(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056524
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20220404BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20220404BHJP
F16H 57/021 20120101ALI20220404BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H1/32 A
F16H57/021
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164320
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 倫紀
【テーマコード(参考)】
3J027
3J063
5H607
【Fターム(参考)】
3J027GC02
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J063AC01
3J063CD42
3J063CD61
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC03
5H607DD04
5H607EE33
5H607HH01
5H607HH09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モータシャフトと出力シャフトとが互いに傾くことを抑制できる構造を有する電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】電動アクチュエータ100は、モータ軸を中心として回転可能なモータシャフト21aを有するモータ20と、モータシャフトの軸方向一方側に連結された伝達機構30と、モータシャフトの軸方向に延び、伝達機構を介してモータシャフトの回転が伝達される出力シャフト41と、を備える。モータシャフトは、中空シャフトである。出力シャフトの少なくとも一部は、モータシャフトの内部に位置する。モータシャフトと出力シャフトとのうちの一方は、モータシャフトと出力シャフトとのうちの他方を回転可能に支持している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトの軸方向一方側に連結された伝達機構と、
前記モータシャフトの軸方向に延び、前記伝達機構を介して前記モータシャフトの回転が伝達される出力シャフトと、
を備え、
前記モータシャフトは、中空シャフトであり、
前記出力シャフトの少なくとも一部は、前記モータシャフトの内部に位置し、
前記モータシャフトと前記出力シャフトとのうちの一方は、前記モータシャフトと前記出力シャフトとのうちの他方を回転可能に支持している、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記出力シャフトのうち前記モータシャフトの内部に位置する部分の外周面と前記モータシャフトの内周面とは、径方向に対向しており、互いに接触可能である、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記出力シャフトは、前記モータシャフトよりも軸方向一方側から前記モータシャフトの内部を通って前記モータシャフトよりも軸方向他方側まで延びている、請求項1または2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記出力シャフトのうち前記モータシャフトよりも軸方向一方側に位置する部分を回転可能に支持する第1ベアリングと、
前記出力シャフトのうち前記モータシャフトよりも軸方向他方側に位置する部分を回転可能に支持する第2ベアリングと、
をさらに備え、
前記出力シャフトは、前記モータシャフトを回転可能に支持している、請求項3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記モータおよび前記伝達機構を内部に収容するケースをさらに備え、
前記ケースは、
軸方向他方側に開口するケース本体と、
前記ケース本体に固定され、前記ケース本体の軸方向他方側の開口を塞ぐカバーと、
を有し、
前記第1ベアリングは、前記ケース本体に保持され、
前記第2ベアリングは、前記カバーに保持されている、請求項4に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記モータシャフトの回転を検出可能な第1回転センサと、
前記出力シャフトの回転を検出可能な第2回転センサと、
をさらに備え、
前記モータは、前記モータシャフトの外周面に固定されたロータ本体を有し、
前記モータシャフトのうち前記ロータ本体よりも軸方向他方側に位置する部分には、前記第1回転センサによって回転が検出される第1被検出部が設けられ、
前記出力シャフトのうち前記モータシャフトよりも軸方向他方側に位置する部分には、前記第2回転センサによって回転が検出される第2被検出部が設けられている、請求項3から5のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記第1被検出部および前記第2被検出部は、マグネットであり、
前記第1回転センサおよび前記第2回転センサは、磁気センサである、請求項6に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記出力シャフトのうち前記モータシャフトよりも軸方向他方側に位置する部分の外周面に固定された取付部材をさらに備え、
前記第2被検出部は、前記取付部材を介して前記出力シャフトに取り付けられており、
前記出力シャフトは、
被駆動シャフトが連結される連結部と、
前記連結部から軸方向他方側に延び、前記モータシャフトの内部に通された延伸部と、
を有し、
前記連結部の外径は、前記延伸部の外径よりも大きく、
前記モータシャフトの軸方向一方側の端部と前記連結部の軸方向他方側の端部との間、および前記モータシャフトの軸方向他方側の端部と前記取付部材の軸方向一方側の端部との間には、ワッシャが設けられている、請求項6または7に記載の電動アクチュエータ。
【請求項9】
前記モータシャフトは、前記モータ軸に対して偏心した偏心軸を中心とする偏心軸部を有し、
前記伝達機構は、
前記偏心軸部にベアリングを介して連結された外歯ギアと、
前記外歯ギアの径方向外側を囲み、前記外歯ギアと噛み合う内歯ギアと、
前記出力シャフトのうち前記モータシャフトよりも軸方向一方側に位置する部分から径方向外側に突出し、前記外歯ギアの軸方向一方側に対向して配置された出力フランジ部と、
前記出力フランジ部と前記外歯ギアとのうちの一方から他方に向かって突出し、前記モータ軸を囲んで配置された複数の突出部と、
を有し、
前記出力フランジ部と前記外歯ギアとのうちの他方は、前記モータ軸を囲んで配置された複数の穴部を有し、
前記複数の突出部は、前記複数の穴部のそれぞれに挿入され、前記穴部の内側面を介して、前記外歯ギアを前記モータ軸回りに揺動可能に支持している、請求項1から8のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
伝達機構によって連結されたモータシャフトと出力シャフトとを備える電動アクチュエータが知られている。例えば、特許文献1には、車両の自動変速機のシフトを切り替えるシフトバイワイヤシステムの動力源として適用される回転式アクチュエータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動アクチュエータにおいては、モータシャフトと出力シャフトとの一方が他方に対して傾く虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、モータシャフトと出力シャフトとが互いに傾くことを抑制できる構造を有する電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトの軸方向一方側に連結された伝達機構と、前記モータシャフトの軸方向に延び、前記伝達機構を介して前記モータシャフトの回転が伝達される出力シャフトと、を備える。前記モータシャフトは、中空シャフトである。前記出力シャフトの少なくとも一部は、前記モータシャフトの内部に位置する。前記モータシャフトと前記出力シャフトとのうちの一方は、前記モータシャフトと前記出力シャフトとのうちの他方を回転可能に支持している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、モータシャフトと出力シャフトとが互いに傾くことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の伝達機構を示す図であって、
図1におけるII-II断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図においてZ軸方向は、正の側(+Z側)を上側とし、負の側(-Z側)を下側とする上下方向である。各図に適宜示すモータ軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、モータ軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
本実施形態において、下側は「軸方向一方側」に相当し、上側は「軸方向他方側」に相当する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ100は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ100は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。
図1に示すように、電動アクチュエータ100は、ケース10と、モータ20と、伝達機構30と、出力部40と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、ワッシャ61,62と、バスバーユニット70と、基板80と、第1回転センサ81と、第2回転センサ82と、第1被検出部24と、取付部材44と、第2被検出部45と、仕切部材90と、を備える。第1ベアリング51、第2ベアリング52、および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。
【0012】
ケース10は、モータ20および伝達機構30を含む電動アクチュエータ100の各部を内部に収容している。ケース10は、ケース本体11と、カバー12と、内蓋13と、を有する。ケース本体11は、上側に開口している。ケース本体11は、例えば、モータ軸J1を中心とする円筒状である。ケース本体11は、第1収容部11aと、第2収容部11bと、を有する。
【0013】
第1収容部11aは、例えば、ケース本体11の下側部分である。第1収容部11aは、下側に位置する底部11cと、底部11cの径方向外縁部から上側に延びる筒部11dと、を有する。底部11cは、底部11cを軸方向に貫通する孔部11eを有する。孔部11eは、例えば、モータ軸J1を中心とする円形状の孔である。孔部11eの上側部分は、第1ベアリング51を内部に保持する第1ベアリング保持部11fを構成している。第1ベアリング51は、第1ベアリング保持部11fの内部に保持されることで、ケース本体11に保持されている。第1ベアリング51の外輪は、例えば、第1ベアリング保持部11fの内周面に嵌め合わされている。
【0014】
第2収容部11bは、例えば、ケース本体11の上側部分である。第2収容部11bは、第1収容部11aの上側に繋がっている。第2収容部11bは、上側に開口する筒状である。第2収容部11bの内径は、第1収容部11aの内径よりも大きい。第2収容部11bの外径は、第1収容部11aの外径よりも大きい。第2収容部11bの下端部は、例えば、筒部11dの上端部の径方向外縁部に繋がっている。第2収容部11bの内周面には、上側を向く段差面11gを有する段差が設けられている。段差面11gは、例えば、軸方向と直交する面である。
【0015】
段差面11gには、基板80が固定されている。基板80は、板面が軸方向を向く板状であり、径方向に広がっている。基板80の径方向外縁部は、例えば、段差面11gにネジで固定されている。基板80は、第2収容部11bの内部に収容されている。基板80は、後述するロータ本体21bよりも上側に位置する。基板80は、基板80を軸方向に貫通する貫通孔80aを有する。貫通孔80aは、例えば、モータ軸J1を中心とする円形状の孔である。貫通孔80aには、後述する出力シャフト41のうち上側の部分が軸方向に通されている。基板80の板面には、図示しないプリント配線が設けられている。図示は省略するが、基板80には、例えば、モータ20に電力を供給するインバータ回路が設けられている。
【0016】
基板80には、第1回転センサ81および第2回転センサ82が取り付けられている。第1回転センサ81は、後述するモータシャフト21aの回転を検出可能なセンサである。第2回転センサ82は、後述する出力シャフト41の回転を検出可能なセンサである。本実施形態において第1回転センサ81および第2回転センサ82は、磁気センサである。第1回転センサ81および第2回転センサ82は、例えば、ホールICなどのホール素子である。第1回転センサ81および第2回転センサ82は、例えば、周方向に沿って複数ずつ設けられていてもよい。
【0017】
本実施形態において第1回転センサ81は、基板80の下側の面に取り付けられている。第1回転センサ81は、例えば、基板80の下側の面のうち貫通孔80aの周縁部に取り付けられている。本実施形態において第2回転センサ82は、基板80の上側の面に取り付けられている。第2回転センサ82は、例えば、第1回転センサ81よりも径方向外側に位置する。つまり、本実施形態において第1回転センサ81と第2回転センサ82とは、互いに径方向位置が異なっている。
【0018】
カバー12は、ケース本体11に固定されている。カバー12の径方向外縁部は、例えば、第2収容部11bの上側の端部にネジで固定されている。カバー12は、ケース本体11の上側の開口を塞いでいる。カバー12は、ケース本体11の上側の開口を覆うカバー本体12aと、カバー本体12aから下側に突出する第2ベアリング保持部12bと、を有する。第2ベアリング保持部12bは、例えば、モータ軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。第2ベアリング保持部12bの内部には、第2ベアリング52が保持されている。これにより、第2ベアリング52は、カバー12に保持されている。第2ベアリング52の外輪は、例えば、第2ベアリング保持部12bの内周面に嵌め合わされている。
【0019】
内蓋13は、ケース本体11の内部に位置する。内蓋13は、例えば、板面が軸方向を向く板状である。内蓋13は、例えば、モータ軸J1を中心とする円板状である。内蓋13は、第1収容部11aの内部と第2収容部11bの内部とを軸方向に仕切っている。内蓋13の径方向外縁部は、例えば、第1収容部11aの上側の端部にネジで固定されている。内蓋13は、内蓋13を軸方向に貫通する孔部13a,13bを有する。孔部13aは、例えば、モータ軸J1を中心とする円形状の孔である。孔部13bは、軸方向に見て後述するステータ22と重なっている。
【0020】
内蓋13の上側の面には、バスバーユニット70が配置されている。バスバーユニット70は、バスバーホルダ71と、バスバー72と、を有する。バスバーホルダ71は、バスバー72を保持する樹脂製の部材である。バスバー72は、後述するステータ22のコイル22cから引き出された引出線22dと基板80とを電気的に接続している。バスバー72は、例えば、複数設けられている。基板80に設けられたインバータ回路は、バスバー72を介してステータ22に電力を供給する。
【0021】
モータ20は、ロータ21と、ステータ22と、を有する。ロータ21は、モータシャフト21aと、ロータ本体21bと、を有する。つまり、モータ20は、モータシャフト21aと、ロータ本体21bと、を有する。モータシャフト21aは、モータ軸J1を中心として回転可能である。モータシャフト21aは、中空シャフトである。モータシャフト21aは、例えば、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。モータシャフト21aは、軸方向の両側に開口している。モータシャフト21aの内径は、例えば、軸方向の全体に亘って均一である。モータシャフト21aは、第1収容部11aの内部から上側に延びて、孔部13aを介して第2収容部11bの内部に突出している。モータシャフト21aは、本体部21cと、偏心軸部21dと、被固定部21eと、を有する。
【0022】
本体部21cは、ロータ本体21bが固定された部分である。本体部21cの上側の端部は、例えば、内蓋13の孔部13aに通されている。本体部21cのうち上側の端部を除いた部分は、第1収容部11aの内部に位置する。
【0023】
偏心軸部21dは、本体部21cの下側に繋がっている。偏心軸部21dは、第1収容部11aの内部に位置する。偏心軸部21dの下側の端部は、例えば、モータシャフト21aの下側の端部である。偏心軸部21dは、モータ軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする部分である。偏心軸J2は、モータ軸J1と平行である。偏心軸部21dには、第3ベアリング53の内輪が嵌め合わされて固定されている。これにより、第3ベアリング53は、モータシャフト21aに固定されている。
【0024】
被固定部21eは、本体部21cの上側に繋がっている。被固定部21eは、例えば、第2収容部11bの内部に位置する。被固定部21eは、ロータ本体21bよりも上側に位置する。被固定部21eの上側の端部は、例えば、モータシャフト21aの上側の端部である。被固定部21eの上側の端部は、例えば、基板80の貫通孔80a内に位置する。被固定部21eの外径は、本体部21cの外径よりも小さい。被固定部21eの外周面と本体部21cの外周面との軸方向の間には、上側を向く段差面21fを有する段差が設けられている。段差面21fは、例えば、軸方向と直交する。段差面21fは、本体部21cの上側の端面である。段差面21fは、例えば、内蓋13の上側の面よりも上側に位置する。
【0025】
被固定部21eには、第1被検出部24が固定されている。これにより、モータシャフト21aのうちロータ本体21bよりも上側に位置する部分には、第1被検出部24が設けられている。第1被検出部24は、第1回転センサ81によって回転が検出される部分である。本実施形態において第1被検出部24は、マグネットである。つまり、本実施形態において第1回転センサ81は、第1被検出部24の磁界を検出することで第1被検出部24の回転を検出し、第1被検出部24が固定されたモータシャフト21aの回転を検出する。第1被検出部24は、例えば、モータ軸J1を中心とする円環状である。第1被検出部24の内周面は、被固定部21eの外周面に固定されている。第1被検出部24の下側の面は、段差面21fに接触している。
【0026】
第1被検出部24は、本体部21cよりも径方向外側に突出している。第1被検出部24の外径は、例えば、孔部13aの内径よりも大きい。第1被検出部24の径方向外縁部は、内蓋13の上側に位置し、孔部13aの内縁よりも径方向外側に位置する。第1被検出部24は、基板80の下側に位置する。第1被検出部24の径方向外縁部は、第1回転センサ81の下側に対向して配置されている。本実施形態において第1回転センサ81と第1被検出部24とは、軸方向に見て互いに重なっている。
【0027】
ロータ本体21bは、モータシャフト21aの外周面に固定されている。ロータ本体21bは、例えば、本体部21cの外周面における軸方向の中央部に固定されている。ロータ本体21bは、第1収容部11aの内部に収容されている。図示は省略するが、ロータ本体21bは、モータシャフト21aの外周面に固定された円筒状のロータコアと、ロータコアに固定されたロータマグネットと、を有する。
【0028】
ステータ22は、ロータ21と隙間を介して径方向に対向している。ステータ22は、ロータ21の径方向外側に位置する。ステータ22は、第1収容部11aの内部に収容されている。ステータ22は、ロータ本体21bの径方向外側を囲む環状のステータコア22aと、ステータコア22aに装着されたインシュレータ22bと、インシュレータ22bを介してステータコア22aに装着された複数のコイル22cと、を有する。ステータコア22aの外周面は、例えば、筒部11dの内周面に固定されている。コイル22cからは上側に引出線22dが引き出されている。引出線22dは、孔部13bを軸方向に貫通してバスバー72に接続されている。
【0029】
伝達機構30は、第1収容部11aの内部においてロータ本体21bおよびステータ22の下側に位置する。本実施形態において伝達機構30は、モータシャフト21aの回転を減速して出力シャフト41に伝達する減速機構である。伝達機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア32と、出力フランジ部42と、複数の突出部43と、を有する。
【0030】
外歯ギア31は、偏心軸部21dの偏心軸J2を中心として、軸方向と直交する平面に広がる略円環板状である。
図2に示すように、外歯ギア31の径方向外側面には、複数の歯部31aによって構成された歯車部が設けられている。外歯ギア31は、偏心軸部21dに第3ベアリング53を介して連結されている。これにより、伝達機構30は、モータシャフト21aの下側に連結されている。本実施形態において伝達機構30は、モータシャフト21aの下側の端部に連結されている。外歯ギア31は、第3ベアリング53の外輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第3ベアリング53は、モータシャフト21aと外歯ギア31とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結している。
【0031】
外歯ギア31は、外歯ギア31の下側の面から上側に窪む複数の穴部31bを有する。本実施形態において穴部31bは、外歯ギア31を軸方向に貫通している。複数の穴部31bは、モータ軸J1を囲んで配置されている。より詳細には、複数の穴部31bは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部31bは、例えば、8つ設けられている。穴部31bの軸方向に沿って見た形状は、例えば、円形状である。穴部31bの内径は、後述する突出部43のうち穴部31bに挿入された部分の外径よりも大きい。
【0032】
内歯ギア32は、外歯ギア31の径方向外側を囲み、外歯ギア31と噛み合っている。内歯ギア32は、モータ軸J1を中心とする円環状である。
図1に示すように、本実施形態において内歯ギア32は、ケース10に固定されている。内歯ギア32の外周面は、第1収容部11aの内周面に嵌め合わされて固定されている。
図2に示すように、内歯ギア32の内周面には、複数の歯部32aを有する歯車部が設けられている。内歯ギア32の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合っている。より詳細には、内歯ギア32の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と周方向の一部において噛み合っている。
【0033】
出力フランジ部42は、出力部40の一部である。
図1に示すように、出力フランジ部42は、外歯ギア31の下側に対向して配置されている。出力フランジ部42と外歯ギア31との軸方向の間には隙間が設けられている。出力フランジ部42は、例えば、モータ軸J1を中心として径方向に広がる円環板状である。出力フランジ部42は、後述する出力シャフト41のうちモータシャフト21aよりも下側に位置する部分から径方向外側に広がっている。出力フランジ部42は、例えば、後述する連結部41aの上側の端部から径方向外側に広がっている。
【0034】
出力フランジ部42は、出力フランジ部42を軸方向に貫通する複数の固定孔42aを有する。
図2に示すように、複数の固定孔42aは、モータ軸J1を囲んで配置されている。より詳細には、複数の固定孔42aは、モータ軸J1を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。固定孔42aは、例えば、8つ設けられている。固定孔42aの軸方向に沿って見た形状は、円形状である。
【0035】
図1に示すように、本実施形態において突出部43は、軸方向に延びる円柱状の部材である。各突出部43の下側部分は、例えば、各固定孔42a内に固定されている。各突出部43の上側部分は、固定孔42aよりも上側に位置する。これにより、複数の突出部43は、出力フランジ部42から外歯ギア31に向かって軸方向に突出している。
図2に示すように、複数の突出部43は、モータ軸J1を囲んで配置されている。複数の突出部43は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。突出部43は、例えば、8つ設けられている。
【0036】
図1に示すように、複数の突出部43は、複数の穴部31bのそれぞれに下側から挿入されている。突出部43のうち穴部31b内に挿入された部分の外径は、穴部31bの内径よりも小さい。突出部43の外周面は、穴部31bの内側面と内接している。複数の突出部43は、穴部31bの内側面を介して、外歯ギア31をモータ軸J1回りに揺動可能に支持している。
【0037】
出力部40は、電動アクチュエータ100の駆動力を出力する部分である。出力部40には、伝達機構30を介してモータシャフト21aの回転が伝達される。出力部40は、出力シャフト41と、出力フランジ部42と、を有する。つまり、電動アクチュエータ100は、出力シャフト41と、出力フランジ部42と、を備える。出力部40は、例えば、単一の部材である。
【0038】
出力シャフト41は、モータシャフト21aの軸方向に延びている。出力シャフト41は、モータシャフト21aと同軸に配置されている。つまり、出力シャフト41は、モータ軸J1を中心として回転可能である。出力シャフト41は、第1ベアリング51および第2ベアリング52によって回転可能に支持されている。出力シャフト41は、連結部41aと、延伸部41bと、を有する。
【0039】
連結部41aは、モータシャフト21aの下側に位置する。連結部41aの外径は、延伸部41bの外径よりも大きい。連結部41aは、例えば、孔部11eの内部に挿入されている。連結部41aの下側の端部は、例えば、出力シャフト41の下側の端部である。連結部41aの下側の端部は、例えば、孔部11eの下側の端部と同じ軸方向位置にある。連結部41aは、第1ベアリング51によってモータ軸J1回りに回転可能に支持されている。これにより、第1ベアリング51は、出力シャフト41のうちモータシャフト21aよりも下側に位置する部分を回転可能に支持している。
【0040】
連結部41aは、連結部41aの下側の端面から上側に窪む連結凹部41cを有する。連結凹部41cは、下側に開口し、ケース10の外部に露出している。連結凹部41cは、例えば、下側から見てモータ軸J1を中心とする円形状である。連結凹部41cの内周面には、スプライン溝が設けられている。連結凹部41cの内部には、下側から被駆動シャフトDSが挿入されて連結される。これにより、連結部41aには、被駆動シャフトDSが連結される。より詳細には、被駆動シャフトDSの外周面に設けられたスプライン部が、連結凹部41cの内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、出力シャフト41と被駆動シャフトDSとが連結される。被駆動シャフトDSには、出力シャフト41を介して電動アクチュエータ100の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ100は、被駆動シャフトDSをモータ軸J1回りに回転させる。
【0041】
延伸部41bは、連結部41aから上側に延びている。より詳細には、延伸部41bは、連結部41aの上側の端部における径方向の中央部から上側に延びている。延伸部41bは、例えば、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる円柱状である。延伸部41bの軸方向の寸法は、例えば、連結部41aの軸方向の寸法よりも大きい。延伸部41bは、中空シャフトであるモータシャフト21aの内部に通されている。これにより、出力シャフト41の少なくとも一部は、モータシャフト21aの内部に位置する。本実施形態では、出力シャフト41のうち延伸部41bの一部がモータシャフト21aの内部に位置する。
【0042】
延伸部41bは、モータシャフト21aの下側からモータシャフト21aの内部に挿入され、モータシャフト21aよりも上側に突出している。これにより、出力シャフト41は、モータシャフト21aよりも下側からモータシャフト21aの内部を通ってモータシャフト21aよりも上側まで延びている。延伸部41bは、内蓋13の孔部13a内および基板80の貫通孔80a内に軸方向に通されている。出力シャフト41のうちモータシャフト21aよりも上側に位置する部分は、例えば、第2収容部11bの内部に位置する。延伸部41bの上側の端部は、第2ベアリング52によってモータ軸J1回りに回転可能に支持されている。これにより、第2ベアリング52は、出力シャフト41のうちモータシャフト21aよりも上側に位置する部分を回転可能に支持している。
【0043】
延伸部41bの外径は、例えば、モータシャフト21aの内径よりも僅かに小さい。本実施形態において延伸部41bは、モータシャフト21aの内部に隙間嵌めされている。延伸部41bとモータシャフト21aとの径方向の隙間は、延伸部41bによってモータシャフト21aをモータ軸J1回りに回転可能に支持できる程度に小さい。このように本実施形態において出力シャフト41は、延伸部41bによって、モータシャフト21aを回転可能に支持している。出力シャフト41のうちモータシャフト21aの内部に位置する部分、つまり延伸部41bの一部の外周面とモータシャフト21aの内周面とは、径方向に対向しており、互いに接触可能である。モータシャフト21aの内周面の一部が出力シャフト41の外周面に接触することで、モータシャフト21aが径方向に支持される。出力シャフト41とモータシャフト21aとの径方向の隙間には、例えば、潤滑油が設けられていてもよい。
【0044】
延伸部41bのうちモータシャフト21aよりも上側に位置する部分には、第2被検出部45が固定されている。つまり、本実施形態において出力シャフト41のうちモータシャフト21aよりも上側に位置する部分には、第2被検出部45が設けられている。第2被検出部45は、第2回転センサ82によって回転が検出される部分である。本実施形態において第2被検出部45は、マグネットである。本実施形態において第2回転センサ82は、第2被検出部45の磁界を検出することで第2被検出部45の回転を検出し、出力シャフト41の回転を検出する。
【0045】
本実施形態において第2被検出部45は、取付部材44を介して出力シャフト41に取り付けられている。取付部材44は、固定筒部44aと、フランジ部44bと、を有する。固定筒部44aは、例えば、モータ軸J1を中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。固定筒部44aは、延伸部41bのうちモータシャフト21aよりも上側で第2ベアリング52よりも下側に位置する部分の外周面に嵌め合わされて固定されている。これにより、取付部材44は、出力シャフト41のうちモータシャフト21aよりも上側に位置する部分の外周面に固定されている。固定筒部44aは、モータシャフト21aと第2ベアリング52との軸方向の間に位置する。フランジ部44bは、固定筒部44aの上側の端部から径方向外側に広がっている。フランジ部44bは、例えば、モータ軸J1を中心とする円環状である。フランジ部44bの下側の面における径方向外縁部は、例えば、上側に窪んでいる。
【0046】
第2被検出部45は、例えば、モータ軸J1を中心とする円環状である。第2被検出部45は、フランジ部44bの下側の面における径方向外縁部に固定されている。第2被検出部45は、基板80の上側に位置する。第2被検出部45の内径および外径は、第1被検出部24の外径よりも大きい。第2被検出部45は、第1被検出部24よりも径方向外側に位置する。つまり、本実施形態において第1被検出部24と第2被検出部45とは、互いに径方向位置が異なっている。第2被検出部45の径方向外縁部は、第2回転センサ82の上側に対向して配置されている。本実施形態において第2回転センサ82と第2被検出部45とは、軸方向に見て互いに重なっている。第2回転センサ82および第2被検出部45は、軸方向に見て第1回転センサ81および第1被検出部24と重なっていない。第2被検出部45は、例えば、軸方向に見てロータ本体21bと重なっている。
【0047】
モータシャフト21aの下側の端部と連結部41aの上側の端部との間には、ワッシャ61が設けられている。モータシャフト21aの上側の端部と取付部材44の下側の端部との間には、ワッシャ62が設けられている。本実施形態において取付部材44の下側の端部は、固定筒部44aの下側の端部である。ワッシャ61およびワッシャ62は、例えば、モータ軸J1を中心とする円環状である。ワッシャ61およびワッシャ62は、例えば、板面が軸方向を向く板状である。ワッシャ61およびワッシャ62は、例えば、スリップワッシャである。
【0048】
ワッシャ61およびワッシャ62は、延伸部41bを囲んでいる。ワッシャ61の下側の面は、連結部41aの上側の面のうち延伸部41bの周縁部に接触している。ワッシャ61の上側の面は、モータシャフト21aの下側の端面に接触している。ワッシャ62の下側の面は、モータシャフト21aの上側の端面に接触している。ワッシャ62の上側の面は、取付部材44の下側の端面に接触している。
【0049】
仕切部材90は、ステータ22と伝達機構30との軸方向の間に位置する。仕切部材90は、モータ軸J1を囲んでいる。仕切部材90は、仕切部材本体91と、周縁壁部92と、を有する。仕切部材本体91は、例えば、モータ軸J1を中心とする円環状である。仕切部材本体91は、板面が軸方向を向く板状である。仕切部材本体91の径方向内縁部は、インシュレータ22bの径方向内縁部よりも径方向外側に位置する。周縁壁部92は、仕切部材本体91の径方向外縁部から上側に突出している。周縁壁部92は、例えば、モータ軸J1を中心とする円筒状である。周縁壁部92は、第1収容部11aの内周面に嵌め合わされて固定されている。周縁壁部92の上側の端部は、ステータコア22aの下側の端面における径方向外縁部に接触している。
【0050】
モータ20に電力が供給されてモータシャフト21aがモータ軸J1回りに回転されると、偏心軸部21dは、モータ軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部21dの公転は第3ベアリング53を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、穴部31bの内周面と突出部43の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア32の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア32に、外歯ギア31を介してモータシャフト21aの回転力が伝達される。
【0051】
ここで、本実施形態では、内歯ギア32はケース10に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア32に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21aの回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸J2回りの回転は、穴部31bと突出部43とを介して、出力フランジ部42に伝達される。これにより、出力シャフト41がモータ軸J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト41には、伝達機構30を介してモータシャフト21aの回転が伝達される。減速機構としての伝達機構30の構造が上述したような複数の突出部43を介して回転を伝達する構造となっていることで、モータシャフト21aの回転に対する出力シャフト41の回転の減速比を比較的大きくできる。そのため、出力シャフト41の回転トルクを比較的大きくできる。
【0052】
本実施形態によれば、モータシャフト21aは、中空シャフトであり、出力シャフト41の少なくとも一部は、モータシャフト21aの内部に位置する。出力シャフト41は、モータシャフト21aを回転可能に支持している。そのため、モータシャフト21aが出力シャフト41に対して径方向に倒れようとしても、モータシャフト21aが出力シャフト41によって支持される。これにより、モータシャフト21aが出力シャフト41に対して傾くことが抑制される。したがって、モータシャフト21aと出力シャフト41とが互いに傾くことを抑制できる。また、モータシャフト21aを出力シャフト41によって支持できるため、モータシャフト21aを回転可能に支持するベアリングを別途設ける必要がない。したがって、電動アクチュエータ100の部品点数を低減できる。
【0053】
また、本実施形態によれば、出力シャフト41のうちモータシャフト21aの内部に位置する部分の外周面とモータシャフト21aの内周面とは、径方向に対向しており、互いに接触可能である。そのため、モータシャフト21aが出力シャフト41に対して径方向に倒れようとしても、出力シャフト41の外周面によって、モータシャフト21aの内周面を直接的に支持することができる。これにより、モータシャフト21aを支持する面積を大きくしやすく、出力シャフト41によってモータシャフト21aをより安定して支持できる。したがって、モータシャフト21aと出力シャフト41とが互いに傾くことをより抑制できる。また、モータシャフト21aと出力シャフト41との径方向の間に他の部材が設けられる場合に比べて、電動アクチュエータ100の部品点数を低減できる。
【0054】
また、本実施形態によれば、出力シャフト41は、モータシャフト21aよりも下側からモータシャフト21aの内部を通ってモータシャフト21aよりも上側まで延びている。そのため、モータシャフト21aの内部における軸方向の全体に亘って出力シャフト41を配置できる。これにより、出力シャフト41によってモータシャフト21aをより好適に支持することができる。したがって、モータシャフト21aと出力シャフト41とが互いに傾くことをより抑制できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、出力シャフト41のうちモータシャフト21aよりも下側に位置する部分を回転可能に支持する第1ベアリング51と、出力シャフト41のうちモータシャフト21aよりも上側に位置する部分を回転可能に支持する第2ベアリング52と、が設けられている。そのため、出力シャフト41を安定して両持ち支持することができる。このように出力シャフト41が安定して支持されるため、出力シャフト41によって、モータシャフト21aをより好適に支持することができる。したがって、モータシャフト21aと出力シャフト41とが互いに傾くことをより抑制できる。
【0056】
また、出力シャフト41がモータシャフト21aに対して軸方向両側に突出しているため、出力シャフト41の軸方向両側を支持する第1ベアリング51および第2ベアリング52をケース10に保持させやすい。したがって、ケース10の構造が複雑化することを抑制でき、かつ、第1ベアリング51および第2ベアリング52の組み付けを容易にできる。このように、出力シャフト41を第1ベアリング51および第2ベアリング52によって支持し、出力シャフト41によってモータシャフト21aを支持する構造とすることで、例えばベアリングで支持されたモータシャフト21aによって出力シャフト41を支持する構造に比べて、電動アクチュエータ100の構造が複雑化することを抑制でき、かつ、電動アクチュエータ100の組み立てを容易にできる。
【0057】
また、本実施形態によれば、ケース10は、上側に開口するケース本体11と、ケース本体11に固定され、ケース本体11の上側の開口を塞ぐカバー12と、を有する。第1ベアリング51は、ケース本体11に保持され、第2ベアリング52は、カバー12に保持されている。つまり、ケース本体11の上側の開口を塞ぐカバー12を利用して、第2ベアリング52を保持することができる。そのため、第2ベアリング52を保持する部材を別途設ける場合に比べて、電動アクチュエータ100の部品点数を低減できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、基板80は、出力シャフト41のうち上側の部分が軸方向に通された貫通孔80aを有する。そのため、カバー12とモータ20との軸方向の間に基板80を配置しつつ、出力シャフト41の上側の端部をカバー12に保持された第2ベアリング52に保持させる構成を採用できる。また、基板80を径方向に大きくすることができる。そのため、基板80上に、インバータ回路、第1回転センサ81、第2回転センサ82、および図示しない他の電子部品などを配置する領域を確保しやすい。
【0059】
また、本実施形態によれば、モータシャフト21aのうちロータ本体21bよりも上側に位置する部分には、第1回転センサ81によって回転が検出される第1被検出部24が設けられている。出力シャフト41のうちモータシャフト21aよりも上側に位置する部分には、第2回転センサ82によって回転が検出される第2被検出部45が設けられている。そのため、第1回転センサ81および第2回転センサ82を共にケース10の内部における上側部分に配置できる。これにより、例えばケース10内において第1回転センサ81と第2回転センサ82とが軸方向の異なる側に配置される場合に比べて、第1回転センサ81および第2回転センサ82を組み付ける作業を容易にできる。具体的に本実施形態では、第1回転センサ81および第2回転センサ82を共に第2収容部11b内に配置できるため、例えば第2回転センサ82が第1収容部11a内に配置される場合に比べて、第2回転センサ82の配線を第1収容部11a内から第2収容部11b内の基板80まで通す必要がない。したがって、第1回転センサ81および第2回転センサ82を組み付ける作業に要する工数および時間を低減できる。また、例えばケース10に第1収容部11a内から第2収容部11b内へと配線を通すための構造を設ける場合に比べて、ケース10の構造が複雑化することを抑制できる。
【0060】
上記のように第1回転センサ81と第2回転センサ82とを軸方向の同じ側にまとめて配置できる構成は、モータシャフト21aを中空シャフトとし、出力シャフト41をモータシャフト21aの内部を貫通させてモータシャフト21aの上側まで突出させたことで可能となっている。つまり、モータシャフト21aの下側に連結される伝達機構30に接続された出力シャフト41の一部をモータシャフト21aの内部を介して、モータシャフト21aよりも上側まで延ばしたことで、第2被検出部45をモータシャフト21aよりも上側に設けることができ、かつ、第2被検出部45を検出する第2回転センサ82をケース10内の上側部分に配置できる。
【0061】
また、本実施形態によれば、第1回転センサ81および第2回転センサ82は、基板80に取り付けられている。そのため、第1回転センサ81および第2回転センサ82が取り付けられた基板80をケース10内に配置することで、第1回転センサ81と第2回転センサ82とをまとめてケース10内に配置することができる。これにより、第1回転センサ81および第2回転センサ82を組み付ける作業に要する工数および時間をより低減できる。
【0062】
また、本実施形態によれば、第1回転センサ81は、基板80の下側の面に取り付けられており、第2回転センサ82は、基板80の上側の面に取り付けられている。つまり、第1回転センサ81と第2回転センサ82とは、基板80の軸方向両側の面のうち互いに反対側の面にそれぞれ取り付けられている。そのため、基板80の同じ面に第1回転センサ81と第2回転センサ82とが取り付けられる場合に比べて、各回転センサを取り付ける領域を基板80上に確保しやすい。
【0063】
また、第2被検出部45が出力シャフト41のうちモータシャフト21aよりも上側に位置する部分に設けられるため、モータシャフト21aに設けられる第1被検出部24は、第2被検出部45よりも下側に配置されやすい。そのため、第1回転センサ81を基板80の下側の面に取り付け、第2回転センサ82を基板80の上側の面に取り付けることで、各回転センサを各被検出部にそれぞれ近づけて配置しやすい。これにより、各回転センサによって各被検出部の回転をより好適に検出できる。したがって、各回転センサによる各シャフトの回転検出精度を向上できる。
【0064】
また、本実施形態によれば、第1回転センサ81と第1被検出部24とは、軸方向に見て互いに重なり、第2回転センサ82と第2被検出部45とは、軸方向に見て互いに重なっている。そのため、第1回転センサ81と第1被検出部24とを軸方向に対向させて、第1回転センサ81によって第1被検出部24の回転をより検出しやすくできる。また、第2回転センサ82と第2被検出部45とを軸方向に対向させて、第2回転センサ82によって第2被検出部45の回転をより検出しやすくできる。したがって、各回転センサによる各シャフトの回転検出精度をより向上できる。
【0065】
また、第1回転センサ81と第2回転センサ82とは、互いに径方向位置が異なり、第1被検出部24と第2被検出部45とは、互いに径方向位置が異なっている。そのため、例えば本実施形態のように第1被検出部24および第2被検出部45がマグネットで第1回転センサ81および第2回転センサ82が磁気センサである場合に、他方の被検出部の磁界が他方のセンサに干渉することを抑制できる。これにより、各回転センサによって各被検出部の回転をより好適に検出できる。したがって、各回転センサによる各シャフトの回転検出精度をより向上できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、モータシャフト21aの下側の端部と連結部41aの上側の端部との間、およびモータシャフト21aの上側の端部と取付部材44の下側の端部との間には、ワッシャ61,62が設けられている。そのため、ワッシャ61,62によってモータシャフト21aを軸方向両側から押さえることができる。これにより、モータシャフト21aが出力シャフト41に対して軸方向にずれることを抑制できる。また、モータシャフト21aの軸方向両端部が出力シャフト41または取付部材44に直接的に接触する場合に比べて、モータシャフト21aと出力シャフト41との間およびモータシャフト21aと取付部材44との間における摩擦を小さくでき、モータシャフト21aと出力シャフト41とが滑らかに相対回転しやすくできる。特に、ワッシャ61,62をスリップワッシャとすることで、モータシャフト21aと出力シャフト41とをより滑らかに相対回転させやすくできる。
【0067】
また、本実施形態によれば、第1被検出部24および第2被検出部45は、マグネットである。第1回転センサ81および第2回転センサ82は、磁気センサである。そのため、第1被検出部24および第2被検出部45から生じる磁界を利用して、モータシャフト21aの回転および出力シャフト41の回転を好適に検出できる。また、上述したように、第1回転センサ81および第1被検出部24と、第2回転センサ82および第2被検出部45とを径方向にずらして配置することで得られる回転検出精度の向上効果を有用に得られる。
【0068】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および方法を採用することもできる。モータシャフトは、出力シャフトを回転可能に支持していてもよい。この場合であっても、モータシャフトと出力シャフトとが互いに傾くことを抑制できる。また、この場合、モータシャフトはベアリングによって支持され、出力シャフトはベアリングによっては支持されていなくてもよい。出力シャフトは、モータシャフトよりも軸方向他方側(上側)に延びていなくてもよい。出力シャフト全体がモータシャフトの内部に位置してもよい。モータシャフトの内周面と出力シャフトの外周面との間には、他の部材が設けられてもよい。この場合、モータシャフトと出力シャフトとのうちの一方は、当該他の部材を介して、モータシャフトと出力シャフトとのうちの他方を回転可能に支持してもよい。また、この場合、当該他の部材は、ボールベアリング、ニードルベアリング、滑り軸受などのベアリングであってもよい。第1ベアリングの種類、第2ベアリングの種類、および第3ベアリングの種類は、特に限定されない。第2ベアリングは、カバーに保持されていなくてもよい。
【0069】
第1被検出部は、第1回転センサによって回転が検出されるならば、どのような部分であってもよい。第1回転センサは、第1被検出部の回転を検出することでモータシャフトの回転を検出できるならば、どのようなセンサであってもよい。第2被検出部は、第2回転センサによって回転が検出されるならば、どのような部分であってもよい。第2回転センサは、第2被検出部の回転を検出することで出力シャフトの回転を検出できるならば、どのようなセンサであってもよい。第1被検出部は、モータシャフトの一部であってもよい。第2被検出部は、出力シャフトの一部であってもよい。第1回転センサおよび第2回転センサは、光学式のセンサであってもよい。第1回転センサがレゾルバステータで第1被検出部がレゾルバロータであってもよい。第2回転センサがレゾルバステータで第2被検出部がレゾルバロータであってもよい。第1回転センサおよび第2回転センサは、ホール素子以外の磁気センサであってもよい。第1回転センサおよび第2回転センサは、磁気抵抗効果素子であってもよい。
【0070】
第1回転センサが基板の軸方向他方側(上側)に取り付けられ、第2回転センサが基板の軸方向一方側(下側)に取り付けられてもよい。第1回転センサと第2回転センサとは、別々の部材に取り付けられてもよい。第1回転センサと第2回転センサとは、ケース内において軸方向の異なる側に配置されてもよい。第1回転センサおよび第2回転センサは、設けられなくてもよい。モータシャフトと連結部との間、およびモータシャフトと取付部材との間には、ワッシャが設けられていなくてもよい。
【0071】
伝達機構は、モータシャフトの回転を出力シャフトに伝達できるならば、特に限定されない。伝達機構は、増速機構であってもよいし、モータシャフトの回転を変速しない機構であってもよい。伝達機構が減速機構である場合、減速機構の構造は、特に限定されない。複数の突出部は外歯ギアに設けられ、複数の穴部は出力フランジ部に設けられてもよい。この場合、突出部は、外歯ギアから出力フランジ部に向かって突出し、穴部に挿入される。
【0072】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0073】
10…ケース、11…ケース本体、12…カバー、20…モータ、21…ロータ、21a…モータシャフト、21b…ロータ本体、21d…偏心軸部、24…第1被検出部、30…伝達機構、31…外歯ギア、31b…穴部、32…内歯ギア、41…出力シャフト、41a…連結部、41b…延伸部、42…出力フランジ部、43…突出部、44…取付部材、45…第2被検出部、51…第1ベアリング、52…第2ベアリング、53…第3ベアリング(ベアリング)、61,62…ワッシャ、81…第1回転センサ、82…第2回転センサ、100…電動アクチュエータ、DS…被駆動シャフト、J1…モータ軸、J2…偏心軸