▶ 株式会社みづほ合成工業所の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056531
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】機器固定具
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20220404BHJP
G10H 1/32 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H05K5/02 E
G10H1/32 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164329
(22)【出願日】2020-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】510283373
【氏名又は名称】株式会社みづほ合成工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100189876
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 将晴
(72)【発明者】
【氏名】後藤 敏公
【テーマコード(参考)】
4E360
5D478
【Fターム(参考)】
4E360AC12
4E360BC05
4E360BD05
4E360EA05
4E360EA11
4E360EA22
4E360EB02
4E360EB03
4E360EC04
4E360EC12
4E360ED02
4E360ED17
4E360ED23
4E360EE15
4E360GA06
4E360GB11
4E360GB25
4E360GB45
4E360GB46
4E360GC02
4E360GC08
4E360GC12
4E360GC14
5D478JJ11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大きさ規格が統一されておらず、少数しか生産されていない機器で、床・壁に固定させる固定部を有していない機器であっても、低い製造コストで製造できる簡単な構造とし、床・壁等の所望の位置に強固に固定させることができると共に機器の表面の表示が確認しやすい機器固定具を提供すること。
【解決手段】床・壁等への固定部を有していない機器を固定させるに適した機器固定具であって、多様な大きさの機器にも適用できる簡単な構造の機器固定具とさせた。基台部材は簡単に製造でき、基台部材以外は共通して使用させる機器固定構造とさせた。これにより、大きさ規格が統一されておらず、少数しか生産されていない機器にも、低い製造コストで対応できるようにした。更に、機器の天面に架けられる装着帯体を、光透過性を有する弾性体とさせ、装着帯体を外さなくても機器の表面の表示を確認しやすくさせた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部を有していない機器を固定させるに適した機器固定手段において、
前記機器を装着させる基台部材と、装着帯体と、前記基台部材を支える脚部材とを含み、前記基台部材と前記脚部材とが脱着可能とされた機器固定手段であって、
前記基台部材が、前記機器に適合された大きさとされ、前記機器を装着させる装着面を有し、前記装着面と交差する方向に延びる支持部材と一体をなすと共に、前記装着面とは反対側の面に筋状に延びる溝部を備え、
前記脚部材が、平板部の天面から突出された脚部を備え、
前記装着帯体が、光透過性を有する弾性体からなると共に、長く延びた夫々の端部に挿嵌部材を備え、
前記機器が、前記脚部材から分離された基台部材と前記支持部材とに支えられて載置され、引き延ばされた前記装着帯体が前記機器の天面に架けられてから、前記基台部材の底面の前記溝部に夫々の前記挿嵌部材が挿嵌され、前記基台部材に付勢されるように装着された状態で、
前記基台部材が前記脚部に装着され、被固定部に固定された前記平板部の天面と前記基台部材との間に隙間があけられて前記機器が固定される、
ことを特徴とする機器固定手段。
【請求項2】
前記装着帯体が、幅が高さよりも大きい偏平体とされ、
前記挿嵌部材の幅が、前記装着帯体よりも広く、
前記装着帯体が捻じれにくく、前記挿嵌部材が位置ずれしにくい、
ことを特徴とする請求項1に記載の機器固定手段。
【請求項3】
前記装着面とは反対側の面において、前記溝部に沿って外方が削除され、
前記溝部に前記挿嵌部材が挿嵌された状態で、前記脚部材に面した装着帯体及び挿嵌部材の全ての部分が、前記反対側の面の平坦部からはみ出ない、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の機器固定手段。
【請求項4】
前記脚部材が、前記脚部の高さが異なる複数の脚部材から選択可能とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の機器固定手段。
【請求項5】
前記基台部材が、矩形をなす平板体と、前記平板体に装着される支持部材とからなり、
前記平板体の形状が、前記溝部に前記挿嵌部材を挿嵌させた状態で、前記機器の三方に前記装着帯体が架けられて、側方を前記支持部材により支えられるに適した形状とされ、
前記支持部材が前記平板体の四隅部に装着されて前記基台部材と一体化されて前記機器の側部を支えると共に、前記装着帯体が前記機器の三方に密着して前記機器を支える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の機器固定手段。
【請求項6】
前記基台部材が、前記機器を装着させる第1基台と、前記脚部材に装着させる第2基台とに分離可能とされ、
第1基台が、矩形をなす平板体と、前記平板体に装着される支持部材とからなり、
第1基台の形状が、前記溝部に前記挿嵌部材を挿嵌させた状態で、前記機器の三方に前記装着帯体が架けられて、側方を前記支持部材により支えられるに適した形状とされ、
前記溝部が、第1基台又は第2基台の少なくともいずれかの前記装着面とは反対側の面に備えられ、
前記支持部材が前記平板体の四隅部に装着されて第1基台と一体化されて前記機器の側部を支えると共に、前記装着帯体が前記機器の三方に密着して前記機器を支える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の機器固定手段。
【請求項7】
第2基台と支持部材とが夫々単一の形状とされると共に、前記脚部材が脚部の高さが異なる複数の脚部材から選択可能とされ、
第2基台が前記脚部材に脱着可能とされ、
第1基台が第2基台に固定されて前記基台部材をなし、前記基台部材に前記機器が装着された状態で、第2基台が前記脚部材に装着されて前記機器が固定される、
ことを特徴とする請求項6に記載の機器固定手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床・壁に固定させる固定部を備えていない機器を、所望の位置に固定させる機器固定手段に関する。具体的には、例えば電気楽器のエフェクター機器、ノートパソコンの電源アダプタ、ハンディホンの充電基台、通信ネットワークの中継ルータ等を始め、床・壁に固定させる固定部を備えていない機器を、機器本体を傷つけないで所望の位置に固定させる機器固定手段に関する。
【0002】
これらの固定部を備えていない機器は、使われる場所の近くで固定されないで使用されていることが多い。一方、これらの機器の表面には機器を機能させるための機能表示がされていることもある。例えばエフェクター機器の表面の操作部の近くには、機能・効果が表示され、中継ルータの表面にはSSIDや暗号キーが表示され、機器を固定させた状態であっても、機器の表示が視認可能であることが必要とされている。
【背景技術】
【0003】
これらの固定部を備えていない機器の中でも、使用する際に固定されていないと支障がでやすいエフェクター機器については、本願の出願人による特許文献1又は特許文献2に記載のエフェクター機器固定手段の技術により、エフェクター機器をエフェクターボードに整然と固定することが可能とされている。
【0004】
特許文献1には、予めエフェクター機器の大きさに適合するように製造させた金型に、樹脂を射出成型させて形成させたエフェクター固定具の技術が開示されている。この技術によれば、四隅部に形成させた立設部がエフェクター機器の隅部の側面を囲んでいるため、エフェクター機器を強固に固定することができた。しかし、汎用されている大きさのエフェクター機器には低コストで固定具を供給することができたが、射出成型用の金型が必要であるため、汎用されていない大きさの少数のエフェクター機器には適用しにくいという課題があった。
【0005】
この技術によれば、固定具の両縁部に形成させた爪に紐を架け渡して、機器を上方から架けてゆるまないように固定し、又は、爪から紐を外して機器を取外して機器を交換することができるようにされていた。しかし、エフェクター機器の操作部の近くに表示されている機能・効果等の表示が、紐や紐の付属部品により隠れて見えにくくなることがあるという課題があった。
【0006】
特許文献2には、エフェクター機器の底面を支えるエフェクター固定台の枠体下部に、エフェクター機器の筐体の下方を強く支持させて、エフェクター機器を固定させるエフェクター固定台の技術が開示されている。エフェクター機器の筐体は、ダイキャストされた筐体が引き抜かれて製造されるため、筐体の上方が窄まるように、約1度で傾斜された形状とされている。
【0007】
特許文献2に記載のエフェクター機器固定台は、エフェクター機器の筐体の下方を支える固定台の枠体下部の立上部の内面を、僅かに内側に傾くように形成させていた。僅かに内方に傾斜させた立上部の内面により、エフェクター機器の筐体の下縁部を保持させることにより、周囲に架けられて固定させる紐が省かれていても、エフェクター機器が強固に固定されていた。
【0008】
しかし、特許文献2に記載の技術によっても、エフェクター機器を支える底板に立設部が必要であるため、多様な形状のエフェクター機器に適合させるためには、夫々の機器に応じた形状の底板を製造させる必要があるという課題があった
【0009】
これらの文献に記載の機器固定手段にしても、汎用されている大きさのエフェクター機器以外を固定させるためには、その機器の周囲を支える立設部を有する3次元構造体を3Dプリンタにより成型させる等する必要があり、設計から製造するまでに手間がかかり、汎用されている数種類の大きさの機器以外には対応しにくいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開2012-053266号公報
【特許文献2】国際公開2018-083730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本願の発明者は、大きさ規格が統一されておらず、少数しか生産されていない機器で、床・壁に固定させる固定部を有していない機器であっても、製造コストが高くならない簡単な構造とし、床・壁等の所望の位置に強固に固定させることができると共に機器の表面の表示が視認しやすい機器固定手段を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の発明は、固定部を有していない機器を固定させるに適した機器固定手段において、前記機器を装着させる基台部材と、装着帯体と、前記基台部材を支える脚部材とを含み、前記基台部材と前記脚部材とが脱着可能とされた機器固定手段であって、前記基台部材が、前記機器に適合された大きさとされ、前記機器を装着させる装着面を有し、前記装着面と交差する方向に延びる支持部材と一体をなすと共に、前記装着面とは反対側の面に筋状に延びる溝部を備え、前記脚部材が、平板部の天面から突出された脚部を備え、前記装着帯体が、光透過性を有する弾性体からなると共に、長く延びた夫々の端部に挿嵌部材を備え、前記機器が、前記脚部材から分離された基台部材と前記支持部材とに支えられて載置され、引き延ばされた前記装着帯体が前記機器の天面に架けられてから、前記基台部材の底面の前記溝部に夫々の前記挿嵌部材が挿嵌され、前記基台部材に付勢されるように装着された状態で、前記基台部材が前記脚部に装着され、被固定部に固定された前記平板部の天面と前記基台部材との間に隙間があけられて前記機器が固定されることを特徴としている。
【0013】
固定部を有していない機器とは、電気楽器のエフェクター機器、パソコンの電源アダプタ、ハンディホンの充電基台等の電気機器であると好適であるが限定されない。固定部を有していても固定状態が弱くなりやすい無線ルータ等であってもよい。機器固定手段は、床、壁、エフェクターボード等の被固定部に応じた固定方法、例えばビス止め、接着、面ファスナ等により固定されればよい。
【0014】
基台部材が機器に適合した大きさとは、基台部材が機器と同じ又は機器より大きければよい。基台部材は単一の部材であってもよく、複数の部材が組み立てられて一体とされてもよい。機器は、基台部材と支持部材とに挟まれて支えられると好適であるが、機器の外面が湾曲している場合や機器が基台部材よりも小さい場合には、機器と支持部材との隙間に調整部材を詰めて、位置ずれしないように支えるようにすればよい。
【0015】
装着帯体が、光透過性を有する弾性体からなり、引き延ばされて薄くなった装着帯体が機器の天面に架けられて、その端部の挿嵌部材が基台の底面に筋状に延びた溝部に挿嵌され、機器を基台部材に付勢させて固定させる。溝部が筋状に延びているため、機器の操作表示部等が隠れない位置に装着帯体を装着させ、機器を基台部材に均等に付勢させる。装着帯体の本数、筋状に延びる溝部の本数は限定されないが、機器をバランスよく支えるためには夫々複数であり、溝部が複数である場合には溝部が平行に配置されていると好適である。
【0016】
機器が付勢されて固定されることにより、機器固定手段の装着面が垂直にされた状態であっても、水平にされた状態であっても、機器は位置ずれしない状態で基台部材に強固に固定される。また、装着帯体が、引き延ばされて薄くなるため、機器の表面に表示されている機能・効果の表示、暗号キー等が、機器を外さなくても確認できるという効果を奏する。また、基台部材と脚部材の間に隙間があけられた状態とされるため、機器が電気機器である場合に、配線ケーブル等を隙間に格納することができ、機器及びケーブル等が散乱した状態とならない。
【0017】
本発明の第2の発明は、第1の発明の機器固定手段において、前記装着帯体が、幅が高さよりも大きい偏平体とされ、前記挿嵌部材の幅が、前記装着帯体よりも広く、前記装着帯体が捻じれにくく、前記挿嵌部材が位置ずれしにくいことを特徴としている。扁平体の扁平の程度は限定されないが、引き伸ばされて薄くなる扁平の程度であると好適である。
【0018】
第2の発明によれば、挿嵌部材の幅が装着帯体よりも広いため、溝部に挿嵌させた挿嵌部材が捻転しにくく位置ずれしにくいことに加えて、装着帯体が引き延ばされて薄くなり光透過性が向上され、操作表示などがより視認しやすくなるという効果を奏する。
【0019】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の機器固定手段において、前記装着面とは反対側の面において、前記溝部に沿って外方が削除され、前記溝部に前記挿嵌部材が挿嵌された状態で、前記脚部材に面した装着帯体及び挿嵌部材の全ての部分が、前記反対側の面の平坦部からはみ出ないことを特徴としている。
【0020】
第3の発明によれば、装着帯体及び挿嵌部材の全ての部分が、前記基台部材の底面の平坦部からはみ出ないため、機器を固定させる過程で、基台部材を水平な机の上に仮置きしても、装着帯体及び挿嵌部材がゆるみ又は損傷されることがないという効果を奏する。
【0021】
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明の機器固定手段において、前記脚部材が、前記脚部の高さが異なる複数の脚部材から選択可能とされていることを特徴としている。脚部材の高さは、隙間に通す配線ケーブルの太さ、長さに応じて選択されればよい。第4の発明によれば、固定させる機器が汎用品であるか否かにかかわらず、脚部材の形状・大きさが予め脚部の高さが異なる複数に限定され、その中から選択されて使用されるため量産に適し、低い製造コストで対応することができるという効果を奏する。
【0022】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の機器固定手段において、前記基台部材が、矩形をなす平板体と、前記平板体に装着される支持部材とからなり、前記平板体の形状が、前記溝部に前記挿嵌部材を挿嵌させた状態で、前記機器の三方に前記装着帯体が架けられて、側方を前記支持部材により支えられるに適した形状とされ、前記支持部材が前記平板体の四隅部に装着されて前記基台部材と一体化されて前記機器の側部を支えると共に、前記装着帯体が前記機器の三方に密着して前記機器を支えることを特徴としている。
【0023】
基台部材が、矩形をなす平板体とされているため、機器が汎用品でない機器であっても、矩形をなす機器である場合には、溝部等の削り出し加工が容易であり、製造が容易である。平板体の形状は隅部に張出部が形成されていると支持部材の装着孔を形成させることが容易であるが、張出部が形成されていなくても支持部材の装着部を有していればよい。溝部に挿嵌部材を挿嵌させた状態で、装着帯体が機器の三方に密着した状態とされ、支持部材が機器の側部を支える形状であればよい。
【0024】
第5の発明によれば、機器が汎用品でない機器であっても、基台部材の製造が容易であると共に、装着帯体が機器の三方に密着して機器を基台部材に付勢させ、機器が基台部材に強固に装着され、支持部材が機器の側方を支えるため機器が基台部材からずれないという効果を奏する。
【0025】
本発明の第6の発明は、第1から第4の発明の機器固定手段において、前記基台部材が、前記機器を装着させる第1基台と、前記脚部材に装着させる第2基台とに分離可能とされ、第1基台が、矩形をなす平板体と、前記平板体に装着される支持部材とからなり、第1基台の形状が、前記溝部に前記挿嵌部材を挿嵌させた状態で、前記機器の三方に前記装着帯体が架けられて、側方を前記支持部材により支えられるに適した形状とされ、前記溝部が、第1基台又は第2基台の少なくともいずれかの前記装着面とは反対側の面に備えられ、前記支持部材が前記平板体の四隅部に装着されて第1基台と一体化されて前記機器の側部を支えると共に、前記装着帯体が前記機器の三方に密着して前記機器を支えることを特徴としている。
【0026】
第6の発明によれば、基台部材を第1基台と第2基台とに分離可能とさせているため、機器が特殊な形状であっても、機器に接する第1基台だけを平板体から削り出し、第2基台は予め準備されている単一の形状の部材とすればよい。機器が汎用品でない機器であっても、第1基台に接する部分が矩形をなす機器である場合には、矩形をなす平板体から溝部等の削り出し加工をすることが容易である。
【0027】
溝部は、第1基台と第2基台の夫々に設けてもよい。第2基台に溝部を形成しておけば、第1基台に溝部を形成させる必要がなくなり、第1基台の製造加工を簡単にすることができる。第1基台の縁部の近くに溝部を形成しておけば、装着帯体を短くすることができ、より強固に機器を固定することができる。第1基台を平板体から削り出せばよいだけであるため、機器が汎用機器の大きさを外れた大きさであっても、対応が容易であるという効果を奏する。
【0028】
本発明の第7の発明は、第6の発明の機器固定手段において、第2基台と支持部材とが夫々単一の形状とされると共に、前記脚部材が脚部の高さが異なる複数の脚部材から選択可能とされ、第2基台が前記脚部材に脱着可能とされ、第1基台が第2基台に固定されて前記基台部材をなし、前記基台部材に前記機器が装着された状態で、第2基台が前記脚部材に装着されて前記機器が固定されることを特徴としている。
【0029】
第7の発明によれば、第2基台と脚部材と支持部材は、機器の大きさに限らず量産が可能であり、汎用品でない機器であっても第1基台だけを平板体から削り出して適合させればよい。第2基台、脚部材、支持部材は、予め製造させた金型を使って量産することができ、量産部材の使用割合を高めることができるため、機器の形状にかかわらず容易に適用することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0030】
・第1の発明の機器固定手段によれば、機器が付勢されて固定されることにより、機器固定手段の装着面が垂直にされた状態であっても、水平にされた状態であっても、機器は位置ずれしない状態で基台部材に強固に固定される。また、装着帯体が、引き延ばされて薄くなるため、機器の表面に表示されている機能・効果の表示、暗号キー等が、機器を外さなくても確認できるという効果を奏する。
・第2の発明の機器固定手段によれば、溝部に挿嵌させた挿嵌部材が捻転しにくく位置ずれしにくいことに加えて、装着帯体が引き延ばされて薄くなり光透過性が向上され、操作表示などがより視認しやすくなるという効果を奏する。
・第3の発明の機器固定手段によれば、装着帯体及び挿嵌部材の全ての部分が、基台部材の底面の平坦部からはみ出ないため、機器を固定させる過程で、基台部材を水平な机の上に仮置きしても、装着帯体及び挿嵌部材がゆるみ又は損傷されることがないという効果を奏する。
【0031】
・第4の発明の機器固定手段によれば、固定させる機器が汎用品であるか否かにかかわらず、脚部材の形状・大きさが予め脚部の高さが異なる複数に限定され、その中から選択されて使用されるため、量産に適し、低い製造コストで対応することができるという効果を奏する。
・第5の発明の機器固定手段によれば、機器が汎用品でない機器であっても、基台部材の製造が容易であると共に、装着帯体が機器の三方に密着して機器を基台部材に付勢させ、機器が基台部材に強固に装着され、支持部材が機器の側方を支えるため機器が基台部材からずれないという効果を奏する。
・第6の発明の機器固定手段によれば、機器に接する第1基台だけを平板体から削り出し、第2基台は予め準備されている単一の形状の部材とすればよいという効果を奏する。
・第7の発明の機器固定手段によれば、第2基台、脚部材、支持部材は、予め製造させた金型を使って量産することができ、量産部材の使用割合を高めることができるため、機器の形状にかかわらず容易に適用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】エフェクター機器の機器固定手段の説明図(実施例1)
【
図2】基台部材と脚部材の装着の説明図(実施例1)。
【
図8】電源アダプタ・中継ルータを適用させた具体例の説明図(実施例5)。
【発明を実施するための形態】
【0033】
床・壁等への固定部を有していない機器を固定させるに適した機器固定手段であって、多様な大きさの機器にも適用できる簡単な構造の機器固定手段とさせた。基台部材は簡単に製造でき、基台部材以外は共通して使用させる機器固定構造とさせた。これにより、規格が統一されておらず、少数しか生産されていない機器にも、低い製造コストで対応できるようにした。
【0034】
実施例1においては、汎用されている大きさのエフェクター機器を固定させる例を説明し、実施例2においては、少数しか生産されていない汎用機器以外の機器を固定させる例を説明する。実施例3においては、第1基台と支持部材の他の例を説明する。
【0035】
実施例4においては、一体式の基台部材により機器を固定させる例を説明し、実施例5においては、ノートパソコンの電源アダプタ、通信ネットワークの中継ルータに使用する具体例を説明している。以下の実施例においては、装着帯体が架けられる方向を機器の左右方向とし、装着帯体に交差する方向を機器の前後方向として説明している。
【実施例0036】
実施例1においては、第1基台と第2基台とに分離可能な基台部材により機器を固定させる機器固定手段1を、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、エフェクター機器の機器固定手段の斜視図を示している。
図2は、基台部材と脚部材の装着を、基台部材の底面側から看た説明図を示している。
図3は、第2基台の説明図を示している。
図2においては、エフェクター機器の輪郭のみを破線で示している。
図3においては、第2基台に装着された塞ぎ板の想像線と脚部材とを破線で示している。
【0037】
機器固定手段1は、固定部を有していない機器を装着させる基台部材10と、光透過性を有する弾性体からなる装着帯体20と、基台部材を支える脚部材30とを備えている。実施例1においては、前記機器が足先で踏み込まれて操作される音響用のエフェクター機器100とされる例を説明する。
【0038】
エフェクター機器100は、汎用されている大きさの機器であり、底面101が前後方向に長い矩形形状をなしている。エフェクター機器の天面102には、演奏音質を予め設定させておく複数のダイヤルスイッチ103と、音響効果を変化させるペダルスイッチ104とが備えられる。ダイヤルスイッチとペダルスイッチとの間の平坦面105には、各ダイヤルスイッチの機能・効果の表示106がされ、エフェクター機器の側面107には、配線ケーブル108が接続される接続部109が備えられている。
【0039】
基台部材10は、機器を装着させる平坦な装着面11を有する第1基台40と、脚部材30に装着させる第2基台50とに分離可能とされ、互いがネジ200により一体とされる。第1基台40の第1の加工として、平板体が機器の底面101の大きさに適合されるように切り出し加工される。
【0040】
より具体的には、装着面11をなす中央の平坦部41が、エフェクター機器の底面101の大きさに適合された矩形形状をなし、装着面11をなす四方の角隅部のみがエフェクター機器の底面101の周縁よりも外方に突き出された突出部42をなすように切り出し加工されている。第1基台40を切り出し加工させる平板体は、加工が容易な樹脂板が好適であるが、木板、金属板であってもよく限定されない。
【0041】
第1基台40の第2の加工として、突出部42に支持部材装着孔43と、第1基台の底面44側に前記ネジが螺合される4つの雌ネジ穴45とを穴開け加工させている。支持部材装着孔43は、第1基台に装着された8つの支持部材60が、機器の四方の角隅部をなす隣り合う側面をそれぞれ支えるように、各々の突出部42に2つずつ備えられている。第1基台の任意の加工として、突出部の底面側46を切削加工により削除させて板厚を薄くさせている(
図2参照)。そのため、支持部材60を第1基台40と一体とさせたときに、支持部材60の下方側先端部61が第1基台の底面44よりも下方に突出されない。
【0042】
第1基台40の加工は、平板体の切り出し加工と、穴開け加工と、任意の加工である底面側の切削加工だけであるため、射出成型用の金型も不要であり、3Dプリンタにより製造させる必要もない。これにより、大きさに統一規格がない機器にも適用できる汎用性の高い機器固定手段を、低い製造コストで製造することができる。
【0043】
また、第1基台は隣り合う突出部42,42の間が切り欠かれて、中央の平坦部41と機器の底面101とが略同一の大きさとされるため、機器の天面102だけでなく左右の側面107を含めた三方に装着帯体を密着させて機器を支えることができる(
図2参照)。これにより、エフェクター機器100のように、足で操作されてずれやすい機器であっても、装着帯体20が捻じれにくく、機器を強固に固定することができる。突出部42,42の間が切り欠かれているため、配線ケーブル108の端子と第1基台の側面107とが接触されず、脚部材30と基台部材10との隙間に通した配線ケーブル108を機器に接続させやすい(
図1参照)。
【0044】
第1基台40と一体とされる支持部材60は、四方の突出部42の支持部材装着孔43に夫々装着され、機器の角隅部をなす隣り合う側面のいずれかを支持面62により支えて、機器が装着面11に沿ってずれないようにさせている(
図1、
図2参照)。各々の支持部材60は、下端から上方に向けて延びる切欠部63により下方側が二つに分岐され、その先端部に前記支持面62に沿って反対方向に延びた爪部64,64を備えている。前記支持面62の反対の面には、前記爪部64よりも上方位置に、爪部と交差する方向に延びる凸部65が備えられている。
【0045】
支持部材60を第1基台40に一体にさせるときには、切欠部63を狭めて、両側の爪部64,64を支持部材装着孔43に挿通させる。爪部64を支持部材装着孔43に通して切欠部63を広げると、両側の爪部64,64と前記凸部65とが支持部材装着孔43の上下の周縁部に引っ掛かり、第1基台40と支持部材60とが一体とされる(
図2参照)。支持部材60は、機器の大きさに係わらず共通して使用できるため、樹脂を射出成型させて量産させるとよい。
【0046】
第2基台50は、装着面11と反対側の面をなす底面51に、装着帯体20の挿嵌部材21を挿嵌させる一対の溝部52,52を備えている(
図2参照)。一対の溝部52、52は、機器の前後方向に沿って平行に延びている。第2基台の底面は、一対の溝部52に沿って外方が削除され、平坦部よりも板厚が薄くされた薄肉部53とされている(
図3(A)図参照)。第2基台50は、機器の大きさに係わらず共通して使用できるため、樹脂を射出成型させて量産させるとよい。
【0047】
また第2基台50は、基台部材10を脚部材20に着脱自在に装着させる装着手段を備えている。実施例1においては、装着手段は、脚部材30をなす各々の脚部31の頭部32を嵌合させる陥没穴54と、陥没穴の一部を閉鎖させる塞ぎ板70とされている(
図2、
図3参照)。それぞれの陥没部54の底部には、第2基台50を第1基台40に固定させるネジ200を挿通させる貫通孔55が備えられている(
図1,
図3参照)。装着手段の形態については、基台部材と脚部材との装着の説明と合わせて後述する。
【0048】
装着帯体20は、光透過性を有する弾性体とされ、長く伸びた夫々の端部に挿嵌部材21,21を備え、幅が高さよりも大きい偏平体とされる。挿嵌部材21の幅が、装着帯体をなす弾性体22よりも広く、第2基台の溝部52に挿嵌させた挿嵌部材21が捻転しにくく位置ずれしにくくされている。弾性体の材質は、光透過性を有するシリコン樹脂、エラストマー等であればよく限定されない。挿嵌部材21は、弾性体22の端部に加締め固定し偏平とさせた金属製の環体であってもよく、弾性体の端部に一体成型させた硬質樹脂であってもよく限定されない。
【0049】
エフェクター機器100を基台部材10に装着させるときには、まず支持部材60と一体とされた基台部材の装着面11にエフェクター機器を載置させて、機器の底面と四方の角隅部を支えさせる(
図1,
図2参照)。この状態から、装着帯体20の一方の挿嵌部材21を第2基台の溝部51に挿嵌させて、弾性体22をエフェクター機器の左右の側面107と、エフェクター機器の天面をなす平坦部105に沿って引き延ばし、他方の挿嵌部材21を溝部に挿嵌させる(
図2参照)。そうすると、装着帯体20が収縮されて機器の三方に密着されると共に、機器が基台部材10に向けて付勢される。
【0050】
装着帯体20は、挿嵌部材21の高さが溝部51の深さよりも短くされると共に、弾性体22の厚さが溝部51から外方の削除された部分の高さよりも薄くされている(
図2参照)。これにより、機器が基台部材10に装着された状態において、脚部材30に面した装着帯体20及び挿嵌部材21の全ての部分が、装着面の反対側の面の平坦部、すなわち第2基台の底面51からはみ出ないようにされている。また、弾性体が光透過性を有すると共に、引き伸ばされて薄くなっているため、装着帯体20を基台部材10に装着させたままであっても、各ダイヤルスイッチの機能・効果の表示106(
図1参照)を視認することができる。
【0051】
脚部材30は、機器の前後方向に長く伸びた平板部33と、平板部の天面から突出された脚部31を備えている(
図1参照)。各々の脚部31は、頭部32が平板部33の内方側に向けて側方に張り出した水平張出部34を有する略円柱形状とされると共に、第2基台の陥没穴54に嵌合される大きさとされている。頭部32の天面には、第2基台50を第1基台40に固定させるネジ200の頭部よりも大きい穴35があけられ、ネジ200に干渉しないようにされている。脚部材30をなす脚部31の高さは、隙間に通す配線ケーブルの太さ、長さに応じて選択されればよい(
図2,
図4参照)。
【0052】
また平板部33の脚部よりも内側には、前後方向に並んだ3つの係止孔36と、その周囲を囲む突起部37とが、間隔をあけて前後に2つ並んで備えられている。脚部材を被固定部に固定させる方法は限定されず、例えば被固定部に釘止め可能な場合には係止孔から釘を打ち込んで固定させればよい(
図8(B)図参照)。被固定部が筋状に延びるスライドレール210の場合には、脚部材30をスライドレール210の表側にあてがって、前記係止孔36からボルト211を挿通させ、スライドレールの裏側に配置されたナット212に螺合させて固定させればよい(
図2参照)。なお、脚部材30と被固定部とは係止孔を使わずに、面ファスナ・接着・磁石等によって固定させてもよい。
【0053】
係止孔36が突起部37に囲まれているため、配線ケーブルの余剰部分110を束ねて基台部材10と平板部33との隙間に収容させたときに(
図1,
図8(A)図参照)、配線ケーブルが前記ボルト・釘の頭部に擦れにくく、配線ケーブルの絶縁被覆を傷つけにくい。脚部材30は、機器の大きさに係わらず共通して使用できるため、樹脂を射出成型させて量産させるとよい。
【0054】
次に、基台部材10と脚部材30との装着手段について、
図2及び
図3を参照して詳細に説明する。
図3(A)図は、第2基台の底面図を示し、
図3(B)図は塞ぎ板の底面図を示している。
図3(C)図は、脚部材の頭部を陥没穴に嵌合させる状態の底面図を示し、
図3(D)図は、塞ぎ板により陥没穴の一部を閉じた状態の底面図を示している。
図3(E)図は、
図3(D)図のA-A位置の断面図を示している。
【0055】
装着手段は、脚部材の頭部32を嵌合させる陥没穴54と、陥没穴の一部を閉じる塞ぎ板70とされる(
図2、
図3参照)。陥没穴54は、第2基台50の前方側と後方側の二か所に一対ずつ備えられ、側方に張出した張出部56を有する略円形形状とされている(
図3(A)図参照)。
【0056】
塞ぎ板70は、幅が狭い扁平な板からなり、前方部71が先細りとされ、後方に一対の切欠部72,72を有し、中央部に前後方向に延びる長孔73を備えている(
図3(B)図参照)。塞ぎ板70は、第2基台50の底面側を前後方向に貫通された水平貫通孔57にスライド可能に装着される(
図1、
図3参照)。水平貫通孔57は、両端部が第2基台50の側面を貫通する矩形形状の孔とされ、その中央位置には塞ぎ板70を前後方向にスライド可能とさせる溝58を有している。また第2基台50は、水平貫通孔57の中央位置に、塞ぎ板70を所望の位置に合わせる位置整合手段を備えている(
図3参照)。
【0057】
位置整合手段は、塞ぎ板の長孔73に挿嵌される凸部59とされる。位置整合手段をなす凸部は、周囲三方が基端部を残して削除され、基端部から先端まで延びた軸部590とされている(
図3(A)図,
図3(E)図参照)。軸部590が可撓性を有しているため、塞ぎ板70を第2基台の水平貫通孔57に挿し込むだけで、凸部59が長孔73に挿嵌され、塞ぎ板70が第2基台50から脱落されにくい。
【0058】
塞ぎ板70が後方にスライドされた状態においては、前方側と後方側のいずれの陥没穴も塞ぎ板70に塞がれず、全体が開放された状態とされる。この状態で、基台部材10が脚部材30に装着され、陥没穴54に脚部材の頭部32が嵌合される(
図3(C)図参照)。頭部32を嵌合させてから、塞ぎ板70が前方にスライドされ、凸部59が長孔73の後方側に引っかかった状態においては(
図3(D)図参照)、前記頭部をなす水平張出部34が嵌合された陥没穴54の張出部56の下面が、塞ぎ板70により閉じられ、脚部材30に基台部材10が装着され固定された状態となる(
図3(E)図参照)。
【実施例0059】
実施例2においては、汎用機器以外の機器を固定させる機器固定構造2を、
図4を参照して説明する。
図4は、汎用機器以外の機器と基台部材とを底面側から看た説明図を示している。汎用機器以外の機器は、底面形状が略正方形形状の大型の機器120とされると共に、天面が平坦面とされている。実施例2以下においては、実施例1と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略している。
【0060】
機器固定構造2においては、第1基台400が略正方形形状とされる点と、装着帯体20が第1基台80に装着される点、第2基台500の位置を合わせる凹部404を有する点で、実施例1と構成が相違している(
図4参照)。基台部材は、矩形をなす平板体と支持部材とからなる第1基台400と、機器の大きさに係わらず共通して使用できる第2基台500とからなる。
【0061】
第1基台400は、大型の機器120に適合される大きさの略正方形形状とされると共に、四方の角隅部に突出部42を備えるように切り出し加工されている。第1基台400を切り出し加工させるときには、装着面401を大型の機器に適合される大きさとするだけでよい。
【0062】
第1基台の第3の加工として、底面側の両縁部の近くに機器の前後方向に延びる一対の溝部402,402と、溝部に沿う外方を削除してなる薄肉部403とを切削加工させている。一対の溝部402,402が前記両縁部の近くに備えられるため、装着帯体20を短くすることができ、大きく揺れやすい機器であっても強固に機器を固定することができる。ここでは大型の機器をより強固に固定できるように、装着帯体20を機器の前方側と後方側の二か所に装着させている。
【0063】
第1基台400の任意の加工として、底面側に第2基台を嵌め込む凹部404が切削加工され、第2基台500をネジ固定させるときの位置合わせを容易としている。なお、機器固定手段2においては、装着帯体20を第1基台400に装着させるため、第2基台500には溝部は不要であるが、実施例1と同じ第2基台50が使用されてもよい。機器固定手段2においては、脚部材30について、脚部38の高さのみを低くした例を示している。
【実施例0064】
実施例3においては、第1基台と支持部材の他の例について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5(A)図は、機器の角隅部を一つの部材で支える支持部材の斜視図を示している。
図5(B)図は、第1基台と支持部材との平面図を示している。
図5(C)図は、機器を装着させた状態の第1基台の側面図を示している。
図5(D)図は、
図5(C)図のA-A位置の断面図を示している。
図5においては、機器の想像線を一点鎖線で示している。
図5(B)図においては、機器の底面の大きさだけを一点鎖線で示している。
【0065】
基台部材12は、矩形形状をなす平板体と支持部材600とからなる第1基台410と、機器の大きさに係わらず共通して使用できる第2基台50(
図1、
図3参照)とに分離可能とされている(
図5(C)図参照)。支持部材600は、平面視で略L字形状をなし、略L字形状をなす基板601は、天面側には内縁部位置から二つの起立壁602,602が起立され、底面側には夫々の前記起立壁と反対方向に装着軸603,603が突出されている(
図5(A)図参照)。
【0066】
第1基台410は、装着面411を機器の底面(
図5(B)図一点鎖線参照)よりも一回り大きい矩形形状に切り出し、四方の角隅部に前記装着軸603を嵌合させる底のある窪穴412をあけ、底面に第2基台50を固定させる雌ネジ穴45をあけただけとしている(
図5(B)図、
図5(C)図参照)。そのため、第1基台の加工工程が少なく、より簡単に製造することができる。
【0067】
実施例3の基台部材410によれば、装着帯体20は機器の側面107には密着していないが、機器の側面107の基部が支持部材600,600に支持され、装着帯体20が機器の天面102に密着されているため、機器100が装着面411に沿ってずれにくい(
図5(D)図参照)。第1基台410と支持部材600とを一体とさせるときは、支持部材600の底面側に接着剤を塗布させ、第1基台の窪穴412に装着軸603を嵌合させて一体とさせればよい。前記窪穴412は、基板601の外縁部より内側且つ機器100の外側にあけられていればよい(
図5(C)図参照)。
【0068】
次に、
図6を参照して第1基台420の側面に形成させた嵌合穴に、支持部材610の嵌合凸部を挿嵌させ、第1基台と支持部材とを一体とさせる例を説明する。
図6(A)図は、第1基台の角隅部と支持部材の斜視図を示している。
図6(B)図は、嵌合穴と嵌合凸部とを一部切欠断面図で示した第1基台と支持部材の平面図を示している。
図6(B)図においては、機器の底面の大きさだけを一点鎖線で示している。
【0069】
支持部材610は平面視略L字形状をなす屈曲された板体611と、板体の一方の内面の下端位置から突設された嵌合凸部612とからなっている。嵌合凸部612は、基端部613から先方部614にかけて楔形状をなし、中間部に返し部615を備えるように基端部613は細軸とされている。嵌合凸部612は、先方が窄まった楔形状をなすと共に、先方から後方に向けてスリット616が備えられている。嵌合凸部612の先方をつまみスリットを狭めると、楔形状をなす嵌合凸部612の先方の幅が狭くされる。
【0070】
第1基台420は、平板体を機器の底面(
図6(B)図一点鎖線参照)と略同じ大きさの矩形形状に切り出し、嵌合凸部612を嵌合させる嵌合穴421を平板体の短辺両側端面にあけ、(
図6(A)図参照)、底面に第2基台を固定させる雌ネジ穴45をあけただけとしている(
図6(B)図参照)。また嵌合穴421には、穴底422と穴外端423との間に、嵌合凸部の返し部615が引っ掛かる括れ部424を備えさせている。
【0071】
前記穴底422の大きさは、嵌合凸部の先方部614よりも一回り大きくされている。穴外端423の大きさは、嵌合凸部のスリット616を狭めたときには、嵌合凸部612を挿通することができ、嵌合凸部が前記穴底422に至りスリット616が広がると、嵌合凸部の返し部615が穴底と穴外端との間の括れ部424に引っ掛かる大きさとされている(
図6(B)図参照)。嵌合穴は切削加工により形成させればよい。
【実施例0072】
実施例4においては、一体式の基台部材80を有する機器固定手段3を、
図7を参照して説明する。
図7(A)図は、機器固定手段の斜視図を示し、
図7(B)図は基台部材の底面図を示している。基台部材が一体式である点以外は、実施例1と共通する構成としている。
【0073】
一体式の基台部材80は、天面側が平坦な装着面11とされ、底面側が装着帯体20を装着させる一対の溝部81を備えると共に、その外方が削除されて薄肉部82とされている(
図7参照)。また、基台部材の底面側には、脚部材の頭部を嵌合させる陥没穴83と、塞ぎ板を装着させる水平貫通孔84が切削加工されている。
【0074】
陥没穴83の形状は、実施例1において離間して向かい合っていた二つの張出部が、繋がった張出部85をなすように切削されている点が実施例1と異なっている。水平貫通孔84は、両端部も塞ぎ板の両縁部を支える溝状とされると共に、中央に塞ぎ板の位置整合手段をなす凸部86を残して切削される点が実施例1と異なっている。また、実施例4においては、基台部材80の突出部87については底面側の削除加工を省略しているが、実施例1と同様に底面側を削除させてもよい。機器130の固定方法等については、実施例1と同様のため説明を省略する。
【実施例0075】
実施例5においては、電源アダプタ、通信ネットワークの中継ルータを固定させる具体例を、
図8を参照して説明する。
図8(A)図は、基台部材の装着面よりも小さい電源アダプタ機器を固定させる具体例の説明図を示している。
図8(B)図は壁等の垂直面に、大きさの異なる二つの中継ルータを並べて固定させる具体例の説明図を示している。
【0076】
ノートパソコン等の電源アダプタ140は、大きさに統一された規格がなく、基台部材10の装着面11よりも小さい機器もある(
図8(A)図参照)。この場合には、支持部材60と電源アダプタ140との隙間に調整部材90を詰めて電源アダプタがずれないようにされればよい。調整部材90は略L字形状とされ、隣り合う調整部材90,90との間に電源アダプタの配線ケーブル141を通す隙間91ができるようにされている。調整部材90は、柔軟に変形可能であれば材質は限定されない。
【0077】
束ねた配線ケーブル141が、基板部材10と脚部材の平板部33との間に収容できる高さの脚部31を有する脚部材が選択されればよい。配線ケーブルの余剰部分110が隙間に収容されているため、事務机の側板又は床面のいずれが、脚部材30を固定させる被固定部とされても、配線ケーブルに足を引っ掛けることにより配線ケーブルを電源から外すことがない。
【0078】
一般家庭、事務所等においては、複数のパソコン、プリンタ、スマートフォンを並列して通信ネットワークで接続できるように、屋外から屋内に光通信ケーブルを引き込む中継ルータ150に、無線通信用の中継ルータ151を接続させて、通信ネットワークを構築させている(
図8(B)図参照)。これらの中継ルータは固定部を有さない機器が多く、LANケーブルにより中継ルータとパソコン等を接続させる場合には、LANケーブルに足を引っ掛けることにより中継ルータを横転させることがあった。
【0079】
中継ルータ150,151を、本発明の機器固定手段1,2により壁面等に固定させれば、仮にLANケーブルに足を引っ掛けたとしても、中継ルータを横転させることがない。装着帯体が光透過性を有していることにより、中継ルータの表面に表示されているSSID、暗号化キー、製造番号等は、装着帯体20を外さないで、機器を壁に固定させたままでも確認することができる。また、支持部材60が機器の角隅部のみを支えているため、側面に操作用のスイッチ152がある機器であっても固定することができる。
【0080】
(その他)
・本実施例においては、基台部材と脚部材との装着手段を、脚部材の頭部を嵌合させる陥没部と、陥没部の一部を閉鎖させる塞ぎ板としているが、装着手段の態様はこれに限定されない。例えば、固定させる機器がノートパソコン等の電源アダプタのように、繰り返し振動が加えられない機器であれば、面ファスナ等の係着手段としてもよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3…機器固定手段、
10…基台部材、20…装着帯体、30…脚部材、40…第1基台、50…第2基台、
11…装着面、12…基台部材、21…挿嵌部材、
31…脚部、32…頭部、33…平板部、34…水平張出部、
35…穴、36…係止孔、37…突起部、38…脚部材、39…脚部、
41…中央の平坦部、42…突出部、43…支持部材装着孔、
44…底面、45…雌ネジ穴、46…突出部の底面側、
51…底面、52…溝部、53…薄肉部、54…陥没穴、55…貫通孔、56…張出部、
57…水平貫通孔、58…溝、59…凸部、590…軸部、
60…支持部材、61…下方側先端部、62…支持面、63…切欠部、
64…爪部、65…凸部、
70…塞ぎ板、71…前方部、72…切欠部、73…長孔、
400…第1基台、401…装着面、402…溝部、403…薄肉部、
404…凹部、500…第2基台、
410…第1基台、411…装着面、412…窪穴、
600…支持部材、601…基板、602…起立壁、603…装着軸、
420…第1基台、421…嵌合穴、422…穴底、423…穴外端、424…括れ部、
610…支持部材、611…板体、612…嵌合凸部、613…基端部、
614…先方部、615…返し部、616…スリット、
80…基台部材、81…一対の溝部、82…薄肉部、83…陥没穴、
84…水平貫通孔、85…繋がった張出部、86…凸部、87…突出部、
90…調整部材、91…隙間、
100…機器、101…底面、102…天面、103…ダイヤルスイッチ、
104…ペダルスイッチ、105…平坦面、106…機能・効果の表示、
107…側面、108…配線ケーブル、109…接続部、
110…余剰となった配線ケーブル、120…大型の機器、130…機器、
140…電源アダプタ、150,151…中継ルータ、152…スイッチ、
200…ネジ、210…スライドレール、211…ボルト、212…ナット
【手続補正書】
【提出日】2020-12-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部を有していない機器を固定させるに適した機器固定具において、
前記機器を装着させる基台部材と、装着帯体と、前記基台部材を支える脚部材とを含み、前記基台部材と前記脚部材とが脱着可能とされた機器固定具であって、
前記基台部材が、前記機器に適合された大きさとされ、前記機器を装着させる装着面を有し、前記装着面と交差する方向に延びる支持部材と一体をなすと共に、前記装着面とは反対側の面に筋状に延びる溝部を備え、
前記脚部材が、平板部の天面から突出された脚部を備え、
前記装着帯体が、光透過性を有する弾性体からなると共に、長く延びた夫々の端部に挿嵌部材を備え、
前記機器が、前記脚部材から分離された基台部材と前記支持部材とに支えられて載置され、引き延ばされた前記装着帯体が前記機器の天面に架けられてから、前記基台部材の底面の前記溝部に夫々の前記挿嵌部材が挿嵌され、前記基台部材に付勢されるように装着された状態で、
前記基台部材が前記脚部に装着され、被固定部に固定された前記平板部の天面と前記基台部材との間に隙間があけられて前記機器が固定される、
ことを特徴とする機器固定具。
【請求項2】
前記装着帯体が、幅が高さよりも大きい偏平体とされ、
前記挿嵌部材の幅が、前記装着帯体よりも広く、
前記装着帯体が捻じれにくく、前記挿嵌部材が位置ずれしにくい、
ことを特徴とする請求項1に記載の機器固定具。
【請求項3】
前記装着面とは反対側の面において、前記溝部に沿って外方が削除され、
前記溝部に前記挿嵌部材が挿嵌された状態で、前記脚部材に面した装着帯体及び挿嵌部材の全ての部分が、前記反対側の面の平坦部からはみ出ない、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の機器固定具。
【請求項4】
前記脚部材が、前記脚部の高さが異なる複数の脚部材から選択可能とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の機器固定具。
【請求項5】
前記基台部材が、矩形をなす平板体と、前記平板体に装着される支持部材とからなり、
前記平板体の形状が、前記溝部に前記挿嵌部材を挿嵌させた状態で、前記機器の三方に前記装着帯体が架けられて、側方を前記支持部材により支えられるに適した形状とされ、
前記支持部材が前記平板体の四隅部に装着されて前記基台部材と一体化されて前記機器の側部を支えると共に、前記装着帯体が前記機器の三方に密着して前記機器を支える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の機器固定具。
【請求項6】
前記基台部材が、前記機器を装着させる第1基台と、前記脚部材に装着させる第2基台とに分離可能とされ、
第1基台が、矩形をなす平板体と、前記平板体に装着される支持部材とからなり、
第1基台の形状が、前記溝部に前記挿嵌部材を挿嵌させた状態で、前記機器の三方に前記装着帯体が架けられて、側方を前記支持部材により支えられるに適した形状とされ、
前記溝部が、第1基台又は第2基台の少なくともいずれかの前記装着面とは反対側の面に備えられ、
前記支持部材が前記平板体の四隅部に装着されて第1基台と一体化されて前記機器の側部を支えると共に、前記装着帯体が前記機器の三方に密着して前記機器を支える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の機器固定具。
【請求項7】
第2基台と支持部材とが夫々単一の形状とされると共に、前記脚部材が脚部の高さが異なる複数の脚部材から選択可能とされ、
第2基台が前記脚部材に脱着可能とされ、
第1基台が第2基台に固定されて前記基台部材をなし、前記基台部材に前記機器が装着された状態で、第2基台が前記脚部材に装着されて前記機器が固定される、
ことを特徴とする請求項6に記載の機器固定具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床・壁に固定させる固定部を備えていない機器を、所望の位置に固定させる機器固定具に関する。具体的には、例えば電気楽器のエフェクター機器、ノートパソコンの電源アダプタ、ハンディホンの充電基台、通信ネットワークの中継ルータ等を始め、床・壁に固定させる固定部を備えていない機器を、機器本体を傷つけないで所望の位置に固定させる機器固定具に関する。
【0002】
これらの固定部を備えていない機器は、使われる場所の近くで固定されないで使用されていることが多い。一方、これらの機器の表面には機器を機能させるための機能表示がされていることもある。例えばエフェクター機器の表面の操作部の近くには、機能・効果が表示され、中継ルータの表面にはSSIDや暗号キーが表示され、機器を固定させた状態であっても、機器の表示が視認可能であることが必要とされている。
【背景技術】
【0003】
これらの固定部を備えていない機器の中でも、使用する際に固定されていないと支障がでやすいエフェクター機器については、本願の出願人による特許文献1又は特許文献2に記載のエフェクター機器固定具の技術により、エフェクター機器をエフェクターボードに整然と固定することが可能とされている。
【0004】
特許文献1には、予めエフェクター機器の大きさに適合するように製造させた金型に、樹脂を射出成型させて形成させたエフェクター固定具の技術が開示されている。この技術によれば、四隅部に形成させた立設部がエフェクター機器の隅部の側面を囲んでいるため、エフェクター機器を強固に固定することができた。しかし、汎用されている大きさのエフェクター機器には低コストで固定具を供給することができたが、射出成型用の金型が必要であるため、汎用されていない大きさの少数のエフェクター機器には適用しにくいという課題があった。
【0005】
この技術によれば、固定具の両縁部に形成させた爪に紐を架け渡して、機器を上方から架けてゆるまないように固定し、又は、爪から紐を外して機器を取外して機器を交換することができるようにされていた。しかし、エフェクター機器の操作部の近くに表示されている機能・効果等の表示が、紐や紐の付属部品により隠れて見えにくくなることがあるという課題があった。
【0006】
特許文献2には、エフェクター機器の底面を支えるエフェクター固定台の枠体下部に、エフェクター機器の筐体の下方を強く支持させて、エフェクター機器を固定させるエフェクター固定台の技術が開示されている。エフェクター機器の筐体は、ダイキャストされた筐体が引き抜かれて製造されるため、筐体の上方が窄まるように、約1度で傾斜された形状とされている。
【0007】
特許文献2に記載のエフェクター機器固定台は、エフェクター機器の筐体の下方を支える固定台の枠体下部の立上部の内面を、僅かに内側に傾くように形成させていた。僅かに内方に傾斜させた立上部の内面により、エフェクター機器の筐体の下縁部を保持させることにより、周囲に架けられて固定させる紐が省かれていても、エフェクター機器が強固に固定されていた。
【0008】
しかし、特許文献2に記載の技術によっても、エフェクター機器を支える底板に立設部が必要であるため、多様な形状のエフェクター機器に適合させるためには、夫々の機器に応じた形状の底板を製造させる必要があるという課題があった
【0009】
これらの文献に記載の機器固定具にしても、汎用されている大きさのエフェクター機器以外を固定させるためには、その機器の周囲を支える立設部を有する3次元構造体を3Dプリンタにより成型させる等する必要があり、設計から製造するまでに手間がかかり、汎用されている数種類の大きさの機器以外には対応しにくいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開2012-053266号公報
【特許文献2】国際公開2018-083730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本願の発明者は、大きさ規格が統一されておらず、少数しか生産されていない機器で、床・壁に固定させる固定部を有していない機器であっても、製造コストが高くならない簡単な構造とし、床・壁等の所望の位置に強固に固定させることができると共に機器の表面の表示が視認しやすい機器固定具を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の発明は、固定部を有していない機器を固定させるに適した機器固定具において、前記機器を装着させる基台部材と、装着帯体と、前記基台部材を支える脚部材とを含み、前記基台部材と前記脚部材とが脱着可能とされた機器固定具であって、前記基台部材が、前記機器に適合された大きさとされ、前記機器を装着させる装着面を有し、前記装着面と交差する方向に延びる支持部材と一体をなすと共に、前記装着面とは反対側の面に筋状に延びる溝部を備え、前記脚部材が、平板部の天面から突出された脚部を備え、前記装着帯体が、光透過性を有する弾性体からなると共に、長く延びた夫々の端部に挿嵌部材を備え、前記機器が、前記脚部材から分離された基台部材と前記支持部材とに支えられて載置され、引き延ばされた前記装着帯体が前記機器の天面に架けられてから、前記基台部材の底面の前記溝部に夫々の前記挿嵌部材が挿嵌され、前記基台部材に付勢されるように装着された状態で、前記基台部材が前記脚部に装着され、被固定部に固定された前記平板部の天面と前記基台部材との間に隙間があけられて前記機器が固定されることを特徴としている。
【0013】
固定部を有していない機器とは、電気楽器のエフェクター機器、パソコンの電源アダプタ、ハンディホンの充電基台等の電気機器であると好適であるが限定されない。固定部を有していても固定状態が弱くなりやすい無線ルータ等であってもよい。機器固定具は、床、壁、エフェクターボード等の被固定部に応じた固定方法、例えばビス止め、接着、面ファスナ等により固定されればよい。
【0014】
基台部材が機器に適合した大きさとは、基台部材が機器と同じ又は機器より大きければよい。基台部材は単一の部材であってもよく、複数の部材が組み立てられて一体とされてもよい。機器は、基台部材と支持部材とに挟まれて支えられると好適であるが、機器の外面が湾曲している場合や機器が基台部材よりも小さい場合には、機器と支持部材との隙間に調整部材を詰めて、位置ずれしないように支えるようにすればよい。
【0015】
装着帯体が、光透過性を有する弾性体からなり、引き延ばされて薄くなった装着帯体が機器の天面に架けられて、その端部の挿嵌部材が基台の底面に筋状に延びた溝部に挿嵌され、機器を基台部材に付勢させて固定させる。溝部が筋状に延びているため、機器の操作表示部等が隠れない位置に装着帯体を装着させ、機器を基台部材に均等に付勢させる。装着帯体の本数、筋状に延びる溝部の本数は限定されないが、機器をバランスよく支えるためには夫々複数であり、溝部が複数である場合には溝部が平行に配置されていると好適である。
【0016】
機器が付勢されて固定されることにより、機器固定具の装着面が垂直にされた状態であっても、水平にされた状態であっても、機器は位置ずれしない状態で基台部材に強固に固定される。また、装着帯体が、引き延ばされて薄くなるため、機器の表面に表示されている機能・効果の表示、暗号キー等が、機器を外さなくても確認できるという効果を奏する。また、基台部材と脚部材の間に隙間があけられた状態とされるため、機器が電気機器である場合に、配線ケーブル等を隙間に格納することができ、機器及びケーブル等が散乱した状態とならない。
【0017】
本発明の第2の発明は、第1の発明の機器固定具において、前記装着帯体が、幅が高さよりも大きい偏平体とされ、前記挿嵌部材の幅が、前記装着帯体よりも広く、前記装着帯体が捻じれにくく、前記挿嵌部材が位置ずれしにくいことを特徴としている。扁平体の扁平の程度は限定されないが、引き伸ばされて薄くなる扁平の程度であると好適である。
【0018】
第2の発明によれば、挿嵌部材の幅が装着帯体よりも広いため、溝部に挿嵌させた挿嵌部材が捻転しにくく位置ずれしにくいことに加えて、装着帯体が引き延ばされて薄くなり光透過性が向上され、操作表示などがより視認しやすくなるという効果を奏する。
【0019】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の機器固定具において、前記装着面とは反対側の面において、前記溝部に沿って外方が削除され、前記溝部に前記挿嵌部材が挿嵌された状態で、前記脚部材に面した装着帯体及び挿嵌部材の全ての部分が、前記反対側の面の平坦部からはみ出ないことを特徴としている。
【0020】
第3の発明によれば、装着帯体及び挿嵌部材の全ての部分が、前記基台部材の底面の平坦部からはみ出ないため、機器を固定させる過程で、基台部材を水平な机の上に仮置きしても、装着帯体及び挿嵌部材がゆるみ又は損傷されることがないという効果を奏する。
【0021】
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明の機器固定具において、前記脚部材が、前記脚部の高さが異なる複数の脚部材から選択可能とされていることを特徴としている。脚部材の高さは、隙間に通す配線ケーブルの太さ、長さに応じて選択されればよい。第4の発明によれば、固定させる機器が汎用品であるか否かにかかわらず、脚部材の形状・大きさが予め脚部の高さが異なる複数に限定され、その中から選択されて使用されるため量産に適し、低い製造コストで対応することができるという効果を奏する。
【0022】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の機器固定具において、前記基台部材が、矩形をなす平板体と、前記平板体に装着される支持部材とからなり、前記平板体の形状が、前記溝部に前記挿嵌部材を挿嵌させた状態で、前記機器の三方に前記装着帯体が架けられて、側方を前記支持部材により支えられるに適した形状とされ、前記支持部材が前記平板体の四隅部に装着されて前記基台部材と一体化されて前記機器の側部を支えると共に、前記装着帯体が前記機器の三方に密着して前記機器を支えることを特徴としている。
【0023】
基台部材が、矩形をなす平板体とされているため、機器が汎用品でない機器であっても、矩形をなす機器である場合には、溝部等の削り出し加工が容易であり、製造が容易である。平板体の形状は隅部に張出部が形成されていると支持部材の装着孔を形成させることが容易であるが、張出部が形成されていなくても支持部材の装着部を有していればよい。溝部に挿嵌部材を挿嵌させた状態で、装着帯体が機器の三方に密着した状態とされ、支持部材が機器の側部を支える形状であればよい。
【0024】
第5の発明によれば、機器が汎用品でない機器であっても、基台部材の製造が容易であると共に、装着帯体が機器の三方に密着して機器を基台部材に付勢させ、機器が基台部材に強固に装着され、支持部材が機器の側方を支えるため機器が基台部材からずれないという効果を奏する。
【0025】
本発明の第6の発明は、第1から第4の発明の機器固定具において、前記基台部材が、前記機器を装着させる第1基台と、前記脚部材に装着させる第2基台とに分離可能とされ、第1基台が、矩形をなす平板体と、前記平板体に装着される支持部材とからなり、第1基台の形状が、前記溝部に前記挿嵌部材を挿嵌させた状態で、前記機器の三方に前記装着帯体が架けられて、側方を前記支持部材により支えられるに適した形状とされ、前記溝部が、第1基台又は第2基台の少なくともいずれかの前記装着面とは反対側の面に備えられ、前記支持部材が前記平板体の四隅部に装着されて第1基台と一体化されて前記機器の側部を支えると共に、前記装着帯体が前記機器の三方に密着して前記機器を支えることを特徴としている。
【0026】
第6の発明によれば、基台部材を第1基台と第2基台とに分離可能とさせているため、機器が特殊な形状であっても、機器に接する第1基台だけを平板体から削り出し、第2基台は予め準備されている単一の形状の部材とすればよい。機器が汎用品でない機器であっても、第1基台に接する部分が矩形をなす機器である場合には、矩形をなす平板体から溝部等の削り出し加工をすることが容易である。
【0027】
溝部は、第1基台と第2基台の夫々に設けてもよい。第2基台に溝部を形成しておけば、第1基台に溝部を形成させる必要がなくなり、第1基台の製造加工を簡単にすることができる。第1基台の縁部の近くに溝部を形成しておけば、装着帯体を短くすることができ、より強固に機器を固定することができる。第1基台を平板体から削り出せばよいだけであるため、機器が汎用機器の大きさを外れた大きさであっても、対応が容易であるという効果を奏する。
【0028】
本発明の第7の発明は、第6の発明の機器固定具において、第2基台と支持部材とが夫々単一の形状とされると共に、前記脚部材が脚部の高さが異なる複数の脚部材から選択可能とされ、第2基台が前記脚部材に脱着可能とされ、第1基台が第2基台に固定されて前記基台部材をなし、前記基台部材に前記機器が装着された状態で、第2基台が前記脚部材に装着されて前記機器が固定されることを特徴としている。
【0029】
第7の発明によれば、第2基台と脚部材と支持部材は、機器の大きさに限らず量産が可能であり、汎用品でない機器であっても第1基台だけを平板体から削り出して適合させればよい。第2基台、脚部材、支持部材は、予め製造させた金型を使って量産することができ、量産部材の使用割合を高めることができるため、機器の形状にかかわらず容易に適用することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0030】
・第1の発明の機器固定具によれば、機器が付勢されて固定されることにより、機器固定具の装着面が垂直にされた状態であっても、水平にされた状態であっても、機器は位置ずれしない状態で基台部材に強固に固定される。また、装着帯体が、引き延ばされて薄くなるため、機器の表面に表示されている機能・効果の表示、暗号キー等が、機器を外さなくても確認できるという効果を奏する。
・第2の発明の機器固定具によれば、溝部に挿嵌させた挿嵌部材が捻転しにくく位置ずれしにくいことに加えて、装着帯体が引き延ばされて薄くなり光透過性が向上され、操作表示などがより視認しやすくなるという効果を奏する。
・第3の発明の機器固定具によれば、装着帯体及び挿嵌部材の全ての部分が、基台部材の底面の平坦部からはみ出ないため、機器を固定させる過程で、基台部材を水平な机の上に仮置きしても、装着帯体及び挿嵌部材がゆるみ又は損傷されることがないという効果を奏する。
【0031】
・第4の発明の機器固定具によれば、固定させる機器が汎用品であるか否かにかかわらず、脚部材の形状・大きさが予め脚部の高さが異なる複数に限定され、その中から選択されて使用されるため、量産に適し、低い製造コストで対応することができるという効果を奏する。
・第5の発明の機器固定具によれば、機器が汎用品でない機器であっても、基台部材の製造が容易であると共に、装着帯体が機器の三方に密着して機器を基台部材に付勢させ、機器が基台部材に強固に装着され、支持部材が機器の側方を支えるため機器が基台部材からずれないという効果を奏する。
・第6の発明の機器固定具によれば、機器に接する第1基台だけを平板体から削り出し、第2基台は予め準備されている単一の形状の部材とすればよいという効果を奏する。
・第7の発明の機器固定具によれば、第2基台、脚部材、支持部材は、予め製造させた金型を使って量産することができ、量産部材の使用割合を高めることができるため、機器の形状にかかわらず容易に適用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】エフェクター機器の機器固定具の説明図(実施例1)
【
図2】基台部材と脚部材の装着の説明図(実施例1)。
【
図8】電源アダプタ・中継ルータを適用させた具体例の説明図(実施例5)。
【発明を実施するための形態】
【0033】
床・壁等への固定部を有していない機器を固定させるに適した機器固定具であって、多様な大きさの機器にも適用できる簡単な構造の機器固定具とさせた。基台部材は簡単に製造でき、基台部材以外は共通して使用させる機器固定構造とさせた。これにより、規格が統一されておらず、少数しか生産されていない機器にも、低い製造コストで対応できるようにした。
【0034】
実施例1においては、汎用されている大きさのエフェクター機器を固定させる例を説明し、実施例2においては、少数しか生産されていない汎用機器以外の機器を固定させる例を説明する。実施例3においては、第1基台と支持部材の他の例を説明する。
【0035】
実施例4においては、一体式の基台部材により機器を固定させる例を説明し、実施例5においては、ノートパソコンの電源アダプタ、通信ネットワークの中継ルータに使用する具体例を説明している。以下の実施例においては、装着帯体が架けられる方向を機器の左右方向とし、装着帯体に交差する方向を機器の前後方向として説明している。
【実施例0036】
実施例1においては、第1基台と第2基台とに分離可能な基台部材により機器を固定させる機器固定具1を、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、エフェクター機器の機器固定具の斜視図を示している。
図2は、基台部材と脚部材の装着を、基台部材の底面側から看た説明図を示している。
図3は、第2基台の説明図を示している。
図2においては、エフェクター機器の輪郭のみを破線で示している。
図3においては、第2基台に装着された塞ぎ板の想像線と脚部材とを破線で示している。
【0037】
機器固定具1は、固定部を有していない機器を装着させる基台部材10と、光透過性を有する弾性体からなる装着帯体20と、基台部材を支える脚部材30とを備えている。実施例1においては、前記機器が足先で踏み込まれて操作される音響用のエフェクター機器100とされる例を説明する。
【0038】
エフェクター機器100は、汎用されている大きさの機器であり、底面101が前後方向に長い矩形形状をなしている。エフェクター機器の天面102には、演奏音質を予め設定させておく複数のダイヤルスイッチ103と、音響効果を変化させるペダルスイッチ104とが備えられる。ダイヤルスイッチとペダルスイッチとの間の平坦面105には、各ダイヤルスイッチの機能・効果の表示106がされ、エフェクター機器の側面107には、配線ケーブル108が接続される接続部109が備えられている。
【0039】
基台部材10は、機器を装着させる平坦な装着面11を有する第1基台40と、脚部材30に装着させる第2基台50とに分離可能とされ、互いがネジ200により一体とされる。第1基台40の第1の加工として、平板体が機器の底面101の大きさに適合されるように切り出し加工される。
【0040】
より具体的には、装着面11をなす中央の平坦部41が、エフェクター機器の底面101の大きさに適合された矩形形状をなし、装着面11をなす四方の角隅部のみがエフェクター機器の底面101の周縁よりも外方に突き出された突出部42をなすように切り出し加工されている。第1基台40を切り出し加工させる平板体は、加工が容易な樹脂板が好適であるが、木板、金属板であってもよく限定されない。
【0041】
第1基台40の第2の加工として、突出部42に支持部材装着孔43と、第1基台の底面44側に前記ネジが螺合される4つの雌ネジ穴45とを穴開け加工させている。支持部材装着孔43は、第1基台に装着された8つの支持部材60が、機器の四方の角隅部をなす隣り合う側面をそれぞれ支えるように、各々の突出部42に2つずつ備えられている。第1基台の任意の加工として、突出部の底面側46を切削加工により削除させて板厚を薄くさせている(
図2参照)。そのため、支持部材60を第1基台40と一体とさせたときに、支持部材60の下方側先端部61が第1基台の底面44よりも下方に突出されない。
【0042】
第1基台40の加工は、平板体の切り出し加工と、穴開け加工と、任意の加工である底面側の切削加工だけであるため、射出成型用の金型も不要であり、3Dプリンタにより製造させる必要もない。これにより、大きさに統一規格がない機器にも適用できる汎用性の高い機器固定具を、低い製造コストで製造することができる。
【0043】
また、第1基台は隣り合う突出部42,42の間が切り欠かれて、中央の平坦部41と機器の底面101とが略同一の大きさとされるため、機器の天面102だけでなく左右の側面107を含めた三方に装着帯体を密着させて機器を支えることができる(
図2参照)。これにより、エフェクター機器100のように、足で操作されてずれやすい機器であっても、装着帯体20が捻じれにくく、機器を強固に固定することができる。突出部42,42の間が切り欠かれているため、配線ケーブル108の端子と第1基台の側面107とが接触されず、脚部材30と基台部材10との隙間に通した配線ケーブル108を機器に接続させやすい(
図1参照)。
【0044】
第1基台40と一体とされる支持部材60は、四方の突出部42の支持部材装着孔43に夫々装着され、機器の角隅部をなす隣り合う側面のいずれかを支持面62により支えて、機器が装着面11に沿ってずれないようにさせている(
図1、
図2参照)。各々の支持部材60は、下端から上方に向けて延びる切欠部63により下方側が二つに分岐され、その先端部に前記支持面62に沿って反対方向に延びた爪部64,64を備えている。前記支持面62の反対の面には、前記爪部64よりも上方位置に、爪部と交差する方向に延びる凸部65が備えられている。
【0045】
支持部材60を第1基台40に一体にさせるときには、切欠部63を狭めて、両側の爪部64,64を支持部材装着孔43に挿通させる。爪部64を支持部材装着孔43に通して切欠部63を広げると、両側の爪部64,64と前記凸部65とが支持部材装着孔43の上下の周縁部に引っ掛かり、第1基台40と支持部材60とが一体とされる(
図2参照)。支持部材60は、機器の大きさに係わらず共通して使用できるため、樹脂を射出成型させて量産させるとよい。
【0046】
第2基台50は、装着面11と反対側の面をなす底面51に、装着帯体20の挿嵌部材21を挿嵌させる一対の溝部52,52を備えている(
図2参照)。一対の溝部52、52は、機器の前後方向に沿って平行に延びている。第2基台の底面は、一対の溝部52に沿って外方が削除され、平坦部よりも板厚が薄くされた薄肉部53とされている(
図3(A)図参照)。第2基台50は、機器の大きさに係わらず共通して使用できるため、樹脂を射出成型させて量産させるとよい。
【0047】
また第2基台50は、基台部材10を脚部材20に着脱自在に装着させる装着手段を備えている。実施例1においては、装着手段は、脚部材30をなす各々の脚部31の頭部32を嵌合させる陥没穴54と、陥没穴の一部を閉鎖させる塞ぎ板70とされている(
図2、
図3参照)。それぞれの陥没部54の底部には、第2基台50を第1基台40に固定させるネジ200を挿通させる貫通孔55が備えられている(
図1,
図3参照)。装着手段の形態については、基台部材と脚部材との装着の説明と合わせて後述する。
【0048】
装着帯体20は、光透過性を有する弾性体とされ、長く伸びた夫々の端部に挿嵌部材21,21を備え、幅が高さよりも大きい偏平体とされる。挿嵌部材21の幅が、装着帯体をなす弾性体22よりも広く、第2基台の溝部52に挿嵌させた挿嵌部材21が捻転しにくく位置ずれしにくくされている。弾性体の材質は、光透過性を有するシリコン樹脂、エラストマー等であればよく限定されない。挿嵌部材21は、弾性体22の端部に加締め固定し偏平とさせた金属製の環体であってもよく、弾性体の端部に一体成型させた硬質樹脂であってもよく限定されない。
【0049】
エフェクター機器100を基台部材10に装着させるときには、まず支持部材60と一体とされた基台部材の装着面11にエフェクター機器を載置させて、機器の底面と四方の角隅部を支えさせる(
図1,
図2参照)。この状態から、装着帯体20の一方の挿嵌部材21を第2基台の溝部51に挿嵌させて、弾性体22をエフェクター機器の左右の側面107と、エフェクター機器の天面をなす平坦部105に沿って引き延ばし、他方の挿嵌部材21を溝部に挿嵌させる(
図2参照)。そうすると、装着帯体20が収縮されて機器の三方に密着されると共に、機器が基台部材10に向けて付勢される。
【0050】
装着帯体20は、挿嵌部材21の高さが溝部51の深さよりも短くされると共に、弾性体22の厚さが溝部51から外方の削除された部分の高さよりも薄くされている(
図2参照)。これにより、機器が基台部材10に装着された状態において、脚部材30に面した装着帯体20及び挿嵌部材21の全ての部分が、装着面の反対側の面の平坦部、すなわち第2基台の底面51からはみ出ないようにされている。また、弾性体が光透過性を有すると共に、引き伸ばされて薄くなっているため、装着帯体20を基台部材10に装着させたままであっても、各ダイヤルスイッチの機能・効果の表示106(
図1参照)を視認することができる。
【0051】
脚部材30は、機器の前後方向に長く伸びた平板部33と、平板部の天面から突出された脚部31を備えている(
図1参照)。各々の脚部31は、頭部32が平板部33の内方側に向けて側方に張り出した水平張出部34を有する略円柱形状とされると共に、第2基台の陥没穴54に嵌合される大きさとされている。頭部32の天面には、第2基台50を第1基台40に固定させるネジ200の頭部よりも大きい穴35があけられ、ネジ200に干渉しないようにされている。脚部材30をなす脚部31の高さは、隙間に通す配線ケーブルの太さ、長さに応じて選択されればよい(
図2,
図4参照)。
【0052】
また平板部33の脚部よりも内側には、前後方向に並んだ3つの係止孔36と、その周囲を囲む突起部37とが、間隔をあけて前後に2つ並んで備えられている。脚部材を被固定部に固定させる方法は限定されず、例えば被固定部に釘止め可能な場合には係止孔から釘を打ち込んで固定させればよい(
図8(B)図参照)。被固定部が筋状に延びるスライドレール210の場合には、脚部材30をスライドレール210の表側にあてがって、前記係止孔36からボルト211を挿通させ、スライドレールの裏側に配置されたナット212に螺合させて固定させればよい(
図2参照)。なお、脚部材30と被固定部とは係止孔を使わずに、面ファスナ・接着・磁石等によって固定させてもよい。
【0053】
係止孔36が突起部37に囲まれているため、配線ケーブルの余剰部分110を束ねて基台部材10と平板部33との隙間に収容させたときに(
図1,
図8(A)図参照)、配線ケーブルが前記ボルト・釘の頭部に擦れにくく、配線ケーブルの絶縁被覆を傷つけにくい。脚部材30は、機器の大きさに係わらず共通して使用できるため、樹脂を射出成型させて量産させるとよい。
【0054】
次に、基台部材10と脚部材30との装着手段について、
図2及び
図3を参照して詳細に説明する。
図3(A)図は、第2基台の底面図を示し、
図3(B)図は塞ぎ板の底面図を示している。
図3(C)図は、脚部材の頭部を陥没穴に嵌合させる状態の底面図を示し、
図3(D)図は、塞ぎ板により陥没穴の一部を閉じた状態の底面図を示している。
図3(E)図は、
図3(D)図のA-A位置の断面図を示している。
【0055】
装着手段は、脚部材の頭部32を嵌合させる陥没穴54と、陥没穴の一部を閉じる塞ぎ板70とされる(
図2、
図3参照)。陥没穴54は、第2基台50の前方側と後方側の二か所に一対ずつ備えられ、側方に張出した張出部56を有する略円形形状とされている(
図3(A)図参照)。
【0056】
塞ぎ板70は、幅が狭い扁平な板からなり、前方部71が先細りとされ、後方に一対の切欠部72,72を有し、中央部に前後方向に延びる長孔73を備えている(
図3(B)図参照)。塞ぎ板70は、第2基台50の底面側を前後方向に貫通された水平貫通孔57にスライド可能に装着される(
図1、
図3参照)。水平貫通孔57は、両端部が第2基台50の側面を貫通する矩形形状の孔とされ、その中央位置には塞ぎ板70を前後方向にスライド可能とさせる溝58を有している。また第2基台50は、水平貫通孔57の中央位置に、塞ぎ板70を所望の位置に合わせる位置整合手段を備えている(
図3参照)。
【0057】
位置整合手段は、塞ぎ板の長孔73に挿嵌される凸部59とされる。位置整合手段をなす凸部は、周囲三方が基端部を残して削除され、基端部から先端まで延びた軸部590とされている(
図3(A)図,
図3(E)図参照)。軸部590が可撓性を有しているため、塞ぎ板70を第2基台の水平貫通孔57に挿し込むだけで、凸部59が長孔73に挿嵌され、塞ぎ板70が第2基台50から脱落されにくい。
【0058】
塞ぎ板70が後方にスライドされた状態においては、前方側と後方側のいずれの陥没穴も塞ぎ板70に塞がれず、全体が開放された状態とされる。この状態で、基台部材10が脚部材30に装着され、陥没穴54に脚部材の頭部32が嵌合される(
図3(C)図参照)。頭部32を嵌合させてから、塞ぎ板70が前方にスライドされ、凸部59が長孔73の後方側に引っかかった状態においては(
図3(D)図参照)、前記頭部をなす水平張出部34が嵌合された陥没穴54の張出部56の下面が、塞ぎ板70により閉じられ、脚部材30に基台部材10が装着され固定された状態となる(
図3(E)図参照)。
【実施例0059】
実施例2においては、汎用機器以外の機器を固定させる機器固定構造2を、
図4を参照して説明する。
図4は、汎用機器以外の機器と基台部材とを底面側から看た説明図を示している。汎用機器以外の機器は、底面形状が略正方形形状の大型の機器120とされると共に、天面が平坦面とされている。実施例2以下においては、実施例1と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略している。
【0060】
機器固定構造2においては、第1基台400が略正方形形状とされる点と、装着帯体20が第1基台80に装着される点、第2基台500の位置を合わせる凹部404を有する点で、実施例1と構成が相違している(
図4参照)。基台部材は、矩形をなす平板体と支持部材とからなる第1基台400と、機器の大きさに係わらず共通して使用できる第2基台500とからなる。
【0061】
第1基台400は、大型の機器120に適合される大きさの略正方形形状とされると共に、四方の角隅部に突出部42を備えるように切り出し加工されている。第1基台400を切り出し加工させるときには、装着面401を大型の機器に適合される大きさとするだけでよい。
【0062】
第1基台の第3の加工として、底面側の両縁部の近くに機器の前後方向に延びる一対の溝部402,402と、溝部に沿う外方を削除してなる薄肉部403とを切削加工させている。一対の溝部402,402が前記両縁部の近くに備えられるため、装着帯体20を短くすることができ、大きく揺れやすい機器であっても強固に機器を固定することができる。ここでは大型の機器をより強固に固定できるように、装着帯体20を機器の前方側と後方側の二か所に装着させている。
【0063】
第1基台400の任意の加工として、底面側に第2基台を嵌め込む凹部404が切削加工され、第2基台500をネジ固定させるときの位置合わせを容易としている。なお、機器固定具2においては、装着帯体20を第1基台400に装着させるため、第2基台500には溝部は不要であるが、実施例1と同じ第2基台50が使用されてもよい。機器固定具2においては、脚部材30について、脚部38の高さのみを低くした例を示している。
【実施例0064】
実施例3においては、第1基台と支持部材の他の例について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5(A)図は、機器の角隅部を一つの部材で支える支持部材の斜視図を示している。
図5(B)図は、第1基台と支持部材との平面図を示している。
図5(C)図は、機器を装着させた状態の第1基台の側面図を示している。
図5(D)図は、
図5(C)図のA-A位置の断面図を示している。
図5においては、機器の想像線を一点鎖線で示している。
図5(B)図においては、機器の底面の大きさだけを一点鎖線で示している。
【0065】
基台部材12は、矩形形状をなす平板体と支持部材600とからなる第1基台410と、機器の大きさに係わらず共通して使用できる第2基台50(
図1、
図3参照)とに分離可能とされている(
図5(C)図参照)。支持部材600は、平面視で略L字形状をなし、略L字形状をなす基板601は、天面側には内縁部位置から二つの起立壁602,602が起立され、底面側には夫々の前記起立壁と反対方向に装着軸603,603が突出されている(
図5(A)図参照)。
【0066】
第1基台410は、装着面411を機器の底面(
図5(B)図一点鎖線参照)よりも一回り大きい矩形形状に切り出し、四方の角隅部に前記装着軸603を嵌合させる底のある窪穴412をあけ、底面に第2基台50を固定させる雌ネジ穴45をあけただけとしている(
図5(B)図、
図5(C)図参照)。そのため、第1基台の加工工程が少なく、より簡単に製造することができる。
【0067】
実施例3の基台部材410によれば、装着帯体20は機器の側面107には密着していないが、機器の側面107の基部が支持部材600,600に支持され、装着帯体20が機器の天面102に密着されているため、機器100が装着面411に沿ってずれにくい(
図5(D)図参照)。第1基台410と支持部材600とを一体とさせるときは、支持部材600の底面側に接着剤を塗布させ、第1基台の窪穴412に装着軸603を嵌合させて一体とさせればよい。前記窪穴412は、基板601の外縁部より内側且つ機器100の外側にあけられていればよい(
図5(C)図参照)。
【0068】
次に、
図6を参照して第1基台420の側面に形成させた嵌合穴に、支持部材610の嵌合凸部を挿嵌させ、第1基台と支持部材とを一体とさせる例を説明する。
図6(A)図は、第1基台の角隅部と支持部材の斜視図を示している。
図6(B)図は、嵌合穴と嵌合凸部とを一部切欠断面図で示した第1基台と支持部材の平面図を示している。
図6(B)図においては、機器の底面の大きさだけを一点鎖線で示している。
【0069】
支持部材610は平面視略L字形状をなす屈曲された板体611と、板体の一方の内面の下端位置から突設された嵌合凸部612とからなっている。嵌合凸部612は、基端部613から先方部614にかけて楔形状をなし、中間部に返し部615を備えるように基端部613は細軸とされている。嵌合凸部612は、先方が窄まった楔形状をなすと共に、先方から後方に向けてスリット616が備えられている。嵌合凸部612の先方をつまみスリットを狭めると、楔形状をなす嵌合凸部612の先方の幅が狭くされる。
【0070】
第1基台420は、平板体を機器の底面(
図6(B)図一点鎖線参照)と略同じ大きさの矩形形状に切り出し、嵌合凸部612を嵌合させる嵌合穴421を平板体の短辺両側端面にあけ、(
図6(A)図参照)、底面に第2基台を固定させる雌ネジ穴45をあけただけとしている(
図6(B)図参照)。また嵌合穴421には、穴底422と穴外端423との間に、嵌合凸部の返し部615が引っ掛かる括れ部424を備えさせている。
【0071】
前記穴底422の大きさは、嵌合凸部の先方部614よりも一回り大きくされている。穴外端423の大きさは、嵌合凸部のスリット616を狭めたときには、嵌合凸部612を挿通することができ、嵌合凸部が前記穴底422に至りスリット616が広がると、嵌合凸部の返し部615が穴底と穴外端との間の括れ部424に引っ掛かる大きさとされている(
図6(B)図参照)。嵌合穴は切削加工により形成させればよい。
【実施例0072】
実施例4においては、一体式の基台部材80を有する機器固定具3を、
図7を参照して説明する。
図7(A)図は、機器固定具の斜視図を示し、
図7(B)図は基台部材の底面図を示している。基台部材が一体式である点以外は、実施例1と共通する構成としている。
【0073】
一体式の基台部材80は、天面側が平坦な装着面11とされ、底面側が装着帯体20を装着させる一対の溝部81を備えると共に、その外方が削除されて薄肉部82とされている(
図7参照)。また、基台部材の底面側には、脚部材の頭部を嵌合させる陥没穴83と、塞ぎ板を装着させる水平貫通孔84が切削加工されている。
【0074】
陥没穴83の形状は、実施例1において離間して向かい合っていた二つの張出部が、繋がった張出部85をなすように切削されている点が実施例1と異なっている。水平貫通孔84は、両端部も塞ぎ板の両縁部を支える溝状とされると共に、中央に塞ぎ板の位置整合手段をなす凸部86を残して切削される点が実施例1と異なっている。また、実施例4においては、基台部材80の突出部87については底面側の削除加工を省略しているが、実施例1と同様に底面側を削除させてもよい。機器130の固定方法等については、実施例1と同様のため説明を省略する。
【実施例0075】
実施例5においては、電源アダプタ、通信ネットワークの中継ルータを固定させる具体例を、
図8を参照して説明する。
図8(A)図は、基台部材の装着面よりも小さい電源アダプタ機器を固定させる具体例の説明図を示している。
図8(B)図は壁等の垂直面に、大きさの異なる二つの中継ルータを並べて固定させる具体例の説明図を示している。
【0076】
ノートパソコン等の電源アダプタ140は、大きさに統一された規格がなく、基台部材10の装着面11よりも小さい機器もある(
図8(A)図参照)。この場合には、支持部材60と電源アダプタ140との隙間に調整部材90を詰めて電源アダプタがずれないようにされればよい。調整部材90は略L字形状とされ、隣り合う調整部材90,90との間に電源アダプタの配線ケーブル141を通す隙間91ができるようにされている。調整部材90は、柔軟に変形可能であれば材質は限定されない。
【0077】
束ねた配線ケーブル141が、基板部材10と脚部材の平板部33との間に収容できる高さの脚部31を有する脚部材が選択されればよい。配線ケーブルの余剰部分110が隙間に収容されているため、事務机の側板又は床面のいずれが、脚部材30を固定させる被固定部とされても、配線ケーブルに足を引っ掛けることにより配線ケーブルを電源から外すことがない。
【0078】
一般家庭、事務所等においては、複数のパソコン、プリンタ、スマートフォンを並列して通信ネットワークで接続できるように、屋外から屋内に光通信ケーブルを引き込む中継ルータ150に、無線通信用の中継ルータ151を接続させて、通信ネットワークを構築させている(
図8(B)図参照)。これらの中継ルータは固定部を有さない機器が多く、LANケーブルにより中継ルータとパソコン等を接続させる場合には、LANケーブルに足を引っ掛けることにより中継ルータを横転させることがあった。
【0079】
中継ルータ150,151を、本発明の機器固定具1,2により壁面等に固定させれば、仮にLANケーブルに足を引っ掛けたとしても、中継ルータを横転させることがない。装着帯体が光透過性を有していることにより、中継ルータの表面に表示されているSSID、暗号化キー、製造番号等は、装着帯体20を外さないで、機器を壁に固定させたままでも確認することができる。また、支持部材60が機器の角隅部のみを支えているため、側面に操作用のスイッチ152がある機器であっても固定することができる。
【0080】
(その他)
・本実施例においては、基台部材と脚部材との装着手段を、脚部材の頭部を嵌合させる陥没部と、陥没部の一部を閉鎖させる塞ぎ板としているが、装着手段の態様はこれに限定されない。例えば、固定させる機器がノートパソコン等の電源アダプタのように、繰り返し振動が加えられない機器であれば、面ファスナ等の係着手段としてもよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3…機器固定具、
10…基台部材、20…装着帯体、30…脚部材、40…第1基台、50…第2基台、
11…装着面、12…基台部材、21…挿嵌部材、
31…脚部、32…頭部、33…平板部、34…水平張出部、
35…穴、36…係止孔、37…突起部、38…脚部材、39…脚部、
41…中央の平坦部、42…突出部、43…支持部材装着孔、
44…底面、45…雌ネジ穴、46…突出部の底面側、
51…底面、52…溝部、53…薄肉部、54…陥没穴、55…貫通孔、56…張出部、
57…水平貫通孔、58…溝、59…凸部、590…軸部、
60…支持部材、61…下方側先端部、62…支持面、63…切欠部、
64…爪部、65…凸部、
70…塞ぎ板、71…前方部、72…切欠部、73…長孔、
400…第1基台、401…装着面、402…溝部、403…薄肉部、
404…凹部、500…第2基台、
410…第1基台、411…装着面、412…窪穴、
600…支持部材、601…基板、602…起立壁、603…装着軸、
420…第1基台、421…嵌合穴、422…穴底、423…穴外端、424…括れ部、
610…支持部材、611…板体、612…嵌合凸部、613…基端部、
614…先方部、615…返し部、616…スリット、
80…基台部材、81…一対の溝部、82…薄肉部、83…陥没穴、
84…水平貫通孔、85…繋がった張出部、86…凸部、87…突出部、
90…調整部材、91…隙間、
100…機器、101…底面、102…天面、103…ダイヤルスイッチ、
104…ペダルスイッチ、105…平坦面、106…機能・効果の表示、
107…側面、108…配線ケーブル、109…接続部、
110…余剰となった配線ケーブル、120…大型の機器、130…機器、
140…電源アダプタ、150,151…中継ルータ、152…スイッチ、
200…ネジ、210…スライドレール、211…ボルト、212…ナット
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