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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056255
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20220401BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20220401BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20220401BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
H02J3/38 120
H02J3/32
H02J7/34 A
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164172
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC09
5G066AA04
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA03
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB01
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】複数の蓄電システムがそれぞれ設けられた複数のグループが存在する場合に、これらのグループの蓄電システムの制御を好適に行うことができる。
【解決手段】系統電源Kからの電力を受電可能な一括受電エリアAに設けられた電力供給システムであって、住宅負荷HLに電力を供給可能な太陽光発電部31と、太陽光発電部31の発電電力を充放電可能な蓄電池32と、を有した複数の蓄電システム21がそれぞれ設けられると共に、系統電源Kとそれぞれ接続された複数の住宅群の電気機器と、複数の住宅群の電気機器よりも系統電源K側で設けられ、系統電源Kと一括受電エリアAとの電力の流通を検出可能なスマートメータ14と、スマートメータ14により取得した情報に基づいて、各住宅群の電気機器の複数の蓄電池32の動作を制御する電力融通補正制御を実行する住宅群EMS22と、を具備する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源からの電力を受電可能なエリアに設けられた電力供給システムであって、
電力負荷に電力を供給可能な、自然エネルギーを用いて発電可能な発電部と、前記発電部の発電電力を充放電可能な蓄電池と、を有した複数の蓄電システムがそれぞれ設けられると共に、系統電源とそれぞれ接続された複数のグループと、
前記複数のグループよりも系統電源側で設けられ、系統電源と前記エリアとの電力の流通を検出可能な第一検出部と、
前記第一検出部により取得した情報に基づいて、系統電源と前記エリアとの電力の流通が所定の状態となるよう、前記各グループの複数の蓄電池の動作を制御する第一の制御を実行する制御部と、
を具備する、
電力供給システム。
【請求項2】
各グループの内外への電力の流通を検出可能な第二検出部を具備し、
前記制御部は、
前記第一の制御において、
前記系統電源から流通してくる電力が所定の値よりも大きい場合、
前記第二検出部により検出された、外側へと電力が流通するグループにおいて、充電状態である蓄電池に待機指示又は放電指示を行う、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
各グループの内外への電力の流通を検出可能な第二検出部を具備し、
前記制御部は、
前記第一の制御において、
前記系統電源から流通してくる電力が所定の値よりも大きい場合、
前記第二検出部により検出された、内側へと電力が流通するグループにおいて、充電又は待機状態である蓄電池に放電指示を行う、
請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
各グループの内外への電力の流通を検出可能な第二検出部を具備し、
前記制御部は、
前記第一の制御において、
前記系統電源へと流通する電力が所定の値よりも大きい場合、
前記第二検出部により検出された、外側へと電力が流通するグループにおいて、放電又は待機状態である蓄電池に充電指示を行う、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項5】
各グループの内外への電力の流通を検出可能な第二検出部を具備し、
前記制御部は、
前記第一の制御において、
前記系統電源へと流通する電力が所定の値よりも大きい場合、
前記第二検出部により検出された、内側へと電力が流通するグループにおいて、放電状態である蓄電池に待機指示又は充電指示を行う、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項6】
各グループの内外への電力の流通を検出可能な第二検出部を具備し、
前記制御部は、
前記第一の制御において、
前記系統電源へと流通する電力が所定の値よりも大きい場合であって、
前記複数のグループ内に、前記第二検出部により検出された、外側へと電力が流通する第一のグループと、内側へと電力が流通する第二のグループと、が混在している場合には、
まず前記第一のグループにおいて放電又は待機状態である蓄電池に充電指示を行い、次に前記第二のグループにおいて放電状態である蓄電池に待機指示又は充電指示を行う、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記各グループごとに、当該グループの内外への電力の流通が比較的小さくなるよう、前記発電部の発電電力と前記電力負荷の消費電力に基づいて前記蓄電池の動作を制御する第二の制御を実行する、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電可能な発電部と充放電可能な蓄電池とを有した複数の蓄電システムを具備する電力供給システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、太陽光発電部及び蓄電池を有した複数の蓄電システムを具備し、当該複数の蓄電システムからの電力(蓄電池の放電電力や太陽光発電部の発電電力)を電力負荷に供給可能な電力供給システムが記載されている。
【0004】
前記電力供給システムにおいては、電力負荷の消費電力に応じて、複数の蓄電システムの蓄電池のうち必要な台数の蓄電池に放電指示が行われる。これにより、太陽光発電部の発電電力だけでは電力負荷の消費電力に不足する場合に、系統電源からの電力を用いることなく、当該電力負荷の消費電力を賄うことができる。
【0005】
しかしながら、前記電力供給システムにおいては、太陽光発電部及び蓄電池を有した複数の蓄電システムを一のグループとした場合、前記一のグループとは異なる複数の蓄電システムを有した他のグループの存在を想定していない。すなわち、特許文献1に記載の技術は、太陽光発電部及び蓄電池を有した複数の蓄電システムがそれぞれ設けられた複数のグループが存在する場合に、これらのグループの蓄電システムをそれぞれどのように制御するのか開示するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-165561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、複数の蓄電システムがそれぞれ設けられた複数のグループが存在する場合に、これらのグループの蓄電システムの制御を好適に行うことができる電力供給システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、系統電源からの電力を受電可能なエリアに設けられた電力供給システムであって、電力負荷に電力を供給可能な、自然エネルギーを用いて発電可能な発電部と、前記発電部の発電電力を充放電可能な蓄電池と、を有した複数の蓄電システムがそれぞれ設けられると共に、系統電源とそれぞれ接続された複数のグループと、前記複数のグループよりも系統電源側で設けられ、系統電源と前記エリアとの電力の流通を検出可能な第一検出部と、前記第一検出部により取得した情報に基づいて、系統電源と前記エリアとの電力の流通が所定の状態となるよう、前記各グループの複数の蓄電池の動作を制御する第一の制御を実行する制御部と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、各グループの内外への電力の流通を検出可能な第二検出部を具備し、前記制御部は、前記第一の制御において、前記系統電源から流通してくる電力が所定の値よりも大きい場合、前記第二検出部により検出された、外側へと電力が流通するグループにおいて、充電状態である蓄電池に待機指示又は放電指示を行うものである。
【0011】
請求項3においては、各グループの内外への電力の流通を検出可能な第二検出部を具備し、前記制御部は、前記第一の制御において、前記系統電源から流通してくる電力が所定の値よりも大きい場合、前記第二検出部により検出された、内側へと電力が流通するグループにおいて、充電又は待機状態である蓄電池に放電指示を行うものである。
【0012】
請求項4においては、各グループの内外への電力の流通を検出可能な第二検出部を具備し、前記制御部は、前記第一の制御において、前記系統電源へと流通する電力が所定の値よりも大きい場合、前記第二検出部により検出された、外側へと電力が流通するグループにおいて、放電又は待機状態である蓄電池に充電指示を行うものである。
【0013】
請求項5においては、各グループの内外への電力の流通を検出可能な第二検出部を具備し、前記制御部は、前記第一の制御において、前記系統電源へと流通する電力が所定の値よりも大きい場合、前記第二検出部により検出された、内側へと電力が流通するグループにおいて、放電状態である蓄電池に待機指示又は充電指示を行うものである。
【0014】
請求項6においては、各グループの内外への電力の流通を検出可能な第二検出部を具備し、前記制御部は、前記第一の制御において、前記系統電源へと流通する電力が所定の値よりも大きい場合であって、前記複数のグループ内に、前記第二検出部により検出された、外側へと電力が流通する第一のグループと、内側へと電力が流通する第二のグループと、が混在している場合には、まず前記第一のグループにおいて放電又は待機状態である蓄電池に充電指示を行い、次に前記第二のグループにおいて放電状態である蓄電池に待機指示又は充電指示を行うものである。
【0015】
請求項7においては、前記制御部は、前記各グループごとに、当該グループの内外への電力の流通が比較的小さくなるよう、前記発電部の発電電力と前記電力負荷の消費電力に基づいて前記蓄電池の動作を制御する第二の制御を実行するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
本発明においては、複数の蓄電システムがそれぞれ設けられた複数のグループが存在する場合に、これらのグループの蓄電システムの制御を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
図2】制御部の接続関係を示した図。
図3】電力融通制御のうち事前設定制御を示したフローチャート。
図4】電力融通制御のうち蓄電システム動作制御を示したフローチャート。
図5】(a)第一住宅群において買電がある場合の電力の供給態様の一例を示したブロック図。(b)図5(a)に示す状態から電力融通制御を行った場合の電力の供給態様の一例を示したブロック図。
図6】(a)第一住宅群において売電がある場合の電力の供給態様の一例を示したブロック図。(b)図6(a)に示す状態から電力融通制御を行った場合の電力の供給態様の一例を示したブロック図。
図7】電力融通補正制御を行った場合の、系統電源に対する売電及び買電と、各住宅群の売電及び買電と、の補正前後の状態変化を示した図。
図8】電力融通補正制御のうち第一補正制御を示したフローチャート。
図9】電力融通補正制御のうち第二補正制御を示したフローチャート。
図10】一括受電エリアが買電状態である場合、かつ、全ての住宅群が買電状態である場合において電力融通補正制御の補正を行う前の電力の供給態様の一例を示したブロック図。
図11図10に示す状態から電力融通補正制御の補正を行った後の電力の供給態様の一例を示したブロック図。
図12】一括受電エリアが売電状態である場合、かつ、全ての住宅群が売電状態である場合において電力融通補正制御の補正を行う前の電力の供給態様の一例を示したブロック図。
図13図12に示す状態から電力融通補正制御の補正を行った後の電力の供給態様の一例を示したブロック図。
図14】全ての住宅群が売電状態である場合において、電力融通補正制御を行った場合の通常制御と補正制御との経時変化の一例を示す図。
図15】売電状態である住宅群と買電状態である住宅群とが混在している場合において、電力融通補正制御を行った場合の通常制御と補正制御との経時変化の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
【0020】
図1に示す電力供給システム1は、所定の事業者(アグリゲータ)によりエネルギー管理が行われる所定の地域(エリア)に適用される。アグリゲータは、高圧一括受電を行って、受けた電力を前記所定の地域における住宅や商業施設等の種々の需要家に供給することで、一括したエネルギー管理を行っている。なお以下では、本実施形態に係る電力供給システム1が適用された前記所定の地域を「一括受電エリアA」と称する。
【0021】
一括受電エリアAには、複数の住宅Hの集合体であって、当該複数の住宅H間で互いにエネルギー(主に電力)を融通するグループ(以下では「住宅群」と称する)が複数(本実施形態においては、5つ)設けられる。各住宅群はそれぞれ系統電源Kと接続される。各住宅群においては、使用される電力がアグリゲータから各住宅Hへ売電される。また、各住宅群で余剰した電力をアグリゲータへ販売することもできる。
【0022】
なお以下では、前記5つの住宅群を、それぞれ第一住宅群A1、第二住宅群A2、第三住宅群A3、第四住宅群A4及び第五住宅群A5と称する。また本実施形態において、5つの住宅群の構成は同一であるものとする。そこで以下では、図1に示すように、5つの住宅群のうち、主として第一住宅群A1に着目して説明を行うものとし、第二住宅群A2、第三住宅群A3、第四住宅群A4及び第五住宅群A5についての説明は適宜省略するものとする。
【0023】
また、本実施形態においては、第一住宅群A1に3つの住宅Hが設けられる。各住宅Hには、電力を消費する電気機器(住宅負荷HL)が設けられる。住宅負荷HLは、系統電源Kと接続される。
【0024】
また、一括受電エリアAには、5つの住宅群に含まれない商業施設Sや図示せぬ会社や病院等が設けられる。以下では、前記商業施設Sや図示せぬ会社や病院等の、5つの住宅群に含まれないグループを「非住宅群A6」と称する。非住宅群A6においても、各住宅群と同様に、使用される電力がアグリゲータから売却される。また、非住宅群A6で余剰した電力をアグリゲータへ売電することもできる。
【0025】
また、本実施形態において、商業施設Sには、電力を消費する電気機器(非住宅負荷SL)が設けられる。非住宅負荷SLは、系統電源Kと接続される。
【0026】
電力供給システム1は、一括受電エリアAに適用され、当該一括受電エリアA内で所定の需要家に電力を供給するためのものである。また、電力供給システム1は、一括受電エリアAの各住宅群において、複数の住宅H間で電力を融通することができる。図1及び図2に示すように、電力供給システム1は、第一配電線11、第二配電線12、非住宅群A6の電気機器(一括受電盤13、スマートメータ14、非住宅群受電盤15、非住宅群発電部16、非住宅群蓄電池17及び非住宅群EMS18)、第一住宅群A1の電気機器(住宅群受電盤19、総負荷センサ20、蓄電システム21及び住宅群EMS22)及び予測サーバ23を具備する。
【0027】
図1に示す第一配電線11は、系統電源Kと5つの住宅群(より詳細には、各住宅群の3つの住宅負荷HL)とを接続するものである。具体的には、第一配電線11の一端側は、系統電源Kと接続される。また、第一配電線11の中途部は、5つに分岐すると共に、分岐したそれぞれの他端側が5つの住宅群に接続される。また、第一配電線11の5つに分岐したそれぞれの端部側は、さらに3つに分岐すると共に、分岐したそれぞれの端部が住宅H(住宅負荷HL)に接続される。なお以下では、第一配電線11において、系統電源Kから各住宅負荷HLへの電力の流通方向を基準として「上流側」及び「下流側」を規定する。
【0028】
図1に示す第二配電線12は、系統電源Kと商業施設Sとを接続するものである。具体的には、第二配電線12の一端側の端部は、後述する一括受電盤13内で第一配電線11の中途部(接続部11a)と接続される。また、第二配電線12の他端側の端部は、商業施設S(より詳細には、商業施設Sの非住宅負荷SL)と接続される。なお以下では、第二配電線12において、第一配電線11側(接続部11a側)から非住宅負荷SLへの電力の流通方向を基準として「上流側」及び「下流側」を規定する。
【0029】
非住宅群A6の電気機器には、一括受電盤13、スマートメータ14、非住宅群受電盤15、非住宅群発電部16、非住宅群蓄電池17及び非住宅群EMS18が含まれる。
【0030】
図1に示す一括受電盤13は、系統電源Kからの電力を一括して受けるための受電設備である。一括受電盤13は、第一配電線11のうち、上流側の端部近傍(系統電源Kの直ぐ下流側)に設けられる。一括受電盤13は、系統電源Kから受けた電力を下流側へと配電することができる。また、一括受電盤13は、下流側から受けた電力を系統電源Kへ渡すことができる。このように、一括受電エリアAにおいては、系統電源Kとの電力の受け渡しは、必ず一括受電盤13を介して行われる。
【0031】
図1及び図2に示すスマートメータ14は、電力を検出可能なものである。スマートメータ14は、一括受電盤13内で、第一配電線11の中途部に設けられる。スマートメータ14は、後述する非住宅群EMS18と接続され、検出結果を送信することができる。スマートメータ14は、図示せぬ遮断器を具備する。スマートメータ14は、系統電源Kから第一配電線11が受けた電力(下流側へ流れる電力)が契約容量を超えた場合に、前記遮断器により第一配電線11の電力流通を遮断することができる。
【0032】
こうして、スマートメータ14は、系統電源Kと一括受電エリアAとの電力の流通を検出することができる。具体的には、スマートメータ14の検出結果には、系統電源Kから非住宅群A6(ひいては一括受電エリアA)へと流通する電力(すなわち、一括受電エリアA全体としての買電)に関する情報が含まれる。また、スマートメータ14の検出結果には、非住宅群A6(ひいては一括受電エリアA)から系統電源Kへと流通する電力(すなわち、一括受電エリアA全体としての売電)に関する情報が含まれる。
【0033】
図1に示す非住宅群受電盤15は、一括受電盤13から第二配電線12へと配電された電力を受けるための受電設備である。非住宅群受電盤15は、第二配電線12の中途部に設けられる。非住宅群受電盤15は、上流側から受けた電力を非住宅負荷SLや後述する非住宅群蓄電池17へと配電することができる。また、非住宅群受電盤15は、後述する非住宅群発電部16の発電電力や非住宅群蓄電池17の放電電力を受けて、一括受電盤13や非住宅負荷SLへ渡すことができる。
【0034】
図1に示す非住宅群発電部16は、太陽光を利用して発電する装置である。非住宅群発電部16は、太陽電池パネル等により構成される。非住宅群発電部16は、例えば商業施設Sの屋上等の日当たりの良い場所に設置される。非住宅群発電部16は、所定の配電線を介して、非住宅群受電盤15内で、第二配電線12に接続される。
【0035】
図1に示す非住宅群蓄電池17は、電力を充放電可能なものである。非住宅群蓄電池17は、例えばリチウムイオン電池等により構成される。非住宅群蓄電池17は、非住宅群発電部16の発電電力や系統電源Kからの電力を充電することができる。また、非住宅群蓄電池17は、放電した電力を非住宅負荷SLに供給することができる。
【0036】
図2に示す非住宅群EMS18は、非住宅群A6内の情報を取得するためのものである。具体的には、非住宅群EMS18は、スマートメータ14に接続される。非住宅群EMS18は、スマートメータ14の検出結果を取得することができる。
【0037】
第一住宅群A1の電気機器には、住宅群受電盤19、総負荷センサ20、蓄電システム21及び住宅群EMS22が含まれる。
【0038】
図1に示す住宅群受電盤19は、一括受電盤13から第一配電線11の下流側(第一住宅群A1)へと配電された電力を受けるための受電設備である。住宅群受電盤19は、第一配電線11において一括受電盤13の直ぐ下流側に設けられる。住宅群受電盤19は、受けた電力を後述する蓄電システム21や住宅負荷HLへと配電することができる。また住宅群受電盤19は、第一住宅群A1内の電力(太陽光発電部31の発電電力及び蓄電池32の放電電力)を受けて、太陽光発電部31の発電電力のうち余剰した電力を一括受電盤13へ渡す(逆潮流させる)ことができる。このように、第一住宅群A1においては、一括受電盤13との電力の受け渡しは、必ず住宅群受電盤19を介して行われる。
【0039】
図1及び図2に示す総負荷センサ20は、電力を検出可能なものである。総負荷センサ20は、住宅群受電盤19内で、第一配電線11の中途部(当該第一配電線11の端部側が3つに分岐する直ぐ上流側)に設けられる。総負荷センサ20は、後述する住宅群EMS22と接続され、検出結果を送信することができる。総負荷センサ20は、下流側にある全ての(3つの)住宅負荷HLへと流れる電力を検出することができる。すなわち、総負荷センサ20の検出結果には、全ての(3つの)住宅負荷HLの消費電力の合計(以下では「住宅総負荷」と称する)が含まれる。
【0040】
図1に示す蓄電システム21は、太陽光を利用して発電可能であると共に、電力を充放電可能なものである。蓄電システム21は、太陽光発電部31、蓄電池32、電力センサ33及びパワコン34を具備する。
【0041】
図1に示す太陽光発電部31は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部31は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部31は、住宅Hの屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。太陽光発電部31は、後述するパワコン34に接続される。
【0042】
図1に示す蓄電池32は、電力を充放電可能なものである。蓄電池32は、例えばリチウムイオン電池等により構成される。蓄電池32は、後述するパワコン34に接続される。蓄電池32は、稼動中における充放電等の動作の態様が設定された運転モードとして、放電モード、充電モード、待機モード及び充放電モードを有する。なお、これらのモードについての詳細な説明は後述する。なお、本実施形態において、蓄電池32の最大放電電力は、2000Wであるとする。また、蓄電池32の最大充電電力は、2000Wであるとする。また、蓄電池32には、蓄電池32の稼動状態を維持するための電池残量として所定の残量(以下では「最低残量」と称する)が設定される。また、蓄電池32は、例えば放電効率を考慮して放電の閾値(最小放電電力)が任意に設定される。放電の閾値としては、任意の値(例えば、1000W)を採用することができる。また、蓄電池32は、放電の閾値が設定されている場合であっても、住宅群EMS22の指示により当該設定にかかわらず放電することもできる。
【0043】
図1に示す電力センサ33は、電力を検出可能なものである。電力センサ33は、住宅群受電盤19内で第一配電線11の中途部に設けられる。具体的には、電力センサ33は、住宅群受電盤19内で後述するパワコン34と第一配電線11との接続部11bの直ぐ上流側に設置される。なお、第一配電線11において、電力センサ33と接続部11aとの間には、他の電線や電気機器が接続されていない。電力センサ33は、パワコン34と接続され、パワコン34へ検出結果を送信することができる。
【0044】
図1及び図2に示すパワコン34は、電力を適宜変換可能なハイブリッドパワーコンディショナである。パワコン34は、太陽光発電部31及び蓄電池32に接続される。また、パワコン34は、住宅群受電盤19内で第一配電線11の中途部(接続部11b)に接続される。このように、パワコン34は、総負荷センサ20よりも上流側に接続される。また、パワコン34は、太陽光発電部31と、蓄電池32と、第一配電線11(接続部11b)と、の間に設けられる。
【0045】
こうして、太陽光発電部31の発電電力は、パワコン34を介して第一配電線11に出力することができる。また、太陽光発電部31の発電電力は、パワコン34を介して蓄電池32に充電することができる。また、蓄電池32の放電電力は、パワコン34を介して第一配電線11に出力することができる。また、第一配電線11を流れる電力(系統電源Kからの電力)は、パワコン34を介して蓄電池32に充電することができる。
【0046】
また、パワコン34は、電力センサ33と接続される。パワコン34は、電力センサ33の設置箇所を流れる電力の大きさ及び向き(上流側又は下流側)に関する情報を取得することができる。パワコン34は、電力センサ33から取得した情報に基づいて、蓄電池32の充放電の制御を行うことができる。
【0047】
こうして、蓄電システム21は、太陽光発電部31の発電電力や蓄電池32の放電電力を、パワコン34を介して第一配電線11へ出力することができる。また、蓄電システム21は、太陽光発電部31の発電電力や系統電源Kからの電力を、パワコン34を介して蓄電池32に充電することができる。
【0048】
本実施形態において、第一住宅群A1には、蓄電システム21が3つ設けられる。3つの蓄電システム21(より詳細には、蓄電システム21のパワコン34)は、第一配電線11において電力の流通方向に沿って1つずつ順番に(直列となるように)接続される。また、各蓄電システム21は、3つの住宅Hのうちいずれかの住宅Hにそれぞれ所有されている。
【0049】
図2に示す住宅群EMS22は、蓄電システム21の動作を制御することによって、電力の供給態様を制御するものである。住宅群EMS22は、3つの蓄電システム21のそれぞれのパワコン34に接続される。住宅群EMS22は、パワコン34を介して蓄電池32を制御することができる。具体的には、住宅群EMS22は、蓄電池32の運転モードを切り替えることができる。
【0050】
また、住宅群EMS22は、パワコン34を介して蓄電システム21及び太陽光発電部31に関する情報を取得することができる。具体的には、例えば、住宅群EMS22は、蓄電池32の電池残量に関する情報を取得することができる。また、住宅群EMS22は、蓄電池32の実行中の運転モードに関する情報を取得することができる。また、住宅群EMS22は、蓄電池32の放電量に関する情報を取得することができる。また、住宅群EMS22は、太陽光発電部31の発電電力に関する情報を取得することができる。
【0051】
また、住宅群EMS22は、パワコン34を介して電力センサ33の検出結果を取得することができる。こうして、住宅群EMS22は、例えば3つの蓄電システム21のうち最も上流側の蓄電システム21の電力センサ33の検出結果を取得することにより、一括受電盤13と住宅群受電盤19(非住宅群A6と第一住宅群A1)との電力の流通を検出することができる。具体的には、前記電力センサ33の検出結果には、住宅群受電盤19から一括受電盤13(第一住宅群A1から非住宅群A6)へと流通する電力(すなわち、第一住宅群A1としての売電)に関する情報が含まれる。また、前記電力センサ33の検出結果には、一括受電盤13から住宅群受電盤19(非住宅群A6から第一住宅群A1)へと流通する電力(すなわち、第一住宅群A1としての買電)に関する情報が含まれる。
【0052】
また、住宅群EMS22は、全ての(3つの)太陽光発電部31の発電電力に関する情報に基づいて、当該全ての太陽光発電部31の発電電力の合計(以下では「PV総発電」と称する)を取得することができる。また、住宅群EMS22は、総負荷センサ20に接続される。住宅群EMS22は、総負荷センサ20から住宅総負荷(全ての住宅負荷HLの消費電力の合計)を取得することができる。
【0053】
また、住宅群EMS22は、電力の供給態様に関する種々の制御を実行することができる。住宅群EMS22が実行する制御には、後述する電力融通制御や電力融通補正制御が含まれる。
【0054】
なお、上述の如く、住宅群の電気機器に関しては、第一住宅群A1に着目して説明を行ったが、その他の住宅群も同様の構成を有する。すなわち、第二住宅群A2、第三住宅群A3、第四住宅群A4及び第五住宅群A5には、それぞれ住宅群受電盤19、総負荷センサ20、蓄電システム21及び住宅群EMS22が設けられる。
【0055】
図2に示す予測サーバ23は、後述する電力融通補正制御に用いられる情報を取得するためのものである。予測サーバ23は、ネットワーク回線Nを介して非住宅群EMS18及び全ての住宅群の住宅群EMS22と接続される。予測サーバ23は、全ての住宅群の住宅群EMS22から、それぞれの住宅群における1日単位の太陽光発電部31の発電電力量や、住宅負荷HLの消費電力量、購入電力量等の情報を取得する。予測サーバ23は、取得した情報に基づいて、各住宅群の自給率を取得(算出)することができる。予測サーバ23は、学習機能及び予測機能を有する。すなわち、予測サーバ23は、取得した情報を学習することにより、各住宅群の将来(例えば翌日)の自給率を予測することができる。なお、予測サーバ23は、後述するように、予測した自給率に基づいて補正順位設定処理を行う。
【0056】
こうして、系統電源Kから一括受電盤13が受けた電力(すなわち、系統電源Kから非住宅群A6へ流通し、各住宅群へと供給される電力)は、一括受電エリアA全体として購入した電力(買電)となる。また、一括受電盤13から系統電源Kへと渡された電力(すなわち、非住宅群A6から系統電源Kへと流通した電力)は、一括受電エリアA全体として売却した電力(売電)となる。
【0057】
これに対して、一括受電盤13から住宅群受電盤19が受けた電力(すなわち、非住宅群A6から各住宅群へと流通した電力)は、各住宅群がアグリゲータから購入した電力(買電)となる。ただし、非住宅群A6から各住宅群への電力の流通は、一括受電エリアA内での電力の受け渡しに過ぎないため、一括受電エリアA全体として(すなわち、系統電源Kとの関係で)買電は発生しない。
【0058】
また、一括受電盤13へと住宅群受電盤19から渡した電力(すなわち、各住宅群から非住宅群A6へと流通した電力)は、各住宅群がアグリゲータへと売却した電力(売電)となる。ただし、各住宅群から非住宅群A6への電力の流通は、一括受電エリアA内での電力の受け渡しに過ぎないため、一括受電エリアA全体として売電は発生しない。
【0059】
なお本実施形態においては、便宜上、系統電源Kと非住宅群A6(ひいては、一括受電エリアA)との電力の流通を、上述の如く売電及び買電と称する場合があるが、本発明においては、単なる電力の流通に過ぎない場合(すなわち、金銭的な費用が発生しない場合)も含んでいる。また同様に、非住宅群A6と各住宅群との電力の流通を、上述の如く売電及び買電と称する場合があるが、本発明においては、単なる電力の流通に過ぎない場合も含んでいる。
【0060】
以下では、蓄電池32の運転モード(放電モード、充電モード、待機モード及び充放電モード)について説明する。
【0061】
放電モードは、負荷追従運転により蓄電池32を放電させるモードである。放電モードが実行された場合、蓄電池32は、電力センサ33の検出結果に応じて放電可能な状態となる。具体的には、蓄電池32は、電力センサ33が下流側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出した電力に対応する電力を放電する。
【0062】
なお、放電モードが実行された場合において、電力センサ33が下流側へ流れる電力を検出した場合であっても、蓄電池32の電池残量が放電可能な残量でない場合(例えば、電池残量が残量下限値である場合や最低残量である場合)には、蓄電池32は放電することができずに待機状態となる。
【0063】
充電モードは、蓄電池32を充電させるモードである。蓄電池32は、太陽光発電部31が発電している場合、当該太陽光発電部31の発電電力を充電する。また、蓄電池32は、太陽光発電部31が発電していない場合や、太陽光発電部31の発電電力が最大充電電力よりも小さい場合、第一配電線11を流れる電力(例えば系統電源Kからの電力)も充電する。また、太陽光発電部31の発電電力の一部が蓄電池32に充電された場合、当該発電電力の残りは第一配電線11に出力される。
【0064】
なお、充電モードが実行された場合であっても、満充電である場合には蓄電池32は充電できずに待機状態となる。この場合、太陽光発電部31の発電電力の全部が第一配電線11に出力される。
【0065】
待機モードは、蓄電池32を待機させるモードである。待機モードが実行された場合、蓄電池32は稼動したまま待機状態となる(充放電を行わない)。
【0066】
充放電モードは、負荷追従運転により蓄電池32を充放電させるモードである。充放電モードが実行された場合、蓄電池32は、電力センサ33の検出結果に応じて充放電可能な状態となる。
【0067】
具体的には、蓄電池32は、放電モードと同様に、電力センサ33が下流側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出した電力に対応する電力を放電する。また、電力センサ33が下流側へ流れる電力を検出した場合であっても、蓄電池32の電池残量が放電可能な残量でない場合には、蓄電池32は放電することができずに待機状態となる。
【0068】
また、充放電モードが実行された場合、蓄電池32は、電力センサ33が上流側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出した電力に対応する電力を充電する。すなわち、蓄電池32は、太陽光発電部31が発電している場合であって、発電電力が住宅負荷HLに対して余剰している場合(余剰した分の発電電力が系統電源K側へ流れている場合)に、余剰した分の太陽光発電部31の発電電力を充電する。
【0069】
また、充放電モードが実行された場合、蓄電池32は、太陽光発電部31の発電電力が住宅負荷HLに対して余剰している場合であっても、満充電である場合には充電できない。この場合、太陽光発電部31の発電電力の全部が第一配電線11に出力される。
【0070】
また、充放電モードが実行された場合、蓄電池32は、電力センサ33が上流側及び下流側へ流れる電力を検出しなかった場合には待機状態となる。なお、電力センサ33が上流側及び下流側へ流れる電力を検出しなかった場合とは、例えば太陽光発電部31の発電電力が第一配電線11に出力され、住宅負荷HLに対して余剰も不足もしていない場合(均衡した状態)が想定される。
【0071】
なお、蓄電池32の運転モードは、パワコン34を介して行われる住宅群EMS22からの指示により切り替えられる。以下では、住宅群EMS22による蓄電池32の運転モードを実行する(切り替える)ための指示を、それぞれ放電指示、充電指示、待機指示及び充放電指示という場合がある。
【0072】
電力供給システム1は、各住宅群において、複数の住宅H間で電力を融通することができる。電力を融通するための制御は、各住宅群それぞれで行われる。以下では、第一住宅群A1を例にあげて、当該第一住宅群A1における住宅群EMS22による制御(電力融通制御)について説明する。電力融通制御には、事前設定制御と、蓄電システム動作制御と、が含まれる。
【0073】
まず、図3のフローチャートを用いて、事前設定制御について説明する。
【0074】
事前設定制御は、後述する蓄電システム動作制御を行うにあたって、所定の条件に基づく設定(後述する放電優先順位の設定)を事前に行うものである。事前設定制御は、第一住宅群A1の住宅群EMS22により、例えば蓄電システム動作制御が行われる前日の24時(当日の0時)に実行される。
【0075】
ステップS101において、住宅群EMS22は、各蓄電システム21の蓄電池32の積算放電量を取得する。具体的には、住宅群EMS22は、蓄電池32ごとに、本日(直近の24時間の間に)放電された電力量の総和を取得する。住宅群EMS22は、ステップS101の処理を実行した後、ステップS102の処理を実行する。
【0076】
ステップS102において、住宅群EMS22は、ステップS101で取得した積算放電量に基づいて、全ての蓄電システム21の蓄電池32に対して放電優先順位を設定する。具体的には、住宅群EMS22は、全ての蓄電池32に対して、積算放電量の少ない順番に高い放電優先順位(本実施形態においては、第1位、第2位、第3位)を設定する。なお、放電優先順位とは、複数の蓄電池32のうちどの蓄電池32を他の蓄電池32に対して優先的に放電させるのかの判断基準となるものである。住宅群EMS22は、ステップS102の処理を実行した後、事前設定制御を終了する。事前設定制御の後、住宅群EMS22は、蓄電システム動作制御を実行する。
【0077】
次に、図4のフローチャートを用いて、蓄電システム動作制御について説明する。
【0078】
蓄電システム動作制御は、事前設定制御で行われた設定(放電優先順位)に基づいて、第一住宅群A1において蓄電システム21の蓄電池32を具体的に動作させるものである。蓄電システム動作制御は、住宅群EMS22により、予め規定されたタイミング(例えば5分ごと)に繰り返し実行される。
【0079】
ステップS110において、住宅群EMS22は、現時点の住宅総負荷及びPV総発電に関する情報を取得する。なお、住宅総負荷とは、上述の如く、全ての(3つの)住宅負荷HLの消費電力の合計である。また、PV総発電とは、上述の如く、全ての(3つの)太陽光発電部31の発電電力の合計である。住宅群EMS22は、ステップS110の処理を実行した後、ステップS120の処理を実行する。
【0080】
ステップS120において、住宅群EMS22は、住宅総負荷がPV総発電以上であるか否かを判定する。住宅群EMS22は、住宅総負荷がPV総発電以上であると判定した場合(ステップS120:YES)、ステップS150へ移行する。一方、住宅群EMS22は、住宅総負荷がPV総発電よりも小さいと判定した場合(ステップS120:NO)、ステップS130へ移行する。
【0081】
ステップS130において、住宅群EMS22は、充電する蓄電池32の台数を算出する。ステップS130においては、住宅総負荷がPV総発電よりも小さいため、太陽光発電部31の発電電力が住宅負荷HLの消費電力に対して余剰した状態となっている。
【0082】
そこで、住宅群EMS22は、余剰電力で何台の蓄電池32を充電させるのかを、「充電する蓄電池台数=(PV総発電-住宅総負荷)/蓄電池の最大充電電力」の式によって算出する。なお、前記式によって算出された数に小数点が含まれる場合は、小数点以下は適宜切り上げ又は切り捨てて、充電する蓄電池32の台数を算出する。住宅群EMS22は、ステップS130の処理を実行した後、ステップS140の処理を実行する。
【0083】
ステップS140において、住宅群EMS22は、ステップS130にて算出した台数の蓄電池32に充電指示を行う。このとき、住宅群EMS22は、全ての蓄電池32(又は、充電指示を行うことが可能な蓄電池32)から電池残量を取得し、当該電池残量が少ない蓄電池32から順に前記台数分だけ充電指示を行う(充電に関する設定を行う)。また、住宅群EMS22は、充電指示を行った蓄電池32以外の蓄電池32に待機指示を行う(待機に関する設定を行う)。
【0084】
こうして、第一住宅群A1内において余剰電力がある場合は、太陽光発電部31の発電電力をできるだけ蓄電池32に充電する。これにより、第一住宅群A1内における太陽光発電部31の発電電力の自己消費率を向上させることができる。住宅群EMS22は、ステップS140の処理を実行した後、蓄電システム動作制御を一旦終了させる。
【0085】
また、ステップS120で住宅総負荷がPV総発電以上であると判定した場合に移行するステップS150において、住宅群EMS22は、最大放電電力で放電可能な蓄電池32の台数を算出する。ステップS150においては、住宅総負荷がPV総発電以上であるため、太陽光発電部31の発電電力が住宅負荷HLの消費電力に対して不足した状態となっている。
【0086】
そこで、住宅群EMS22は、不足電力を何台の蓄電池32の放電で賄えるのかを、「放電する蓄電池台数=(住宅総負荷-PV総発電)/蓄電池の最大放電電力」の式によって算出する。なお、前記式によって算出された数に小数点が含まれる場合は、小数点以下は適宜切り上げ又は切り捨てて、放電する蓄電池32の台数を算出する。住宅群EMS22は、ステップS150の処理を実行した後、ステップS160の処理を実行する。
【0087】
ステップS160において、住宅群EMS22は、事前設定制御により設定された放電優先順位が高い蓄電システムから順に、ステップS150にて算出した台数分の蓄電池32に放電指示を行う(放電に関する設定を行う)。また、住宅群EMS22は、放電指示を行った蓄電池32以外の蓄電池32に待機指示を行う。
【0088】
こうして、第一住宅群A1内において不足電力がある場合は、必要な台数だけ蓄電池32の放電を行う。これにより、第一住宅群A1内における不足電力が、第一住宅群A1外から供給された電力(例えば系統電源Kからの買電)によって賄われるのを抑制することができる。住宅群EMS22は、ステップS160の処理を実行した後、蓄電システム動作制御を一旦終了させる。
【0089】
以下では、図5及び図6を用いて、電力融通制御(蓄電システム動作制御)が実行された場合の、電力の供給態様の具体例について説明する。
【0090】
なお、図5及び図6を用いた説明では、5つの住宅群のうち第一住宅群A1に着目するため、他の住宅群や非住宅群A6の記載を省略している。また、図5及び図6(さらには、後述する図10から図13)を用いた説明では、3つの蓄電システム21を、上流側から下流側へと順番に、第一蓄電システム21a、第二蓄電システム21b、第三蓄電システム21cと称する場合がある。
【0091】
まず、図5(a)では、全ての蓄電システム21の太陽光発電部31が発電を行っているものとする。また、第一蓄電システム21aの蓄電池32には放電指示が行われる一方、第二蓄電システム21b及び第三蓄電システム21cの蓄電池32には待機指示が行われているものとする。この状態において、図5(a)に示す時点で、住宅総負荷がPV総発電以上である場合(ステップS120:YES)、放電する蓄電池32の台数が算出される(ステップS150)。
【0092】
例えば、ステップS150の処理により、放電する蓄電池32の台数が2台として算出される。こうして、放電優先順位に基づいて、第一蓄電システム21aに加えて例えば第二蓄電システム21bの蓄電池32に対しても放電指示が行われて、当該蓄電池32が放電を開始する(ステップS160)。これによって、図5(b)に示すように、複数の蓄電池32からの放電電力は、図5(a)に示す状態よりも増加する。
【0093】
その結果、図5(b)に示す状態においては、住宅負荷HLが第一住宅群A1内の電力(太陽光発電部31の発電電力及び蓄電池32の放電電力)のみで賄われている。すなわち、図5(a)に示す状態において、非住宅群A6から第一住宅群A1へと電力が供給されていたが、図5(b)に示す状態においては、非住宅群A6から第一住宅群A1へと電力は供給されていない。このように、蓄電システム動作制御によって、複数の住宅H間で電力の融通が行われ、第一住宅群A1内において自給率を向上させることができる。
【0094】
次に、図6(a)では、全ての蓄電システム21の太陽光発電部31が発電を行っているものとする。また、第一蓄電システム21aの蓄電池32には充電指示が行われる一方、第二蓄電システム21b及び第三蓄電システム21cの蓄電池32には待機指示が行われているものとする。また、太陽光発電部31の発電電力は、非住宅群A6側へ逆潮流されている。この状態において、図6(a)に示す時点で、住宅総負荷がPV総発電よりも小さいため(ステップS120:NO)、充電する蓄電池32の台数が算出される(ステップS130)。
【0095】
例えば、ステップS130の処理により、充電する蓄電池32の台数が2台として算出される。こうして、電池残量の多い少ないに基づいて、第一蓄電システム21aに加えて例えば第二蓄電システム21bの蓄電池32に対しても充電指示が行われて、当該蓄電池32が充電を開始する(ステップS140)。これによって、図6(b)に示すように、複数の蓄電池32による充電電力は、図6(a)に示す状態よりも増加する。
【0096】
その結果、図6(b)に示す状態においては、全ての太陽光発電部31の発電電力は第一住宅群A1内のみで使用されている。すなわち、図6(a)に示す状態において、太陽光発電部31の発電電力は、第一住宅群A1から非住宅群A6へと供給されていたが、図6(b)に示す状態においては、第一住宅群A1から非住宅群A6へと電力は供給されていない。このように、蓄電システム動作制御によって、第一住宅群A1内において太陽光発電部31の発電電力の自己消費率(PV自己消費率)を向上させることができる。
【0097】
このように、電力融通制御によって、第一住宅群A1においては、3つの蓄電池32の放電電力を、必要に応じて3つの住宅Hの住宅負荷HLへ供給することができる。すなわち、第一住宅群A1において、複数の住宅H間で電力を融通することができる。なお、放電する蓄電池32の設定は、積算放電量に基づく放電優先順位に従って行われる。これにより、全ての蓄電池32の放電量の均等化を図ることができる。また、第一住宅群A1においては、3つの太陽光発電部31の発電電力を、できるだけ逆潮流させずに蓄電池32に充電させることができる。すなわち、電力融通制御によれば、第一住宅群A1内において、自給率やPV自己消費率を向上させることができる。
【0098】
ここで、一括受電エリアAにおいては、第一住宅群A1(より詳細には、全ての住宅群)の上流側に非住宅群A6が設けられる。しかしながら、上述の如き電力融通制御は、第一住宅群A1内で取得できる情報(具体的には、当該第一住宅群A1のパワコン34及び総負荷センサ20から取得できる情報)にのみ基づいて行われる。換言すれば、第一住宅群A1内での電力融通は、非住宅群A6(全ての住宅群よりも上流側)における電力の供給態様を何ら考慮せずに行われている。このような状態においては、非住宅群A6、ひいては一括受電エリアA全体としての、電力の供給態様に関する優先事項が反映されていない可能性がある。
【0099】
また、一括受電エリアAには、住宅群として第一住宅群A1だけでなく、他に4つの住宅群(第二住宅群A2~第五住宅群A5)が設けられる。このように複数の住宅群が設けられる場合、例えば全ての住宅群がそれぞれ同一の情報(例えば、系統電源Kから一括受電盤13が受けた電力に関する情報)に基づいて各々制御を行うと、一括受電エリアA全体として不要な制御が行われる可能性もある。
【0100】
そこで、電力供給システム1においては、各住宅群で電力融通制御を行う場合、後述する電力融通補正制御を並行して行うことにより、各住宅群において複数の住宅H間で電力を融通しながらも、非住宅群A6(ひいては一括受電エリアA全体)としての優先事項を電力の供給態様に反映させている。なお本実施形態においては、電力の供給態様に関する優先事項として、一括受電エリアA全体としての自給率の向上が設定されている。
【0101】
以下では、電力融通補正制御について詳細に説明する。
【0102】
電力融通補正制御は、上述の如く、各住宅群において複数の住宅H間で電力を融通しながらも、一括受電エリアA全体としての自給率の向上を図るためのものである。電力融通補正制御によれば、各住宅群で電力融通制御で行っている場合に、各住宅群内での蓄電池32の動作を、当該住宅群内での自給率の向上とは異なる観点(すなわち、一括受電エリアA全体としての自給率の向上の観点)に基づいて適宜切り替える。すなわち、電力融通補正制御では、電力融通制御により設定された蓄電池32の動作を適宜補正する。
【0103】
ここで、図7は、電力融通補正制御を行った場合の、系統電源Kに対する売電及び買電と、各住宅群の売電及び買電と、の補正前後の状態変化を示した図である。図7のNo.1から3に記載のように、補正前の状態で系統電源Kへ売電している場合、一括受電エリアA全体としての自給率の向上を図るため、電力融通補正制御の補正により系統電源Kへの売電を減少させる。
【0104】
具体的には、No.1に記載のように、補正前の状態で全ての住宅群が売電している場合は、補正によりいずれかの住宅群の蓄電池32の充電を促進し、当該住宅群の売電を減少させる。また、No.2に記載のように、補正前の状態で全ての住宅群が買電している場合は、補正によりいずれかの住宅群の蓄電池32の放電を抑制し、当該住宅群の買電を増加させる。
【0105】
また、No.3に記載のように、補正前の状態で買電している住宅群と売電している住宅群とが混在している場合は、補正により売電状態の住宅群の蓄電池32の充電を促進して当該住宅群の売電を減少させる(No.3の(1)参照)と共に、補正により買電状態の住宅群の蓄電池32の放電を抑制して当該住宅群の買電を増加させる(No.3の(2)参照)。ただし、No.3の(2)は、No.3の(1)よりも住宅群の自給率を損なわせる可能性が高いため、本実施形態においては、No.3の(2)よりもNo.3の(1)が優先して行われる。
【0106】
また、No.4から6に記載のように、補正前の状態で系統電源Kから買電している場合、一括受電エリアA全体としての自給率の向上を図るため、電力融通補正制御の補正により系統電源Kからの買電を減少させる。
【0107】
具体的には、No.4に記載のように、補正前の状態で全ての住宅群が売電している場合は、補正によりいずれかの住宅群の蓄電池32の充電を抑制し、当該住宅群の売電を増加させる。また、No.5に記載のように、補正前の状態で全ての住宅群が買電している場合は、補正によりいずれかの住宅群の蓄電池32の放電を促進し、当該住宅群の買電を減少させる。
【0108】
また、No.6に記載のように、補正前の状態で買電している住宅群と売電している住宅群とが混在している場合は、補正により売電状態の住宅群の蓄電池32の充電を抑制して当該住宅群の売電を増加させる(No.6の(1)参照)と共に、補正により買電状態の住宅群の蓄電池32の放電を促進して当該住宅群の買電を減少させる(No.6の(2)参照)。
【0109】
なお、No.6の(1)、(2)は、上述の如きNo.3の(1)、(2)とは異なり、住宅群の自給率を損なわせる点に関してそれほど違いがないため、本実施形態においてはいずれかの補正を優先して行わない。ただし、No.6の(1)、(2)は、No.3の(1)、(2)と同様に、いずれかを優先して行うこととしてもよい。
【0110】
電力融通補正制御には、予測サーバ23による補正順位設定処理と、非住宅群EMS18による第一補正制御と、住宅群EMS22による第二補正制御と、が含まれる。
【0111】
まず、予測サーバ23による補正順位設定処理について説明する。
【0112】
補正順位設定処理とは、電力融通補正制御により補正(住宅群内での蓄電池32の動作の切り替え)の必要がある場合に、複数の住宅群のうちいずれの住宅群の蓄電池32の動作を切り替えるのかの判定基準(補正順位)を設定するための処理である。本実施形態においては、補正する必要性が高いと判定された住宅群から低いと判定された住宅群へと順番に、第1位~第5位の順位が設定される。このように、補正順位の数は、全ての住宅群の合計(全ての住宅群における住宅群EMS22の合計台数)と同じ数(本実施形態においては5つ)だけ設定される。
【0113】
なお、本実施形態において、補正順位は、系統電源Kが買電している場合に参照されるもの(以下では「系統買電補正順位」と称する場合がある)と、系統電源Kが売電している場合に参照されるもの(以下では「系統売電補正順位」と称する場合がある)との2種類設けられる。ここで、系統買電補正順位と系統売電補正順位とは、互いに排他的な関係となる。すなわち、他の住宅群よりも系統買電補正順位及び系統売電補正順位のいずれか一方の順位が高い住宅群は、当該他の住宅群よりも系統買電補正順位及び系統売電補正順位のいずれか他方の順位が低くなる。なお、図14には、系統買電補正順位及び系統売電補正順位の一例が記載されている。
【0114】
本実施形態において、予測サーバ23は、例えば1日1回(例えば、24時に)補正順位設定処理を行う。すなわち、予測サーバ23は、当日を含む過去に取得した情報を学習することにより、各住宅群における翌日(0時から24時まで)の自給率を予測する。そして、予測サーバ23は、予測した自給率に基づいて補正順位を設定する。具体的には、予測サーバ23は、全ての住宅群のうち、予測した自給率が高い住宅群から低い住宅群へと順番に、第1位~第5位の系統買電補正順位を設定する。また、予測サーバ23は、全ての住宅群のうち、予測した自給率が低い住宅群から高い住宅群へと順番に、第1位~第5位の系統売電補正順位を設定する。
【0115】
こうして、予測サーバ23は、補正順位(系統買電補正順位及び系統売電補正順位)を設定すると、当該設定した補正順位を各住宅群へと送信する。各住宅群においては、新たな補正順位を取得すると、古い補正順位を新たな補正順位に更新して所定の記憶領域に記憶する。なお、本実施形態においては、上述の如き予測した自給率に基づいて補正順位を設定したが、これに限定するものではなく、別の指標に基づいて補正順位を設定することもできる。
【0116】
次に、図8のフローチャートを用いて、非住宅群EMS18による第一補正制御について説明する。
【0117】
第一補正制御は、下流側(各住宅群)で補正を行うか否かの判断材料を上流側(非住宅群A6)で生成するための制御である。第一補正制御は、非住宅群EMS18により、予め規定されたタイミング(本実施形態においては、1分ごと)に繰り返し実行される。なお、前記判断材料には、後述するように、買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値が含まれる。
【0118】
ステップS201において、非住宅群EMS18は、スマートメータ14の検出結果を取得する。すなわち、非住宅群EMS18は、一括受電エリアA全体としての売電又は買電に関する情報を取得する。非住宅群EMS18は、ステップS201の処理を実行した後、ステップS202の処理を実行する。
【0119】
ステップS202において、非住宅群EMS18は、ステップS201にて取得したスマートメータ14の検出結果に基づいて、一括受電エリアAが系統電源Kから買電を行っているか否かを判定する。非住宅群EMS18は、一括受電エリアAが系統電源Kから買電を行っていると判定した場合(ステップS202:YES)、ステップS203へ移行する。一方、非住宅群EMS18は、一括受電エリアAが系統電源Kから買電を行っていないと判定した場合(ステップS202:NO)、ステップS210へ移行する。
【0120】
ステップS203において、非住宅群EMS18は、ステップS201にて取得したスマートメータ14の検出結果に基づいて、買電電力が所定の閾値(以下では「指定値a」と称する)以上であるか否かを判定する。非住宅群EMS18は、買電電力が指定値a以上であると判定した場合(ステップS203:YES)、ステップS204へ移行する。一方、非住宅群EMS18は、買電電力が指定値aよりも小さいと判定した場合(ステップS203:NO)、ステップS206へ移行する。なお、本実施形態においては、指定値aとして、例えば4000Wが設定されている。
【0121】
ステップS204において、非住宅群EMS18は、現時点の買電超過カウンタの数値に1を加算する。買電超過カウンタとは、一括受電エリアAにおける買電電力の多寡の目安となるものである。すなわち、買電超過カウンタの数値が大きいほど、買電電力が大きい(すなわち、一括受電エリアA全体としての自給率の向上が損なわれている可能性が高いため、住宅群での補正の必要性が高い)ことを意味する。買電超過カウンタは、非住宅群EMS18の所定の記憶領域に設けられる。買電超過カウンタには、0から1ずつ加算した数値が格納される。非住宅群EMS18は、ステップS204の処理を実行した後、ステップS205の処理を実行する。
【0122】
ステップS205において、非住宅群EMS18は、売電超過カウンタをリセットする。すなわち、非住宅群EMS18は、売電超過カウンタの数値を0に戻す。非住宅群EMS18は、ステップS205の処理を実行した後、第一補正制御を一旦終了する。
【0123】
また、ステップS203から移行したステップS206において、非住宅群EMS18は、買電超過カウンタの数値が0よりも大きいか否かを判定する。非住宅群EMS18は、買電超過カウンタの数値が0よりも大きいと判定した場合(ステップS206:YES)、ステップS207へ移行する。また、非住宅群EMS18は、買電超過カウンタの数値が0以下であると判定した場合(ステップS206:NO)、第一補正制御を一旦終了する。
【0124】
ステップS207において、非住宅群EMS18は、ステップS201にて取得したスマートメータ14の検出結果に基づいて、買電電力が所定の閾値(以下では「指定値b」と称する)未満であるか否かを判定する。非住宅群EMS18は、買電電力が指定値b未満であると判定した場合(ステップS207:YES)、ステップS208へ移行する。一方、非住宅群EMS18は、買電電力が指定値b以上であると判定した場合(ステップS207:NO)、第一補正制御を一旦終了する。なお、本実施形態においては、指定値bとして、例えば2000Wが設定されている。
【0125】
ステップS208において、非住宅群EMS18は、現時点の買電超過カウンタの数値から1を減算する。非住宅群EMS18は、ステップS208の処理を実行した後、非住宅群制御を一旦終了する。
【0126】
また、ステップS202から移行したステップS210において、非住宅群EMS18は、ステップS201にて取得したスマートメータ14の検出結果に基づいて、売電電力が所定の閾値(以下では「指定値c」と称する)以上であるか否かを判定する。非住宅群EMS18は、売電電力が指定値c以上であると判定した場合(ステップS210:YES)、ステップS211へ移行する。一方、非住宅群EMS18は、売電電力が指定値cよりも小さいと判定した場合(ステップS210:NO)、ステップS213へ移行する。なお、本実施形態においては、指定値cとして、例えば4000Wが設定されている。
【0127】
ステップS211において、非住宅群EMS18は、現時点の売電超過カウンタの数値に1を加算する。売電超過カウンタとは、一括受電エリアAにおける売電電力の多寡の目安となるものである。すなわち、売電超過カウンタの数値が大きいほど、売電電力が大きい(すなわち、一括受電エリアA全体としての自給率の向上が損なわれている可能性が高いため、住宅群での補正の必要性が高い)ことを意味する。売電超過カウンタは、非住宅群EMS18の所定の記憶領域に設けられる。売電超過カウンタには、0から1ずつ加算した数値が格納される。非住宅群EMS18は、ステップS211の処理を実行した後、ステップS212の処理を実行する。
【0128】
ステップS212において、非住宅群EMS18は、買電超過カウンタをリセットする。すなわち、非住宅群EMS18は、買電超過カウンタの数値を0に戻す。このように、買電超過カウンタと売電超過カウンタとは、互いに排他的な関係となる。すなわち、買電超過カウンタの数値が1以上の場合、売電超過カウンタの数値は0となる。また、売電超過カウンタの数値が1以上の場合、買電超過カウンタの数値は0となる。非住宅群EMS18は、ステップS212の処理を実行した後、第一補正制御を一旦終了する。
【0129】
また、ステップS210から移行したステップS213において、非住宅群EMS18は、売電超過カウンタの数値が0よりも大きいか否かを判定する。非住宅群EMS18は、売電超過カウンタの数値が0よりも大きいと判定した場合(ステップS213:YES)、ステップS214へ移行する。また、非住宅群EMS18は、売電超過カウンタの数値が0以下であると判定した場合(ステップS213:NO)、第一補正制御を一旦終了する。
【0130】
ステップS214において、非住宅群EMS18は、ステップS201にて取得したスマートメータ14の検出結果に基づいて、売電電力が所定の閾値(以下では「指定値d」と称する)未満であるか否かを判定する。非住宅群EMS18は、売電電力が指定値d未満であると判定した場合(ステップS214:YES)、ステップS215へ移行する。一方、非住宅群EMS18は、売電電力が指定値d以上であると判定した場合(ステップS214:NO)、第一補正制御を一旦終了する。なお、本実施形態においては、指定値dとして、例えば2000Wが設定されている。
【0131】
ステップS215において、非住宅群EMS18は、現時点の売電超過カウンタの数値から1を減算する。非住宅群EMS18は、ステップS215の処理を実行した後、第一補正制御を一旦終了する。
【0132】
こうして、第一補正制御においては、一括受電エリアAにおける買電電力及び売電電力の多寡に応じて、互いに排他的な関係を有して増減する買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値を取得する。買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値は、上述の如く電力融通補正制御により各住宅群で補正(蓄電池32の動作の切り替え)を行うか否かの判断材料となる。
【0133】
また、本実施形態において、買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値が1加算されるための指定値a及び指定値cは、それぞれ蓄電池32の最大放電電力(2000W)や最大充電電力(2000W)よりも大きい(具体的には2倍となる)4000Wが設定されている。こうして、指定値a及び指定値cは、一括受電エリアA全体としての自給率の向上の観点から極端に大き過ぎないように設定されている。
【0134】
また、本実施形態において、買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値が1減産されるための指定値b及び指定値dは、それぞれ蓄電池32の最大放電電力(2000W)や最大充電電力(2000W)と同一の2000Wが設定されている。こうして、指定値b及び指定値dは、これらのカウンタの数値に基づいて蓄電池32の動作の切り替えが行われる場合(電力融通補正制御の補正が行われる場合)に、当該蓄電池32の動作の切り替えが煩雑に行われるのを抑制するように設定されている。
【0135】
なお、本実施形態に係る指定値a~dは一例であり、これに限定するものではない。すなわち、指定値a~dの値は、種々の観点から任意に設定することができる。
【0136】
次に、図9のフローチャートを用いて、住宅群EMS22による第二補正制御について説明する。
【0137】
第二補正制御は、各住宅群において、第一補正制御により生成された買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値に基づいて補正(蓄電池32の動作の切り替え)の可否を判断すると共に、補正を行うと判断した場合に実際に補正を行うための制御である。第二補正制御においては、(後述する更新後の数値も含む)買電超過カウンタ又は売電超過カウンタの数値が、補正順位に相当すると判断される。すなわち、例えばカウンタの数値が1の場合に、補正順位が第1位であると判断される。
【0138】
また、第二補正制御は、第一補正制御と同様に、予め規定されたタイミング(本実施形態においては、1分ごと)に繰り返し実行される。第二補正制御は、全ての住宅群それぞれにおいて独立して実行される。以下では便宜上、第一住宅群A1で行われている第二補正制御について説明するものとする。
【0139】
ステップS301において、住宅群EMS22は、非住宅群A6の非住宅群EMS18と通信することにより、第一住宅群A1に設定された買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値を取得する。住宅群EMS22は、ステップS301の処理を実行した後、ステップS302へ移行する。
【0140】
ステップS302において、住宅群EMS22は、ステップS301にて取得した買電超過カウンタ及び売電超過カウンタのうち、いずれかのカウンタの数値が1以上であるか否かを判定する。住宅群EMS22は、いずれかのカウンタの数値が1以上であると判定した場合(ステップS302:YES)、ステップS304へ移行する。一方、住宅群EMS22は、いずれのカウンタの数値も1以上ではないと判定した場合(ステップS302:NO)、ステップS303へ移行する。
【0141】
ステップS303において、住宅群EMS22は、補正なし融通制御を選択する。この場合、住宅群EMS22は、第二補正制御において補正を実行する(蓄電池32の動作の切り替える)ことなく、当該第二補正制御を一旦終了する。すなわち、第一住宅群A1においては、電力融通制御(図3及び図4等参照)をそのまま継続して実行する。
【0142】
また、ステップS302から移行したステップS304において、住宅群EMS22は、ステップS301にて取得した売電超過カウンタの数値が0よりも大きく、かつ、第一住宅群A1が買電状態であるか否かを判定する。住宅群EMS22は、売電超過カウンタの数値が0よりも大きく、かつ、第一住宅群A1が買電状態であると判定した場合(ステップS304:YES)、ステップS305へ移行する。一方、住宅群EMS22は、売電超過カウンタの数値が0よりも大きく、かつ、第一住宅群A1が買電状態であるものではないと判定した場合(ステップS304:NO)、ステップS308へ移行する。
【0143】
また、ステップS305において、住宅群EMS22は、該当カウンタ(買電超過カウンタ及び売電超過カウンタのうち判定の対象となっているカウンタ、すなわち当該ステップS305では売電超過カウンタ)の数値が、全ての住宅群における住宅群EMS22の合計台数(以下では単に「住宅群EMS22の合計台数」と称する)以下であるか否かを判定する。住宅群EMS22は、売電超過カウンタの数値が住宅群EMS22の合計台数(本実施形態においては、5)以下であると判定した場合(ステップS305:YES)、ステップS306へ移行する。一方、住宅群EMS22は、売電超過カウンタの数値が住宅群EMS22の合計台数よりも大きいと判定した場合(ステップS305:NO)、ステップS307へ移行する。
【0144】
ステップS306において、住宅群EMS22は、補正なし融通制御を選択する。この場合、住宅群EMS22は、第二補正制御において補正を実行することなく、当該第二補正制御を一旦終了する。すなわち、第一住宅群A1においては、電力融通制御(図3及び図4等参照)をそのまま継続して実行する。
【0145】
また、ステップS305から移行したステップS307において、住宅群EMS22は、該当カウンタの数値を補正順位に対応するように更新する。すなわち、本実施形態において補正順位とは第1位~第5位(すなわち、5つ)であるため、該当カウンタの数値が5(住宅群EMS22の合計台数)よりも大きい場合(ステップS305:NO)、該当カウンタの数値と補正順位とが合致しないこととなる。つまり、例えば(該当カウンタとして)売電超過カウンタの数値が6であっても、当該6に相当する補正順位(第6位)は設定されていない。
【0146】
そこで、住宅群EMS22は、上述の如く該当カウンタの数値を補正順位に対応するように更新する。具体的には、住宅群EMS22は、「更新後の該当カウンタの数値=ステップS301にて取得した該当カウンタの数値-住宅群EMS22の合計台数」の式によって、該当カウンタの数値を更新する。つまり、例えばステップS301にて取得した売電超過カウンタの数値が7である場合、7から5(住宅群EMS22の合計台数)を減算した2が更新後の該当カウンタの数値となる。住宅群EMS22は、ステップS307の処理を実行した後、ステップS308へ移行する。
【0147】
ステップS308において、住宅群EMS22は、該当カウンタの数値が、該当の補正順位以上であるか否かを判定する。なお、該当の補正順位とは、この説明においては第一住宅群A1に設定された補正順位である。具体的には、該当カウンタが買電超過カウンタである場合、該当の補正順位とは、第一住宅群A1に設定された系統買電補正順位を意味する。また、該当カウンタが売電超過カウンタである場合、該当の補正順位とは、第一住宅群A1に設定された系統売電補正順位を意味する。
【0148】
こうして、住宅群EMS22は、該当カウンタの数値が、該当の補正順位以上であると判定した場合(ステップS308:YES)、ステップS309へ移行する。一方、住宅群EMS22は、該当カウンタの数値が、該当の補正順位よりも低いと判定した場合(ステップS308:NO)、ステップS303へ移行する。
【0149】
ここで、該当カウンタの数値が該当の補正順位よりも低い場合とは、例えば該当カウンタの数値が1であって、かつ、該当の補正順位が第2位のような場合(すなわち、該当カウンタの数値が補正順位の数値よりも小さい場合)を意味する。このような場合、1つの住宅群での補正が必要であるが、第一住宅群A1での補正は不要である(他の住宅群で優先して補正が行われる)ことを意味する。したがって、該当カウンタの数値が該当の補正順位よりも低い場合(ステップS308:NO)、第一住宅群A1においては、補正を実行することなく、電力融通制御(図3及び図4等参照)をそのまま継続して実行する。
【0150】
これに対して、該当カウンタの数値が、該当の補正順位以上である場合とは、例えば該当カウンタの数値が2であって、かつ、該当の補正順位が第1位のような場合(すなわち、該当カウンタの数値が補正順位の数値よりも大きい場合)を意味する。このような場合、2つの住宅群での補正が必要であるのに対して、第一住宅群A1での補正が必要である(他の住宅群に優先して補正が行われる)ことを意味する。したがって、該当カウンタの数値が該当の補正順位以上である場合(ステップS308:YES)、第一住宅群A1においては、後述するように、ステップS309にて補正を実行する。
【0151】
ステップS309において、住宅群EMS22は、補正あり融通制御を選択する。すなわち、住宅群EMS22は補正が必要であると判断する。具体的には、例えば該当カウンタが買電超過カウンタであって、かつ、該当の補正順位が系統買電補正順位である場合、一括受電エリアAにおける買電電力を抑制するために、補正が必要であると判断される。つまり、系統電源Kからの買電電力を減少させるため、蓄電池32の動作の切り替えを行う(図7のNo.4から6参照)。
【0152】
また、例えば該当カウンタが売電超過カウンタであって、かつ、該当の補正順位が系統売電補正順位である場合、一括受電エリアAにおける売電電力を抑制するために、第一住宅群A1での補正が必要であると判断される。つまり、系統電源Kからの売電電力を減少させるため、蓄電池32の動作の切り替えを行う(図7のNo.1から3参照)。
【0153】
なお、本実施形態では、第二補正制御の補正(蓄電池32の動作の切り替え)として、複数の蓄電池32のうち1台の蓄電池32の動作を切り替える。具体的には、該当カウンタが買電超過カウンタである場合(系統電源Kからの買電電力を減少させる場合)において、第一住宅群A1が売電状態である場合には、第一住宅群A1の複数の蓄電池32のうち充電状態である蓄電池32の1台に待機指示又は放電指示を行う(図7のNo.4等参照)。これにより、第一住宅群A1において充電が抑制され、一括受電エリアAにおける買電電力を減少(抑制)することができる。
【0154】
また、該当カウンタが買電超過カウンタである場合(系統電源Kからの買電電力を減少させる場合)において、第一住宅群A1が買電状態である場合には、第一住宅群A1の複数の蓄電池32のうち充電又は待機状態の蓄電池32の1台に放電指示を行う(図7のNo.5等参照)。これにより、第一住宅群A1において放電が促進され、一括受電エリアAにおける買電電力を減少(抑制)することができる。
【0155】
また、該当カウンタが売電超過カウンタである場合(系統電源Kからの売電電力を減少させる場合)において、第一住宅群A1が売電状態である場合には、第一住宅群A1の複数の蓄電池32のうち放電又は待機状態の蓄電池32の1台に充電指示を行う(図7のNo.1等参照)。これにより、第一住宅群A1において充電が促進され、一括受電エリアAにおける売電電力を減少(抑制)することができる。
【0156】
また、該当カウンタが売電超過カウンタである場合(系統電源Kからの売電電力を減少させる場合)において、第一住宅群A1が買電状態である場合には、第一住宅群A1の複数の蓄電池32のうち放電状態の蓄電池32の1台に待機指示又は充電指示を行う(図7のNo.2等参照)。これにより、第一住宅群A1において放電が抑制され、一括受電エリアAにおける売電電力を減少(抑制)することができる。
【0157】
このように、第二補正制御においては、第一補正制御により生成された買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値に基づいて補正の可否を判断すると共に、補正を行うと判断した場合に実際に補正を行っている。すなわち、第二補正制御において第一住宅群A1での補正の可否の判断には、他の住宅群の状況(例えば、他の住宅群での補正の可否や、当該他の住宅群での売買電等)の情報が考慮されない。こうして、第一住宅群A1の住宅群EMS22は、例えば他の住宅群の住宅群EMS22と通信し合うような煩雑な処理を行う必要がなく、比較的簡易な処理により一括受電エリアA全体としての自給率を向上させることができる。
【0158】
また、第二補正制御により蓄電池32の動作を切り替えた場合には、第一住宅群A1において自給率が低下する場合がある。しかしながら、本実施形態においては、複数の蓄電池32のうち1台の蓄電池32の動作を切り替えるものであるため、自給率の過剰な低下を抑制することができる。すなわち、複数の住宅群それぞれにおいて自給率の過剰な低下を抑制しつつ、一括受電エリアA全体の自給率の向上を図ることができる。
【0159】
なお、複数の蓄電池32からの1台の蓄電池32の選択は、事前設定制御(図3参照)で設定した放電優先順位に基づいて行われる。具体的には、複数の蓄電池32のうち充電状態である蓄電池32の1台に待機指示又は放電指示を行う場合と、充電又は待機状態の蓄電池32の1台に放電指示を行う場合には、放電優先順位の最も高い蓄電池32に指示が行われる。また、複数の蓄電池32のうち放電又は待機状態の蓄電池32の1台に充電指示を行う場合と、複数の蓄電池32のうち放電状態の蓄電池32の1台に待機指示又は充電指示を行う場合には、放電優先順位の最も低い蓄電池32に指示が行われる。これにより、全ての蓄電池32の放電量の均等化を図ることができる。
【0160】
ここで、図10は、該当カウンタが買電超過カウンタである場合(一括受電エリアが買電状態である場合)、かつ、全ての住宅群が買電状態である場合において電力融通補正制御の補正が行われる前の電力の供給態様の一例を示している。また、図11は、図10に示す状態から電力融通補正制御の補正が行われた後の電力の供給態様の一例を示している。
【0161】
なお、図10に示す一例においては、説明の便宜上、一括受電エリアA内に、第一住宅群A1~第三住宅群A3の3つの住宅群が設けられているものとする。また、一括受電エリアAは、1600Wの買電を行っている。また、第一住宅群A1は、800Wの買電を行っている。また、第二住宅群A2は、600Wの買電を行っている。また、第三住宅群A3は、200Wの買電を行っている。また、系統買電補正順位の第1位は、第一住宅群A1である。また、第一住宅群A1の住宅総負荷は、4000Wである。また、第一住宅群A1において、第一蓄電システム21aの太陽光発電部31の発電電力が400W、第二蓄電システム21bの太陽光発電部31の発電電力が400W、第三蓄電システム21cの太陽光発電部31の発電電力が400W及び蓄電池32の放電電力が2000Wである。また、充電又は待機状態である蓄電池32のうち、最も放電優先順位が高い蓄電池は、第二蓄電システム21bの蓄電池32である。
【0162】
このような状態においては、買電超過カウンタが1になった場合、売電超過カウンタの数値が0よりも大きくなく(ステップS304:NO)、かつ、買電超過カウンタ(該当カウンタ)の数値が、系統買電補正順位(該当の補正順位)以上である(ステップS308:YES)ため、補正あり融通制御が選択される(ステップS309)。すなわち、充電又は待機状態である蓄電池(第一蓄電システム21a及び第二蓄電システム21bの蓄電池32)のうち、最も放電優先順位が高い第二蓄電システム21bの蓄電池32に放電指示が行われる。
【0163】
その結果、図11に示すように、第二蓄電システム21bの蓄電池32は、図10に示した住宅総負荷(4000W)に対して、第三蓄電システム21cの太陽光発電部31の発電電力及び蓄電池32の放電電力と、第二蓄電システム21bの蓄電池32の放電電力と、だけでは不足する分の電力(1200W)の放電を行う。これにより、第一蓄電システム21aの太陽光発電部31の発電電力(400W)は、第一住宅群A1内で余剰することとなり、非住宅群A6側へと流通する。すなわち、第一住宅群A1は、電力融通補正制御を行うことにより、800Wの買電を行っていたのが、400Wの売電を行うこととなる。
【0164】
こうして、一括受電エリアA全体でみると、1600Wの買電を行っていたのが、図11に示すように、第一住宅群A1から非住宅群A6へと電力が供給されることにより、400Wの買電を行うこととなる。すなわち、一括受電エリアA全体の自給率が向上することとなる。
【0165】
また、図12は、該当カウンタが売電超過カウンタである場合(一括受電エリアが売電状態である場合)、かつ、全ての住宅群が売電状態である場合において電力融通補正制御の補正が行われる前の電力の供給態様の一例を示している。また、図13は、図12に示す状態から電力融通補正制御の補正が行われた後の電力の供給態様の一例を示している。
【0166】
なお、図12に示す一例においては、説明の便宜上、一括受電エリアA内に、第一住宅群A1~第三住宅群A3の3つの住宅群が設けられているものとする。また、一括受電エリアAは、2700Wの売電を行っている。また、第一住宅群A1は、800Wの売電を行っている。また、第二住宅群A2は、1000Wの売電を行っている。また、第三住宅群A3は、900Wの売電を行っている。また、系統売電補正順位の第1位は、第一住宅群A1である。また、第一住宅群A1の住宅総負荷は、2000Wである。また、第一住宅群A1において、第一蓄電システム21aの太陽光発電部31の発電電力が1600W、第二蓄電システム21bの太陽光発電部31の発電電力が1600W、第三蓄電システム21cの太陽光発電部31の発電電力が1600W及び蓄電池32の充電電力が2000Wである。第三蓄電システム21cの蓄電池32は、当該第三蓄電システム21cの太陽光発電部31の発電電力の全部と、第一配電線11を流通する電力を充電している。また、放電又は待機状態である蓄電池32のうち、最も放電優先順位が低い蓄電池は、第二蓄電システム21bの蓄電池32である。
【0167】
このような状態においては、売電超過カウンタが1になった場合、第一住宅群A1が売電状態(ステップS304:NO)、かつ、売電超過カウンタ(該当カウンタ)の数値が、系統売電補正順位(該当の補正順位)以上である(ステップS308:YES)ため、補正あり融通制御が選択される(ステップS309)。すなわち、放電又は待機状態である蓄電池(第一蓄電システム21a及び第二蓄電システム21bの蓄電池32)のうち、最も放電優先順位が低い第二蓄電システム21bの蓄電池32に充電指示が行われる。
【0168】
その結果、図13に示すように、第二蓄電システム21bの蓄電池32は、当該第二蓄電システム21bの太陽光発電部31の発電電力の全部と、第一配電線11を流通する電力を充電する。すなわち、第二蓄電システム21bの蓄電池32は、2000Wの充電を行う。これにより、第一蓄電システム21aの太陽光発電部31の発電電力(1600W)の全てが下流側へと流通する。すなわち、第一住宅群A1は、電力融通補正制御を行うことにより、住宅総負荷(2000W)に対して800Wの電力を供給することになるため、不足する分となる1200Wの買電を行うこととなる。
【0169】
こうして、一括受電エリアA全体でみると、2700Wの買電を行っていたのが、図13に示すように、非住宅群A6から第一住宅群A1へと電力が供給されることにより、700Wの売電を行うこととなる。すなわち、一括受電エリアA全体の自給率が向上することとなる。
【0170】
なお、複数の蓄電池32からの1台の蓄電池32の選択は、放電優先順位に基づいて行うことに限定せず、任意の判断基準に基づいて行うことができる。また、補正を行う蓄電池32の台数は1台に限定せず、任意の台数とすることができる。こうして、例えば補正を行う蓄電池32の台数を該当カウンタの数値に応じて増加させることにより、一括受電エリアA全体の自給率の向上を効果的に図ることができる。
【0171】
また、上述の如く、該当カウンタが売電超過カウンタである場合(系統電源Kからの売電電力を減少させる場合)、買電している住宅群の蓄電池32の放電を補正により抑制すること(図7のNo.3の(2)参照)は、売電している住宅群の蓄電池32の充電を補正により促進すること(図7のNo.3の(1)参照)よりも、第一住宅群A1の自給率を損なわせる可能性が高い。そこで、本実施形態においては、該当カウンタが売電超過カウンタであって、かつ、第一住宅群A1が買電状態である場合には、所定の条件を満たす前に補正を行わないこととしている。
【0172】
具体的には、売電超過カウンタの数値が0よりも大きく、かつ、第一住宅群A1が買電状態である場合(ステップS304:YES)、売電超過カウンタの数値が住宅群EMS22の合計台数(本実施形態においては、5)よりも大きくなる前には、補正なし融通制御が選択される(ステップS305:YES、ステップS306)。この場合、第一住宅群A1において、仮に売電超過カウンタの数値が系統売電補正順位以上であっても、第二補正制御による補正は行われない。これに対して、売電超過カウンタの数値が系統売電補正順位以上であって売電状態である他の住宅群があれば、当該他の住宅群の系統売電補正順位が第一住宅群A1よりも低い場合であっても、第二補正制御で補正が行われる。
【0173】
このような処理により、該当カウンタが売電超過カウンタである場合、買電している住宅群の蓄電池32の放電を補正により抑制すること(図7のNo.3の(2)参照)よりも、売電している住宅群の蓄電池32の充電を補正により促進すること(図7のNo.3の(1)参照)を優先して行うことができる。すなわち、買電している住宅群と売電している住宅群とが混在している場合は、まずは売電状態である他の住宅群での補正を優先して行うことにより、当該住宅群の自給率が過剰に損なわれるのを可及的に防止することができる。
【0174】
そして、売電超過カウンタの数値が0よりも大きく、かつ、第一住宅群A1が買電状態である場合(ステップS304:YES)であっても、売電超過カウンタの数値が住宅群EMS22の合計台数(本実施形態においては、5)よりも大きくなった後には、補正あり融通制御が選択される(ステップS305:NO、ステップS307、ステップS308:YES、ステップS309)。
【0175】
このような処理により、買電している住宅群と売電している住宅群とが混在している場合において、まずは売電状態である他の住宅群での補正を優先して行った後、未だ一括受電エリアAの売電を減少させる必要がある場合には、買電状態であっても第一住宅群A1での補正を行うことができる。こうして、一括受電エリアA全体の自給率の向上を効果的に図ることができる。
【0176】
以下では、電力融通補正制御を行った場合の、第一住宅群A1から第五住宅群A5の補正なし融通制御(以下では「通常制御」と称する)と補正あり融通制御(以下では「補正制御」と称する)との経時変化の一例について説明する。
【0177】
図14は、全ての住宅群が売電状態である場合において、電力融通補正制御を行った場合の通常制御と補正制御との経時変化の一例を示す図である。図14においては、全ての住宅群は、売電状態となっている。また、図14においては、系統売電補正順位として、第五住宅群A5が第1位、第四住宅群A4が第2位、第三住宅群A3が第3位、第二住宅群A2が第4位、第一住宅群A1が第5位に設定されている。また、系統買電補正順位として、系統売電補正順位と排他的な関係となるように、第五住宅群A5が第5位、第四住宅群A4が第4位、第三住宅群A3が第3位、第二住宅群A2が第2位、第一住宅群A1が第1位に設定されている。
【0178】
図14に示すように、買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値が共に0である場合、全ての住宅群では通常制御が選択される(ステップS302:NO、ステップS303)。また、時間の経過とともに売電超過カウンタの数値が1ずつ増加するごとに、系統売電補正順位に基づいて順番に補正制御が選択される住宅群が増加する。また、時間の経過とともに売電超過カウンタの数値が0となり、その後、買電超過カウンタの数値が1ずつ増減するごとに、系統買電補正順位に基づいて順番に、補正制御が選択される住宅群が増減する(ステップS302:YES、ステップS304:NO、ステップS308:YES、ステップS309)。
【0179】
このように、買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値、すなわち一括受電エリアAにおける買電電力及び売電電力の多寡に応じて、補正制御を行う住宅群の数が増減される。こうして、電力融通補正制御によれば、一括受電エリアAにおける買電電力及び売電電力を適宜抑制することができるため、一括受電エリアA全体の自給率の向上を図ることができる。
【0180】
図15は、売電状態である住宅群と買電状態である住宅群とが混在している場合において、電力融通補正制御を行った場合の通常制御と補正制御との経時変化の一例を示す図である。具体的には、図15において、第一住宅群A1、第二住宅群A2及び第四住宅群A4が売電状態となっている。一方、第三住宅群A3及び第五住宅群A5は買電状態となっている。なお、図15において、系統売電補正順位及び系統買電補正順位は、図14と同様に設定されている。
【0181】
図15に示すように、買電超過カウンタ及び売電超過カウンタの数値が共に0である場合、全ての住宅群では通常制御が選択される(ステップS302:NO、ステップS303)。そして、時間の経過とともに売電超過カウンタの数値が1になった場合、第五住宅群A5は、系統売電補正順位が第1位にもかかわらず、買電状態であって、かつ、カウンタの数値が5(住宅群EMS22の合計台数)以下であるため、補正制御が選択されず、通常制御が選択される(ステップS302:YES、ステップS304:YES、ステップS305:YES、ステップS306)。
【0182】
そして、時間の経過とともに売電超過カウンタの数値が2になった場合、第四住宅群A4は、系統売電補正順位が第2位であって、売電状態であるため、第五住宅群A5よりも系統売電補正順位が低いにもかかわらず、補正制御が選択される(ステップS302:YES、ステップS304:NO、ステップS308:YES、ステップS309)。
【0183】
こうして、第五住宅群A5は、系統売電補正順位が第1位にもかかわらず、売電超過カウンタが5まで増加した場合であっても、通常制御が選択される(ステップS302:YES、ステップS304:YES、ステップS305:YES、ステップS306)。また同様に、第三住宅群A3は、系統売電補正順位が第3位にもかかわららず、売電超過カウンタが5まで増加した場合であっても、通常制御が選択される。
【0184】
そして、時間の経過とともに売電超過カウンタの数値が6になった場合、第五住宅群A5は、カウンタの数値が5(住宅群EMS22の合計台数)よりも大きくなったため売電超過カウンタの数値を補正順位に対応するように更新し、更新した数値が系統売電補正順位以上であるため補正制御が選択される(ステップS302:YES、ステップS304:YES、ステップS305:NO、ステップS307、ステップS308:YES、ステップS309)。また同様に、第三住宅群A3は、時間の経過とともに売電超過カウンタの数値が8になった場合、補正制御が選択される。
【0185】
このように、売電状態である住宅群と買電状態である住宅群とが混在している場合においては、まずは売電状態である住宅群(第一住宅群A1、第二住宅群A2及び第四住宅群A4)での補正制御が優先して選択される。そして、未だ売電超過カウンタの数値が増加する場合(住宅群EMS22の合計台数よりも大きくなる場合)には、買電状態である住宅群(第三住宅群A3及び第五住宅群A5)での補正制御が選択される。こうして、一括受電エリアA全体の自給率の向上を効果的に図ることができると共に、住宅群の自給率が過剰に損なわれるのを可及的に防止することができる。
【0186】
以上の如く、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1は、
系統電源Kからの電力を受電可能な一括受電エリアAに設けられた電力供給システムであって、
住宅負荷HLに電力を供給可能な、自然エネルギーを用いて発電可能な太陽光発電部31と、前記太陽光発電部31の発電電力を充放電可能な蓄電池32と、を有した複数の蓄電システム21がそれぞれ設けられると共に、系統電源Kとそれぞれ接続された複数の住宅群の電気機器(グループ)と、
前記複数の住宅群の電気機器(グループ)よりも系統電源K側で設けられ、系統電源Kと前記一括受電エリアAとの電力の流通を検出可能なスマートメータ14(第一検出部)と、
前記スマートメータ14(第一検出部)により取得した情報に基づいて、系統電源Kと前記一括受電エリアAとの電力の流通が所定の状態となるよう、前記各住宅群の電気機器(グループ)の複数の蓄電池32の動作を制御する電力融通補正制御(第一の制御)を実行する住宅群EMS22(制御部)と、
を具備するものである。
【0187】
このような構成により、複数の蓄電システム21がそれぞれ設けられた複数のグループ(住宅群の電気機器)が存在する場合に、これらのグループの蓄電システム21の制御を好適に行うことができる。
すなわち、各グループ(住宅群の電気機器)においては、スマートメータ14(第一検出部)により取得した情報に基づいて各住宅群の電気機器(グループ)の複数の蓄電池32の動作を制御する(電力融通補正制御を実行する)ため、例えば各住宅群の電気機器(グループ)ごとに通信し合って互いの情報を取得する必要がなく、煩雑な制御となるのを防止しつつ、系統電源Kと一括受電エリアAとの電力の流通を所定の状態とすることができる。
【0188】
また、電力供給システム1においては、
各住宅群の電気機器(グループ)の内外への電力の流通を検出可能な電力センサ33(第二検出部)を具備し、
前記住宅群EMS22(制御部)は、
前記電力融通補正制御(第一の制御)において、
前記系統電源Kから流通してくる電力(買電電力)が所定の値よりも大きい場合、
前記電力センサ33(第二検出部)により検出された、売電状態である(外側へと電力が流通する)住宅群の電気機器(グループ)において、充電状態である蓄電池32に待機指示又は放電指示を行うものである。
【0189】
このような構成により、複数の蓄電システム21がそれぞれ設けられた複数のグループ(住宅群の電気機器)が存在する場合に、これらのグループの蓄電システム21の制御を好適に行うことができる。
すなわち、補正によりいずれかの住宅群の蓄電池32の充電を抑制し、当該住宅群の売電を増加させることができるため、一括受電エリアA全体としての自給率を向上させることができる(図7のNo.4等参照)。
【0190】
また、電力供給システム1においては、
各住宅群の電気機器(グループ)の内外への電力の流通を検出可能な電力センサ33(第二検出部)を具備し、
前記住宅群EMS22(制御部)は、
前記電力融通補正制御(第一の制御)において、
前記系統電源Kから流通してくる電力(買電電力)が所定の値よりも大きい場合、
前記電力センサ33(第二検出部)により検出された、買電状態である(内側へと電力が流通する)住宅群の電気機器(グループ)において、充電又は待機状態である蓄電池32に放電指示を行うものである。
【0191】
このような構成により、複数の蓄電システム21がそれぞれ設けられた複数のグループ(住宅群の電気機器)が存在する場合に、これらのグループの蓄電システム21の制御を好適に行うことができる。
すなわち、補正によりいずれかの住宅群の蓄電池32の放電を促進し、当該住宅群の買電を減少させることができるため、一括受電エリアA全体としての自給率を向上させることができる(図7のNo.5等参照)。
【0192】
また、電力供給システム1においては、
各住宅群の電気機器(グループ)の内外への電力の流通を検出可能な電力センサ33(第二検出部)を具備し、
前記住宅群EMS22(制御部)は、
前記電力融通補正制御(第一の制御)において、
前記系統電源Kへと流通する電力(売電電力)が所定の値よりも大きい場合、
前記電力センサ33(第二検出部)により検出された、売電状態である(外側へと電力が流通する)住宅群の電気機器(グループ)において、放電又は待機状態である蓄電池32に充電指示を行うものである。
【0193】
このような構成により複数の蓄電システム21がそれぞれ設けられた複数のグループ(住宅群の電気機器)が存在する場合に、これらのグループの蓄電システム21の制御を好適に行うことができる。
すなわち、補正によりいずれかの住宅群の蓄電池32の充電を促進し、当該住宅群の売電を減少させることができるため、一括受電エリアA全体としての自給率を向上させることができる(図7のNo.1等参照)。
【0194】
また、電力供給システム1においては、
各住宅群の電気機器(グループ)の内外への電力の流通を検出可能な電力センサ33(第二検出部)を具備し、
前記住宅群EMS22(制御部)は、
前記電力融通補正制御(第一の制御)において、
前記系統電源Kへと流通する電力(売電電力)が所定の値よりも大きい場合、
前記電力センサ33(第二検出部)により検出された、買電状態である(内側へと電力が流通する)住宅群の電気機器(グループ)において、放電状態である蓄電池32に待機指示又は充電指示を行うものである。
【0195】
このような構成により複数の蓄電システム21がそれぞれ設けられた複数のグループ(住宅群の電気機器)が存在する場合に、これらのグループの蓄電システム21の制御を好適に行うことができる。
すなわち、補正によりいずれかの住宅群の蓄電池32の放電を抑制し、当該住宅群の買電を増加させることができるため、一括受電エリアA全体としての自給率を向上させることができる(図7のNo.2等参照)。
【0196】
また、電力供給システム1においては、
各住宅群の電気機器(グループ)の内外への電力の流通を検出可能な電力センサ33(第二検出部)を具備し、
前記住宅群EMS22(制御部)は、
前記電力融通補正制御(第一の制御)において、
前記系統電源Kへと流通する電力(売電電力)が所定の値よりも大きい場合であって、
前記複数の住宅群の電気機器(グループ)内に、前記電力センサ33(第二検出部)により検出された、売電状態である(外側へと電力が流通する)第一の住宅群の電気機器(グループ)と、買電状態である(内側へと電力が流通する)住第二の住宅群の電気機器(グループ)と、が混在している場合には、
まず前記第一の住宅群の電気機器(グループ)において放電又は待機状態である蓄電池32に充電指示を行い、次に前記第二の住宅群の電気機器(グループ)において放電状態である蓄電池32に待機指示又は充電指示を行うものである。
【0197】
このような構成により、複数の蓄電システム21がそれぞれ設けられた複数のグループ(住宅群の電気機器)が存在する場合に、これらのグループの蓄電システム21の制御を好適に行うことができる。
すなわち、買電している住宅群と売電している住宅群とが混在している場合は、まずは売電状態である他の住宅群での補正を優先して行うことにより、住宅群の自給率が過剰に損なうのを可及的に防止しつつ、一括受電エリアA全体としての自給率を向上させることができる(図7のNo.3の(1)・(2)参照)。
【0198】
また、電力供給システム1においては、
前記住宅群EMS22(制御部)は、
前記各住宅群の電気機器(グループ)ごとに、当該住宅群の電気機器(グループ)の内外への電力の流通が比較的小さくなるよう、前記太陽光発電部31の発電電力と前記住宅負荷HLの消費電力に基づいて前記蓄電池32の動作を制御する電力融通制御(第二の制御)を実行するものである。
【0199】
このような構成により、複数の蓄電システム21がそれぞれ設けられた複数のグループ(住宅群の電気機器)が存在する場合に、これらのグループの蓄電システム21の制御を好適に行うことができる。
すなわち、一括受電エリアA全体としての自給率を向上させると共に、各住宅群内においても自給率やPV自己消費率を向上させることができる。
【0200】
なお、本実施形態に係る一括受電エリアAは、本発明に係るエリアの実施の一形態である。
また、太陽光発電部31は、本発明に係る発電部の実施の一形態である。
また、蓄電池32は、本発明に係る蓄電池の実施の一形態である。
また、電力融通補正制御は、本発明に係る第一の制御の実施の一形態である。
また、電力融通制御は、本発明に係る第二の制御の実施の一形態である。
また、住宅群の電気機器は、本発明に係るグループの実施の一形態である。
また、住宅群EMS22は、本発明に係る制御部の実施の一形態である。
【0201】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0202】
例えば、本実施形態において、発電部(太陽光発電部31)は、太陽光を利用して発電するものとしたが、他の自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであってもよい。
【0203】
また、一括受電エリアA内に、非住宅負荷SLや、非住宅群発電部16、非住宅群蓄電池17は、必ずしも設けられる必要はない。
【0204】
また、本実施形態においては、電力融通制御において、積算放電量に基づいて放電優先順位を決定するものとしたが、放電優先順位を決定する基準はこれに限定されるものではなく、例えば蓄電システム21の充電状態(電力を蓄積可能な定格容量に対して蓄積されている電池残量の割合)や充電回数に基づいて決定するものであってもよい。
【0205】
また、本実施形態においては、電力融通制御を行う場合、事前設定制御にて複数の蓄電池32の放電優先順位(複数の蓄電池32のうちどの蓄電池32を他の蓄電池32に対して優先的に放電させるのかの判断基準)を決定するものとしたが、前記判断基準を設定するタイミングはこれに限定するものではない。例えば、蓄電システム動作制御の実行途中で、前記判断基準を設定してもよい。すなわち、放電する蓄電池32の台数を算出するタイミングの都度、前記判断基準を決定してもよい。
【0206】
また、本実施形態においては、電力融通補正制御を行う場合、電力融通制御を並行して行うこととしたが、必ずしも電力融通制御を行う必要はない。例えば、各住宅群の蓄電池32に対して充放電モードを実行させていてもよい。
【0207】
また、本実施形態においては、蓄電システム21の数は3つであるとしたが、これに限定するものではない。すなわち、蓄電システム21の数は4つ以上であってもよく、また3よりも少なくてもよい。またに、住宅負荷HLや非住宅負荷SL等の数も本実施形態のものに限定されない。
【0208】
また、電力センサ等のセンサの配置は、本実施形態に係るものに限定されない。すなわち、非住宅群EMS18や住宅群EMS22が所望の情報を取得できるならば、前記センサの配置は任意に設定することができる。
【0209】
また、本実施形態において、電力の供給態様に関する優先事項として、一括受電エリアA全体としての自給率の向上が設定されているが、これに限定するものではない。電力の供給態様に関する優先事項としては、例えば系統電源Kから一括受電エリアAへの買電電力が設定値を超過しないこと(デマンド抑制)や、自家消費率の向上等の任意の事項を設定することができる。また、任意の事項を優先事項とする場合には、当該任意の事項に対応するカウンタを設定して制御を行うことができる。
【0210】
また、本実施形態において、補正順位(系統売電補正順位及び系統買電補正順位)は、予測した自給率に基づいて設定するものとしたが、これに限定するものではない。補正順位は、種々の情報に基づいて設定することができる。
【0211】
また、本実施形態において、非住宅群EMS18、住宅群EMS22及び予測サーバ23は、それぞれ別々のものとして説明したが、同一のもの(すなわち、非住宅群EMS18、住宅群EMS22及び予測サーバ23の機能を有する1又は2つの制御部)が設けられてもよい。また、非住宅群EMS18、住宅群EMS22及び予測サーバ23それぞれの機能は、本実施形態とは異なるものが有していてもよい。具体的には、本実施形態において、例えば自給率の予測や補正順位設定処理を予測サーバ23が行うものとしたが、非住宅群EMS18又は住宅群EMS22が行ってもよい。
【符号の説明】
【0212】
1 電力供給システム
14 スマートメータ
21 蓄電システム
22 住宅群EMS
31 太陽光発電部
A 一括受電エリア
K 系統電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15