IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岡村 功の特許一覧 ▶ 大山 義夫の特許一覧

特開2022-56750起業及び事業活動を消費活動によって助成する事業運営支援システム及び事業運営支援方法
<図1>
  • 特開-起業及び事業活動を消費活動によって助成する事業運営支援システム及び事業運営支援方法 図1
  • 特開-起業及び事業活動を消費活動によって助成する事業運営支援システム及び事業運営支援方法 図2
  • 特開-起業及び事業活動を消費活動によって助成する事業運営支援システム及び事業運営支援方法 図3
  • 特開-起業及び事業活動を消費活動によって助成する事業運営支援システム及び事業運営支援方法 図4
  • 特開-起業及び事業活動を消費活動によって助成する事業運営支援システム及び事業運営支援方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056750
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】起業及び事業活動を消費活動によって助成する事業運営支援システム及び事業運営支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/00 20120101AFI20220404BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164668
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】509104632
【氏名又は名称】岡村 功
(71)【出願人】
【識別番号】515125908
【氏名又は名称】大山 義夫
(74)【代理人】
【識別番号】100115303
【氏名又は名称】岩永 和久
(72)【発明者】
【氏名】岡村 功
(72)【発明者】
【氏名】大山 義夫
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】事業運営希望者はすべての資源(物や条件)が揃わなくても、起業及び事業活動の継続に必要な各種資源の調達を容易にし、すぐにでも事業を始める事が可能な事業運営支援システム及び事業運営支援方法を提供する。
【解決手段】事業運営支援システムは、サーバー端末1を介して、事業者端末4と支援者端末2及び消費者端末3とがインターネット等の通信回線に接続されている。事業者は、[1.活動拠点・農地]~[8.労働力(生産・加工・販売)]という資源について、支援者や消費者に支援を求めることができる。また。地元地域や隣接地域の農作業者が連携することで、競合ではなく、地元消費者のために協同して活動し、コミュニケーション型の農作物流通システムの実現を可能としている。また、消費者の視点を持ちつつ生産活動に参画するプロシューマーを柱としたコミュニティを形成することで、消費者の関わりを強めてシステムの普及力の向上を目指す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起業及び事業活動を助成する運営事業体として事業運営業務全般を行うサーバー端末と、起業及び事業活動を行う事業者の事業者端末と、前記サーバー端末にログインして各種機能の操作権限を与えられたユーザー端末と、が電気通信回線を通じて接続される事業運営支援システムにおいて、
前記ユーザー端末は、事業者が供給する商品を購入し又はサービスの提供を受けるための消費者の消費者端末と、事業者の起業及び事業活動を支援するための支援者の支援者端末とを含み、
前記サーバー端末は前記事業者端末に対して、前記消費者端末から取得した需要情報及び/又は前記支援者端末から取得した支援情報に基づいて、起業及び事業活動に必要な事業運営情報を提供することを特徴とする事業運営支援システム。
【請求項2】
前記サーバー端末は、
予め設定された前記事業運営情報について、前記ユーザー端末から取得した前記需要情報及び前記支援情報を格納する提供条件データベースと、
記事業者端末に対して、前記需要情報及び/又は前記支援情報を閲覧可能に表示する表示手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の事業運営支援システム。
【請求項3】
前記サーバー端末は、
事業活動に必要となる、前記需要情報及び/又は前記支援情報を含む事業構成事項を管理する提供条件設定手段と、
前記事業者端末からの要求に応じて、前記ユーザー端末からの前記事業構成事項の提供内容に基づく前記事業運営情報を生成する要求処理手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の事業運営支援システム。
【請求項4】
前記事業構成事項は、事業者が対応可能な自己力のほか、事業生産のために支援者又は消費者からの提供を所望する場所、調達力、資本力、労働力の全部又は一部によって規定されることを特徴とする請求項3記載の事業運営支援システム。
【請求項5】
前記サーバー端末は、
事業者の拠点地及びユーザーの居住地に関する地域情報を格納する会員情報データベースと、
前記事業者端末からの要求に応じて、前記地域情報が同一又は隣接する地域における前記事業運営情報を生成する要求処理手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の事業運営支援システム。
【請求項6】
前記サーバー端末は、
前記事業者端末及び前記ユーザー端末の個々が保有する暗号資産情報を格納するポイント情報データベースと、
前記事業者端末と前記ユーザー端末との取引を、前記暗号資産情報によって決済するポイント処理手段と、
を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の事業運営支援システム。
【請求項7】
起業及び事業活動を助成する運営事業体として事業運営業務全般を行うサーバー端末と、起業及び事業活動を行う事業者端末と、前記サーバー端末にログインして各種機能の操作権限を与えられたユーザー端末と、が電気通信回線を通じて接続される、前記ユーザー端末は、事業者が提供する商品を購入し又はサービスの提供を受けるための消費者端末と、事業者の起業及び事業活動を支援するための支援者端末とが含まれる事業運営支援システムにおいて実施される事業運営支援方法であって、
前記サーバー端末には、起業及び事業活動に必要となる事業構成事項が予め設定されており、
前記ユーザー端末は、前記消費者端末による需要情報及び/又は前記支援者端末による支援情報を前記サーバー端末内の提供条件データベースに格納し、
前記サーバー端末は前記事業者端末に対して、前記消費者端末から取得した需要情報及び/又は前記支援者端末から取得した支援情報に基づいて、前記事業運営情報を提供することを特徴とする事業運営支援方法。
【請求項8】
前記サーバー端末により、
前記需要情報及び/又は前記支援情報を前記事業者端末に対して閲覧可能に表示することを特徴とする請求項7記載の事業運営支援方法。
【請求項9】
前記サーバー端末により、
前記事業者端末からの要求に応じて、前記ユーザー端末からの前記事業構成事項の提供内容に基づく前記事業運営情報を生成することを特徴とする請求項7又は8記載の事業運営支援方法。
【請求項10】
前記事業構成事項は、事業者が対応可能な自己力のほか、事業生産のために支援者又は消費者からの提供を所望する場所、調達力、資本力、労働力の全部又は一部によって規定されることを特徴とする請求項9記載の事業運営支援方法。
【請求項11】
前記サーバー端末により、
事業者の拠点地及びユーザーの居住地に関する地域情報が会員情報データベースに格納されており、
前記事業者端末からの要求に応じて、前記地域情報が同一又は隣接する地域における前記事業運営情報を生成することを特徴とする請求項7又は8記載の事業運営支援方法。
【請求項12】
前記サーバー端末により、
前記事業者端末及び前記ユーザー端末の個々が保有する暗号資産情報がポイント情報データベースに格納されており、
前記事業者端末と前記ユーザー端末との取引を、前記暗号資産情報によって決済することを特徴とする請求項7から11のいずれか記載の事業運営支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しく事業を起こす起業(創業)を助成するとともに、起業後又は既に行っている事業の事業活動を助成するための事業運営支援システム及び事業運営支援方法に関し、特に消費活動を行う消費者(一般消費者・生産消費者)との関わりを強めるものに関する。
【背景技術】
【0002】
日本の経済を再興し、民間活力を高めていくためには、地域の開業率を引き上げ、雇用を生み出し、産業の新陳代謝を進めていくことが重要であると考えられている。日本の開業率は4.4%(2018年度)と欧米の10%超に比べて低く、「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」において開業率を10%台とする目標が掲げられている。今後は、開業率の更なる向上を目指して、創業への理解と関心が深まることで創業希望者が増加することを目指すと同時に、地域における創業者を支援し、開業率の向上を目指し、地域の活性化、雇用の確保が目標とされている。
【0003】
また、日本国政府は、2018年4月に閣議決定した第五次環境基本計画で、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)や「パリ協定」といった世界を巻き込む国際的な潮流や複雑化する環境・経済・社会の課題を踏まえ、複数の課題の統合的な解決というSDGsの考え方も活用した「地域循環共生圏」を提唱した。「地域循環共生圏」とは、各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方である。
【0004】
例えば中小企業庁が取り組む創業支援スキームには、市区町村と創業支援等事業者(商工会・商工会議所や金融機関など)とが連携して、創業無関心者に対する創業機運醸成や創業者に対する創業支援が行われている。創業支援の例としては、資金調達や税制優遇といったファイナンス面での支援、専門家によるハンズオン支援、提携業者とのマッチング支援などがある。
【0005】
また、小資本で独立開業できるように構築された独立起業支援システム(特許文献1)として、金融機関、地主・大家と、起業しようとする独立希望者との間に介在する事業本部、デベロッパー、賃料保証会社のコンピュータを基礎として関連付けたシステムによって、資本不足のために独立起業することが極めて困難であるという実情を解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-206416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような中、独立起業したものの、結果的に上手くいかずに廃業せざるを得ない場合もある。その理由としては、第三者視点を目にすることなく独自路線で進めた結果「市場ニーズ」がなかったり、事業計画と資金計画を明確にすることなく資金調達に失敗して「資金の枯渇」により手持ち資金がなくなったり、事業遂行に長けた「チーム構成」ができていなかったり、競合者との「競争に敗れた」り、というものが多いとされている。
【0008】
すなわち、新しく事業を起して事業活動を安定して継続させるためには、「市場ニーズ」「資金の枯渇」「チーム構成」「競争に敗れた」などという要因から事業の在り方を見極める必要があるものの、オールマイティにそれらを見極めて支援を実現しているスキームやシステムは存在しない。
【0009】
例えば、中小企業庁が取り組む創業支援スキームによっては、ファイナンス面やハンズオン支援やマッチング支援が個々に行われるだけであり、特にハンズオン支援やマッチング支援によって得られた個々の情報から事業の方向性が導かれるわけでもなく、個々の情報の活用は創業者に委ねられているにすぎない。また、特許文献1に開示された独立起業支援システムによっては、「資金の枯渇」は回避できそうなものの、「市場ニーズ」「チーム構成」「競争に敗れた」などの要因は考慮されておらず、非オールマイティなシステムにすぎない。
【0010】
本発明は、事業運営希望者はすべての資源(物や条件)が揃わなくても、起業及び事業活動の継続に必要な各種資源の調達を容易にし、事業を始める事が可能で、ひいては事業活動の助成により持続可能な社会の発展に寄与する事業運営支援システム及び事業運営支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のものを提供する。
本発明によりもたらされるシステムは、「地域循環共生圏」の創造による持続可能な地域づくりを通じて、環境で地方を元気にするとともに、持続可能な循環共生型の社会構築を目指すものであり、支援者により提供可能な地域の土地資源、再生可能エネルギー資源、自然資源、循環資源、人材資源等を活用した事業者や公共団体等々とそれを支える地域住民(消費者)による取り組みを支援するものである。「地域循環共生圏」は、農山漁村も都市も活かす、我が国の地域の活力を最大限に発揮する構想であり、その創造によりSDGsやSociety5.0の実現にもつながるものである。
また、消費者と事業者との関りを強化してシステムの普及力を上げるために、単純に作物・商品を消費したりサービスの提供を受ける一般消費者のみをターゲットとするシステムに加えて、消費者自身が欲しいと思った作物・商品・サービスを自ら開発・生産するプロシューマー(生産消費者)となることを支援するものである。そのために、生産-消費のサイクルで生じる従来の流通における利益を利便性の良い形でプロシューマーに還元することを実現するものである。
【0012】
[第1の発明]
起業及び事業活動を助成する運営事業体として事業運営業務全般を行うサーバー端末と、起業及び事業活動を行う事業者の事業者端末と、前記サーバー端末にログインして各種機能の操作権限を与えられたユーザー端末と、が電気通信回線を通じて接続される事業運営支援システムにおいて、前記ユーザー端末は、事業者が供給する商品を購入し又はサービスの提供を受けるための消費者の消費者端末と、事業者の起業及び事業活動を支援するための支援者の支援者端末とを含み、前記サーバー端末は前記事業者端末に対して、前記消費者端末から取得した需要情報及び/又は前記支援者端末から取得した支援情報に基づいて、起業及び事業活動に必要な事業運営情報を提供することを特徴とする事業運営支援システム。
起業及び事業活動を助成する運営事業体として事業運営業務全般を行うサーバー端末と、起業及び事業活動を行う事業者端末と、前記サーバー端末にログインして各種機能の操作権限を与えられたユーザー端末と、が電気通信回線を通じて接続される、前記ユーザー端末は、事業者が提供する商品を購入し又はサービスの提供を受けるための消費者端末と、事業者の起業及び事業活動を支援するための支援者端末とが含まれる事業運営支援システムにおいて実施される事業運営支援方法であって、前記サーバー端末には、起業及び事業活動に必要となる事業構成事項が予め設定されており、前記ユーザー端末は、前記消費者端末による需要情報及び/又は前記支援者端末による支援情報を前記サーバー端末内の提供条件データベースに格納し、前記サーバー端末は前記事業者端末に対して、前記消費者端末から取得した需要情報及び/又は前記支援者端末から取得した支援情報に基づいて、前記事業運営情報を提供することを特徴とする事業運営支援方法。
【0013】
第1の本発明によれば、消費者が商品又はサービスを欲する需要情報や支援者が事業者を支援する支援情報を事業運営情報として事業者に提供することにより、事業者は自己では対応できない物や条件といった資源を支援者から支援してもらえ、事業者は消費者が欲する商品又はサービスをタイムリーに提供することができる。このため、起業時においては、すべての資源(物や条件)が揃わなくても事業を始める事が可能であり、事業活動の継続性においても消費者の要望に応じた商品又はサービスの供給による計画的かつ合理的な事業運営が可能である。
【0014】
また、事業運営情報として、需要情報や支援情報に加工をして、同一事業の複数の事業者の事業運営情報を整理してまとめて支援情報を共有することにより資源の共同調達が可能であるし、同一商品又はサービスの複数の事業者の事業運営情報を整理してまとめて需要情報を整理してまとめて需要情報を共有することにより供給時期の調整が可能である。AIを利用しての需要情報や支援情報の加工によって、高精度の計画的かつ合理的な事業運営が可能である。このため、個々の事業者がバラバラに活動するのではなく、消費者の声(要望・希望:品種・商品形態/量目・安全性の意識等々)を取り入れながら、あたかも個々が集合して、一つの大規模起業の様にも活動可能な環境を構築することにより、複数事業者による競合事業ではなく、協同事業として事業活動を助成するシステムや方法を提供する。
【0015】
[第2の発明]
前記サーバー端末は、予め設定された前記事業運営情報について、前記ユーザー端末から取得した前記需要情報及び前記支援情報を格納する提供条件データベースと、記事業者端末に対して、前記需要情報及び/又は前記支援情報を閲覧可能に表示する表示手段と、を有することを特徴とする事業運営支援システム。
前記サーバー端末により、前記需要情報及び/又は前記支援情報を前記事業者端末に対して閲覧可能に表示することを特徴とする事業運営支援方法。
【0016】
第2の本発明によれば、需要情報や支援情報を事業者に対して閲覧可能にすることから、事業者による検索と検索結果の表示によって、起業時の検討材料の提供や事業運営時の運営計画の修正変更材料の提供を可能としている。
【0017】
[第3の発明]
前記サーバー端末は、事業活動に必要となる、前記需要情報及び/又は前記支援情報を含む事業構成事項を管理する提供条件設定手段と、前記事業者端末からの要求に応じて、前記ユーザー端末からの前記事業構成事項の提供内容に基づく前記事業運営情報を生成する要求処理手段と、を有することを特徴とする事業運営支援システム。
前記サーバー端末により、前記事業者端末からの要求に応じて、前記ユーザー端末からの前記事業構成事項の提供内容に基づく前記事業運営情報を生成することを特徴とする事業運営支援方法。
上記の事業運営支援システム又は事業運営支援方法における前記事業構成事項は、事業者が対応可能な自己力のほか、事業生産のために支援者又は消費者からの提供を所望する場所、調達力、資本力、労働力の全部又は一部によって規定されることを特徴とする。
【0018】
第3の本発明によれば、事業活動に必要となる事業構成事項が予め規定されており、ユーザー端末からの事業構成事項の提供内容に基づく事業運営情報を生成することから、体系化された事業構成事項の提供内容が揃っていれば、起業時においては、自己が所有するすべての資源(物や条件)が揃わなくても事業を始める事が可能であり、事業活動の継続性においても消費者の要望に応じた商品又はサービスの供給による計画的かつ合理的な事業運営が可能である。体系化された事業構成事項としては、事業者が対応可能な自己力のほか、事業生産のために支援者又は消費者からの提供を所望する場所、調達力、資本力、労働力などがある。
【0019】
[第4の発明]
前記サーバー端末は、事業者の拠点地及びユーザーの居住地に関する地域情報を格納する会員情報データベースと、前記事業者端末からの要求に応じて、前記地域情報が同一又は隣接する地域における前記事業運営情報を生成する要求処理手段と、を有することを特徴とする事業運営支援システム。
前記サーバー端末により、事業者の拠点地及びユーザーの居住地に関する地域情報が会員情報データベースに格納されており、前記事業者端末からの要求に応じて、前記地域情報が同一又は隣接する地域における前記事業運営情報を生成することを特徴とする事業運営支援方法。
【0020】
第4の本発明によれば、地域情報が同一又は隣接する地域における事業運営情報を生成することから、地域に根差す事業者を地域の支援者及び消費者で支え合う環境を構築し、地元地域に密着した組織体としての運営を可能とする。これにより、地方(田舎)であっても、その地域内や隣接する地域同士で協力して、都市部に負けない/勝る安心できる環境と安心できる生活を実現可能である。その先には、「子供を育てるならば、こんな地域で。」と、移住者が増える様な自然豊かな発展する地域となる様なシステムの実現が可能である。
【0021】
[第5の発明]
前記サーバー端末は、前記事業者端末及び前記ユーザー端末の個々が保有する暗号資産情報を格納するポイント情報データベースと、前記事業者端末と前記ユーザー端末との取引を、前記暗号資産情報によって決済するポイント処理手段と、を有することを特徴とする事業運営支援システム。
前記サーバー端末により、前記事業者端末及び前記ユーザー端末の個々が保有する暗号資産情報がポイント情報データベースに格納されており、前記事業者端末と前記ユーザー端末との取引を、前記暗号資産情報によって決済することを特徴とする事業運営支援方法。
【0022】
第5の本発明によれば、暗号資産情報(ポイント、仮想通貨、電子マネーなど)によって事業者端末とユーザー端末との取引を決済することから、安心して取引の容易化や迅速化を図ることができる。ポイントの貯め込みや一過性の取引による持ち腐れによって取引が停滞することがないよう、日々の生活の基礎となる衣食住のうち、日々取引が頻発する食に関する事業を対象にすれば、ポイント取引によるシステムの活性化を見込むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の事業運営支援システム及び事業運営支援方法によれば、起業及び事業活動の継続が安定化し、事業者と支援者との連携はもとより、消費者の意識とそれに基づく消費活動によって持続可能な社会の発展に向かわせるという効果がある。
また、プロシューマーを見据えたシステムによって、消費者が自分の考えや価値観をインターネットによって事業者に発信することが可能である。インターネットを通じて情報を発信して生産・消費を積極的に行うプロシューマーによる事業支援によって、持続可能な社会の発展に向かわせるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る事業運営支援システムの概略図。
図2】事業運営支援システムのブロック図。
図3】事業構成事項の一例を説明する図。
図4】本発明の事業運営支援システムがもたらす社会の相関関係図。
図5】本発明の事業運営支援システムに参画するプロシューマーによって形成される社会の相関関係図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る事業運営支援システムの概略図であり、事業運営支援システムのサーバー端末1を介して、支援者端末2及び消費者端末3といったユーザー端末(パソコン、スマートフォン、タブレット等)と、事業者端末4と、がインターネット等の通信回線に接続されて情報の送受信を行うクラウド型システムである。このシステムでは、消費者が支援者として機能する場合もあり、支援者が消費者として機能する場合もあることから、支援者端末2と消費者端末3とは一律に区別されるものではなく、ユーザー端末(2,3)としてサーバー端末1にログインして各種機能の操作権限の範囲内で操作を行うことができる。また、消費者は、単なる消費活動を行う一般消費者と生産活動にも踏み込んでいくプロシューマー(生産消費者)とを含む概念である。消費者の視点を持ちながらも、それを武器として生産活動に参画するプロシューマーも見据えることで、消費者の関わりを強めてシステムの普及力の向上を目指す。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態に係る事業運営支援システムにおけるサーバー端末1のブロック図である。サーバー端末1は、本システムのシステム管理者によって直接又は間接に運用され、ユーザー端末2,3や事業者端末4からの各種の指令又は要求を実行するために、通信制御手段11、記憶手段12、提供条件設定手段13、要求処理手段14、ポイント処理手段15を有する。各手段はバスにより接続され、それぞれの手段を実現する機能が各プログラムによって実行される。なお、各プログラムが同一のサーバーに搭載されていてもよく、別々のサーバーに搭載されクラウド接続されていてもよい。
【0027】
通信制御手段11は、外部端末(支援者端末2,消費者端末3,事業者端末4,その他の例えばAI機能を有するインターネット上の端末)との通信を制御し、事業者端末4やユーザー端末2,3による指令又は入力内容を解釈してこれを各手段に与えるとともに、記憶手段12から発せられる各種の表示指令を解釈して事業者端末4やユーザー端末2,3に対する出力制御を行うインターフェースとして機能する。また、事業者端末4やユーザー端末2,3による入力内容を記憶手段12に各種データとして書き込んだり、事業者端末4やユーザー端末2,3に出力する各種データを読み込んだりするインターフェースとして機能する。
【0028】
記憶手段12は、メインメモリ(RAM)におかれる作業領域12aと、ディスク装置(ハードディスクや光磁気ディスク等)等の二次記憶装置におかれるデータ記憶領域12bと、画面定義記憶領域12cと、を有している。
【0029】
作業領域12aは、本システムの起動とともに確保されて、本システムにおいて入出力される各種データが一時的に記憶される領域である。データ記憶領域12bは、作業領域12aに一時的に記憶されたデータについてセーブ要求があったときに、書き込み制御を通じてデータが半恒久的に記憶される領域である。画面定義記憶領域12cは、事業者端末やユーザー端末に出力して表示すべき各種画面の画面定義情報が予め記憶された領域であり、表示すべき画面設定のフォーマット情報を含んでいる。
【0030】
データ記憶領域12bは、提供条件情報データベース12b、ポイント情報データベース12b2、会員情報データベース12b3、マスター情報データベース12b4、その他種々のデータベースに区画されている。
【0031】
提供条件情報データベース12bは、事業活動に必要となる事業構成事項を管理する事業構成事項部として機能し、予め設定された事項構成事項に基づいてユーザー端末から提供される支援情報や需要情報を格納する。事業構成事項の具体例は図3に示すが、支援情報や需要情報そのものも事業構成事項として格納する。
【0032】
ポイント情報データベース12bは、事業構成事項に規定された取引の決裁を実行する際の取引ポイント情報を格納する。取引ポイント情報は、地域間の取引を活性化するためにポイントの増減を図るように設定することもでき、会員情報データベース12b3に格納された個人情報の地域情報(都道府県や市町村名、郵便番号、電話局番など)を基にして、同一又は隣接地域間のシステム利用を促すためのポイント設定を行うことができる。
【0033】
会員情報データベース12b3は、事業者・支援者・消費者の氏名、メールアドレスや連絡先住所や電話番号等の個人情報を格納する。また、マスター情報データベース12bやその他種々のデータベースは、提供内容に関する情報など種々の情報を格納する。
【0034】
提供条件設定手段13は、提供条件情報データベース12bに格納される事業構成事項を設定するものであり、サーバー端末を操作して事業内容に応じた事項を運営事業体が設定する。事業構成事項としては、起業及び事業活動を行う事業者にとって事業者が提供を受けたい事項や、起業及び事業活動を支援する支援者にとって事業者が提供を欲する事項や、事業者を消費面から支援する消費者にとって消費者が提供を欲する事項である。
【0035】
要求処理手段14は、提供条件情報データベース12bに設定された事業構成事項に従い、支援者端末2,消費者端末3,事業者端末4等からの要求内容を処理するものである。後述する農業事業では、[1.活動拠点・農地][2.施設・設備]・・・[8.労働力(生産・加工・販売)]に関する支援者端末2及び消費者端末3からの要求内容や事業者端末4等からの要求内容を処理する。要求処理手段14の処理に従い、支援者端末2からの支援者情報や消費者端末3からの需要情報を事業者端末4に提供するほか、事業者にとって適切で合理的な事業活動を助成するために、本システム上で得られた各事業者の事業計画を整理してまとめ、AIを利用して各事業者間の調整を行って提案するような機能も包含している。また、本システム上で得られた過去の実績データや気象データ、地元地域の消費者や店舗消費者からの生の情報を基にして、事業者に翌期の事業計画や売上計画を提案するような機能も包含している。
【0036】
また、持続可能な社会を構築するためには、それぞれの事業者が、地域が、支援者・消費者が、その必要性を意識し、行動を起こさねばならない。事業者の取り組み内容も大切ではあるが、その運営を支える「支援者・消費者の理解と意識、そして取り組みを指示する行動」が大切で、とても大きな推進力となるからである。そこで、本システムは、「何故、このような取り組みが必要かなどの理由」、「この取り組みが未来にもたらすもの」、「具体的な事業者を上げて、実際に取り組んでいる状況」などを登録する支援者・消費者に発信し、支援者・消費者の啓蒙を積極的に行うものである。要求処理手段14は、このような事業者からの発信指令を、支援者・消費者に向けての発信内容を含んだ形で送信する。
【0037】
ポイント処理手段15は、ポイント情報データベース12bに設定された各種処理を実行するポイント情報に従い、事業者・支援者・消費者が所有する物・役務の授受において原則的にポイントの授受にて決済を行う処理をするものである。すなわち、ポイントでの決済を行うに当たっては、決済者は自身のポイント残高は支払いポイント以上でなければ、決済を実行することができない。保有するポイントは、所定の手続や条件に従い自由に換金可能とするが、その際の換金レート等の条件についてもポイント情報としてポイント情報データベース12bに格納して処理する。
【0038】
また、本システムの持続可能な社会の発展にできる限り大きな推進力を引き出すためには、本システムは、消費者(情報受信者)にポイントを付与することとして、消費者の意識を本システムに釘付けする。ポイント処理手段15は、消費者へのポイント発行の原資(資本)を賛同する事業者や支援者からのPR費によって充当することとしたり、消費者は、付与されたポイントを貯め込んで、好きな物品を購入したりやサービスを利用できたりする。ポイント処理により、支援者・消費者に対する啓蒙を促進し、楽しく啓蒙が進んでいく仕組みとする。なお、ある地域で獲得したポイントを別の地域で使用する場合には、ポイントに換算レートを適用して地域間の差別化を図ってもよい。
【0039】
[農業事業の例]
以下では、農業事業に本実施形態の事業運営支援システムを適用する場合について詳述する。
まず、農業人口の減少や耕作放棄地の増大等々と、日本の農業は多くの問題を抱えているという現状がある。その結果、1965年に7割以上あった日本の食料自給率も、今では4割未満になってきている。
このままでは、海外からの輸入が滞った時、日本はたちまち食糧難に陥ってしまう。
国もこの状況を問題と考え、補助金や無利子融資などを行って新規参入の後押しをしようとしているが、新規参入者のほとんどがうまくいっていないのが実情のようで、加えて、後継者不足のために廃業する者が後を絶たない状況も存在する。
結果、「多くの農地が耕されなくなり、耕作放棄地に。」という流れが繰り返されている。
一方、新たな流れとして、大企業の農業参入が始まってきているが、余った土地を利用し、潤沢な資金を導入しての大規模農業の展開が大きな成功をもたらすのか、その流れのままに任せて良いのか判断できていないのが現状のようである。
いずれにせよ、今後しばらくは農業の二極化、「大企業や組合法人による大規模農業と個人による小規模農業の二極化」が進むのは間違いないであろう。
そして、その流れに任せていたのでは、その先の状況は容易に想像できる。
従来型の小規模農家がなかなか儲からないからといって、個人による農業自体に未来がないとは言い切れないが、儲からない農業では就業人口が増えるわけはない。最終的にはいかに成功のビジネスモデルを構築してそれを広げていくかが、大きな鍵となる。
本システムは、これまでの農業の取り組み方を変えることで、就業人口の減少に歯止めをかける、そして品質の良い農作物を提供するために必要な課題解決の支援を提供するものである。
【0040】
農業生産は、種々の要素から構成されて成立する。
農地の購入代金を除いた初期投資だけでも、少なくとも2,000万円程度が必要と言われる。
栽培する作物にもよるが、これに農地の代金を加えると、農業を単独でスタートするためには、数千万円単位の資金が必要となる。
・高品質の作物を育てるノウハウを持つが、体力や耕作地、資金力を持たない人材
・体力はあるが、農地も設備も資金も無い、農業を良く知らない新規参入者
・親から引き継いだ農地や設備は有るが、農業の素人で、会社員の対場を手放せない後継者 などなど。
日本の食料自給率、世界的人口問題等々を考えると、農業に将来性があること、また取り組むべき大切な産業であることが容易に想像できるが、なかなか新規参入を決断できない人材がいる。
また、既に取り組まなければならない状況にありながら、その解決が出来ないで悩む農業就業者がいる。
【0041】
本システムは、農地を持たない人には農地を、施設や設備を持たない人には適切な施設や設備を、良い種や苗を持たない人には望む種や苗の提供を、栽培ノウハウや必要な資格を持たない人にはそのノウハウや資格の提供を、運転資金を望む人には運転資金の提供を、様々な種類の労働を望む人にはその労働の提供を、売り先といった消費者を探す人には消費者の提供を支援するものである。
また、これらの活動を円滑に進めることと併せて太陽光発電などの再生エネルギーの導入を促進することで、システム活用登録者の収益をアップしながら、確実な脱炭素社会の実現につなげるものである。
【0042】
本システムを農業事業に適用するにあたり、農業の運営には、大まかに図3に示す事業構成事項をあげることができる。図3に示す事業構成事項に対して、農業運営を行う事業者は、自ら実施することができる事項(運営者就労やその他の事項)と第三者からの支援の提供を受けたい事項とを判断し、第三者からの支援の提供を受けたい事項に対してはどういう比率での支援を計画するかを設定する。事業者は事業者端末4を介してサーバー端末1にアクセスし、事業者の判断に基づく入力内容を提供条件情報データベース12bに格納する。
【0043】
[1.活動拠点・農地(事業構成事項としての場所)]
農業での起業・事業拡大のためには、農地が必要である。
宅地の地価に比べればだいぶ安い農地ではあるが、事業として成立するためには、作物にもよるが少なくとも1~1.5ha以上の農地が必要と想定される。そこで、本システムでは、購入可能な農地の紹介はもちろん、賃貸借契約に基づく農地の活用を紹介・マッチングすることで収益性の出やすい事業システムを実現する。
候補となる農地の検索に当たっては、地理的な条件での検索だけでなく、農作物の栽培のためにメリットとなる事項やデメリットとなる事項(日照の状況、水の利用状況、周辺の環境等を含めた情報、適した作物などの情報)から希望に近い農地の提案を可能とする。
本システムでは、特に耕作放棄地をはじめとして、事業者に貸付可能な土地を複数登録しており、条件面で支援者との合意が出来ると、100年契約などの長期にわたる賃貸借契約を可能とする。これにより、1代限りではなく、2~3代の長期にわたる成長可能な農業事業としての取り組みが可能となる。
なお、農地を借り受ける事業者は、貸し付ける支援者に対して、決められた内容に従って、決められた期間で定期的に賃料としてポイントによる決済をする。
【0044】
[2.施設・設備(事業構成事項としての場所)]
農業には必然的に農作業のための施設・設備が必要となる。
これらも、購入を前提に準備をすると、多額の費用が必要となる。
加えて、購入したものが限定された作物専用のものであると、他の作物への転用が出来ずに減価償却上負担となることがある。この場合、レンタルやリースとしての利用が可能なものが有ると、通常の事業と同様に経費負担の軽減が可能となる。
そのため、本システムを利用して、設備・機器等の利用時期を調整することが出来る。
本システムでの時期調整は、単純な利用のタイミング調整だけではなく、基本的に前年度の耕作地の気温や日照Data、加えて作物の成長Dataに基づいて、隣接して本システムを利用し合う同じ作物を栽培する者同士でのマッチングを行い、出荷時期を調整し合う提案をすることで、作物の販売において競合することを防ぐ効果を目論むもので、輸入品や遠隔地域からの輸送費の加わったコストから消費者を守ることができる。地産地消の考えにつながるものでもある。
地域の農作業者が競合するのではなく、地元消費者のために協同して活動を実現するのである。

また、全体あるいは一部共通仕様の温室施設・設備を共同で調達することで、コスト的にメリットのある事業展開を実現可能とする。
本システム上で情報交換した各農業事業者の計画を整理してまとめ、より適切で合理的な施設・設備の設計・整備をAIをも利用して調整・提案を行う。
調製提案に当たっては、販売先との調整や販売ルートの提案や検討の補助も行うものである。

上記対応とは別に、クラウドファンディングの仕組を利用して施設・設備を調達することも可能とする。本システムに登録した個人や企業、あるいはそれらの複数により構成された組織が、本システムに搭載又は接続されて提供できるクラウドファンディング機能を利用することで、システム登録者からのポイントでの募集を実行できる。
一般のクラウドファンディングと同様、機能利用者はシステムを利用して、登録者内からの資金(ポイント)調達が可能となる。
このクラウドファンディングは、施設・設備を目的とするものに限定せず、農地の購入、原材料の調達、労働力(人件費)の調達等々、目的を自由に設定できるものとする。
【0045】
[3.原材料等(事業構成事項としての調達力)]
種や苗、肥料や農薬など、農作物を栽培するには、種々の原材料が必要になる。
通常、個々の農業事業者が調達するには、農協や外部の種苗事業者などからの購入となるが、本システムを通じて地元地域や隣接地域の農作業者が、連携して調達、あるいは、調製することで、より適切な種苗の調達を可能にし、コスト的優位性も実現可能にする。
本システムに登録する実際に購入消費する地元地域消費者の希望情報を直接に反映させ、栽培する作物の種類や量を決定できるコミュニケーション型の農作物流通システムの実現を可能とする。これにより、廃棄ロスの出来るだけ少ない事業に近づけるものである。
【0046】
[4.資格・技術・ノウハウ(事業構成事項としての調達力)]
栽培する作物の種類や栽培時季によっては、種々の資格・技術・ノウハウが必要とされる。知識や経験が無い状態でそのような作物を栽培するためには、それらを具える人材が必要になる。
本システムは、その様な人材を派遣したり、資格・技術・ノウハウを取得するための支援を容易に受けることを可能にする。事前の栽培作物の検討時に実現すればより合理的である。
本システムは、過去の販売実績Dataや気象Data以外にも、登録する地元地域消費者や店舗からの生の情報を蓄積し、これらをベースに、登録する農業生産者に翌期の生産計画を提案し、この提案の中から希望する作物の種類と量(次期の事業計画/売上計画)を考える事を実現できる。
これにより、融資やクラウドファンディングの計画を容易に実行可能である。
【0047】
[5.発電・エネルギー関連設備(事業構成事項としての調達力)]
近年の農業において、世界的には、作物の生長を促進させる、あるいは労働を軽減させるために、農業機械、農薬、化学肥料などの工業製品が大量に使用される傾向にある。また、高収益を上げるために、温室ハウスや植物工場等を利用してエネルギーを多量に消費する傾向にもある。多くのエネルギーを利用するからと言って、必ずしもエネルギー効率が良いとは言えないのが実情である。
本システムは、太陽光発電を代表とする再生可能エネルギーを利用可能とする発電・蓄電設備を調達することで、利用するエネルギーコストの負担を低減可能とし、売電をすることで収益アップをも実現可能とする。
更には、自己託送(売電を目的としない本システムネットワーク内での送電)の仕組を利用することで、単独の地域では過不足する電力の融通をし合うことを実現する。(あらかじめ決められたエネルギー消費計画に基づいて自己託送を行う。)
具体的には、野菜を栽培する温室の屋根を利用しての太陽光発電、消費者自宅の屋根を利用しての太陽光発電による電力供給によって農業用電力を賄い、これらが多数連携して地域の電力供給を賄うようなネットワークを構築可能である。

システム登録者であれば、事業者でも、消費者でも、提案されている条件の中から選択して再生エネルギー発電・蓄電設備を設置出来る。
・設備設置、一括買取り
・設備設置、分割支払い
・第三者所有設備の設置承諾と利用契約
それぞれの設置者は、決められた条件でポイント決済を行うものでる。
一括買取り者は、発電量に基づいて、電力消費と売電を繰り返す。その他の設置者もその発電量、消費電力量、売電量のデータをシステムでは蓄積可能で、それらのデータに基づいて、発電システムの仕様や規模の変更、契約条件の再検討などの提案が可能なシステムである。
利用者は、いつでも自身の設備の情報を閲覧可能なシステムである。

また、この活動に関する習熟度、支援実績等に合わせて、等級分けした資格を消費者に付与することとし、システム内での消費者の消費活動に対して、種々のメリットをも付与するものである。これらのメリットの資源(資本)は、システムに登録した支援者が提供し事業者が利用する資源(土地、建物、太陽光パネル等々)の表面(スペース)をPRメディアとして、利用する費用の中から提供可能である。

特に、現代社会の繁栄の上、欠かすことのできないものの一つにエネルギー(電気や熱等)を上げることができる。エネルギーを生み出す手段には様々なものが有るが、ポイントの一つは、脱炭素・脱石油など、環境を壊さない再生可能なエネルギーに拘ることと言える。
地域全体(住民・自治体・事業体)が意識してその導入・活用に取り組むことで、その導入のメリットが生まれる。これを支援するのが本システムの働きのひとつと言える。

例えば、意識を持つ事業体、自治体、そして住民が、それぞれの活用可能な範囲のスペース(山林、原野、農地、建物、等々)に太陽光発電・蓄電システムを設置して、発電と蓄電を行う。この際に、自己資本での設置を行なえない事業者や住民は、PRスペース提供可能の告知をシステムにて行う。
このスペースを利用して地域での電気エネルギー貢献を行いたい「エネルギースポンサー」は、インターネットから決められた支援が可能となる。
設置支援者/エネルギースポンサーは、月々の発電量と自己消費&売電収支の結果に従って、エネルギー貢献ポイントを獲得する。
また、スペースを提供した「スペーススポンサー」も所定のエネルギー貢献ポイントを獲得するものである。
【0048】
[6.NETシステム(事業構成事項としての調達力)]
本システムは、農業に従事する事業者とそれを支える土地、施設・設備等々の事項を提供可能な支援者との出会いと連携をインターネットを通じてサポートするものであると同時に、農業事業の産物/農作物を消費する消費者との連携を実現するものでもある。
本システムにおいて所定の情報登録をした消費者は、システム内で利用できるポイントを保有することで消費行動(農作物の購入等)を行えるようになる。
ポイントは、システム内に登録する事業者にて労働を提供したり、事業者や消費者に物品を提供した見返りとして入手することができる。また、現金にて、その際に定められているレートに従って、入手することも可能なものとする。

ある一定以上のポイントを取得(事業支援・投資)することで、システム内に登録された作物に関する情報(トレースDataを含めた種苗情報、栽培の仕方、利用エネルギーの内容、等々の情報)を吟味した上で、希望仕様の作物・希望する農業事業者が栽培した作物を指定して消費することが実現できる。
【0049】
[7.運転資金(事業構成事項としての資金力)]
事業拡張や転作等で資金が必要となった時などに、システムのクラウドファンディングで資金調達を試みることができる。
投資者たる支援者は、ポイントで実行するものである。
【0050】
[8.労働力(生産・加工・販売)(事業構成事項としての労働力)]
システムに登録する事業者は、あらかじめ登録されている労働力提供希望者(支援者の企業や個人)の中から、条件を入れての検索可能なものとする。
農作物の販売においては、作物の登録と生育情報の入力を行うことで、登録消費者からのNET注文が出来る様になる。
配達希望日に合わせて購入希望の収穫した作物を、採れたてで、協同で利用する配送システムを利用して届けるものである。
当日ではなく、あらかじめのメニュー提案に合わせた量目設定で、前週からの注文を行うことでコスト的にもメリットのある提供が可能となる。
【0051】
図4は、事業運営支援システムがもたらす社会の相関関係図である。支援者と消費者と事業者とは事業運営支援システムのサーバー端末1を介してインターネットを用いて結ばれている。支援者端末2を操作する支援者は、農地所有者、農業事業者、加工事業者、流通事業者、物流事業者、電力会社(電力供給者)、その他事業者であり、それぞれが提供可能な資源を事業者に提供することによって、事業者(農業起業希望者)を支援する。サーバー端末1の提供条件情報データベース12bには事業者(農業起業希望者)に提供可能な資源情報が格納されていて、事業者(農業起業希望者)は必要とする資源を入手することができる。
【0052】
消費者端末3を操作する消費者は、一般消費者として事業者(農業起業希望者)からの商品・作物を購入し、生産消費者として事業者(農業起業希望者)に要望を与えて商品・作物を購入する。事業者(農業起業希望者)の所属分類によって地域内か地域外かを区別することによって、地域内における消費者には地域外よりもポイントを有利に還元して地域内における持続可能な社会の発展に寄与する。また、地域内における消費者の小さなコミュニティと地域外における消費者も含んだ大きなコミュニティを形成して、消費者のニーズを徹底的に吸い上げて分析し、それを商品開発にフィードバックしていくことができる。
【0053】
図5は、本発明の事業運営支援システムに参画するプロシューマーによって形成される社会の相関関係図である。プロシューマーは、インターネットを用いて事業運営支援システムのサーバー端末1と結ばれ、また、商品企画・投資者、農業事業者、野菜加工事業者、物流事業者、流通事業者等の支援者端末と結ばれている。また、サーバー1に提供された情報を基に食品プロデュースを行うAI端末とも結ばれている。
【0054】
プロシューマーは、商品アンケートや企画の情報をサーバー端末1に提供したり、生産労働の提供の情報を提供したり、商品・作物の購入・消費情報(消費トレーサビリティ)を提供したりすることによって、生産と消費の架け橋を行うことで生産と消費が融合する社会の形成に寄与する。
【0055】
これにより、消費者自身が欲しいと思った商品を自ら開発・生産するプロシューマーとなることが支援でき、大手流通業者が行うPB(プライベートブランド)商品の様な企画生産をすることで、割安に、希望の仕様での生産供給が可能になる。農産物や農産物加工品、生鮮品に関しても、消費者自身が食べたい野菜・食品の品種品目を指定して購入・消費することで、種々のロスを減らしてより合理的に野菜・食品を生産/販売/消費する社会となることが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、起業とその後の発展を目指すのはもちろん、利潤や効率ばかりを追求しての競い合いの構図に落ち込まない様に、また環境破壊につながる様なシワ寄せ、食品ロスなどの無駄、エネルギーの浪費構造など、見えない部分での弊害を出さないようにして、持続可能な社会を共通の目的として地域全体が大小のコミュニティを形成して取り組める仕組みを構築することが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 サーバー端末
2 支援者端末
3 消費者端末
4 事業者端末
図1
図2
図3
図4
図5