(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056430
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】印刷用カセット、印刷装置及び印刷装置本体
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20220404BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20220404BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20220404BHJP
B41J 17/32 20060101ALI20220404BHJP
B65H 19/12 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J3/36 T
B41J2/325 A
B41J17/32 A
B65H19/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164210
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 信次
【テーマコード(参考)】
2C055
2C060
2C065
2C068
3F064
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C060BA04
2C060BA09
2C060BB12
2C065AA01
2C065AD07
2C065DA28
2C065DA33
2C068EE03
2C068EE27
2C068EE44
2C068MM03
2C068MM22
3F064AA02
3F064AA03
3F064EB02
(57)【要約】
【課題】印刷装置本体から取り出した状態での印刷用テープの保護が可能な印刷用カセットを提供する。
【解決手段】本開示は、第1テープと、第2テープと、ケースとを備える印刷用カセットである。ケースは、第1テープと第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、重ねテープを排出口にガイドするガイド面と、印刷が行われるヘッド開口とを有する。重ねテープのうちガイド面にガイドされた被ガイド部分、ガイド面、及び凹部は、排出口での重ねテープの厚み方向と平行な方向において、被ガイド部分、ガイド面、及び凹部の順に配置される。排出口での重ねテープの排出方向と平行な方向において、凹部の底面は、排出口よりもヘッド開口に近い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1テープと、
第2テープと、
前記第1テープの少なくとも一部及び前記第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、
を備え、
前記ケースは、
前記第1テープと前記第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、前記ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、
前記重ねテープを前記排出口にガイドするガイド面と、
前記第1テープの印刷が行われるヘッド開口と、
を有し、
前記重ねテープのうち前記ガイド面にガイドされた被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部は、前記排出口での前記重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、前記被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部の順に配置され、
前記排出口での前記重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、前記凹部の前記第2方向における底面は、前記排出口よりも前記ヘッド開口に近い、印刷用カセット。
【請求項2】
前記凹部は、前記第2方向において、前記ヘッド開口と重なる、請求項1に記載の印刷用カセット。
【請求項3】
第1テープと、
第2テープと、
前記第1テープの少なくとも一部及び前記第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、
を備え、
前記ケースは、
前記第1テープと前記第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、前記ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、
前記重ねテープを前記排出口にガイドするガイド面と、
前記凹部と対向し、前記第2テープを前記第1テープとの貼り合わせ位置に誘導する誘導面と、
を有し、
前記重ねテープのうち前記ガイド面にガイドされた被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部は、前記排出口での前記重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、前記被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部の順に配置され、
前記排出口での前記重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、前記凹部の前記第2方向における底面は、前記排出口よりも前記誘導面に近い、印刷用カセット。
【請求項4】
前記凹部は、前記第2方向において、前記誘導面と重なる、請求項3に記載の印刷用カセット。
【請求項5】
前記第1テープと前記第2テープとを貼り合わせる貼り合わせローラを備える印刷装置本体に装着可能であり、
前記印刷装置本体に装着された状態で、前記第2方向において、前記凹部の前記底面は、前記貼り合わせローラによる前記第1テープと前記第2テープとの貼り合わせ位置よりも前記排出口から遠くに位置する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項6】
第1テープと、
第2テープと、
前記第1テープの少なくとも一部及び前記第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、
を備え、
前記第1テープと前記第2テープとを貼り合わせる貼り合わせローラを備える印刷装置本体に装着可能であり、
前記ケースは、
前記第1テープと前記第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、前記ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、
前記重ねテープを前記排出口にガイドするガイド面と、
を有し、
前記重ねテープのうち前記ガイド面にガイドされた被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部は、前記排出口での前記重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、前記被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部の順に配置され、
前記印刷装置本体に装着された状態で、前記排出口での前記重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、前記凹部の前記第2方向における底面は、前記貼り合わせローラによる前記第1テープと前記第2テープとの貼り合わせ位置よりも前記排出口から遠くに位置する、印刷用カセット。
【請求項7】
前記排出口での前記重ねテープの幅方向における前記凹部の幅は、前記重ねテープの幅以上である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項8】
前記凹部は、前記底面から離れるに連れて、前記第1方向における前記排出口との距離が小さくなる傾斜面を有する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項9】
前記ガイド面は、前記排出口に近づくに連れて、前記第1方向において前記凹部から離れる向きに湾曲する湾曲部を有する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項10】
前記ガイド面は、前記第1方向と直交する平坦面を有する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項11】
前記ケースは、前記排出口での前記重ねテープの幅方向における前記凹部の両端部の少なくとも一部と連結されると共に、前記第1方向に延伸する補強部を有する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項12】
前記ケースは、前記ガイド面と前記凹部の少なくとも一部とを同時に画定する部位を有する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項13】
前記ケースは、前記被ガイド部分の幅方向の移動を規制する規制部を有する、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項14】
前記凹部は、前記排出口に対し、前記重ねテープのうち前記排出口より排出された排出部分がカールする方向にずれた位置に設けられる、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項15】
前記凹部は、前記凹部の内面から前記ガイド面と離れる方向に突出する凸部を有する、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項16】
前記第1テープと前記第2テープとを貼り合わせる貼り合わせローラを備える印刷装置本体に装着可能であり、
前記印刷装置本体に装着された状態で、前記凸部は、前記第1方向において前記貼り合わせローラと重なる、請求項15に記載の印刷用カセット。
【請求項17】
カセット収納部と、前記カセット収納部の内部に配置された支持部とを備える印刷装置本体に装着可能であり、
前記ケースの前記カセット収納部への挿入方向は、前記排出口での前記重ねテープの幅方向と平行であり、
前記印刷装置本体に装着された状態で、前記凹部に前記支持部が挿入される、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の印刷用カセットと、
前記印刷用カセットが装着される印刷装置本体と、
を備える、印刷装置。
【請求項19】
第1テープと、第2テープと、前記第1テープの少なくとも一部及び前記第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、を備える印刷用カセットが装着される印刷装置本体であって、
前記第1テープと前記第2テープとを貼り合わせる貼り合わせローラと、
前記印刷用カセットが挿入されるカセット収納部と、
前記カセット収納部の内部に配置された支持部と、
を備え、
前記ケースは、
前記第1テープと前記第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、前記ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、
前記重ねテープを前記排出口にガイドするガイド面と、
前記第1テープの印刷が行われるヘッド開口と、
を有し、
前記重ねテープのうち前記ガイド面にガイドされた被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部は、前記排出口での前記重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、前記被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部の順に配置され、
前記排出口での前記重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、前記凹部の前記第2方向における底面は、前記排出口よりも前記ヘッド開口に近く、
前記貼り合わせローラは、前記ガイド面と共に前記第1テープと前記第2テープとを厚み方向に挟み、
前記ケースの前記カセット収納部への挿入方向は、前記排出口での前記重ねテープの幅方向と平行であり、
前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で、前記凹部に前記支持部が挿入される、印刷装置本体。
【請求項20】
第1テープと、第2テープと、前記第1テープの少なくとも一部及び前記第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、を備える印刷用カセットが装着される印刷装置本体であって、
前記第1テープと前記第2テープとを貼り合わせる貼り合わせローラと、
前記印刷用カセットが挿入されるカセット収納部と、
前記カセット収納部の内部に配置された支持部と、
を備え、
前記ケースは、
前記第1テープと前記第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、前記ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、
前記重ねテープを前記排出口にガイドするガイド面と、
前記凹部と対向し、前記第2テープを前記第1テープとの貼り合わせ位置に誘導する誘導面と、
を有し、
前記重ねテープのうち前記ガイド面にガイドされた被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部は、前記排出口での前記重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、前記被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部の順に配置され、
前記排出口での前記重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、前記凹部の前記第2方向における底面は、前記排出口よりも前記誘導面に近く、
前記貼り合わせローラは、前記ガイド面と共に前記第1テープと前記第2テープとを厚み方向に挟み、
前記ケースの前記カセット収納部への挿入方向は、前記排出口での前記重ねテープの幅方向と平行であり、
前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で、前記凹部に前記支持部が挿入される、印刷装置本体。
【請求項21】
第1テープと、第2テープと、前記第1テープの少なくとも一部及び前記第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、を備える印刷用カセットが装着される印刷装置本体であって、
前記第1テープと前記第2テープとを貼り合わせる貼り合わせローラと、
前記印刷用カセットが挿入されるカセット収納部と、
前記カセット収納部の内部に配置された支持部と、
を備え、
前記ケースは、
前記第1テープと前記第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、前記ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、
前記重ねテープを前記排出口にガイドするガイド面と、
を有し、
前記重ねテープのうち前記ガイド面にガイドされた被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部は、前記排出口での前記重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、前記被ガイド部分、前記ガイド面、及び前記凹部の順に配置され、
前記貼り合わせローラは、前記ガイド面と共に前記第1テープと前記第2テープとを厚み方向に挟み、
前記ケースの前記カセット収納部への挿入方向は、前記排出口での前記重ねテープの幅方向と平行であり、
前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で、前記凹部に前記支持部が挿入され、かつ、前記排出口での前記重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、前記凹部の前記第2方向における底面は、前記貼り合わせローラによる前記第1テープと前記第2テープとの貼り合わせ位置よりも前記排出口から遠くに位置する、印刷装置本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷用カセット、印刷装置及び印刷装置本体に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用テープに印刷を行う印刷装置では、印刷用テープを収容したカセットを印刷装置本体に着脱することで、印刷用テープの交換及び供給が行われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のカセットには、印刷用テープがケースから排出される排出口が設けられる。印刷用テープは、ケースの排出口の外側で、印刷装置本体が有するカッターによって切断される。そのため、印刷後にカセットを印刷装置本体から取り出すと、印刷用テープの先端がケースから飛び出した状態となる場合がある。このような状態では、使用者がカセットの取り扱いに注意を要する。
【0005】
本開示の一局面は、印刷装置本体から取り出した状態での印刷用テープの保護が可能な印刷用カセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、第1テープと、第2テープと、第1テープの少なくとも一部及び第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、を備える印刷用カセットである。ケースは、第1テープと第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、重ねテープを排出口にガイドするガイド面と、第1テープの印刷が行われるヘッド開口と、を有する。
【0007】
重ねテープのうちガイド面にガイドされた被ガイド部分、ガイド面、及び凹部は、排出口での重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、被ガイド部分、ガイド面、及び凹部の順に配置される。排出口での重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、凹部の第2方向における底面は、排出口よりもヘッド開口に近い。
【0008】
本開示の別の態様は、第1テープと、第2テープと、第1テープの少なくとも一部及び第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、を備える印刷用カセットである。ケースは、第1テープと第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、重ねテープを排出口にガイドするガイド面と、凹部と対向し、第2テープを第1テープとの貼り合わせ位置に誘導する誘導面と、を有する。
【0009】
重ねテープのうちガイド面にガイドされた被ガイド部分、ガイド面、及び凹部は、排出口での重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、被ガイド部分、ガイド面、及び凹部の順に配置される。排出口での重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、凹部の第2方向における底面は、排出口よりも誘導面に近い。
【0010】
本開示の別の態様は、第1テープと、第2テープと、第1テープの少なくとも一部及び
第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、を備える印刷用カセットである。印刷用カセットは、第1テープと第2テープとを貼り合わせる貼り合わせローラを備える印刷装置本体に装着可能である。ケースは、第1テープと第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、重ねテープを排出口にガイドするガイド面と、を有する。
【0011】
重ねテープのうちガイド面にガイドされた被ガイド部分、ガイド面、及び凹部は、排出口での重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、被ガイド部分、ガイド面、及び凹部の順に配置される。印刷装置本体に装着された状態で、排出口での重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、凹部の第2方向における底面は、貼り合わせローラによる第1テープと第2テープとの貼り合わせ位置よりも排出口から遠くに位置する。
【0012】
本開示の別の態様は、印刷用カセットと、印刷用カセットが装着される印刷装置本体と、を備える印刷装置である。
【0013】
これらのような構成によれば、ケースから飛び出した重ねテープの先端をケースの排出面に設けられた凹部に挿入することができる。また、凹部は、重ねテープの排出方向において十分な深さを有するため、重ねテープを内部で保持しやすい。そのため、印刷用カセットを印刷装置本体から取り出した状態での印刷用テープの保護が可能となる。
【0014】
本開示の別の態様は、第1テープと、第2テープと、第1テープの少なくとも一部及び第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、を備える印刷用カセットが装着される印刷装置本体である。印刷装置本体は、第1テープと第2テープとを貼り合わせる貼り合わせローラと、印刷用カセットが挿入されるカセット収納部と、カセット収納部の内部に配置された支持部と、を備える。
【0015】
ケースは、第1テープと第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、重ねテープを排出口にガイドするガイド面と、第1テープの印刷が行われるヘッド開口と、を有する。
【0016】
重ねテープのうちガイド面にガイドされた被ガイド部分、ガイド面、及び凹部は、排出口での重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、被ガイド部分、ガイド面、及び凹部の順に配置される。排出口での重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、凹部の第2方向における底面は、排出口よりもヘッド開口に近い。
【0017】
貼り合わせローラは、ガイド面と共に第1テープと第2テープとを厚み方向に挟む。ケースのカセット収納部への挿入方向は、排出口での重ねテープの幅方向と平行である。ケースがカセット収納部に挿入された状態で、凹部に支持部が挿入される。
【0018】
本開示の別の態様は、第1テープと、第2テープと、第1テープの少なくとも一部及び第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、を備える印刷用カセットが装着される印刷装置本体である。印刷装置本体は、第1テープと第2テープとを貼り合わせる貼り合わせローラと、印刷用カセットが挿入されるカセット収納部と、カセット収納部の内部に配置された支持部と、を備える。
【0019】
ケースは、第1テープと第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、重ねテープを排出口にガイドするガイド面と、凹部と対向し、第2テープを第1テープとの貼り合わせ位置に誘導する誘導面と、を有する。
【0020】
重ねテープのうちガイド面にガイドされた被ガイド部分、ガイド面、及び凹部は、排出口での重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、被ガイド部分、ガイド面、及び凹部の順に配置される。排出口での重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、凹部の第2方向における底面は、排出口よりも誘導面に近い。
【0021】
貼り合わせローラは、ガイド面と共に第1テープと第2テープとを厚み方向に挟む。ケースのカセット収納部への挿入方向は、排出口での重ねテープの幅方向と平行である。ケースがカセット収納部に挿入された状態で、凹部に支持部が挿入される。
【0022】
本開示の別の態様は、第1テープと、第2テープと、第1テープの少なくとも一部及び第2テープの少なくとも一部が収容されたケースと、を備える印刷用カセットが装着される印刷装置本体である。印刷装置本体は、第1テープと第2テープとを貼り合わせる貼り合わせローラと、印刷用カセットが挿入されるカセット収納部と、カセット収納部の内部に配置された支持部と、を備える。
【0023】
ケースは、第1テープと第2テープとが貼り合わされた重ねテープを外部に排出する排出口と、ケースの内部に向かって凹んだ凹部とが設けられた排出面と、重ねテープを排出口にガイドするガイド面と、を有する。
【0024】
重ねテープのうちガイド面にガイドされた被ガイド部分、ガイド面、及び凹部は、排出口での重ねテープの厚み方向と平行な第1方向において、被ガイド部分、ガイド面、及び凹部の順に配置される。
【0025】
貼り合わせローラは、ガイド面と共に第1テープと第2テープとを厚み方向に挟む。ケースのカセット収納部への挿入方向は、排出口での重ねテープの幅方向と平行である。ケースがカセット収納部に挿入された状態で、凹部に支持部が挿入され、かつ、排出口での重ねテープの排出方向と平行な第2方向において、凹部の第2方向における底面は、貼り合わせローラによる第1テープと第2テープとの貼り合わせ位置よりも排出口から遠くに位置する。
【0026】
これらのような構成によれば、凹部によって印刷用カセットを印刷装置本体から取り出した状態での印刷用テープの保護が可能となる。また、凹部を有しない印刷用カセットが装着された際に、支持部によって印刷用テープの移動を規制することで、印刷用カセットの排出口から印刷装置本体の排出口までの間の印刷用テープのたわみを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1Aは、実施形態における印刷装置を示す模式的な斜視図であり、
図1Bは、
図1Aの印刷装置において印刷用カセットを印刷装置本体から取り外した状態を示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1Aの印刷装置本体及び印刷用カセットの一部を示す模式的な断面図である。
【
図5】
図5は、
図3Aの印刷用カセットの第1蓋部を取り外した状態を示す模式的な斜視図である。
【
図6】
図6は、
図3Aの印刷用カセットにおける印刷用テープ、インクリボン及びラミネートテープの経路を説明する模式図である。
【
図7】
図7は、
図6における排出口近傍の模式的な拡大図である。
【
図8】
図8は、
図2における排出口近傍の模式的な拡大図である。
【
図11】
図11は、
図1Aの印刷装置本体に代替印刷用カセットを装着したときの排出口近傍の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1A,1Bに示す印刷装置1は、印刷用カセット10と、印刷装置本体100とを備える。印刷装置1は、テープ状の印刷媒体に印刷を行う装置である。
【0029】
本実施形態では、印刷用カセット10の印刷装置本体100への挿入方向と平行な方向を上下方向とし、上下方向と直交する方向のうち印刷用カセット10からの重ねテープ40の排出方向と平行な方向を左右方向とし、上下方向と左右方向との双方に直交する方向を前後方向とする。
【0030】
<印刷装置本体>
印刷装置本体100は、
図1A及び
図2に示すように、カセット収納部101と、印刷ヘッド102と、プラテンローラ103と、駆動シャフト105と、カッター106と、貼り合わせローラ107と、支持部108と、筐体110とを備える。なお、
図2は、印刷用カセット10が装着された印刷装置本体100の内部構造の一部を示している。
【0031】
(カセット収納部)
カセット収納部101は、印刷用カセット10が挿入される凹部である。カセット収納部101は、印刷用カセット10の位置決め機能を有する。カセット収納部101は、筐体110に設けられている。
【0032】
(印刷ヘッド)
印刷ヘッド102は、カセット収納部101の内部に配置されている。印刷ヘッド102は、個別に発熱が制御される複数の発熱素子を有する。
【0033】
(プラテンローラ)
プラテンローラ103は、カセット収納部101の内部において、印刷ヘッド102と対向するように印刷ヘッド102の近傍に配置されている。プラテンローラ103は、印刷ヘッド102に対し、近づく方向又は離れる方向に揺動可能である。プラテンローラ103の回転軸心は、上下方向と平行である。
【0034】
(駆動シャフト)
駆動シャフト105は、印刷用カセット10の入力スプール16に挿入される。駆動シャフト105は、入力スプール16を回転させる。
【0035】
駆動シャフト105は、カセット収納部101の内部に配置されている。駆動シャフト105の回転軸心は、上下方向と平行である。駆動シャフト105は、図示しない駆動源(例えばモータ)によって回転軸心を中心に回転する。
【0036】
(カッター)
カッター106は、カセット収納部101の内部において、筐体110に設けられたテ
ープ排出口110Aの近傍に配置されている。
【0037】
カッター106は、筐体110に固定された第1刃106Aと、第1刃106Aに対して相対的に移動可能な第2刃106Bとを有するハサミ型のカッターである。カッター106は、印刷用テープ11A(第1テープの一例)とラミネートテープ18A(第2テープの一例)とが貼り合わされた重ねテープ40を厚み方向に挟み込んで切断する。
【0038】
(貼り合わせローラ)
貼り合わせローラ107は、印刷用カセット10内にて印刷用テープ11Aとラミネートテープ18Aとを貼り合わせる。貼り合わせローラ107は、支持部108と前後方向に対向する位置に配置されている。貼り合わせローラ107の回転軸心は、上下方向と平行である。
【0039】
(支持部)
支持部108は、カセット収納部101の内部に配置されている。印刷用カセット10がカセット収納部101に挿入された状態で、支持部108は、印刷用カセット10の凹部332に対し、上下方向に挿入される。
【0040】
<印刷用カセット>
印刷用カセット10は、印刷媒体(つまり印刷用テープ11A)を格納している。印刷用カセット10は、印刷装置本体100に着脱可能である。印刷用カセット10の交換により、印刷媒体の補給、及び印刷媒体の種類(例えば、色、材質等)の変更ができる。
【0041】
印刷用カセット10は、
図3A,3B,3Cに示すように、印刷用テープ11Aの少なくとも一部及びラミネートテープ18Aの少なくとも一部が収容されるケース35を備える。
【0042】
印刷用カセット10の外形(つまり、ケース35の形状)は、上下方向に平行な辺と、前後方向に平行な辺と、左右方向に平行な辺とを有する直方体状である。ケース35は、下方に向かってカセット収納部101へ挿入される。ケース35は、第1蓋部31と、第1枠部32と、第2枠部33と、第2蓋部34とを有する。
【0043】
印刷用カセット10は、
図4に示すように、第1ロール11と、第1供給スプール12と、スペーサフィルム13A,13Bと、第2ロール14と、第2供給スプール15と、入力スプール16と、クラッチバネホルダ17と、第3ロール18と、第3供給スプール19と、貼付防止ローラ20とを備える。
【0044】
(第1ロール)
第1ロール11は、印刷が行われる印刷用テープ11Aを第1供給スプール12に巻回したものである。第1ロール11は、上下方向と平行な巻回軸心を有する。印刷用テープ11Aの表面には、印刷装置本体100の印刷ヘッド102及びインクリボン14Aによって印刷が行われる。
【0045】
第1ロール11の上下方向の外側には、第1ロール11を挟むように2つのスペーサフィルム13A,13Bが配置されている。スペーサフィルム13A,13Bは、第1ロール11と第1蓋部31との間と、第1ロール11と第1枠部32との間とに配置されている。
【0046】
(第1供給スプール)
第1供給スプール12は、上下方向と平行な回転軸心周りに回転可能である。第1供給
スプール12は、印刷装置本体100のプラテンローラ103による印刷用テープ11Aの搬送に伴って回転することで、印刷用テープ11Aを印刷ヘッド102に供給する。
【0047】
(第2ロール)
第2ロール14は、印刷用テープ11Aの印刷に用いられるインクリボン14Aを第2供給スプール15に巻回したものである。
【0048】
インクリボン14Aは、ヘッド開口33Bにおいて、印刷用テープ11Aと重ね合わされ、印刷ヘッド102による印刷に供される。印刷に使用されたインクリボン14Aは、入力スプール16に巻き取られる。
【0049】
第2ロール14には、クラッチバネホルダ17に保持されたクラッチバネによって回転抵抗が付される。第2ロール14の少なくとも一部は、上下方向において、第1ロール11と重なる位置に配置されている。
【0050】
(第2供給スプール)
第2供給スプール15は、上下方向と平行な回転軸心周りに回転可能である。第2供給スプール15は、インクリボン14Aの入力スプール16による巻き取りに伴って回転することで、インクリボン14Aを印刷ヘッド102に供給する。
【0051】
(入力スプール)
入力スプール16は、上下方向と平行な回転軸心周りに回転可能である。入力スプール16は、円筒状であり、内周面16Aで規定される中空部を有する。入力スプール16の内周面16Aにはスプライン歯16Bが設けられている。スプライン歯16Bには、印刷装置本体100の駆動シャフト105が連結される。入力スプール16は、駆動シャフト105によって回転される。
【0052】
(第3ロール)
第3ロール18は、印刷用テープ11Aの保護に用いられるラミネートテープ18Aを第3供給スプール19に巻回したものである。ラミネートテープ18Aは、粘着層を有し、貼り合わせローラ107によって、印刷後の印刷用テープ11Aに貼り合わせられる。
【0053】
(第3供給スプール)
第3供給スプール19は、上下方向と平行な回転軸心周りに回転可能である。第3供給スプール19は、ラミネートテープ18Aの印刷用テープ11Aへの貼り合わせに伴って回転することで、ラミネートテープ18Aを貼り合わせローラ107に供給する。
【0054】
(貼付防止ローラ)
貼付防止ローラ20は、貼り合わせローラ107に供給されるラミネートテープ18Aが印刷用カセット10の内部で他の部材に貼り付くことを防止する。
【0055】
(ケース)
第1蓋部31は、印刷用カセット10の上端部を構成している。第1枠部32は、第1蓋部31の下側に配置され、第1蓋部31と上下方向に連結されている。第2枠部33は、第1枠部32の下側に配置され、第1枠部32と上下方向に連結されている。第2蓋部34は、印刷用カセット10の下端部を構成している。第2蓋部34は、第2枠部33と上下方向に連結されている。
【0056】
第1ロール11は、第1蓋部31と第1枠部32とで囲まれた空間に配置されている。第2ロール14、第2供給スプール15、入力スプール16、第3ロール18及び第3供
給スプール19は、第2蓋部34と第2枠部33とで囲まれた空間に配置されている。
【0057】
第1枠部32は、第1側壁32Aと、第1ガイド32Bとを有する。
第1側壁32Aは、印刷用カセット10の上下方向と平行な側面を構成する。
【0058】
第1ガイド32Bは、
図5に示すように、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aが巻き掛けられる部位である。第1ガイド32Bは、第1ロール11の周方向に沿って離れて配置された複数の板状のリブを有する。複数のリブは、第1ロール11の径方向に突出しており、下方に向かうほど突出量(つまり板幅)が大きくなっている。
【0059】
図6に示すように、第2枠部33は、第2側壁33Aと、ヘッド開口33Bと、排出面33Cと、ガイド面33Dと、補強部33Eと、誘導面33Fと、第2ガイド33Gとを有する。
【0060】
第2側壁33Aは、印刷用カセット10の上下方向と平行な側面を構成する。
ヘッド開口33Bは、第2側壁33Aの一部を切り欠いた部位である。ヘッド開口33Bは、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、内部に印刷ヘッド102が配置される空間である。
【0061】
ヘッド開口33Bにおいて、印刷ヘッド102による印刷用テープ11Aの印刷が行われる。ヘッド開口33Bは、印刷ヘッド102が下方から挿入可能なように、印刷用カセット10の下方に開口している。
【0062】
第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aは、ヘッド開口33Bに排出される。ヘッド開口33Bにおいて、印刷用テープ11A及びインクリボン14Aが左右方向に架け渡される。
【0063】
排出面33Cは、第2側壁33Aの外面の一部で構成されている。排出面33Cは、ケース35の右側面の一部を構成している。排出面33Cは、排出口331と、凹部332とを有する。本実施形態では、排出面33Cは、左右方向と直交する平面である。
【0064】
排出口331は、印刷用テープ11Aとラミネートテープ18Aとが貼り合わされた重ねテープ40を外部に排出する。排出口331は、
図4に示すように、互いに上下方向に突き合わされるように配置された第1突出部331A及び第2突出部331Bによって画定されている。第1突出部331A及び第2突出部331Bは、それぞれ、ガイド面33Dから前方に延伸する基部と、この基部から下方又は上方に延伸する腕部とを有する。
【0065】
具体的には、排出口331は、ガイド面33Dと第1突出部331Aとの間に設けられた第1スリットと、ガイド面33Dと第2突出部331Bとの間に設けられた第2スリットとを有する。重ねテープ40は、第1スリットと第2スリットとの間を通過して印刷用カセット10の外部へ排出される。
【0066】
図7に示すように、排出口331での重ねテープ40の厚み方向は、前後方向と平行である。排出口331での重ねテープ40の排出方向は、右方向である。排出口331での重ねテープ40の幅方向は、上下方向と平行である。
【0067】
凹部332は、排出面33Cがケース35の内側に向かって(つまり左方向に)凹んだ部位である。凹部332は、印刷装置本体100の支持部108が下方から挿入可能なように、下方に開口している。
【0068】
凹部332は、排出口331に対し、重ねテープ40のうち排出口331より排出された排出部分がカールする方向にずれた位置(本実施形態では排出口331の後方)に設けられている。
【0069】
なお、重ねテープ40の排出部分がカールする方向は、印刷用カセット10における印刷用テープ11A及びラミネートテープ18Aの巻回方向と、これらのテープの剛性とによって決まる。本実施形態では、印刷用テープ11Aの剛性がラミネートテープ18Aの剛性よりも高いため、重ねテープ40の排出部分は、印刷用テープ11Aの巻回方向(つまり下方から視て反時計回り)にカールする。
【0070】
凹部332の上下方向における幅は、重ねテープ40の幅以上である。また、凹部332は、左右方向(つまり排出口331での重ねテープ40の排出方向と平行な方向)において、ヘッド開口33B及び誘導面33Fと重なっている。
【0071】
凹部332は、上下方向から視てU字状に形成されたU字部33Hによって構成されている。凹部332は、左右方向における底面332Aと、傾斜面332Bと、凸部332Cとを有する。
【0072】
底面332Aは、左右方向と直交する平面であり、凹部332において最もケース35の内側に位置する。底面332Aは、左右方向において、排出口331よりもヘッド開口33B(具体的には、ヘッド開口33Bの右端面335)及び誘導面33Fに近い位置に配置されている。
【0073】
図8に示すように、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、左右方向において、底面332Aは、貼り合わせローラ107による印刷用テープ11Aとラミネートテープ18Aとの貼り合わせ位置Pよりも排出口331から遠くに位置する。
【0074】
傾斜面332Bは、凹部332の前方の内側面の一部であり、底面332Aから離れるに連れて、前後方向における排出口331との距離が小さくなる平面である。傾斜面332Bは、凹部332の入り口(つまり開口)に連続して設けられている。
【0075】
凸部332Cは、凹部332の前方の内側面からガイド面33Dと離れる方向に突出している。印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、凸部332Cは、前後方向において貼り合わせローラ107(具体的には貼り合わせ位置P)と重なる。
【0076】
また、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、凸部332Cは、支持部108に前方から当接する。凸部332Cと支持部108との当接によって、貼り合わせローラ107の押圧力による凹部332の変形が抑制される。
【0077】
図9Aに示すように、凸部332Cは、例えば上下方向に延伸する凸条とすることができる。また、
図9Bに示すように、凸部332Cは、左右方向に延伸する凸条であってもよい。さらに、
図9Cに示すように、凸部332Cは、上下方向及び左右方向のいずれにも延伸しないドット形状であってもよい。
【0078】
図8に示すガイド面33Dは、重ねテープ40を排出口331にガイドする。ガイド面33Dは、出口に近づくに連れて、前後方向において凹部332から離れる向き(つまり前方)に湾曲する湾曲部333と、前後方向と直交する平坦面334とを有する。
【0079】
湾曲部333は、平坦面334の右方に連続して設けられている。湾曲部333の右端は、排出口331に接続されている。また、貼り合わせローラ107は、平坦面334と
共に印刷用テープ11Aとラミネートテープ18Aとを厚み方向(つまり前後方向)に挟む。
【0080】
ガイド面33Dは、凹部332を構成するU字部33Hの前面によって構成されている。具体的には、ガイド面33Dは、凹部332の前方の内側面の裏側に設けられている。つまり、ケース35は、ガイド面33Dと凹部332の少なくとも一部とを同時に画定する部位を有している。
【0081】
重ねテープ40のうちガイド面33Dにガイドされた(つまりガイド面33Dに前方から重なる)被ガイド部分40A、ガイド面33D、及び凹部332は、前後方向において、被ガイド部分40A、ガイド面33D、及び凹部332の順に配置されている。
【0082】
図4に示す補強部33Eは、上下方向における凹部332の両端部の少なくとも一部と連結されると共に、前後方向に延伸している。具体的には、補強部33Eは、凹部332の上方の端部を塞ぐように、前後方向及び左右方向に延伸している。補強部33Eの下面は、上下方向と直交する。
【0083】
排出口331を画定する第1突出部331A及び第2突出部331Bは、被ガイド部分40Aの幅方向の移動を規制する規制部を構成している。つまり、第1突出部331Aは、ガイド面33Dから前方に延伸する基部によって、被ガイド部分40Aの上方への移動を規制する。第2突出部331Bは、ガイド面33Dから前方に延伸する基部によって、被ガイド部分40Aの下方への移動を規制する。
【0084】
図6に示す誘導面33Fは、凹部332(つまりU字部33H)と左右方向に対向し、ラミネートテープ18Aを印刷用テープ11Aとの貼り合わせ位置に誘導する。具体的には、誘導面33Fは、左右方向において、凹部332の底面332Aとヘッド開口33Bとの間に配置されている。
【0085】
誘導面33Fは、ラミネートテープ18Aの貼付を防止するために、複数の山谷を有する波面とされている。ラミネートテープ18Aは、誘導面33Fと凹部332との間を通過する。
【0086】
第2ガイド33Gは、第1ガイド32Bを通過した印刷用テープ11Aが巻き掛けられる部位である。第2ガイド33Gは、第1ガイド32Bと同様に、第2ロール14の周方向に沿って離れて配置された複数の板状のリブを有する。複数のリブは、第2ロール14の径方向に突出しており、下方に向かうほど突出量(つまり板幅)が小さくなる。
【0087】
図10A,10B,10C,10Dに示すように、第1ガイド32B及び第2ガイド33Gは、第1ロール11を構成する印刷用テープ11Aを第1蓋部31と第1枠部32との間の空間から、第2枠部33と第2蓋部34との間の空間に送る通路を構成している。
【0088】
具体的には、
図10Aに示すように、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aは、螺旋を描くように第1ガイド32Bに第1ロール11の径方向外側から当接しながら下後方に向かって搬送される。印刷用テープ11Aは、さらに
図10Bに示すように、第1蓋部31、第1枠部32、及び第2枠部33を上下方向に跨ぎつつ、左下方に向かって搬送される。
【0089】
第2枠部33に到達した印刷用テープ11Aは、
図10Cに示すように、第2ガイド33Gに径方向外側から当接しながら下前方に向かって搬送される。印刷用カセット10の下端部に到達した印刷用テープ11Aは、
図10Dに示すように、ヘッド開口33Bを通
過して排出口331から排出される。
【0090】
このように、印刷用テープ11Aは、ケース35内において、排出口331での印刷用テープ11Aの排出方向(つまり左右方向)及び幅方向(つまり上下方向)の双方に交差する向きに傾斜して架け渡され、排出口331に向けて搬送される。
【0091】
<印刷装置本体によるテープ搬送及び印刷>
図2に示すように、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、印刷ヘッド102は、ヘッド開口33Bにおいて、印刷用テープ11A及びインクリボン14Aと前後方向に重なる位置に配置される。
【0092】
印刷用テープ11Aは、プラテンローラ103によってヘッド開口33Bに搬送されると共に、プラテンローラ103によってインクリボン14Aを介して発熱素子が発熱した印刷ヘッド102に押し付けられる。これにより、インクリボン14Aの表面に配置されたインクの一部が印刷用テープ11Aに転写され、印刷用テープ11Aに文字、記号等が印刷される。
【0093】
印刷後、貼り合わせローラ107によって印刷用テープ11Aの印刷面にラミネートテープ18Aが貼り合わされる。ラミネートテープ18Aの貼り合わせ後、印刷用テープ11Aは、筐体110のテープ排出口110Aから排出されると共に、排出口331とテープ排出口110Aとの間でカッター106によって切断される。
【0094】
なお、印刷装置1は、ラミネートテープ18A及び凹部332を有しない代替印刷用カセットも使用可能である。つまり、印刷装置本体100には、印刷用カセット10に代えて、このような代替印刷用カセットが装着可能である。
【0095】
図11に示すように、上述の印刷用カセット10に対して左右方向の長さが小さい代替印刷用カセット200では、代替印刷用カセット200における印刷用テープ11Aの排出口201と、カッター106及び筐体110のテープ排出口110Aとの間に空間が生じる。この場合、印刷装置本体100の支持部108によって、印刷用テープ11Aの後方への移動が規制される。
【0096】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)ケース35から飛び出した重ねテープ40の先端をケース35の排出面33Cに設けられた凹部332に挿入することができる。また、凹部332は、重ねテープ40の排出方向において十分な深さを有するため、重ねテープ40を内部で保持しやすい。そのため、印刷用カセット10を印刷装置本体100から取り出した状態での印刷用テープ11Aの保護が可能となる。
【0097】
(1b)凹部332を有しない代替印刷用カセット200が装着された際に、支持部108によって印刷用テープ11Aの移動を規制することで、代替印刷用カセット200の排出口201から印刷装置本体100のテープ排出口110Aまでの間の印刷用テープ11Aのたわみを抑制できる。
【0098】
(1c)凹部332の幅が重ねテープ40の幅以上であることで、重ねテープ40の凹部332への挿入及び凹部332内での保持が容易に行える。
(1d)凹部332が傾斜面332Bを有することで、重ねテープ40を凹部332へ挿入し易くできる。
【0099】
(1e)ガイド面33Dが湾曲部333を有することで、重ねテープ40を凹部332へ向けて曲げ易くできる。
(1f)ガイド面33Dが平坦面334を有することで、印刷用テープ11Aとラミネートテープ18Aとが貼り合わせ易くなる。
【0100】
(1g)補強部33Eによって、凹部332の変形が抑制できる。また、ガイド面33Dと凹部332とがU字部33Hによって同時に画定されることでも、凹部332の変形が抑制できる。
【0101】
(1h)重ねテープ40の幅方向の移動を規制する第1突出部331A及び第2突出部331Bによって、重ねテープ40のジャムを抑制できる。
(1i)凹部332が排出口331に対し重ねテープ40がカールする方向にずれた位置に設けられることで、重ねテープ40を凹部332へ挿入し易くできる。
【0102】
(1j)凹部332が凸部332Cを有することで、貼り合わせローラ107からガイド面33Dへの押圧力による凹部332の変形が抑制される。その結果、貼り合わせ圧力のバラツキを抑制できる。
【0103】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0104】
(2a)上記実施形態の印刷装置は、インクリボンを用いて印刷するものに限定されない。印刷装置は、印刷用テープとして、帯状の感熱紙を用いてもよい。また、印刷装置は、印刷用テープ(つまり第1テープ)として、サーマルヘッドによって印刷パターンの穿孔が行われるステンシルテープを用いてもよい。
【0105】
印刷用テープとしてステンシルテープが用いられる場合は、インクリボンに変えて、ステンシルテープを保護する合紙テープが用いられる。この場合、ヘッド開口において、合紙テープはステンシルテープよりも印刷ヘッドに近い位置でステンシルテープに重ね合わせられてもよいし、合紙テープはステンシルテープよりも印刷ヘッドから離れた位置でステンシルテープに重ね合わせられてもよい。
【0106】
また、印刷用テープとしてステンシルテープが用いられる場合は、合紙テープのロールは印刷用テープのロールよりも上方に(つまり上下方向においてヘッド開口から遠い位置に)配置されてもよい。
【0107】
(2b)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、排出面の凹部は、必ずしも前方の内側面と後方の内側面とを有するU字状でなくてもよい。例えば、凹部は、後方の内側面を有しなくてもい。つまり、凹部は、排出面の後端(つまりケースの後側面)まで到達していてもよい。
【0108】
(2c)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、ガイド面と凹部とは別の部材で構成されていてもよい。例えば、ケースを構成する枠部及び蓋部のうち、異なる枠部又は蓋部にガイド面と凹部とがそれぞれ設けられてもよい。
【0109】
(2d)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、凹部の上下方向の端部に連結される補強部は、前後方向に延伸する柱状体であってもよい。つまり、補強部は、必ずしも凹部の上端を塞がなくてもよい。
【0110】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0111】
1…印刷装置、10…印刷用カセット、11A…印刷用テープ、
18A…ラミネートテープ、31…第1蓋部、32…第1枠部、32B…第1ガイド、
33…第2枠部、33B…ヘッド開口、33C…排出面、33D…ガイド面、
33E…補強部、33F…誘導面、33G…第2ガイド、33H…U字部、
34…第2蓋部、35…ケース、40…重ねテープ、100…印刷装置本体、
101…カセット収納部、102…印刷ヘッド、103…プラテンローラ、
105…駆動シャフト、106…カッター、107…貼り合わせローラ、
108…支持部、110…筐体、110A…テープ排出口、331…排出口、
331A…第1突出部、331B…第2突出部、332…凹部、332A…底面、
332B…傾斜面、332C…凸部、333…湾曲部、334…平坦面。