(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056687
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】セキュリティシステム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/06 20060101AFI20220404BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20220404BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20220404BHJP
【FI】
G07G1/06 B
G07G1/12 361Z
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164567
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510294874
【氏名又は名称】株式会社Fujitaka
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】真野 靖章
(72)【発明者】
【氏名】河野 厚志
(72)【発明者】
【氏名】山口 清充
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武
(72)【発明者】
【氏名】五反田 剛
(72)【発明者】
【氏名】小畑 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】橋奥 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】福田 佳隆
【テーマコード(参考)】
3E142
5L049
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142BA16
3E142EA04
3E142GA02
3E142GA03
3E142GA50
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】監視エリアの出口の通過許可時間を通過許可者が調整可能な構成を提供する。
【解決手段】設定された通過許可時間の経過後に、検知部により決済エリアの出口を通過する人が検知されることで、報知部により所定の報知が行われる。そして、通過許可時間の経過前に、読取部によって情報コードが読み取られると、当該通過許可時間が長くなるように再設定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の監視エリアの出口を通過する人を検知可能な検知部と、
情報コードを読み取る読取部と、
前記読取部の読取結果に基づいて前記出口の通過が許可される通過許可時間を設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記通過許可時間の経過後に前記検知部により前記出口を通過する人が検知されることで所定の報知を行う報知部と、
を備えるセキュリティシステムであって、
前記設定部は、前記通過許可時間の経過前に前記読取部によって前記情報コードが読み取られると、当該通過許可時間を長くするように再設定することを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項2】
前記読取部によって前記情報コードから読み取られた識別情報が記憶される記憶部を備え、
前記設定部は、前記通過許可時間の経過前に、前記読取部によって前記情報コードから読み取られた識別情報が前記記憶部に記憶されており、かつ、当該識別情報が前回読み取られた識別情報に一致する場合に、当該通過許可時間を長くするように再設定することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
【請求項3】
前記記憶部には、前記情報コードから読み取られた識別情報とともに当該識別情報が読み取られた読取回数が関連付けて記憶され、
前記設定部は、前記通過許可時間の経過前に、前記読取部によって前記情報コードから読み取られた識別情報が前記記憶部に記憶されており、かつ、当該識別情報が前回読み取られた識別情報に一致し、かつ、当該識別情報に関連付けられて前記記憶部に記憶される前記読取回数が所定回数未満である場合に、当該通過許可時間を長くするように再設定することを特徴とする請求項2に記載のセキュリティシステム。
【請求項4】
前記読取部を収容した第1筐体と前記検知部を収容した第2筐体とが別体として構成されて、前記第1筐体が前記第2筐体に対して通過方向上流側に位置するように配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小売店舗等で顧客自身がセルフレジを操作してセルフ決済を行う決済システムの導入が増えてきている。このような決済システムでは、セルフレジでの操作を終えた顧客がセルフ決済を完了しているか、店舗側の者では一見して把握できない場合があるため、セルフレジでの操作を終えた顧客がセルフ決済を完了しているか否かについてチェックする仕組みが必要になる。
【0003】
このようなセルフ決済の完了をチェックする仕組みに関連する技術として、例えば、下記特許文献1に開示されるゲート付チェックアウトシステムが知られている。このゲート付チェックアウトシステムでは、顧客は、精算装置で精算した際に取引番号を示すバーコードが印刷されたレシートを受け取ると、このレシートのバーコードをゲート開閉装置のスキャナ部に読み取らせることで、開放状態になったゲートを通過できる。ゲート開閉装置は、読み取ったバーコードに関連付けられる支払完了日時から現在日時までの経過時間について所定のゲート通過許可時間以内であるか否かについて判定し、ゲート通過許可時間以内であると判定された場合にゲートを開放する。これにより、レシートを再利用した不正なゲート通過を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようなシステムでは、バーコードを読み取らせた顧客が健常者であるか把握できないため、健常者でない者でもゲートを確実に通過できるように、ゲート通過許可時間を過剰に長い時間に設定している。また、このようにゲート通過許可時間を長くすることで、1枚のレシートで家族連れのような複数人のゲート通過を許容することができる。
【0006】
しかしながら、複数人でもゲートを通過できるようにゲート通過許可時間を過剰に長く設定すると、ゲートの不正通過が容易になるためにセキュリティ性が低くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、監視エリアの出口の通過許可時間を通過許可者が調整可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
所定の監視エリアの出口を通過する人を検知可能な検知部と、
情報コードを読み取る読取部と、
前記読取部の読取結果に基づいて前記出口の通過が許可される通過許可時間を設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記通過許可時間の経過後に前記検知部により前記出口を通過する人が検知されることで所定の報知を行う報知部と、
を備えるセキュリティシステムであって、
前記設定部は、前記通過許可時間の経過前に前記読取部によって前記情報コードが読み取られると、当該通過許可時間を長くするように再設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、設定部により設定された通過許可時間の経過後に検知部により所定の監視エリアの出口を通過する人が検知されることで、報知部により所定の報知が行われる。そして、通過許可時間の経過前に読取部によって情報コードが読み取られると、当該通過許可時間が長くなるように設定部により再設定される。
【0010】
これにより、情報コードをかざした者(通過許可者)は、情報コードを読取部に読み取らせる回数に応じて通過許可時間を長くするように調整できるので、家族連れのような複数人でも円滑に出口を通過することができる。特に、通過許可者が出口の通過許可時間を調整できるため、1度の情報コードの読み取りによって設定される通過許可時間を比較的短くすることができるので、通過許可時間が過剰に長い時間に設定される場合と比較して、セキュリティシステムのセキュリティ性を向上させることができる。
【0011】
請求項2の発明では、読取部によって情報コードから読み取られた識別情報が記憶される記憶部が設けられる。そして、通過許可時間の経過前に、読取部によって情報コードから読み取られた識別情報が記憶部に記憶されており、かつ、当該識別情報が前回読み取られた識別情報に一致する場合に、当該通過許可時間が長くなるように設定部により再設定される。
【0012】
これにより、通過許可者が情報コードを連続して読取部に読み取らせている場合には、識別情報が前回読み取られた識別情報に一致するため、通過許可時間が長くなるように再設定されて、所定の報知が行われることなく出口を通過可能な状態が維持される。一方、情報コードを不正に取得した不正取得者がその情報コードを先の通過許可者に続くように読取部に読み取らせている場合には、識別情報が前回読み取られた識別情報に一致しないことで、通過許可時間の再設定が行われないので、不正取得者の不正な出口通過を防止することができる。
【0013】
請求項3の発明では、記憶部には、情報コードから読み取られた識別情報とともに当該識別情報が読み取られた読取回数が関連付けて記憶される。そして、通過許可時間の経過前に、読取部によって情報コードから読み取られた識別情報が記憶部に記憶されており、かつ、当該識別情報が前回読み取られた識別情報に一致し、かつ、当該識別情報に関連付けられて記憶部に記憶される読取回数が所定回数未満である場合に、当該通過許可時間が長くなるように設定部により再設定される。
【0014】
これにより、通過許可者であっても情報コードを上記所定回数以上連続して読取部に読み取らせている場合には、通過許可時間の再設定が行われないので、無制限に通過許可時間が延長されてしまうような状態を防止することができる。
【0015】
請求項4の発明では、読取部を収容した第1筐体と検知部を収容した第2筐体とが別体として構成されて、第1筐体が第2筐体に対して通過方向上流側に位置するように配置される。これにより、例えば、通過許可者がショッピングカートを押しながら情報コードを読取部にかざす際に、そのショッピングカートが検知部によって検知され難くなるので、報知部による誤報知を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係るセキュリティシステムを概略的に説明する説明図である。
【
図2】
図1のセキュリティシステムを構成する監視装置等の配置を説明する説明図である。
【
図3】
図1の監視装置の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図4】
図4(A)は、情報コード等が紙媒体に印刷されたレシートを説明する説明図であり、
図4(B)は、
図4(A)の印刷内容に相当する情報が画面表示された携帯端末を説明する説明図である。
【
図5】第1実施形態において監視装置にて行われる監視処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るセキュリティシステムを具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すセキュリティシステム1は、小売店舗等の所定の決済エリア(監視エリア)2に設置された1又は2以上のセルフレジ3でのセルフ決済の完了をチェックするためのシステムである。本実施形態では、セキュリティシステム1は、決済エリア2の出口4の通過を監視する監視装置10を備えており、セルフレジ3にてセルフ決済を終えた購入者が決済エリア2の出口4を通過する際に、決済時に得たレシート5の情報コード6が監視装置10によって読み取られることで、その購入者を通過許可者として、セルフ決済の完了をチェックするシステムとして構成されている。
【0018】
レシート5は、セルフレジ3にてセルフ決済を完了した際に、そのセルフレジ3にて所定の紙媒体に購入情報等が印刷されて発行される。このレシート5には、
図4(A)に示すように、購入情報として、購入品名や個別金額、合計金額、決済日時等が印刷されるとともに、他のレシート5と区別するための固有の識別情報や決済日時等を記録したQRコード(登録商標)が情報コード6として印刷されている。なお、セルフレジ3にてスマートフォンなどの携帯端末5aにてセルフ決済を行う際に、
図4(B)に示すように、情報コード6を含めたレシート5の印刷内容に相当する情報が携帯端末5aの画面に表示される場合には、この画面表示された情報コード6を監視装置10に読み取らせるようにしてもよい。なお、紙に印刷または画面に表示される情報コード6は、QRコードに限らず、例えば、一次元バーコードなど、他のコード種別の情報コードであってもよい。
【0019】
監視装置10は、決済エリア2の出口4を通過する人を監視するとともに、出口4の通過を可能とする通過許可時間を設定するための装置であって、2つの略円柱状の筐体(以下、第1筐体11及び第2筐体12ともいう)を備えるように構成されている。
図1及び
図2に示すように、第1筐体11は、第2筐体12に対して通過方向上流側に一定距離(例えば、80cm程度)離れるように配置されており、第1筐体11には、主に情報コード6を光学的に読み取るための各種電子部品が収容され、第2筐体12には、主に出口4の通過を監視するとともに所定の報知を行うための各種電子部品が収容されている。
【0020】
監視装置10は、
図3に示すように、制御部21、記憶部22、表示部23、検知部24、報知部25、通信部26、読取部27等を備えている。制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、記憶部22とともに情報処理装置を構成している。制御部21は、後述する監視処理により、出口4の通過を可能とする通過許可時間の設定などを行うように構成されている。記憶部22は、ROM、RAM、HDD、不揮発性メモリなどの公知の記憶媒体によって構成されており、監視処理を実行するためのアプリケーションプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。また、記憶部22には、情報コード6から読み取られた識別情報や決済日時等が登録される所定のデータベースが構築されている。
【0021】
表示部23は、その表示画面23aが第2筐体12の通過方向上流側(第1筐体11側)となる位置に配置されており、制御部21によってその表示内容が制御されるように構成されている。検知部24は、公知の人感センサなどであって、第2筐体12と出口4との間を人が通過した際に所定の検知信号を制御部21に出力するように構成されている。報知部25は、公知のブザー等であって、制御部21により制御されて所定のブザー音を放音するように構成されている。通信部26は、上位機器等の外部装置と通信を行うための通信インタフェースであって、制御部21と協働して通信処理を行うように構成されている。このように構成される制御部21、記憶部22、表示部23、検知部24、報知部25、通信部26は、第2筐体12に収容されている。
【0022】
一方、読取部27は、第1筐体11に収容されており、情報コード6をかざす読取口27aが第1筐体11の頂面11aの中央に位置するように配置されている。この読取部27は、情報コード6を撮像して光学的に読み取る情報コード読取装置であって、制御部21から指示を受けて、読取口27aを介して撮像した情報コードをデコードするデコード処理を行い、情報コード6に記録される識別情報等のデコードに成功するとその識別情報等を読取結果として制御部21に出力するように構成されている。なお、前記した「第1筐体11に収容」とは、読取部27が第1筐体11内部に物理的に配置されている形態のみならず、読取部27が制御部21と接続されて第1筐体11に備えられている形態をも含むものとする。
【0023】
次に、上述のように構成されるセキュリティシステム1において、セルフレジ3でのセルフ決済の完了をチェックする際に監視装置10の制御部21にてなされる監視処理について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
制御部21にて監視処理が開始されると、まず、
図5のステップS101の判定処理にて、読取部27から読取結果を受信しているか否かについて判定される。ここで、読取部27から読取結果を受信していない場合には、ステップS101にてNoと判定されて、ステップS103の判定処理にて、検知部24から検知信号を受信しているか否かについて判定される。ここで、検知部24から検知信号を受信していない場合には、ステップS103にてNoと判定されて、上記ステップS101の判定処理がなされる。そして、読取部27から読取結果を受信するか、検知部24から検知信号を受信するまで、ステップS101,S103にてNoとの判定が繰り返される。
【0025】
このような繰り返し判定中に、レシート5の情報コード6を第1筐体11に設けた読取部27の読取口27aにかざすことなく出口4を通過しようとすると、検知部24から検知信号が受信されるために(S103でYes)、ステップS105の報知処理にて、報知部25のブザー音等を利用した所定の報知がなされる。これにより、セルフ決済を完了していない可能性のある者が出口4を通過している場合に、所定の報知を行うことができる。
【0026】
また、上述のような繰り返し判定中に、セルフレジ3でのセルフ決済を完了した購入者が決済時に得たレシート5の情報コード6を第1筐体11に設けた読取部27の読取口27aにかざすことで、その情報コード6から読み取られた識別情報や決済日時等が読取結果として読取部27から受信されると、ステップS101にてYesと判定される。なお、第1筐体11が第2筐体12に対して通過方向上流側に一定距離だけ離れて配置されているため、購入者が情報コード6を読取口27aにかざす前に、その購入者が押すショッピングカート等が検知部24にて検知されることはない。
【0027】
続いて、ステップS107の判定処理にて、読み取った識別情報が以前に読み取られた識別情報に一致する再読み取りであるかについて判定される。ここで、一致する識別情報が記憶部22のデータベースに登録されていない場合には、再読み取りでないとしてステップS107にてNoと判定されて、その識別情報等が記憶部22のデータベースに登録される(S109)。
【0028】
続いて、ステップS111に示す通過許可時間設定処理がなされる。この処理では、読取部27で読み取った識別情報を読み取った時点から予め決められた初期時間(例えば、7秒間)だけ報知処理を行わないことで出口4の通過を許可するための通過許可時間が設定される。この通過許可時間は、設定されてからの時間経過に応じて短くなり、その残された通過許可時間がカウントダウン表示されるように、表示部23の表示画面23aに表示される(S113)。上述のように初期時間が7秒間に設定されている場合には、表示画面23aには、設定されてからの時間経過に応じて「7」「6」「5」と、通過許可時間が短く変化するように表示され、通過許可時間が経過したときには表示が「0」になる。なお、情報コード6から識別情報が読み取られることで上記ステップS111の通過許可時間設定処理を実行する制御部21は、読取部27の読取結果に基づいて出口4の通過が許可される通過許可時間を設定する「設定部」の一例に相当し得る。
【0029】
その後、ステップS115の判定処理にて、読取部27から読取結果を受信しているか否かについて判定される。ここで、読取部27から再び読取結果を受信していない場合には、ステップS115にてNoと判定されて、ステップS117の判定処理にて、通過許可時間が経過しているか否かについて判定される。ここで、表示画面23aにカウントダウン表示される数値が「0」よりも大きく、上述のように設定された通過許可時間が経過していない場合には、ステップS117にてNoと判定されて、カウントダウン表示(S113)が継続される。そして、読取部27から再び読取結果を受信することなく、カウントダウン表示される数値が「0」になって、通過許可時間が経過すると、ステップS117にてYesと判定されて、上記ステップS101からの処理がなされる。
【0030】
上述したカウントダウン表示の継続中(言い換えると、通過許可時間が経過する前)に、先に情報コード6をかざした購入者と異なる購入者がそのレシート5の情報コード6を読取口27aにかざすことで、読取部27から再び読取結果が受信されると(S115でYes)、その読取結果の識別情報等が記憶部22のデータベースに登録される(S119)。
【0031】
続いて、ステップS121の判定処理にて、読み取った識別情報が前回読み取られた識別情報に一致する連続読み取りであるか否かについて判定される。ここで、上述のように異なる購入者が情報コード6を読取口27aにかざしていることから、読み取った識別情報が前回読み取られた識別情報に一致しないために連続読み取りでないと判定されると(S121でNo)、その識別情報が再読み取りでないことで(以前に読み取られた識別情報に一致しないことで)、ステップS123の判定処理にてNoと判定される。
【0032】
この場合には、ステップS125に示す通過許可時間再設定処理がなされ、通過許可時間が上記初期時間に再設定されて、後述する読取回数Nがクリアされて「0」に設定された後、上記ステップS113からの処理がなされる。これにより、例えば、表示画面23aにて「3」がカウントダウン表示されていた場合には、その表示が「7」に延長される。なお、上記ステップS125の通過許可時間再設定処理及び後述するステップS133の通過許可時間再設定処理を実行する制御部21は、通過許可時間の経過前に読取部27によって情報コード6が読み取られると、当該通過許可時間を長くするように再設定する「設定部」の一例に相当し得る。
【0033】
また、上述したカウントダウン表示の継続中に、先にかざされた情報コード6と同じ情報コード6が読取口27aにかざされていると、読み取った識別情報が前回読み取られた識別情報に一致するために連続読み取りであるとして、ステップS121の判定処理にてYesと判定される。この場合には、その識別情報に関して読取回数Nがインクリメント(N=N+1)されて記憶部22にて関連付けられるように記憶された後(S129)、その読取回数Nが所定回数Nth(例えば、5回)未満であれば(S131でYes)、ステップS133の通過許可時間再設定処理にて、上記ステップS125の処理と同様に、通過許可時間が上記初期時間に再設定される。
【0034】
このように通過許可時間が経過する前に同じ情報コード6を再度かざすことで、通過許可時間を再設定できるので、購入者は、その読取回数Nに応じて通過許可時間を長くするように調整することができる。例えば、家族連れのような複数人の1人がセルフ決済する場合でも、1つのレシート5を使いまわして個々に情報コード6を読取口27aにかざすことで、それぞれが円滑に出口4を通過することができる。
【0035】
その一方で、購入者であっても、同じ情報コード6を必要以上に何度も読取口27aにかざすことで、その読取回数Nが所定回数Nth以上になると(S131でNo)、上記ステップS133の通過許可時間再設定処理を行うことなく、上記ステップS113からの処理がなされる。
【0036】
また、ステップS101,S103にてNoとの繰り返し判定中に、既に読み取られた情報コード6を読取口27aにかざしている場合には(S101でYes、S107でYes)、不正に情報コード6がかざされている可能性があるとして、上記ステップS105の報知処理がなされる。なお、ここでの既に読み取られた情報コード6は、例えば、今回の取引とは関係しない過去の取引においてに発行された情報コードである。また、上述したカウントダウン表示の継続中に、前回読み取られた識別情報に一致しないが(S121でNo)、既に読み取られた情報コード6を読取口27aにかざしている場合にも(S123でYes)、不正に情報コード6がかざされている可能性があるとして、上記ステップS105の報知処理がなされる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るセキュリティシステム1では、ステップS111の通過許可時間設定処理により設定された通過許可時間の経過後に(S117でYes)、検知部24により決済エリア2の出口4を通過する人が検知されることで(S103でYes)、報知部25により所定の報知が行われる。そして、通過許可時間の経過前に(S117でNo)、読取部27によって購入者(通過許可者)がかざしたレシート5の情報コード6が読み取られると(S115でYes)、当該通過許可時間が長くなるように再設定される。
【0038】
これにより、通過許可者である購入者は、情報コード6を読取部27に読み取らせる回数に応じて通過許可時間を長くするように調整できるので、家族連れのような複数人でも円滑に出口4を通過することができる。特に、購入者が出口4の通過許可時間を調整できるため、1度の情報コード6の読み取りによって設定される通過許可時間を比較的短くすることができるので、通過許可時間が過剰に長い時間に設定される場合と比較して、セキュリティシステム1のセキュリティ性を向上させることができる。また、カメラなどでレシートを受け取った顧客やその家族等の動きを監視してゲート通過許可時間を個々に調整する必要が無いため、システム的に複雑になることを抑制し、導入コストや運用コストが増大するという問題を発生させることが無い。
【0039】
そして、読取部27によって情報コード6から読み取られた識別情報が記憶部22に記憶され、通過許可時間の経過前に、読取部27によって情報コード6から読み取られた識別情報が記憶部22に記憶されており、かつ、当該識別情報が前回読み取られた識別情報に一致する場合に(S121でYes)、当該通過許可時間が長くなるように再設定される(S133)。
【0040】
これにより、通過許可者である購入者が情報コード6を連続して読取部27に読み取らせている場合には、識別情報が前回読み取られた識別情報に一致するため、通過許可時間が長くなるように再設定されて、所定の報知が行われることなく出口4を通過可能な状態が維持される。一方、情報コード6を不正に取得した不正取得者がその情報コード6を先の購入者に続くように読取部27に読み取らせている場合には、識別情報が前回読み取られた識別情報に一致しないことで(S121でNo,S123でYes)、通過許可時間の再設定が行われないので、不正取得者の不正な出口通過を防止することができる。
【0041】
特に、記憶部22には、情報コード6から読み取られた識別情報とともに当該識別情報が読み取られた読取回数Nが関連付けて記憶される。そして、通過許可時間の経過前に、読取部27によって情報コード6から読み取られた識別情報が記憶部22に記憶されており、かつ、当該識別情報が前回読み取られた識別情報に一致し、かつ、当該識別情報に関連付けられて記憶部22に記憶される読取回数Nが所定回数Nth未満である場合に(S121でYes,S131でYes)、当該通過許可時間が長くなるように再設定される(S133)。
【0042】
これにより、通過許可者である購入者であっても情報コード6を上記所定回数Nth以上連続して読取部27に読み取らせている場合には、通過許可時間の再設定が行われないので、無制限に通過許可時間が延長されてしまうような状態を防止することができる。
【0043】
また、読取部27を収容した第1筐体11と検知部24を収容した第2筐体12とが別体として構成されて、第1筐体11が第2筐体12に対して通過方向上流側に位置するように配置される。これにより、例えば、購入者がショッピングカートを押しながら情報コード6を読取部27にかざす際に、そのショッピングカートが検知部24によって検知され難くなるので、報知部25による誤報知を抑制することができる。
【0044】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、上述したように決済エリア2の出口4を通過する人を監視するセキュリティシステムに採用されることに限らず、例えば、設定された通過許可時間が経過するまで所定の監視エリアの出口に設けられるゲートが開放状態に制御されるセキュリティシステムに採用されてもよい。
【0045】
(2)監視装置10は、制御部21や検知部24、読取部27等の各種電子部品が、第1筐体11及び第2筐体12のいずれか一方に収容されるように構成されることに限らず、1つの筐体に収容されるように構成されてもよい。
【0046】
(3)カウントダウン表示がなされる表示部23の表示画面23aでは、通過許可時間が設定されていない場合には、
図1に示すように、初期時間となる「7」が常時表示されてもよいし、例えば、出口4を通過する通過方向を示す矢印等が表示されてもよい。
【0047】
(4)上記ステップS125の通過許可時間再設定処理では、通過許可時間が上記初期時間に再設定されることに限らず、例えば、再設定用の時間(例えば、5秒)に設定されてもよいし、所定の延長時間(例えば、3秒)を現時点での通過許可時間に加算するようにしてもよい。同様に、上記ステップS133の通過許可時間再設定処理では、通過許可時間が上記初期時間に再設定されることに限らず、例えば、再設定用の時間に設定されてもよいし、所定の延長時間を現時点での通過許可時間に加算するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…セキュリティシステム
2…決済エリア(所定の監視エリア)
3…セルフレジ
4…出口
5…レシート
6…情報コード
10…監視装置
11…第1筐体
12…第2筐体
21…制御部(設定部)
22…記憶部
23…表示部
24…検知部
25…報知部
27…読取部
N…読取回数