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  • 特開-浸水抑制構造 図1
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  • 特開-浸水抑制構造 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022055963
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】浸水抑制構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20220401BHJP
   E04B 1/66 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
E04B1/64 A
E04B1/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163701
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】藤山 晴司
(72)【発明者】
【氏名】菅 将憲
(72)【発明者】
【氏名】市村 仁志
(72)【発明者】
【氏名】奥澤 麻利子
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA04
2E001FA21
2E001MA02
2E001MA03
(57)【要約】
【課題】保管スペースを必要としない浸水抑制構造を提供する。
【解決手段】浸水抑制構造100は、1階の外壁パネル1の外装材11における下部の裏面側に長尺の換気スリット部材20を有する空気取入部2と、上記空気取入部2に対して蓋として機能する蓋部材3と、上記蓋部材3による上記空気取入部2の空気取入許容と上記空気取入部2への水の浸入抑制とを切り替える切替支持部(切替部)4とを備える。上記蓋部材3は上記切替支持部4の水平軸44によって揺動自在に支持され、上記空気取入部2の空気取入許容と上記空気取入部2への水の浸入抑制の切り替えが、水位上昇による上記蓋部材3の上昇動作によって自動実行される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁パネルの屋内側の下部側に設けられた空気取入部と、上記空気取入部を開閉する蓋部材と、上記空気取入部に対する上記蓋部材の開放による空気取入許容と上記空気取入部に対する上記蓋部材の閉鎖による上記空気取入部への水の浸入抑制とを切り替える切替部と、を備えることを特徴とする浸水抑制構造。
【請求項2】
請求項1に記載の浸水抑制構造において、上記切替部は、上記蓋部材を可動に支持しており、上記空気取入部の空気取入許容と上記空気取入部への水の浸入抑制の切り替えが、水位上昇による上記蓋部材の上昇動作によって自動実行されることを特徴とする浸水抑制構造。
【請求項3】
請求項2に記載の浸水抑制構造において、上記切替部は、上記空気取入部を閉鎖する方向に上記蓋部材を揺動自在に支持されており、上記蓋部材は、重力による降下状態で上記空気取入部を開放する一方、水位上昇で浮力を得て上方に揺動した状態で上記空気取入部を閉鎖することを特徴とする浸水抑制構造。
【請求項4】
請求項2に記載の浸水抑制構造において、上記切替部は、上記蓋部材を水の浮力で鉛直上昇させるように支持しており、上記蓋部材は、重力による降下状態で上記空気取入部を開放する一方、水位上昇で浮力を得て上昇した状態で上記空気取入部を閉鎖することを特徴とする浸水抑制構造。
【請求項5】
請求項1に記載の浸水抑制構造において、上記切替部は、上記蓋部材を可動に支持しており、手動による上記蓋部材の操作によって上記空気取入部に対する開放と閉鎖を切り替えることを特徴とする浸水抑制構造。
【請求項6】
請求項1に記載の浸水抑制構造において、上記切替部は、上記蓋部材を可動に支持しており、上記蓋部材を駆動する、人によって操作されるアクチュエータで、上記空気取入部に対する開放と閉鎖の切り替えることを特徴とする浸水抑制構造。
【請求項7】
請求項1に記載の浸水抑制構造において、上記蓋部材および上記切替部を兼ねる空気で膨らむ柔軟膨張部材を備え、上記空気取入部に対する上記柔軟膨張部材による開放と閉鎖の切り替えが、上記柔軟膨張部材を駆動する空気供給源に対する人の操作で実行されることを特徴とする浸水抑制構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洪水等による外壁パネルの通気層内への浸水を抑制する浸水抑制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外壁パネルが通気層を有しており、外壁パネルの下端から外気を上記通気層に導入する構造が開示されている。しかしながら、このような構造では、洪水によって水位が上昇すると、上記通気層内に水が浸入する可能性がある。
【0003】
従来、建物の基礎側からの浸水を防止するために、防水シートを、建物の基礎側周囲に巻き付けることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-206889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記防水シートによる建物内への浸水抑制では、この防水シートを保管する保管スペースが必要になるという問題があった。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、保管スペースを必要としない浸水抑制構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の浸水抑制構造は、外壁パネルの屋内側の下部側に設けられた空気取入部と、上記空気取入部を開閉する蓋部材と、上記空気取入部に対する上記蓋部材の開放による空気取入許容と上記空気取入部に対する上記蓋部材の閉鎖による上記空気取入部への水の浸入抑制とを切り替える切替部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、上記蓋部材および上記切替部は、外壁パネルの下部側に収まることができるため、防水シートを使用する場合の保管スペースの問題を解消することができる。
【0009】
上記切替部は、上記蓋部材を可動に支持しており、上記空気取入部の空気取入許容と上記空気取入部への水の浸入抑制の切り替えが、水位上昇による上記蓋部材の上昇動作によって自動実行されてもよい。これによれば、上記蓋部材に対する人の操作を不要にできる。
【0010】
上記切替部は、上記空気取入部を閉鎖する方向に上記蓋部材を揺動自在に支持されており、上記蓋部材は、重力による降下状態で上記空気取入部を開放する一方、水位上昇で浮力を得て上方に揺動した状態で上記空気取入部を閉鎖してもよい。
【0011】
或いは、上記切替部は、上記蓋部材を水の浮力で鉛直上昇させるように支持しており、上記蓋部材は、重力による降下状態で上記空気取入部を開放する一方、水位上昇で浮力を得て上昇した状態で上記空気取入部を閉鎖してもよい。
【0012】
或いは、上記切替部は、上記蓋部材を可動に支持しており、手動による上記蓋部材の操作によって上記空気取入部に対する開放と閉鎖を切り替えてもよい。手動での蓋部材の操作となるものの、従来の防水シートを建物の建物周囲に巻き付ける作業に比べれば、作業負担は軽減される。
【0013】
或いは、上記切替部は、上記蓋部材を可動に支持しており、上記蓋部材を駆動する、人によって操作されるアクチュエータで、上記空気取入部に対する開放と閉鎖の切り替えてもよい。これによれば、手動で上記蓋部材を操作する必要がなく、例えば、スイッチ操作等で上記蓋部材を蓋として機能させることができる。
【0014】
或いは、上記蓋部材および上記切替部を兼ねる空気で膨らむ柔軟膨張部材を備え、上記空気取入部に対する上記柔軟膨張部材による開放と閉鎖の切り替えが、上記柔軟膨張部材を駆動する空気供給源に対する人の操作で実行されてもよい。これによれば、柔軟膨張部材を空気供給源であるエアポンプ等の操作で膨らませることで浸水抑制が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明であれば、止水シートの保管スペースを不要にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の浸水抑制構造を示した説明図である。
図2】本発明の他の実施形態の浸水抑制構造を示した説明図である。
図3】本発明の他の実施形態の浸水抑制構造を示した説明図である。
図4】本発明の他の実施形態の浸水抑制構造を示した説明図である。
図5】本発明の他の実施形態の浸水抑制構造を示した説明図である。
図6】本発明の実施形態の浸水抑制構造の配置例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態1)
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態の浸水抑制構造100は、1階の外壁パネル1の外装材11における下部の裏面側に長尺の換気スリット部材20を有する空気取入部2と、上記空気取入部2を開閉する蓋部材3と、上記空気取入部2に対する上記蓋部材3の開放による空気取入許容と上記空気取入部2に対する上記蓋部材3の閉鎖による上記空気取入部2への水の浸入抑制とを切り替える切替支持部(切替部)4とを備える。
【0018】
上記外壁パネル1は、例えば、フレーム材12と、このフレーム材12の屋外側に設けられたグラスウールボード13と、このグラスウールボード13の屋外側に通気層を介して設けられた上記外装材11と、上記フレーム材12内に設けられたグラスウール14とを備える。そして、上記換気スリット部材20を取り付けるための取付部材6が、上記フレーム材12の下面側に螺子61によって固定されている。
【0019】
上記取付部材6は、下側が開放された形状を有しており、その内壁面側には係止爪62が形成されている。また、上記換気スリット部材20の鋼製の本体部も下側が開放された形状を有しており、その外側面には上記係止爪62に係合する弾性爪21が形成されている。上記換気スリット部材20の本体部を上記取付部材6に下側から差し込むことで、上記弾性爪21が上記係止爪62に係合し、上記換気スリット部材20が上記取付部材6に取り付けられる。
【0020】
また、上記換気スリット部材20の屋内側垂下部22と基礎5の側面との間には、シール材51が設けられている。そして、上記換気スリット部材20の屋外側垂下部23には、通気のためのスリット部(メッシュ付き)が形成されており、上記外壁パネル1の通気層と外気との間で通気が行われるようになっている。また、上記屋外側垂下部23の下部側は、屋外側に略水平に延びた先端側で下がる下げ箇所24が形成されている。
【0021】
上記切替支持部4は、上記下げ箇所24に留め付けられた壁側部材41と、この壁側部材41の鉛直面部に留め付けられた隠し部材42と、上記屋内側垂下部22留め付けられた基礎側部材43と、を備える。これら壁側部材41、隠し部材42および基礎側部材43は、基礎延設方向に長い長尺(例えば、1~3m等)の部材である。
【0022】
上記外装材11の下端面と、上記壁側部材41における上側水平面部41aとの間には、シール材15が設けられており、上記基礎側部材43の垂下片43aと基礎5の立上面との間には、シール部材52が設けられている。
【0023】
そして、上記壁側部材41における下側水平面部41bの下面に、外壁面に平行な水平軸44が設けられている。この水平軸44によって、上記蓋部材3は、上記空気取入部2を閉鎖する方向に揺動自在に支持される。なお、水平軸44に限らず、例えば、上記蓋部材3に外壁面に平行に形成した凹溝に、上記下側水平面部41bから垂下させた鉤状部を係合させた簡略な支持構造等でも、上記蓋部材3を、上記空気取入部2を閉鎖する方向に揺動自在に支持することができる。
【0024】
上記基礎側部材43の垂下片43aの上側に位置する水平面部43bの下面および上記下側水平面部41bの下面は、上記蓋部材3が蓋として機能する際に、当該蓋部材3の上面と接触する接触面をなす。
【0025】
上記隠し部材42は、上記蓋部材3の屋外側に位置し、当該蓋部材3への風を遮るとともに、当該蓋部材3を目隠しする。また、上記隠し部材42は、当該蓋部材3を、その下端側ほど基礎5側に近づくように斜めに支持している。上記隠し部材42の上下方向長さを図示の上下方向長さよりも長くして、当該隠し部材42の下端を基礎5側にさらに近づけると、虫等の入りを抑制できる。
【0026】
上記蓋部材3の比重は、水の比重よりも小さく、例えば、中実の樹脂部材、中空の樹脂部材、防腐処理された木材等からなる。なお、上記蓋部材3自体の比重が水よりも大きくても、浮力部材を取り付けることで水に浮くことができる。
【0027】
上記蓋部材3は、重力により降下する状態で、上記隠し部材42にて傾斜するように上記水平軸44で支持される。また、上記蓋部材3は、基礎延設方向に長い長尺(例えば、1~3m等)の部材であり、隣り合う蓋部材3間は、隙間が生じないように、テープや継手状部材によって塞がれる。なお、隣り合う蓋部材3を連結せず、これらの端同士が段状に重なるようにすることで、隙間が形成され難くなっていてもよい。
【0028】
上記の浸水抑制構造100であれば、上記蓋部材3および上記切替支持部4は外壁パネル1の下部側に収まることができるため、防水シートを使用する場合の保管スペースの問題を解消することができる。
【0029】
また、上記の構成であれば、上記蓋部材3は上記切替支持部4の水平軸44によって揺動自在に支持され、上記空気取入部2の空気取入許容と上記空気取入部2への水の浸入抑制の切り替えが、水位上昇による上記蓋部材3の上昇動作によって自動実行される。このため、上記蓋部材3を人の手で操作する作業を不要にできる。
【0030】
上記蓋部材3が重力により上記水平軸44から斜めに降下されていると、水位上昇で浮力を得て上記水平軸44を中心に揺動動作することが容易になる。
【0031】
上記蓋部材3の屋外側に配置された隠し部材42によって上記蓋部材3が隠されていると、上記蓋部材3の風による揺れ動きが軽減され、また、基礎外周部の美観も向上できる。
【0032】
なお、図6に示すように、建物1000の周囲に複数の浸水抑制構造100を配置できる。各浸水抑制構造100の端部は、建物1000の出隅1001や入隅1002の近傍箇所に位置し、水が浸入しないように封止される。建物1000の出隅1001や入隅1002に浸水抑制構造100を配置できない場合、出隅1001や入隅1002の空気取入部2には、固定的に蓋を設けておいてもよい。以下の実施形態における浸水抑制構造101,102,103,104においても同様である。
【0033】
(実施形態2)
次に、他の実施形態を、図2に基づいて説明する。実施形態1と共通の部材には共通の符号を付記している。この実施形態の浸水抑制構造101は、上記換気スリット部材20を有する空気取入部2と、上記空気取入部2を開閉する蓋部材3と、上記空気取入部2に対する上記蓋部材3の開放による空気取入許容と上記空気取入部2に対する上記蓋部材3の閉鎖による上記空気取入部2への水の浸入抑制とを切り替える切替支持部(切替部)4Aとを備える。
【0034】
上記切替支持部4Aは、上記下げ箇所24に留め付けられた壁側部材401と、上記屋内側垂下部22留め付けられた基礎側部材403と、を備える。これら壁側部材401、基礎側部材403は、基礎延設方向に長い長尺(例えば、1~3m等)の部材である。
【0035】
上記壁側部材401は、上側水平面部401aと、下側水平面部401bと、これら水平面部401a・401bの屋外側に位置し、上記下側水平面部401bの下側に延びて屋外側に傾斜する壁部401cと、を備える。
【0036】
上記基礎側部材403は、基礎5の立上面に対向する垂下片403aと、上記垂下片403aの上側に位置する上側水平面部403bと、上記垂下片403aの下側に位置する底面部403cと、この底面部403cの屋外側端で立ち上がる立上面部403dと、を有している。なお、底面部403cには、洪水時に上昇する水が入り込むスリット等が一定間隔で形成されており、下から来る当該水が蓋部材3の下面に均等に作用し、蓋部材3が極力水平に上昇できるようにしてある。
【0037】
上記切替支持部4Aは、上記蓋部材3を、水の浮力で上昇させるように収容しており、上記蓋部材3は、重力による降下状態で上記空気取入部2の空気の取り入れを許容する一方、水位上昇で浮力を得て上昇した状態で蓋として機能して上記空気取入部2への水の浸入を抑制する。
【0038】
上記外装材11の下端面と、上記壁側部材401における上側水平面部401aとの間には、シール材15が設けられており、上記基礎側部材403の底面部403cと基礎5の立上面との間には、シール部材52が設けられている。
【0039】
上記上側水平面部403bの下面および上記下側水平面部401bの下面は、上記蓋部材3が蓋として機能する際に、当該蓋部材3の上面と接触する接触面をなす。
【0040】
上記蓋部材3は、基礎延設方向に長い長尺(例えば、1~3m等)の部材であり、隣り合う蓋部材3間は、隙間が生じないように、例えば、テープや継手状部材によって塞がれる。なお、上記蓋部材3と切替支持部4を、例えば、1~3m程度の長さでユニット化してもよく、このユニットの構成であれば、隣り合う蓋部材3同士を接続する必要は特にない。また、隣り合うユニット同士の接続は、シール部材等で接続してもよい。
【0041】
(実施形態3)
次に、他の実施形態を、図3に基づいて説明する。実施形態1と共通の部材には共通の符号を付記している。この実施形態の浸水抑制構造102は、上記換気スリット部材20を有する空気取入部2と、上記空気取入部2を開閉する蓋部材3Aと、上記空気取入部2に対する上記蓋部材3の開放による空気取入許容と上記空気取入部2に対する上記蓋部材3の閉鎖による上記空気取入部2への水の浸入抑制とを切り替える切替支持部(切替部)4Bとを備える。
【0042】
上記切替支持部4Bは、上記下げ箇所24に留め付けられた壁側部材45と、上記屋内側垂下部22に留め付けられた基礎側部材43と、を備える。これら壁側部材45および基礎側部材43は、磁石が吸着する金属板からなる。
【0043】
上記壁側部材45は、上側水平面部45aと、下側水平面部45bとを備える。上記下側水平面部45bの下面に、外壁面に平行な水平軸44が設けられている。この水平軸44によって、上記蓋部材3Aが揺動自在に支持される。なお、実施形態1と同様、水平軸44に替えて、上記蓋部材3に外壁面に平行に形成した凹溝に、上記下側水平面部41bから垂下させた鉤状部を係合させた簡略な支持構造等によって、上記蓋部材3を、上記空気取入部2を閉鎖する方向に揺動自在に支持することができる。上記水平面部43bの下面および上記下側水平面部45bの下面は、上記蓋部材3Aが蓋として機能する際に、当該蓋部材3Aの上面と接触する接触面をなす。
【0044】
上記切替支持部4Bでは、上記空気取入部2の空気取入許容と上記空気取入部2への水の浸入抑制の切り替えが、上記蓋部材3Aに対する手動操作によって実行される。在宅者は、浸水が予想されるときに上記手動操作を行う。この作業は、従来の防水シートを建物の基礎側周囲に巻き付ける作業に比べれば、作業負担は大幅に軽減される。
【0045】
上記蓋部材3Aは、例えば、金属板、或いは樹脂板等からなり、特に水に浮く必要はない。そして、上記水平面部43bの下面および上記下側水平面部45bの下面に接することになる上記蓋部材3Aの上面箇所には、テープ磁石が貼付されており、上記蓋部材3Aを手で持ち上げて揺動させた際に、当該蓋部材3Aが、上記壁側部材45および基礎側部材43に磁力で吸着固定される。
【0046】
上記磁力固定に限らず、例えば、上記基礎側部材43の垂下片43a等に回動係止片を設けておき、水平回動によって当該回動係止片を蓋部材3Aの下に位置させて、当該蓋部材3Aを下支えするようにしてもよい。また、上記蓋部材3Aを上記水平面部43bの下面側に配置して当該蓋部材3Aを揺動自在に支持してもよい。また、この実施では、水が引いたら、手動で蓋部材3Aを上記水平面部43bの下面および上記下側水平面部45bの下面から離脱させる作業を行う。
【0047】
(実施形態4)
次に、他の実施形態を、図4に基づいて説明する。実施形態1と共通の部材には共通の符号を付記している。この実施形態の浸水抑制構造103は、上記換気スリット部材20を有する空気取入部2と、上記空気取入部2を開閉する蓋部材3Bと、上記空気取入部2に対する上記蓋部材3の開放による空気取入許容と上記空気取入部2に対する上記蓋部材3の閉鎖による上記空気取入部2への水の浸入抑制とを切り替える切替支持部(切替部)4Cとを備える。
【0048】
実施形態1との相違点を主に説明すると、上記蓋部材3Bは、水による浮力で上昇するのではなく、アクチュエータである柔軟部材46の膨らみによって上昇して蓋として機能し、上記空気取入部2への水の浸入を抑制する。上記柔軟部材46は、例えば、図示しないエアポンプや空気供給ボンベ等から空気を送り込まれて膨らむことができる。この柔軟部材46としては、畳まれて巻かれた状態で市販される送水ホースを利用することができる。すなわち、扁平な柔軟部材46の片面を隠し部材42に接着し、この上に上記蓋部材3Bを配置する。
【0049】
浸水が予想されるときには、在宅者が上記エアポンプ等のスイッチをオンするか、或いは、遠隔操作で上記スイッチをオンすればよいので、手動で上記蓋部材3Bを操作する必要がない。スイッチオンによって柔軟部材46が膨らむと、その膨張圧力によって、上記蓋部材3Bが上記水平面部43bの下面および上記下側水平面部41bの下面に押圧されるので、上記空気取入部2への水の浸入が抑制される。水が引いたら、上記スイッチをオフする。このオフ操作によって空気が抜けて上記柔軟部材46が縮むと、上記蓋部材3Bが降下し、上記空気取入部2の空気取入が許容される。
【0050】
なお、アクチュエータは、柔軟部材46に限らず、エアシリンダー等でもよい。また、複数の浸水抑制構造103における柔軟部材46に対して個別にエアチューブを配管してエアポンプ等から個別に空気を送り込んでもよいし、隣り合う浸水抑制構造103の柔軟部材46同士をエアチューブで連結してもよい。
【0051】
(実施形態5)
次に、他の実施形態を、図5に基づいて説明する。実施形態1と共通の部材には共通の符号を付記している。この実施形態の浸水抑制構造104は、上記換気スリット部材20を有する空気取入部2と、上記空気取入部2に対して蓋として機能する蓋部材および上記空気取入部2の空気取入許容と上記空気取入部2への水の浸入抑制とを切り替える切替部を兼ねる柔軟膨張部材4Dを備える。
【0052】
柔軟膨張部材4Dは、図示しない空気供給源(エアポンプ等)から空気を送り込まれて膨らむ。この柔軟膨張部材4Dとしては、上記送水ホースを利用できる。例えば、扁平な柔軟膨張部材4Dの片面は、上記換気スリット部材20の屋内側垂下部22に接着固定される。この実施形態では、実施形態1における切替支持部4は不要である。
【0053】
浸水が予想されるときには、在宅者が上記エアポンプ等のスイッチをオンするか、或いは、遠隔操作で上記スイッチをオンすればよいので、手動で上記蓋部材3Bを操作する必要がない。また、上記柔軟膨張部材4Dが膨らむと、柔軟膨張部材4Dが上記換気スリット部材20に圧接し、水が上記換気スリット部材20から通気層側に入り込めないようになる。水が引いたら、上記エアポンプの駆動を停止する。この停止操作によって、空気が抜けて上記柔軟膨張部材4Dが縮むと、上記空気取入部2の空気取入が許容される。なお、柔軟膨張部材4Dの表面に、シール性が高い表面素材を設けておき、柔軟膨張部材4Dの膨張時に上記換気スリット部材20の下部を上記表面素材で蓋をするようにしてもよい。また、複数の浸水抑制構造104の柔軟膨張部材4Dに対して個別にエアチューブを配管をしてエアポンプ等から空気を送り込んでもよいし、隣り合う浸水抑制構造104の柔軟膨張部材4D同士をエアチューブで連結してもよい。
【0054】
なお、これらの実施形態では、既存の家屋に後付けで浸水抑制構造を設けることができる構成例を示したが、新築対応とする場合は、換気スリット部材20と一体化した浸水抑制構造とすることもできる。
【0055】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 :外壁パネル
2 :空気取入部
3 :蓋部材
3A :蓋部材
3B :蓋部材
4 :切替支持部
4A :切替支持部
4B :切替支持部
4D :柔軟膨張部材
5 :基礎
6 :取付部材
11 :外装材
12 :フレーム材
13 :グラスウールボード
14 :グラスウール
15 :シール材
20 :換気スリット部材
21 :弾性爪
22 :屋内側垂下部
23 :屋外側垂下部
24 :下げ箇所
41 :壁側部材
41a :上側水平面部
41b :下側水平面部
42 :隠し部材
43 :基礎側部材
43a :垂下片
43b :水平面部
44 :水平軸
45 :壁側部材
45a :上側水平面部
45b :下側水平面部
46 :柔軟部材
51 :シール材
52 :シール部材
61 :螺子
62 :係止爪
100 :浸水抑制構造
101 :浸水抑制構造
102 :浸水抑制構造
103 :浸水抑制構造
104 :浸水抑制構造
401 :壁側部材
401a :上側水平面部
401b :下側水平面部
401c :壁部
403 :基礎側部材
403a :垂下片
403b :上側水平面部
403c :底面部
403d :立上面部
1000 :建物
1001 :出隅
1002 :入隅
図1
図2
図3
図4
図5
図6