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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056435
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】印刷用カセット
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/32 20060101AFI20220404BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20220404BHJP
   B65H 19/12 20060101ALI20220404BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
B41J17/32 A
B41J3/36 T
B65H19/12 B
B41J15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164215
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 信次
【テーマコード(参考)】
2C055
2C060
2C068
3F064
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C060BA09
2C068AA02
2C068AA06
2C068AA15
2C068EE03
2C068EE21
2C068EE27
2C068EE60
2C068MM03
2C068MM15
3F064AA02
3F064AA03
3F064EB02
(57)【要約】
【課題】印刷用テープロールの軸方向における面積を低減できる印刷用カセットを提供する。
【解決手段】本開示は、印刷用テープの第1ロールと、印刷用テープの印刷に供される補助テープの第2ロールと、印刷に使用された補助テープを巻き取る巻取スプールとを含む補助テープ供給部と、ギアと、を備える印刷用カセットである。ギア、補助テープ供給部、及び第1ロールは、ギアの回転軸心と平行な第1方向において、ギア、補助テープ供給部、及び第1ロールの順、又はギア、第1ロール、及び補助テープ供給部の順に配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用テープの第1ロールと、
前記印刷用テープの印刷に供される補助テープの第2ロールと、印刷に使用された前記補助テープを巻き取る巻取スプールとを含む補助テープ供給部と、
ギアと、
を備え、
前記ギア、前記補助テープ供給部、及び前記第1ロールは、前記ギアの回転軸心と平行な第1方向において、前記ギア、前記補助テープ供給部、及び前記第1ロールの順、又は前記ギア、前記第1ロール、及び前記補助テープ供給部の順に配置される、印刷用カセット。
【請求項2】
前記ギアは、前記印刷用テープの搬送に供される駆動力を出力する出力ギアである、請求項1に記載の印刷用カセット。
【請求項3】
前記ギアに駆動力を入力する駆動シャフトを備える印刷装置本体に装着可能であり、
前記第1ロールが収容される第1収容部と、
前記補助テープ供給部が収容される第2収容部と、
をさらに備え、
前記第1収容部及び前記第2収容部には、ぞれぞれ、前記駆動シャフトが挿通される空間が存在する、請求項1又は請求項2に記載の印刷用カセット。
【請求項4】
カセット収納部と、前記ギアに駆動力を入力する駆動シャフトとを備える印刷装置本体に装着可能であり、
前記カセット収納部に挿入された状態で、前記第1ロールは、前記第1方向において前記駆動シャフトと重ならない位置に配置される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項5】
前記第1ロールから引き出された前記印刷用テープが外部に向かって搬送される搬送路をさらに備え、
前記カセット収納部に挿入された状態で、前記搬送路は、前記駆動シャフトの周方向における少なくとも一部を取り囲むように配置される、請求項4に記載の印刷用カセット。
【請求項6】
前記ギア、前記補助テープ供給部及び前記第1ロールは、前記第1方向において、前記ギア、前記補助テープ供給部及び前記第1ロールの順に配置される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項7】
前記ギア、前記第1ロール及び前記補助テープ供給部は、前記第1方向において、前記ギア、前記第1ロール及び前記補助テープ供給部の順に配置される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項8】
前記第1ロールが収容される第1収容部と、
前記補助テープ供給部が収容されると共に、前記印刷用テープの印刷が行われるヘッド開口を有する第2収容部と、
前記印刷用テープを前記第1収容部から前記第2収容部に案内する案内部と、
をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項9】
カセット収納部を備える印刷装置本体に装着可能であり、
前記第1ロール、前記補助テープ供給部、及び前記ギアの少なくとも一部を収容するケースをさらに備え、
前記ケースは、前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で、前記第1方向において前記カセット収納部と対向する外面を有し、
前記第1ロール及び前記補助テープ供給部は、前記第1方向において前記ギアよりも前記外面の近くに配置される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項10】
カセット識別情報を前記印刷装置本体に検出させる被検出部をさらに備え、
前記被検出部は、前記外面に配置される、請求項9に記載の印刷用カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷用カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用テープに印刷を行う印刷装置では、印刷用テープを収容したカセットを印刷装置本体に着脱することで、印刷用テープの交換及び供給が行われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-234772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のカセットにおいて、カセットの内部に駆動力伝達用のギアを配置することで、カセットから印刷装置本体に駆動力を出力することができる。この場合、印刷用テープロールとインクリボンロールとギアとが印刷用テープロールの径方向に並んで配置されると、印刷用テープロールの軸方向におけるカセットの面積が大きくなる。
【0005】
本開示の一局面は、印刷用テープロールの軸方向における面積を低減できる印刷用カセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、印刷用テープの第1ロールと、印刷用テープの印刷に供される補助テープの第2ロールと、印刷に使用された補助テープを巻き取る巻取スプールとを含む補助テープ供給部と、ギアと、を備える印刷用カセットである。
【0007】
ギア、補助テープ供給部、及び第1ロールは、ギアの回転軸心と平行な第1方向において、ギア、補助テープ供給部、及び第1ロールの順、又はギア、第1ロール、及び補助テープ供給部の順に配置される。
【0008】
このような構成によれば、ギアと、補助テープ供給部と、第1ロールとがギアの回転軸心と平行な方向に重ねて配置されることで、第1ロールの軸方向における印刷用カセットの面積を低減できる。また、ギアが第1ロールと補助テープ供給部との間に配置されないことで、印刷用テープを補助テープに向けて安定して案内できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、実施形態における印刷装置を示す模式的な斜視図であり、図1Bは、図1Aの印刷装置本体を示す模式的な斜視図である。
図2図2A図2B及び図2Cは、図1Aの印刷用カセットの模式的な斜視図である。
図3図3は、図2Aの印刷用カセットの模式的な分解斜視図である。
図4図4は、図2CのIV-IV線での模式的な断面図である。
図5図5は、図2Cの印刷用カセットの第2蓋部を取り外した状態を示す模式的な斜視図である。
図6図6Aは、図2CのVIA-VIA線での模式的な断面図であり、図6Bは、図2CのVIB-VIB線での模式的な断面図であり、図6Cは、図2CのVIC-VIC線での模式的な断面図であり、図6Dは、図2CのVID-VID線での模式的な断面図である。
図7図7は、図1Aの印刷装置における出力ギアとプラテンギアとの係合状態を示す模式図である。
図8図8A図8B及び図8Cは、図1Aとは異なる実施形態における印刷用カセットの模式的な斜視図である。
図9図9は、図8Aの印刷用カセットの模式的な分解斜視図である。
図10図10は、図8CのX-X線での模式的な断面図である。
図11図11は、図8Cの印刷用カセットの第1蓋部及び第1枠部を取り外した状態を示す模式的な斜視図である。
図12図12Aは、図8CのXIIA-XIIA線での模式的な断面図であり、図12Bは、図8CのXIIB-XIIB線での模式的な断面図であり、図12Cは、図8CのXIIC-XIIC線での模式的な断面図であり、図12Dは、図8CのXIID-XIID線での模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1Aに示す印刷装置1は、印刷用カセット10と、印刷装置本体100とを備える。印刷装置1は、テープ状の印刷媒体に印刷を行う装置である。
【0011】
本実施形態では、出力ギア21の軸方向を上下方向とし、上下方向と垂直な方向のうち出力ギア21と巻取スプール16とが並ぶ方向を前後方向とし、上下方向と前後方向との双方に垂直な方向を左右方向とする。
【0012】
<印刷装置本体>
印刷装置本体100は、図1Bに示すように、カセット収納部101と、印刷ヘッド102と、プラテンローラ103と、プラテンギア104と、駆動シャフト105と、駆動源107と、検出部108と、制御ユニット109と、筐体110とを備える。
【0013】
(カセット収納部)
カセット収納部101は、印刷用カセット10が装着される凹部である。カセット収納部101は、印刷用カセット10の位置決め機能を有する。カセット収納部101は、筐体110に設けられている。
【0014】
(印刷ヘッド)
印刷ヘッド102は、カセット収納部101の内部に配置されている。印刷ヘッド102は、個別に発熱が制御される複数の発熱素子を有する。
【0015】
(プラテンローラ)
プラテンローラ103は、カセット収納部101の内部において、印刷ヘッド102と対向するように印刷ヘッド102の近傍に配置されている。プラテンローラ103は、印刷ヘッド102に対し、近づく方向又は離れる方向に揺動可能である。プラテンローラ103の回転軸心L1は、上下方向と平行である。
【0016】
(プラテンギア)
プラテンギア104は、プラテンローラ103に連結されている。本実施形態では、プラテンギア104の回転軸心L2は、プラテンローラ103の回転軸心L1と同一線上に配置されている。プラテンギア104は、プラテンローラ103と共に揺動可能である。
【0017】
(駆動シャフト)
駆動シャフト105は、印刷用カセット10の巻取スプール16と入力ギア22とに挿入される。駆動シャフト105は、巻取スプール16と入力ギア22とを回転させる。
【0018】
駆動シャフト105は、カセット収納部101の内部に配置されている。駆動シャフト105の回転軸心L3は、上下方向と平行である。駆動シャフト105は、駆動源107によって回転軸心L3を中心に回転する。
【0019】
(駆動源)
駆動源107は、駆動シャフト105を回転駆動させる。駆動源107としては、例えばモータとギアとを組み合わせた機構が使用できる。
【0020】
(検出部)
検出部108は、印刷用カセット10に与えられたカセット識別情報を印刷用カセット10から検出する。検出部108は、機械的、光学的又は電磁気的な読取りセンサによって、印刷用カセット10の被検出部51からカセット識別情報を検出する。
【0021】
(制御ユニット)
制御ユニット109は、検出部108が検出したカセット識別情報に基づいて、印刷用テープ11Aへの印刷を制御する。
【0022】
制御ユニット109は、例えば、プロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、入出力部とを備えるコンピュータにより構成される。制御ユニット109は、予め記憶されたプログラムを実行することで、印刷ヘッド102及び駆動源107を制御する。
【0023】
<印刷用カセット>
印刷用カセット10は、印刷媒体(つまり印刷用テープ11A)を格納している。印刷用カセット10は、印刷装置本体100への装着及び印刷装置本体100からの脱離が可能である。印刷用カセット10の交換により、印刷媒体の補給、及び印刷媒体の種類(例えば、サイズ、色、材質等)の変更ができる。
【0024】
印刷用カセット10は、図2A,2B,2Cに示すように、印刷用テープ11Aの少なくとも一部及びインクリボン14A(補助テープの一例)の少なくとも一部が収容されるケース35を備える。
【0025】
印刷用カセット10の外形(つまり、ケース35の形状)は、上下方向に平行な辺と、前後方向に平行な辺と、左右方向に平行な辺とを有する直方体状である。ケース35は、下方に向かってカセット収納部101へ挿入される。ケース35は、第1蓋部31と、第1枠部32と、第2枠部33と、第2蓋部34とを有する。
【0026】
また、ケース35は、印刷用テープ11Aの印刷が行われるヘッド開口36と、印刷用テープ11Aを印刷用カセット10の外部に排出する排出口37と、ケース35がカセット収納部101に挿入された状態で、上下方向においてカセット収納部101と対向する底面38とを有する。底面38は、ケース35の外面のうち、上下方向と交差する(具体的には直交する)平面である。
【0027】
印刷用カセット10は、図3に示すように、第1ロール11と、第1供給スプール12と、スペーサフィルム13A,13Bと、補助テープ供給部18と、伝達機構20と、被検出部51とを備える。
【0028】
(第1ロール)
第1ロール11は、印刷が行われる印刷用テープ11Aを第1供給スプール12に巻回したものである。印刷用テープ11Aの表面には、印刷装置本体100の印刷ヘッド102及びインクリボン14Aによって印刷が行われる。
【0029】
第1ロール11の上下方向の外側には、第1ロール11を挟むように2つのスペーサフィルム13A,13Bが配置されている。スペーサフィルム13A,13Bは、第1ロール11と第2枠部33との間と、第1ロール11と第2蓋部34との間とに配置されている。
【0030】
(第1供給スプール)
第1供給スプール12は、回転軸心L4周りに回転可能である。第1供給スプール12は、印刷装置本体100のプラテンローラ103による印刷用テープ11Aの搬送に伴って回転することで、印刷用テープ11Aを印刷ヘッド102に供給する。第1供給スプール12の回転軸心L4は、上下方向と平行である。
【0031】
(補助テープ供給部)
補助テープ供給部18は、第2ロール14と、第2供給スプール15と、巻取スプール16と、クラッチバネホルダ17(図4参照)とを含む。
【0032】
(第2ロール)
第2ロール14は、印刷用テープ11Aの印刷に用いられるインクリボン14Aを第2供給スプール15に巻回したものである。
【0033】
インクリボン14Aは、ヘッド開口36において、印刷用テープ11Aと重ね合わされ、印刷ヘッド102による印刷に供される。印刷に使用されたインクリボン14Aは、巻取スプール16に巻き取られる。
【0034】
第2ロール14には、クラッチバネホルダ17に保持されたクラッチバネによって回転抵抗が付される。第2ロール14の少なくとも一部は、上下方向において、第1ロール11と重なる位置に配置されている。
【0035】
(第2供給スプール)
第2供給スプール15は、回転軸心L5周りに回転可能である。第2供給スプール15の回転軸心L5は、第1供給スプール12の回転軸心L4と平行、つまり上下方向と平行である。第2供給スプール15は、インクリボン14Aの巻取スプール16による巻き取りに伴って回転することで、インクリボン14Aを印刷ヘッド102に供給する。
【0036】
(巻取スプール)
巻取スプール16は、回転軸心L6周りに回転可能である。巻取スプール16の回転軸心L6は、第2供給スプール15の回転軸心L5と平行である。
【0037】
巻取スプール16は、円筒状であり、内周面16Aで規定される中空部を有する。巻取スプール16の内周面16Aにはスプライン歯16Bが設けられている。スプライン歯16Bには、印刷装置本体100の駆動シャフト105が連結される。巻取スプール16は、駆動シャフト105によって回転され、印刷に使用されたインクリボン14Aを巻き取る。
【0038】
(伝達機構)
伝達機構20は、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された際に、駆動シャフト105から伝達される駆動源107の駆動力をプラテンローラ103に伝達すると
共に、プラテンローラ103を印刷用カセット10ごとに設定された回転速度で回転させる。伝達機構20は、出力ギア21と、入力ギア22と、アイドルギア23とを有する。
【0039】
図4に示すように、伝達機構20、補助テープ供給部18、及び第1ロール11は、上下方向において、伝達機構20、補助テープ供給部18、及び第1ロール11の順に並んで配置されている。
【0040】
つまり、出力ギア21及び入力ギア22は、第1ロール11及び補助テープ供給部18よりも上方に位置する。換言すれば、第1ロール11及び補助テープ供給部18は、上下方向において出力ギア21及び入力ギア22よりもケース35の底面38の近くに配置されている。
【0041】
(出力ギア)
図3に示す出力ギア21は、印刷用テープ11Aの搬送に供される駆動力を外部に出力するための外歯ギアである。具体的には、出力ギア21は、印刷装置本体100のプラテンギア104に駆動力を出力する。
【0042】
出力ギア21の回転軸心L7は、第2供給スプール15の回転軸心L5と平行である。出力ギア21の全体は、上下方向においてケース35のカバー部31Bと重なっている。また、出力ギア21は、ヘッド開口36と連通する空間に一部が露出している。
【0043】
出力ギア21は、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態(つまり、ケース35がカセット収納部101に収納された状態)で、ヘッド開口36と連通した空間においてプラテンギア104に係合する。
【0044】
(入力ギア)
入力ギア22は、アイドルギア23を介して出力ギア21と間接的に係合し、駆動力を出力ギア21に伝達する。
【0045】
入力ギア22は、外歯ギア22Aと、外歯ギア22Aの一方の側面に固定されると共に、内周面にスプライン歯を有する円筒状の内歯ギアであるスプール22Bとを有する。外歯ギア22Aは、スプール22Bに入力された駆動源107の駆動力によってスプール22Bと一体回転する。
【0046】
入力ギア22の回転軸心L8(つまり、外歯ギア22Aの回転軸心、及びスプール22Bの回転軸心)は、巻取スプール16の回転軸心L6と同一線上に配置されている。図4に示すように、入力ギア22の少なくとも一部は、上下方向において、第1ロール11と重なる位置に配置されている。
【0047】
入力ギア22の回転軸心L8は、上下方向において、巻取スプール16の中空部と重なる。また、入力ギア22のスプール22Bの下端部は、巻取スプール16の中空部に上方から挿入されている。
【0048】
そのため、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態では、駆動シャフト105が巻取スプール16と入力ギア22とに同時に挿通される。その結果、入力ギア22は、巻取スプール16と直接連結はされないが、巻取スプール16と共に駆動シャフト105によって回転される。
【0049】
(アイドルギア)
アイドルギア23は、入力ギア22と出力ギア21とに駆動連結され(つまり係合し)
、入力ギア22に入力された駆動力を出力ギア21に伝達する。つまり、駆動シャフト105は、入力ギア22及びアイドルギア23を介して、出力ギア21に間接的に駆動力を入力する。
【0050】
アイドルギア23は、入力ギア22に係合した上流ギア23Aと、出力ギア21に係合した下流ギア23Bとが同軸上に並んで配置された段ギアである。下流ギア23Bは、上流ギア23Aよりも径が小さい。また、上流ギア23Aは、上下方向において、下流ギア23Bよりも第1ロール11に近い位置(つまり下方)に配置されている。
【0051】
アイドルギア23は、入力ギア22に入力された駆動力の回転速度を減速して出力ギア21に伝達する。つまり、伝達機構20は、入力ギア22の回転速度を出力ギア21の回転速度で除した伝達比を減速比とする減速機構を含んでいる。
【0052】
(被検出部)
図3に示す被検出部51は、印刷用カセット10を識別するためのカセット識別情報を外部装置(つまり印刷装置本体100)に検出させる。
【0053】
被検出部51は、ケース35の底面38に配置されている。被検出部51は、例えば、底面38に設けられた凹部、孔、又は凸部の組み合わせ(つまり立体マーカ)によって構成される。印刷装置本体100の検出部108は、接触式又は非接触式の読み取りによって、印刷用カセット10のカセット識別情報を検出する。
【0054】
また、被検出部51は、立体マーカに変えて、又は立体マーカと共に、RFID(Radio Frequency Identification)タグを有してもよい。つまり、被検出部51は、無線通信によって検出部108にカセット識別情報を検出させてもよい。
【0055】
カセット識別情報は、例えば、伝達機構20に関する情報、印刷用テープ11Aに関する情報等を含む。伝達機構20に関する情報は、例えば、入力ギア22の回転速度を出力ギア21の回転速度で除した伝達比に関連する情報、伝達機構20が含む回転体(つまりギア)の数に関連する情報等を含む。印刷用テープ11Aに関する情報は、例えば、印刷用テープ11Aの幅、厚み、材質、色、層構成等を示す情報を含む。
【0056】
また、カセット識別情報は、ヘッド開口36における印刷用テープ11Aとインクリボン14Aとの重ね合わせ位置(つまり印刷ヘッド102による印刷位置)を示す情報を含んでもよい。
【0057】
(ケース)
図3に示すように、第1蓋部31は、印刷用カセット10の上端部を構成している。第1枠部32は、第1蓋部31の下方に配置され、第1蓋部31と上下方向に連結されている。第2枠部33は、第1枠部32の下方に配置され、第1枠部32と上下方向に連結されている。第2蓋部34は、印刷用カセット10の下端部を構成している。第2蓋部34は、第2枠部33と上下方向に連結されている。
【0058】
第2枠部33と第2蓋部34とは、第1ロール11を収容する第1収容部41を構成している。つまり、第1ロール11は、第2枠部33と第2蓋部34とで囲まれた空間に配置されている。
【0059】
第1枠部32と第2枠部33とは、補助テープ供給部18を収容する第2収容部42を構成している。つまり、第2ロール14、第2供給スプール15、及び巻取スプール16
は、第1枠部32と第2枠部33とで囲まれた空間に配置されている。
【0060】
第2収容部42は、上下方向において第1収容部41と重ねて配置されている。また、第2収容部42は、第1収容部41よりもケース35の底面38から離れて(つまり第1収容部41の上方に)配置されている。
【0061】
第1蓋部31と第1枠部32とは、伝達機構20を収容する第3収容部43を構成している。つまり、出力ギア21の一部、入力ギア22、及びアイドルギア23は、第1蓋部31と第1枠部32とで囲まれた空間に配置されている。
【0062】
第3収容部43は、上下方向において第2収容部42と重ねて配置されている。また、第3収容部43は、第2収容部42よりもケース35の底面38から離れて(つまり第2収容部42の上方に)配置されている。
【0063】
第1蓋部31は、第1側壁31Aと、カバー部31Bと、第1ギア支持部31Cと、第2ギア支持部31Dと、第3ギア支持部31Eとを有する。
【0064】
第1側壁31Aは、第1枠部32の第2側壁32A、第2枠部33の第3側壁33A及び第2蓋部34の第4側壁34Aと共に、印刷用カセット10の上下方向と平行な側面を構成する。
【0065】
カバー部31Bは、上下方向と垂直な表面を有する部位である。カバー部31Bは、上下方向において出力ギア21と重なる位置に配置されている。本実施形態では、カバー部31Bは、第2側壁32Aの下端部と連続して設けられ、第1蓋部31の右前方の角部に配置されている。
【0066】
第1ギア支持部31Cは、出力ギア21を回転可能に支持する。第2ギア支持部31Dは、入力ギア22を回転可能に支持する。第3ギア支持部31Eは、アイドルギア23を回転可能に支持する。
【0067】
第1枠部32は、第2側壁32Aと、第1開口部32Bと、第1スリット32Cと、第1ガイド32Dとを有する。
【0068】
第1開口部32Bは、第2側壁32Aの一部を切り欠いた部位である。第1開口部32Bは、第2枠部33の第2開口部33Bと、第2蓋部34の第3開口部34Bと共に、ヘッド開口36を構成する。
【0069】
ヘッド開口36は、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、内部に印刷ヘッド102が配置される空間である。ヘッド開口36は、印刷ヘッド102が下方から挿入可能なように、印刷用カセット10の下方に開口している。
【0070】
ヘッド開口36において、印刷用テープ11A及びインクリボン14Aが左右方向に架け渡される。印刷後の印刷用テープ11Aは、排出口37から印刷装置1の外部に排出される。
【0071】
ヘッド開口36のうち、第1開口部32Bにおいて、印刷ヘッド102による印刷用テープ11Aの印刷が行われる。
【0072】
第1スリット32Cは、第2側壁32Aの右側面に設けられている。第1スリット32Cは、第2枠部33の第2スリット33Cと共に、印刷用テープ11Aを排出する排出口
37を構成する。
【0073】
第1ガイド32Dは、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aが巻き掛けられる部位である。第1ガイド32Dは、第2収容部42に収容された巻取スプール16の一部を囲うように配置されている。第1ガイド32Dは、ケース35の外側に向かって膨出するように湾曲した壁である。
【0074】
第2枠部33は、第3側壁33Aと、第2開口部33Bと、第2スリット33Cと、第2ガイド33Dと、供給スプール支持部33Eと、シャフト挿通部33Fとを有する。
【0075】
第2開口部33Bは、第3側壁33Aの一部を切り欠いた部位である。第2開口部33Bは、第1枠部32の第1開口部32Bに下方から連結される。
第2スリット33Cは、第3側壁33Aの右側面に設けられている。第2スリット33Cは、第1枠部32の第1スリット32Cに下方から連結される。
【0076】
図5に示すように、第2ガイド33Dは、第1ガイド32Dよりも印刷用テープ11Aの搬送方向における上流側(つまり第1収容部41内)にて、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aが巻き掛けられる部位である。
【0077】
第2ガイド33Dは、ケース35の外側に向かって膨出するように湾曲した壁である。第2ガイド33Dは、印刷用テープ11Aを第1収容部41から第2収容部42に案内する案内部を構成している。
【0078】
供給スプール支持部33Eは、第1収容部41内において、第1供給スプール12を回転可能に支持する。
【0079】
シャフト挿通部33Fは、印刷用カセット10がカセット収納部101に挿入された状態で、印刷装置本体100の駆動シャフト105が上下方向に挿通される部位である。シャフト挿通部33Fは、円筒の一部を切り欠いた形状を有する。
【0080】
シャフト挿通部33Fに挿通された駆動シャフト105は、第2収容部42に配置された巻取スプール16の中空部にさらに挿通される。つまり、第1収容部41及び第2収容部42には、それぞれ、駆動シャフト105が挿通される空間が存在している。
【0081】
シャフト挿通部33Fは、第1供給スプール12の右方に配置されている。そのため、印刷用カセット10がカセット収納部101に挿入された状態で、第1ロール11は、上下方向において駆動シャフト105と重ならない位置に配置される。
【0082】
第2蓋部34は、第4側壁34Aと、第3開口部34Bと、シャフト孔34Cとを有する。
第3開口部34Bは、第4側壁34Aの一部を切り欠いた部位である。第3開口部34Bは、第2枠部33の第2開口部33Bに下方から連結される。
【0083】
シャフト孔34Cは、第2枠部33のシャフト挿通部33Fに連通している。駆動シャフト105は、シャフト孔34Cを貫通して、ケース35内に挿入される。
【0084】
図6A,6B,6C,6Dに示すように、第1ガイド32D及び第2ガイド33Dは、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aが印刷用カセット10の外部に向かって搬送される搬送路を構成している。
【0085】
具体的には、図6Aに示すように、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aは、螺旋を描くように第2ガイド33Dに第1ロール11の径方向外側から当接しながら第1収容部41内で後上方に向かって搬送される。
【0086】
さらに、印刷用テープ11Aは、図6B及び図6Cに示すように、第1ガイド32D及び第2ガイド33Dに当接して第1収容部41と第2収容部42との境界を上下方向に跨ぎつつ、左上方に、続いて前上方に向かって搬送され、第2収容部42内に到達する。
【0087】
このようにして第2収容部42内に到達した印刷用テープ11Aは、図6Dに示すように、第2収容部42内で右方向に搬送され、ヘッド開口36を通過して排出口37から排出される。
【0088】
図5に示すように、印刷用テープ11Aは、シャフト挿通部33F及び巻取スプール16それぞれの径方向外側において、これらを部分的に取り囲むように搬送される。つまり、印刷用カセット10がカセット収納部101に挿入された状態で、印刷用テープ11Aの搬送路は、駆動シャフト105の周方向における少なくとも一部を取り囲むように配置される。
【0089】
<印刷装置本体によるテープ搬送及び印刷>
印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、印刷ヘッド102は、ヘッド開口36において、印刷用テープ11A及びインクリボン14Aと前後方向に重なる位置に配置される。
【0090】
印刷用テープ11Aは、プラテンローラ103によってヘッド開口36に搬送されると共に、プラテンローラ103によってインクリボン14Aを介して発熱素子が発熱した印刷ヘッド102に押し付けられる。これにより、インクリボン14Aの表面に配置されたインクの一部が印刷用テープ11Aに転写され、印刷用テープ11Aに文字、記号等が印刷される。
【0091】
プラテンローラ103は、印刷後の印刷用テープ11Aを印刷用カセット10内から外部に向けて搬送する。プラテンローラ103は、出力ギア21と係合されたプラテンギア104によって回転する。プラテンローラ103及びプラテンギア104は、印刷用カセット10と離れた位置と、図7に示すプラテンギア104が出力ギア21に係合した位置との間で揺動可能である。
【0092】
印刷用カセット10のケース35がカセット収納部101に挿入された状態では、駆動シャフト105が入力ギア22に係合すると共にプラテンギア104が出力ギア21に係合する。
【0093】
具体的には、駆動シャフト105が印刷用カセット10の巻取スプール16及び入力ギア22に挿入された状態で、プラテンローラ103及びプラテンギア104が印刷用カセット10のヘッド開口36に向けて揺動することで、プラテンギア104が出力ギア21に係合する。
【0094】
印刷用カセット10が装着された状態で駆動シャフト105により入力ギア22が回転されることで出力ギア21が回転される。さらに、出力ギア21の回転によりプラテンギア104が回転し、プラテンギア104の回転によりプラテンローラ103が回転する。
【0095】
つまり、駆動源107は、駆動シャフト105を介して入力ギア22に駆動力を入力する。また、プラテンローラ103は、出力ギア21から出力される駆動力によって印刷用
テープ11Aを搬送する。
【0096】
検出部108は、カセット収納部101に装着された印刷用カセット10の被検出部51からカセット識別情報を検出する。検出部108が検出したカセット識別情報は、制御ユニット109に送られる。
【0097】
制御ユニット109は、カセット識別情報に基づいて印刷ヘッド102の印刷周期(つまり加熱のオンオフの切り替え周期)を制御してもよい。例えば、制御ユニット109は、伝達機構20の伝達比が大きくなるほど印刷周期を長くする(つまり、伝達比が小さくなるほど印刷周期を短くする)。
【0098】
また、制御ユニット109は、カセット識別情報に基づいて駆動源107の回転方向を制御してもよい。例えば、制御ユニット109は、伝達機構20の回転体の数に基づいて、プラテンローラ103の回転方向が印刷用テープ11Aの搬送方向となるように駆動源107の回転方向を決定する。
【0099】
さらに、制御ユニット109は、カセット識別情報に基づいて印刷ヘッド102の印刷領域を制御してもよい。これにより、上下方向において印刷用カセット10とは異なる領域で印刷用テープ11Aとインクリボン14Aとが重ね合わされる印刷用カセット(例えば、後述する第2実施形態の印刷用カセット10A、第2収容部42の幅が印刷用カセット10よりも大きい印刷用カセット等)にも印刷を行うことができる。
【0100】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)出力ギア21と、補助テープ供給部18と、第1ロール11とが出力ギア21の回転軸心と平行な方向に重ねて配置されることで、第1ロール11の軸方向における印刷用カセット10の面積を低減できる。また、出力ギア21が第1ロール11と補助テープ供給部18との間に配置されないことで、印刷用テープ11Aをインクリボン14Aに向けて安定して案内できる。
【0101】
(1b)第1収容部41及び第2収容部42それぞれに駆動シャフト105が挿通される空間が存在することで、伝達機構20をケース35の底面38とは反対側に配置しつつ、伝達機構20へ駆動力を入力することができる。
【0102】
(1c)第1ロール11が上下方向において駆動シャフト105と重ならない位置に配置されることで、ケース35の上下方向の長さを抑制しつつ、駆動シャフト105と第1ロール11との干渉を避けることができる。
【0103】
(1d)印刷用テープ11Aの搬送路が駆動シャフト105を周方向に取り囲むように配置されることで、駆動シャフト105と印刷用テープ11Aとの干渉を避けつつ、印刷用テープ11Aを第1収容部41から第2収容部42に送り出すことができる。
【0104】
(1e)印刷用テープ11Aを第1収容部41から第2収容部42に案内する案内部(つまり第2ガイド33D)によって、印刷用テープ11Aの案内の安定性を高めることができる。
【0105】
(1f)ケース35の底面38に被検出部51が配置されることで、印刷装置本体100の検出部108により、適切に印刷用カセット10のカセット識別情報を検出できる。
【0106】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
図8A,8B,8Cに示す印刷用カセット10Aは、第1実施形態の印刷用カセット10に替えて、図1Bの印刷装置本体100に装着される。
【0107】
印刷用カセット10Aは、ケース235の形状を除いて、第1実施形態の印刷用カセット10と同じ構成を有する。つまり、印刷用カセット10Aは、図9に示すように、第1実施形態と同様の第1ロール11と、第1供給スプール12と、スペーサフィルム13A,13Bと、補助テープ供給部18と、伝達機構20と、被検出部51とを備える。
【0108】
<ケース>
ケース235は、下方に向かってカセット収納部101へ挿入される。
【0109】
ケース235は、第1蓋部231と、第1枠部232と、第2枠部233と、第2蓋部234とを有する。また、ケース235は、図8Bに示すように、第1実施形態と同様のヘッド開口36と、排出口37と、底面38とを有する。
【0110】
図9に示すように、第1蓋部231は、印刷用カセット10Aの上端部を構成している。第1枠部232は、第1蓋部231の下方に配置され、第1蓋部231と上下方向に連結されている。第2枠部233は、第1枠部232の下方に配置され、第1枠部232と上下方向に連結されている。第2蓋部234は、印刷用カセット10Aの下端部を構成している。第2蓋部234は、第2枠部233と上下方向に連結されている。
【0111】
第1枠部232と第2枠部233とは、第1ロール11を収容する第1収容部41を構成している。第2枠部233と第2蓋部234とは、補助テープ供給部18を収容する第2収容部42を構成している。第1蓋部231と第1枠部232とは、伝達機構20を収容する第3収容部43を構成している。
【0112】
図10に示すように、第2収容部42は、上下方向において第1収容部41と重ねて配置されている。また、第2収容部42は、第1収容部41よりもケース235の底面38の近くに(つまり第1収容部41の下方に)配置されている。
【0113】
第3収容部43は、上下方向において第1収容部41と重ねて配置されている。また、第3収容部43は、第1収容部41よりもケース235の底面38から離れて(つまり第1収容部41の上方に)配置されている。
【0114】
また、伝達機構20、第1ロール11、及び補助テープ供給部18は、上下方向において、伝達機構20、第1ロール11、及び補助テープ供給部18の順に並んで配置されている。なお、入力ギア22は、巻取スプール16と同心軸となるように配置されているが、巻取スプール16とは上下方向に離れて配置されている。
【0115】
図9に示す第1蓋部231は、第1実施形態の第1蓋部31と同様の第1側壁31Aと、カバー部31Bと、第1ギア支持部31Cと、第2ギア支持部31Dと、第3ギア支持部31Eとを有する。
【0116】
第1枠部232は、第2側壁232Aと、隔壁232Bと、隔壁開口232Cとを有する。
【0117】
第2側壁232Aは、第1蓋部231の第1側壁31A、第2枠部233の第3側壁233A及び第2蓋部234の第4側壁234Aと共に、印刷用カセット10Aの上下方向と平行な側面を構成する。
【0118】
隔壁232Bは、第1収容部41と第3収容部43とを上下方向に仕切る壁である。隔壁開口232Cは、隔壁232Bに設けられ、第1収容部41と第3収容部43とを連通する円形の孔である。
【0119】
隔壁開口232Cは、第1ロール11の右方、かつ、上下方向において入力ギア22と重なる位置に配置されている。第2側壁232Aの内部には、隔壁開口232Cによって、駆動シャフト105が挿通される空間が構成されている。
【0120】
印刷用カセット10Aがカセット収納部101に挿入された状態で、印刷装置本体100の駆動シャフト105は、第2収容部42内の巻取スプール16と隔壁開口232Cとを貫通して、入力ギア22に挿入される。
【0121】
第2枠部233は、第3側壁233Aと、開口部233Bと、第1スリット233Cと、ガイド233D(図11参照)と、供給スプール支持部233E(図11参照)とを有する。
【0122】
開口部233Bは、第3側壁233Aの一部を切り欠いた部位である。開口部233Bは、印刷用テープ11Aに印刷を行うヘッド開口36を構成している。つまり、印刷用カセット10Aの第2収容部42は、第1実施形態と同様に、印刷用テープ11Aの印刷を行う印字部を有する。
【0123】
第1スリット233Cは、第3側壁233Aの右側面に設けられている。第1スリット233Cは、第2蓋部234の第2スリット234Bと共に、印刷用テープ11Aを排出する排出口37を構成する。
【0124】
図11に示すガイド233Dは、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aが巻き掛けられる部位である。ガイド233Dは、第1ロール11の周方向に沿って離れて配置された複数の板状のリブを有する。複数のリブは、第1ロール11の径方向に突出しており、下方に向かうほど突出量(つまり板幅)が大きくなっている。
【0125】
供給スプール支持部233Eは、第1収容部41内において、第1供給スプール12を回転可能に支持する。
【0126】
図9に示す第2蓋部234は、第4側壁234Aと、第2スリット234Bと、シャフト孔234Cとを有する。
第2スリット234Bは、第4側壁234Aの右側面に設けられている。第2スリット234Bは、第2枠部233の第1スリット233Cに下方から連結される。
【0127】
シャフト孔234Cは、第2収容部42内に配置された巻取スプール16の中空部に連通している。駆動シャフト105は、シャフト孔234Cを貫通して、ケース235内に挿入される。
【0128】
図12A,12B,12C,12Dに示すように、ガイド233Dは、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aが印刷用カセット10Aの外部に向かって搬送される搬送路を構成している。
【0129】
具体的には、図12Aに示すように、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aは、螺旋を描くようにガイド233Dに第1ロール11の径方向外側から当接しながら第1収容部41内で後下方に向かって搬送される。
【0130】
さらに、印刷用テープ11Aは、図12B及び図12Cに示すように、第1収容部41と第2収容部42との境界を上下方向に跨ぎつつ、左下方に、続いて前下方に向かって搬送され、第2収容部42内に到達する。
【0131】
このようにして第2収容部42内に到達した印刷用テープ11Aは、図12Dに示すように、第2収容部42内で右方向に搬送され、ヘッド開口36を通過して排出口37から排出される。
【0132】
印刷用テープ11Aは、隔壁開口232C及び巻取スプール16それぞれの径方向外側において、これらを部分的に取り囲むように搬送される。つまり、印刷用カセット10Aがカセット収納部101に挿入された状態で、印刷用テープ11Aの搬送路は、駆動シャフト105の周方向における少なくとも一部を取り囲むように配置される。
【0133】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)第1実施形態に対し、第2収容部42がよりケース235の底面38近くに配置される。これにより、印刷ヘッド102による印刷用テープ11Aの印刷がより安定して行われる。
【0134】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0135】
(3a)上記実施形態の印刷装置は、インクリボンを用いて印刷するものに限定されない。印刷装置は、印刷用テープの代わりとして帯状の感熱紙を用いてもよい。この場合、補助テープとしては、例えばラミネートテープが用いられる。
【0136】
また、印刷装置は、サーマルヘッドによって印刷パターンの穿孔が行われるステンシルテープを印刷用テープとして用いてもよい。印刷用テープとしてステンシルテープが用いられる場合は、インクリボンに変えて、ステンシルテープを保護する合紙テープが補助テープとして用いられる。
【0137】
この場合、ヘッド開口において、合紙テープはステンシルテープよりも印刷ヘッドに近い位置でステンシルテープに重ね合わせられてもよいし、合紙テープはステンシルテープよりも印刷ヘッドから離れた位置でステンシルテープに重ね合わせられてもよい。
【0138】
また、印刷用テープとしてステンシルテープが用いられる場合は、合紙テープのロールは印刷用テープのロールよりも上方に(つまり上下方向においてヘッド開口から遠い位置に)配置されてもよい。
【0139】
(3b)上記実施形態の印刷装置において、印刷用カセットの被検出部は、必ずしもケースの底面に配置されなくてもよい。例えば、被検出部はケースの側面に配置されてもよい。この場合、印刷装置本体の検出部は、被検出部に対応する位置に配置される。また、第3収容部が第1収容部及び第2収容部よりも上下方向においてケースの底面に近い位置(つまり第1収容部及び第2収容部の下方)に配置されてもよい。
【0140】
(3c)上記実施形態の印刷装置において、印刷用カセットの種類によって、第1収容部、第2収容部、及び第3収容部の配置順が異なってもよい。
【0141】
例えば、テープ幅が12mmの印刷用テープを収容する印刷用カセットでは、第1実施形態のように第3収容部、第2収容部、及び第1収容部の順に配置されると共に、テープ幅が24mmの印刷用テープを収容する印刷用カセットでは、第1収容部、第3収容部、及び第2収容部の順に配置されてもよい。
【0142】
第1収容部は、収容する印刷用テープのテープ幅に対応する上下方向の高さを必要とする。テープ幅の大きい印刷用カセットでは第3収容部より上方に第1収容部を配置するとことで、テープ幅の小さい印刷用カセットに対する、ケースの底面から出力ギアまでの距離の差を抑えることができる。
【0143】
これにより、カセット収納部内における印刷用カセットの被検出部と印刷装置本体の検出部との位置が印刷用カセットの種類によって変更されることなく、検出部によるカセット種別情報の検出を適切に行える。
【0144】
(3d)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、伝達機構は、必ずしも減速機構を含まなくてもよい。また、伝達機構は、ギア以外の回転体(例えばローラ又はベルト)を有してもよい。
【0145】
(3e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0146】
1…印刷装置、10…印刷用カセット、11…第1ロール、
11A…印刷用テープ、12…第1供給スプール、14…第2ロール、
14A…インクリボン、15…第2供給スプール、16…巻取スプール、
18…補助テープ供給部、20…伝達機構、21…出力ギア、22…入力ギア、
23…アイドルギア、31…第1蓋部、32…第1枠部、32D…第1ガイド、
33…第2枠部、33D…第2ガイド、33F…シャフト挿通部、34…第2蓋部、
34C…シャフト孔、35…ケース、36…ヘッド開口、37…排出口、38…底面、
41…第1収容部、42…第2収容部、43…第3収容部、51…被検出部、
100…印刷装置本体、101…カセット収納部、102…印刷ヘッド、
103…プラテンローラ、104…プラテンギア、105…駆動シャフト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12