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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056273
(43)【公開日】2022-04-08
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220401BHJP
   A41D 13/12 20060101ALI20220401BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A41D13/11 Z
A41D13/12 118
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164198
(22)【出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】709002772
【氏名又は名称】株式会社ファソテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】竹内 淳一
(72)【発明者】
【氏名】安楽 武志
【テーマコード(参考)】
2E185
3B011
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA08
2E185BA12
2E185CC36
3B011AA00
3B011AB05
3B011AB09
3B011AC00
3B011AC22
(57)【要約】
【課題】装用感が高く、脱着が容易で、かつ見栄えの良いフェイスシールドを提供する。
【解決手段】帽子又はヘアーバンドを含む被り物に取り付けて飛沫から顔面を保護するフェイスシールドであって、フェイスシールドは、シールド面を少なくとも備えるフェイスシールド本体と、キャッチャー部で構成され、フェイスシールド本体とキャッチャー部には、共に磁石、又は、一方に磁石が他方に強磁性体が設けられ、フェイスシールド本体が被り物の外面側から当接し、キャッチャー部が被り物の内面側から当接することにより、磁石同士、又は、強磁性体と磁石とが引合い被り物を挟着し、フェイスシールド本体とキャッチャー部が被り物に取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽子又はヘアーバンドを含む被り物に取り付けて飛沫から顔面を保護するフェイスシールドであって、
前記フェイスシールドは、シールド面を少なくとも備えるフェイスシールド本体と、キャッチャー部で構成され、
前記フェイスシールド本体と前記キャッチャー部には、共に磁石、又は、一方に磁石が他方に強磁性体が設けられ、
前記フェイスシールド本体が前記被り物の外面側から当接し、前記キャッチャー部が前記被り物の内面側から当接することにより、前記磁石同士、又は、前記強磁性体と前記磁石とが引合い前記被り物を挟着し、前記フェイスシールド本体と前記キャッチャー部が前記被り物に取り付けられることを特徴とするフェイスシールド。
【請求項2】
前記フェイスシールド本体は、
透過性を有する素材で形成されたシールド面と、
略水平方向にプレート状に形成された鍔部と、
略垂直方向にプレート状に形成され前記磁石又は前記強磁性体が設けられた取付部と、
により構成され、
前記鍔部と前記取付部は、水平方向における中央部において固定され、
前記シールド面と前記鍔部は、前記シールド面に設けられたシールド面側係合部と前記鍔部に設けられた鍔部側係合部とが係合されることにより脱着自在に固定されたことを特徴とする請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項3】
前記取付部と、前記キャッチャー部は、フレキシブル性のある素材で形成され、前記被り物の曲率に沿って形状を変化できることを特徴とする請求項2に記載のフェイスシールド。
【請求項4】
前記取付部と前記キャッチャー部に設けられる前記磁石又は前記強磁性体は、それぞれ2つ以上設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載のフェイスシールド。
【請求項5】
前記シールド面側係合部は、前記シールド面の上下方向に複数設けられ、前記鍔部に対する位置関係を上下方向に調整でき、前記フェイスシールド本体が前記被り物に取り付けられた際の顔面の保護範囲を上下に調整できることを特徴とする請求項2~4の何れかに記載のフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス等の感染者の飛沫から顔面を保護するフェイスシールドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、粉塵や、ウイルス等の感染者の飛沫から顔面を保護するために、顔面全体を覆うフェイスシールドが多く利用されている(例えば、非特許文献1を参照。)。フェイスシールドは、フェイスガードなどとも呼ばれ、外部からのウイルス等の侵入を防ぐだけでなく、使用者自身が咳やくしゃみをした際にウイルス等が飛散することを防止することにも役立つ。
そして、例えば非特許文献1に開示されたフェイスシールドの場合、チタン製のフレームに防曇フィルムが取り付けられ、チタンを用いることで丈夫で体に優しく、また曇りにくいという利点があるとする。
しかしながら、非特許文献1に開示されたフェイスシールドを含む多くのフェイスシールドでは、弾性力を有するフレームを用いて、ユーザの頭部に直接装着するため、長時間使用すると頭部が圧迫されてしまうという問題がある。
【0003】
そこで、直接人の頭部に装着するのではなく、帽子などに取り付けて使用する透明マスクが知られている(特許文献1を参照)。特許文献1に開示された透明マスクでは、例えば、クリップなどを用いて帽子に取り付ける例が示されているが、クリップ自体がユーザの頭部に当接するため、必ずしも装用感が高いとはいえず、また脱着が容易でないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-215947号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】MADE IN SABAE チタン製 超軽量フェイスシールド発売開始! 医療現場も認めるクリアな視界(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000057531.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
顔面全体を覆うフェイスシールドは、一般的なマスクに比べ、被覆する面積が広く、飛沫などを効果的に遮断できるため、医療機関等で多く使用されている。そして、医療機関等で使用される場合には、医療者は感染者と接触する確率が高いことから、使用中にシールドが外れてしまうといった事故があってはならず、頭部への確実な固定が求められている。
しかしながら、例えば調理師や、接客業等、必ずしも感染者との接触の可能性が高いとはいえない職種においては、医療者が使用する場合において求められる程度の頭部への確実な固定は求められず、むしろ脱着が容易である等の利便性や見栄えの良さが求められる場合も存在する。
かかる状況に鑑みて、本発明は、装用感が高く、脱着が容易で、かつ見栄えの良いフェイスシールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明のフェイスシールドは、帽子又はヘアーバンドを含む被り物に取り付けて飛沫から顔面を保護するフェイスシールドであって、フェイスシールドは、シールド面を少なくとも備えるフェイスシールド本体と、キャッチャー部で構成され、フェイスシールド本体とキャッチャー部には、共に磁石、又は、一方に磁石が他方に強磁性体が設けられ、フェイスシールド本体が被り物の外面側から当接し、キャッチャー部が被り物の内面側から当接することにより、磁石同士、又は、強磁性体と磁石とが引合い被り物を挟着し、フェイスシールド本体とキャッチャー部が被り物に取り付けられる。
既存の被り物にフェイスシールドを取り付ける仕様とすることにより、使用時における頭部への圧迫感が少なく、装用感の高いフェイスシールドとすることができる。ここで被り物とは、人の頭部に着用するものを広く含み、和帽子やコック帽といった調理用の帽子や、サービス用の帽子、衛生帽子などの帽子に限られず、三角巾やヘアーバンド、笠、頭巾、手ぬぐい等も含まれる。また被り物の頭部への装着方法についても特に限定されず、例えば、ゴムやピンなどの留め具を利用して固定するものでもよい。
【0008】
フェイスシールドの固定に磁石が用いられることにより、使用時においてはフェイスシールドが被り物から容易に脱落することはないため、ウイルス等の感染者による飛沫、すなわち、くしゃみ、咳、唾など口から出る細かい水滴を効果的に防ぐことができ、かつ脱着が容易となる。また、既存のフェイスシールドと異なり、頭部の周囲をフレームで覆うことはないため、見栄えの良いフェイスシールドとして利用できる。使用する磁石としては、ネオジム磁石が好適に用いられるが、取付対象となる被り物に対して、十分な吸着力があればよいため、ネオジム磁石を用いる場合より大きいサイズのフェライト磁石を用いることでもよい。
【0009】
本発明のフェイスシールドにおいて、フェイスシールド本体は、透過性を有する素材で形成されたシールド面と、略水平方向にプレート状に形成された鍔部と、略垂直方向にプレート状に形成され磁石又は強磁性体が設けられた取付部とにより構成され、鍔部と取付部は、水平方向における中央部において固定され、シールド面と鍔部は、シールド面に設けられたシールド面側係合部と鍔部に設けられた鍔部側係合部とが係合されることにより脱着自在に固定されたことが好ましい。
鍔部が設けられることにより、被り物の鍔の上に鍔部を配置して取り付けて使用することができる。すなわち、本発明のフェイスシールドは、鍔の無い帽子のような被り物だけではなく、鍔の有る帽子のような被り物に対しても取り付け可能である。シールド面側係合部と鍔部側係合部は、それぞれ2つ以上設けられることが好ましく、より好ましくは、鍔部側係合部は3つ又は4つ、シールド面側係合部は対応する鍔部側係合部の数以上の数である。
鍔部と取付部が、水平方向における中央部において固定されることにより、取付部の左右端部を可動させることが可能となる。
シールド面の素材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はポリカーボネート(PC)など、透過性を有する樹脂素材を幅広く利用可能である。
【0010】
本発明のフェイスシールドにおいて、取付部とキャッチャー部は、フレキシブル性のある素材で形成され、被り物の曲率に沿って形状を変化できることが好ましい。
取付部とキャッチャー部がフレキシブル性のある素材で形成されることにより、キャッチャー部と取付部を被り物やユーザの頭部の形状に沿うように撓ませて、被り物を挟着することが可能となる。これにより、多様なサイズの帽子等を利用でき、かつ快適に長時間装着可能となる。
【0011】
本発明のフェイスシールドにおいて、取付部とキャッチャー部に設けられる磁石又は強磁性体は、それぞれ2つ以上設けられることが好ましい。磁石又は強磁性体が、それぞれ2つ以上設けられることにより、被り物に安定的に固定することができる。また、設けられる磁石又は強磁性体の数が多くなり過ぎると取り外しがしづらくなり、作製コストも高くなるため、取付部とキャッチャー部にそれぞれ3つずつ又は4つずつ設けられることが好ましく、より好ましくは、3つずつである。
【0012】
本発明のフェイスシールドにおいて、シールド面側係合部は、シールド面の上下方向に複数設けられ、鍔部に対する位置関係を上下方向に調整でき、フェイスシールド本体が被り物に取り付けられた際の顔面の保護範囲を上下に調整できることが好ましい。シールド面側係合部が上下に複数設けられることにより、鍔部側係合部と係合するシールド面側係合部を切り替えて、装着時のシールド面の上下の位置や角度を調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフェイスシールドによれば、装用感が高く、脱着が容易で、かつ見栄えが良いといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1のフェイスシールドの外観図1
図2】実施例1のフェイスシールドの外観図2
図3】実施例1のフェイスシールドの外観図3
図4】実施例1のフェイスシールドの外観図4
図5】実施例1のフェイスシールドの和帽子での使用イメージ図
図6】実施例1のフェイスシールドの和帽子への取付説明図
図7】実施例1のフェイスシールドの鍔付き帽子での使用イメージ図1
図8】実施例1のフェイスシールドの鍔付き帽子への取付説明図
図9】実施例1のフェイスシールドの鍔付き帽子での使用イメージ図2
図10】実施例2のフェイスシールドの外観図
図11】シールド面の鍔部への取付説明図
図12】シールド面の角度調整の説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例0016】
図1~4は、実施例1のフェイスシールドの外観図であり、図1(1)はキャッチャー部取付前の斜視図、図1(2)はキャッチャー部取付後の斜視図、図2(1)は正面図、図2(2)は背面図、図3(1)はキャッチャー部取付前の平面図、図3(2)はキャッチャー部取付後の平面図、図4(1)は左側面図、図4(2)は右側面図を示している。
フェイスシールド1は、帽子等の被り物に取り付けてウイルス等の感染者によるくしゃみ、咳、唾などの飛沫から顔面を保護するフェイスシールドであって、図1(1)に示すように、フェイスシールド本体2及びキャッチャー部3で構成される。フェイスシールド本体2は、透過性を有する素材で形成されたシールド面4及び鍔部5で構成され、鍔部5の外面上にシールド面4が取り付けられている。シールド面4の素材としては、ここではポリ塩化ビニル(PVC)を用いているが、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)等の透過性を有する樹脂素材を幅広く用いることが可能である。シールド面4は、使い捨てとなっており、適時付け替えて使用する。
図2又は4に示すように、シールド面4は、中央部4aが上下に長く設けられ、左端部4b又は右端部4cにかけて短くなるように形成されている。したがって、ユーザ(図示せず)がフェイスシールド1を着用した状態で左右に振り向いた場合でもシールド面4が肩等に触れ難い構造となっている。
【0017】
図3(1)又は(2)に示すように、鍔部5の内側には、磁石(6a~6c)が設けられている。磁石(6a~6c)としてはネオジム磁石が用いられているが、十分な吸着力があればよいため、ネオジム磁石を用いる場合より大きいサイズのフェライト磁石を用いることでもよい。
キャッチャー部3には、強磁性体であるメタルプレート(7a~7c)が設けられている。図1(1)又は図3(1)に示すように、キャッチャー部3は、平面形状を呈しているが、弾性力の有る樹脂で形成されているため、図1(2)又は図3(2)に示すように撓ませて、鍔部5の内側に取り付けることが可能である。図3(2)では、磁石6aとメタルプレート7a、磁石6bとメタルプレート7b、又は磁石6cとメタルプレート7cが吸着する例を示しているが、キャッチャー部3は左右対称で、かつメタルプレート(7a~7c)は等間隔で配置されているため、キャッチャー部3を上下反転させて、磁石6aとメタルプレート7c、磁石6bとメタルプレート7b、又は磁石6cとメタルプレート7aが吸着するように使用してもよい。
メタルプレート(7a~7c)と磁石(6a~6c)は、それぞれ3つずつ設けられているが、これは2つ以下では安定的に固定することが難しく、また4つ以上ではコストが高くなるからである。
【0018】
図5は、実施例1のフェイスシールドの和帽子での使用イメージ図を示している。また、図6は、実施例1のフェイスシールドの和帽子への取付説明図を示している。図5に示すように、ユーザ8は和帽子9を被っており、フェイスシールド1は和帽子9の折り返し部9aに取り付けられている。具体的には、図6に示すように、鍔部5が折り返し部9aの外面側から当接し、キャッチャー部3が折り返し部9aの内面側から当接することにより、図3(2)に示すように、メタルプレート(7a~7c)と磁石(6a~6c)とが引合い、折り返し部9aを挟着し、フェイスシールド本体2とキャッチャー部3が和帽子9に固定される。このように、フェイスシールド1が取り付けられた状態で、ユーザ8は和帽子9を装着する。
【0019】
図5に示す状態では、キャッチャー部3は、折り返し部9aとユーザ8の額により挟持されているため、例えば、ユーザ8が一時的にフェイスシールド1の使用を停止したい場合には、フェイスシールド本体2だけを取り外すことも可能である。また、再度、フェイスシールド1の使用したい場合には、フェイスシールド本体2の鍔部5を額に当接させれば、メタルプレート(7a~7c)と磁石(6a~6c)とが引合い、折り返し部9aを挟着し、フェイスシールド本体2とキャッチャー部3が和帽子9に固定される。
このように、フェイスシールド本体2のみを取り外し又は取り付けるだけで容易に脱着できるため、利便性の高い仕様となっている。しかもメタルプレート(7a~7c)と磁石(6a~6c)は、それぞれ3つずつ設けられているため、使用中はフェイスシールド本体2が容易には脱落しない構造である。
【0020】
また、フェイスシールド1では、磁石を用いて帽子に取り付けているため、既存のフェイスシールドのように、ユーザの頭部の周囲をフレームで覆うことはなく、見栄えの良い仕様となっている。したがって、例えば、飲食業等の接客業においても、デザイン性の高いフェイスシールドとして幅広く利用可能である。
なお、図5に示す和帽子9の場合には、折り返し部9aの内側に、上方からキャッチャー部3を挿入し、折り返し部9aでキャッチャー部3を挟み込み、取り付けることでもよい。折り返し部9aの内側にキャッチャー部3を挿入して取り付けることにより、例えば、和帽子9からフェイスシールド本体2のみを取り外した後、和帽子9を脱いだとしても、和帽子9からキャッチャー部3が脱落しないため、利便性が向上する。
【0021】
図7は、実施例1のフェイスシールドの鍔付き帽子での使用イメージ図であり、斜視図を示している。図8は、実施例1のフェイスシールドの鍔付き帽子への取付説明図を示している。また、図9は、実施例1のフェイスシールドの鍔付き帽子での使用イメージ図であり、右側面図を示している。
図7に示すように、フェイスシールド1は、和帽子9のように鍔の設けられていない帽子だけでなく、鍔付き帽子90にも利用可能である。すなわち、フェイスシールド1を鍔付き帽子90に利用する場合には、図9に示すように、鍔付き帽子90の鍔90aの直ぐ上に鍔部5を取り付けて使用する。具体的には、図8に示すように、鍔部5が鍔付き帽子90の外面側から当接し、キャッチャー部3が鍔付き帽子90の内面側から当接することにより、メタルプレート(7a~7c)と磁石(6a~6c)とが引合い、鍔付き帽子90を挟着し、フェイスシールド本体2とキャッチャー部3が鍔付き帽子90に固定される。このように、フェイスシールド1が取り付けられた状態で、ユーザ8は鍔付き帽子90を装着する。
【実施例0022】
図10は、実施例2のフェイスシールドの外観図であり、図10(1)はキャッチャー部取付前の平面図、図10(2)はキャッチャー部取付後の平面図を示している。
図10(1)に示すように、フェイスシールド10は、フェイスシールド本体20及びキャッチャー部3で構成される。フェイスシールド本体20は、透過性を有する素材で形成されたシールド面40、略水平方向にプレート状に形成された鍔部50及び略垂直方向にプレート状に形成された取付部52から成り、鍔部50と取付部52は、水平方向における中央部11において固定されている。
【0023】
取付部52には、磁石(6a~6c)が設けられている。磁石(6a~6c)としては、実施例1と同様にネオジム磁石が用いられているが、フェライト磁石を用いることでもよい。キャッチャー部3の構造は、実施例1と同様である。すなわち、図10(1)に示すように、キャッチャー部3は、平面形状を呈しているが、弾性力の有る樹脂で形成されているため、図10(2)に示すように撓ませて、取付部52に取り付けることが可能である。また、取付部52についても、図示しないが、キャッチャー部3と同様に平面形状を呈しており、かつ弾性力の有る樹脂で形成されているため、図10(2)に示すように撓ませて、キャッチャー部3と共に和帽子9を挟着し、固定することが可能である。
このように、フェイスシールド本体20が、可撓性を有する取付部52を備えることにより、多様なサイズの帽子等の曲面形状に合わせて取り付けることができ、快適に長時間装着可能となる。
【0024】
次に、シールド面40の鍔部50への固定構造について説明する。図11は、シールド面の鍔部への取付説明図であり、(1)は取付イメージ図、(2)はシールド面の平面図、(3)はシールド面の正面図を示している。
図11(3)に示すように、シールド面40には、シールド面側係合部(41a~41h)が設けられている。他方、図11(1)に示すように、鍔部50には、鍔部側係合部(51a~51d)が設けられている。フェイスシールド10では、シールド面側係合部(41a~41h)と鍔部側係合部(51a~51d)を係合することで脱着自在に固定し得る構造となっている。
すなわち、シールド面側係合部41aは鍔部側係合部51aと係合し、シールド面側係合部(41b,41e,41f)の何れかは鍔部側係合部51bと係合する。また、シールド面側係合部(41c,41g,41h)の何れかは鍔部側係合部51cと係合し、シールド面側係合部41dは鍔部側係合部51dと係合する構造である。
【0025】
なお、シールド面40は、図11(3)に示すように、左右対称となっており、また、図11(2)に示すように、シールド面40は、取付前は平面形状を呈しているが、実施例1と同様にポリ塩化ビニル(PVC)で形成され可撓性を有する素材が用いられているため、図11(1)に示すようにシールド面40を撓ませて鍔部50に取り付けることができる。したがって、例えばシールド面40の表裏を逆にして、シールド面側係合部41aと鍔部側係合部51d、シールド面側係合部41bと鍔部側係合部51c、シールド面側係合部41cと鍔部側係合部51b、シールド面側係合部41dと鍔部側係合部51aを係合することでもよい。
【0026】
シールド面側係合部(41b,41e,41f)及びシールド面側係合部(41c,41g,41h)は、それぞれ係合箇所を変更することで、シールド面40を鍔部50に取り付けた際のシールド面40の角度を調整できる仕様となっている。
すなわち、図11(1)に示すように、シールド面側係合部41aと鍔部側係合部51a、シールド面側係合部41bと鍔部側係合部51b、シールド面側係合部41cと鍔部側係合部51c、シールド面側係合部41dと鍔部側係合部51dを係合してシールド面40を鍔部50に取り付けた場合は、図12に示すシールド面40のように、鍔部50に対して略垂直に取り付けられることとなる。
【0027】
これに対して、シールド面側係合部41aと鍔部側係合部51a、シールド面側係合部41fと鍔部側係合部51b、シールド面側係合部41hと鍔部側係合部51c、シールド面側係合部41dと鍔部側係合部51dを係合してシールド面40を鍔部50に取り付けた場合は、シールド面40と鍔部側係合部(51a,51d)が係合する箇所は変わらないが、シールド面40と鍔部側係合部(51b,51c)が係合する箇所は、図11(1)に示す場合よりも、シールド面40のやや下方で係合する。したがって、シールド面40は、図12の位置40aに取り付けられることとなる。
【0028】
また、シールド面側係合部41aと鍔部側係合部51a、シールド面側係合部41eと鍔部側係合部51b、シールド面側係合部41gと鍔部側係合部51c、シールド面側係合部41dと鍔部側係合部51dを係合してシールド面40を鍔部50に取り付けた場合は、シールド面40と鍔部側係合部(51a,51d)が係合する箇所は変わらないが、シールド面40と鍔部側係合部(51b,51c)が係合する箇所は、図11(1)に示す場合よりも、シールド面40のやや上方で係合する。したがって、シールド面40は、図12の位置40bに取り付けられることとなる。
このように、フェイスシールド10では、シールド面40に設けられたシールド面側係合部(41a~41h)と、鍔部50に設けられた鍔部側係合部(51a~51d)の係合箇所を変化させることで容易にシールド面40の角度を調整できる構造となっている。
【0029】
(その他の実施例)
1)図11(3)に示す例と異なり、シールド面側係合部(41a,41d)の上下の少なくとも何れかに1つ以上のシールド面側係合部を設けることでもよい。例えば、シールド面側係合部(41a,41d)の上下に1つずつシールド面側係合部を設ければ、鍔部側係合部(51a~51d)の係合箇所を全て1つずつ上又は下にずらすことで、シールド面の角度を変えずに、位置のみを調整することが可能となる。
2)対応する鍔部側係合部1つにつき、シールド面側係合部を上下に4つ以上設けてもよい。
3)実施例1又は2と異なり、キャッチャー部3に磁石が設けられ、フェイスシールド本体(2,20)にメタルプレートが設けられることでもよい。
4)実施例1又は2と異なり、フェイスシールド本体(2,20)とキャッチャー部3の何れにも磁石が設けられることでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、ウイルス等の感染者によるくしゃみ、咳、唾などの飛沫から顔面を保護する技術として有用である。
【符号の説明】
【0031】
1,10 フェイスシールド
2,20 フェイスシールド本体
3 キャッチャー部
4,40 シールド面
4a,11 中央部
4b 左端部
4c 右端部
5,50 鍔部
6a~6c 磁石
7a~7c メタルプレート
8 ユーザ
9 和帽子
9a 折り返し部
40a,40b 位置
41a~41h シールド面側係合部
51a~51d 鍔部側係合部
52 取付部
90 鍔付き帽子
90a 鍔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12