始されると、MPU11は、図2に示されるように、初期設定を行う(ステップS101)。具体的には、MPU11は、参照テーブルとしてテーブル11Aを設定するとともにボリューム設定値を10に設定する。なお、別の実施形態では、ステップS101において、テーブル11Bが設定されてもよく、また、10以外のボリューム設定値が設定されてもよい。
【0034】
MPU11は、車両に設けられた車速センサ50と電気的に接続されている。MPU11は、車速センサ50より入力されるパルス信号に従い、車両が走行中か停車中かを判定する(ステップS102)。なお、MPU11は、時速0km/hを示すパルス信号が入力されると車両が停車中と判定し、時速0km/hを超える時速を示すパルス信号が入力されると車両が走行中と判定する。すなわち、MPU11は、車両が走行中か停車中かを判定する判定部として動作する。
【0035】
車両の走行中(ステップS102:YES)、ロードノイズが発生する。スピーカ40からの出力音の音量が小さいと、車両の搭乗者はロードノイズのせいで出力音を聴き取りにくくなってしまう。そこで、MPU11は、各ボリューム設定値に関連付けられているパワーアンプ30の出力ワット数がテーブル11Bよりも大きいテーブル11Aが、パワーアンプ30の出力ワット数を決めるためのテーブルとして設定されているか否かを判定する(ステップS103)。
【0036】
テーブル11Aが設定されていない場合(ステップS103:NO)、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数を決めるためのテーブルとして、テーブル11Aを設定する(ステップS104)。
【0037】
テーブル11Aが既に設定されていた場合(ステップS103:YES)又はテーブル11Aが設定された場合(ステップS104)、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数が、テーブル11Aにて、HMI13に対する操作で指定された(又は電源オン後に初期設定された)現在(テーブルが切り替わった場合は切替直前)のボリューム設定値に関連付けられた出力ワット数となるように、ボリューム回路12を制御する(ステップS105)。例えば、現在のボリューム設定値が40の場合、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数が、テーブル11Aにてボリューム設定値40に関連付けられた50Wとなるように、ボリューム回路12を制御する。
【0038】
テーブル11Aに基づいてパワーアンプ30の出力ワット数を調整することにより、比較的大きな音量でスピーカ40から音が出力される。そのため、ロードノイズによってスピーカ40からの出力音が聴き取りにくくなるという状況の発生が抑えられる。
【0039】
車両の停車中(ステップS102:NO)はロードノイズが発生しない。そのため、スピーカ40からの出力音の音量が小さい場合にも、スピーカ40からの出力音が聴き取りにくくなるという状況が発生しにくい。また、第1実施例では、車両の停車中、アイドリングストップ機能でエンジンが停止することにより、エンジンによる発電が停止され、車載バッテリ(より詳細には、車両に搭載される電装品の給電用バッテリ)への充電も停止される。そのため、車両の停車中は、パワーアンプ30の出力ワット数を下げて省電力化を図ることが望ましい。
【0040】
そこで、MPU11は、各ボリューム設定値に関連付けられているパワーアンプ30の出力ワット数がテーブル11Aよりも小さいテーブル11Bが、パワーアンプ30の出力ワット数を決めるためのテーブルとして設定されているか否かを判定する(ステップS106)。
【0041】
テーブル11Bが設定されていない場合(ステップS106:NO)、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数を決めるためのテーブルとして、テーブル11Bを設定する(ステップS107)。
【0042】
テーブル11Bが既に設定されていた場合(ステップS106:YES)又はテーブル11Bが設定された場合(ステップS107)、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数が、テーブル11Bにて、HMI13に対する操作で指定された(又は電源オン後に初期設定された)現在(テーブルが切り替わった場合は切替直前)のボリューム設定値に関連付けられた出力ワット数となるように、ボリューム回路12を制御する(ステップS108)。例えば、現在のボリューム設定値が40の場合、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数が、テーブル11Bにてボリューム設定値40に関連付けられた30Wとなるように、ボリューム回路12を制御する。
【0043】
テーブル11Bに基づいてパワーアンプ30の出力ワット数を調整することにより、スピーカ40からの出力音の音量が小さくなるものの、ロードノイズがないため、スピーカ40からの出力音が聴き取りにくくなるという状況が発生しにくい。また、パワーアンプ30の出力ワット数を低く抑えることによる省電力化が達成される。
【0044】
このように、ステップS104及びS107において、MPU11は、車両が走行中と判定されるとテーブル11Aを設定し、車両が停車中と判定されるとテーブル11Bを設定する設定部として動作する。また、ステップS105及びS108において、調整部として動作するMPU11は、テーブル11Aからテーブル11Bに又はテーブル11Bからテーブル11Aに切り替えられると、パワーアンプ30の出力ワット数を、切替後のテーブルで、現在(より正確にはテーブルの切替直前)のボリューム設定値と関連付けられている出力ワット数に調整する。
【0045】
上記においては、車速センサ50を用いて車両が走行中か停車中かを判定しているが、車速センサ50に代えて、電流センサ60を用いて車両が走行中か停車中かを判定してもよい。
【0046】
具体的には、電流センサ60は、車両に搭載された各電装品の合計の消費電流を測定するセンサであり、MPU11と電気的に接続されている。停車中(言い換えると、アイドリングストップ中)、車載バッテリの電圧降下の抑制のため、一部の電装品が停止する。そのため、上記の合計の消費電流は、車両の走行中は所定閾値を超える一方、車両の停車中は所定閾値以下となる。
【0047】
従って、MPU11は、電流センサ60より測定される消費電流が所定閾値を超えるか否かによって、車両が走行中か停車中かを判定することができる。
【0048】
[第2実施例に係るアンプ制御プログラム]
図4に、第2実施例に係るアンプ制御プログラムをフローチャートで示す。第2実施例においても、MPU11は、アンプ制御装置10の電源がオンされるとアンプ制御プログラムの実行を開始し、アンプ制御装置10の電源がオフされるとアンプ制御プログラムの実行を終了する。
【0049】
MPU11は、初期設定を行い(ステップS101)、車両が走行中か停車中かを判定する(ステップS102)。
【0050】
車両の停車中(ステップS102:NO)で且つテーブル11Bが既に設定されている場合(ステップS106:YES)、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数が、テーブル11Bにて現在のボリューム設定値に関連付けられた出力ワット数となるように、ボリューム回路12を制御する(ステップS108)。
【0051】
車両の停車中(ステップS102:NO)で且つテーブル11Bが設定されていない場合(ステップS106:NO)、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数が、テーブル11Bで最も大きいボリューム設定値40に関連付けられた最大出力ワット数30Wよりも大きいか否かを判定する(ステップS201)。
【0052】
現在のパワーアンプ30の出力ワット数がテーブル11Bの最大出力ワット数30Wよりも大きい場合(ステップS201:YES)、MPU11は、テーブル11Aに従い、パワーアンプ30の出力ワット数が最大出力ワット数30Wまで徐々に下がるよう、ボリューム設定値を徐々に下げる(ステップS202)。
【0053】
ボリューム設定値を下げることによってパワーアンプ30の出力ワット数が最大出力ワット数30Wに達すると、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数を決めるためのテーブルとして、テーブル11Bを設定する(ステップS203)。すなわち、テーブル11Aからテーブル11Bへ切り替える。
【0054】
テーブル11Bへ切り替えられると、MPU11は、テーブル11Bに従い、パワーアンプ30の出力ワット数が現在(より正確には、ステップS202にてパワーアンプ30の出力ワット数を最大出力ワット数30Wまで徐々に下げる直前)のボリューム設定値と関連付けられている出力ワット数まで徐々に下がるよう、ボリューム設定値を徐々に下げる(ステップS204)。
【0055】
なお、現在のパワーアンプ30の出力ワット数がテーブル11Bの最大出力ワット数30W以下の場合(ステップS201:NO)、MPU11は、ステップS202の処理を実行せずに、テーブル11Aからテーブル11Bへの切替を行い(ステップS203)、テーブル11Bに従い、パワーアンプ30の出力ワット数が現在のボリューム設定値と関連付けられている出力ワット数まで徐々に下がるよう、ボリューム設定値を徐々に下げる(ステップS204)。
【0056】
図5A及び図5Bは、図4のステップS202~S204の説明を補助する図である。図5A図5Bは、それぞれ、ステップS202~S204の説明を補助する符号及び矢印を図3A図3Bのグラフに付記したものである。
【0057】
図5A及び図5Bの例では、MPU11が出力ワット数40Wでパワーアンプ30を制御し、テーブル11Aで40Wと関連付けられているボリューム設定値が25であるものとする。そのため、ステップS202において、MPU11は、テーブル11Aに従い、パワーアンプ30の出力ワット数が40W(図5Aの符号a参照)から30W(図5Aの符号b参照)まで徐々に下がるよう(図5Aの矢印A参照)、ボリューム設定値を徐々に下げる(図5Aの矢印A’参照)。
【0058】
ボリューム設定値を下げることによってパワーアンプ30の出力ワット数が30Wに達すると、ステップS203において、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数を決めるためのテーブルとして、テーブル11Bを設定する。MPU11は、テーブル11Bに従い、テーブル11Bにおいて30Wに関連付けられている値40にボリューム設定値を設定する(図5Bの符号c参照)。
【0059】
テーブル11Bへ切り替えられると、MPU11は、テーブル11Bに従い、パワーアンプ30の出力ワット数が30Wから現在のボリューム設定値(より正確には、ステップS202にてパワーアンプ30の出力ワット数を最大出力ワット数30Wまで徐々に下げる直前に設定されていたボリューム設定値25)と関連付けられている出力ワット数24W(図5Bの符号d参照)まで徐々に下がるよう(図5Bの矢印B参照)、ボリューム設定値を徐々に下げる(図5Bの矢印B’参照)。
【0060】
このように、実施例2では、走行していた車両が停車すると、パワーアンプ30の出力ワット数が徐々に下げられるため、スピーカ40からの出力音の音量も徐々に下がる。そのため、車両の搭乗者は、車両の停車時に音量が急に下がることによる違和感を覚えることがない。
【0061】
走行中(ステップS102:YES)で且つテーブル11Aが既に設定されている場合(ステップS103:YES)、MPU11は、パワーアンプ30の出力ワット数が、テーブル11Aにて現在のボリューム設定値に関連付けられた出力ワット数となるように、ボリューム回路12を制御する(ステップS105)。
【0062】
車両の周囲への迷惑騒音の抑制や省電力化を考慮すると、スピーカ40からの出力音の音量を下げることは望ましい。そのため、MPU11は、走行していた車両が停車すると、パワーアンプ30の出力ワット数を自動的に下げることにより、スピーカ40からの出力音の音量を自動的に下げている。これに対し、スピーカ40からの出力音の音量を上げることは、車両の搭乗者個人の嗜好によるものと考えられる。
【0063】
そこで、第2実施例では、車両の走行中(ステップS102:YES)、テーブル11Bからテーブル11Aへ切り替えられると(ステップS103:NO及びステップS104)、MPU11は、テーブルの切替の前後でパワーアンプ30の出力ワット数が変わらないようにボリューム設定値を調整する(ステップS205)。これにより、パワーアンプ30の出力ワット数がテーブルの切替の前後で変わらないため、スピーカ40からの出力音の音量がテーブルの切替の前後で変わらない。音量を上げたいオペレータは、HMI13を操作すればよい。
【0064】
例えばテーブル11Bの設定時においてパワーアンプ30の出力ワット数が30Wの場合、ボリューム設定値は40である。この場合、ステップS205において、MPU11は、ボリューム設定値を、値40から、テーブル11Aで30Wに関連付けられている値18に変更する。これにより、パワーアンプ30の出力ワット数が30Wに維持されるため、スピーカ40からの出力音の音量がテーブルの切替の前後で変わらない。
【0065】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施例等又は自明な実施例等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【0066】
上記の係数kは、例えば車両の遮音性や車載バッテリの容量等を考慮して決められている。上記の実施形態において、係数kは0.6であるが、本発明はこれに限らない。係数kは、他の値(但し1未満)であってもよい。ボリューム設定値が同じ場合、係数kが小さいほど、テーブル11Bを参照してパワーアンプ30の出力ワット数を調整したときの、スピーカ40からの出力音の音量が小さくなる。
【0067】
上記の第2実施例では、停止していた車両が走行してもパワーアンプ30の出力ワット数が変わらないため、スピーカ40からの出力音の音量も変わらない。これに対し、第2実施例の変形例として、停止していた車両が走行した場合、パワーアンプ30の出力ワット数を徐々に上げることにより、スピーカ40からの出力音の音量を徐々に上げるようにしてもよい。
【0068】
具体的には、ステップS202~S204の処理を逆順に実行することにより、スピーカ40からの出力音の音量を徐々に上げることができる。図5A及び図5Bを用いて説明すると、MPU11は、テーブル11Bに従い、パワーアンプ30の出力ワット数が出力ワット数24W(図5Bの符号d参照)から最大出力ワット数30W(図5Bの符号c参照)まで徐々に上がるよう、ボリューム設定値を徐々に上げる。次いで、MPU11は、テーブル11Bからテーブル11Aへ切り替え、テーブル11Aに従い、ボリューム設定値をテーブル11Aで30Wに関連付けられている値18に変更する(図5Aの符号b参照)。MPU11は、テーブル11Aに従い、パワーアンプ30の出力ワット数が30W(図5Aの符号b参照)から40W(図5Aの符号a参照)まで徐々に上がるよう、ボリューム設定値を徐々に上げる。
【0069】
なお、停止していた車両が走行したときにスピーカ40からの出力音の音量を上げるか上げない(変えない)かについては、HMI13に対する操作で選択できてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 :オーディオシステム
10 :アンプ制御装置
11 :MPU
11A :テーブル
11B :テーブル
12 :ボリューム回路
13 :HMI
20 :音源
30 :パワーアンプ
40 :スピーカ
50 :車速センサ
60 :電流センサ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B