(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056631
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】レーザマーカ
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20220404BHJP
【FI】
B23K26/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164478
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 和浩
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA00
4E168CA07
4E168CB04
4E168DA23
4E168DA24
4E168EA15
(57)【要約】
【課題】加工レーザ発振器及び光学系ユニットを一体的に組付・交換することが可能なレーザマーカを提供する。
【解決手段】レーザマーカ1は、本体側ベース17と、加工レーザ光を出射する加工レーザユニット25と、光学系ユニット27と、加工レーザユニット25及び光学系ユニット27が置かれた状態で固定される底板31と、を備える。光学系ユニット27は、可視レーザ光を出射する可視レーザユニットと、加工レーザ光及び可視レーザ光を前方へ誘導する第1ミラー部及び第2ミラー部と、を有するものである。底板31は、本体側ベース17上に加工レーザユニット25と光学系ユニット27と共に一体的に着脱自在に組み付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体側ベースと、
加工レーザ光を出射する加工レーザ発振器と、
可視レーザ光を出射する可視レーザ発振器と、前記加工レーザ光及び前記可視レーザ光を所定の向きへ誘導するミラー部と、を有する光学系ユニットと、
前記加工レーザ発振器及び前記光学系ユニットが置かれた状態で固定される底板と、を備え、
前記底板は、前記本体側ベース上に前記加工レーザ発振器と前記光学系ユニットと共に一体的に着脱自在に組み付けられていることを特徴とするレーザマーカ。
【請求項2】
前記底板は、前記本体側ベース上を前記所定の向きへスライドしながら前記本体側ベースに装着可能であることを特徴とする請求項1に記載のレーザマーカ。
【請求項3】
前記光学系ユニットは、前記底板上で前記可視レーザ発振器及び前記ミラー部を囲むハウジングを備え、
前記ハウジングは、
前記可視レーザ発振器及び前記ミラー部よりも前記底板のスライド方向の上流側で立設する後面プレートと、
前記可視レーザ発振器及び前記ミラー部よりも前記スライド方向の下流側で立設し、前記後面プレートと向かい合う前面プレートと、
前記後面プレートと前記前面プレートとの間に渡し設けられるカバーと、を備えることを特徴とする請求項2に記載のレーザマーカ。
【請求項4】
前記底板は、前記本体側ベースに前記カバーを固定するための固定孔を有し、
前記カバーは、前記底板に沿って張り出す張出片を備え、
前記張出片では、前記固定孔に対応する部位において、前記固定孔が露出し、前記張出片の縁端側が開放される切欠きが形成されていることを特徴とする請求項3に記載のレーザマーカ。
【請求項5】
前記本体側ベースに立設するピンと、
前記底板に形成され、前記底板のスライド方向を長手方向とする長穴と、を備え、
前記本体側ベースの前記ピンは、前記底板の前記長穴内を移動することによって、前記底板のスライドを案内し、前記長穴を形成する壁面上を摺動することによって、前記底板のスライドを規制することを特徴とする請求項2に記載のレーザマーカ。
【請求項6】
前記長穴は、貫通孔であって、前記底板において、前記光学系ユニット及び前記加工レーザ発振器の外方に位置することを特徴とする請求項5に記載のレーザマーカ。
【請求項7】
前記加工レーザ発振器に設けられ、前記加工レーザ光を出射するエキスパンダと、
前記エキスパンダの周方向に沿って前記エキスパンダの外方に延在するブラケットと、
前記ハウジングの前記後面プレートに形成され、前記加工レーザ発振器の前記エキスパンダが差し込まれる差込孔と、
前記ハウジングの前記前面プレートに形成され、前記ミラー部からの前記加工レーザ光及び前記可視レーザ光が通過する第1通過孔と、
前記本体側ベースにおいて前記スライド方向の下流側の端部から立設する本体側前面プレートと、
前記本体側前面プレートに形成され、前記第1通過孔と向かい合う第2通過孔と、
前記第2通過孔を通過する前記加工レーザ光及び前記可視レーザ光を走査する走査部が内蔵され、前記本体側前面プレートに対して前記スライド方向の下流側から密着して設けられる密閉構造物と、
前記本体側ベースと、前記ハウジングが備える前記後面プレート、前記前面プレート、及び前記カバーの前記張出片との間に介在する第1シール部材と、
前記ハウジングにおいて、前記後面プレートと前記カバーとの間に介在する第2シール部材と、
前記ハウジングにおいて、前記前面プレートと前記カバーとの間に介在する第3シール部材と、
前記加工レーザ発振器の前記エキスパンダが前記ハウジングの前記後面プレートの前記差込孔に前記スライド方向の上流側から差し込まれた場合、前記ブラケットと前記ハウジングの前記後面プレートとの間において、前記エキスパンダの周方向に沿って介在する第4シール部材と、
前記本体側前面プレートと前記ハウジングの前記前面プレートとの間において、前記第1通過孔及び前記第2通過孔の周方向に沿って介在する第5シール部材と、を備える請求項4に記載のレーザマーカ。
【請求項8】
前記可視レーザ発振器は、前記底板上において、前記エキスパンダから出射する前記加工レーザ光の出射方向とは直交する方向で前記エキスパンダと並ぶ位置に配設され、
前記光学系ユニットは、
前記可視レーザ発振器から前記出射方向の上流側へ延出するハーネスと、
前記ハウジングの前記後面プレートに貫通して設けられ、前記ハーネスが挿入されることによって、前記ハーネスを前記ハウジングの内部から外部へ引き出すケーブルグランドと、を備えることを特徴とする請求項7に記載のレーザマーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工レーザ光を出射する加工レーザ発振器が交換可能なレーザマーカに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記レーザマーカに関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1には、レーザビームを発振するレーザ発振器を備える発振部と、前記レーザ発振器から発振されるレーザビームを走査するスキャナ及び前記レーザビームを収束するレンズを備える走査部とを矩形板状のベースの一側に設け、前記発振部及び前記走査部を箱形のハウジングで覆う構成としたレーザマーキング装置に対して、着脱自在に設置されることを特徴とするレーザ発振器が記載されている。
【0003】
更に、前記レーザ発振器は、電極を内部に有し、励起媒質が充填されたレーザチャンバと、該レーザチャンバを、これを保持した状態で前記レーザチャンバから発振されるレーザビームの光軸が前記スキャナへの入光軸と一致すべく保持する保持台とを備える。
【0004】
前記レーザ発振器によれば、電極を内部に有し、励起媒質が充填されたレーザチャンバをレーザマーキング装置に着脱可能とした保持台に保持させ、この保持台がレーザチャンバを保持した状態で発振されるべきレーザビームの光軸がスキャナへの入光軸と一致するように予め光軸調整しておく構成としたので、ユーザは保持台とともにレーザチャンバを取り外して、メーカに送付し、新たに取り付けるレーザチャンバを既に光軸調整が済んだ保持台とともに取り付けるだけであり、ユーザ側における光軸調整を必要とせず、容易にレーザチャンバを交換することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、レーザマーキング装置では、上述したレーザ発振器、スキャナ、及びレンズに加えて、その他の光学系機器が設けられる場合がある。このような場合、交換効率の向上等の観点から、レーザチャンバの交換時に、その他の光学系機器も一度に交換したい要請があった。
【0007】
そこで、本開示は、上述した点に鑑みてなされたものであり、加工レーザ発振器及び光学系ユニットを一体的に組付・交換することが可能なレーザマーカを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、本体側ベースと、加工レーザ光を出射する加工レーザ発振器と、可視レーザ光を出射する可視レーザ発振器と、加工レーザ光及び可視レーザ光を所定の向きへ誘導するミラー部と、を有する光学系ユニットと、加工レーザ発振器及び光学系ユニットが置かれた状態で固定される底板と、を備え、底板は、本体側ベース上に加工レーザ発振器と光学系ユニットと共に一体的に着脱自在に組み付けられていることを特徴とするレーザマーカを開示する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、レーザマーカは、加工レーザ発振器及び光学系ユニットを一体的に組付・交換することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】レーザマーカが筐体カバーを外した状態で表された斜視図である。
【
図3】
図2の斜視図において、レーザマーカの加工レーザユニット、光学系ユニット、及び底板が本体側ベースから隔離した状態で表された図である。
【
図4】
図3の本体側ベースが表された平面図である。
【
図5】
図3の本体側ベースが表された側面図である。
【
図9】光学系ユニット等が底板上で分解された状態で表された斜視図である。
【
図10】光学系ユニット等が底板上で分解された状態で表された斜視図であって、光学系ユニットの各シール部材が各シール溝に嵌め入れた状態で表された図である。
【
図11】
図10の底板において、光学系ユニットの第1ミラー部及び第2ミラー部が底板に組み付けられた状態で表された斜視図である。
【
図12】
図11の底板において、光学系ユニットの可視レーザユニットが底板に組み付けられた状態で表された斜視図である。
【
図13】
図12の底板において、光学系ユニットの後面プレートが底板に組み付けられた状態で表された斜視図である。
【
図14】
図13の底板において、加工レーザユニットが底板に組み付けられる前の状態で表された斜視図である。
【
図15】
図13の底板において、加工レーザユニットが底板に組み付けられた状態で表された斜視図である。
【
図16】
図13の底板において、加工レーザユニットが底板に組み付けられた状態で表された平面図である。
【
図17】
図15及び
図16の底板において、光学系ユニットの前面プレートが底板に組み付けられた状態で表された斜視図である。
【
図18】
図17の底板において、光学系ユニットのカバーが底板に組み付けられた状態で可視レーザユニットのハーネスと共に表された斜視図である。
【
図19】
図17の底板において、光学系ユニットのカバーが底板に組み付けられた状態で可視レーザユニットのハーネスと共に表された平面図である。
【
図20】カバーが取り外された底板上の光学系ユニットにおいて、可視レーザユニットのハーネスの取付状態が表された斜視図である。
【
図21】カバーが取り外された底板上の光学系ユニットにおいて、可視レーザユニットのハーネスの取付状態が表された平面図である。
【
図22】本体側ベース上に載せ置かれた底板が本体側ベース上をスライド移動する前の状態で表された平面図である。
【
図24】本体側ベース上に載せ置かれた底板が本体側ベース上をスライド移動した後の状態で表された断面図であって、
図22の線I-Iの切断面に相当する切断面で表された図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示のレーザマーカについて、具体化した実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。以下の説明に用いる各図面では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。尚、以下の説明において、前後方向、上下方向、及び左右方向は、各図面に示された通りである。
【0012】
図1に表されたように、本実施形態のレーザマーカ1は、第1本体3、第2本体5、連結体7、及びケーブル9等を備えている。第1本体3には、筐体カバー11が複数のビス13で固定されている。第2本体5には、その下面において、fθレンズ15の下部が突き出た状態で設けられている。連結体7は、第1本体3と第2本体5との間に配設され、第1本体3及び第2本体5に固定されている。これにより、第1本体3及び第2本体5は、連結体7を介して連結されている。ケーブル9は、第1本体3と第2本体5との間に架け渡されている。ケーブル9内の配線は、ケーブル9の両端にある防水性のケーブルグランド16を介して、第1本体3と第2本体5とに引き込まれている。
【0013】
図2に表されたように、第1本体3は、本体側ベース17、本体側後面プレート19、及び本体側前面プレート21等を備えている。本体側ベース17には、その前端部18において、本体側前面プレート21がボルト22で立設されている。同様にして、本体側ベース17には、その後端部20において、本体側後面プレート19がボルト(不図示)で立設されている。 本体側ベース17、本体側後面プレート19、及び本体側前面プレート21の各端面には、複数のネジ孔23が設けられている。各ネジ孔23には、上述した複数のビス13がねじ込まれる。
【0014】
本体側ベース17上には、加工レーザユニット25、光学系ユニット27、駆動系ユニット29、及び底板31等が設けられている。加工レーザユニット25は、加工レーザ光を出射するCO2レーザ、YAGレーザ等が収められたものである。尚、加工レーザユニット25は、底板31を介して本体側ベース17上に固定された状態になると、後方から前方に向かって加工レーザ光を出射する。すなわち、加工レーザ光の出射方向は、前後方向(に平行)である。加工用レーザ光は、加工対象物(不図示)に対してマーキング(印字)加工を行うためのレーザ光である。
【0015】
駆動系ユニット29は、電源ユニット、レーザ出力ユニット、安全リレーユニット、及び排気装置等に加えて、本実施形態のレーザマーカ1を制御するための複数の制御基板を備えている。駆動系ユニット29と光学系ユニット27とには、ハーネス175が接続されている。
【0016】
尚、光学系ユニット27やハーネス175については、後述する。
【0017】
加工レーザユニット25及び光学系ユニット27は、底板31に置かれた状態で固定されている。底板31は、本体側ベース17上に4個のボルト32(一部不図示)で固定されている。そのために、本体側ベース17上には、
図3乃至
図5に表されたように、本体側前面プレート21と駆動系ユニット29との間において、一対のピン33と、2組の一対のネジ孔35とが設けられている。
【0018】
尚、底板31は、後述するように、上述した一対のピン33等で案内されることによって、本体側ベース17上を前後方向に沿ってスライドすることが可能である。また、底板31は、本体側ベース17上に固定される際、本体側前面プレート21に突き当たるまで、本体側ベース17上を前後方向に沿って前方へスライドさせられる。以上より、底板31のスライド方向Dは、前後方向(に平行)である。また、本実施形態では、底板31のスライドの向きを、底板31が本体側ベース17上に固定される際にスライドさせられる向きとする。これにより、底板31のスライド方向Dの向きは、前後方向の前方である。
よって、底板31のスライド方向Dの上流側は、前後方向の後方側である。また、底板31のスライド方向Dの下流側は、前後方向の前方側である。従って、本体側前面プレート21は、本体側ベース17において、底板31のスライド方向Dの下流側に位置する前端部18から立設している。
【0019】
一対のピン33は、本体側ベース17上の左右方向中央において、前後方向で第1所定間隔を空けて配され、上方向へ突き出している。各ピン33は、上述したように、本体側ベース17上において底板31のスライドを案内するものである。その詳細は、後述する。
【0020】
2組の一対のネジ孔35のうち、一方の一対のネジ孔35は、本体側ベース17上の左端部において、第2所定間隔を空けて配されている。これに対して、他方の一対のネジ孔35は、本体側ベース17上の右端部において、第2所定間隔を空けて配されている。これにより、2組の一対のネジ孔35は、左右方向で向かい合う位置に配されている。各ネジ孔35には、上述した各ボルト32がねじ込まれる。
【0021】
次に、底板31について説明する。
図6及び
図7に表されたように、底板31の形状は、平面視で前後方向に長い矩形である。底板31上には、その後端部37の2隅において、一対の貫通孔39が貫き設けられている。一対の貫通孔39の形状は、平面視で円形である。更に、底板31上には、その前端部41の2隅において、一対の貫通孔43が貫き設けられている。各貫通孔43は、切欠き形状をなしている。つまり、左側の貫通孔43は、平面視において、その円形の一部が底板31の左端で切り欠かれたような形状である。これにより、左側の貫通孔43は、その左側が開放されている。これに対して、右側の貫通孔43は、平面視において、その円形の一部が底板31の右端で切り欠かれたような形状である。これにより、右側の貫通孔43は、その右側が開放されている。
【0022】
底板31上には、前後方向中央よりも前端部41寄りから、後端部37に亘って、ザグリ加工面45が設けられている。ザグリ加工面45は、底板31の表面よりも低い水平面であって、底板31の表面がザグリ加工されることによって形成されたものである。ザグリ加工面45の形状は、平面視で前後方向に長い略矩形である。ザグリ加工面45には、加工レーザユニット25が置かれる。
【0023】
ザグリ加工面45は、底板31の後端部37及び後端部37の2隅にまで達している。つまり、上述した一対の貫通孔39は、ザグリ加工面45に設けられている。ザグリ加工面45には、その前縁及び左右縁において、上方へ延出した壁面47が設けられている。ザグリ加工面45の前縁に設けられている壁面47は、左右方向に沿って延在している。これに対して、ザグリ加工面45の左右縁に設けられている各壁面47は、前後方向に沿って延在している。
【0024】
底板31上には、その左端と、ザグリ加工面45の左縁に設けられている壁面47との間において、一対のネジ孔49が設けられている。同様にして、底板31上には、その右端と、ザグリ加工面45の右縁に設けられている壁面47との間において、一対のネジ孔49が設けられている。更に、ザグリ加工面45上には、その左右縁に設けられている壁面47からザグリ加工面45の内方へ延出する、複数の突出面51が設けられている。各突出面51は、ザグリ加工面45よりも高く、底板31の表面よりも低い水平面である。各突出面51には、各貫通孔53が貫き設けられている。各貫通孔53には、雌ネジが形成されている。尚、ザグリ加工面45の左縁側には、2個の突出面51が配されている。これに対して、ザグリ加工面45の右縁側には、上述した2個の突出面51間中央と向かい合う位置において、1個の突出面51が配されている。
【0025】
底板31上には、その前端とザグリ加工面45との間において、シール溝55が設けられている。シール溝55の形状は、平面視で左右方向に長い略矩形である。底板31上には、シール溝55の内側において、4個の第1ネジ孔57、4個の第2ネジ孔59、及び2個の第3ネジ孔61が設けられている。各第1ネジ孔57、各第2ネジ孔59、及び各第3ネジ孔61の形状は、平面視で円形である。
【0026】
底板31上には、その前端とシール溝55との間(つまり、前端部41)において、3個の前側貫通孔63がシール溝55に沿って貫き設けられている。各前側貫通孔63は、左右方向で等間隔を空けて配されている。また、底板31上には、シール溝55とザグリ加工面45との間において、3個の後側貫通孔65がシール溝55に沿って貫き設けられている。各後側貫通孔65は、各前側貫通孔63と前後方向で向かい合う位置に配されている。つまり、各後側貫通孔65は、各前側貫通孔63と同様にして、左右方向で等間隔を空けて配されている。各前側貫通孔63及び各後側貫通孔65の形状は、平面視で円形である。
【0027】
底板31上には、その左右端とシール溝55との間において、4個の第4ネジ孔67がシール溝55に沿って設けられている。各第4ネジ孔67は、前後方向で等間隔を空けて配されている。底板31の左端側に設けられている各第4ネジ孔67と、底板31の右端側に設けられている各第4ネジ孔67とは、左右方向で向かい合う位置に配されている。各第4ネジ孔67の形状は、平面視で円形である。
【0028】
底板31上には、その左右方向中央において、一対の長穴69が前後方向で第3所定間隔を空けて貫き設けられている。一対の長穴69のうち、前方側に位置する長穴69(以下、「前方側の長穴69」という。)は、シール溝55とザグリ加工面45との間において、底板31に配されている。これに対して、後方側に位置する長穴69(以下、「後方側の長穴69」という。)は、底板31の後端部37に設けられている一対の貫通孔39の間において、ザグリ加工面45に配されている。各長穴69は、その長手方向が前後方向(つまり、底板31のスライド方向D)と一致する。
【0029】
図8に表されたように、底板31の裏面には、各前側貫通孔63の周囲において、凹部71が設けられている。各凹部71は、切欠き形状をなしている。つまり、各凹部71は、平面視とは反対側から視て、その円形の一部が底板31の前端で切り欠かれたような形状である。これにより、各凹部71は、その前側が開放されている。また、底板31の裏面には、各後側貫通孔65の周囲において、凹部73が設けられている。各凹部73は、平面視とは反対側から視て、円形である。
【0030】
底板31の裏面には、前方側の長穴69の周囲において、凹部75が設けられている。各凹部75は、平面視とは反対側から視て、円形である。また、底板31の裏面には、後方側の長穴69の周囲において、凹部77が設けられている。凹部77は、切欠き形状をなしている。つまり、凹部77は、平面視とは反対側から視て、円形の一部が底板31の後端で切り欠かれたような形状である。これにより、凹部77は、その後側が開放されている。
【0031】
次に、光学系ユニット27の構成について説明する。
図9に表されたように、光学系ユニット27は、第1ミラー部79、第2ミラー部81、可視レーザユニット83、後面プレート85、前面プレート87、カバー89等を備えている。
【0032】
更に、光学系ユニット27は、6個の第1ボルト97、6個の第2ボルト99(一部不図示)、及び22個のビス101(一部不図示)等を備えている。各第1ボルト97は、後面プレート85及び前面プレート87を底板31に固定するものである。各第2ボルト99は、第1ミラー部79、第2ミラー部81、及び可視レーザユニット83を底板31に固定するものである。各ビス101は、カバー89を、底板31、後面プレート85、及び前面プレート87に固定するものである。
【0033】
後面プレート85は、本体103及びシール溝105を備えている。本体103の形状は、前後方向から視て、左右方向に長い矩形状である。シール溝105は、本体103の上端及び左右端において、それらの前辺に沿って設けられている。前面プレート87は、本体107及びシール溝109を備えている。本体107の形状は、前後方向から視て、左右方向に長い矩形状である。シール溝109は、本体103の上端及び左右端において、それらの後辺に沿って設けられている。
【0034】
底板31のシール溝55には、第1シール部材91が装着される。第1シール部材91の形状は、平面視で左右方向に長い矩形の環状である。第1シール部材91には、例えば、ゴム製のものが使用される。後面プレート85のシール溝105には、第2シール部材93が装着される。第2シール部材93の形状は、紐状である。第2シール部材93には、例えば、ゴム製のものが使用される。前面プレート87のシール溝109には、第3シール部材95が装着される。第3シール部材95の形状は、紐状である。第3シール部材95には、例えば、ゴム製のものが使用される。
【0035】
図10に表されたように、第1ミラー部79は、基台111及びダイクロイックミラー部113等を備えている。基台111には、ダイクロイックミラー部113が上下方向に沿って取り付けられている。ダイクロイックミラー部113では、入射されたレーザ加工光が反射する。第2ミラー部81は、第1ミラー部79と同様にして、基台115及びダイクロイックミラー部117等を備えている。基台115には、ダイクロイックミラー部117が上下方向に沿って取り付けられている。ダイクロイックミラー部117では、入射されたレーザ加工光が反射する。
【0036】
可視レーザユニット83は、基台118、本体119、基板120、発光部121、及びコネクタ123等を備えている。基台118には、本体119が取り付けられている。本体119には、基板120が取り付けられている。基板120には、発光部121及びコネクタ123等が搭載されている。発光部121は、可視レーザ光を出射する。可視レーザ光は、マーキング(印字)加工すべき印字パターンの像を加工対象物(不図示)に対して投影するためのレーザ光である。可視レーザ光の波長は、加工用レーザ光の波長とは異なる。そのため、可視レーザ光のほぼ全部は、第2ミラー部81のダイクロイックミラー部117を透過する。
【0037】
後面プレート85は、7個のネジ孔94を備えている。7個のネジ孔94のうち、3個のネジ孔94が本体103の上端に設けられ、2個のネジ孔94が本体103の左端に設けられ、2個のネジ孔94が本体103の右端に設けられている(
図9参照)。各ネジ孔94には、上述した各ビス101がねじ込まれる。後面プレート85には、本体103の中央よりも左下側寄りにおいて、円形状の第1差込孔127が貫き設けられている。更に、後面プレート85には、本体103の中央よりも右上側寄りにおいて、防水性のケーブルグランド129が貫いた状態で取り付けられている。つまり、後面プレート85には、その本体103において、第1差込孔127及びケーブルグランド129が平面視で左右方向に並んで配されている。
【0038】
前面プレート87は、7個のネジ孔96を備えている。7個のネジ孔96のうち、3個のネジ孔96が本体107の上端に設けられ、2個のネジ孔96が本体107の左端に設けられ、2個のネジ孔96が本体107の右端に設けられている(
図9参照)。各ネジ孔96には、上述した各ビス101がねじ込まれる。前面プレート87には、本体107の中央よりも右下側寄りにおいて、円形形状の第1通過孔125が貫き設けられている。
【0039】
カバー89は、上面部131、一対の側面部133、一対の下面部135、一対の第1貫通孔137、及び22個の第2貫通孔139(一部不図示)等を備えている。上面部131は、平面視で前後方向に長い略矩形状をなしている。各側面部133は、上面部131の左右端から下方へ延出し、左右方向から視て、前後方向に長い略矩形状をなしている。各下面部135は、各側面部133の下端から外方へ延出し、平面視で前後方向に長い略矩形状をなしている。
【0040】
一対の第1貫通孔137のうち、一方の第1貫通孔137は、カバー89の左側の下面部135において、その前端寄りに貫き設けられている。一方の第1貫通孔137は、切欠き形状をなしている。つまり、一方の第1貫通孔137は、平面視において、その円形の一部が左側の下面部135の左端で切り欠かれたような形状である。これにより、一方の第1貫通孔137は、その左側が開放されている。これに対して、他方の第1貫通孔137(
図9参照)は、カバー89の右側の下面部135において、その前端寄りに貫き設けられている。他方の第1貫通孔137は、切欠き形状をなしている。つまり、他方の第1貫通孔137は、平面視において、その円形の一部が右側の下面部135の右端で切り欠かれたような形状である。これにより、他方の第1貫通孔137は、その右側が開放されている。
【0041】
22個の第2貫通孔139は、カバー89に貫き設けられている。各第2貫通孔139には、上述した各ビス101が通される。カバー89の上面部131においては、その前辺に沿って、3個の第2貫通孔139が配されている。更に、カバー89の上面部131においては、その後辺に沿って、3個の第2貫通孔139が配されている。また、カバー89の左側の側面部133においては、その前辺に沿って、2個の第2貫通孔139が配されている。同様にして、カバー89の右側の側面部133においては、その前辺に沿って、2個の第2貫通孔139が配されている。更に、カバー89の左側の側面部133においては、その後辺に沿って、2個の第2貫通孔が配されている。同様にして、カバー89の右側の側面部133においては、その後辺に沿って、2個の第2貫通孔(不図示)が配されている。また、カバー89の左側の下面部135においては、その左辺に沿って、4個の第2貫通孔139が配されている。同様にして、カバー89の右側の下面部135においては、その右辺に沿って、4個の第2貫通孔139(一部不図示)が配されている。
【0042】
図9に戻り、後面プレート85には、その本体103の後面において、後述するようにして、ブラケット147によって第4シール部材149が取り付けられる。
【0043】
ブラケット147は、本体151及び4個のボルト155等を備えている。本体151は、板状であって、正方形の形状をなしている。本体151の中央には、円形状の第2差込孔153が設けられている。第2差込孔153の直径は、後面プレート85の第1差込孔127の直径とほぼ等しい。各ボルト155は、本体151の4隅において、ブラケット147を後面プレート85の後面に固定するものである。
【0044】
第4シール部材149には、例えば、スポンジ製のものが使用される。第4シール部材149は、本体157を備える。本体157は、円板状である。本体157の直径は、ブラケット147の第2差込孔153の直径よりも大きく、ブラケット147の本体151の一辺の長さよりも小さい。本体157の中央には、円形状の第3差込孔159が設けられている。これにより、本体157は、平らなドーナツ形状をなしている。第3差込孔159の直径は、ブラケット147の第2差込孔153の直径よりも小さい。
【0045】
後面プレート85には、その本体103の後面において、環状の段差部161が、第1差込孔127の周縁に沿って設けられている。段差部161の直径は、第4シール部材149(の本体157)の直径とほぼ等しい。更に、後面プレート85には、本体103の後面において、4個のネジ孔163が、段差部161の周縁に沿って等間隔を空けて設けられている。各ネジ孔163には、上述した各ボルト155がねじ込まれる。
【0046】
次に、光学系ユニット27の組付について説明する。先ず、
図10に表されたように、第1シール部材91が、底板31のシール溝55(
図9参照)に押し付けられて装着される。また、第2シール部材93及び第3シール部材95が、後面プレート85のシール溝105(
図9参照)及び前面プレート87のシール溝109(
図9参照)に貼り付けられて装着される。
【0047】
続いて、
図11に表されたように、第1ミラー部79が2個の第2ボルト99で底板31上に固定される。その際、各第2ボルト99は、底板31上に設けられている4個の第1ネジ孔57(
図10参照)のうち、2個の第1ネジ孔57にねじ込まれる。更に、第2ミラー部81が2個の第2ボルト99(
図9参照)で底板31上に固定される。その際、各第2ボルト99は、底板31上に設けられている4個の第2ネジ孔59(
図10参照)のうち、2個の第2ネジ孔59にねじ込まれる。
【0048】
続いて、
図12に表されたように、可視レーザユニット83が2個の第2ボルト99(後述する
図16参照)で底板31上に固定される。その際、各第2ボルト99は、底板31上に設けられている2個の第3ネジ孔61(
図10参照)にねじ込まれる。その後、可視レーザユニット83において、可視レーザ光の光軸調整が行われる。これにより、発光部121は、後方から前方に向かって可視レーザ光を出射する。すなわち、可視レーザ光は、前後方向(に平行)に出射される。尚、可視レーザ光の光軸調整では、基台118と本体119との間に介在する調整ボルト等が使用される。
【0049】
続いて、
図13に表されたように、後面プレート85が3個の第1ボルト97(
図9参照)で底板31上に固定される。その際、各第1ボルト97は、底板31に設けられている3個の後側貫通孔65(
図10参照)を下方から上方へ通され、後面プレート85の下端に設けられた3個のネジ孔(不図示)にねじ込まれる。これにより、後面プレート85は、第1ミラー部79、第2ミラー部81、及び可視レーザユニット83よりも底板31のスライド方向Dの下流側で立設している。また、底板31と後面プレート85との間では、第1シール部材91が押し潰される。尚、各第1ボルト97の頭部は、底板31の裏面に設けられている3個の凹部73(
図8参照)に納められる。
【0050】
続いて、
図14に表されたように、加工レーザユニット25が底板31のザグリ加工面45上に置かれる。これにより、加工レーザユニット25は、底板31上において、後面プレート85よりも後方に位置する。加工レーザユニット25は、本体141及びエキスパンダ145等を備えている。本体141は、略立方体形状をなし、上述したCO2レーザ又はYAGレーザ等を内蔵している。本体141には、その左側側面において、一対の貫通孔165が上下方向に沿って貫き設けられている。更に、本体141には、その右側側面において、貫通孔(不図示)が上下方向に沿って貫き設けられている。エキスパンダ145は、略円柱形状をなし、本体141の前面143から前方へ突き出して設けられている。エキスパンダ145は、上述したCO2レーザ又はYAGレーザ等から入射された加工レーザ光の光径を調整し、その調整された加工レーザ光を前方へ出射するものである。
【0051】
加工レーザユニット25は、底板31のザグリ加工面45上に置かれる際は、エキスパンダ145が後面プレート85の第1差込孔127と前後方向で向かい合う状態にされる。更に、エキスパンダ145には、ブラケット147の第2差込孔153及び第4シール部材149の第3差込孔159が通されることによって、ブラケット147及び第4シール部材149が装着される。第4シール部材149が装着されるエキスパンダ145の部位の直径は、第4シール部材149の第3差込孔159の直径よりも大きい。そのため、第4シール部材149の第3差込孔159の周縁は、エキスパンダ145の周面と隙間なく接した状態になる。
【0052】
続いて、
図15及び
図16に表されたように、加工レーザユニット25は、そのエキスパンダ145が後面プレート85の第1差込孔127に後方から前方へ(つまり、底板31のスライド方向Dの上流側から下流側へ)通された状態で、底板31のザグリ加工面45上に固定される。その際、加工レーザユニット25では、その本体141に設けられている各貫通孔165(
図14参照)が、底板31のザグリ加工面45内の各突出面51に設けられている貫通孔53(
図10参照)と上下方向で連通する。このような状態において、各ボルト167が、加工レーザユニット25の各貫通孔165にその上方から通され、底板31の各貫通孔53にねじ込まれる。
【0053】
更に、ブラケット147が、4個のボルト155(
図9参照)で後面プレート85の後面に固定される。その際、各ボルト155は、後面プレート85に設けられている4個のネジ孔163にねじ込まれる。これにより、第4シール部材149は、後面プレート85の段差部161に押し付けられた状態で装着される。そのため、ブラケット147と後面プレート85との間では、第4シール部材149が押し潰される。
【0054】
その後、第1ミラー部79及び第2ミラー部81において、加工レーザ光の光軸調整が行われる。尚、加工レーザ光の光軸調整では、第1ミラー部79では基台111とダイクロイックミラー部113との間に介在する調整ボルト等が使用され、第2ミラー部81では基台115とダイクロイックミラー部117との間に介在する調整ボルト等が使用される。
【0055】
これにより、第1ミラー部79のダイクロイックミラー部113では、加工レーザユニット25のエキスパンダ145から出射された加工レーザ光が、前後方向に平行な第1光路L1上を前方へ進んで、45度の入射角で入射し、45度の反射角で左右方向に平行な第2光路L2上に反射される。更に、第2ミラー部81のダイクロイックミラー部117では、第2光路L2上を右方へ進んだ加工レーザ光が、45度の入射角で入射し、45度の反射角で前後方向に平行な第3光路L3上に反射される。つまり、加工レーザユニット25のエキスパンダ145から出射された加工レーザ光は、前後方向に平行であると共に第2ミラー部81のダイクロイックミラー部117と交差する第3光路L3上を、前方へ進む。
【0056】
尚、可視レーザユニット83の発光部121から出射された可視レーザ光は、第2ミラー部81のダイクロイックミラー部117を透過し、加工レーザ光と同様にして、第3光路L3上を前方へ進む。以上より、第1ミラー部79及び第2ミラー部81は、加工レーザ光及び可視レーザ光を、ダイクロイックミラー部113又はダイクロイックミラー部117で反射又は透過させることによって、加工レーザ光及び可視レーザ光を前後方向の前方へ(つまり、底板31のスライド方向Dの向きへ)誘導している。
【0057】
続いて、
図17に表されたように、前面プレート87が3個の第1ボルト97(
図9参照)で底板31上に固定される。その際、各第1ボルト97は、底板31に設けられている3個の前側貫通孔63(
図10参照)を下方から上方へ通され、前面プレート87の下端に設けられた3個のネジ孔(不図示)にねじ込まれる。これにより、前面プレート87は、第1ミラー部79、第2ミラー部81、及び可視レーザユニット83よりも底板31のスライド方向Dの下流側で立設し、後面プレート85と向かい合っている。底板31と前面プレート87との間では、第1シール部材91が押し潰される。尚、各第1ボルト97の頭部は、底板31の裏面に設けられている3個の凹部71(
図10参照)に納められる。
【0058】
続いて、
図18及び
図19に表されたように、カバー89は、22個のビス101で底板31上に固定されることによって、後面プレート85と前面プレート87との間に渡し設けられる。その際、カバー89の上面部131では、各ビス101が、6個の第2貫通孔139(
図10参照)を通って、後面プレート85の上端に設けられている3個のネジ孔94(
図10参照)と前面プレート87の上端に設けられている3個のネジ孔94(
図10参照)とにねじ込まれる。これにより、後面プレート85の上端とカバー89の上面部131との間では、第2シール部材93が押し潰される。また、前面プレート87の上端とカバー89の上面部131との間では、第3シール部材95が押し潰される。
【0059】
また、カバー89の左側の側面部133では、各ビス101が、4個の第2貫通孔139(
図10参照)を通って、後面プレート85の左端に設けられている2個のネジ孔94(
図10参照)と前面プレート87の左端に設けられている2個のネジ孔94(
図10参照)とにねじ込まれる。これにより、後面プレート85の左端とカバー89の左側の側面部133との間では、第2シール部材93が押し潰される。また、前面プレート87の左端とカバー89の左側の側面部133との間では、第3シール部材95が押し潰される。
【0060】
同様にして、カバー89の右側の側面部133では、各ビス101が、4個の第2貫通孔139(
図10参照、一部不図示)を通って、後面プレート85の右端に設けられている2個のネジ孔94(
図9参照)と前面プレート87の右端に設けられている2個のネジ孔94(
図9参照)とにねじ込まれる。これにより、後面プレート85の右端とカバー89の右側の側面部133との間では、第2シール部材93が押し潰される。また、前面プレート87の右端とカバー89の右側の側面部133との間では、第3シール部材95が押し潰される。
【0061】
また、カバー89の左側の下面部135では、各ビス101が、4個の第2貫通孔139(
図10参照)を通って、底板31の左端側に設けられている4個の第4ネジ孔67(
図10参照)にねじ込まれる。これにより、底板31とカバー89の左側の下面部135との間では、第1シール部材91が押し潰される。また、カバー89の左側の下面部135に設けられている切欠き形状の第1貫通孔137内には、平面視で、底板31の左端側に設けられている切欠き形状の貫通孔43が配された状態になる。
【0062】
同様にして、カバー89の右側の下面部135では、各ビス101が、4個の第2貫通孔139(
図10参照、一部不図示)を通って、底板31の右端側に設けられている4個の第4ネジ孔67(
図10参照)にねじ込まれる。これにより、底板31とカバー89の右側の下面部135との間では、第1シール部材91が押し潰される。また、カバー89の右側の下面部135に設けられている切欠き形状の第1貫通孔137内には、平面視で、底板31の右端側に設けられている切欠き形状の貫通孔43が配された状態になる。
【0063】
尚、加工レーザユニット25には、その本体141に対して、筐体カバー169が複数のボルト171で取り付けられる。その際、各ボルト171は、筐体カバー169の下端フランジ部分172に設けられている不図示の貫通孔にその上方から通され、底板31に設けられている4個のネジ孔49(
図10参照)にねじ込まれる。
【0064】
このようにして、光学系ユニット27が底板31上に組み付けられると、底板31上には、光学系ユニット27のハウジング173が、後面プレート85、前面プレート87、及びカバー89等によって形設される。ハウジング173は、底板31上において、第1ミラー部79、第2ミラー部81、及び可視レーザユニット83等を取り囲んでいる。
【0065】
また、底板31に設けられている一対の長穴69のうち、前方側の長穴69は、光学系ユニット27(のハウジング173)と加工レーザユニット25との間に位置する。これに対して、後方側の長穴69は、加工レーザユニット25よりも後方に位置する。
【0066】
更に、光学系ユニット27では、そのハウジング173の後面プレート85に設けられている防水性のケーブルグランド129において、ハーネス175が隙間なく引き出されている。
図20及び
図21に表されたように、ハーネス175の一端は、可視レーザユニット83の基板120上に設けられているコネクタ123に接続されている。ハーネス175は、可視レーザユニット83のコネクタ123から基板120の上方空間を経て、基板120よりも後方に位置するケーブルグランド129内を通過し、ハウジング173の外方へ引き出されている。尚、ハーネス175の他端は、上述した
図2に表されたように、駆動系ユニット29内の基板に接続されている。つまり、ハーネス175は、可視レーザユニット83の配線である。
【0067】
次に、本体側ベース17上における底板31の組付について説明する。底板31は、上述したようにして、加工レーザユニット25及び光学系ユニット27が組み付けられると、先ず、
図22に表されたようにして、本体側ベース17上に置かれる。その際、本体側ベース17に設けられている一対のピン33は、底板31に設けられている一対の長穴69に差し入れられる。また、本体側ベース17に立設されている本体側前面プレート21と、底板31上に組み付けられている光学系ユニット27の前面プレート87との間には、第5シール部材177を介在させる。そのために、第5シール部材177は、本体側前面プレート21又は前面プレート87に貼り付けられる。第5シール部材177には、例えば、スポンジ製のものが使用される。
【0068】
図23に表されたように、第5シール部材177は、本体183を備える。本体183は、例えば、円板状である。本体183の中央には、円形状の第3通過孔185が設けられている。第3通過孔185の直径は、第1通過孔125の直径よりも大きい。
【0069】
また、光学系ユニット27の前面プレート87に設けられている第1通過孔125に対して、本体側前面プレート21に設けられている円形形状の第2通過孔181が向かい合った状態になる。第2通過孔181の直径は、第1通過孔125の直径とほぼ等しい。従って、第2通過孔181の直径は、第5シール部材177の第3通過孔185の直径よりも小さい。
【0070】
本体側前面プレート21の第2通過孔181は、連結体7を前後方向で貫通する空洞187の後側に連通している。これに対して、連結体7の空洞187の前側は、第2本体5に設けられた第4通過孔189に連通している。連結体7の両端は、Oリング190によって、本体側前面プレート21及び第2本体5と隙間なく接した状態にある。従って、第2本体5は、本体側前面プレート21に対して、底板31のスライド方向Dの下流側から連結体7を介して密着している。第2本体5には、ガルバノスキャナ191が内蔵されている。更に、第2本体5では、ガルバノスキャナ191よりも下方において、上述したfθレンズ15の下部が下方へ突出している。つまり、第2本体5は、所謂スキャンヘッドである。fθレンズ15の上端周囲では、第6シール部材193がfθレンズ15と第2本体5とに挟まれることによって、隙間がない状態にされる。尚、第6シール部材193には、例えば、ゴム製のものが使用される。
【0071】
本体側前面プレート21と第2本体5との間に架け渡されているケーブル9内には、ガルバノスキャナ191の配線195が通されている。ケーブル9の両側には、ケーブルグランド16が組み付けられている。よって、ガルバノスキャナ191の配線195は、本体側前面プレート21及び第2本体5に隙間を設けることなく、本体側前面プレート21及び第2本体5に通されている。
【0072】
続いて、底板31は、本体側ベース17上を前方へスライド移動させられる。その際、本体側ベース17の各ピン33が、底板31の各長穴69を形成する壁面179に接触しながら、底板31の各長穴69内を移動する。そのため、底板31のスライド方向Dは、前後方向(に平行)である。
【0073】
その後、
図24に表されたように、底板31が、本体側前面プレート21に突き当たる状態になると、4個のボルト32(
図2参照)で本体側ベース17に固定される。その際、底板31では、その後端部37に設けられている一対の貫通孔39(
図6参照)が、本体側ベース17に設けられている各ネジ孔35と上下方向で連通される。このような状態において、各ボルト32が、底板31の各貫通孔39にその上方から通され、本体側ベース17の各ネジ孔35にねじ込まれる。
【0074】
また、底板31では、その前端部41に設けられている一対の貫通孔43(
図19参照)と、光学系ユニット27のカバー89の一対の下面部135に設けられている一対の第1貫通孔137(
図19参照)とが、本体側ベース17に設けられている各ネジ孔35と上下方向で連通される。このような状態において、各ボルト32が、光学系ユニット27の各第1貫通孔137及び底板31の各貫通孔43にそれらの上方から通され、本体側ベース17の各ネジ孔35にねじ込まれる。これにより、各ボルト32の頭部は、カバー89の各下面部135を底板31と共に本体側ベース17に押し付けるので、カバー89の振動を抑制する。
【0075】
このようにして、底板31が本体側ベース17に固定されると、本体側前面プレート21の第2通過孔181は、第5シール部材177の第3通過孔185を介して、光学系ユニット27の前面プレート87の第1通過孔125に連通する。更に、本体側前面プレート21と前面プレート87との間では、第1通過孔125及び第2通過孔181の周方向において、第5シール部材177が、本体側前面プレート21と前面プレート87とで押し潰される。そのため、本体側前面プレート21と前面プレート87との間は、隙間がない状態にされる。これにより、光学系ユニット27及び第2本体5(の各内部空間)は、連結体7の空洞187で連通する状態で、保護構造(防水・防塵構造)となる。
【0076】
更に、上述した第3光路L3が、前面プレート87の第1通過孔125、第5シール部材177の第3通過孔185、本体側前面プレート21の第2通過孔181、連結体7の空洞187、及び第2本体5の第4通過孔189の各中央を通過する状態となる。そのため、第2ミラー部81のダイクロイックミラー部117で反射した加工レーザ光や、第2ミラー部81のダイクロイックミラー部117を透過した可視レーザ光は、第2本体5内のガルバノスキャナ191に入射し、ガルバノスキャナ191で走査され、fθレンズ15によって不図示の加工対象物(不図示)上に集光される。
【0077】
以上詳細に説明したように、本実施の形態のレーザマーカ1では、底板31上において、加工レーザユニット25が各ボルト167で固定され、光学系ユニット27が各第1ボルト97及び各ビス101で固定されている。更に、底板31は、本体側ベース17に各ボルト32で固定されている。これにより、底板31は、本本体側ベース17上において、加工レーザユニット25と光学系ユニット27と共に一体的に着脱自在に組み付けられている。そのため、本実施の形態のレーザマーカ1では、底板31によって、加工レーザユニット25及び光学系ユニット27を一体的に組付・交換することが可能である。
【0078】
また、本実施の形態のレーザマーカ1において、底板31は、本体側ベース17上を前後方向の前方へスライドしながら本体側ベース17に装着されることが可能である。そのため、本実施の形態のレーザマーカ1では、加工レーザユニット25及び光学系ユニット27を一体的に組付・交換することが容易である。
【0079】
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、光学系ユニット27において、第1ミラー部79、第2ミラー部81、及び可視レーザユニット83が底板31上でハウジング173に取り囲まれている。ハウジング173は、底板31上に立った状態にある後面プレート85及び前面プレート87や、後面プレート85と前面プレート87との間に渡された状態にあるカバー89等で構成されている。従って、光学系ユニット27では、後面プレート85、前面プレート87、又はカバー89が底板31上に組み付けられる前の状態であれば、第1ミラー部79、第2ミラー部81、又は可視レーザユニット83にまで工具を入れることが可能である。そのため、本実施の形態のレーザマーカ1では、第1ミラー部79、第2ミラー部81、又は可視レーザユニット83の組付性に優れているので、例えば、第1ミラー部79、第2ミラー部81、又は可視レーザユニット83の光軸調整が容易である。
【0080】
また、本実施の形態のレーザマーカ1において、ハウジング173のカバー89が底板31上に組み付けられると、カバー89の各下面部135では、各第1貫通孔137において、底板31の各貫通孔43が露出し、また、各下面部135の縁端側(つまり、各第1貫通孔137及び各貫通孔43の左右端側)が開放された切欠きが形成されている。そのため、本実施の形態のレーザマーカ1では、その左右方向の寸法において、各第1貫通孔137及び各貫通孔43の切欠き相当分の長さが省かれるので、小型化が可能である。
【0081】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、底板31が本体側ベース17上に固定される際において、本体側ベース17の各ピン33が、底板31のスライド方向Dを長手方向とする底板31の各長穴69内を移動することによって、底板31のスライドを案内し、各長穴69を形成する壁面179と接触することによって、底板31のスライドを規制している。これにより、本実施形態のレーザマーカ1では、底板31が本体側前面プレート21に突き当たる状態(つまり、底板31が本体側ベース17上に固定される際の状態)に容易に移行することができるので、底板31の組付性が優れている。
【0082】
また、本体側ベース17の各ピン33及び底板31の各長穴69は、前後方向に沿って配設されている。従って、本体側ベース17の各ピン33が底板31の各長穴69に差し入れられた状態では、底板31が本体側ベース17上をスライドしても、本体側ベース17上における加工レーザユニット25のエキスパンダ145の向きは変わらない。これにより、加工レーザユニット25における加工レーザ光の光軸調整がなされているので、加工レーザユニット25を現場交換することが可能である。
【0083】
また、底板31が本体側前面プレート21に突き当たる状態(つまり、底板31が本体側ベース17上に固定される際の状態)に移行した際は、本体側前面プレート21と光学系ユニット27の前面プレート87との間において、第5シール部材177が押し潰されるので、光学系ユニット27の保護構造(防水・防塵構造)や、前面プレート87に連結体7を介して密着している第2本体5の保護構造(防水・防塵構造)が同時に確立される。
【0084】
また、本実施形態のレーザマーカ1において、底板31の各長穴69は、貫通孔であって、光学系ユニット27及び加工レーザユニット25の外方に位置している。そのため、本実施形態のレーザマーカ1では、本体側ベース17の各ピン33が底板31の各長穴69を通して視認可能となるので、底板31の組付性が一層に優れている。尚、貫通孔である各長穴69は、光学系ユニット27の外方に配されているため、光学系ユニット27の保護構造(防水・防塵構造)を害しない。
【0085】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、第1シール部材91が、本体側ベース17と、ハウジング173が備える後面プレート85の下端、前面プレート87の下端、及びカバー89の下面部135との間に介在する。ハウジング173では、第2シール部材93が、後面プレート85の上端及び左右端と、カバー89の上面部131及び各側面部133との間に介在すると共に、第3シール部材95が、前面プレート87の上端及び左右端と、カバー89の上面部131及び各側面部133との間に介在する。加工レーザユニット25のエキスパンダ145がハウジング173の後面プレート85の第1差込孔127に差し込まれた状態では、第4シール部材149が、ブラケット147と後面プレート85との間において、エキスパンダ145の周方向に沿って介在する。底板31が本体側前面プレート21に突き当たる状態(つまり、底板31が本体側ベース17上に固定される際の状態)では、第5シール部材177が、本体側前面プレート21とハウジング173の前面プレート87との間において、第1通過孔125及び第2通過孔181の周方向に沿って介在する。また、ガルバノスキャナ191を内蔵する第2本体5は、本体側前面プレート21に連結体7を介して密着している。このようにして、本実施形態のレーザマーカ1では、光学系ユニット27及び第2本体5の保護構造(防水・防塵構造)が確立されている。
【0086】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、可視レーザユニット83が、底板31上において、エキスパンダ145から出射する加工レーザ光の出射方向(つまり、前後方向)とは直交する左右方向で、エキスパンダ145と並んだ状態で配されている。更に、光学系ユニット27では、可視レーザユニット83のコネクタ123に接続されているハーネス175が、上述した加工レーザ光の出射方向の上流側(つまり、前後方向の後方側)へ延び出し、ハウジング173の後面プレート85に貫通して設けられているケーブルグランド129内を通り、ハウジング173の内部から外部へ引き出されている。これにより、本実施形態のレーザマーカ1は、可視レーザユニット83のハーネス175を、加工レーザ光が進む第1光路L1、第2光路L2、及び第3光路L3に侵入しない状態にすることが可能である。
【0087】
ちなみに、第2本体5は、「密閉構造物」の一例である。加工レーザユニット25は、「加工レーザ発振器」の一例である。本体側ベース17の前端部18は、「端部」の一例である。貫通孔43は、「固定孔」の一例である。第1ミラー部79及び第2ミラー部81は、「ミラー部」の一例である。可視レーザユニット83は、「可視レーザ発振器」の一例である。第1差込孔127は、「差込孔」の一例である。下面部135は、「張出片」の一例である。左側の下面部135の左端側は、「張出片の縁端側」の一例である。右側の下面部135の右端側は、「張出片の縁端側」の一例である。各第1貫通孔137は「張出片において、固定孔に対応する部位」の一例である。各貫通孔43及び各第1貫通孔137の切欠きは、「切欠き」の一例である。ガルバノスキャナ191は、「走査部」の一例である。前後方向の前方は、「所定の向き」の一例である。
【0088】
尚、本開示は、本実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、各長穴69は、底板31を貫通させなくてもよい。このような場合、各長穴69は、底板31の裏面において、光学系ユニット27の下方に配されてもよいし、加工レーザユニット25の下方に配されてもよい。
【0089】
また、ブラケット147は、エキスパンダ145から張り出したフランジであってもよい。このような場合、フランジは、例えば、エキスパンダ145の周方向に沿ってエキスパンダ145から外方へ突出するように設けられる。
【符号の説明】
【0090】
1:レーザマーカ、5:第2本体、17:本体側ベース、18:前端部、21:本体側前面プレート、25:加工レーザユニット、27:光学系ユニット、31:底板、33:ピン、43:貫通孔、69:長穴、79:第1ミラー部、81:第2ミラー部、83:可視レーザユニット、85:後面プレート、87:前面プレート、89:カバー、91:第1シール部材、93:第2シール部材、95:第3シール部材、125:第1通過孔、127:第1差込孔、129:ケーブルグランド、135:下面部、137:第1貫通孔、145:エキスパンダ、147:ブラケット、149:第4シール部材、173:ハウジング、175:ハーネス、177:第5シール部材、179:長穴の壁面、181:第2通過孔、191:ガルバノスキャナ、D:底板のスライド方向