(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056601
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】キャップユニット及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
B41J2/165 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164440
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】温井 康介
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA17
2C056FA10
2C056JA01
2C056JA13
2C056JA16
(57)【要約】
【課題】吐出面を覆うキャップのリークを低減することができるキャップユニットを提供する。
【解決手段】キャップユニット21は、液体を吐出するノズル16が開口54するヘッド11の吐出面17を覆った状態で吐出面17との間に内部空間を形成する内面と、内面が吐出面17を覆った状態で内面よりも内部空間から離れた外側に位置する外面と、内面と外面との間を第1方向に貫通する貫通孔と、を有するキャップ30と、外面に対向する対向面41と、ベース部50と、貫通孔に挿通され且つキャップ30の内部空間を外部へ連通する連通路を形成する突起が設けられた可動部60であって第1方向に交差する第2方向にベース部50に対して移動可能に連結された可動部60と、を有し、キャップ30を支持するホルダ40と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルが開口するヘッドの吐出面を覆った状態で前記吐出面との間に内部空間を形成する内面と、前記内面が前記吐出面を覆った状態で前記内面よりも前記内部空間から離れた外側に位置する外面と、前記内面と前記外面との間を第1方向に貫通する貫通孔と、を有するキャップと、
前記外面に対向する対向面と、ベース部と、前記貫通孔に挿通され且つ前記キャップの前記内部空間を外部へ連通する連通路を形成する突起が設けられた可動部であって前記第1方向に交差する第2方向に前記ベース部に対して移動可能に連結された可動部と、を有し、前記キャップを支持するホルダと、を備えている、キャップユニット。
【請求項2】
前記ベース部は、
前記可動部が嵌められた開口と、
前記開口の周囲を取り囲む周縁部と、を有し、
前記対向面は前記ベース部及び前記可動部のそれぞれに設けられ、
前記可動部及び前記周縁部のうち、一方の部分は第1係合部を有し、他方の部分は第1被係合部を有し、
前記第1係合部は、前記第1被係合部と係合して、前記可動部の前記対向面が前記ベース部の前記対向面から突出しないように、前記周縁部に対する前記可動部の前記第1方向の一方側への移動を規制する、請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項3】
前記可動部及び前記周縁部のうち、一方の部分は第2係合部を有し、他方の部分は第2被係合部を有し、
前記第2係合部は、前記第2被係合部と係合して、前記周縁部に対する前記可動部の前記第1方向の他方側への移動を規制する、請求項2に記載のキャップユニット。
【請求項4】
前記可動部及び前記周縁部のうち、一方の部分は第3係合部を有し、他方の部分は第3被係合部を有し、
前記第3係合部は、前記第3係合部と係合して、前記周縁部に対する前記可動部の前記第1方向に沿う軸の周りの回転を規制する、請求項2又は3に記載のキャップユニット。
【請求項5】
前記キャップは、前記内面と前記外面との間を前記第1方向に貫通する、前記貫通孔とは別の貫通孔を有し、
前記ベース部は、前記別の貫通孔に挿通され且つ外部へ連通する、前記連通路とは別の連通路を形成する、前記突起とは別の突起を有し、
前記第1方向において前記別の突起の長さは前記突起の長さよりも長い、請求項1~4のいずれか一項に記載のキャップユニット。
【請求項6】
前記突起及び前記別の突起は、前記第2方向に並んでいる、請求項5に記載のキャップユニット。
【請求項7】
前記連通路は、前記内面上の流体を排出する排液用連通路を成し、
前記別の連通路は、前記吐出面と前記内面との間の前記内部空間を大気に開放させる吸気用連通路を成している、請求項5又は6に記載のキャップユニット。
【請求項8】
前記キャップは、前記内面が前記吐出面に対向する底部と、前記底部の縁から立ち上がる側部と、を有し、
前記貫通孔は前記底部に設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載のキャップユニット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項のキャップユニットと、
前記連通路に接続されるポンプと、
前記ヘッドと、を備えている液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップユニット及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のキャップユニットとして、特許文献1のキャップユニットが知られている。このキャップユニットは、液体吐出ヘッドを覆うキャップ部、及び、キャップ部を保持するホルダ部を有している。ホルダ部は側壁部に開放部を有し、キャップ部及びホルダ部のそれぞれは大気開放口及び吸引路を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のキャップユニットでは、液体吐出ヘッドを覆うようにキャップ部を液体吐出ヘッドに当接させて、大気開放口を閉じ、吸引路からキャップ部内を吸引することでキャップ部内を負圧にしている。これにより、液体を液体吐出ヘッドからキャップ部内に排出させている。
【0005】
この液体によりキャップ部は膨張するが、ホルダ部の側壁部に開放部が形成されているため、この開放部が膨張部分の逃げ場となる。しかしながら、キャップ部における各部は膨張によってホルダ部に対して変位する。
【0006】
このため、例えば、キャップ部及びホルダ部のそれぞれに大気開放口がある場合、キャップ部の大気開放口とホルダ部の大気開放口との位置ずれが生じるおそれがある。また、キャップ部及びホルダ部のそれぞれに吸引路がある場合、キャップ部の吸引路とホルダ部の吸引路との位置ずれが生じるおそれがある。この場合、位置ずれによる隙間から空気がリークし、キャップ部内を負圧にできなくなる。
【0007】
本発明はこのような事態に鑑み、吐出面を覆うキャップのリークを低減することができるキャップユニット及び液体吐出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様に係る液体吐出装置は、液体を吐出するノズルが開口するヘッドの吐出面を覆った状態で前記吐出面との間に内部空間を形成する内面と、前記内面が前記吐出面を覆った状態で前記内面よりも前記内部空間から離れた外側に位置する外面と、前記内面と前記外面との間を第1方向に貫通する貫通孔と、を有するキャップと、前記外面に対向する対向面と、ベース部と、前記貫通孔に挿通され且つ前記キャップの前記内部空間を外部へ連通する連通路を形成する突起が設けられた可動部であって前記第1方向に交差する第2方向に前記ベース部に対して移動可能に連結された可動部と、を有し、前記キャップを支持するホルダと、を備えている。
【0009】
本発明のある態様に係る液体吐出装置は、前記キャップユニットと、前記連通路に接続されるポンプと、前記ヘッドと、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、吐出面を覆うキャップのリークを低減することができるキャップユニット及び液体吐出装置を提供することが可能であるという効果を奏する。
【0011】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る液体吐出装置の斜視図である。
【
図3】
図1の吸収体、固体部及びキャップユニットを概略的に示す斜視図である。
【
図8】ベース部の一部を上方から視た斜視図である。
【
図9】ベース部の一部を下方から視た斜視図である。
【
図10】可動部の一部を上方から視た斜視図である。
【
図11】可動部の一部を下方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0014】
<液体吐出装置の構成>
本発明の実施の形態に係る液体吐出装置10は、
図1に示すように、例えば、ヘッド11から被吐出媒体Aに、インク等の液体を吐出して画像を印刷するインクジェットプリンタである。被吐出媒体Aとしては、布帛及び紙等のシート、並びに、ボール及びマグカップなどの立体物が挙げられる。液体吐出装置10は、筐体12、ヘッドユニット13、走査装置70、搬送装置80及びメンテナンスユニット20を備えている。
【0015】
筐体12は、ヘッドユニット13、メンテナンスユニット20、走査装置70、搬送装置80及びをその内部空間に収容している。筐体12は、走査方向において記録領域及びメンテナンス領域が設けられている。記録領域は、筐体12において走査方向の中央に配置されている。メンテナンス領域は、走査方向において記憶領域の一方側(例えば、左側)に配置されている。
【0016】
走査装置70は、一対の走査レール71、キャリッジ72、駆動ベルト73、走査モータ74を有し、ヘッドユニット13を走査方向に移動させる。一対の走査レール71は、記録領域及びメンテナンス領域に亘って走査方向に延びる長尺部材であって、搬送方向において互いの間にヘッドユニット13を挟むように互いに平行に配置されている。キャリッジ72は、ヘッドユニット13を搭載し、走査レール71に沿って移動可能に一対の走査レール71に支持されている。駆動ベルト73は、無端ベルトであって、走査方向に走査レール71に沿って延び、キャリッジ72に接続され、プーリを介して走査モータ74に連結されている。走査モータ74は、駆動ベルト73を駆動することにより、キャリッジ72を走査方向に往復移動させる。
【0017】
搬送装置80は、ステージ81、一対の搬送レール82、ステージ支持台83及び搬送モータを有している。ステージ81は、その上面に被吐出媒体Aが載置され、被吐出媒体Aとヘッド11との間隔を規定する。一対の搬送レール82は、搬送方向に延びている。ステージ支持台83は、例えば、ステージ81を取り外し可能に支持し、搬送レール82に沿って移動可能に一対の搬送レール82に支持され、搬送モータに連結されている。搬送モータは、ステージ支持台83を駆動することにより、ステージ81を搬送レール82に沿って搬送方向に移動させる。
【0018】
ヘッドユニット13は、ヘッド11を備えている。ヘッド11は、複数のノズル16(
図2)、ノズル16が開口する吐出面17(
図2)、及び、ノズル16に対応する駆動素子を有している。吐出面17は、ステージ81、及び、ステージ81上に載置された被吐出媒体Aに対向している。駆動素子が駆動することにより、ノズル16の液体に圧力が付与される。これにより、ノズル16から液体が吐出され、液体が被吐出媒体Aに着弾する。
【0019】
ヘッド11から吐出される液体が紫外線硬化型である場合、ヘッドユニット13は光照射部18を備えている。光照射部18は、複数の光源を有しており、紫外線等の光を被吐出媒体Aに光源から照射する。この光によって被吐出媒体A上の液体が硬化して被吐出媒体Aに定着することにより、被吐出媒体Aに画像が記録される。
【0020】
<メンテナンスユニット>
メンテナンスユニット20は、メンテナンス領域に配置されている。
図2に示すように、メンテナンスユニット20は、キャップユニット21、排液用連通路22、ポンプ23、弁24及び昇降装置25を備え、キャップユニット21はキャップ30及びホルダ40を有している。キャップ30及びホルダ40は上部が開口した形状を有し、ホルダ40はキャップ30を内部に収容して支持する。キャップ30は、その内面であるキャップ内面31、及び、キャップ内面31とは反対側の外面であるキャップ外面32を有する。ホルダ40は、キャップ外面32と対向する対向面41、及び、対向面41とは反対側の表面42を有している。
【0021】
なお、キャップ30には、排液用連通路22を形成する突起を成す排液用突起65aが挿通する貫通孔を成す排液用貫通孔33が設けられており、この排液用貫通孔33がキャップ30を貫通する第1方向を上下方向と称する。また、ホルダ40は、ベース部50、及び、ベース部50に対して移動可能な可動部60を有しており、この可動部60がベース部50に対して移動する第2方向を前後方向と称する。さらに、第1方向及び第2方向に対して交差(例えば、直交)する方向を左右方向と称する。第1方向及び第2方向は互いに交差(例えば、直交)する方向である。但し、キャップユニット21の配置はこれに限定されない。
【0022】
メンテナンスユニット20は、キャップ30の内部空間を外部へ連通する連通路として、排液用連通路22、及び、排液用連通路22とは異なる別の連通路を成す吸気用連通路26を有している。排液用連通路22を形成する排液管22aにはポンプ23が設けられており、吸気用連通路26を形成する吸気管26aには弁24が設けられている。昇降装置25は、キャップユニット21を上昇及び下降可能に構成されている。
【0023】
ヘッド11をパージする際には、キャップユニット21を昇降装置25により上昇させて、ヘッド11の吐出面17にキャップ30を当接させる。これにより、吐出面17がキャップ30で覆われ、吐出面17及びキャップ30により内部空間が形成される。この内部空間に排液用連通路22及び吸気用連通路26が連通している。ここで、弁24を閉じることにより、吸気用連通路26を遮断して、内部空間を密閉する。そして、ポンプ23を駆動すると、内部空間が負圧になり、ノズル16から液体がキャップ30の内部空間へ排出される。このパージによって、ヘッド11内のノズル16に存在する増粘液体及び気泡等が排出され、ヘッド11の吐出機能を維持することができる。
【0024】
キャップ30内に排出された液体は、さらに排液用連通路22を通りキャップ30の外へ排出される。パージ後には、ポンプ23の駆動を停止し、弁24を開いて、吸気用連通路26を介して内部空間を大気に開放する。これにより、空気が吸気用連通路26を通って流入した内部空間は大気圧となり、その後、昇降装置25によりキャップユニット21を降下させてキャップ30を吐出面17から離すことで、一連のパージ処理が完了する。
【0025】
<キャップユニット>
図2~
図3に示すように、キャップ30は、ゴム等の弾性部材により形成されており、上部が開口し、この上部開口の内方部分は上部開口から下方に窪んでいる。キャップ30は、底部を成す第1底部34及び側部を成す第1側部35を有している。例えば、第1底部34は、矩形状の平板であって、第1上面34a及び第1下面34bを有している。第1側部35は、上下方向に延びる軸に直交する断面が矩形の筒形状(換言すれば、矩形の枠形状)であって、第1底部34の外周縁から上方に立ち上がっている。このため、第1側部35の下端は第1底部34の外周縁に接続され、第1側部35の下開口は第1底部34により覆われる。
【0026】
第1側部35は、外面35bとその内側に配置された内面35aとを有している。第1側部35の内面35aは第1底部34の第1上面34aに接続され、第1側部35の内面35a及び第1底部34の第1上面34aはキャップ内面31を形成する。第1側部35の外面35bは第1底部34の第1下面34bに接続され、第1側部35の外面35b及び第1底部34の第1下面34bはキャップ外面32を形成する。
【0027】
キャップ30が吐出面17を覆った状態において、第1底部34の第1上面34aは吐出面17に対向し、第1側部35の上端が吐出面17に接触し、キャップ内面31は吐出面17との間に内部空間を形成する。これにより、吐出面17にて開口するノズル16はキャップ30により取り囲まれる。このとき、キャップ外面32は、キャップ30が吐出面17との間に形成する内部空間からキャップ内面31よりも離れた外側に位置する。
【0028】
キャップ30には、貫通孔を成す第1吸気用貫通孔36、及び、この第1吸気用貫通孔36とは別の貫通孔を成す排液用貫通孔33が開口している。第1吸気用貫通孔36及び排液用貫通孔33は、キャップ内面31とキャップ外面32との間を貫通している。例えば、第1吸気用貫通孔36及び排液用貫通孔33は、第1底部34に設けられており、第1底部34の第1上面34aと第1下面34bとの間を上下方向に貫通している。なお、これらの貫通孔の形成箇所は第1底部34に限られない。例えば、これらの貫通孔のうち一方又は両方は、第1側部35に設けてもよく、具体的には上下方向に直交する方向に第1側部35を貫通するようにして設けてもよい。
【0029】
キャップ30の内側には、キャップ30内の液体を吸収するための吸収体27が配置されている。吸収体27は、スポンジ等の多孔質材料からなり、矩形の平板形状を有している。吸収体27はキャップ30の第1底部34の第1上面34aを覆っている。吸収体27には、キャップ30の第1吸気用貫通孔36に重なる位置に、貫通孔を成す第2吸気用貫通孔28が設けられている。従って、第1吸気用貫通孔36の上端が第2吸気用貫通孔28の下端に接続されている。吸収体27上には、吸収体27をキャップ30に固定する固定部29が配置されている。固定部29は、矩形の枠形状で吸収体27の上面の大部分を露出させつつ固定している。
【0030】
ホルダ40は、上部が開口し、この上部開口の内方部分は上部開口から下方に窪む窪み40aを有している。ホルダ40の窪み40a内にキャップ30が収容され、ホルダ40はキャップ30を保持する。ホルダ40は、対向面41、及び、対向面41と反対側の表面42を有している。ホルダ40がキャップ30を収容した状態において、対向面41はキャップ外面32に対向し、外面を覆っている。さらに、キャップ30が吐出面17を覆った状態、すなわち、昇降装置25によってホルダ40が上昇した状態において、表面42は外部に現れている。
【0031】
図2~
図7に示すように、ホルダ40は、ベース部50及び可動部60を有している。ベース部50は、底部を成す第2底部51、及び、側部を成す第2側部52を有している。例えば、第2底部51は、矩形状の平板であって、第2上面及び第2下面を有している。第2側部52は、例えば、前壁52a、後壁52b、右壁52c及び左壁52dを有している。各壁は、矩形の平板形状であって、第2底部51の外周縁から上方に立ち上がっている。
【0032】
前壁52aは第2底部51の前端に接続され、後壁52bは第2底部51の後端に接続され、前壁52a及び後壁52bは前後方向に交差(例えば、直交)している。右壁52cは第2底部51の右端に接続され、左壁52dは第2底部51の左端に接続され、右壁52c及び左壁52dは左右方向に交差(例えば、直交)している。前壁52aと右壁52cとの間、右壁52cと後壁52bとの間、後壁52bと左壁52dとの間、左壁52dと前壁52aとの間には、隙間が設けられている。これにより、第2側部52は、その上下方向に延びる軸に直交する断面が矩形の筒形状(換言すれば、矩形の枠形状)であって、各角には隙間が設けられている。
【0033】
第2側部52は内面及びこの内面の外側に配置された外面を有している。第2側部52の内面は第2底部51の第2上面に接続され、第2側部52の内面及び第2底部51の第2上面はホルダ40の対向面41を形成する。第2側部52の外面及び第2底部51の第2下面はホルダ40の表面42を形成する。
【0034】
ホルダ40がキャップ30を収容した状態において、第2底部51の第2上面が第1底部34の第1下面34bに対向して接触する。ここで、第2底部51は第1底部34よりも大きく、第2側部52の内面により囲まれたサイズは第1側部35の外面により囲まれたサイズよりも大きい。このため、第2側部52の内面と第1側部35の外面との間に隙間が設けられる。また、上下方向において、第2側部52の長さは第1側部35の長さよりも短い。つまり、第2側部52の第2上面からの高さ寸法は、第1側部35の第1下面34bからの高さ寸法よりも小さい。このため、キャップ30が吐出面17を覆う際、ホルダ40に収容されたキャップ30の第1側部35の上端は、第2側部52の上端よりも上に突出して、吐出面17に接触することができる。この状態において、ホルダ40の表面42は外側に露出する。
【0035】
ベース部50には、突起を成す吸気用突起58a、及び、吸気用接続部58bが設けられている。吸気用突起58aは第2上面から上方に突出し、吸気用接続部58bは第2下面から下方に突出している。吸気用突起58a及び吸気用接続部58bは、筒形状であって、互いの間に第2底部51を挟んで、互いに対応する位置に配置されている。従って、吸気用連通路26が、吸気用突起58a、第2底部51、及び吸気用接続部58bを上下方向に貫通している。
【0036】
第2上面から突出する吸気用突起58aの長さh1は、上下方向におけるキャップ30(
図2)の第1底部34の厚みよりも大きく、第1底部34の厚みと吸収体27の厚みとの合計以下である。吸収体27がキャップ30内に配置され、キャップ30がホルダ40に収容された状態において、吸気用突起58aは第1吸気用貫通孔36及び第2吸気用貫通孔28に挿入される。吸気用突起58aの上端は、吸収体27の上面と同一平面上、又は、吸収体27の上面と下面との間に配置される。吸気用接続部58bは、吸気管26aの上端に接続されている。吸気管26aの下端は大気に開放されており、吸気管26aには弁24が設けられている。
【0037】
図8及び
図9に示すように、ベース部50には、開口54、及び、開口54の周囲を取り囲む周縁部55が設けられている。開口54は、略矩形状であって、第2底部51に配置されており、第2底部51の第2内面と第2外面との間を上下方向に貫通している。周縁部55は、前縁55a、後縁55b、右縁55c、左縁55d、凹部56、段差、凸部57及び間隙を有している。
【0038】
前縁55a及び後縁55bは互いに平行に左右方向に延び、右縁55c及び左縁55dは互いに平行に前後方向に延びている。右縁55cは前縁55aの右端と後縁55bの右端に接続され、左縁55dは前縁55aの左端と後縁55bの左端に接続されている。
【0039】
図8に示すように、凹部56は、例えば、4つの凹部を成す前側右凹部56a、後側右凹部56b、前側左凹部56c及び後側左凹部56dを有している。ベース部50の第2上面側において、前側右凹部56a及び後側右凹部56bは開口54よりも右に設けられ、前側左凹部56c及び後側左凹部56dは開口54よりも左に設けられ、前側右凹部56a及び前側左凹部56cは後側右凹部56b及び後側左凹部56dよりも前に配置されている。
【0040】
前側右凹部56a及び後側右凹部56bは、第2上面から下に窪み、右縁55cから右に窪んでいる。第2上面から下に窪む前側右凹部56aの底面を成す前側右底面56a1と、第2上面から下に窪む後側右凹部56bの底面を成す後側右底面56b1とは、互いに同一平面上に配置されている。
【0041】
右段差56eは、前側右凹部56aの後であって、後側右凹部56bの前に配置されている。右段差56eは、その上面が第2上面により構成されている。この第2上面と前側右底面56a1及び後側右底面56b1とは平行である。また、上下方向において第2上面と前側右底面56a1との間の高さは、第2上面と後側右底面56b1との深さと等しい。
【0042】
前側左凹部56cは前側右凹部56aと同様であり、後側左凹部56dは後側右凹部56bと同様である。前側左凹部56cと後側左凹部56dとの間の左段差56fは右段差56eと同様である。前側左凹部56cの底面を成す前側左底面56c1は前側右底面56a1と同様である。後側左凹部56dの底面を成す後側左底面56d1は後側左底面56d1と同様である。これにより、前側右底面56a1、後側右底面56b1、前側左底面56c1及び後側左底面56d1は互いに同一平面上にあり、この平面と第2上面とは互いに平行に設けられている。
【0043】
図9に示すように、凸部57は、例えば、4つの凸部を成す前側右凸部57a、後側右凸部57b、前側左凸部57c及び後側左凸部57dを有している。ベース部50の第2下面側において、前側右凸部57a及び後側右凸部57bは開口54の右側に設けられ、前側左凸部57c及び後側左凸部57dは開口54の左側に設けられている。
【0044】
前側右凸部57a及び後側右凸部57bは、第2下面から下に突出し、右縁55cから右に突出している。前側右凸部57aの左面を成す前側左面57a1及び後側右凸部57bの左面を成す後側左面57b1は、右縁55cと同一平面上に配置されている。前側右凸部57a及び後側右凸部57bは、上下方向に直交する断面が台形の柱形状であって、右縁55cから右側に離れるほど前後方向の長さが長くなるように配置されている。
【0045】
右間隙57eは、前側右凸部57aの後であって、後側右凸部57bの前に配置されている。下から視て、右間隙57eは右段差56eに重なるように配置されている。右間隙57eには右段差56eの第2下面が現れており、右間隙57eは右縁55cから右側に離れるほど前後方向の長さが短くなっている。
【0046】
前側左凸部57cは前側右凸部57aと同様であり、後側左凸部57dは後側右凸部57bと同様である。前側左凸部57cと後側左凸部57dとの間の左間隙57fは右間隙57eと同様である。これにより、前側左凸部57cの右面を成す前側右面57c1及び後側左凸部57dの右面を成す後側右面57d1は、左縁55dと同一平面上に配置されている。
【0047】
図10及び
図11に示すように、可動部60は、第3底部61、第1突出部62、第2突出部63及び第3突出部64を有している。第3底部61は、上下方向に直交する断面が矩形の平板形状であって、第3上面及び第3下面を有している。
【0048】
第3底部61には、吸気用突起58aとは別の突起を成す排液用突起65a、及び、排液用接続部65bが設けられている。排液用突起65aは吸気用突起58aの後方に配置され、吸気用突起58a及び排液用突起65aはホルダ40において前後方向に並んでいる。排液用突起65aは第3上面から上に突出し、排液用接続部65bは第3下面から下に突出している。排液用突起65a及び排液用接続部65bは、筒形状であって、互いの間に第3底部61を挟んで、互いに対応する位置に配置されている。排液用連通路22が、排液用接続部65b、第3底部61及び排液用突起65aを上下方向に貫通している。排液用接続部65bは、排液管22a(
図2)に接続されており、排液管22aにはポンプ23(
図2)が配置されている。
【0049】
第3上面から突出する吸気用突起58aの長さh1は、突出する排液用突起65aの長さh2よりも長い。排液用突起65aの長さは、上下方向におけるキャップ30(
図2)の厚みと等しい。キャップ30内に吸収体27が配置され、ホルダ40にキャップ30が収容された状態において、排液用突起65aは排液用貫通孔33(
図2)に挿入される。上下方向において、排液用突起65aの上端は、キャップ30の第1上面34aと同一の平面上に配置され、吸収体27の下面に接触している。
【0050】
第1突出部62は、例えば、直方体形状であって、第4上面及び第4下面を有している。この第4上面は第3底部61の第3上面と同一平面上にあり、第3上面及び第4上面は可動部60の上面を構成する。
【0051】
第1突出部62は、複数(例えば、4本)の突出部を成す前側右第1突出部62a、後側右第1突出部62b、前側左第1突出部62c、後側左第1突出部62dを有している。前側右第1突出部62aは第3底部61の右端から右に突出し、後側右第1突出部62bは、前側右第1突出部62aの後方において第3底部61の右端から右に突出している。前側左第1突出部62cは第3底部61の左端から左に突出し、後側左第1突出部62dは、前側左第1突出部62cの後方において第3底部61の左端から左に突出している。前側右第1突出部62a及び前側左第1突出部62cと後側右第1突出部62b及び後側左第1突出部62dとは、前後方向に間隔を空けて、互いに平行に配置されている。
【0052】
左右方向において、前側右第1突出部62a及び前側左第1突出部62cは第3底部61を挟んで直線状に延び、後側右第1突出部62b及び後側左第1突出部62dは第3底部61を挟んで直線状に延びている。前側右第1突出部62aの前右第1面62a1及び後側右第1突出部62bの後右第1面62b1は互いに同一平面上にあり、前側左第1突出部62cの前左第1面62c1及び後側左第1突出部62dの後左第1面62d1は互いに同一平面上にある。
【0053】
第2突出部63は、複数(例えば、2本)の突出部を成す右第2突出部63a、左第2突出部63bを有している。右第2突出部63aは第3底部61から右に延び、左第2突出部63bは第3底部61から左に延びている。左右方向において、右第2突出部63a及び左第2突出部63bは、互いに同一直線上に配置されている。
【0054】
右第2突出部63aは、前後方向において前側右第1突出部62aと後側右第1突出部62bとの間に配置され、右アーム63a1及び右屈曲部63a2を有している。右アーム63a1は、第3底部61の右端から右に突出してから下に延びており、この下に延びている右延伸部63a3と第3底部61の右端との間に間隔が空けられている。この間隔により右アーム63a1は右に撓むことができる。右屈曲部63a2は、右アーム63a1の右延伸部63a3の下端から右へ屈曲している。
【0055】
左第2突出部63bは、前後方向において前側左第1突出部62cと後側左第1突出部62dとの間に配置され、左アーム63b1及び左屈曲部63b2を有している。左アーム63b1は、第3底部61の左端から左に突出してから下に延びており、この下に延びている左延伸部63b3と第3底部61の左端との間に間隔が空けられている。この間隔により左アーム63b1は左に撓むことができる。左屈曲部63b2は、左アーム63b1の左延伸部63b3の下端から左へ屈曲している。
【0056】
第3突出部64は、直方体形状であって、複数(例えば、4本)の突出部を成す前側右第3突出部64a、後側右第3突出部64b、前側左第3突出部64c、後側左第3突出部64dを有している。前側右第3突出部64aは、前側右第1突出部62aの第4下面及び第3底部61の第3下面から下に突出し、後側右第3突出部64bは、後側右第1突出部62bの第4下面及び第3底部61の第3下面から下に突出している。前側左第3突出部64cは、前側左第1突出部62cの第4下面及び第3底部61の第3下面から下に突出し、後側左第3突出部64dは、後側左第1突出部62dの第4下面及び第3底部61の第3下面から下に突出している。
【0057】
前側右第3突出部64aの前右第3面64a1及び後側右第3突出部64bの後右第3面64b1は互いに同一平面上にあり、前側左第3突出部64cの前左第3面64c1及び後側左第3突出部64dの後左第3面64d1は互いに同一平面上にある。前右第3面64a1と前左第3面64c1との間の長さは、後右第3面64b1と後左第3面64d1との間の長さと等しく、前右第1面62a1と前左第1面62c1との間の長さ、及び、後右第1面62b1と後左第1面62d1との間の長さよりも短い。前側右第1突出部62aは前側右第3突出部64aよりも右に突出し、後側右第1突出部62bは後側右第3突出部64bよりも右に突出している。前側左第1突出部62cは前側左第3突出部64cよりも左に突出し、後側左第1突出部62dは後側左第3突出部64dよりも左に突出している。
【0058】
図4~
図7に示すように、可動部60をベース部50の開口54に嵌める際、右第2突出部63aの右端と左第2突出部63bの左端との間の可動部60の長さは、開口54の左右方向の長さよりも長い。このため、左右方向において、可動部60の長さが短くなるように、右第2突出部63aの右アーム63a1及び左第2突出部63bの左アーム63b1を左右方向に撓ませる。そして、第2底部51の右段差56eと左段差56fとの間から開口54に第2突出部63を嵌める。これにより、右屈曲部63a2が右間隙57eにおいて右縁55cよりも右に延びて、右屈曲部63a2の上面が右段差56eの第2下面に対向する。また、左屈曲部63b2が左間隙57fにおいて左縁55dよりも左に延びて、左屈曲部63b2の上面が第2下面に対向する。
【0059】
このように、上方向において、右第2突出部63aの右屈曲部63a2が右間隙57eにおける右段差56eの第2下面に係合し、左第2突出部63bの左屈曲部63b2が左間隙57fにおける左段差56fの第2下面に係合する。このため、右第2突出部63a及び右段差56eのいずれか一方が第2係合部となり、他方が第2被係合部となる。また、左第2突出部63b及び左段差56fのいずれか一方が第2係合部となり、他方が第2被係合部となる。この第2係合部及び第2被係合部の係合によって、可動部60が周縁部55から上方向に移動することが規制され、開口54から上に抜け出ることが抑制される。
【0060】
また、可動部60が開口54に嵌められると、前側右第1突出部62aが前側右凹部56aに嵌り、後側右第1突出部62bが前側右凹部56aに嵌り、前側左第1突出部62cが前側左凹部56cに嵌り、後側左第1突出部62dが後側左凹部56dに嵌る。このように、第1突出部62が凹部56内に収まると、第1突出部62の下面が凹部56の底面に接触して、第1突出部62と凹部56の底面とが係合する。このため、第1突出部62と凹部56の底面のうちいずれか一方が第1係合部となり、他方が第1被係合部となる。この第1係合部及び第1被係合部の係合によって、可動部60が周縁部55から下方向に移動することが規制され、開口54から下に抜け落ちることが抑制される。
【0061】
ここで、4つの凹部56の底面は、互いに同一平面上にあり、第2底部51の第2上面に対し平行である。また、第1突出部62の高さh3は、凹部56の深さh4と等しい。このため、第1突出部62の第4上面が構成する可動部60の上面は、凹部56が設けられたベース部50の第2上面と同一平面上にある。この可動部60の上面及びベース部50の第2上面は、ホルダ40の対向面41を構成する。これにより、対向面41において第1突出部62がベース部50の第2上面から上に突出しないことより、ホルダ40はキャップ30を傾かずに支持できるため、キャップ30を吐出面17に密着させ、内部空間のリークを低減することができる。
【0062】
なお、第1突出部62の高さh3は、凹部56の深さh4よりも低くてもよい。この場合、可動部60の上面はベース部50から上に突出しない。これにより、ホルダ40はキャップ30を傾かずに支持するため、キャップ30を吐出面17に密着させて、内部空間のリークを低減することができる。
【0063】
また、前側右第3突出部64aの前右第3面64a1は前側右凸部57aの前側左面57a1及び右縁55cに対向し、後側右第3突出部64bの後右第3面64b1は後側右凸部57bの後側左面57b1及び右縁55cに対向する。前側左第3突出部64cの前左第3面64c1は前側左凸部57cの前側右面57c1及び左縁55dに対向し、後側左第3突出部64dの後左第3面64d1は後側左凸部57dの後側右面57d1及び左縁55dに対向する。
【0064】
この4つの第3突出部64により周囲が取り囲まれるように排液用突起65aが可動部60に配置されている。このため、上下方向に延びる排液用突起65aの軸を中心に可動部60が回転しようとすると、前右第3面64a1が前側左面57a1及び右縁55cに係合し、後右第3面64b1が後側左面57b1及び右縁55cに係合し、前左第3面64c1が前側右面57c1及び左縁55dに係合し、後左第3面64d1が後側右面57d1及び左縁55dに係合する。このため、第3突出部64及び凸部57のいずれか一方が第3係合部となり、他方が第3被係合部となる。この第3係合部及び第3被係合部の係合によって、周縁部55に対する可動部60の第1方向に沿う軸の周りの回転を規制することができる。
【0065】
さらに、前後方向において、第1突出部62の幅w1は凹部56の幅w2よりも狭い。このため、前側右第1突出部62aは、前側右底面56a1上において前側右凹部56aを形成している前縁55aと右段差56eの前面との間で移動可能である。前側右第1突出部62aが前に移動することにより、前縁55aに当接して、右段差56eの前面との間に間隙が設けられる。また、他の後側右第1突出部62b、前側左第1突出部62c及び後側左第1突出部62dは前側右第1突出部62aと同様である。
【0066】
このように、4本の第1突出部62により凹部56内において底面上を移動する。これにより、可動部60の上面がベース部50の上面と同一平面上又はベース部50の上面に平行な状態で、可動部60はベース部50に対して前後方向に移動可能である。
【0067】
例えば、第1突出部62が凹部56内における前側に配置されている。そして、パージによる液体でキャップ30が膨潤すると、前後方向に並ぶ第1吸気用貫通孔36と排液用貫通孔33との間隔が拡がる。この第1吸気用貫通孔36に挿入されている吸気用突起58aはベース部50に設けられており、排液用貫通孔33に挿入されている排液用突起65aは可動部60に設けられている。
【0068】
このため、キャップ30の膨潤に伴って可動部60がベース部50に対して凹部56内における後側へ移動する。これにより、貫通孔の間隔に拡がりに応じて突起の間隔が拡がり、第1吸気用貫通孔36に対して排液用貫通孔33が後に移動するに連れて、吸気用突起58aに対して排液用突起65aが後に移動する。これにより、第1吸気用貫通孔36と吸気用突起58aとの位置ずれ、及び、排液用貫通孔33と排液用突起65aとの位置ずれが低減され、位置ずれによる隙間の発生が抑制され、隙間を通じた内部空間のリークを低減することができる。
【0069】
このように、キャップユニット21は、液体を吐出するノズル16が開口するヘッド11の吐出面17を覆った状態で吐出面17との間に内部空間を形成するキャップ内面31と、キャップ内面31が吐出面17を覆った状態でキャップ内面31よりも内部空間から離れた外側に位置するキャップ外面32と、キャップ内面31とキャップ外面32との間を第1方向に貫通する貫通孔と、を有するキャップ30と、外面に対向する対向面41と、ベース部50と、貫通孔に挿通され且つキャップ30の内部空間を外部へ連通する連通路を形成する突起が設けられた可動部60であって第1方向に交差する第2方向にベース部50に対して移動可能に連結された可動部60と、を有し、キャップ30を支持するホルダ40と、を備えている。
【0070】
これにより、例えば、可動部60はベース部50に対して前後方向に移動する。このため、液体によってキャップ30が膨張して、排液用貫通孔33が移動しても、これに伴い排液用貫通孔33に挿通した排液用突起65aも移動する。よって、排液用貫通孔33と排液用突起65aとの位置ずれが抑制され、位置ずれによる隙間から空気がリークすることを低減することができる。
【0071】
また、キャップユニット21では、ベース部50は、可動部60が嵌められた開口54と、開口54の周囲を取り囲む周縁部55と、を有している。対向面41はベース部50及び可動部60のそれぞれに設けられている。可動部60及び周縁部55のうち、一方の部分は第1係合部を有し、他方の部分は第1被係合部を有している。第1係合部は、第1被係合部と係合して、可動部60の対向面41がベース部50の対向面41から突出しないように、周縁部55に対する可動部60の第1方向の一方側への移動を規制する。
【0072】
これによれば、例えば、第1突出部62と凹部56の底面とが係合することによって、可動部60が周縁部55から下に移動することが規制され、開口54から下に抜け落ちることが抑制される。また、第1突出部62の対向面41がベース部50の対向面41から上に突出しないことより、ホルダ40はキャップ30を傾かずに支持するため、キャップ30を吐出面17に密着させ、内部空間のリークを低減することができる。
【0073】
さらに、キャップユニット21は、可動部60及び周縁部55のうち、一方の部分は第2係合部を有し、他方の部分は第2被係合部を有している。第2係合部は、第2被係合部と係合して、周縁部55に対する可動部60の第1方向の他方側への移動を規制する。
【0074】
これによれば、例えば、右第2突出部63aの右屈曲部63a2が左段差56fの第2下面に係合し、左第2突出部63bの左屈曲部63b2が左段差56fの第2下面に係合する。これにより、可動部60が周縁部55から上に移動することが規制され、開口54から上に抜け出ることが抑制される。よって、キャップユニット21を容易に製造することができる。
【0075】
さらに、キャップユニット21は、可動部60及び周縁部55のうち、一方の部分は第3係合部を有し、他方の部分は第3被係合部を有している。第3係合部は、第3係合部と係合して、周縁部55に対する可動部60の第1方向に沿う軸の周りの回転を規制する。
【0076】
これによれば、例えば、第3突出部64と凸部57とが係合することにより、周縁部55に対する可動部60の第1方向に沿う軸の周りの回転を規制することができる。よって、可動部60に設けられた排液用突起65aが、ホルダ40に支持されたキャップ30の排液用貫通孔33に対して回転することが抑制され、排液用突起65aと排液用貫通孔33の縁との間を介した内部空間のリークを低減することができる。
【0077】
また、キャップ30は、内面と外面との間を第1方向に貫通する、貫通孔とは別の貫通孔を有している。ベース部50は、別の貫通孔に挿通され且つ外部へ連通する、連通路とは別の連通路を形成する、突起とは別の突起を有している。第1方向において別の突起の長さは突起の長さよりも長い。
【0078】
これによれば、例えば、上下方向においてベース部50の第2底部51から突出する吸気用突起58aの長さは、可動部60の第3底部61から突出する排液用突起65aの長さよりも長い。このため、吸気用突起58aの上端は排液用突起65aの上端よりも上にある。このため、吸気用突起58aの吸気用連通路26を通して内部空間に空気を供給し、キャップ30を対向面41から取り外すことができる。また、排液用突起65aの排液用連通路22を通してキャップ30内の液体を排出することができる。
【0079】
さらに、突起及び別の突起は、第2方向に並んでいる。これによれば、例えば、吸気用突起58a及び排液用突起65aは前後方向に並び、可動部60はベース部50に対して前後方向に移動する。これにより、キャップ30の膨潤によって、第1吸気用貫通孔36と排液用貫通孔33との間隔が拡がるに伴い、可動部60がベース部50に対して移動し、吸気用突起58aと排液用突起65aとの間隔が拡がる。このため、排液用貫通孔33と排液用突起65aとの位置ずれが抑制され、位置ずれによる隙間から空気がリークすることを低減することができる。
【0080】
さらに、キャップユニット21では、連通路は、内面上の流体を排出する排液用連通路22を成し、別の連通路は、吐出面17と内面との間の内部空間を大気に開放させる吸気用連通路26を成している。これによれば、パージの際にキャップ内面31上の液体を排液用連通路22を通して外部に排出することができる。また、吸気用連通路26を通して内部空間に空気を供給し、キャップ30を対向面41から取り外すことができる。
【0081】
また、キャップユニット21では、キャップ30は、内面が吐出面17に対向する底部と、底部の縁から立ち上がる側部と、を有している。貫通孔は底部に設けられている。これによれば、例えば、キャップ30の第1底部34に残っている液体を排液用連通路22を通して外部に排出することができる。
【0082】
液体吐出装置10は、キャップユニット21と、連通路に接続されるポンプ23と、ヘッド11と、を備えている。これによれば、例えば、排液用連通路22に接続された排液管22aがポンプ23に設けられている。このポンプ23によりキャップ30の内部空間を負圧にしてヘッド11から液体を排出するパージを行うことができる。
【0083】
なお、上記では排液用貫通孔33が第1底部34に設けられていたが、第1側部35に設けられていてもよい。この場合、排液用貫通孔33は第1側部35の内面35aと外面35bとの間を貫通する。また、開口54が第2側部52に設けられ、この開口54に可動部60が嵌められて、可動部60の排液用突起65aが排液用貫通孔33に挿通される。
【0084】
また、上記では第1吸気用貫通孔36が第1底部34に設けられていたが、第1側部35に設けられていてもよい。この場合、第1吸気用貫通孔36は第1側部35の内面35aと外面35bとの間を貫通する。また、吸気用突起58aが第2側部52に設けられて第1吸気用貫通孔36に挿入される。
【0085】
さらに、上記では開口54において可動部60が変位することにより、ベース部50に対して移動可能であった。これに対し、可動部60が弾性部材により形成されており、弾性変形することによりベース部50に対して移動可能であってもよい。これにより、キャップ30が膨潤しても、排液用突起65aが変位し、排液用貫通孔33との位置ずれが抑制され、位置ずれによる隙間から空気がリークすることを低減することができる。
【0086】
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明のキャップユニット及び液体吐出装置は、吐出面を覆うキャップのリークを低減することができるキャップユニット及び液体吐出装置等として有用である。
【符号の説明】
【0088】
10 :液体吐出装置
11 :ヘッド
16 :ノズル
17 :吐出面
21 :キャップユニット
22 :排液用連通路
23 :ポンプ
26 :吸気用連通路
30 :キャップ
40 :ホルダ
41 :対向面
50 :ベース部
54 :開口
55 :周縁部
60 :可動部