IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 菱電湘南エレクトロニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-液体検知装置 図1
  • 特開-液体検知装置 図2
  • 特開-液体検知装置 図3
  • 特開-液体検知装置 図4
  • 特開-液体検知装置 図5
  • 特開-液体検知装置 図6
  • 特開-液体検知装置 図7
  • 特開-液体検知装置 図8
  • 特開-液体検知装置 図9
  • 特開-液体検知装置 図10
  • 特開-液体検知装置 図11
  • 特開-液体検知装置 図12
  • 特開-液体検知装置 図13
  • 特開-液体検知装置 図14
  • 特開-液体検知装置 図15
  • 特開-液体検知装置 図16
  • 特開-液体検知装置 図17
  • 特開-液体検知装置 図18
  • 特開-液体検知装置 図19
  • 特開-液体検知装置 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056569
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】液体検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/032 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
G01N29/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164386
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】392036153
【氏名又は名称】菱電湘南エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】特許業務法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 友則
(72)【発明者】
【氏名】坂本 明弘
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA01
2G047BA01
2G047BC03
2G047BC04
2G047BC17
2G047EA05
2G047GF21
2G047GG15
2G047GG20
2G047GG28
2G047GG32
2G047GG33
2G047GJ21
(57)【要約】
【課題】微量の液体を検知することができる液体検知装置(1)を提供する。
【解決手段】 液体検知装置(1)が、試験体(100)中を伝搬した超音波を電気信号に変換し、当該電気信号を、増幅器(4)、送信探触子(2)、試験体(100)および受信探触子(3)を含む発振ループに発振が生じる増幅率で増幅し、発振ループに生じた発振信号の周波数スペクトルの分布に基づいて、試験体(100)に付着している水滴(WD)を検知する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を入力して駆動し、超音波を試験体中に送信する送信探触子と、
前記試験体中を伝搬した超音波を受信して前記電気信号に変換する受信探触子と、
前記受信探触子によって変換された前記電気信号を増幅して前記送信探触子に出力する増幅器と、
前記増幅器、前記送信探触子、前記試験体および前記受信探触子を含む発振ループから受信した発振信号を処理することにより、前記試験体に付着した液体を検知する信号処理部と、
を備え、
前記増幅器は、前記受信探触子によって変換された前記電気信号を、前記発振ループに発振が生じる増幅率で増幅し、
前記信号処理部は、前記発振信号の周波数スペクトルの分布に基づいて、前記試験体に付着している液体を検知すること
を特徴とする液体検知装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分と高調波成分との振幅差または振幅比の変化に基づいて、前記試験体に付着している液体を検知すること
を特徴とする請求項1に記載の液体検知装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、前記発振信号の周波数スペクトルの分布における、基本波成分、高調波成分およびこれらのスプリアス成分のうちの少なくとも一つのピーク周波数の変化に基づいて、前記試験体に付着している液体を検知すること
を特徴とする請求項1に記載の液体検知装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記発振信号の周波数スペクトルの分布における線幅の変化に基づいて、前記試験体に付着している液体を検知すること
を特徴とする請求項1に記載の液体検知装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記増幅器とは独立して設けられ、前記発振信号を無線で受信すること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液体検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を用いて液体を検知する技術として、例えば、特許文献1に記載された液体検知装置がある。特許文献1に記載された液体検知装置は、送信探触子と受信探触子とを対向させて配置し、送信探触子から送信された超音波を、試験体である鋼板に板波として伝搬させ、板波のエネルギーが鋼板に接している液体に漏洩することを利用して、液体を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-196996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された液体検知装置は、超音波の板波が伝搬する経路に存在する大量の液体を検知できるが、水滴のような微量の液体を検知できないという課題があった。
【0005】
本開示は上記課題を解決するものであり、微量の液体を検知することができる液体検知装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る液体検知装置は、電気信号を入力して駆動し、超音波を試験体中に送信する送信探触子と、試験体中を伝搬した超音波を受信して電気信号に変換する受信探触子と、受信探触子によって変換された電気信号を増幅して送信探触子に出力する増幅器と、増幅器、送信探触子、試験体および受信探触子を含む発振ループから受信した発振信号を処理することにより、試験体に付着した液体を検知する信号処理部とを備え、増幅器は、受信探触子によって変換された電気信号を、発振ループに発振が生じる増幅率で増幅し、信号処理部は、発振信号の周波数スペクトルの分布に基づいて、試験体に付着している液体を検知する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、試験体中を伝搬した超音波が電気信号に変換され、当該電気信号が、増幅器、送信探触子、試験体および受信探触子を含む発振ループに発振が生じる増幅率で増幅されて、発振ループに生じた発振信号の周波数スペクトルの分布に基づいて、試験体に付着している液体が検知される。試験体に付着した液体が微量であっても、当該液体に起因して発振信号の周波数スペクトルの分布が変化するので、本開示に係る液体検知装置は、微量の液体を検知することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る液体検知装置の構成を示すブロック図である。
図2】送信探触子および受信探触子の周波数特性を示す図である。
図3】試験体である鋼板中を伝搬する超音波の板波の位相速度の分散特性を示す図である。
図4】実施の形態1における、試験体に水滴が付着していない場合の発振信号の時間波形を示す図である。
図5】実施の形態1における、試験体に水滴が付着していない場合の発振信号の周波数スペクトルの分布を示す図である。
図6】実施の形態1における、試験体に水滴が付着した場合の発振信号の時間波形を示す図である。
図7】実施の形態1における、試験体に水滴が付着した場合の発振信号の周波数スペクトルの分布を示す図である。
図8】実施の形態1における、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分付近を示す図である。
図9】実施の形態1における、発振信号の周波数スペクトルの分布における2倍波成分付近を示す図である。
図10】試験体に水滴が付着していない場合における増幅器の入出力特性の概要を示す説明図である。
図11】試験体に水滴が付着した場合における増幅器の入出力特性の概要を示す説明図である。
図12】発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分と2倍波成分との振幅差の変化に基づいた液体検知の概要を示す説明図である。
図13】発振信号の周波数スペクトルの分布におけるピーク周波数の変化に基づいた液体検知の概要を示す説明図である。
図14】発振信号の周波数スペクトルの分布における線幅の変化に基づいた液体検知の概要を示す説明図である。
図15】発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分付近を示す図である。
図16】実施の形態2に係る液体検知装置の構成を示すブロック図である。
図17】実施の形態2における、試験体に水滴が付着していない場合の発振信号の周波数スペクトルの分布を示す図である。
図18】実施の形態2における、試験体に水滴が付着した場合の発振信号の周波数スペクトルの分布を示す図である。
図19】実施の形態2における、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分付近を示す図である。
図20】実施の形態2における、発振信号の周波数スペクトルの分布における2倍波成分付近を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る液体検知装置1の構成を示すブロック図である。液体検知装置1は、試験体100に付着した液体を検知する装置であり、送信探触子2、受信探触子3、増幅器4および信号処理部5を備える。以下、検知対象の液体が、水滴WDであるものとする。試験体100は、水滴WDの付着の有無が試験される部材であり、例えば、鋼板である。
【0010】
送信探触子2は、その出力部が試験体100の表面に接触した状態で当該試験体100に設置される。送信探触子2の入力部は、ケーブルによって増幅器4の出力部と信号処理部5の入力部とに接続される。受信探触子3は、その入力部が試験体100の表面に接触した状態で当該試験体100に設置される。受信探触子3の出力部は、ケーブルによって増幅器4の入力部に接続されている。
【0011】
送信探触子2は、ケーブルを通じて増幅器4から電気信号を入力して駆動し、電気信号に基づいた超音波を試験体100中に送信する。例えば、送信探触子2は、入力部を通じて、増幅器4の内部に発生した微弱な電気雑音を入力して電気的に駆動することにより、電気雑音の大きさに応じた超音波を生成する。
【0012】
受信探触子3は、試験体100中を伝搬した超音波を、入力部を通じて受信し、受信した超音波を電気信号に変換する。受信探触子3によって変換された電気信号は、出力部からケーブルを通じて増幅器4の入力部へ出力される。
【0013】
増幅器4は、受信探触子3によって変換された超音波の電気信号を増幅し、増幅した電気信号を、出力部からケーブルを通じて送信探触子2の入力部に出力する。送信探触子2は、増幅器4から入力した電気信号によって電気的に駆動する。増幅器4は、発振ループに発振が生じる一定以上の増幅率で電気信号を増幅する。ここで、発振ループは、図1において矢印で示すように、増幅器4、送信探触子2、試験体100および受信探触子3を含む発振ループである。増幅器4によって増幅された超音波の電気信号は、発振ループにおける発振信号である。
【0014】
信号処理部5は、ケーブルを通じて発振ループから受信した発振信号を処理することにより、試験体100に付着した水滴WDを検知する。例えば、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布に基づいて、試験体100に付着した水滴WDを検知する。
【0015】
具体的には、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分と高調波成分(例えば、2倍波成分)との振幅差または振幅比の変化に基づいて、試験体100に付着した水滴WDを検知する。また、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布におけるピーク周波数の変化に基づいて、試験体100に付着した水滴WDを検知することができる。また、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布における線幅の変化に基づいて、試験体100に付着した水滴WDを検知することができる。
【0016】
図2は、送信探触子2および受信探触子3の周波数特性を示す図であり、送信探触子2および受信探触子3の共通の周波数応答特性を示している。図2において、横軸は、周波数(単位;MHz)であり、縦軸は、送信探触子2と受信探触子3との間で送受信される超音波信号の相対振幅を線形スケールで示している。増幅器4における入力信号の増幅率が一定以上であれば、増幅器4、送信探触子2、試験体100および受信探触子3に発振ループが形成される。例えば、図2において、発振ループにおける発振信号の発振周波数は、およそ0.56MHzである。
【0017】
図3は、試験体100である鋼板中を伝搬する超音波の板波の位相速度の分散特性を示す図である。図3において、横軸は、周波数(単位;MHz)であり、縦軸は、板波の位相速度(単位;m/s)を示している。試験体100が板状の部材であると、送信探触子2から送信された超音波は、板波となって試験体100の中を伝搬する。板波の伝搬モードには、伝搬媒質が厚さ方向に対称に変位する対称モードと伝搬媒質が厚さ方向に非対称に変位する対称モードがある。S0モードは、0次の対称モードであり、S1モードは、1次の対称モードである。また、A0モードは、0次の非対称モードであり、A1モードは、1次の非対称モードである。
【0018】
超音波の周波数が、図2に示した0.56MHzであって、鋼板の厚さが2.3mmである場合、図3に示すように、鋼板中には、A0モードの板波とS0モードの板波が伝搬する。送信探触子2および受信探触子3を、位相速度が2500m/s程度の板波を効率よく送受信するように設定すると、鋼板中には、A0モードの板波が効率よく伝搬する。すなわち、上記設定によって、周波数0.56MHzのA0モードの板波が鋼板中を伝搬し、発振が生じる。
【0019】
図4は、試験体100に水滴WDが付着していない場合における発振信号の時間波形を示す図である。図5は、試験体100に水滴WDが付着していない場合における発振信号の周波数スペクトルの分布を示す図である。図4に示す時間波形と図5に示す周波数スペクトルの分布は、試験体100が鋼板であり、この鋼板の厚さが2.3mmであり、送信探触子2および受信探触子3が位相速度2500m/sの板波を効率よく送受信するように設定された実験系で得られたものである。発振信号の時間波形は、図4に示すように波形が歪んでいる。発振信号の周波数スペクトルの分布には、図5に示すように、基本波成分だけでなく、2倍波および3倍波といった高調波成分が生じている。
【0020】
図6は、試験体100に水滴WDが付着した場合における発振信号の時間波形を示す図である。図7は、試験体100に水滴WDが付着した場合における発振信号の周波数スペクトルの分布を示す図である。図6に示す時間波形および図7に示す周波数スペクトルの分布は、図4および図5と同様に、試験体100が鋼板であり、この鋼板の厚さが2.3mmであり、液体検知装置1における送信探触子2および受信探触子3が、位相速度2500m/sの板波を効率よく送受信するように設定された実験系で得られたものである。
【0021】
図6に示す時間波形と図4に示す時間波形は、ほとんど同じに見える。しかしながら、図7に示す周波数スペクトルの分布と図5に示す周波数スペクトルの分布を比較すると、両者には差異が認められる。すなわち、試験体100に水滴WDが付着することで、発振信号の周波数スペクトルの分布が変化するという実験結果が得られた。例えば、周波数スペクトルの分布における、基本波成分および高調波成分の振幅、ピーク周波数およびスペクトル線幅に変化が生じる。
【0022】
信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分および高調波成分の振幅の変化を用いて、試験体100に付着した水滴WDを検知することができる。図8は、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分付近を示す図であり、図5および図7に示した周波数スペクトルの分布における基本波成分付近を拡大して示している。また、図9は、発振信号の周波数スペクトルの分布における2倍波成分付近を示す図であり、図5および図7に示した周波数スペクトルの分布における2倍波成分付近を拡大して示している。
【0023】
図8および図9において、実線の曲線は、試験体100に水滴WDが付着していない場合における周波数スペクトルの分布であり、破線の曲線は、試験体100に水滴WDが付着した場合における周波数スペクトルの分布を示している。試験体100に水滴WDが付着することにより、基本波成分の振幅は、図8に示すように1dB程度低下する。これに対して、2倍波成分の振幅は、図9に示すように6dB程度低下している。
【0024】
図10は、試験体100に水滴WDが付着していない場合における増幅器4の入出力特性の概要を示す説明図である。また、図11は、試験体100に水滴WDが付着した場合における増幅器4の入出力特性の概要を示す説明図である。試験体100に水滴WDが付着していない場合、試験体100、例えば、鋼板中を伝搬する板波は、ほとんど減衰せずに受信探触子3に到達する。出力信号が若干飽和するように増幅器4の増幅率が設定された場合、図10に示すように、出力信号の波形が歪むため、基本波成分だけでなく、高調波成分も発生する。
【0025】
試験体100に水滴WDが付着すると、鋼板中を伝搬する板波は、わずかに減衰して受信探触子3に到達する。このため、図11に示すように、増幅器4への入力信号の振幅が低下するので、飽和領域に達する出力信号の振幅は、わずかとなり、出力信号の歪みは、小さくなる。すなわち、基本波成分の振幅は、あまり変化せず、歪みに起因する高調波成分の振幅が大きく低下する。この結果、図8および図9に示したように周波数スペクトルの分布における基本波成分と2倍波成分とで振幅の変化量が異なるものとなる。
【0026】
図12は、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分と2倍波成分との振幅差の変化に基づいた液体検知の概要を示す説明図である。図12において、校正用部材100Aは、試験体100における、送信探触子2からの板波が伝搬する部分と同じ厚さおよび同じ材質の部材である。液体検知装置1において、試験体100の代わりに、水滴WDが付着していない校正用部材100Aを用いて、増幅器4、送信探触子2、校正用部材100Aおよび受信探触子3に発振ループを形成する。信号処理部5は、発振ループの発振信号を用いて周波数スペクトルの分布を求め、周波数スペクトルの分布における基本波成分の振幅aと2倍波成分の振幅bを算出する。
【0027】
次に、校正用部材100Aを含む発振ループを形成したときの増幅器4の増幅率を維持したままで、液体検知装置1は、校正用部材100Aの代わりに試験体100を用いて、増幅器4、送信探触子2、試験体100および受信探触子3に発振ループを形成する。信号処理部5は、発振ループの発振信号を用いて周波数スペクトルの分布を求め、周波数スペクトルの分布における基本波成分の振幅Aと2倍波成分の振幅Bを算出する。
【0028】
続いて、信号処理部5は、校正用部材100Aを用いて算出した基本波成分と2倍波成分の振幅差(a-b)と、試験体100を用いて算出した基本波成分と2倍波成分の振幅差(A-B)とを比較する。例えば、下記式(1)が成り立つ場合、校正用部材100Aと試験体100はほとんど同じ状態であると判断される。このため、信号処理部5は、試験体100に水滴WDが付着していない(「水滴なし」)と判定する。
(A-B)-(a-b)≒0 ・・・(1)
【0029】
上記式(1)が成り立たず、例えば、下記式(2)が成り立つ場合には、試験体100を用いた発振ループにおいて求めた2倍波成分の振幅Bの低下量が相対的に大きくなるので、水滴WDが付着していない校正用部材100Aにおける板波の伝搬特性と、試験体100における板波の伝搬特性との間に差異がある。この場合、信号処理部5は、試験体100に水滴WDが付着している(「水滴あり」)と判定する。下記式(2)において、Cは、水滴WDの有無を判定するための閾値である。閾値Cは、正負も含めた値が設定される。
(A-B)-(a-b)>C ・・・(2)
【0030】
振幅差(a-b)と振幅差(A-B)とを比較する場合を示したが、信号処理部5は、振幅bと振幅Bとを比較して、試験体100における水滴WDの有無を検知してもよい。また、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分と2倍波成分との振幅差の代わりに、基本波成分と2倍波成分との振幅比を比較した結果に基づいて、試験体100における水滴WDの有無を検知してもよい。さらに、信号処理部5は、基本波成分と2倍波成分との振幅差または振幅比の他に、基本波成分と3倍波以上の高調波成分との振幅差または振幅比を用いて、試験体100における水滴WDの有無を検知してもよい。
【0031】
なお、試験体100中を伝搬する板波における、水滴WDの存在に起因した伝搬損失が大きい場合、増幅器4、送信探触子2、試験体100および受信探触子3における発振が止まってしまう。この結果、周波数スペクトルの分布には、有意な信号がなくなり、雑音だけとなる。この場合、基本波成分の振幅Aと2倍波成分の振幅Bとを特定することは、困難である。そこで、試験体100を用いて求められた周波数スペクトルの分布のうち、校正用部材100Aを用いて求められた振幅aの周波数における振幅が基本波成分の振幅Aであり、振幅bの周波数における振幅が2倍波成分の振幅Bであるものとする。試験体100に水滴WDが付着していれば、振幅aと振幅Aとの間に大きな差異が生じるので、信号処理部5は、試験体100に付着する水滴WDを検知することができる。
【0032】
信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布におけるピーク周波数の変化に基づいて、試験体100における水滴WDの有無を検知できる。発振信号の周波数スペクトルの分布における、基本波成分のピーク周波数がf1であり、2倍波成分のピーク周波数がf2である。図8および図9に示した周波数スペクトルの分布から読み取ったピーク周波数f1およびf2は、以下の通りである。
基本波成分;水滴なし→f1=0.5624MHz、水滴あり→f1=0.5623MHz
2倍波成分;水滴なし→f2=1.1249MHz、水滴あり→f2=1.1246MHz
【0033】
試験体100に水滴WDが付着すると、基本波成分および2倍波成分の各ピーク周波数がわずかに低下する。これは、水滴WDが試験体100に付着することにより、試験体100中を伝搬する板波の音速が変化したためと考えられる。
【0034】
図8および図9に示した周波数スペクトルの分布には、基本波成分および2倍波成分に伴う不要な発振(スプリアス成分)が発生しており、試験体100における水滴WDの有無によってスプリアス成分のピーク周波数も変化する。図8および図9において、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波のスプリアス成分のピーク周波数がfs1であり、2倍波のスプリアス成分のピーク周波数がfs2である。図8および図9に示した周波数スペクトルの分布から読み取ったピーク周波数fs1およびfs2は、以下の通りである。
基本波のスプリアス成分;水滴なし→fs1=0.5317MHz、水滴あり→fs1=0.5323MHz
2倍波のスプリアス成分;水滴なし→fs2=1.0941MHz、水滴あり→fs2=1.0946MHz
【0035】
試験体100に水滴WDが付着すると、基本波のスプリアス成分と2倍波のスプリアス成分の各ピーク周波数がわずかに高くなっている。このように、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分、2倍波成分およびこれらのスプリアス成分のピーク周波数の変化に基づいて、試験体100に付着する水滴WDを検知することができる。
【0036】
図13は、発振信号の周波数スペクトルの分布におけるピーク周波数の変化に基づいた液体検知の概要を示す説明図である。図13において、校正用部材100Aは、試験体100における、送信探触子2から送信された板波が伝搬する部分と同じ厚さおよび同じ材質の部材である。液体検知装置1において、試験体100の代わりに、水滴WDが付着していない校正用部材100Aを用いて、増幅器4、送信探触子2、校正用部材100Aおよび受信探触子3に発振ループを形成する。信号処理部5は、発振ループの発振信号を用いて周波数スペクトルの分布を求め、周波数スペクトルの分布におけるピーク周波数f1、f2、fs1およびfs2を特定する。
【0037】
次に、校正用部材100Aを含む発振ループを形成したときの増幅器4の増幅率を維持したままで、液体検知装置1は、校正用部材100Aの代わりに試験体100を用いて、増幅器4、送信探触子2、試験体100および受信探触子3に発振ループを形成する。信号処理部5は、発振ループの発振信号を用いて周波数スペクトルの分布を求め、周波数スペクトルの分布における基本波成分のピーク周波数f1’、2倍波成分のピーク周波数f2’、基本波のスプリアス成分のピーク周波数fs1’および2倍波のスプリアス成分のピーク周波数fs2’を特定する。
【0038】
続いて、信号処理部5は、校正用部材100Aを用いて得られたピーク周波数と、試験体100を用いて得られたピーク周波数とを比較する。例えば、下記式(3)が成り立つ場合、校正用部材100Aと試験体100とは、ほとんど同じ状態であると判断される。このため、信号処理部5は、試験体100に水滴WDが付着していない(「水滴なし」)と判定する。
fs2’-fs2≒0 ・・・(3)
【0039】
上記式(3)が成り立たず、例えば、下記式(4)が成り立つ場合は、水滴WDが付着していない校正用部材100Aにおける板波の伝搬特性と、試験体100における板波の伝搬特性との間に差異がある。この場合、信号処理部5は、試験体100に水滴WDが付着している(「水滴あり」)と判定する。下記式(4)において、Dは、水滴WDの有無を判定するための閾値である。閾値Cは、正負も含めた値が設定される。
fs2’-fs2>D ・・・(4)
【0040】
2倍波のスプリアス成分のピーク周波数fs2とピーク周波数fs2’を比較する場合を示したが、信号処理部5は、ピーク周波数fs2とピーク周波数fs2’との比較結果に併せて、2倍波成分のピーク周波数f2とピーク周波数f2’とを比較した結果に基づいて、試験体100における水滴WDの有無を検知してもよい。
【0041】
また、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布のうち、試験体100における水滴WDの有無に応じた変化が大きい成分のピーク周波数を選択し、選択したピーク周波数の変化に基づいて、水滴WDの有無を検知してもよい。さらに、信号処理部5は、基本波成分、2倍波成分およびこれらのスプリアス成分のピーク周波数の他に、基本波成分、3倍波以上の高調波成分およびこれらのスプリアス成分のピーク周波数を用いて、試験体100における水滴WDの有無を検知してもよい。
【0042】
また、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布における線幅の変化に基づいて、試験体100における水滴WDの有無を検知できる。図8に示した周波数スペクトルの分布において、試験体100に水滴WDが付着していなければ、基本波成分の周波数で鋭い発振となる。試験体100に水滴WDが付着した場合、水滴WDがない場合に比べて発振周波数近傍の線幅が明らかに大きくなっている。これは、試験体100に水滴WDが付着することにより、増幅器4から出力される信号に含まれる位相雑音が変化することに起因する。すなわち、周波数スペクトルの分布における線幅の変化に基づいて、試験体100における水滴WDの有無を検知することが可能である。なお、「線幅」とは、発振信号の周波数スペクトルの分布におけるピーク周波数付近で、ある一定の振幅(例えば、一定の閾値を超える振幅)を有した周波数スペクトルの幅を意味しており、単位はHzである。
【0043】
図14は、発振信号の周波数スペクトルの分布における線幅の変化に基づいた液体検知の概要を示す説明図である。図14において、校正用部材100Aは、試験体100における、送信探触子2からの板波が伝搬する部分と同じ厚さおよび同じ材質の部材である。液体検知装置1において、試験体100の代わりに、水滴WDが付着していない校正用部材100Aを用いて、増幅器4、送信探触子2、校正用部材100Aおよび受信探触子3に発振ループを形成する。信号処理部5は、発振ループの発振信号を用いて周波数スペクトルの分布を求め、周波数スペクトルの分布における線幅αを特定する。
【0044】
次に、校正用部材100Aを含む発振ループを形成したときの増幅器4の増幅率を維持したままで、液体検知装置1は、校正用部材100Aの代わりに試験体100を用いて、増幅器4、送信探触子2、試験体100および受信探触子3に発振ループを形成する。信号処理部5は、発振ループの発振信号を用いて周波数スペクトルの分布を求め、周波数スペクトルの分布における線幅βを特定する。
【0045】
続いて、信号処理部5は、校正用部材100Aを用いて得られた線幅αと試験体100を用いて得られた線幅βとを比較する。例えば、下記式(5)が成り立つ場合、校正用部材100Aと試験体100はほとんど同じ状態であると判断される。このため、信号処理部5は、試験体100に水滴WDが付着していない(「水滴なし」)と判定する。
β-α≒0 ・・・(5)
【0046】
上記式(5)が成り立たず、例えば、下記式(6)が成り立つ場合は、水滴WDが付着していない校正用部材100Aにおける板波の伝搬特性と、試験体100における板波の伝搬特性との間に差異がある。この場合、信号処理部5は、試験体100に水滴WDが付着している(「水滴あり」)と判定する。下記式(6)において、Eは、水滴WDの有無を判定するための閾値である。閾値Eは、正負も含めた値が設定される。
β-α>E ・・・(6)
【0047】
図8に示した周波数スペクトルの分布において、試験体100に水滴WDが付着することで、周波数スペクトルの分布における線幅が広がっている。しかしながら、発振の条件によっては、周波数スペクトルの分布における線幅が狭くなる場合もある。
【0048】
図15は、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分付近を示す図であり、図8に示した周波数スペクトルの分布が得た条件のうち、増幅器4の増幅率を変化させた場合を示している。増幅器4の増幅率を変化させた場合、試験体100に水滴WDが付着することによって、周波数スペクトルの分布における線幅は、図15に示すように、水滴WDが付着していない場合と比較して狭くなっている。
【0049】
このように、試験体100に水滴WDが付着することにより、周波数スペクトルの分布における線幅が広くなるか、狭くなるかは、発振の条件によって異なる。ただし、試験体100における水滴WDの有無によって、周波数スペクトルの分布における線幅に変化が発生することは、実験結果から明らかである。このため、信号処理部5は、周波数スペクトルの分布における線幅の変化を用いた試験体100における水滴WDの有無を検知することが可能である。
【0050】
なお、信号処理部5は、周波数スペクトルの分布における基本波成分の線幅の他に、高調波成分の線幅の変化を用いて試験体100における水滴WDの有無を検知してもよい。
【0051】
これまでに説明された水滴WDの検知方法は、校正用部材100Aを用いたものであった。ただし、例えば、液体検知装置1において、試験体100を用いた発振ループを形成し、試験体100上に水滴WDがない場合における周波数スペクトルの分布を求め、信号処理部5が、周波数スペクトルの分布の変化をモニタリングすることで、校正用部材100Aを用いることなく、試験体100における水滴WDの有無を検知することができる。
【0052】
以上のように、実施の形態1に係る液体検知装置1は、試験体100中を伝搬した超音波を電気信号に変換し、当該電気信号を、増幅器4、送信探触子2、試験体100および受信探触子3を含む発振ループに発振が生じる増幅率で増幅し、発振ループに生じた発振信号の周波数スペクトルの分布に基づいて、試験体100に付着している水滴WDを検知する。試験体100に付着した液体が微量であっても、当該液体に起因して発振信号の周波数スペクトルの分布が変化するので、液体検知装置1は、微量の液体を検知することが可能である。
【0053】
また、実施の形態1に係る液体検知装置1において、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分と高調波成分との振幅差または振幅比の変化に基づいて、試験体100に付着した液体を検知する。試験体100に付着した液体が微量であっても、当該液体に起因して発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分と高調波成分との振幅差または振幅比が変化するので、液体検知装置1は、微量の液体を検知することが可能である。
【0054】
また、実施の形態1に係る液体検知装置1において、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布における、基本波成分、高調波成分およびこれらのスプリアス成分のうちの少なくとも一つのピーク周波数の変化に基づいて、試験体100に付着した液体を検知する。試験体100に付着した液体が微量であっても、当該液体に起因して発振信号の周波数スペクトルの分布におけるピーク周波数が変化するので、液体検知装置1は、微量の液体を検知することが可能である。
【0055】
実施の形態1に係る液体検知装置1において、信号処理部5は、発振信号の周波数スペクトルの分布における線幅の変化に基づいて、試験体100に付着した液体を検知する。試験体100に付着した液体が微量であっても、当該液体に起因して発振信号の周波数スペクトルの分布における線幅が変化するので、液体検知装置1は、微量の液体を検知することが可能である。
【0056】
実施の形態2.
図16は、実施の形態2に係る液体検知装置1Aの構成を示すブロック図である。試験体100に付着している液体を検知する液体検知装置1Aは、送信探触子2、受信探触子3、増幅器4Aおよび信号処理部5Aを備える。以下、検知対象の液体が水滴WDであるものとする。試験体100は、水滴WDの付着の有無が試験される部材であり、例えば、鋼板である。図16において、図1と同一の構成要素には同一の符号が付され、図1と同一の説明は省略される。
【0057】
増幅器4Aは、増幅器4と同様に、受信探触子3によって変換された超音波の電気信号を増幅し、増幅した電気信号を、出力部からケーブルを通じて送信探触子2の入力部に出力する。送信探触子2は、増幅器4Aから入力した電気信号によって電気的に駆動する。増幅器4Aは、発振ループに発振が生じる一定以上の増幅率で電気信号を増幅する。
【0058】
発振ループは、図16において矢印で示すように、増幅器4A、送信探触子2、試験体100および受信探触子3を含む発振ループである。増幅器4Aによって増幅された超音波の電気信号は、発振ループにおける発振信号である。液体検知装置1Aは、例えば、図16に図示されていない通信部を備えており、発振ループの信号は、当該通信部によって電波として信号処理部5Aへ送信される。
【0059】
信号処理部5Aは、受信アンテナ6を有し、増幅器4Aとは独立した装置に設けられ、受信アンテナ6によって発振ループの発振信号を無線で受信する。信号処理部5Aは、受信アンテナ6を通じて受信した発振信号を処理することにより、試験体100に付着した水滴WDを検知する。例えば、信号処理部5Aは、発振信号の周波数スペクトルの分布に基づいて、試験体100に付着した水滴WDを検知する。
【0060】
図17は、試験体100に水滴WDが付着していない場合における、発振信号の周波数スペクトルの分布を示す図である。図17に示す周波数スペクトルの分布は、試験体100が鋼板であり、この鋼板の厚さが2.3mmであり、送信探触子2および受信探触子3が、位相速度2500m/sの板波を効率よく送受信するように設定された実験系で得られたものである。発振信号の周波数スペクトルの分布には、図17に示すように、基本波成分だけでなく、2倍波および3倍波といった高調波成分が生じている。
【0061】
図18は、試験体100に水滴WDが付着した場合における、発振信号の周波数スペクトルの分布を示す図である。図18に示す周波数スペクトルの分布は、図17と同様に、試験体100が鋼板であり、この鋼板の厚さが2.3mmであり、送信探触子2および受信探触子3が、位相速度2500m/sの板波を効率よく送受信するように設定された実験系で得られたものである。
【0062】
図17に示す周波数スペクトルの分布と図18に示す周波数スペクトルの分布とを比較すると、両者には差異が認められる。すなわち、試験体100に水滴WDが付着することにより、発振信号の周波数スペクトルの分布が変化するという実験結果が得られた。例えば、周波数スペクトルの分布における、基本波成分および高調波成分の振幅、ピーク周波数およびスペクトル線幅に変化が生じる。
【0063】
図19は、発振信号の周波数スペクトルの分布における基本波成分付近を示す図であり、図17および図8に示した周波数スペクトルの分布における基本波成分付近を拡大して示している。図20は、発振信号の周波数スペクトルの分布における2倍波成分付近を示す図であり、図17および図18に示した周波数スペクトルの分布における2倍波成分付近を拡大して示している。図19および図20において、実線の曲線は、試験体100に水滴WDが付着していない場合における周波数スペクトルの分布であり、破線の曲線は、試験体100に水滴WDが付着した場合における周波数スペクトルの分布を示している。試験体100に水滴WDが付着することにより、基本波成分の振幅は、図19に示すように0.17dB程度低下する。これに対し、2倍波成分の振幅は、図20に示すように2.37dB程度低下している。
【0064】
図19および図20に示す周波数スペクトルの分布において、基本波成分と2倍波成分とで振幅の変化量が異なるものとなっている。試験体100に水滴WDが付着すると、鋼板中を伝搬する板波は、わずかに減衰して受信探触子3に到達する。このため、増幅器4Aへの入力信号の振幅が低下することにより、飽和領域に達する出力信号の振幅は、わずかとなり、出力信号の歪みは小さくなる。すなわち、基本波成分の振幅は、あまり変化せず、歪みに起因する高調波成分の振幅が大きく低下する。この結果、図19および図20に示すように、周波数スペクトルの分布における、基本波成分と2倍波成分とで振幅の変化量が異なるものとなる。
【0065】
増幅器4Aの出力部と信号処理部5Aの入力部との間は、ケーブルによって接続されておらず、前述したように、受信アンテナ6を通じた無線通信で接続されている。信号処理部5Aは、受信アンテナ6を通じて増幅器4Aから受信した発振信号を処理することで、発振信号の周波数スペクトルの分布を求める。信号処理部5Aは、このようにして求めた周波数スペクトルの分布における基本波成分と2倍波成分との振幅差または振幅比の変化に基づいて、試験体100に付着した水滴WDを検知する。また、実施の形態1と同様に、信号処理部5Aは、発振信号の周波数スペクトルの分布におけるピーク周波数の変化に基づいて、試験体100に付着した水滴WDを検知することができる。さらに、信号処理部5Aは、発振信号の周波数スペクトルの分布における線幅の変化に基づいて、試験体100に付着した水滴WDを検知することができる。
【0066】
以上のように、実施の形態2に係る液体検知装置1Aにおいて、信号処理部5Aが、増幅器4Aとは独立して設けられ、記発振信号を無線で受信する。これにより、液体検知装置1Aは、実施の形態1と同様に微量の液体を検知することが可能である。さらに、液体検知装置1Aを試験体100に設置する際に、増幅器4Aと信号処理部5Aとをケーブルで接続する必要がないので、液体検知装置1Aの設置における作業効率が向上する。
【0067】
なお、各実施の形態の組み合わせまたは実施の形態のそれぞれの任意の構成要素の変形もしくは実施の形態のそれぞれにおいて任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1,1A 液体検知装置、2 送信探触子、3 受信探触子、4,4A 増幅器、5,5A 信号処理部、6 受信アンテナ、100 試験体、100A 校正用部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20