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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056566
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】建物ユニットの供給システム
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20220404BHJP
   B60P 3/022 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
E04B1/348 V
E04B1/348 X
B60P3/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164378
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 宏
(72)【発明者】
【氏名】前田 珠希
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】西塔 純人
(72)【発明者】
【氏名】今橋 裕里奈
(72)【発明者】
【氏名】辻 千佳
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正夫
(57)【要約】      (修正有)
【課題】搬送車両に搭載された車載バッテリの電力の消費を低減することにより、その充電または交換の頻度を減らし、建物ユニットの供給効率を高めることができる建物ユニットの供給システムを提供する。
【解決手段】供給システム1は、複数の居住空間34Aを有した建物本体31の地上階に形成された凹部33に、収容される建物ユニット32と、建物ユニット32を建物本体31まで搬送する搬送車両40と、を少なくとも備える。建物ユニット32には、建物ユニット32内に電力を供給する蓄電池が搭載されている。建物ユニット32を、搬送車両40に載置した状態で、蓄電池の電力を、搬送車両40に供給可能になっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の居住空間を有した建物本体の地上階に形成された凹部に、収容される建物ユニットと、
前記建物ユニットを前記建物本体まで搬送する搬送車両と、
を備えた建物ユニットの供給システムであって、
前記建物ユニットには、前記建物ユニット内に電力を供給する蓄電池が搭載されており、
前記建物ユニットを、前記搬送車両に載置した状態で、前記蓄電池の電力が、前記搬送車両に供給可能になっていることを特徴とする建物ユニットの供給システム。
【請求項2】
前記搬送車両は、前記搬送車両の動力源となる電動機と、前記電動機に電力を供給する車載バッテリと、を備えており、
前記蓄電池は、前記蓄電池の電力残量が所定値以下となるまで、前記電動機に電力を供給することを特徴とする請求項1に記載の建物ユニットの供給システム。
【請求項3】
前記建物ユニットおよび前記搬送車両には、前記蓄電池の電力をワイヤレスで送電する送電装置が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の建物ユニットの供給システム。
【請求項4】
前記蓄電池は、前記建物本体の電源からの電力により、充電されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の建物ユニットの供給システム。
【請求項5】
前記建物ユニットは、前記搬送車両に載置した状態で、該建物ユニットの底面に対して伸縮自在となる脚部を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の建物ユニットの供給システム。
【請求項6】
前記脚部には、前記脚部を伸縮させる電動式アクチュエータが接続されており、
前記蓄電池の電力により、前記電動式アクチュエータが駆動することを特徴とする請求項5に記載の建物ユニットの供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物本体に建物ユニットを供給する供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、災害時の住宅等の用途限定構造を有したキャビン体を、供給する供給システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このキャビン体は、コンテナハウスまたはトレーラーハウスからなり、搬送車両とともに、目標地点に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-166260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す供給システムでは、キャビン体を車両とともに搬送するが、例えば、キャビン体を管理している管理工場から目標地点までの距離が遠い場合には、搬送車両の電力が不足するおそれがある。また、管理工場から目標地点までの距離までが近い場合であっても、搬送車両によりキャビン体を、繰り返し連続して搬送しようとすると、搬送車両の電力が連続して消費されてしまう。
【0005】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、建物ユニットを搬送する搬送車両の電力を補うことができる建物ユニットの供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建物ユニットの供給システムは、複数の居住空間を有した建物本体の地上階に形成された凹部に、収容される建物ユニットと、前記建物ユニットを前記建物本体まで搬送する搬送車両と、を備えた建物ユニットの供給システムであって、前記建物ユニットには、前記建物ユニット内に電力を供給する蓄電池が搭載されており、前記建物ユニットを、前記搬送車両に載置した状態で、前記蓄電池の電力が、前記搬送車両に供給可能になっていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、建物ユニットに搭載した蓄電池により、建物ユニットの電力を供給することができる。さらに、建物ユニットの搬送時には、搬送車両に電力を供給することができるため、搬送車両に蓄電池の電力を補助的に使用することができる。さらに、本発明によれば、搬送車両で搬送した建物ユニットを、既設の建物本体の凹部に設置することができる。また、建物ユニットを既に設置している場合には、搬送車両に建物ユニットを載置して搬送することにより、建物ユニットを建物本体から撤去することができる。このようにして、既に居住者が暮らす居住空間が形成された建物本体に対して、居住空間を有した建物ユニットを設置または撤去することができる。この結果、これまでの住居者の快適な居住空間を保持しつつ、住居者の要求に応じた、快適な居住空間を提供することができる。
【0008】
より好ましい態様としては、前記搬送車両は、前記搬送車両の動力源となる電動機と、前記電動機に電力を供給する車載バッテリと、を備えており、前記蓄電池は、前記蓄電池の電力残量が所定値以下となるまで、前記電動機に電力を供給する。
【0009】
この態様によれば、搬送車両が走行する場合には、搬送車両に搭載された車載バッテリの電力により、電動機を駆動する。ここで、蓄電池の電力残量が所定値以下となると、車載バッテリにより、電動機を駆動するので、車載バッテリの電力消費を抑えることができる。これにより、蓄電池の電力分だけ、搬送車両の走行距離をより長くすることができるとともに、建物ユニットの搬送後において、車載バッテリの充電時間を短縮することができる。
【0010】
より好ましい態様としては、前記建物ユニットおよび前記搬送車両には、前記蓄電池の電力をワイヤレスで送電する送電装置が配置されている。この態様によれば、建物ユニットに搭載された蓄電池の電力をワイヤレスで送電することができるため、搬送車両に、コネクター等を接続することなく、送電することができる。
【0011】
より好ましい態様としては、前記蓄電池は、前記建物本体の電源からの電力により、充電されてもよく、搬送車両に発電機が搭載されている場合には、発電機の電力により、蓄電池を充電してもよい。たとえば、建物本体の電源から充電する場合には、建物本体の電力の負荷が所定値以下のときに、蓄電池への充電を行うことが好ましい。
【0012】
より好ましい態様としては、前記建物ユニットは、前記搬送車両に載置した状態で、建物ユニットの底面に対して伸縮自在となる脚部を有している。この態様によれば、建物ユニットに脚部を設けることにより、搬送車両に建物ユニットを載置した状態で、建物ユニットを地面に支持するまで脚部を伸展させ、搬送車両に載置された建物ユニットの下方から、簡単に搬送車両を引き抜くことができる。
【0013】
より好ましい態様としては、前記脚部には、前記脚部を伸縮させる電動式アクチュエータが接続されており、前記蓄電池の電力により、前記電動式アクチュエータが駆動する。この態様によれば、建物ユニットの脚部を電動式にすることにより、簡単に搬送車両を引き抜くことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る建物ユニットの供給システムによれば、建物ユニットを搬送する搬送車両の電力を補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る建物ユニットの供給システムの模式的概念図である。
図2図1に示す建物ユニットを建物本体に設置した状態を示した模式的概念図である。
図3図1に示す供給システムのブロック図である。
図4】(a)~(c)は、建物ユニットの設置の工程を説明するための図である。
図5図1に示す供給システムによる建物ユニットの供給のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図1図5を参照しながら本発明の実施形態に係る供給システム1について説明する。
【0017】
本実施形態に係る供給システム1は、建物ユニット32を建物本体31に設置するためのシステムである。建物本体31は、木造、鉄骨造、またはRC造など建築された建物であり、複数の居住空間34Aを有している。本実施形態では、建物本体31は、複数階(2階以上)で構成される建物であり、建物本体31には、地上階に凹部33が形成されている。本実施形態では、凹部33は、建物本体31の一部がオーバハングすることにより、形成されている。
【0018】
建物本体31の凹部33は、建物ユニット32を配置するための空間となっているが、建物ユニット32を設置していない場合には、凹部33は、自動車などの駐車スペースとして利用されてもよい。本実施形態では、建物本体31のみで、住居可能な耐震基準を満たしている。建物本体31には、外部から、電力、上水、都市ガス等が供給されている。
【0019】
建物ユニット32は、図2に示すように、建物本体31の凹部33に収容されるものであり、少なくとも1つの居住空間34Bを有している。建物ユニット32は、管理工場10に複数管理されており、建物ユニット32の居住空間34Bは、居住者のニーズに合った様々な空間に設定されていてもよい。たとえば、居住空間34Bは、居住者の集中力が高まるように設定された空間であってもよく、居住者がリラックスできるように設定された空間であってもよい。
【0020】
この他にも、建物ユニット32には、図示しないが、蓄電池37、飲料用のタンク73、照明器具74などが搭載されている。蓄電池37は、建物本体31からの電力が供給できるように、建物本体31の電源に接続可能である。蓄電池37を建物本体31の電源に接続することにより、蓄電池37を充電することができる。また、飲料用のタンク73は、建物本体31からの上水が供給できるように、建物本体31の上水の供給口に接続可能である。飲料用のタンク73を上水の供給口に接続することにより、飲料用のタンク73に、飲料水を貯蔵することができる。このように、蓄電池37、飲料用のタンク73等を設けることにより、建物ユニット32を非常時の仮設住宅として利用することもできる。
【0021】
建物ユニット32には、建物ユニット32を支持する複数の脚部36が設けられており、本実施形態では、脚部36は、建物ユニット32の底面の四隅に設けられている。なお、本実施形態では、建物ユニット32の底面は、建物ユニット32の底部を構成する収納ボックス32Aの下面である。脚部36は、建物ユニット32の底面に対して、上下方向に伸縮自在に調整可能となっている。
【0022】
各脚部36には、脚部36を伸縮させる、モータなどの電動式アクチュエータ39が接続されている。さらに、建物ユニット32には、水準器38が設けられており、水準器38の水平度の検出信号は、電動式アクチュエータ39に入力される。本実施形態では、複数の脚部36を伸展させて、脚部36で建物ユニット32を支持するとともに、水準器38で検出した水平度が所定の範囲内となるように、電動式アクチュエータ39の作動量が制御される。
【0023】
このようにして、図4(a)に示すように、後述する搬送車両40に載置した状態で搬送されているときに、脚部36を収縮させて、地面に非接触にすることができる。建物ユニット32とともに搬送車両40が建物本体31の凹部33を進入させる。
【0024】
次に、図4(b)に示すように、脚部36を伸展させることで、建物ユニット32を支持し、建物ユニット32の下方から搬送車両40を引き抜くことができる。これにより、搬送車両40から建物ユニット32を取り外すことができる。
【0025】
最後に、図4(c)に示すように、建物本体31から搬送車両40を移動させることにより、搬送車両40に載置された建物ユニット32の下方から、簡単に搬送車両を引き抜くことができる。なお、電動式アクチュエータ39を用いずに、手動で脚部36の長さを調整してもよいが、本実施形態の如く、建物ユニット32の脚部36を電動式にすることにより、簡単に搬送車両40を引き抜くことができる。なお、建物ユニット32を撤去する場合には、上述した手順の逆の作業を行えばよい。
【0026】
建物ユニット32の底面に対して、脚部36を伸縮することができるのであれば、脚部36の構造は、特に限定されるものではなく、ネジ式のジャッキ構造、油圧式にジャッキ構造、電動式のジャッキ構造、入れ子式の構造などを挙げることができる。
【0027】
さらに、本実施形態では、蓄電池37は、建物ユニット32を、搬送車両40に載置した状態で、蓄電池37の電力が、搬送車両40に供給可能になっている。蓄電池37の電力が供給されるように、コネクタケーブル等を介して、蓄電池37を搬送車両40に接続してもよいが、本実施形態では、建物ユニット32および搬送車両40には、蓄電池37の電力をワイヤレスで送電する送電装置71が配置されている。送電装置71は、ワイヤレス電力伝送方式を利用したものであり、蓄電池37に接続された送電部71Aと、送電部71Aから送電された電力を受電し、電動機45に供給する受電部71Bとで、構成されている。
【0028】
送電部71Aと受電部71Bはコイルであり、送電部71Aは、蓄電池37および電動式アクチュエータ39とともに、建物ユニット32の底部を構成する収納ボックス32Aに収納されている。受電部71Bは、搬送車両40の上部に設けられており、建物ユニット32を搬送車両40に載置した状態で、送電部71Aと送電部71Aが対向するように、送電部71Aと送電部71Aが配置されている。これにより、建物ユニット32を搬送車両40に載置した状態で、蓄電池37の電力を電動機45に供給可能となる。
【0029】
本実施形態では、蓄電池37の電力残量が所定値以下となるまで、送電装置71を介して電動機45に蓄電池37の電力を供給する。具体的には、蓄電池37には、蓄電池37に蓄電された電力の残量を検出する残量検出器(図示せず)が、取り付けられている。さらに、蓄電池37には、この残量検出器で検出された電力の残量が所定値以下になったときに、蓄電池37から送電部71Aに送電する電力を遮断するスイッチ(図示せず)が、接続されている。
【0030】
図1に戻り、供給システム1は、建物本体31と建物ユニット32の他に、搬送車両40と、ユニット管理サーバ50とを備えており、必要に応じて、リクエスト端末35および載置装置60をさらに備えている。
【0031】
搬送車両40は、目標地点まで自動走行(自立走行)を行う無人の走行車両(AGV)である。搬送車両40の動力源は、エンジン、電動機、またはこれらを併用したもののいずれであってもよいが、本実施形態では、動力源は、電動機45である。搬送車両40は、車載バッテリ46をさらに備えており、車載バッテリ46は、電力が供給可能なように電動機45に接続されている。なお、搬送車両40は、一般的に知られたAGVの車体構造および走行制御であるため、本明細書では、その詳細な説明を省略する。
【0032】
図1および図3に示すように、搬送車両40は、建物ユニット32を載置して走行する車両本体41と、車両本体41に搭載され、車両本体41の走行を制御する制御装置42と、を備えている。車両本体41には、GPSアンテナ等の位置検出センサ43が取り付けられており、搬送車両40の位置情報(具体的には緯度および経度)を検出することができる。
【0033】
制御装置42に、後述するユニット管理サーバ50から建物本体31の位置情報が入力されると、制御装置42は、これを目標地点(目標座標)として、管理工場10から目標地点までの走行ルートを設定する。建物本体31の位置情報は、建物本体31の凹部33であることが好ましい。走行ルートの設定後、制御装置42は、位置検出センサ43による搬送車両40の位置情報が走行ルートに沿って変化するように、車両本体41(搬送車両40)を自動走行で、目標地点まで走行制御する。
【0034】
本実施形態では、制御装置42は、搬送車両40に建物ユニット32を搭載した状態で、建物ユニット32が、建物本体31の凹部33に収容されるように、搬送車両40を制御する。
【0035】
図1に戻り、リクエスト端末35は、例えば、携帯端末、またはタブレット端末など、ネットワークに接続可能な端末であり、ユニット管理サーバ50に接続可能となっている。リクエスト端末35は、入力装置(図示せず)と表示装置(図示せず)とが一体となった、タッチパネル方式の端末である。
【0036】
リクエスト端末35には、建物本体31に建物ユニット32を設置する設置要求、および建物本体31に設置された建物ユニット32を撤去する撤去要求が表示されており、いずれかの要求を入力可能になっている。この入力を行うことにより、選択した要求を、ユニット管理サーバ50を介して、搬送車両40に行う。これにより、制御装置42は、リクエスト端末35からの要求に応じて、建物本体31まで車両本体41を走行することができる。
【0037】
リクエスト端末35は、複数の建物ユニット32、32、…のうち、建物本体31に収容する建物ユニット32を選択し、選択した建物ユニット32の設置要求を、ユニット管理サーバ50に送信する。
【0038】
載置装置60は、管理工場10内に配置された装置である。本実施形態では、載置装置60は、クレーンである。本実施形態では、ユニット管理サーバ50を介して、載置装置60は、複数の建物ユニット32、32、…から、1つの建物ユニット32を選択し、選択した建物ユニット32を、車両本体41まで搬送し、これを車両本体41に載置する。
【0039】
本実施形態では、ユニット管理サーバ50は、管理工場10内の建物ユニット32を管理するとともに、搬送車両40の制御装置42に、建物本体31の位置情報を入力し、搬送車両40に走行の指令を送信するサーバである。ユニット管理サーバ50は、搬送車両40の制御装置42、載置装置60、およびリクエスト端末35に、ネットワークを介して接続可能になっている。なお、本実施形態では、ユニット管理サーバ50は、管理工場10内に設けられているが、管理工場10の外部に設けられていてもよい。
【0040】
以下に、本実施形態に係る供給システム1による建物ユニット32の供給のフローを、図5を参照して説明する。まず、ステップS501では、管理工場10内で管理されている建物ユニット32の蓄電池37を充電する。ステップS502では、リクエスト端末35からリクエストされた建物ユニット32を、ユニット管理サーバ50で受信し、載置装置60を用いて、建物ユニット32を搬送車両40に載置する。
【0041】
ステップS503では、ユニット管理サーバ50は、搬送車両40へ建物ユニット32の載置完了の信号を載置装置60から受信し、搬送車両40に、建物本体31の位置情報を入力し、建物ユニット32を搬送する指令(制御信号)を送信する。搬送車両40の制御装置42は、管理工場10から建物本体31までの走行ルートを設定する。
【0042】
ステップS504では、蓄電池37の電力を電動機45に供給し、蓄電池37による搬送車両40の自動走行を行う。ステップS505において、蓄電池37の電力の残量が所定残量以下であるかを判定する。ここで、蓄電池37の電力の残量が所定残量以下でない場合には、ステップS504に戻り、蓄電池37による搬送車両40の自動走行を継続する。一方、蓄電池37の電力の残量が所定残量以下である場合には、ステップS506に進む。
【0043】
このように、搬送車両40が走行する場合には、はじめに、搬送車両40に搭載された車載バッテリ46の電力により、電動機45を駆動する。ここで、蓄電池37の電力残量が所定値以下となるまで、蓄電池37により、電動機45を駆動するので、車載バッテリ46の電力消費を抑えることができる。これにより、蓄電池37の電力分だけ、搬送車両40の走行距離をより長くすることができるとともに、建物ユニット32の搬送後において、車載バッテリ46の充電時間を短縮することができる。
【0044】
ステップS506では、蓄電池37に設けられた上述したスイッチ(図示せず)と、搬送車両40の制御装置42とにより、蓄電池37から電動機45への電力の供給を遮断し、車載バッテリ46の電力を電動機45に供給し、車載バッテリ46による搬送車両40の自動走行を行う。
【0045】
ステップS507では、搬送車両40が、目標地点である建物本体31に到着する。なお、ステップS507の目標地点に到着するまで、蓄電池37による搬送車両40の自動走行が実施されている場合には、ステップS506の車載バッテリ46による搬送車両40の自動走行は実施しない。
【0046】
ステップS508では、搬送車両40に載置された建物ユニット32の脚部36を延ばし、建物ユニット32を、建物本体31の凹部33に設置する。ステップS509では、例えば、リクエスト端末35を介して、搬送車両40を、管理工場10に帰還させる。この際には、車載バッテリ46から電動機45に電力が供給され、搬送車両40の自動走行が実施される。
【0047】
以上、本実施形態によれば、建物ユニット32に搭載した蓄電池37により、建物ユニット32の電力を供給することができる。さらに、建物ユニット32の搬送時には、搬送車両40に電力を供給することができるため、搬送車両40に蓄電池37の電力を補助的に使用することができる。
【0048】
管理工場10から既設の建物本体31までの車載バッテリ46の電力の消費を低減しつつ、既に居住者が暮らす居住空間34Aが形成された建物本体31に対して、居住空間34Bを有した建物ユニット32を設置することができる。この結果、これまでの住居者の快適な居住空間34Aを保持しつつ、住居者の要求に応じた、快適な居住空間34Bを提供することができる。
【0049】
また、建物ユニット32を撤去する場合には、搬送車両40を建物本体31まで搬送し、建物ユニット32の下方に搬送車両40を潜り込ませる。この状態で、建物ユニット32の脚部36を収縮させることにより、建物ユニット32を搬送車両40に載置し、建物ユニット32を建物本体31から撤去することができる。管理工場10までの帰路においても、上述したステップS503~ステップS507を行うことにより、建物ユニット32の蓄電池37から電動機45に電力を供給することができる。この結果、車載バッテリ46の電力の消費を低減することができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0051】
本実施形態では、搬送車両の走行開始時に蓄電池を使用したが、たとえば、車載バッテリの残量が所定値以下になるまで、車載バッテリを使用し、その後、蓄電池を用いてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1:供給システム、31:建物本体、32:建物ユニット、33:凹部、34A,34B:居住空間、35:リクエスト端末、36:脚部、39:電動式アクチュエータ、40:搬送車両、41:車両本体、42:制御装置、46:車載バッテリ、71:送電装置
図1
図2
図3
図4
図5