(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056665
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ペット用ケージ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/03 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
A01K1/03 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164529
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 元幸
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 美樹
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101BB09
2B101BB10
2B101FC02
2B101FC03
2B101FC09
2B101FC11
(57)【要約】
【課題】 ケージの設置されている周囲を清潔で衛生的な状態に保つことができ、ケージ内のペットの安全性を確保することができ、取付金具の腐食等がなく安定性に優れたペット用ケージを提供する。
【解決手段】 室内の床面に設置される箱体20と、箱体20の上に設置されるケージ部10とで構成されるペット用ケージ1であって、箱体20は、ケージ部10が載置される天板23と、箱20体の外周を構成し外周上端が天板23よりも高くなるよう突出している周壁部22とを備え、ケージ部10は、周壁部22の内側面に沿って天板23上に載置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の床面に設置される箱体と、箱体の上に設置されるケージ部とで構成されるペット用ケージであって、
前記箱体は、ケージ部が載置される天板と、前記箱体の外周を構成し外周上端が天板よりも高くなるよう突出している周壁部とを備え、
前記ケージ部は、前記周壁部の内側面に沿って天板上に載置されている
ことを特徴とするペット用ケージ。
【請求項2】
前記ケージ部は、周方向に複数配置されたフェンスで構成され、
前記ペット用ケージは、さらに、
隣り合うフェンスをそれぞれ周壁部の内側面に押し付けて固定する接続部材を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のペット用ケージ。
【請求項3】
前記ペット用ケージは、さらに、
前記周壁部と前記天板との間に介在する止水部材を備える
ことを特徴とする請求項1又は2記載のペット用ケージ。
【請求項4】
前記ペット用ケージは、さらに、
前記箱体の天板に、前記ケージ部と前記箱体の内部とを連通する開口部を備え、
前記開口部の直線的な端面を被覆して、緩やかに傾斜した端面にするカバー部材を備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のペット用ケージ。
【請求項5】
前記箱体は、開閉自在の扉部を備え、
前記箱体は底上げされて、前記箱体が設置される床面と前記扉部の下端との間に高さ方向の空間が形成されているとともに、
前記箱体の底部は、前記扉部の下端から箱体の内側方向へ入り込んだ位置に設けられて、奥行き方向の空間も形成されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のペット用ケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット飼育用のケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内で飼育する猫等のペットを飼育するためのペット飼育用ケージは、線材で構成されていることが多い。この線材で構成されているケージ部と、ペット用品等を収納したり、ペット用トイレを設置したりするための箱体とを組み合わせたケージも存在する。また、箱体の天板に開口部を設けて、ケージ部と箱体とを連通させたものもあり、例えば、特許文献1では、前面に開閉自在の扉を、天板に出入用の孔と係止具とをそれぞれ設けてなる収納ボックスと、この収納ボックスの係止具を介して、その天板に着脱自在に設けられる下面開放の飼育ケージとからなり、出入用の孔を介して収納ボックスと飼育ケージとが連通されている収納ボックス組付け式飼育ケージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような箱体の天板の上にケージ部を配置する構成では、ケージ内で水や尿等の水気のあるものがこぼれた場合に、水等が天板を伝ってケージの外へ流れ出てしまい、ケージが設置されている床面を濡らしてしまい、不衛生になるという問題がある。
【0005】
また、天板上に孔等を開けてケージ部と固定するので、天板上に固定金具が突き出てしまい、その固定金具でケージ内にいるペットが怪我をしてしまうおそれがある。
【0006】
さらに、天板上の固定部に水分等による腐食が発生すると、箱体とケージ部との強固な固定が維持できなくなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ケージの設置されている周囲を清潔で衛生的な状態に保つことができ、ケージ内のペットの安全性を確保することができ、取付金具の腐食等がなく安定性に優れたペット用ケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るペット用ケージは、室内の床面に設置される箱体と、箱体の上に設置されるケージ部とで構成されるペット用ケージであって、前記箱体は、ケージ部が載置される天板と、前記箱体の外周を構成し外周上端が天板よりも高くなるよう突出している周壁部とを備え、前記ケージ部は、前記周壁部の内側面に沿って天板上に載置されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記ケージ部は、周方向に複数配置されたフェンスで構成され、前記ペット用ケージは、さらに、隣り合うフェンスをそれぞれ周壁部の内側面に押し付けて固定する接続部材を備える、とするのが好ましい。
【0010】
ここで、前記ペット用ケージは、さらに、前記周壁部と前記天板との間に介在する止水部材を備える、とするのが好ましい。
【0011】
また、前記ペット用ケージは、さらに、前記箱体の天板に、前記ケージ部と前記箱体の内部とを連通する開口部を備え、前記開口部の直線的な端面を被覆して、緩やかに傾斜した端面にするカバー部材を備える、とするのが好ましい。
【0012】
さらに、前記箱体は、開閉自在の扉部を備え、前記箱体は底上げされて、前記箱体が設置される床面と前記扉部の下端との間に高さ方向の空間が形成されているとともに、前記箱体の底部は、前記扉部の下端から箱体の内側方向へ入り込んだ位置に設けられて、奥行き方向の空間も形成されている、とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るペット用ケージによれば、ケージの設置されている周囲を清潔、かつ、良好な衛生状態を維持することができ、また、ケージ内のペットの安全性を確保しつつ、取付金具の腐食等がなく安定性に優れたペット用ケージを実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係るペット用ケージの全体構成を示す図である。
【
図2】ペット用ケージの周壁部およびケージフェンス接続部の一部を拡大して示す図である。
【
図3】線材と天板の固定方法の一例を示す図である。
【
図4】ペット用ケージの天板の外縁付近および周壁部の断面を模式的に示す図である。
【
図5】天板に設けられた開口部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るペット用ケージについて、実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係るペット用ケージの全体構成を示す図である。
【0017】
ペット用ケージ1は、猫やウサギ等の小動物等の飼育するためのスペースを有するペット飼育用ケージであり、ケージ部10と、箱体20とから構成されている。
【0018】
ケージ部10は、箱体20に載置され、飼育されるペットの主な居住空間となる部分であり、例えば金属製の線材で形成されている。ケージ部10は、正面、背面および左右側面に配置されて周方向のフェンスとなるケージフェンス11と、天面に配置される天面フェンス12とから構成されており、箱体20に載置される底面は開放されている。なお、ケージフェンス11の少なくとも1つには、ペットの出入りを可能にするための扉13が設けられている。
【0019】
箱体20は、ケージ部10を載置するとともに、ペット用品等の収納場所やペット用トイレの設置場所となる空間を有する箱状部材であり、例えば、木やプラスチック等で形成されている。箱体20は、ペット用品等を出し入れできるよう正面側に開閉自在の扉部21と、箱体20の外周を構成し、外周上端が天板23よりも高くなるように突出している周壁部22と、ケージ部10の載置面となる天板23とを備えている。天板23には、ケージ部10と箱体20の内部とを連通させてペットのケージ内における通り道となる開口部24が設けられている。
【0020】
図2は、ペット用ケージの周壁部およびケージフェンス接続部の一部を拡大して示す図である。
【0021】
図1および
図2に示すように、ケージ部10のケージフェンス11は、箱体20の周壁部22の内側に沿うように天板23の上に載置されている。また、
図2に示すように、天板23に載置された隣り合うケージフェンス11は、板状の接続部材14によって周壁部22の内側へ押し付けられて共に固定されている。接続部材14は、その両端が周壁部22の内側面に取り付けられ、天板23の上面と接触することがないように構成されている。
【0022】
ケージフェンス11が、箱体20の周壁部22の内側に沿うように天板23の上に載置され、ペット用ケージ1の四隅においてそれぞれ隣り合うケージフェンス11と共に接続部材14で周壁部22の内側へ押し付けられて固定されることにより、天板上に孔等を開けてケージ部と箱体とを固定する必要がなくなるので、ケージ内でペットが固定金具で怪我をするおそれを無くすることができる。
【0023】
また、箱体20の周壁部22が箱体20の天板23よりも高くなっているので、ケージ内で水や尿等の水気のあるものがこぼれた場合でも、水等が天板23を伝ってケージの外へ流れ出ることもなく、ケージの設置されている周囲を清潔で衛生的な状態に保つことができる。
【0024】
さらに、隣り合うケージフェンス11を箱体20に固定する接続部材14は、水等がかかりにくい位置に設置されているので、天板上のケージ部との固定部に水分等による腐食が発生するおそれが少なく、また、ケージフェンス11を周壁部22の内側へ押し付ける力が加わりケージの安定性を高めるので、ペット用ケージ1は、取付金具の腐食等がなく安定性に優れたものとなる。
【0025】
なお、ここでは、天板23に孔を開けることなく、ケージフェンス11を天板23に取り付ける例を示したが、以下に示すような固定方法であれば、天板23に孔を開けてケージフェンス11を構成する線材を固定するようにしてもよい。
【0026】
図3は、線材と天板の固定方法の一例を示す図である。
【0027】
天板23の端部付近に開口された天板孔31には、開口部を水密的に塞ぐ線材保持具32が取り付けられている。線材保持具32はプラスチック製または合成樹脂製であり、線材保持具32の先端側は、外側に向かって広がるよう付勢されている。線材保持具32の先端が天板孔31に挿入され、天板孔31の開口部を水密的に塞ぐとき、線材保持具32の先端が広がって天板23に固定されるようになっている。
【0028】
線材保持具32の中心部は、線材30の先端が挿入可能となるように開孔されている。天板23に取り付けられた線材保持具32の中心部の孔に、ケージフェンス11を構成する縦方向の線材30の先端を挿入することで、線材30は天板23に固定される。
【0029】
このように、ケージ内で水等のこぼれが発生しにくい位置の天板23の端部付近を開口することにして、この開口部の天板孔31を水密的に塞ぐ線材保持具32を取り付け、この線材保持具32にケージフェンス11を構成する線材30を挿入して固定するようにしてもよい。
【0030】
図4は、ペット用ケージの天板の外縁付近および周壁部の断面を模式的に示す図である。
【0031】
天板23は、箱体20の周壁部22の内側縁に設置されたカムロック26と天板23を支える内側幕板27とで支持されている。周壁部22と天板23とが直接連なっている構成としてもよいが、
図4に示すように、周壁部22と天板23の外縁との間に止水部材25を介在させて止水処理を施すのが好ましい。この止水部材25を用いた止水処理により、天板23の縁部から周壁部22の内側を水が伝って箱体20の内側縁の腐食等が発生することを防ぐことができる。
【0032】
ここにいう止水部材25は、例えば、ゴム等の弾性部材である。なお、
図4では、止水部材25の上端が天板23の上面より上方へ突出させている例を示しているが、この場合は天板23の上面に載置されるケージフェンス11の下端と干渉することがないように、一定の間隔を空けて止水部材25を配置すればよい。もちろん、ケージフェンス11の下端と干渉させないようにするため、止水部材25の上端が天板23の上面と面一となるようにしてもよい。
【0033】
図5は、天板に設けられた開口部の構成を示す図である。
【0034】
天板23に設けられた開口部24は、ケージ部10と箱体20とを連通させるために開口されており、ケージ内のペットがケージ部10と箱体20の内部とを往来可能にするものである。天板23の上面には、天板23とほぼ同じ寸法のプラスチック素材で形成されているトレイ28が配置されており、このトレイ28にも、天板23に設けられた開口部24と一致する開口部が設けられている。トレイ28は、天板23および天板23に設けられた開口部24を被覆し保護するカバー部材である。箱体20の開口部24は開口部24の端面が鉛直方向へ直線的となるように構成されているのに対して、トレイ28の開口部は、開口部の端面が開口部外周から開口部中心方向へ向かって緩やかに傾斜する曲線状に構成されている。
【0035】
箱体20の天板23に設けられた開口部24はペットの往来する通路となるので、開口部24の板厚方向の端面は汚れが付着しやすい箇所であり、また、天板23の上で水等がこぼれて、この端面から水が天板23に染み込んで天板23の腐食が進行することがないよう保護が必要となる箇所である。このように、箱体20の天板23の上面にトレイ28を配置し、このトレイ28に開口部24と一致する開口部を設けることにより、開口部24をトレイ28の開口部で被覆して保護することができる。また、ケージ内のペットが開口部を往来する際に、開口部24の端面に生じるささくれ等で怪我をすることがないようにするという効果も期待できる。なお、ここでは、トレイ28を天板23とほぼ同じ寸法として天板23の全体を被覆する例を示したが、開口部24の直線的な端面を被覆して緩やかに傾斜した端面にするものであればよく、トレイ28が天板23の開口部24のみ又は開口部24とその近傍のみを被覆するように構成してもよい。
【0036】
【0037】
図6に示すように、箱体20の底部のうち、少なくとも扉部21が設けられている正面側は、底部幕板29が設けられており、ペット用ケージ1が設置される床面から箱体20の扉部21の下端との間に高さ方向の空間が形成されるように底上げされている。また、奥行き方向にも空間が形成されるよう、底部幕板29は、扉部21の下端から箱体20の内側方向へ入り込んだ位置に設けられている。
【0038】
ペット用ケージ1は、室内の床面に設置されるものであり、床面に敷かれた絨毯やカーペット等の敷物の上に設置されることも多々ある。このように、箱体20の底部に底部幕板29を設けて扉部21の下端と床面との間に高さ方向の空間が形成されるように底上げすることで、扉部21の開閉時に床面の敷物に引っかかることがなくなり、扉部21の開閉をスムーズにすることができる。また、底部幕板29を扉部21の下端から箱体20の内側へ入り込んだ位置に設けることで、ペット用ケージ1内の掃除等の作業を行う際に、作業者のつま先が箱体20の底部に当接しないようになっている。
【0039】
このように、本実施の形態のペット用ケージによれば、箱体の天板上にケージ部を構成する周方向のフェンスを設置するにあたり、天板上に孔等を開けてケージ部と箱体とを固定するのではなく、箱体の周壁部の内側面に沿うように載置して、ケージ部の四隅においてそれぞれ隣り合うフェンスを接続部材で周壁部の内側面へ押し付けて固定するので、ケージ内でペットが怪我をするおそれのある固定金具を不要とすることができる。
【0040】
また、箱体の天板は、箱体の周壁部よりも低い位置にあるので、ケージ内で水等がこぼれてもケージの外へ流れ出ることがなく、ケージの周囲を清潔に保ち、衛生的な状態を維持することができる。
【0041】
さらに、隣り合うフェンスを箱体に固定する接続部材は、水等がかかりにくい位置にあるので、水濡れ等によって腐食が発生するおそれが少ない。また、フェンスを周壁部の内側面へ押し付ける力が加わるので、ケージは優れた安定性を得ることができる。
【0042】
また、天板の縁部と周壁部との間に止水部材を介在させることで、箱体の内側縁の腐食等の発生を防止することができる。
【0043】
さらに、箱体の天板に設けられた開口部と一致する開口部を備えたトレイを箱体の天板上面に配置するので、箱体の天板に設けられた開口部を被覆し保護することができる。
【0044】
またさらに、箱体の底部のうち、少なくとも正面側に箱体の扉部の下端と床面との間に高さ方向の空間と奥行き方向への空間とが形成されているので、扉部の開閉をスムーズに行うことができるとともに、ケージ内の掃除等の作業を行う際に作業者のつま先が箱体の底部に当たらないようにして作業者の安全を確保することもできる。
【0045】
以上、本発明に係るペット用ケージについて実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【0046】
例えば、上記実施形態では、四角形のケージを示して説明したが、六角形などその他の多角形のケージであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係るペット用ケージは、室内で飼育する猫等のペットを飼育するためのペット飼育用ケージとして好適である。
【符号の説明】
【0048】
1 ペット用ケージ
10 ケージ部
11 ケージフェンス
12 天面フェンス
13 扉
14 接続部材
20 箱体
21 扉部
22 周壁部
23 天板
24 開口部
25 止水部材
26 カムロック
27 内側幕板
28 トレイ
29 底部幕板
30 線材
31 天板孔
32 線材保持具