IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JFEスチール株式会社の特許一覧

特開2022-56158金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置
<>
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図1
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図2
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図3
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図4
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図5
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図6
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図7
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図8
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図9
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図10
  • 特開-金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056158
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】金属帯の処理方法、マーク付与方法、及びマーク印字装置
(51)【国際特許分類】
   B21B 37/00 20060101AFI20220401BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20220401BHJP
   B21B 38/00 20060101ALN20220401BHJP
【FI】
B21B37/00 241
B21C51/00 B
B21B38/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164011
(22)【出願日】2020-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】牧 善太
【テーマコード(参考)】
4E124
【Fターム(参考)】
4E124AA01
4E124FF01
4E124FF10
(57)【要約】
【課題】印字した処理ラインとは別の処理ラインでのマークの再印字を精度良く実行する。
【解決手段】金属帯に対し複数の処理ラインで処理を施す。第1の処理ラインで、金属帯に対し欠陥マークKを印字する工程と、第1の処理ライン又は第1の処理ラインよりも上流の処理ラインにて、金属帯に対し長手方向に沿って等間隔に並ぶ複数の参照マークSを印字する工程と、下流の第2の処理ラインで、第1の位置特定マークを付与した金属帯部分を切除する工程と、切除する工程の後に、金属帯に対し欠陥マークKと長手方向の位置が同じ位置に欠陥マークKを再印字する工程と、第2の処理ラインで、欠陥マークKを付与する前に、複数の参照マークSの少なくとも1つを検出し、検出した参照マークの位置情報に基づき、欠陥マークKを付与するためのトラッキング情報を校正する工程と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す金属帯の処理方法であって、
上記複数の処理ラインから選択した第1の処理ラインで、上記金属帯に対し第1の位置特定マークを付与する工程と、
上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインにて、上記金属帯に対し、長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを付与する工程と、
上記第1の処理ラインよりも下流の処理ラインである第2の処理ラインで、上記第1の位置特定マークを付与した上記金属帯部分を切除する工程と、
上記第2の処理ラインで、上記切除する工程の後に、上記金属帯に対し上記第1の位置特定マークと長手方向の位置が同じ位置に第2の位置特定マークを付与する工程と、
上記第2の処理ラインで、上記第2の位置特定マークを付与する前に、上記複数の参照マークの少なくとも1つを検出し、検出した参照マークの位置情報に基づき、上記第2の位置特定マークを付与するためのトラッキング情報を校正する工程と、
を備えることを特徴とする金属帯の処理方法。
【請求項2】
同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す金属帯の処理方法であって、
上記複数の処理ラインから選択した第1の処理ラインで、上記金属帯に対し第1の位置特定マークを付与する工程と、
上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインにて、上記金属帯に対し、長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを付与する工程と、
上記第1の処理ラインよりも下流の処理ラインである第2の処理ラインで、上記第1の位置特定マークを付与した上記金属帯部分を切除する工程と、
上記第2の処理ラインで、上記切除する工程の後に、上記金属帯に対し上記第1の位置特定マークと長手方向の位置が同じ位置に第2の位置特定マークを付する工程と、
を備え、
上記第1の位置特定マークの長手方向位置を、上記複数の参照マークから選択した参照マークに関連付け、
上記第2の処理ラインにおいて、上記選択した参照マークの位置情報に基づき、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を特定して、上記第2の位置特定マークの付与位置を決定する、
ことを特徴とする金属帯の処理方法。
【請求項3】
上記複数の参照マークに、各参照マークを識別する識別情報を付与することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した金属帯の処理方法。
【請求項4】
上記第1の位置特定マークの長手方向位置を、上記選択した参照マークからの金属帯長手方向の離隔距離で特定する、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載した金属帯の処理方法。
【請求項5】
上記第2の処理ラインにおいて、上記複数の参照マークを付与した上記金属帯部分を切除する処理を行うことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載した金属帯の処理方法。
【請求項6】
上記複数の参照マークを付与した上記金属帯部分を切除する処理は、上記第2の位置特定マークを付与する前に実行されることを特徴とする請求項5に記載した金属帯の処理方法。
【請求項7】
上記第1の位置特定マーク及び上記第2の位置特定マークは、金属帯が有する欠陥の長手方向位置を示す欠陥マークであることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載した金属帯の処理方法。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載した金属帯の処理方法を備える、金属帯の製造方法。
【請求項9】
冷延鋼板を製造することを特徴とする請求項8に記載した金属帯の製造方法。
【請求項10】
同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す際における、上記金属帯にマークを付与するマーク付与方法であって、
上記複数の処理ラインから選択した第1の処理ラインで、上記金属帯に対し位置を特定する第1の位置特定マークを付し、
上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインにて上記金属帯に付された長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを付与し、
上記第1の処理ラインよりも下流の処理ラインである第2の処理ラインで、上記第1の位置特定マークと長手方向の位置が同じ位置に第2の位置特定マークを付与し、
上記第2の位置特定マークを付与する際に、上記複数の参照マークから選択した参照マークの位置に基づき、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を特定することで、上記第2の位置特定マークを付する位置を決定する、
ことを特徴とするマーク付与方法。
【請求項11】
同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す際における、上記複数の処理ラインから選択した第2の処理ラインにおいて、上記第2の処理ラインよりも上流の第1の処理ラインで付与された第1の位置特定マークと金属帯長手方向の位置が同じ位置に、第2の位置特定マークを付与するためのマーク付与装置であって、
上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインに配置されて、金属帯に参照マークを印字する参照マーク用印字装置と、
上記金属帯に対し、長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを、上記参照マーク用印字装置を介して印字する処理を実行する参照マーク印字処理部と、
上記複数の参照マークから選択した参照マークと上記第1の位置特定マークとを関連付けた関連情報を求める関連情報取得部と、
上記第2の処理ラインに設けられ、上記参照マークを検出するマーク検出部と、
上記第2の処理ラインに配置されて、金属帯に第2の位置特定マークを付与する再印字装置と、
上記関連情報取得部が求めた関連情報と上記マーク検出部か検出した参照マークの位置情報とから、上記第1の位置特定マークの金属帯長手方向位置を特定し、上記特定した長手方向位置に基づき、上記第2の位置特定マークを、上記再印字装置を介して印字する処理を実行する再印字処理部と、
を備えることを特徴とするマーク印字装置。
【請求項12】
上記複数の参照マークは、各参照マークを識別する識別情報が付与されていることを特徴とする請求項11に記載したマーク印字装置。
【請求項13】
上記関連情報は、上記第1の位置特定マークの長手方向位置と、上記複数の参照マークから選択した参照マークの長手方向位置との、金属帯長手方向の離隔距離の情報を含むことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載したマーク印字装置。
【請求項14】
上記第1の位置特定マーク及び上記第2の位置特定マークは、金属帯が有する欠陥の長手方向位置を示す欠陥マークであることを特徴とする請求項11~請求項13のいずれか1項に記載したマーク印字装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷延鋼板の製造処理ラインなど、金属帯を複数の処理ラインにて順次処理を施す技術に関する。本発明は、特に、複数の処理ライン間での位置トラッキング方法に特徴を有する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来の位置トラッキング処理としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1では、鉄鋼薄板連続処理ラインにおいて、溶接点を用いたポイントトラッキングシステムと、PLG(パルスジェネレータ)を用いたロール回転数の検出値に基づき搬送位置やコイル長を算出する方法とを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-32017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PLGによるトラッキングでは、搬送される鋼板と検出ロールとの間の滑り等に起因するずれ(誤差)が発生するおそれがあり、1の処理ラインによる計測値と、他の処理ラインでの計測値にずれ、すなわちトラッキング位置にずれが生じるおそれがある。
特許文献1では、金属帯の滑りに起因するずれを溶接点で補正する。しかし、コイル長ずれが発生すると、次コイルとの溶接点までずれが残存する。そのため、特許文献1では、1つ1つのずれ量が小さかったとしても滑りが複数回起こるとトラッキング位置のずれが大きくなり、次の処理ラインにおいて、トラッキング位置に、許容長を超える長手方向誤差が発生するおそれがあるという課題がある。
【0005】
ここで、欠陥マークを付与した鋼板に電気メッキを付与する処理ラインでは、電流の集中により鋼板エッジ部に対しめっき付着量が多くなる傾向がある。そのため、品質向上のために、エッジ部のトリムが必要となる。しかし、客先では欠陥マークのある金属帯の部分も欠陥部以外の部分を使用する可能性があるため、欠陥マークは、可能な限りエッジ部付近に印字することが好ましい。したがって、めっき付着量過多となったエッジ部を切除する際に、既にエッジに印字されている欠陥マーク(位置特定マーク)も同時に切除される。そのため、エッジ部を切除する処理ラインにて、欠陥マークの再印字を、金属帯に行う必要がある。
【0006】
しかしながら、従来にあっては、処理ライン間におけるトラッキング位置に所定以上のずれが発生しているおそれがある。このため、1の処理ラインでのトラッキング位置によるコイル長手位置の印字実績に基づいて他の処理ラインで印字を実行すると、上記の滑り等に起因するずれ量により印字位置のずれが大きく出ることになる。
このため、欠陥印字等の精度の求められるマークを再印字する場合には、従来、人手で行う必要があった。
【0007】
ここで、トリム予定の幅方向内側に対し欠陥マークの印字を行えば再印字の必要性がないと考えられる。しかし、一般に、エッジ印字要求精度が例えば2mmと、処理ラインでの蛇行量よりも厳しい。金属帯の蛇行に対し、エッジへの印字は、エッジ追従装置を用い、マーク印字機器本体を動かすことにより、金属帯のエッジに精度2mm以内で常時待機させることが可能である。しかしながら、トリマーは、本体を移動することができない。そのため、トリマーでエッジを切除後に、エッジへの再印字は可能であると考えられるが、トリム前での欠陥印字を残す方法は現実的ではない。このため、現状、エッジの切除後に再印字が実行される。
【0008】
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、印字した処理ラインとは別の処理ラインでのマークの再印字を精度良く実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題解決のために、本発明の一態様は、同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す金属帯の処理方法であって、上記複数の処理ラインから選択した第1の処理ラインで、上記金属帯に対し第1の位置特定マークを付与する工程と、上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインにて、上記金属帯に対し、長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを付与する工程と、上記第1の処理ラインよりも下流の処理ラインである第2の処理ラインで、上記第2の処理ラインで、上記第1の位置特定マークを付与した上記金属帯部分を切除する工程と、上記切除する工程の後に、上記金属帯に対し上記第1の位置特定マークと長手方向の位置が同じ位置に第2の位置特定マークを付与する工程と、上記第2の処理ラインで、上記第2の位置特定マークを付与する前に、上記複数の参照マークの少なくとも1つを検出し、検出した参照マークの位置情報に基づき、上記第2の位置特定マークを付与するためのトラッキング情報を校正する工程と、を備えることを要旨とする。
【0010】
また、本発明の態様は、同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す金属帯の処理方法であって、上記複数の処理ラインから選択した第1の処理ラインで、上記金属帯に対し第1の位置特定マークを付与する工程と、上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインにて、上記金属帯に対し、長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを付与する工程と、上記第1の処理ラインよりも下流の処理ラインである第2の処理ラインで、上記第2の処理ラインで、上記第1の位置特定マークを付与した上記金属帯部分を切除する工程と、上記切除する工程の後に、上記金属帯に対し上記第1の位置特定マークと長手方向の位置が同じ位置に第2の位置特定マークを付する工程と、を備え、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を、上記複数の参照マークから選択した参照マークに関連付け、上記第2の処理ラインにおいて、上記選択した参照マークの位置情報に基づき、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を特定して、上記第2の位置特定マークの付与位置を決定する、ことを要旨とする。
【0011】
また、本発明の態様は、同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す際における、上記金属帯にマークを付与するマーク付与方法であって、上記複数の処理ラインから選択した第1の処理ラインで、上記金属帯に対し位置を特定する第1の位置特定マークを付し、上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインにて上記金属帯に付された長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを付与し、上記第1の処理ラインよりも下流の処理ラインである第2の処理ラインで、上記第1の位置特定マークと長手方向の位置が同じ位置に第2の位置特定マークを付与し、上記第2の位置特定マークを付与する際に、上記複数の参照マークから選択した参照マークの位置に基づき、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を特定することで、上記第2の位置特定マークを付する位置を決定する、ことを要旨とする。
【0012】
また、本発明の態様は、同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す際における、上記複数の処理ラインから選択した第2の処理ラインにおいて、上記第2の処理ラインよりも上流の第1の処理ラインで付与された第1の位置特定マークと金属帯長手方向の位置が同じ位置に、第2の位置特定マークを付与するためのマーク付与装置であって、上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインに配置されて、金属帯に参照マークを印字する参照マーク用印字装置と、上記金属帯に対し、長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを、上記参照マーク用印字装置を介して印字する処理を実行する参照マーク印字処理部と、上記複数の参照マークから選択した参照マークと上記第1の位置特定マークとを関連付けた関連情報を求める関連情報取得部と、上記第2の処理ラインに設けられ、上記参照マークを検出するマーク検出部と、上記第2の処理ラインに配置されて、金属帯に第2の位置特定マークを付与する再印字装置と、上記関連情報取得部が求めた関連情報と上記マーク検出部か検出した参照マークの位置情報とから、上記第1の位置特定マークの金属帯長手方向位置を特定し、上記特定した長手方向位置に基づき、上記第2の位置特定マークを、上記再印字装置を介して印字する処理を実行する再印字処理部と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の態様によれば、一定の法則で長手方向に並ぶ参照マークによって、位置トラッキングずれが補償(校正)される結果、異なる処理ラインにおいて、長手方向の同位置に精度良く印字することを可能となる。すなわち、本発明の態様によれば、トラッキングずれを小さく抑えることができる。そのため、本発明によれば、これまで同じ位置に再印字する際に手動で行っていた印字処理を自動ですることを可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に基づく実施形態に係る第1の処理ラインの設備構成を説明する図である。
図2】印字装置の配置を説明する平面図である。
図3】第1の処理制御部の構成を説明する図である。
図4】印字実績データ11群を例示する図である。
図5図4に対応する印字例を示す図である。
図6】印字実績データ11群を例示する図である。
図7】本発明に基づく実施形態に係る第2の処理ラインの設備構成を説明する図である。
図8】第2の処理制御部の構成を説明する図である。
図9図4に対応する印字例を示す図である。
図10】再印字の例を示す図である。
図11】比較例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態は、同じ金属帯(鋼板など)に対し複数の処理ラインで順次、当該金属帯に処理を施す金属帯の処理方法及び処理設備に関する。本実施形態では、金属帯の製造処理ライン、特に冷延鋼板を製造する処理ラインを想定して説明する。
ただし、本発明は、金属帯の製造の処理ラインに限定されない。複数の処理ラインで順番に同一の金属帯を処理する処理設備であれば適用可能である。
【0016】
本実施形態では、各処理ラインにおいて、コイル状の金属帯を巻き戻しながら金属帯に処理を行い、再度、金属帯を巻き取る処理を行う場合を例に挙げて説明する。このため、金属帯をコイルと表現する場合がある。本発明は、各処理ラインで金属帯を巻き取らない場合であっても、適用可能である。
また、本明細書で長手方向とは、処理する金属帯の長手方向(搬送方向)を指す。
本実施形態では、少なくとも、複数の処理ラインとして、第1の処理ラインと、第2の処理ラインを備える。
【0017】
第1の処理ラインは、金属帯に対し第1の位置特定マークを付する処理を行う処理ラインである。第2の処理ラインは、第1の処理ラインよりも下流の処理ラインであって、第1の位置特定マークと長手方向の位置が同じ位置に第2の位置特定マークを付する処理を行う処理ラインである。本実施形態では、第1の位置特定マークを、金属帯に有する欠陥の長手方向位置を示す欠陥マークとし、第2の位置特定マークは、その欠陥マークを再印字したマークとする。第1の位置特定マークと第2の位置特定マークとは同じ形状のマークでなくても良い。
第1の処理ラインと第2の処理ラインの間に、1又は2以上の他の処理ラインを有していても良い。本実施形態では、第1の処理ラインを、電気めっき処理の処理ラインとする。
第1の処理ラインは、電気めっき処理の処理ラインでなくても構わない。
【0018】
(第1の処理ライン)
図1に示すように、第1の処理ラインの設備構成として、ペイオフリール1、テンションリール2、PLG3、めっき処理部4、欠陥検査装置5、印字装置6、第1のライン制御部7を備える。
【0019】
<ペイオフリール1とテンションリール2>
ペイオフリール1とテンションリール2によって、コイルとなっている金属帯10の巻き戻し・巻き取り処理が実行され、金属帯10は、ペイオフリール1からテンションリール2に向けて搬送される構成となっている。
【0020】
<めっき処理部4>
めっき処理部4は、欠陥検査装置5の上流側に配置されて、金属帯10の表面にめっきを付着する処理を実行する。
【0021】
<PLG3>
エンコーダその他からなるPLG3は、金属帯10の搬送に伴って回転するローラの回転数を検知し、検出信号を第1のライン制御部7に供給する。
【0022】
<欠陥検査装置5>
欠陥検査装置5は、搬送されてくる金属帯10の表面や内部の欠陥を検出する装置であって、欠陥を検出すると、その欠陥検出信号を第1のライン制御部7に供給する。
【0023】
<印字装置6>
印字装置6は、欠陥検査装置5の下流側に配置されている。印字装置6は、図2に示すように、欠陥マーク用印字装置6Aと、参照マーク用印字装置6Bとを備える。
【0024】
[欠陥マーク用印字装置6A]
本実施形態の欠陥マーク用印字装置6Aは、例えば、金属帯10のオペレータ側(以下、OP側とも記載する)に配置されて、第1のライン制御部7からの印字信号に基づき、金属帯10のOP側端部にインクを噴射して欠陥マークKを印字する。
【0025】
[参照マーク用印字装置6B]
本実施形態の参照マーク用印字装置6Bは、例えば、金属帯10のドライブ側(以下、DR側とも記載する)に配置されて、第1のライン制御部7からの印字信号に基づき、金属帯10のDR側端部にインクを噴射して参照マークSを順次、印字する。すなわち本実施形態では、金属帯10の幅方向の一方の端部に欠陥マークKを印字し、他方の端部に参照マークSを印字する。
ここで、OP側とは、金属帯10の幅方向の操作者側である。DR側はOP側とは反対側を指し、金属帯10の幅方向の設備側を指す。
【0026】
<第1のライン制御部7>
第1のライン制御部7は、PLC(プログラムロジックコントローラ)などから構成される。第1のライン制御部7は、図3に示すように、第1の位置トラッキング部7Aと、欠陥マーク印字処理部7Bと、参照マーク印字処理部7Cとを備える。
【0027】
<第1の位置トラッキング部7A>
第1の位置トラッキング部7Aは、PLG3からの検出信号に基づき、金属帯10のライン速度の検出と、金属帯10の先端部からの長手方向位置について、公知のトラッキング処理を実行して、位置トラッキングの情報を演算する。
【0028】
<欠陥マーク印字処理部7B>
欠陥マーク印字処理部7Bは、欠陥検査装置5からの欠陥検出信号を入力すると、第1の位置トラッキング部7Aによる位置トラッキングの情報に基づき、欠陥検出位置の長手方向位置を取得すると共に、ライン速度に基づき、長手方向における欠陥検出位置が欠陥マーク用印字装置6Aによる印字位置に来たら、欠陥マーク用印字装置に印字信号を供給する。なお、動作遅れ分を考慮して印字信号を供給する。これによって、金属帯10のOP側端部に欠陥マークKが印字される。
欠陥マーク印字処理部7Bは、欠陥マーク用印字装置6Aを介した欠陥マークKの印字の印字実績データ11をデータベース8に出力する。各印字実績データ11は、例えばマーク種別と金属帯10の長手方向位置情報である印字位置とのデータを含む。
【0029】
<参照マーク印字処理部7C>
また、参照マーク印字処理部7Cは、第1の位置トラッキング部7Aからのトラッキング情報と金属帯10のライン速度に基づき、金属帯10の巻き戻しの先端から予め設定した距離だけ離れた長手方向の基準位置から、長手方向に沿って等間隔に参照マークSが印字されるように、参照マーク用印字装置6Bに対し順次、印字信号を出力する。これによって、金属帯10のDR側端部には、長手方向に沿って等間隔(例えば10m毎)に参照マークSが順次付与される。複数の参照マークSは、等間隔に印字されていなくてもよく。長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶように印字されていればよい。
【0030】
参照マーク印字処理部7Cは、参照マーク用印字装置6Bを介した参照マークSの印字の印字実績データ11をデータベース8に出力する。各印字実績データ11は、例えばマーク種別と長手方向位置情報である印字位置とのデータを含む。
ここで、複数の参照マークSに、各参照マークSを識別する識別情報を付与しておくことが好ましい。識別情報として、印字した順に昇順の番号が例示できる。
【0031】
ここで、複数の参照マークSを印字する処理ラインは、第1の処理ラインよりも上流側のラインでも構わない。複数の参照マークSを印字する処理ラインと欠陥マークKを印字する処理ラインが同一のライン(第1の処理ライン)の場合、好ましくは、図2に示すように、欠陥マーク用印字装置6Aと参照マーク用印字装置6Bとが、金属帯10の搬送方向を挟んで金属帯10の幅方向で対向していることが好ましい。もっとも、複数の参照マークSを印字する処理ラインと欠陥マークKを印字する処理ラインが同一のラインの場合に、欠陥マーク用印字装置6Aによる欠陥マークの印字の処理と参照マーク用印字装置6Bによる参照マークの印字の処理は、同時に行う必要は無く、同一のライン(第1の処理ライン)内であれば、どちらを先に実行しても構わない。同一の処理ライン内であれば、長手方向位置について、欠陥マークの位置情報と参照マークの位置情報とに相対的なズレが発生しないかずれが僅かであるからである。
【0032】
なお、ライン間では、滑りなどの影響によって、各ラインでのトラッキング情報に例えば3%程度のずれが生じる。これは例えば1000mで30m程度のずれに繋がる。
なお、複数の参照マークSは、金属帯10の長手方向に沿って例えば等間隔に配置されているため、例えば、最初又は最後の参照マークSは、金属帯10の長手方向端部に近づけて印字可能であることから、トラッキング位置の情報精度が高い。このため、参照マークSを付与した処理ライン以降の処理ラインで欠陥マークKを付与する際に、参照マークSの位置でトラッキング位置の校正をしつつ、欠陥マークKの印字位置を特定すれば、参照マークSと各欠陥マークKとの長手方向位置の相対的関係は精度良い状態となる。
【0033】
(上位コンピュータ9)
上位コンピュータ9は、第1のライン制御部7及び後述の第2のライン制御部26に対し上位のコンピュータである。上位コンピュータ9には、関連情報取得部9Aを備える。
【0034】
<関連情報取得部9A>
関連情報取得部9Aは、第1の処理ラインでの処理が終了した後に起動されて、データベース8中の印字実績データ11を、図4に示すように、長手方向位置をキーとして昇順に並べる処理を実行し、印字実績データ群12を作成する。図4では、コイルの最終端を切除装置(不図示)で切除する場合であり、その切除位置の処理実績データも印字実績データ11の一部として求めている。ここで、図4に示す印字実績データ群12は、図5のような欠陥マークKと参照マークSとが金属帯10に付与された場合の例である。
【0035】
これによって、各欠陥マークKを、複数の参照マークSから選択した1又は2以上の参照マークSと関連付け可能となる。
このとき、例えば、参照マークSに識別情報を付与した場合、印字実績データ群12に対し、欠陥マークKの位置を特定するための参照マークSにその旨の記号を持たせても良い。例えば、参照マークSとして、マーク自体と共に識別用の数字を印字してもよい。印字する数字は、例えばカウンタを用いて、印字の度に昇順若しくは降順で変更した数字を用いる。
【0036】
また、別途、欠陥マークKの位置を特定するための参照マークSの情報と、その参照マークSから対象とする欠陥マークKまでの離隔距離の情報のデータ群を有していても良い。
なお、欠陥マークKの位置を特定するための参照マークSは、欠陥マークKに直近の参照マークSでなくても良い。
ここで、第1の処理ラインと第2の処理ラインとの間に、奇数個の他の処理ラインが介在する場合には、第1の処理ラインと第2の処理ラインでは、金属帯10を構成するコイルの巻き戻し方向が同じである。
【0037】
一方、第1の処理ラインと第2の処理ラインとの間に、他の処理ラインがない、若しくは偶数個の他の処理ラインが介在する場合には、第1の処理ラインと第2の処理ラインでは、処理するコイルの向きが逆方向となるため、第1の処理ラインで処理するコイルでの巻外側が、第2の処理ラインで処理するコイルの軸芯となっている。
この場合、データベース8中の印字実績データ11を、長手方向位置をキーとして降順に並べる処理を実行し、図6のように、コイル先端側からの長手方向位置に印字位置を変換する処理を実行して、印字実績データ群12を作成する。この場合、第1の処理ラインで尾端となったシャーカット位置が、第2の処理ラインで先端となる。
なお、この関連情報取得部9Aの処理は、第1のライン制御部7及び後述の第2のライン制御部26で実行してもよい。
【0038】
(第2の処理ライン)
図7に示すように、第2の処理ラインの設備構成として、ペイオフリール20、テンションリール21、PLG22、印字マーク認識装置23、トリム装置24、再印字装置25、第2のライン制御部26を備える。
【0039】
<ペイオフリール20とテンションリール21>
ペイオフリール20とテンションリール21によって、コイルとなっている金属帯10の巻き戻し・巻き取り処理が実行され、金属帯10は、ペイオフリール20からテンションリール21に向けて搬送される構成となっている。
【0040】
<PLG22>
エンコーダその他からなるPLG22は、金属帯10の搬送に伴って回転するローラの回転数を検知し、検出信号を第2のライン制御部26に供給する。
【0041】
<印字マーク認識装置23>
印字マーク認識装置23は、マーク検出部を構成する。印字マーク認識装置23は、カメラなどの撮像素子から構成され、金属帯10の表面に付された参照マークSを検出し、検出信号を第2のライン制御部26に出力する。このとき、認識用のカウンタを有し、参照マークSをするたびに、カウンタを小さく又は大きくして、検知した参照マークSの識別度を向上させるようにしてもよい。
【0042】
<トリム装置24>
本実施形態のトリム装置24は、金属帯10の幅方向両側に配置され、搬送されてくる金属帯10の両端エッジ部を連続して切除する。本実施形態のトリム装置24は、再印字装置25での再印字の前に行われる。
なお、欠陥マークを再印字を幅方向の一方の端部側にのみ実行する場合には、他端部側にある参照マークS側(DR側)の端部を切除するトリム装置を、再印字装置25の下流側に配置して、参照マークS側(DR側)の端部を再印字後に切除しても良い。
本実施形態では、幅方向両端部に欠陥マークを再印字するため、両側の端部を一緒に切除している。
ここで、再印字装置25での再印字後に、トリム装置24での切除処理を行うことも考えられるが、この場合、第1の処理ラインでの欠陥マークの印字の内側に再印字を行うことになる。しかし、そのような処理を行う金属帯では、参照マークを打つ必要もなく、再印字も必要でない場合が多い。また、端部の切除前に再印字を行うと、切除する幅が必要以上に大きくなるといった問題もある。
【0043】
<再印字装置25>
本実施形態の再印字装置25は、第2のライン制御部26からの印字信号に基づき、金属帯10の端部にインクを噴射して、第2の位置特定マークとなる欠陥マークKを再印字する。
【0044】
<第2のライン制御部26>
第2のライン制御部26は、PLC(プログラムロジックコントローラ)などから構成される。第2のライン制御部26は、図8に示すように、第2の位置トラッキング部26Aと、再印字処理部26Bとを備える。
【0045】
<第2の位置トラッキング部26A>
第2の位置トラッキング部26Aは、PLG22からの検出信号に基づき、金属帯10のライン速度の検出と、金属帯10の先端部からの長手方向位置について、公知のトラッキング処理を実行して、位置トラッキングの情報を演算する。
本実施形態の第2の位置トラッキング部26Aは、印字マーク認識装置23からの印字の検出信号を入力する度に、作成した印字実績データ群12を参照し、該当する参照マークSのPLG22の検出による長手方向の位置情報(トラッキング情報)を、印字実績データ11の長手方向位置で校正することで、トラッキング位置の情報の精度を向上する。
【0046】
<再印字処理部26B>
再印字処理部26Bは、第2の位置トラッキング部26Aによる位置トラッキングの情報に基づき、作成した印字実績データ群12を参照し、次の欠陥マークKに対する印字実績データ11の長手方向位置が、長手方向における再印字装置25による印字位置に来ると判定したら、再印字装置25に印字信号を供給する。なお、動作遅れ分を考慮して印字信号を供給する。これによって、金属帯10におけるトリムしたOP側端部に欠陥マークKが再印字される。
【0047】
又は、再印字処理部26Bは、印字マーク認識装置23からの参照マークSの検出信号を入力すると、作成した印字実績データ群12を参照し、その検出した参照マークSが、次の欠陥マークKに対する印字実績データ11の上流側で1つの前の参照マークSであるか判定する。再印字処理部26Bは、検出した参照マークSが、次の欠陥マークKに対する印字実績データ11の上流側で1つの前の参照マークSである場合、印字マーク認識装置23が検出した参照マークSの位置情報と印字実績データ群12とから欠陥マークKの長手方向位置を特定する。そして、再印字処理部26Bは、ライン速度に基づき、長手方向における、判定したマーク位置の長手方向位置に対し、当該参照マークSから欠陥マークKまでの離隔距離分を足した位置が、再印字装置25による印字位置に来ると判定すると、再印字装置25に印字信号を供給する。なお、動作遅れ分を考慮して印字信号を供給する。これによって、金属帯10における、切除されたOP側端部に欠陥マークKが再印字される。
【0048】
(動作その他)
本実施形態では、第1の処理ラインにおいて、図5に示すように、金属帯10のDR側端部に等間隔で参照マークSが印字される共に、金属帯10のOP側に欠陥マークKが印字される。また、第1の処理ラインにおいて、欠陥マークK及び複数の参照マークSの印字実績データ11がデータベース8に順次格納される。
データベース8に格納された複数の印字実績データ11は、長手方向位置をキーとして昇順又は降順にソートされて印字実績データ群12となる(図4図6参照)。
【0049】
また、実施形態では、第2の処理ラインにおいて、参照マークSを検出し、位置トラッキング情報を、検出した参照マークSの印字実績データ11中の印字位置情報で校正することで、印字ずれを校正する。これによって、第2の処理ラインにおける、欠陥マークK位置に対する位置トラッキング情報の精度を向上する。
また、第2の処理ラインにおいて、金属帯10のOP側端部をトリムした後に、印字されていた欠陥マークKと長手方向における同位置に対し、欠陥マークKを再印字する。
このとき、参照マークSの位置を基準に再印字する長手方向位置を特定する。
ここで、第1の処理ラインと第2の処理ラインでのコイルの長手方向の向きが同じ場合には、印字実績データ群12に基づき、図5に示すように、対象とする欠陥マークKの上流側の参照マークSからの長手方向の離隔距離LAで、欠陥マークKの再印字位置を特定することができる。
【0050】
一方、第1の処理ラインと第2の処理ラインでのコイルの長手方向の向きが逆転している場合には、図9に示すように、対象とする欠陥マークKの上流側の参照マークSからの長手方向の離隔距離LBで、欠陥マークKの再印字位置を特定することができる。なお、隣り合う参照マークS間の距離L0は既存であるため、L0-LA=LBとして、離隔距離LBを求めることができる。
このように複数の参照マークSから選択した参照マークSのトラッキング位置から離隔距離LA又はLBだけ進行させた位置に、図10のように、第2の位置特定マークとしての欠陥マークKを再印字する。図10では、左右両端部に欠陥マークKの再印字を実行しているが、片側だけに再印字を実行してもよい。なお、図10中、符号10Aは、金属帯10の端部の切除された部分を示す。
【0051】
又は、本実施形態では、第2の処理ラインにおいて、参照マークSでトラッキング情報を校正しつつ、欠陥マークKの印字実績に基づき、長手方向の再印字位置を特定して再印字する。
ここで、複数の参照マークSを印字せず、第1の処理ラインで印字した欠陥マークKを第2の処理ラインで検出し、欠陥マークKと同じ鋼板長手方向位置に印字することも理論上は可能であるが、欠陥マークKの未見や過検の可能性がある。
【0052】
それは次の理由からである。ライン速度で印字マークの検出を行う場合、カメラではマークの種類までは認識できないため、印字の有無のみの検出となる。このため、図11のように欠陥マークKが密に連続する場合、複数マークを1つのマークと認識して、欠陥マークKの一部を未検出する可能性がある。また、汚れ30を欠陥マークKと認識し過検する可能性がある。このような2つの識別異常を起こすと、例えば、欠陥マークKが1つずつ、ずれることになるため、識別異常を起こしたマーク以降のすべての欠陥で欠陥種別と印字マークが異なることとなり、重大な品質異常を発生させることとなる。
【0053】
これに対し、本実施形態では、予め決められた法則で並ぶ複数の参照マークSを用いることで、参照マークSからの距離に基づいて欠陥マークKを再印字できる。このため、欠陥マークKが密であることに起因する未見が発生する可能性を低減できる。また、汚れ30を欠陥マークKと認識すること防止できる。
また、本実施形態では、参照マークSを定長間隔等決まった間隔で印字する。このため、参照マークS毎の間隔のずれが小さく、マーク印字箇所周辺以外をマスクすることが可能となる。このため、汚れ等をマークと認識することによる過検が発生しないようにすることが可能である。また、参照マークSを検出予定箇所での検出の有無で、参照マークSの未見を確認できるため、未見の早期発見が可能である。
以上のように、本実施形態では、複数の参照マークSを印字し、複数の参照マークSを基準として再印字を行うことで、より精度良く欠陥マークKの再印字が可能となる。
【0054】
(効果)
(1)本実施形態は、同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す金属帯の処理方法であって、上記複数の処理ラインから選択した第1の処理ラインで、上記金属帯に対し第1の位置特定マークを付与する工程と、上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインにて、上記金属帯に対し、長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを付与する工程と、上記第1の処理ラインよりも下流の処理ラインである第2の処理ラインで、上記第2の処理ラインで、上記第1の位置特定マークを付与した上記金属帯部分を切除する工程と、上記切除する工程の後に、上記金属帯に対し上記第1の位置特定マークと長手方向の位置が同じ位置に第2の位置特定マークを付与する工程と、上記第2の処理ラインで、上記第2の位置特定マークを付与する前に、上記複数の参照マークの少なくとも1つを検出し、検出した参照マークの位置情報に基づき、上記第2の位置特定マークを付与するためのトラッキング情報を校正する工程と、を備える。
【0055】
上記金属帯10の処理は、例えば金属帯10の製造のための処理である。また、冷延鋼板を製造する金属帯10の処理である。
この構成によれば、一定の法則で長手方向に並ぶ参照マークSによって、第2の処理ラインにおいて、第2の位置特定マークを付与するための位置トラッキングの位置ずれが校正される。この結果、本実施形態では、異なる処理ラインにおいて、長手方向の同位置に印字することを可能となる。すなわち、この構成によれば、トラッキングずれを小さく抑えることができる。そのため、これまで同じ位置に再印字する際に手動で行っていた印字処理を自動ですることを可能となる。
【0056】
(2)本実施形態では、同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す金属帯の処理方法であって、上記複数の処理ラインから選択した第1の処理ラインで、上記金属帯に対し第1の位置特定マークを付与する工程と、上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインにて、上記金属帯に対し、長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを付与する工程と、上記第1の処理ラインよりも下流の処理ラインである第2の処理ラインで、上記第2の処理ラインで、上記第1の位置特定マークを付与した上記金属帯部分を切除する工程と、上記切除する工程の後に、上記金属帯に対し上記第1の位置特定マークと長手方向の位置が同じ位置に第2の位置特定マークを付する工程と、を備え、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を、上記複数の参照マークから選択した参照マークに関連付け、上記第2の処理ラインにおいて、上記選択した参照マークの位置情報に基づき、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を特定して、上記第2の位置特定マークの付与位置を決定する。
【0057】
この構成によれば、一定の法則で長手方向に並ぶ参照マークSによって、位置トラッキングずれが補償される。この結果、異なる処理ラインにおいて、長手方向の同位置に印字することを可能となる。すなわち、この構成によれば、トラッキングずれを小さく抑えることができる。そのため、これまで同じ位置に再印字する際に手動で行っていた印字処理を自動ですることを可能となる。
【0058】
(3)ここで本実施形態では、上記第2の処理ラインにおいて、上記第1の位置特定マークを付与した上記金属帯10の部分を切除(トリム)する処理の後に、その切除する処理で除去されていない上記金属帯10の幅方向端部の部分に上記第2の位置特定マーク(再印字のマーク)を付与する。
この場合、上記第1の位置特定マークを付与した上記金属帯10の部分を切除する処理は、上記第2の位置特定マークを付与する前に実行される。
この構成によれば、金属帯10の端部に、位置の精度良く、第2の位置特定マークを付与する可能となる。
なお、トリム前に再印字する方法は利点がない。第1の処理ラインでの印字と再印字とが同じ情報であるため、再印字の必要性がないためである。
【0059】
(4)本実施形態では、上記複数の参照マークSに、各参照マークSを識別する識別情報を付与する。
この構成によれば、各参照マークSを個別に識別可能となる。
【0060】
(5)本実施形態では、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を、上記選択した参照マークSからの金属帯10の長手方向の離隔距離で特定する。
この構成によれば、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を、上記選択した参照マークSに関連付けができる。
【0061】
(6)本実施形態では、上記第2の処理ラインにおいて、上記複数の参照マークSを付与した上記金属帯10の部分を切除する処理を行う。
例えば、上記複数の参照マークSを付与した上記金属帯10の部分を切除する処理は、上記第2の位置特定マークを付与する前に実行される。
この構成によれば、参照マークSを除去できる。
【0062】
(7)本実施形態では、上記第1の位置特定マーク及び上記第2の位置特定マークは、金属帯10が有する欠陥の長手方向位置を示す欠陥マークKである。
この構成によれば、欠陥マークKを精度良く再印字可能となる。
【0063】
(8)本実施形態は、同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す際における、上記金属帯にマークを付与するマーク付与方法であって、上記複数の処理ラインから選択した第1の処理ラインで、上記金属帯に対し位置を特定する第1の位置特定マークを付し、上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインにて上記金属帯に付された長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを付与し、上記第1の処理ラインよりも下流の処理ラインである第2の処理ラインで、上記第1の位置特定マークと長手方向の位置が同じ位置に第2の位置特定マークを付与し、上記第2の位置特定マークを付与する際に、上記複数の参照マークから選択した参照マークの位置に基づき、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を特定することで、上記第2の位置特定マークを付する位置を決定する。
【0064】
この構成によれば、一定の法則で長手方向に並ぶ参照マークSによって、位置トラッキングずれが補償される。この結果、異なる処理ラインにおいて、長手方向の同位置に印字することを可能となる。すなわち、この構成によれば、トラッキングずれを小さく抑えることができる。そのため、これまで同じ位置に再印字する際に手動で行っていた印字処理を自動ですることを可能となる。
【0065】
(9)本実施形態は、同じ金属帯に対し複数の処理ラインで順次、処理を施す際における、上記複数の処理ラインから選択した第2の処理ラインにおいて、上記第2の処理ラインよりも上流の第1の処理ラインで付与された第1の位置特定マークと金属帯長手方向の位置が同じ位置に、第2の位置特定マークを付与するためのマーク付与装置であって、上記第1の処理ライン又は上記第1の処理ラインよりも上流の処理ラインに配置されて、金属帯に参照マークを印字する参照マーク用印字装置と、上記金属帯に対し、長手方向に沿って予め決定した法則性を持って並ぶ複数の参照マークを、上記参照マーク用印字装置を介して印字する処理を実行する参照マーク印字処理部と、上記複数の参照マークから選択した参照マークと上記第1の位置特定マークとを関連付けた関連情報を求める関連情報取得部と、上記第2の処理ラインに設けられ、上記参照マークを検出するマーク検出部と、上記第2の処理ラインに配置されて、金属帯に第2の位置特定マークを付与する再印字装置と、上記関連情報取得部が求めた関連情報と上記マーク検出部か検出した参照マークの位置情報とから、上記第1の位置特定マークの金属帯長手方向位置を特定し、上記特定した長手方向位置に基づき、上記第2の位置特定マークを、上記再印字装置を介して印字する処理を実行する再印字処理部と、を備える。
【0066】
この構成によれば、一定の法則で長手方向に並ぶ参照マークSによって、位置トラッキングずれが補償校正される。この結果、異なる処理ラインにおいて、長手方向の同位置に印字することを可能となる。すなわち、この構成によれば、トラッキングずれを小さく抑えることができる。そのため、これまで同じ位置に再印字する際に手動で行っていた印字処理を自動ですることを可能となる。
【0067】
(10)上記複数の参照マークSは、各参照マークSを識別する識別情報が付与されているとよい。
この構成によれば、各参照マークSの識別が容易となる。
【0068】
(11)本実施形態では、上記関連情報は、第1の位置特定マークの長手方向位置と、上記複数の参照マークSから選択した参照マークSの長手方向位置との、金属帯10の長手方向の離隔距離の情報を含む。
この構成によれば、上記第1の位置特定マークの長手方向位置を、上記選択した参照マークSに関連付けができる。
【符号の説明】
【0069】
1 ペイオフリール
2 テンションリール
2、PLG
4 めっき処理部
5 欠陥検査装置
6 印字装置
6A 欠陥マーク用印字装置
6B 参照マーク用印字装置
7 第1のライン制御部
7A 第1の位置トラッキング部
7B 欠陥マーク印字処理部
7C 参照マーク印字処理部
8 データベース
9 上位コンピュータ
9A 関連情報取得部
10 金属帯
11 印字実績データ
12 印字実績データ群
20 ペイオフリール
21 テンションリール
21、PLG
23 印字マーク認識装置
24 トリム装置
25 再印字装置
26 第2のライン制御部
26A 第2の位置トラッキング部
26B 再印字処理部
K 欠陥マーク
S 参照マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11