(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056243
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】賃貸物件提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20220401BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20220401BHJP
G16Y 10/60 20200101ALI20220401BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
G16H10/00
G16Y10/60
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164156
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】520379352
【氏名又は名称】室井 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】室井 英樹
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 真一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC28
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】安価な設備で高齢者の起居を検出し、起居が検出されない居住者の安否を速やかに確認することで、高齢者等の居住者が安心して住める賃貸物件提供システムを提供する。
【解決手段】家主又は不動産管理会社と、システム管理会社と、リフォーム会社と、により構成される賃貸物件提供システムであって、リフォーム会社は、居住者の起居を検出する起居検出手段を賃貸物件に設置し、起居検出手段は、賃貸物件において所定時間居住者の起居を検出できなかった場合に警報をシステム管理会社に送信し、システム管理会社は、起居検出手段からの警報を受信すると、通信手段により居住者の安否を確認する第1安否確認を行うとともに、第1安否確認で居住者の安否を確認できなかった場合は、システム管理会社自ら、又は、家主又は不動産管理会社に依頼して、賃貸物件を訪問して居住者の安否を確認する第2安否確認を実行することを特徴とする賃貸物件提供システムとした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
賃貸物件を所有する家主、又は、前記家主から前記賃貸物件の管理を委託された不動産管理会社と、
前記賃貸物件の居住者の安否を管理するシステム管理会社と、
前記賃貸物件をリフォームするリフォーム会社と、
により構成される賃貸物件提供システムであって、
前記リフォーム会社は、
前記居住者の起居を検出する起居検出手段を前記賃貸物件に設置し、
前記起居検出手段は、前記賃貸物件において所定時間前記居住者の起居を検出できなかった場合に警報を前記システム管理会社に送信し、
前記システム管理会社は、
前記起居検出手段からの警報を受信すると、通信手段により前記居住者の安否を確認する第1安否確認を行うとともに、前記第1安否確認で前記居住者の安否を確認できなかった場合は、前記システム管理会社自ら、又は、前記家主又は前記不動産管理会社に依頼して、前記賃貸物件を訪問して前記居住者の安否を確認する第2安否確認を実行することを特徴とする賃貸物件提供システム。
【請求項2】
前記起居検出手段は、
前記居住者の起居を検出可能な人感センサと、
前記居住者の起居の有無を監視する制御部と、
前記制御部で所定時間前記居住者の起居を検出しない状態を検出すると、警報を前記システム管理会社に通報する通信手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の賃貸物件提供システム。
【請求項3】
前記リフォーム会社は、前記賃貸物件をリフォームする際にバリアフリーの工事も同時に行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の賃貸物件提供システム。
【請求項4】
前記システム管理会社は、
契約した警備会社に、前記第2安否確認を依頼することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の賃貸物件提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賃貸物件提供システムに関し、詳しくは、賃貸物件の居住者の起居を監視し、異常を検出した場合に速やかに居住者の安否確認を行うことで事故物件の発生を防ぐことができる賃貸物件提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、核家族化や高齢化に伴って、高齢者の一人暮らしが増加している。高齢者の場合、たとえ健康であったとしても、賃貸物件の賃貸借契約において保証人を立てないと不動産会社が契約を敬遠する場合が多い。これは、身寄りのない高齢者の一人暮らしにおける孤独死が社会問題となっており、孤独死した物件は事故物件となり、孤独死後の賃貸物件の原状回復のための費用が高額になるためである。
【0003】
一方、少子高齢化に伴う人口の減少により、都市部における一般の賃貸借契約のアパートやマンションでは空き部屋が増加(つまり、空き家率の増加)しており、不動産管理会社が空き部屋を埋めるために苦慮している。また、一人暮らしの高齢者の場合、田舎よりも公共交通機関が発達した都市部の方が病院の数も多く通院も便利であるため、高齢者にとって住みやすい環境であるといえる。
【0004】
そこで、高齢者が一人暮らしをするための賃貸借契約を家主側も安心して行うことを可能とするために、賃貸用住居内で居住する高齢者の安否を確認し、高齢者の安否に異常がある場合に予め登録された連絡先へ通報する安否確認通報部と、賃貸用住居の賃料をクレジット決済する家賃保証部等を備えた不動産賃貸システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている不動産賃貸システムは、家賃等の保証があるため、賃貸借契約を家主側も安心して行うことはできるが、高齢者やその家族がクレジットカード契約を行っていることが前提条件となっている。つまり、身寄りがなくクレジットカードを所持しない高齢者は契約することができない。
【0007】
さらに、居住する高齢者の健康をチェックする機能や起居を検出する複数のセンサ等の設置が必要となるため、不動産賃貸システムを構成するための住居改装の費用が高額となる。当然のことながらこの費用は家賃に反映されるため、家賃が高額となり少ない年金や生活保護の受給者である低所得で単身の高齢者は契約することが困難である。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために、一人暮らしの高齢者が低家賃で住むことができ、なおかつ、安価な設備で高齢者の起居を検出し、起居が検出されない居住者の安否を速やかに確認することで、高齢者等の居住者が安心して住める賃貸物件提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、賃貸物件を所有する家主、又は、前記家主から前記賃貸物件の管理を委託された不動産管理会社と、前記賃貸物件の居住者の安否を管理するシステム管理会社と、前記賃貸物件をリフォームするリフォーム会社と、により構成される賃貸物件提供システムであって、前記リフォーム会社は、前記居住者の起居を検出する起居検出手段を前記賃貸物件に設置し、前記起居検出手段は、前記賃貸物件において所定時間前記居住者の起居を検出できなかった場合に警報を前記システム管理会社に送信し、前記システム管理会社は、前記起居検出手段からの警報を受信すると、通信手段により前記居住者の安否を確認する第1安否確認を行うとともに、前記第1安否確認で前記居住者の安否を確認できなかった場合は、前記システム管理会社自ら、又は、前記家主又は前記不動産管理会社に依頼して、前記賃貸物件を訪問して前記居住者の安否を確認する第2安否確認を実行することを特徴とする賃貸物件提供システムとした。
【0010】
また、前記起居検出手段は、前記居住者の起居を検出可能な人感センサと、前記居住者の起居の有無を監視する制御部と、前記制御部で所定時間前記居住者の起居を検出しない状態を検出すると、警報を前記システム管理会社に通報する通信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記リフォーム会社は、前記賃貸物件をリフォームする際にバリアフリーの工事も同時に行うことを特徴とする。
【0012】
また、前記システム管理会社は、契約した警備会社に、前記第2安否確認を依頼することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リフォーム会社が集合住宅(アパートやマンション等)の賃貸物件に設置した一人暮らしの高齢者(以下、居住者という)の起居を検出する起居検出手段により、所定時間(例えば、24時間)居住者の起居を検出しない状態を検出すると、起居検出手段よりシステム管理会社に警報が送信される。そして、警報を受信したシステム管理会社は、まず、第1安否確認として、警報を受信した賃貸物件の居住者と通信手段(予め登録している携帯電話や固定電話)による通話により居住者の安否確認を行う。そして、この第1安否確認で居住者の安否を確認できなかった場合は、システム管理会社自ら、又は、家主又は不動産管理会社に依頼して、賃貸物件を訪問して居住者の安否を確認する第2安否確認により居住者の安否を確認する。
【0014】
一般に、賃貸物件に新しい居住者が引っ越す場合は、前の居住者が入居する前の状態にリフォーム業者により賃貸物件はリフォーム(原状回復)される。そして、このタイミングでリフォーム業者は賃貸物件に起居検出手段を設置する。これにより、居住者が入れ替わるタイミングで、一人暮らしの高齢者等の居住者が安心して生活することができる賃貸物件にリフォームすることができる。また、集合住宅毎のリフォーム時に、リフォーム業者は全ての賃貸物件に起居検出手段を設置してもよい。これにより、一人暮らしの高齢者等の居住者が安心して生活することができる賃貸物件の集合住宅とすることができる。さらに、リフォーム業者は、賃貸物件に対してリフォームや起居検出手段の設置を行うだけではなく、賃貸物件をバリアフリーにする工事を行い、高齢者や障害者が住みやすいように賃貸物件のリノベーションを行ってもよい。
【0015】
また、起居検出手段は、居住者の起居を検出可能な人感センサと、居住者の起居の有無を監視する制御部と、この制御部で所定時間(例えば、24時間)居住者の起居を検出しない状態を検出すると、システム管理会社に警報として通報する通信手段とを最低限備えている。そして、上記構成を一つの筐体に組み込んで、賃貸物件の居住者を確実に検出できる場所(例えば、トイレの出入口、玄関や台所等)に設置される。さらに、一つの筐体として構成された起居検出手段は、家庭用電源から電源を供給して電源をONするだけで自動的に起動する機能を有することが望ましい。
【0016】
上述した構成の本発明によれば、安価な設備(起居検出手段)を賃貸物件に設置するだけで、居住者が一人暮らしの高齢者等であった場合でも、居住者の起居を確実に検出して安否を確認することできるので、一人暮らしの高齢者等が安心して住むことができる。また、安価な構成の起居検出手段を用いることで、設備投資に金額がかからず、安価な家賃の賃貸物件を提供することができる。つまり、一人暮らしの高齢者等の起居を監視して安否を確実に確認することで、孤独死を含む居住者の異変を早期発見することができ、事故物件の発生を可及的に低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の賃貸物件提供システムの構成を示す図である。
【
図2】本実施形態の賃貸物件提供システムの概要を説明する図である。
【
図3】本実施形態の賃貸物件提供システムのシステム管理会社の管理端末の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態の賃貸物件提供システムの起居検出手段である起居検知センサの電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態の賃貸物件提供システムの流れを説明するフローチャートである。
【
図6】本実施形態の賃貸物件提供システムのシステム管理会社の管理端末の表示手段に表示される居住者の監視状態の表示例を示す図である。
【
図7】本実施形態の賃貸物件提供システムの変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、賃貸物件を所有する家主、又は、前記家主から前記賃貸物件の管理を委託された不動産管理会社と、前記賃貸物件の居住者の安否を管理するシステム管理会社と、前記賃貸物件をリフォームするリフォーム会社と、により構成される賃貸物件提供システムであって、前記リフォーム会社は、前記居住者の起居を検出する起居検出手段を前記賃貸物件に設置し、前記起居検出手段は、前記賃貸物件において所定時間前記居住者の起居を検出できなかった場合に警報を前記システム管理会社に送信し、前記システム管理会社は、前記起居検出手段からの警報を受信すると、通信手段により前記居住者の安否を確認する第1安否確認を行うとともに、前記第1安否確認で前記居住者の安否を確認できなかった場合は、前記システム管理会社自ら、又は、前記家主又は前記不動産管理会社に依頼して、前記賃貸物件を訪問して前記居住者の安否を確認する第2安否確認を実行することを特徴とする賃貸物件提供システムに関するものである。
【0019】
以下、本実施形態に係る賃貸物件提供システムの一例について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の賃貸物件提供システムの構成を示す図である。
図2は、本実施形態の賃貸物件提供システムの概要を説明する図である。
図3は、本実施形態の賃貸物件提供システムのシステム管理会社の管理端末の電気的構成を示すブロック図である。
図4は、本実施形態の賃貸物件提供システムの起居検出手段である起居検知センサの電気的構成を示すブロック図である。
図5は、本実施形態の賃貸物件提供システムの流れを説明するフローチャートである。
図6は、本実施形態の賃貸物件提供システムのシステム管理会社の管理端末の表示手段に表示される居住者の監視状態の表示例を示す図である。
図7は、本実施形態の賃貸物件提供システムの変形例の構成を示す図である。
【0020】
なお、以下の説明では、複数の集合住宅からなる賃貸物件を所持する家主又は当該家主から賃貸物件の管理を委託されている不動産管理会社、本システムを管理運用するシステム管理会社、賃貸物件のリフォームを行う際に居住者の起居を検出する起居検出手段の設置を担うリフォーム会社から構成された賃貸物件提供システムを一例として説明する。なお、家主又は不動産管理会社としては、家主から賃貸物件の管理を委託されている不動産管理会社とする。
【0021】
[1.賃貸物件提供システムの構成]
図1に示すように、賃貸物件提供システム1は、この賃貸物件提供システム1のシステム管理会社100が管理する管理端末10と、賃貸物件提供システム1に登録している複数の賃貸物件200にそれぞれ設置されている起居検出手段としての起居検出センサ20と、リフォーム会社300が管理するリフォーム端末30と、不動産管理会社400が管理する不動産端末40とにより構成されている。それぞれの端末と起居検出センサ20は、公衆通信回線網60を介してそれぞれ相互に通信可能に接続されている。
【0022】
管理端末10、リフォーム端末30及び不動産端末40としては、周知のパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)が好適に用いられる。なお、周知のパソコンとしては、据え置き型のデスクトップパソコン等が好適に用いられるが、公衆通信回線網60を介して相互に通信可能な機能を備えたものであればよい。また、起居検出センサ20は、本システムの為に開発された専用機器であり、居住者の起居を検出可能な人感センサ(例えば、赤外線センサ)と、居住者の起居の検出の有無を監視する制御部と、この制御部で所定時間(例えば、24時間)居住者の起居を検出しない状態を検出すると管理端末10に警報を送信する通信手段を最低限備えたものである。公衆通信回線網60は、周知のインターネット回線、携帯電話通信回線、電話回線、通信衛星回線、近距離無線通信(Wi-Hi(登録商標)、Bluetooth(登録商標))等である。
【0023】
システム管理会社100は、集合住宅(アパートやマンション)の賃貸物件200に設置された起居検出センサ20が居住者の起居を所定時間検出しなかった場合に、起居検出センサ20から送信される警報を管理端末10で受信する役割を担う。つまり、賃貸物件200に設置された起居検出センサ20からの警報を監視する。また、システム管理会社100は、詳細は後述するが本実施形態における第1安否確認及び第2安否確認を実行する。また、管理端末10から不動産管理会社400の不動産端末40へ第2安否確認依頼を送信(依頼)するとともに、不動産端末40から受信した第2安否確認の結果に応じて、居住者のために適切な処置を行う場合もある。
【0024】
賃貸物件200は、賃貸物件提供システム1の起居検出センサ20が設置されている。起居検出センサ20は、賃貸物件200に居住する居住者の起居を確実に検出できる場所(例えば、トイレの出入口、玄関や台所等)に設置される。さらに、起居検出センサ20は、コンパクトな筐体内に、居住者の起居を検出可能な人感センサ(赤外線センサ)と、居住者の起居の有無を監視する制御部と、居住者の起居を検出しない状態が所定時間(例えば、24時間)に達すると警報を管理端末10に送信する通信手段とを内蔵している。また、起居検出センサ20は、家庭用電源から電源を供給して電源をONするだけで自動的に起動する機能を有している。
【0025】
不動産管理会社400は、集合住宅(アパートやマンション)等の賃貸物件200の家主から当該賃貸物件200の管理を委託された専門業者であり、賃貸物件提供システム1の趣旨に賛同して、本システムのシステム管理会社100と予め契約を交わしている複数の業者である。不動産管理会社400は、管理する賃貸物件200をリフォームする際に、賃貸物件200への起居検出センサ20の設置を、不動産端末40を介してリフォーム会社300のリフォーム端末30に送信するとともに、賃貸物件200における居住者の起居の監視(つまり、本システムの運用)をシステム管理会社100に依頼する。なお、本実施形態においては、不動産管理会社400は、システム管理会社100から依頼された第2安否確認を実行し、第2安否確認の結果を、不動産端末40を介してリフォーム会社300のリフォーム端末30に送信する場合もある。
【0026】
リフォーム会社300は、不動産管理会社400からの依頼(不動産端末40からリフォーム端末30へのリフォーム作業の依頼)により集合住宅(アパートやマンション)等の賃貸物件200の居住者が入れ替わる際に、賃貸物件200のリフォーム(原状回復)を担当する。さらに、本実施形態においては、このリフォーム会社300が不動産管理会社400からの依頼により、賃貸物件200に起居検出センサ20を設置する業務も担う。さらに、賃貸物件200に設置された起居検出センサ20のメンテナンス等の業務も行う。ここで、リフォーム会社300が取り扱う起居検出センサ20は、本実施形態の専用の機器であり、例えば、電子機器の専門のメーカに開発・製造を依頼し、小型の筐体に必要な機能を一体に備えたできるだけ安価な機器とすることが望ましい。
【0027】
[2.賃貸住宅提供システムの概要]
以下、上記構成を備えた本実施形態の賃貸物件提供システム1の概要を、
図2を参照して説明する。なお、以下の説明では、一例として、一つの賃貸物件200に居住する居住者の安否確認として説明するが、本実施形態の賃貸物件提供システム1は、複数の賃貸物件200の居住者の安否確認を行うことができるものである。
【0028】
図2に示すように、賃貸物件提供システム1に賛同する不動産管理会社400の不動産端末40から、リフォーム会社300のリフォーム端末30に対して、該当する賃貸物件200の「(1)リフォーム及びセンサの設置依頼」を送信する。上述したように、不動産管理会社400は、管理する賃貸物件200の居住者が入れ替わる際のリフォーム時に、賃貸物件200への起居検出手段としての起居検出センサ20の設置を、不動産端末40を介してリフォーム会社300のリフォーム端末30に送信する。なお、賃貸物件提供システム1では、システム管理会社100又はリフォーム会社300が、安い賃貸料金で一人暮らしの高齢者も安心して住める賃貸物件を提供するという賃貸物件提供システム1の特徴(利点)を積極的に複数の不動産管理会社400にアピールして、賛同する不動産管理会社400を募集する。
【0029】
不動産管理会社400から「(1)リフォーム及びセンサの設置依頼」を受信したリフォーム会社300は、該当する賃貸物件200の「(2)リフォーム及びセンサ設置」する作業を行う。つまり、リフォーム会社300は、該当する賃貸物件200のリフォーム(現状回復)を行うとともに、リフォーム会社300が取り扱う本実施形態の専用の機器である起居検出センサ20を賃貸物件200の所定位置(居住者の起居を検出できる位置)に設置する。また、リフォーム会社300は起居検出センサ20の各種初期設定を行うとともに、管理端末10との通信状態等の起動状態を確認する。
【0030】
不動産管理会社400は、リフォーム後の賃貸物件200に新しい居住者の入居が決まると、新しい居住者の引っ越し後に起居検出センサ20を起動する。上述したように、本実施形態における起居検出センサ20は、家庭用電源から電源を供給して電源をONするだけで簡単に自動的に起動する機能を有するものであるため、不動産管理会社400にとっても起動する操作が容易である。これにより、起居検出センサ20は賃貸物件200の居住者の起居を常時監視することになる。そして、起居検出センサ20は、所定時間(例えば、24時間)居住者の起居を検出しない状態を検出すると、システム管理会社100の管理端末10に「(3)警報発信」する。つまり、居住者の異常(不在)をシステム管理会社100の管理端末10に発信する。
【0031】
基本的には、システム管理会社100の管理端末10は、賃貸物件200に設置された起居検出センサ20からの警報の受信(つまり、起居検出センサ20からの警報の監視)をメインとする。また、システム管理会社100の管理端末10は、起居検出センサ20が検出した賃貸物件200における居住者の起居を起居検出信号として受信することもできる。そして、詳細は後述するが、受信した起居検出信号に基づいて、集合住宅等の賃貸物件200に居住する居住者の起居状態を集合住宅毎に管理端末10の表示手段(液晶表示装置等)に表示(
図6参照)することで、システム管理会社100において、集合住宅毎に賃貸物件200に居住する居住者の起居状態を監視することもできる。
【0032】
起居検出センサ20からの警報を受信したシステム管理会社100は、まず、第1安否確認として、警報を受信した賃貸物件の居住者と通信手段(予め登録している携帯電話や固定電話)による通話により居住者の「(4)第1安否確認」を行う。そして、居住者の安全が確認できた場合は、リフォーム会社300に対して、「(9)センサ確認依頼」を送信する。すなわち、居住者の安否に異常が無く警報が発信された場合は、起居検出センサ20に不具合(装置の故障、通信障害、設置位置等)があると判断して、リフォーム会社300に対して、起居検出センサ20の交換を含む点検を依頼する。そして、リフォーム会社300からの点検結果が報告されるまで、警報を送信した起居検出センサ20の監視を一時休止する。
【0033】
一方、この第1安否確認で居住者の安否を確認できなかった場合は、システム管理会社100は、第2安否確認として、該当する賃貸物件200を訪問して居住者と直接面会を試みて安否を確認する「(5)第2安否確認」を実行する。そして、その内容に応じて、該当する賃貸物件200に居住者が不在(つまり、長時間の外出)の場合は、不動産管理会社400等への「(10)関係各所に連絡」することにより、例えば、不動産管理会社400が警察に捜索願を提出することにより、居住者の所在の発見・保護に努める。このとき、システム管理会社100は居住者に緊急事態(病気、怪我等による意識不明等)を発見した場合は、救急車を呼ぶ等、消防や警察に緊急通報を行うとともに、不動産管理会社400等への「(10)関係各所に連絡」を行う。
【0034】
また、本実施形態においては、システム管理会社100は、第2安否確認を不動産管理会社400に依頼する場合もある。これは、第2安否確認としては、該当する賃貸物件200を訪問して居住者と直接面会して安否を確認するために、該当する賃貸物件200に侵入する必要があるためである。一般に、賃貸物件200の部屋の鍵(マスターキー等)は、不動産管理会社400が一括して管理している。このため、賃貸物件200の部屋の鍵を不動産管理会社400から借り受けることができた場合は、システム管理会社100が第2安否確認を実行し、賃貸物件200の部屋の鍵を不動産管理会社400から借り受けることができなかった場合は、システム管理会社100は、第2安否確認の実行を、不動産管理会社400に依頼する。
【0035】
不動産管理会社400が第2安否確認を実行する場合は、システム管理会社100は、不動産管理会社400の不動産端末40に「(6)第2安否確認依頼」を送信する。第2安否確認依頼を受信した不動産管理会社400は、第2安否確認として、該当する賃貸物件200を訪問して居住者と直接面会を試みて安否を確認する「(7)第2安否確認」を実行する。そして、第2安否確認の結果を「(8)第2安否確認結果報告」として、不動産端末40を介してシステム管理会社100の管理端末10に送信(報告)する。このとき、不動産管理会社400は、居住者に緊急事態(病気、怪我等による意識不明等)を発見した場合は、救急車を呼ぶ等、消防や警察に緊急通報を行う。
【0036】
不動産管理会社400から「(8)第2安否確認結果報告」を受信したシステム管理会社100は、その内容に応じて、該当する賃貸物件200に居住者が不在(つまり、長時間の外出)の場合は、不動産管理会社400等の関係各所と連絡を取って、例えば、不動産管理会社400が警察に捜索届を提出することで、居住者の捜索・保護を図る。また、居住者の安全が確認できた場合は、システム管理会社100は、リフォーム会社300に対して、「(9)センサ確認依頼」を送信する。すなわち、居住者の安否に異常が無く警報が発信された場合は、起居検出センサ20に不具合(装置の故障、通信障害、設置位置等)があると判断して、リフォーム会社300に対して、起居検出センサ20の交換を含む点検を依頼する。そして、リフォーム会社300からの起居検出センサ20の点検終了及び正常動作が報告されるまで、警報を送信した起居検出センサ20の監視を一時休止する。
【0037】
ここで、本実施形態の賃貸物件200の居住者が旅行等で所定時間以上、賃貸物件200を不在にする場合は、システム管理会社100へ外出の予定(旅行の日時等)を予め連絡(届け出)することが望ましい。この場合は、外出の予定(旅行の日時等)の間、システム管理会社100の管理端末10から起居検出センサ20へ起居の監視を停止する信号を送信して警報を発信することが無いようにする機能を有することが望ましい。
【0038】
ここで、本実施形態の賃貸物件提供システム1の起居検出センサ20は、所定時間(例えば、24時間)居住者の起居を検出しない状態を検出すると、システム管理会社100の管理端末10に警報を発信するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第1所定時間(例えば、12時間)と、第1所定時間よりも相対的に長い第2所定時間(例えば、24時間)を設定し、それぞれの所定時間(第1所定時間及び第2所定時間)居住者の起居を検出しない状態を検出すると、システム管理会社100の管理端末10にそれぞれ警報を発信するようにしてもよい。また、システム管理会社100は、第1所定時間に基づいた警報を受信した場合に第1安否確認を行い、第2所定時間に基づいた警報を受信した場合に第2安否確認を行うように構成することもできる。なお、起居検出センサ20が警報を送信する監視時間(所定時間、第1所定時間及び第2所定時間)は、賃貸物件200の居住者の生活サイクルに応じて、起居検出センサ20において適宜に変更可能とすることが望ましい。
【0039】
ここで、本発明は、リフォーム会社300を営む本願出願人が、賃貸物件200の空き家率の増加に苦慮している都市部の賃貸物件200を所有する家主又は不動産管理会社400のために考案したものである。つまり、本実施形態の賃貸物件提供システム1は、従来好適な顧客(居住者)とみなされなかった一人暮らしの高齢者でも安心して住める賃貸物件200を提供することで、集合住宅(アパートやマンション)である賃貸物件200の空き家率の低減を図ったものである。
【0040】
そして、上述した実施形態では、リフォーム会社300とは別途システム管理会社100を設け、賃貸物件200の居住者の第1安否確認及び第2安否確認を、このシステム管理会社100が行うように構成している。しかしながら、システム管理会社100が管理する賃貸物件200が小規模(つまり、数が少ない)な場合、例えば、賃貸物件200が1棟の集合住宅の6部屋だけの小規模な場合は、リフォーム会社300がシステム管理会社100の機能を兼ねてもよい。
【0041】
このようにすることで、より効率の良い賃貸物件提供システム1を構成することができる。なお、管理する賃貸物件200が大規模(つまり、数が多い)、かつ、所在地等も広域に分散していた場合は、当然のことながら、賃貸物件200の居住者の安否を専門に管理(監視)するシステム管理会社100を設けることが好適である。さらに、この場合は、システム管理会社100のみならずリフォーム会社300も複数の業者で構成してもよい。
【0042】
[3.管理端末の電気的構成]
以下、
図3を参照して、本実施形態の賃貸物件提供システム1における管理端末10の電気的構成を説明する。
図3に示すように、管理端末10は、記憶部11、入出力制御部12、制御部13、外部通信制御部14などから構成されている。
【0043】
記憶部11は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の大容量記憶装置により構成されている。この記憶部11には、本実施形態の起居検出センサ20が設置された賃貸物件200の住所や間取り等の賃貸物件情報、賃貸物件200の居住者の連絡先(電話番号、メールアドレス等)や関係各所の連絡先(電話番号、メールアドレス等)の連絡先情報が記憶されている。
【0044】
入出力制御部12は、管理端末10に接続されている図示しない表示手段(例えば、液晶表示装置)や、キーボード/マウスなどの外部入出力装置との通信を制御する。
【0045】
制御部13は、図示しないCPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどで構成されている。また、この制御部13のCPUは、ROM又は記憶部11に予め記憶されている各種プログラムを実行することにより、本実施形態における居住者の安否確認処理(第1安否確認、第2安否確認)として機能することになる。
【0046】
外部通信制御部14は、外部の公衆通信回線網60と接続され、制御部13の指示に基づいて、賃貸物件提供システム1における複数の起居検出センサ20、リフォーム端末30、不動産端末40との通信を制御する。
【0047】
[4.起居検出センサの電気的構成]
以下、
図4を参照して、本実施形態の賃貸物件提供システム1における起居検出センサ20の電気的構成を説明する。
図4に示すように、起居検出センサ20は、記憶部21、人感センサとしての赤外線センサ22、制御部23、外部通信制御部24などから構成されている。
【0048】
記憶部21は、フラッシュメモリ等の大容量記憶装置により構成されている。この記憶部21には、上述した起居検出センサ20における管理端末10との通信履歴(警報発信時の日時)等の各種情報が記憶されている。
【0049】
赤外線センサ22は、本実施形態の人感センサとして機能するものであり、人間(居住者)の起居を確実に感知する性能を有するものが好適に用いられる。そして、居住者を検出するとその旨制御部23に送信する。なお、人感センサとしては、赤外線センサに限定されるものではなく、例えば、ドップラーセンサを応用した技術で、マイクロ波を居住者に放射し反射してきた電波の周波数を比較することより居住者に触れることなく、居住者のバイタル情報を取得することができる非接触型バイタルセンサ等を用いてもよい。
【0050】
制御部23は、図示しないCPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどで構成されている。また、この制御部13のCPUは、ROM又は記憶部11に予め記憶されている各種プログラムを実行することにより、本実施形態における各種手段(警報発信処理)として機能することになる。
【0051】
外部通信制御部24は、外部の公衆通信回線網60と接続され、制御部13の指示に基づいて、賃貸物件提供システム1における管理端末10との通信を制御する。
【0052】
[5.賃貸物件提供システムの流れの概要]
以下、本実施形態の賃貸物件提供システム1を構成する各端末(管理端末10、リフォーム端末30、不動産端末40)及び起居検出センサ20の処理の流れの概要を、
図5を参照して説明する。なお、以下の説明では、一例として、一つの賃貸物件200に居住する居住者の安否確認を説明するが、本システムは、複数の賃貸物件200の居住者の安否確認を同時に行うものである。
【0053】
図5に示すように、まず、不動産管理会社400は、不動産端末40からリフォーム会社300のリフォーム端末30に対して、該当する賃貸物件200への起居検出センサ20の設置依頼を送信する(ステップS01)。上述したように、不動産管理会社400は、管理する賃貸物件200の居住者が入れ替わる際のリフォーム時に、賃貸物件200への起居検出センサ20の設置を、不動産端末40を介してリフォーム会社300のリフォーム端末30に送信する。この処理が、
図2に示す「(1)リフォーム及びセンサ設置依頼」に相当する。
【0054】
不動産管理会社400の不動産端末40から該当する賃貸物件200への起居検出センサ20の設置依頼を、リフォーム端末30を介して受信(ステップS02)したリフォーム会社300は、賃貸物件200をリフォーム(原状回復)するとともに、本実施形態の専用の機器である起居検出センサ20を賃貸物件200の所定位置(居住者の起居を検出できる位置)に設置する(ステップS03)。このとき、リフォーム会社300は起居検出センサ20の各種初期設定を行うとともに、システム管理会社100の管理端末10との通信状態を確認する。この処理が、
図2に示す「(2)リフォーム及びセンサ設置」に相当する。
【0055】
設置された賃貸物件200に居住者が入居すると、起居検出センサ20が起動されて居住者の起居を監視する(ステップS04)。起居検出センサ20(制御部23)は、居住者の起居を所定時間(例えば、24時間)未検出か否かを判断する(ステップS05)。そして、起居検出センサ20は、居住者の起居を所定時間(例えば、24時間)未検出ではないと判別(ステップS05:No)した場合は、ステップS05の処理を繰り返す。一方、居住者の起居を所定時間(例えば、24時間)未検出であると判別(ステップS05:Yes)した場合は、ステップS06へ処理を移す。起居検出センサ20は、システム管理会社100の管理端末10に警報を発信する(ステップS06)。つまり、居住者の異常(長時間の未検出)をシステム管理会社100の管理端末10に警報として発信する。この処理が、
図2に示す「(3)警報発信」に相当する。
【0056】
起居検出センサ20からの警報を受信(ステップS07)したシステム管理会社100の管理端末10は、第1安否確認を行う(ステップS08)。つまり、警報を発信した起居検出センサ20が設置されている賃貸物件200の居住者と通信手段(予め登録している携帯電話や固定電話)による通話により安否を確認する第1安否確認を行う。この処理が、
図2に示す「(4)第1安否確認」に相当する。管理端末10は、居住者の安否確認できたか否かを判断(ステップS09)し、居住者の安全を確認できなかったと判別した場合(ステップS09:No)は、ステップS10に処理を移す。一方、居住者の安全を確認できたと判別した場合(ステップS09:Yes)は、ステップS16へ処理を移す。
【0057】
管理端末10は、不動産管理会社400の不動産端末40に第2安否確認依頼を送信するか否かを判断(ステップS10)し、不動産管理会社400に第2安否確認依頼を送信しないと判別した場合(ステップS10:No)、管理端末10は、第2安否確認を行う(ステップS11)。つまり、警報を発信した起居検出センサ20が設置されている賃貸物件200に担当者を派遣し、居住者と直接面会して安否を確認する第2安否確認を行う。この処理が、
図2に示す「(5)第2安否確認」に相当する。
【0058】
一方、不動産管理会社400に第2安否確認依頼を送信すると判別した場合(ステップS10:Yes)、管理端末10は、不動産管理会社400の不動産端末40に第2安否確認依頼を送信する。この処理が、
図2に示す「(6)第2安否確認依頼」に相当する。管理端末10から第2安否確認依頼を受信した不動産管理会社400の不動産端末40は、該当する賃貸物件200の担当者に指示して、該当する賃貸物件200を訪問して居住者と直接面会して安否を確認する第2安否確認を行う(ステップS12)。この処理が、
図2に示す「(7)第2安否確認」に相当する。不動産管理会社400の不動産端末40は、第2安否確認の結果報告を管理端末10に送信する(ステップS13)。この処理が、
図2に示す「(8)第2安否確認結果報告」に相当する。このとき、不動産管理会社400は居住者に緊急事態(病気、怪我等による意識不明等)を発見した場合は、救急車を呼ぶ等、消防や警察に緊急通報を行う。
【0059】
本実施形態においては、上述したように、警報を発信した賃貸物件200の部屋の鍵(マスターキー等)を、不動産管理会社400から借り受けることができた場合(つまり、システム管理会社100が管理している場合)は、システム管理会社100が第2安否確認を実行し、賃貸物件200の部屋の鍵を不動産管理会社400から借り受けることができなかった場合(つまり、不動産管理会社400が管理している場合)は、システム管理会社100は、第2安否確認の実行を不動産管理会社400に依頼する。
【0060】
管理端末10は、システム管理会社100自ら実行した、又は、不動産管理会社400が実行した第2安否確認の結果に基づいて、居住者の安否確認できたか否かを判断(ステップS14)し、居住者の安全を確認できなかったと判別した場合(ステップS14:No)は、ステップS15に処理を移す。一方、居住者の安全を確認できたと判別した場合(ステップS14:Yes)は、ステップS16へ処理を移す。
【0061】
管理端末10は、第2安否確認の結果が該当する賃貸物件200の居住者に異常(例えば、意識不明等の緊急事態や無届での長時間の不在)を検出の場合は、居住者の異常発生を関係各所に報告する(ステップS15)。この処理が、
図2に示す「(10)関係各所に連絡」に相当する。そして、居住者の異常発生を受信した不動産管理会社400は、居住者の異常に応じて、例えば、無届での長時間の不在の場合は、警察に捜索願を提出することで、行方不明の居住者の捜索・保護を図る。
【0062】
管理端末10は、居住者の安全が確認できた場合は、リフォーム会社300のリフォーム端末30に対して、起居検出センサ20の点検依頼を送信する(ステップS16)。この処理が、
図2に示す「(9)センサ確認依頼」に相当する。すなわち、居住者の安否に異常が無く警報が発信された場合は、起居検出センサ20に不具合(装置の故障、通信障害、設置位置等の不備)があると判断して、リフォーム会社300に対して、起居検出センサ20の点検(交換を含む)を依頼する。そして、システム管理会社100の管理端末10は、リフォーム会社300からの起居検出センサ20の正常動作が報告されるまで、起居検出センサ20からの警報の受信を一旦停止(又は、自動リセット)する。
【0063】
リフォーム端末30は、管理端末10からの起居検出センサ20の点検依頼を受信(ステップS17)すると、リフォーム会社300の作業員は、該当する賃貸物件200に赴いて、設置されている起居検出センサ20の点検を実行する(ステップS18)。この起居検出センサ20の点検(交換を伴う)では、起居検出センサ20の各種初期設定やシステム管理会社100の管理端末10との通常状態の確認も同時に行う。この処理が終了すると、リフォーム会社300のリフォーム端末30から起居検出センサ20が正常であることをシステム管理会社100の管理端末10に送信する。これを受けた管理端末10は、該当する起居検出センサ20からの警報の受信を再開する。また、起居検出センサ20は、上述したステップS04からの起居検出センサ20による居住者の起居の監視処理に戻る。
【0064】
本実施形態の賃貸物件提供システム1によれば、賃貸物件200に起居検出センサ20を設置するだけで、一人暮らしの高齢者等の居住者でも安心して暮らすことができるとともに、万が一事故(孤独死等)が発生した場合でも早期発見ができるため、賃貸物件200に補修に係る費用を低く抑えることができる。これにより、少子高齢化に伴う人口の減少により、都市部における一般の賃貸契約のアパートやマンション等における空き部屋の増加を可及的に低く抑えることができる。また、一人暮らしの高齢者においては、田舎よりも公共交通機関が発達した都会の方が病院も多く通院も便利であるため、高齢者にとって良好な居住環境の賃貸物件200を提供することができる。
【0065】
なお上述した実施形態は、あくまで最低限の環境で、賃貸物件提供システム1を実現させるための一例であり、例えば、リフォーム会社等において、リフォームする際に、一人暮らしの高齢者が暮らし易くなるように最低限のバリアフリー工事等のリノベーションを行うことで、一人暮らしの高齢者だけではなく、例えば、障害者や高齢者でなくても持病持ちの居住者等にとっても安心して住みやすい環境の賃貸物件200を提供することが可能となる。
【0066】
[6.賃貸物件提供システムの管理端末の表示手段の表示例]
以下、
図6を参照して、本実施形態における賃貸物件提供システム1のシステム管理会社100の管理端末10の表示手段に表示される居住者の監視状態の表示例を説明する。なお、以下の説明では、居住者を一人暮らしの高齢者を全て男性とし、1階3部屋、2階3部屋の合計6部屋の賃貸物件200で構成されたアパートの全部屋を監視している状態を一例として説明する。また、全部屋には起居検出手段である起居検出センサ20がそれぞれ設置されており、この起居検出センサ20で検出した居住者の起居の検出状態を管理端末10の表示手段に表示している。
【0067】
図6に示すように、システム管理会社100の管理端末10の表示装置110には、「○○アパート居住者監視画像」が最上部中央に表示され、その下方に、部屋毎の監視状態を表示する小ウィンド201が1階3部屋、2階3部屋の合計6部屋分上下2段で表示されている。部屋毎の小ウィンド201内には、上部から下部に、部屋番号202、居住者氏名203、検出レベル204、検出数値205、設置位置206の順で表示されている。
【0068】
部屋番号202は、全6部屋の賃貸物件200に付されている部屋番号である。居住者氏名203は、部屋に居住する居住者の氏名である。検出レベル204は、各部屋に設置されている起居検出センサ20で検出した居住者の起居の検出状態である。上述したように、起居検出センサ20は、賃貸物件200における居住者の起居を検出すると起居検出信号としてシステム管理会社100の管理端末10に送信する。管理端末10は、所定時間(例えば、24時間)における起居検出センサ20から起居検出信号を受信した割合を検出レベル204として表示する。検出数値205は、前記検出レベル204を数値化したものであり、最大100%とし、所定時間に占める起居検出センサ20が居住者の起居を検出した割合を小数点以下2桁までパーセンテージで表示している。設置位置206は、部屋に設置されている起居検出センサ20の設置位置(取付位置)である。
【0069】
上述したシステム管理会社100の管理端末10の表示装置110(液晶表示装置等)に表示される「○○アパート居住者監視画像」によれば、警報(所定時間の居住者の未検出)を受信していなくても居住者の起居を総合的に監視することができる。ここで、本実施形態における賃貸物件200は、主に一部屋(1DK、1LDK)で構成され、大きくとも二部屋(2DK、2LDK)を想定している。そして、起居検出センサ20に搭載されている人感センサは、設置位置(取付位置)によっては、例えば、寝室からトイレ、リビングから台所というように、部屋内においてかなりの広範囲で居住者の起居を検出できる機能を有している。
【0070】
図6における102号室や201号室においては、他の部屋と比較して検出レベル204(検出数値205)の数値が低い。そして、所定の数値(例えば、検出数値205が60%)以下の場合、検出数値205の右横に注意マーク205aが併せて表示される。このように、他の部屋と比較して検出数値205の数値が所定の数値(例えば、検出数値205が60%)以下の場合、検出数値205の右横に注意マーク205aを表することで、例えば、システム管理会社100の管理端末10を管理運用する担当者に対して注意を喚起することができる。
【0071】
これにより、警報(つまり、居住者の不在を検出していない)を受信しない賃貸物件200であっても、極端に検出数値205が低い場合は、居住者の異常(怪我や病気)を疑うことができ、警報を受信する前に第1安否確認で居住者の安否の確認を積極的に行うことで、後の居住者の重大な異常(意識不明等)を防止することができる。また、居住者の起居に変化が無くても、極端に検出数値205が低い場合は、賃貸物件200における起居検出センサ20の設置位置が賃貸物件200における居住者の生活動線と合っていない可能性もあるため、起居検出センサ20の設置位置の変更を検討する根拠とすることができる。
【0072】
[7.賃貸物件提供システムの変形例の構成]
以下、賃貸物件提供システム1の変形例を説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様に、複数の集合住宅からなる賃貸物件200を所持する家主から賃貸物件の管理を委託されている不動産管理会社400、本システムの運用を依頼されたシステム管理会社100、賃貸物件のリフォームを行う際に居住者の起居を検出する起居検出手段としての起居検出センサ20の設置を担うリフォーム会社300に加え、第2安否確認を専門に行う警備会社500から構成された賃貸物件提供システム1を一例として説明する。
【0073】
図7に示すように、変形例における賃貸物件提供システム1は、この賃貸物件提供システム1のシステム管理会社100が管理する管理端末10と、賃貸物件提供システム1に登録している複数の賃貸物件200にそれぞれ設置されている起居検出手段としての起居検出センサ20と、リフォーム会社300が管理するリフォーム端末30と、不動産管理会社400が管理する不動産端末40と、この変形例において新たに加えられた警備会社500が管理する警備端末50とにより構成されている。それぞれの端末と起居検出センサ20は、公衆通信回線網60を介してそれぞれ相互に通信可能に接続されている。
【0074】
なお、以下の説明では、上述した実施形態とは異なる構成のみ説明し、同じ構成は省略する。すなわち、システム管理会社100の管理端末10、賃貸物件200の起居検出センサ20、リフォーム会社300のリフォーム端末30、不動産管理会社400の不動産端末40、公衆通信回線網60の構成及び機能は、上述した実施形態と同様なものであるため、説明は省略する。
【0075】
変形例における新たな構成である警備会社500は、賃貸物件提供システム1のシステム管理会社100と予め契約を交わしている複数の専門業者であり、第2安否確認を専門に行う周知の警備会社である。警備会社500が管理する警備端末50は、周知のパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)が好適に用いられる。なお、周知のパソコンとしては、据え置き型のデスクトップパソコン等が好適に用いられるが、公衆通信回線網60を介して相互に通信可能な機能を備えたものであればよい。
【0076】
賃貸物件200に設置された起居検出センサ20からの警報を受信し、警報を発信した起居検出センサ20が設置されている賃貸物件200の居住者の第1安否確認を行い、居住者の安否確認ができなかった場合、管理端末10は、警備会社500の警備端末50に第2安否確認依頼を送信する。この処理が、
図2に示す「(6)第2安否確認依頼」に相当する。管理端末10から第2安否確認依頼を受信した警備会社500の警備端末50は、警備員に該当する賃貸物件200を訪問して居住者と直接面会して安否を確認する第2安否確認を指示する。この処理が、
図2に示す「(7)第2安否確認」に相当する。
【0077】
そして、警備会社500の警備端末50は、第2安否確認の結果報告を管理端末10に送信する。この処理が、
図2に示す「(8)第2安否確認結果報告」に相当する。このとき、警備会社500は、居住者に緊急事態(病気、怪我等による意識不明等)を発見した場合は、救急車を呼ぶ等、消防や警察に緊急通報を行う。以下、管理端末10は、警備会社500の警備端末50から受信した第2安否確認結果報告に基づいて、上述した実施形態と同様な処理を行う。
【0078】
変形例における賃貸物件提供システム1は、警備会社500の警備員が警報を発信した起居検出センサ20が設置されている賃貸物件200を訪問して居住者と直接面会して安否を確認する第2安否確認を行う構成に最大の特徴を有する。このように住宅等の保守の専門業者である警備会社500に第2安否確認を依頼することで、第2安否確認を迅速かつ確実に行うことができる。なお、警備会社500は、第2安否確認を担当する賃貸物件200の部屋の鍵(マスターキー等)を、予め不動産管理会社400から借り受けて管理していることが条件となる。
【0079】
以上、上記実施形態を通して本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0080】
1 賃貸物件提供システム
10 管理端末
20 起居検出センサ
30 リフォーム端末
40 不動産端末
50 警備端末
60 公衆通信回線網
100 システム管理会社
200 賃貸物件
300 リフォーム会社
400 不動産管理会社
500 警備会社