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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056094
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】成形樹脂塊の圧縮分割機
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/04 20060101AFI20220401BHJP
   B26F 1/40 20060101ALI20220401BHJP
   B26D 1/06 20060101ALI20220401BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B29B17/04 ZAB
B26F1/40 A
B26D1/06 Z
B26D7/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163898
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】394008271
【氏名又は名称】日本シーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】特許業務法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 理也
(72)【発明者】
【氏名】稲川 悠
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
3C060
4F401
【Fターム(参考)】
3C021FA00
3C027HH03
3C027HH05
3C027HH17
3C060AA04
3C060BA03
3C060BB08
3C060BC02
3C060BD01
3C060BE09
3C060BG17
4F401AA29
4F401AC10
4F401AC11
4F401AC12
4F401BA13
4F401CA06
4F401CA13
(57)【要約】
【課題】成形樹脂塊の圧縮と分割を同時処理することで、成形加工工程で副産物的に発生する成形樹脂塊を迅速かつ容易に扁平にすると共に、複数に分割して小さくでき、その後容易に取り扱うことができ、例えば処理後の成形樹脂塊mを小型の粉砕機でも処理できる。
【解決手段】水平状態と傾斜状態に可変自在に取り付けられた、成形樹脂塊mを載せる樹脂塊載置板2が設けられた装置本体5と、装置本体5内で、往復動機構4により昇降し、樹脂塊載置板2上の成形樹脂塊mを押し潰すプレス板3と、プレス板3の下面に取り付けられた、成形樹脂塊mを分割する分割刃21と、圧縮の際にプレス板3に張り付いた成形樹脂塊mを押し落とす落とし具22と、を備えた。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂の成形樹脂塊(m)を圧縮し、分割する成形樹脂塊の圧縮分割機(1)であって、
投入扉(7)が側面の一部に設けられ、底面が開放された筺体(6)と、該筺体(6)の底面の開放位置に、成形樹脂塊(m)を載せる樹脂塊載置板(2)が水平状態と傾斜状態に可変自在に取り付けられた装置本体(5)と、
前記樹脂塊載置板(2)を、水平状態から傾斜状態に可変させる傾斜駆動機構(16)と、
前記装置本体(5)内で往復動機構(4)により上下動し、前記樹脂塊載置板(2)上の成形樹脂塊(m)を押し潰すプレス板(3)と、
前記プレス板(3)の下面に取り付けられた、成形樹脂塊(m)を分割する分割刃(21)と、を備え、
前記樹脂塊載置板(2)は、前記筺体(6)内において、前記傾斜駆動機構(16)を操作して成形樹脂塊(m)を押し潰す際の水平状態から、押し潰した成形樹脂塊(m)を取り出す際に傾斜状態になり、成形樹脂塊(m)を前記筺体(6)の下方へ滑り落として排出させるように構成された、ことを特徴とする成形樹脂塊の圧縮分割機。
【請求項2】
前記プレス板(3)に上下方向に開けた貫通孔(23)に、上下端に抜け止め(24,25)を有する軸(26)を上下動するように取り付け、該プレス板(3)が前記筺体(6)の天板に近づいた際に、上側抜け止め(24)が該天板に当たり、下側抜け止め(25)が該プレス板(3)から下方へ突出して、該プレス板(3)に張り付いた成形樹脂塊(m)を押し落とす落とし具(22)を、更に備えた、ことを特徴とする請求項1に記載の成形樹脂塊の圧縮分割機。
【請求項3】
前記分割刃(21)は、前記プレス板(3)の下面に十字形状に設けられ、かつそれぞれの分割刃(21)の間に落とし具(22)を配置された、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の成形樹脂塊の圧縮分割機。
【請求項4】
前記装置本体(5)の下方に、分割された成形樹脂塊(m)を捕集する受け箱(11)が、移動可能に配置された、ことを特徴とする請求項1、2又は3の何れか1項に記載の成形樹脂塊の圧縮分割機。
【請求項5】
前記往復動機構(4)は、シリンダー・ピストン(8)と、エアコンプレッサーの圧縮空気の吐出向きを切り替える切替ハンドルとから成る、ことを特徴とする請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載の成形樹脂塊の圧縮分割機。
【請求項6】
前記往復動機構(4)に、前記筺体(6)の投入扉(7)が閉じているときのみに前記プレス板(3)を上下動させる安全装置を具備した、ことを特徴とする請求項1,2,3、4又は5の何れか1項に記載の成形樹脂塊の圧縮分割機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製品の成形加工時に生じる合成樹脂材塊、又は廃棄された合成樹脂製品について再利用する際に、合成樹脂を熱処理により塊にした成形樹脂塊を圧縮し、分割する成形樹脂塊の圧縮分割機に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製品を製造する際に生じる合成樹脂材片、あるいは廃棄されたペットボトル、使い捨てのプラスチック容器、プラスチック製品等の廃プラスチック類は再利用される。これらの合成樹脂を再利用する際に、図16の写真に示すような合成樹脂を熱処理により塊にし、この成形樹脂塊は、その後粉砕機で粉砕して再利用しやすくしている。
【0003】
そこで、合成樹脂を再利用するための処理技術が多数提案されている。例えば、特許文献1の特開2005-74899号公報「廃プラスチック処理装置」には、上面に供給された溶融状態の廃プラスチックを冷却する冷却テーブルと、前記冷却テーブルと対向して配置され、前記冷却テーブルとの間に搬送された前記廃プラスチックを前記冷却テーブルと協働して成形する成形ロールと、前記成形ロールよりも前記搬送方向下流側に配置され、前記成形後の廃プラスチックを切断するカッタと、前記カッタの近傍に配置され、前記成形後の廃プラスチック及び前記カッタの刃面に送風して冷却する冷却送風機と、を備えた廃プラスチック処理装置が提案されている。
【0004】
また、特開平9-300353号公報「廃プラスチック再生装置」には、廃プラスチック材を破砕する破砕手段と、破砕した廃プラスチック材を洗浄する洗浄手段と、洗浄した廃プラスチック材を圧縮する圧縮手段と、圧縮した状態で廃プラスチック材を加熱溶融する加熱手段と、を備えてなる廃プラスチック再生装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-74899号公報
【特許文献2】特開平9-300353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
合成樹脂製品の成形加工工程で副産物的に発生し、まだ熱を保持している成形樹脂塊は、そのままの塊の状態ではなくその後冷却して粉砕機で粉砕する必要がある。これは合成樹脂の原材料の貯蔵と運搬などを容易に取り扱えるようにするためである。そこで、一旦成形樹脂塊にしたものを粉砕機で粉砕するが、ある程度の厚みを有する成形樹脂塊にしたものは、大型の粉砕機では処理できるが、小型の粉砕機では粉砕できないという問題を有していた。
【0007】
特許文献1の廃プラスチック処理装置は、廃プラスチックを容易に処理することができるが、冷却テーブル、成形ロール、カッタ、このカッタの刃面を冷却する冷却送風機とから成り装置全体が大掛かりなものである。小規模な処理施設で生じる少量の合成樹脂材の処理に適さないものである。
また、特許文献2の廃プラスチック再生装置は、合成樹脂を熱処理してある程度の厚みを有する成形樹脂塊については容易に破砕できないという問題を有していた。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、成形樹脂塊の圧縮と分割を同時処理することで、成形加工工程で副産物的に発生する成形樹脂塊を迅速かつ容易に扁平にすると共に、複数に分割して小さくでき、その後容易に取り扱うことができ、例えば処理後の成形樹脂塊mを小型の粉砕機でも処理できる成形樹脂塊の圧縮分割機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、合成樹脂の成形樹脂塊(m)を圧縮し、分割する成形樹脂塊の圧縮分割機(1)であって、
投入扉(7)が側面の一部に設けられ、底面が開放された筺体(6)と、該筺体(6)の底面の開放位置に、成形樹脂塊(m)を載せる樹脂塊載置板(2)が水平状態と傾斜状態に可変自在に取り付けられた装置本体(5)と、
前記樹脂塊載置板(2)を、水平状態から傾斜状態に可変させる傾斜駆動機構(16)と、
前記装置本体(5)内で往復動機構(4)により上下動し、前記樹脂塊載置板(2)上の成形樹脂塊(m)を押し潰すプレス板(3)と、
前記プレス板(3)の下面に取り付けられた、成形樹脂塊(m)を分割する分割刃(21)と、を備え、
前記樹脂塊載置板(2)は、前記筺体(6)内において、前記傾斜駆動機構(16)を操作して成形樹脂塊(m)を押し潰す際の水平状態から、押し潰した成形樹脂塊(m)を取り出す際に傾斜状態になり、成形樹脂塊(m)を前記筺体(6)の下方へ滑り落として排出させるように構成された、ことを特徴とする。
前記プレス板(3)に上下方向に開けた貫通孔(23)に、上下端に抜け止め(24,25)を有する軸(26)を上下動するように取り付け、該プレス板(3)が前記筺体(6)の天板に近づいた際に、上側抜け止め(24)が該天板に当たり、下側抜け止め(25)が該プレス板(3)から下方へ突出して、該プレス板(3)に張り付いた成形樹脂塊(m)を押し落とす落とし具(22)を、更に備えたものである。
【0010】
前記分割刃(21)は、前記プレス板(3)の下面に十字形状に設けられ、かつそれぞれの分割刃(21)の間に落とし具(22)を配置されたものである。
前記装置本体(5)の下方に、分割された成形樹脂塊(m)を捕集する受け箱(11)が、移動可能に配置されたものである。
前記往復動機構(4)は、シリンダー・ピストン(8)と、エアコンプレッサーの圧縮空気の吐出向きを切り替える切替ハンドルとから成るものである。
前記往復動機構(4)に、前記筺体(6)の投入扉(7)が閉じているときのみに前記プレス板(3)を上下動させる安全装置を具備したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、装置本体(5)に水平状態と傾斜状態に可変自在に取り付けられた樹脂塊載置板(2)を水平状態に維持した樹脂塊載置板(2)に、熱処理により可塑性がある状態の成形樹脂塊(m)を載せる。この成形樹脂塊(m)に上方からプレス板(3)を往復動機構(4)により下降させ、このプレス板(3)で成形樹脂塊(m)を扁平に押し潰すと同時に、分割刃(21)で複数の成形樹脂塊(m)に分割する。
その後、プレス板(3)を上昇させると成形樹脂塊(m)は樹脂塊載置板(2)に落下する。この樹脂塊載置板(2)は、傾斜駆動機構(16)を操作して、水平状態から傾斜状態にして、成形樹脂塊(m)を滑り落として装置本体(5)の下方から排出させる。
その後装置本体(5)から取り出し冷却することで、成形樹脂塊(m)を薄く小さくできる。小型の粉砕機でも粉砕処理が可能となる。粉砕処理したチップ状、フレーク状にした合成樹脂は、その運搬、貯蔵などが容易に取り扱えるようになる。大がかりな設備のない処理施設でも、貴重な合成樹脂原料をチップ状、フレーク状に粉砕することにより、付加価値のある材料にすることができる。
【0012】
プレス板(3)で成形樹脂塊(m)を扁平に押し潰す際に、プレス板(3)に成形樹脂塊(m)が張り付くことがあり、成形樹脂塊(m)が上昇するプレス板(3)と共に上昇することがある。このプレス板(3)が筺体(6)天板の突起(27)に近づいた際に、落とし具(22)の上側抜け止め(24)がこの天板の突起(27)に当たり、落とし具(22)の下側抜け止め(25)がプレス板(3)下面から突出して張り付いた成形樹脂塊(m)を剥がすことができる。
【0013】
十字形状の分割刃(21)を設けたプレス板(3)では、この分割刃(21)により成形樹脂塊(m)を4個の扁平の成形樹脂塊(m)にすることができる。
【0014】
前記装置本体(5)に分割された成形樹脂塊(m)を樹脂塊載置板(2)上に落とされた成形樹脂塊(m)を、この樹脂塊載置板(2)を傾斜状態にして滑り押して受け箱(11)に捕集することができる。
【0015】
シリンダー・ピストン(ロッド)(8)と切替ハンドルとから成る往復動機構(4)は、エアコンプレッサーの圧縮空気を利用することができ、コンプレッサーを設置している工場での操業に適している。
安全装置を具備したものでは、往復動機構(4)が筺体(6)の投入扉(7)が閉じているときのみにプレス板(3)は昇降しないので、成形樹脂塊(m)を載せた樹脂塊載置板(2)を装置本体(5)内に入れる際にはプレス板(3)が不用意に下降せず、作業中の事故を防止できる。また、圧縮後の成形樹脂塊(m)を取り出す際にもプレス板(3)が不用意に昇降しないので安全に取り出し作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1の成形樹脂塊の圧縮分割機を示す正面図である。
図2】実施例1の成形樹脂塊の圧縮分割機の投入扉を開けている状態を示す正面図である。
図3】圧縮分割機の内部を示す図2A-A線断面図である。
図4】プレス板を示す拡大底面図である。
図5】プレス板に取り付けた分割刃を示す部分拡大正面図である。
図6】プレス板に備えた落とし具を示す拡大正断面図である。
図7】装置本体の筐体内の状態を示す正面図であり、(a)は樹脂塊載置板が水平の状態、(b)はプレス板が成形樹脂塊を押しつぶしている状態、(c)はプレス板が上昇している状態、(d)は落とし具でプレス板から成形樹脂塊を外している状態、(e)は樹脂塊載置板が傾斜した状態である。
図8】落とし具の動作状態を示す説明拡大断面図であり、(a)はプレス板に合成樹脂塊が張り付いた状態、(b)はプレス板を上昇させている状態、(c)は落とし具で合成樹脂塊を押し落とす状態である。
図9】装置本体内におけるプレス板と樹脂塊載置板との状態を示す側断面図であり、(a)はプレス板を上昇させている状態、(b)はプレス板を下降させている状態である。
図10】圧縮、分割する工程を示す概略説明図であり、(a)は水平状態の樹脂塊載置板上において合成樹脂塊をプレス板で押し潰す状態、(b)は潰されて分割された合成樹脂塊の状態、(c)は圧縮直後の合成樹脂塊の状態、(d)は樹脂塊載置板が傾斜した状態、(e)は押し潰した合成樹脂塊をばらばらにした状態、(f)は粉砕機で粉砕処理する状態である。
図11】装置本体内における樹脂塊載置板を示す側断面図であり、(a)は樹脂塊載置板が水平の状態、(b)は樹脂塊載置板が傾斜している状態である。
図12】扁平かつ分割された合成樹脂塊の写真を示す。
図13】プレス板の変形例を示す拡大底面図である。
図14】実施例2の弾性部材を介装した落とし具を示す正面図である。
図15】実施例3のプレス板に備えた落とし具を示す正面図である。
図16】合成樹脂を熱処理により塊にした成形樹脂塊の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の成形樹脂塊の圧縮分割機は、合成樹脂材を熱処理により塊にした成形樹脂塊を圧縮し、分割して小さくし、その後粉砕機で容易に粉砕処理ができるようにする装置である。
【実施例0018】
<圧縮分割機の装置本体の構成>
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は実施例1の成形樹脂塊の圧縮分割機を示す正面図である。図2は実施例1の成形樹脂塊の圧縮分割機の投入扉を開けている状態を示す側面図である。図3は圧縮分割機の内部を示す図2のA-A線断面図である。
実施例1の成形樹脂塊の圧縮分割機1は、成形樹脂塊mを載せる樹脂塊載置板2と、この成形樹脂塊mを押し潰すために上下動するプレス板3と、このプレス板3を上下動させる往復動機構4を装置本体5の上部に備えた装置である。
装置本体5は、筺体6を有し、この筺体6の側面の一部に投入扉7が設けられている。筺体6の底面に相当する位置が開放されており、ここに樹脂塊載置板2が配置されている。特に、この樹脂塊載置板2は水平状態と傾斜状態に可変自在に取り付けられている。
【0019】
投入扉7は、成形樹脂塊mを筺体6内に投入する際に開け、押し潰す際に閉じる。稼働中のプレス板3に人が触れないようにして安全性を高めている。この投入扉7には、図1に示すように、筺体6の内部を視認できるように窓を設けることが可能である。
【0020】
装置本体5の上部には、プレス板3を上下動させる往復動機構4を備えている。この往復動機構4は、シリンダー・ピストン(ロッド)8と、エアコンプレッサー(図示していない)の圧縮空気の吐出向きを切り替える切替ハンドルとから成る。シリンダー・ピストン8のロッド8aは、筺体6内の下方へ突出し、このシリンダー・ピストン8のロッド8aの下端にはプレス板3が取り付けられ、プレス板3は筺体6内で上下動する。
【0021】
往復動機構4は、例えば工場に備えられているコンプレッサーのチューブをエア投入口9に接続して使用する。このエア投入口9を切替操作することでシリンダー・ピストン8への圧縮空気の吐出方向を切り替え、シリンダー・ピストン8のロッド8a
の動作方向を切り替えてプレス板3を上下動させる。このプレス板3の往復動機構4による上下動操作はハンドル操作による手動方式と、成形樹脂塊mが.樹脂塊載置板2上に載せたことを感知して自動で駆動させる方式のいずれでも良い。例えば、操作盤のボタンを押すだけで処理が完結するようにすることができる。
なお、コンプレッサーの設備がないときは、例えばモータの駆動によりプレス板3を上下動させることも可能である(図示していない)。プレス板3を上下動させる駆動方式はコンプレッサー、モータなどに限定されない。ギヤ構成、油圧構成などのものを用いることができる。
【0022】
装置本体5の下端に複数のキャスター10を取り付ける。これらのキャスター10により本発明の圧縮分割機1は容易に移動運搬することができる。これらのキャスター10には不用意な回動を阻止するストッパー機能を備えている。据え置き型の場合はこのキャスター10が不要になる。
【0023】
本発明の成形樹脂塊の圧縮分割機1には、樹脂塊載置板2の下方に受け箱11が備えられている。この受け箱11は、プレスされ、分割された成形樹脂塊mを受け入れる箱である。この受け箱11には移動しやすいように、その下部に複数のキャスター12を取り付けられている。この受け箱11は装置本体5の下部において容易に出し入れしやすいようになっている。図3に示すように、傾斜した樹脂塊載置板2の下辺が当たらないように装置本体5の下部位置において出入できるようになっている。
【0024】
<樹脂塊載置板の構成>
樹脂塊載置板2は、図3の断面図に示すように、成形樹脂塊mを載せる板材であり、筺体6の下部において装置本体5に水平状態と傾斜状態に可変自在に取り付けられている。この樹脂塊載置板2は、装置本体5内に2か所取り付けられた軸受13間に掛け渡された回動軸14で回動自在に支持されている。この回動軸14部分で、樹脂塊載置板2は水平状態と傾斜状態に可変できる。樹脂塊載置板2の一辺がこの回動軸14に支持され、その他辺が水平状態から、下方へ大きく傾斜するようになる。これは、圧縮分割した成形樹脂塊mを滑り落としやすくするためである。また、樹脂塊載置板2には、これが傾斜する方向に沿った両側に縁2aが立ち上がっている。これにより、樹脂塊載置板2が傾斜した際に、圧縮分割した成形樹脂塊mを円滑に滑り落とすことができる。
【0025】
この樹脂塊載置板2について水平状態と傾斜状態との可変は、傾斜駆動機構15により行う。傾斜駆動機構15は、樹脂塊載置板2の回動軸14の一端に取り付けられたレバー16と、このレバー16の他端を上下動させるシリンダー・ピストン(ロッド)17から成る。このレバー16は、樹脂塊載置板2の面方向と平行方向ではなく、図11(a)と(b)に示すように、樹脂塊載置板2の面方向に対して所定の角度を有して取り付けられている。レバー16の他端に、シリンダー・ピストン(ロッド)17の先端が可動自在に取り付けられている。この樹脂塊載置板2の傾斜駆動機構15による可変操作は、ハンドル操作により可変させる手動方式と、成形樹脂塊mが.樹脂塊載置板2上において圧縮、分割処理されたら、所定時間の経過後に自動で可変させる方式のいずれでも良い。例えば、操作盤のボタンを押すだけで処理が完結するようにすることができる。
【0026】
図示例のシリンダー・ピストン(ロッド)17は、圧縮空気により駆動する。このシリンダー・ピストン(ロッド)17の後端部は、例えば装置本体5を構成するアングルに取り付け、その先端部を樹脂塊載置板2のレバー16に取り付けたものである。このレバー16とシリンダー・ピストン(ロッド)17は、図3の断面図に示すように装置本体5の外部に設けられている。これは安全面を考慮してカバー18で覆われている。
【0027】
傾斜駆動機構15のシリンダー・ピストン(ロッド)17は、例えば工場に備えられているコンプレッサーのチューブを傾斜切替ハンドルに接続して使用する。この傾斜切替ハンドルを切替操作することでシリンダー・ピストン17への圧縮空気の吐出方向を切り替え、シリンダー・ピストン17の動作方向を切り替えて樹脂塊載置板2について水平状態と傾斜状態とを切替える。
【0028】
<プレス板の構成>
図4はプレス板を示す拡大底面図である。図5はプレス板に取り付けた分割刃を示す部分拡大正面図である。
プレス板3は、装置本体5の筺体6内で、往復動機構4により上下動し、樹脂塊載置板2上の成形樹脂塊mを押し潰す四角形状の板材である。図4に示すように、プレス板3周囲にガイド部材19を3辺に備えている。このガイド部材19は筺体6内に上下方向に数本設けたレール20にそれぞれ係合させ、プレス板3を円滑に上下動させる機能を有する(図3参照)。なお、投入扉7側には構造上レール20を設けることができない。これらのガイド部材19とレール20は、圧縮しているプレス板3が傾斜した状態にならないようにするものである。成形樹脂塊mが変形した不定形の形状を有するため、プレス板3とピストン・ロッド8との接続部に無理な荷重が掛かかることがあるからである。
【0029】
プレス板3には、その下面に4本の分割刃21を十字形状に設けている。この分割刃21により成形樹脂塊mを扁平に押し潰すと同時に複数に分割することができる。分割刃21は、図5に示すように横断面形状がL字形状を有し、下方へ向いた凸条が刃としての機能を奏する。この分割刃21はプレス板3にねじ止めにより交換自在に取り付ける。図示例では、4本の分割刃21を十字形状に配置した例を示しているが、この4本の分割刃21は十字形状の配置に限定されない。例えば、6本の分割刃21を放射状に配置して成形樹脂塊mを6片に分割することも可能であり、分割刃21の本数は自由に選択することができる。
【0030】
<落とし具の構成>
図6はプレス板に備えた落とし具を示す拡大正断面図である。
プレス板3には落とし具22が設けられている。この落とし具22は、プレス板3に開けた貫通孔23に、上下端に抜け止め24,25を有する軸26を上下動するように取り付けた部材である。上側抜け止め24はナット等を用い、貫通孔23から抜けないようにして落とし具22の落下を防止する部材である。下側抜け止め25は、成形樹脂塊mに直接接触し、更に押圧されるため、この成形樹脂塊m内に刺さらないように、円形状を有し、かつ薄くした部材である。なお、円形状に限定されず、楕円形、六角形状にすることも可能である。
【0031】
<落とし具の動作状態>
図7は装置本体の筐体内の状態を示す正面図であり、(a)は樹脂塊載置板が水平の状態、(b)はプレス板が成形樹脂塊を押しつぶしている状態、(c)はプレス板が上昇している状態、(d)は落とし具でプレス板から成形樹脂塊を外している状態、(e)は樹脂塊載置板が傾斜した状態である。図8は落とし具の動作状態を示す説明拡大断面図であり、(a)はプレス板に合成樹脂塊が張り付いた状態、(b)はプレス板を上昇させている状態、(c)は落とし具で合成樹脂塊を押し落とす状態である。
落とし具22の動作状態を説明する。先ず、図7(a)、(b)に示すように、樹脂塊載置板2を水平の状態に保ち、プレス板3で成形樹脂塊mを押しつぶす。
押し潰された成形樹脂塊mは、プレス板3と下側抜け止め25に張り付く。図7(c)と図8(a)に示すように、この状態でプレス板3を上昇させると、成形樹脂塊mが張り付いたまま上昇する。
【0032】
更に、そのままプレス板3を上昇させると、図7(d)と図8(b)に示すように、プレス板3と共に落とし具22の上側抜け止め24が、筺体6の天板に近づいた際に、上側抜け止め24が筐体6の天板の突起27に当たる。プレス板3を上昇させると、図7(d)と図8(c)に示すように、上側抜け止め24が天板の突起27に当たり、それ以上は上昇できない。その状態ではプレス板3のみが上昇し、相対的に下側抜け止め25がプレス板3から下方へ突出する状態になる。そこで、圧縮の際にプレス板3に張り付いた成形樹脂塊mを押し落とす。このときは分割された成形樹脂塊mが押し落とされる。
【0033】
突起27を設けた理由は、プレス板3の上面にはピストン・ロッド8との接続部材が取り付けられているために、プレス板3の上面がそのままに筺体6の天板に直接当たらず、隙間が形成される。そこで、この接続部材の高さに相当する長さの突起27を天板に取り付けている。また、この突起27は、落とし具22のナット等の上側抜け止め24が筺体6の天板に直接当たることを防止する機能を有する。そこで、この突起27は必ずしも設ける必要はない。
【0034】
図9は装置本体内におけるプレス板と樹脂塊載置板との状態を示す側断面図であり、(a)はプレス板を上昇させている状態、(b)はプレス板を下降させている状態である。
このときは樹脂塊載置板2は、図9(a)と(b)に示すように、傾斜駆動機構15により水平な状態が維持されているので、プレス板3の下降により成形樹脂塊mを扁平に押しつぶすことができる。
【0035】
<樹脂塊載置板と落とし具の動作状態>
図10は圧縮、分割する工程を示す概略説明図であり、(a)は水平状態の樹脂塊載置板上において合成樹脂塊をプレス板で押し潰す状態、(b)は潰されて分割された合成樹脂塊の状態、(c)は圧縮直後の合成樹脂塊の状態、(d)は樹脂塊載置板が傾斜した状態、(e)は押し潰した合成樹脂塊をばらばらにした状態、(f)は粉砕機で粉砕処理する状態である。図11は装置本体内における樹脂塊載置板を示す側断面図であり、(a)は樹脂塊載置板が水平の状態、(b)は樹脂塊載置板が傾斜している状態である。図12は扁平かつ分割された合成樹脂塊の写真を示す。
図10(a)、(b)、(c)と図11(a)に示すように、熱処理により可塑性がある状態の成形樹脂塊mを水平状態の樹脂塊載置板2上に載せ、この成形樹脂塊mに上方からプレス板3を往復動機構4により下降させ、このプレス板3で成形樹脂塊mを扁平に押し潰すと同時に、分割刃21で複数の成形樹脂塊mにする。このときプレス板3に扁平かつ分割された成形樹脂塊mが張り付き、上昇するプレス板3と共に上昇するおそれがある。このプレス板3が筺体6の天板9に近づいた際に、落とし具22の上側抜け止め24が天板9に当たり、落とし具22の下側抜け止め25がプレス板3下面から突出して処理後の成形樹脂塊mを樹脂塊載置板2に押し落とす。
【0036】
次に、図10(d)、(e)と図11(b)に示すように、成形樹脂塊mは樹脂塊載置板2上に落下する。樹脂塊載置板2は傾斜駆動機構15を操作して、成形樹脂塊mを押し潰す際の水平状態から、傾斜状態にする。この傾斜した樹脂塊載置板2を分割された成形樹脂塊mが滑り落ちる。例えば、受け箱11に落下させて捕集する。この樹脂塊載置板2の傾斜と水平に可変する操作は、上述したように手動方式と、自動方式のいずれでも良い。
【0037】
その後装置本体(5)から取り出し冷却することで、小型の粉砕機でも粉砕処理が可能となる。実際の成形樹脂塊mは図12の写真に示すような形状になる。
最後に、図10(f)に示すように、小型の粉砕機で粉砕処理し、チップ状、フレーク状にする。運搬、貯蔵、再利用などが容易に取り扱えるようになる。
【0038】
往復動機構4には、筺体6の投入扉7が閉じているときのみにプレス板3を上下動させる「安全装置」を具備することができる(図示していない)。例えば、投入扉7が閉じているときのみ、コンプレッサーの開閉弁が「開」になり、投入扉7が開いているときは、コンプレッサーの開閉弁が「閉」となり、往復動機構4を可動させないような構成がある。この安全装置により、往復動機構4が筺体6の投入扉7が閉じているときのみプレス板3は昇降するので、投入扉7を開けて成形樹脂塊mを樹脂塊載置板2に載せる際に、即ちに投入扉7が開いているときはプレス板3が不用意に下降せず作業中の事故を防止できる。また、圧縮後の成形樹脂塊mを取り出す際にもプレス板3が昇降しないので安全に取り出し作業ができる。
【0039】
また、往復動機構4が電気による駆動モータの場合は、投入扉7が閉じているときのみ、この駆動モータに通電してプレス板3を上下動させるような構成にすることができる(図示していない)。その他、この安全装置は、投入扉7が閉じているときのみにプレス板3を上下動させる構成であれば種々の構成を採用することができる。
【0040】
<プレス板の変形例>
図13はプレス板の変形例を示す拡大底面図である。
プレス板3は、図13に示すように八角形状の板材にすることもできる。プレス板3の形状は上述した四角形状の板材に限定されず、潰されて面積が広くなっても成形樹脂塊mが食み出さない程度の大きさであればよい。そこで、プレス板3の形状は四角形、八角形以外に円形、六角形など種々の形状にすることが可能である。
【実施例0041】
図14は実施例2の弾性部材を介装した落とし具を示す正面図である。
実施例2の落とし具22は、これを常時上方へ付勢するように上側抜け止め24とプレス板3との間の軸26にコイルばねのような弾性部材31を介装した。実施例2の落とし具22では、軸26にボルトを使用し、上側抜け止め24にナットを用いてその締め付け位置を変えて弾性部材31の強度を調節するようになっている。
【0042】
プレス板3の主目的は、成形樹脂塊mを扁平に押し潰すことである。プレス板3が成形樹脂塊mと接する面は平坦な状態の方が分割刃21の切断効果も高い。そこで、成形樹脂塊mを押し潰すまでは、落とし具22の下側抜け止め25は突出しないほうが好ましい。そこで、軸26を常時上方へ付勢するようにして下側抜け止め25がプレス板3から下方へ突出しないようにした。
【0043】
なお、この実施例2の落とし具22でも、成形樹脂塊mを圧縮した後は、上述したようにプレス板3を上昇させ、上側抜け止め24を天板9の突起27に当て、弾性部材31の弾性力に抗して下側抜け止め25をプレス板3から下方へ突出させ、分割された成形樹脂塊mを押し落とすことはできる。
また、実施例2の落とし具22では、プレス板3を上げているときに、落とし具22の下側抜け止め25が突出しないので、処理前は勿論のこと処理後の成形樹脂塊mの出し入れの際にこれらの落とし具22が邪魔にならない。
【実施例0044】
図15は実施例3のプレス板に備えた落とし具を示す正面図である。なお図示例では、説明の都合上奥側の落とし具の記載を省略している。
実施例3の落とし具22は、複数本の軸26の長さを同一の長さではなく、異なる長さにした。分割刃21で成形樹脂塊mに切り込みを入れても、完全に分離しない場合がある。このときは落とし具22でプレス板3から剥しても、そのまま分離しないまま落下することがあり、そのまま冷却すると、手作業で割りづらいときがある。そこで、押し潰し、かつ分割刃21で切り込みを入れた直後は、まだ成形樹脂塊mは柔らかいので、段階的に落とし具22で押し出していけば、この切り込みを分離することができる。
【0045】
図示例では、例えば4本の落とし具22の軸26の長さに差dを付けて2種類にしたものである。隣接する落とし具22の軸26の長さが異なるものである。隣接する落とし具22の軸26の長さが異なればよく、図示例以外に全ての軸26の長さを異ならしめたものでもよい。なお、落とし具22の軸26の長さを同じにして、上側抜け止め24に向けた突起27の突出長を変えたものを天板に数か所設ける構成でもよい。
【0046】
なお、本発明は、成形樹脂塊mの圧縮と分割を同時処理することで、成形加工工程で副産物的に発生する成形樹脂塊を迅速かつ容易に扁平にすると共に、複数に分割して小さくでき、その後容易に取り扱うことができ、例えば処理後の成形樹脂塊mを小型の粉砕機でも処理できる構成であれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の成形樹脂塊の圧縮分割機は、プラスチック製品の製造中に生じる樹脂材を再処理する際に、又はプラスチック容器、プラスチック製品を再資源化する際に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 圧縮分割機
2 樹脂塊載置板
3 プレス板
4 往復動機構
5 装置本体
6 筺体
7 投入扉
8 シリンダー・ピストン
13 軸受
15 傾斜駆動機構
21 分割刃
22 落とし具
23 貫通孔
24 上側抜け止め
25 下側抜け止め
26 軸
m 成形樹脂塊
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16