IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユーシン精機の特許一覧

<>
  • 特開-成形品取出機 図1
  • 特開-成形品取出機 図2
  • 特開-成形品取出機 図3
  • 特開-成形品取出機 図4
  • 特開-成形品取出機 図5
  • 特開-成形品取出機 図6
  • 特開-成形品取出機 図7
  • 特開-成形品取出機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056270
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】成形品取出機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/42 20060101AFI20220401BHJP
   B29C 33/44 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B29C45/42
B29C33/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164194
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000138473
【氏名又は名称】株式会社ユーシン精機
(74)【代理人】
【識別番号】100167807
【弁理士】
【氏名又は名称】笠松 信夫
(72)【発明者】
【氏名】伊東 祐希
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CB01
4F202CM11
4F202CM12
(57)【要約】
【課題】横行フレームの垂れや振動、横行フレーム固定部の破損の抑制と、設置容易性の向上とをバランスよく両立させることができる成形品取出機を提供する。
【解決手段】横行フレーム12は、成形機100で生産された成形品の、成形機外への搬出方向に延びる状態で設置される。取付台11は、成形機100の固定プラテン101上に固定され、横行フレーム12の基端部12aを支持する。支持部材18は、固定プラテン101上の取付台11に固定された領域から所定距離離間した位置において、一端で横行フレーム12の荷重を支持する。また、支持部材18は、他端を通じて当該横行フレーム12の荷重を固定プラテン101に受け止めさせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形機の上方に設置される成形品取出機であって、
前記成形機で生産された成形品の、成形機外への搬出方向に延びる横行フレームと、
前記成形機の固定プラテン上に固定され、前記横行フレームの基端部を支持する取付台と、
前記固定プラテン上の前記取付台が固定された領域から所定距離離間した位置において、一端で前記横行フレームの荷重を支持するとともに、他端を通じて当該横行フレームの荷重を前記固定プラテンに受け止めさせる支持部材と、
を備える成形品取出機。
【請求項2】
前記支持部材が鉛直方向に沿って配置される、請求項1記載の成形品取出機。
【請求項3】
前記支持部材の他端が、前記固定プラテン、または前記固定プラテンに固定されるとともに前記横行フレームに沿って延出された部材に固定される、請求項1又は請求項2記載の成形品取出機。
【請求項4】
前記支持部材の他端が、前記横行フレームに沿って延出された前記取付台、または前記取付台に固定されるとともに前記横行フレームに沿って延出された部材に固定される、請求項1又は請求項2記載の成形品取出機。
【請求項5】
前記支持部材の他端の取付位置の鉛直下方、かつ前記固定プラテンの上面よりも高い位置に空間が設けられる、請求項4記載の成形品取出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機の上方に設置される成形品取出機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成形機において生産された成形品を取り出す装置として、成形機の固定プラテン上に設置される成形品取出機が広く使用されている。このような成形品取出機として、成形品を保持するヘッドと、樹脂成形機の金型移動方向に沿って配置され、金型からの成形品の引き抜き方向に沿うヘッドの移動を実現する引抜フレームと、ヘッドの鉛直方向に沿う移動を実現する昇降ユニットと、金型移動方向及び鉛直方向と直交する方向に沿って配置され、樹脂成形機外の所定位置へのヘッドの移動を実現する横行フレームとを備える構成が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-103365号公報
【特許文献2】特開2016-002670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような成形品取出機では、横行フレームの基端部が固定プラテン上に固定される。そのため、横行フレームが長くなると、フレームの自重に起因するフレーム先端の垂れ(鉛直下方への降下)やフレームのねじれに起因する振動等の発生が懸念される。横行フレームの垂れや振動は、特許文献2のような成形品を整列配置する用途では、配置精度が低下する要因となる。また、大型の成形品取出機では、横行フレームが長くなると、フレーム固定部への負荷集中に起因する破損等の発生も懸念される。
【0005】
以上のような課題は、例えば、横行フレームの先端と床面との間に支柱を設置し、横行フレーム先端を床面に固定することで解決可能であるようにも思える。しかしながら、このような支柱を設置する場合、支柱を設置する場所には周辺機器を設置できず、作業者の通行の障害となるため、工場のレイアウトが制限されることになる。また、床面と横行フレームとの間の距離は、床面から固定プラテン上面までの高さと、固定プラテン上面から横行フレーム下面までの高さとの和になるため、特に大型の成形品取出機では、長大な支柱が必要となる。そのため、輸送、搬入、設置に手間とコストが必要となる。
【0006】
また、樹脂成形機に設置済の成形品取出機を他の樹脂成形機に移設する場合には、樹脂成形機の型式が異なると、床面から横行フレーム先端までの距離が異なるため、移設先の樹脂成形機に合わせた新たな支柱を準備する必要もある。
【0007】
加えて、成形品を樹脂成形機からコンベア上に搬送する等のあまり高い精度を必要としない用途で成形品取出機を使用しているユーザにとっては、破損は防止する必要はあるが、垂れや振動ねじれについては特に問題視されない。このようなユーザにとっては、上述の支柱を設置することはデメリットが大きいともいえる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、横行フレームの垂れや振動、横行フレーム固定部の破損の抑制と、設置容易性の向上とをバランスよく両立させることができる成形品取出機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。まず、本発明は、成形機の上方に設置される成形品取出機を前提としている。そして、本発明に係る成形品取出機は、横行フレーム、取付台、及び支持部材を備える。横行フレームは、成形機で生産された成形品の、成形機外への搬出方向に延びる状態で設置される。取付台は、成形機の固定プラテン上に固定され、横行フレームの基端部を支持する。支持部材は、固定プラテン上の取付台が固定された領域から所定距離離間した位置において、一端で横行フレームの荷重を支持する。また、当該支持部材は、他端を通じて当該横行フレームの荷重を固定プラテンに受け止めさせる。例えば、支持部材は、鉛直方向に沿って配置される構成を採用することができる。
【0010】
この成形品取出機では、取付台とは別に、横行フレームの荷重を直接的又は間接的に固定プラテンに受け止めさせる支持部材を設けているため、取付台を介して基端部のみが固定プラテンに固定される従来構成に比べて、横行フレームの垂れや振動、横行フレーム固定部の破損を抑制することができる。また、支持部材は固定プラテンに横行フレームの荷重を伝搬する構成、すなわち、支持部材は直接的又は間接的に固定プラテンに固定支持される構成であるため、横行フレームの先端と床面とにわたる上述の支柱に比べて支持部材の長さが短くなる。そのため、支持部材の輸送、搬入、設置が比較的容易である。さらに、成形品取出機を他の成形機に移設する場合でも、移設先の成形機に応じて新たな支持部材を準備する必要もないため、容易に移設することができる。加えて、従来構成と同様に、成形機外に延出された横行フレームの下方には障害物が存在しないため、工場のレイアウトが制限されることもない。
【0011】
上述の成形品取出機では、支持部材の他端が、固定プラテン、または固定プラテンに固定されるとともに横行フレームに沿って延出された部材に固定される構成を採用することができる。
【0012】
また、支持部材の他端が、横行フレームに沿って延出された取付台、または取付台に固定されるとともに横行フレームに沿って延出された部材に固定される構成を採用することもできる。この場合、支持部材の他端の取付位置の鉛直下方、かつ固定プラテンの上面よりも高い位置に空間が設けられる構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、成形機の上方に設置される成形品取出機において、横行フレームの垂れや振動、横行フレーム固定部の破損の抑制と、設置容易性の向上とをバランスよく両立させることができる。また、成形機外に延出された横行フレームの下方には障害物が存在しないため、工場のレイアウトが制限されることもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る成形品取出機の一例を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る成形品取出機の一例を模式的に示す正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る成形品取出機が備える支持部材の一例を模式的に示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る成形品取出機の一例の要部を模式的に示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る成形品取出機の他の例の要部を模式的に示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る成形品取出機の他の例の要部を模式的に示す図である。
図7】(a)及び(b)は、図6に示す成形品取出機の作用効果を示す説明図である。
図8】本発明の一実施形態に係る成形品取出機の他の例の要部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、水平方向に金型が開閉する樹脂射出成形機の固定プラテン上に配置され、金型の開閉方向と直交する方向に沿う横行フレームにより成形品を樹脂射出成形機外に搬出する成形品取出機として本発明を具体化する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る成形品取出機10を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、成形品取出機10はいわゆるトラバース型の成形品取出機であり、成形機100の固定プラテン101上に固定されている。
【0017】
成形機100は、公知の構造であり、固定プラテン101及び可動プラテン102が対向する状態で配置されている。可動プラテン102は、固定プラテン101の四隅から水平方向に沿って配置されたタイバー103に摺動可能に支持されている。可動プラテン102は型締装置105によって水平方向に駆動され、当該駆動により、固定プラテンン101に装着された固定金型104aと可動プラテン102に装着された可動金型104bにより構成される金型装置104の型締め及び型開きがなされる。金型装置104が型締め状態にあるときに、固定プラテン101に接続された射出装置106から金型装置104のキャビティ内に加熱溶融された樹脂が射出されることで成形品が製造される。
【0018】
成形品取出機10は、取付台11、横行フレーム12、走行体13、引抜フレーム14、昇降ユニット15、ヘッド16を備えている。横行フレーム12は、成形機100で生産された成形品の、成形機外への搬出方向に沿って配置される。この例では、図1に示すように、横行フレーム12は、成形機100のタイバー103の軸を含む鉛直面に垂直な方向(すなわち、成形機100の短手方向)に沿って配置されている。横行フレーム12の基端部12aが固定プラテン101上に設置された取付台11に固定されることで成形品取出機10が固定プラテン101に取付けられている。
【0019】
走行体13は横行フレーム12に支持されており、サーボモータを駆動源として横行フレーム12に沿って進退する。引抜フレーム14は、基端部が走行体13に固定されており、可動金型104bの移動方向(すなわち、成形機100の長手方向)に沿って配置されている。昇降ユニット15は引抜フレーム14に支持されており、サーボモータを駆動源として引抜フレーム14に沿って進退する走行体としても機能する。ヘッド16は、昇降ユニット15が備える昇降フレーム17の下端に支持されている。昇降フレーム17は鉛直方向に沿って配置されており、昇降ユニット15が備えるサーボモータを駆動源として鉛直方向に沿って進退する。当該昇降フレーム17の鉛直方向の移動に伴ってヘッド16は鉛直方向に沿って昇降する。
【0020】
本実施形態の成形品取出機10は、以上の構成に加えて、支持部材18を備える。支持部材18は、固定プラテン101上の取付台11が固定された領域から所定距離離間した位置(すなわち、平面視において、横行フレーム12の基端部12aとは異なる位置)において、一端で横行フレーム12の荷重を支持するとともに、他端を通じて当該横行フレーム12の荷重を固定プラテン101に受け止めさせる。図1に示すように、支持部材18は、横行フレーム12の先端側の固定プラテン101の端部に配置されている。
【0021】
図2は、本実施形態に係る成形品取出機10の一例を模式的に示す正面図である。また、図3は、本実施形態に係る成形品取出機10が備える支持部材18の一例を模式的に示す斜視図である。なお、図2では、便宜上、固定プラテン101よりも型締装置105側に存在する部分の記載を省略し、固定プラテン101を破線で示している。以下では、便
宜上、横行フレーム12の配置方向を左右方向と呼称し、可動金型104bの移動方向を前後方向と呼称する。
【0022】
図2に示すように、取付台11は固定プラテン101の左右方向の中央部に配置される。特に限定されないが、本実施形態では、取付台11の左右方向の幅は固定プラテン101の左右方向幅の半分よりもやや小さく設定されている。また、取付台11の前後方向の幅は、図1に示すように、横行フレーム12の前後方向の幅と同一に構成されている。本実施形態では、取付台11の前後方向の幅は固定プラテン101の前後方向の幅の半分程度であり、取付台11の型締装置105側の端部が固定プラテン101の型締装置105側の端部とおおむね一致する状態で取付台11が固定プラテン101に固定されている。
【0023】
特に限定されないが、本実施形態の取付台11は、図1及び図2に示すように、長方形状の金属製の板状部材からなる底板11aと、底板11aから立設する4枚の金属製の板状部材により構成される角筒状の本体部11bと、長方形状の金属製の板状部材からなる天板11cとにより構成されている。特に限定されないが、本体部11bの前後方向の2つの面は、底板11aの外周端から所定距離内側の位置に設けられており、これらの面の表面には、当該表面に直交する状態で角筒の軸方向に全体にわたって配置された板状部材からなるリブが複数設けられている。底板11aと天板11cとは平行に配置され、それぞれが本体部11bを構成する角筒の端部及び各リブの端部に固定されている。固定プラテン101への取付台11の固定は、固定プラテン101に設けられたボルト穴に取付台11の底板11aの対応位置に設けられた貫通孔を通じてボルトを螺合することで実現される。
【0024】
図4は、本実施形態に係る成形品取出機10の要部を模式的に示す図である。なお、図4では、説明のため、後述する一対の側板12bのうち、横行フレーム12の正面側に配置された側板12b(図2図3参照)、横行フレーム12の内部構造、走行体13及び走行体13の付属物の記載を省略している。
【0025】
図4に示すように、横行フレーム12は走行体13の進退を案内する案内部21と案内部21を支持する支持台22とを備える。支持台22は、底板23と、一対の側板12bと、天板24と、後端側補強板25と、先端側補強板26と、下板27とを備える。底板23、天板24、後端側補強板25、先端側補強板26、及び下板27は長方形状の金属製の板状部材により構成される。一対の側板12bは、図2に示すように、底板23の前後方向の対向する2辺から立設する基部と、当該基部の横行フレーム12の先端側で、鉛直下方に斜辺が位置する直角三角形状の先端側延伸部と、案内部21の前後方向の側面の全体を覆う長方形状の上方側延伸部が連結した、おおむね台形状の板状部材により構成される。天板24の前後方向の対向する2辺はおおむね上述の基部及び先端側延伸部の対応する部分と同一の長さに設定されるとともに、左右方向の対向する2辺は底板23の対応する2辺と同一の長さに設定される。後端側補強板25と先端側補強板26は、底板23の左右方向の対向する2辺と平行かつ所定の間隔をおいて対向する状態で配置されるとともに、底板23、一対の側板12b、天板24に固定される。また、下板27は、一対の側板12bの先端側延伸部の斜辺と平行になる状態で1対の側板12b間に固定されている。なお、案内部21と支持台22とは、案内部21の底面に設けられたボルト穴に、天板24の対応位置に設けられた貫通孔を通じてボルトを螺合することで固定される。
【0026】
また、取付台11への横行フレーム12の固定は、取付台11の天板11cに設けられたボルト穴に、横行フレーム12の支持台22の底板23の対応位置に設けられた貫通孔を通じてボルトを螺合することで実現される。
【0027】
支持部材18は、図3及び図4に示すように、長方形状の金属製の板状部材からなる底
板18aと、底板18aから立設する4枚の金属製の板状部材により構成される角筒状の本体部18bと、長方形状の金属製の板状部材からなる天板18cとにより構成されている。特に限定されないが、本体部18bを構成する4つの面は、底板18aの外周端から所定距離内側の位置に設けられており、これらの面の表面には、当該表面に直交する状態で角筒の軸方向に全体にわたって配置された板状部材からなるリブが複数設けられている。底板18aと天板18cとは平行に配置され、それぞれが本体部18bを構成する角筒の端部及び各リブの端部に固定されている。
【0028】
図3及び図4に示すように、支持部材18は鉛直方向に沿う状態で配置され、支持部材18の天板18cが支持台22の下板27に固定される。上述のように、固定プラテン101に設置された支持台22の下板27は水平面に対して傾いているため、上述した支持部材18の構成では天板18cと下板27とが面接触することはない。そのため、本実施形態では、下板27と面接触する第1面と、天板18cと面接触する第2面とを備えるスペーサ19を下板27に固定し、当該スペーサ19の第2面に天板18cを固定している。なお、これらの固定には、溶接、ボルト締結等、公知の任意の手法を採用することができる。本実施形態では、下板27とスペーサ19との固定に溶接を使用し、スペーサ19と天板18cとの固定にボルト締結を使用している。このように溶接を使用した構成であるため、支持部材18の他端である固定プラテン101側の端部には、上下方向の高さ調整ネジ18dを支持部材18の底板18aに設けることで、支持部材18の他端が固定プラテン101の上面と接触しない状態になることを回避して、支持部材18の他端を確実に固定プラテン101の上面に固定支持できるようにしている。
【0029】
以上説明したように、成形品取出機10では、取付台11とは別に、横行フレーム12の荷重を固定プラテン101に受け止めさせる支持部材18を設けているため、取付台を介して基端部のみが固定プラテンに固定される従来構成に比べて、横行フレーム12の垂れや振動、横行フレーム12と取付台11との固定部の破損を抑制することができる。また、支持部材18は固定プラテン101に直接固定支持される構成であるため長さが短く、支持部材18の輸送、搬入、設置が比較的容易である。さらに、成形品取出機10を他の成形機に移設する場合でも、移設先の成形機に応じて新たな支持部材18を準備する必要もないため、容易に移設することができる。加えて、従来構成と同様に、成形機外に延出された横行フレーム12の下方には障害物が存在しないため、工場のレイアウトが制限されることもない。これらの効果が相まって、あまり高い精度を必要としない用途で成形品取出機を使用しているユーザにとって、設置自由度の高い好適な成形品取出機を実現することができる。
【0030】
なお、上述の実施形態では、案内部21と支持台22とが一体となって横行フレーム12を構成する事例について例示したが、案内部21のみが横行フレームを構成し、支持台22が横行フレームとは別体の部材として必要に応じて横行フレームと取付台11との間に設置される態様であってもよい。この態様では、固定プラテン101と対向する位置に支持台22の下面(下板27)が露出している場合には、支持台22の下面に支持部材の一端が固定され、固定プラテン101の上面に支持部材の他端が固定される。また、支持台22が一部又は全体に下面を備えておらず、固定プラテン101と対向する位置に横行フレームである案内部21の下面が露出している場合には、案内部21の下面に支持部材の一端が固定され、固定プラテン101の上面に支持部材の他端が固定される。
【0031】
続いて、図5から図8に基づいて、本発明に係る成形品取出機の他の例について説明する。なお、図5図6、及び図8は、図4と同様に、成形品取出機の要部を模式的に示す図である。図5図6、及び図8は、図4と同様に、一対の側板12bのうち、横行フレーム12の正面側に配置された側板12b、横行フレーム12の内部構造、走行体13及び走行体13の付属物の記載を省略している。また、図5図6、及び図8において、図
1から図4を用いて説明した構成と同一の要素には同一の符号を付している。
【0032】
上述の実施形態では、例示として、支持部材18の他端である下端を固定プラテン101上に直接配置したが、横行フレーム12の荷重を固定プラテン101に受け止めさせる構成であれば、他の構成を採用することも可能である。例えば、図5に示すように、取付台11の底板11aを横行フレーム12に沿って横行フレーム12の先端側に延出させ、当該底板11aに支持部材18の下端を支持させる構成を採用することも可能である。本構成であっても、上述の構成と同様の作用効果を奏することができる。
【0033】
取付台11の底板11aを延出する構成に代えて、取付台11とは別体の板状部材を横行フレーム12に沿って延出させた状態で固定プラテン101の上面に固定し、当該板状部材に支持部材18の下端を支持させる構成を採用してもよい。この構成では、従来から使用している取付台11を設計変更することなく、上述の効果を得ることができ、既設置の成形品取出機においても上述の効果を得ることが可能となる。
【0034】
なお、延出させる部材の形状は板状に限定されない。横行フレーム12の荷重を支持可能であればよく、棒状、管状等、任意の形状を採用することができる。また、固定プラテン101に横行フレーム12の荷重を受け止めさせることが可能であれば、固定プラテン101に対する当該部材の取付位置や取付方法、当該部材に対する支持部材の取付位置や取付方法も任意である。
【0035】
また、例えば、図6に示すように、取付台11の天板11cを横行フレーム12に沿って横行フレーム12の先端側に延出させ、当該天板11cに支持部材31の下端を支持させる構成を採用することも可能である。なお、支持部材31は支持部材18の本体部18bの軸方向の長さを変更したものであり、他の構成は支持部材18と同一である。
【0036】
本構成であっても、上述の構成と同様の作用効果を奏することができるとともに、支持部材31の長さが支持部材18に比べてより短くなるため、支持部材31の輸送、搬入、設置がより一層容易になる。なお、この例では、天板11cの鉛直方向の変形を防止するため、天板11cの延伸部の鉛直下方に支持部材11dを設けている。支持部材11dは、取付台11の本体部11bの角筒部分を横行フレーム12に沿って横行フレーム12の先端側に延出させている。当該延出部の本体部11bは、横行フレーム12の先端側に進むにしたがって、角筒部分の底部の位置が高くなる(軸方向の長さを短くなる)とともに、当該底部が板状部材で封止されている。
【0037】
取付台11の天板11cを延出する構成に代えて、取付台11とは別体の板状部材を横行フレーム12に沿って延出した状態で取付台11の上面に固定し、当該板状部材に支持部材31の下端を支持させる構成を採用してもよい。この構成では、例えば、取付台11の天板11cと支持台22の底板23との間に当該板状部材を挟持させることで、従来から使用している取付台11を設計変更することなく、上述の効果を得ることができ、既設置の成形品取出機においても上述の効果を得ることが可能となる。
【0038】
以上のような取付台11の天板11cを横行フレーム12に沿って延出する構成や、横行フレーム12に沿って延出する板状部材を取付台11の天板11cに固定する構成では上述のような支持部材11dを設ける場合であっても、図6に示すように、支持部材31の他端の取付位置の鉛直下方で、かつ固定プラテン101の上面よりも高い位置に空間が設けられることが好ましい。このような構成を採用することで、例えば、図7(a)に示すような、成形機のタイバー203が固定プラテン201の上面において上方に突出している場合や、図7(b)に示すような、安全扉302の上端が固定プラテン301の上端よりも上方に位置する場合であっても、上述の効果を得ることが可能となる。
【0039】
なお、上述した事例と同様に、この構成においても延出させる部材の形状は板状に限定されず、棒状、管状等、任意の形状を採用することができる。また、取付台11に対する当該部材の取付位置や取付方法、当該部材に対する支持部材の取付位置や取付方法も任意である。
【0040】
また、上述の実施形態では、例示として、支持部材18、31が鉛直方向に沿って配置される支柱である事例を説明したが、支持部材が他の方向に沿って配置される構成を採用することも可能である。例えば、図8に示すように、固定プラテン101の横行フレーム12の先端側端部に支持部材41の他端が固定され、固定プラテン101の横行フレーム12の先端側端部よりもより先端側の横行フレーム12の下面に支持部材41の一端が固定される構成を採用することも可能である。本構成であっても、上述の構成と同様の作用効果を奏することができる。なお、支持部材41は、図6に示すように、支持部材18の本体部18bの軸を底板18a及び天板18cに対して傾斜させたものであり、他の構成は支持部材18と同一である。
【0041】
鉛直方向と異なる方向に沿って配置される支持部材41の他端が図8に示すように、固定プラテン101の上面に直接固定されることは必須ではない。上述のように、固定プラテン101に固定されるとともに横行フレーム12に沿って延出された部材、横行フレーム12に沿って延出された取付台11の上面、または取付台11に固定されるとともに横行フレーム12に沿って延出された部材に支持部材41の他端が固定される構成であってもよい。
【0042】
また、以上で説明した他の例においても、案内部21と支持台22とが一体となって横行フレーム12を構成することは必須ではなく、上述のとおり、案内部21のみが横行フレームを構成し、支持台22が横行フレームとは別体の部材として必要に応じて横行フレームと取付台11との間に設置される態様であってもよい。
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、成形機の上方に設置される成形品取出機において、横行フレームの垂れや振動、横行フレーム固定部の破損の抑制と、設置容易性の向上とをバランスよく両立させることができる。
【0044】
なお、上述の実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上述の実施形態では、支持部材を1つだけ備える事例について説明したが、支持部材を複数備える構成であってもよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、特に好適な事例として、支持部材が横行フレームの下面を直接的又は間接的に支持する構成を例示したが、支持部材は取付台とは異なる部材として横行フレームの荷重を支持するとともに、当該荷重を固定プラテンに支持させる構成であればよく、例えば、横行フレームの側面等、下面以外の部分に支持部材が固定される構成を採用することも可能である。
【0046】
さらに、取付台、支持部材、横行フレーム等、上述した各要素の物理的な形状や材質も、本発明の効果を奏する範囲内で任意に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、横行フレームの垂れや振動、横行フレーム固定部の破損の抑制と、設置容易性の向上とをバランスよく両立させることができ成形品取出機として有用である。
【符号の説明】
【0048】
100 成形機
10 成形品取出機
11 取付台
11a 底板
11c 天板
12 横行フレーム
12a 基端部
18、31、41 支持部材
101 固定プラテン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8