(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056778
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】印刷用カセット、印刷装置及び印刷装置本体
(51)【国際特許分類】
B41J 17/32 20060101AFI20220404BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20220404BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
B41J17/32 A
B41J3/36 T
B41J2/325 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164715
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田上 裕也
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 信次
【テーマコード(参考)】
2C055
2C065
2C068
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C065AA01
2C065DA38
2C068AA02
2C068AA06
2C068AA15
2C068EE27
2C068EE60
2C068EE74
2C068EE84
2C068MM15
2C068MM22
(57)【要約】
【課題】被検出部を有しながら印刷装置本体への挿抜をスムーズに行える印刷用カセットを提供する。
【解決手段】本開示は、第1方向に移動可能なセンサホルダを備える印刷装置本体に第2方向に挿抜可能な印刷用カセットである。印刷用カセットは、印刷用テープのロールと、ロールに対し第2方向において離れた位置に配置されるヘッド開口と、検出部への接触によってカセット識別情報を検出部に検出させる被検出部と、センサホルダと対向する段差部とを備える。段差部は、被検出部が第2方向において検出部と異なる位置にある状態でセンサホルダを第1方向に押圧する第1領域と、第1領域と第2方向に並んで配置されると共に、第1領域に対しセンサホルダから離れる方向に凹んだ第2領域とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に移動可能なセンサホルダを備える印刷装置本体に前記第1方向と直交する第2方向に挿抜可能な印刷用カセットであって、
印刷用テープのロールと、
前記印刷用テープが露出すると共に、前記ロールに対し前記第2方向において離れた位置に配置されるヘッド開口と、
前記センサホルダに配置された検出部への接触によってカセット識別情報を前記検出部に検出させる被検出部と、
前記センサホルダと対向する段差部と、
を備え、
前記段差部は、
前記被検出部が前記第2方向において前記検出部と異なる位置にある状態で前記センサホルダを前記第1方向に押圧する第1領域と、
前記第1領域と前記第2方向に並んで配置されると共に、前記第1領域に対し前記センサホルダから離れる方向に凹んだ第2領域と、
を有する、印刷用カセット。
【請求項2】
前記ロールを収容すると共に、前記印刷装置本体のカセット収納部に前記第2方向に挿抜可能なケースをさらに備え、
前記ケースは、前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で前記第2方向において前記カセット収納部と対向する底面を有し、
前記検出部は、前記被検出部に向かって突出する部位のうち、前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で前記第2方向において前記底面から最も離れた第1部を有し、
前記第1領域は、前記ケースの前記カセット収納部への挿入時又は取り出し時に、前記第2方向と直交する方向において前記ケースの前記底面と前記第1部とが重なる状態で、前記センサホルダを前記第1方向に押圧する、請求項1に記載の印刷用カセット。
【請求項3】
前記ロールを収容すると共に、前記印刷装置本体のカセット収納部に前記第2方向に挿抜可能なケースをさらに備え、
前記ケースは、前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で前記第2方向において前記カセット収納部と対向する底面を有し、
前記検出部は、前記被検出部に向かって突出する部位のうち、前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で前記第2方向において前記底面に最も近い第2部を有し、
前記第1領域は、前記ケースの前記カセット収納部への挿入時又は取り出し時に、前記第2方向と直交する方向において前記ケースの前記底面と前記第2部とが重なる状態で、前記センサホルダを前記第1方向に押圧する、請求項1又は請求項2に記載の印刷用カセット。
【請求項4】
前記ロールを収容すると共に、前記印刷装置本体のカセット収納部に前記第2方向に挿抜可能なケースをさらに備え、
前記ケースは、前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で前記第2方向において前記カセット収納部と対向する底面を有し、
前記検出部は、
前記被検出部に向かって突出する部位のうち、前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で前記第2方向において前記底面から最も離れた第1部と、
前記被検出部に向かって突出する部位のうち、前記ケースが前記カセット収納部に挿入された状態で前記第2方向において前記底面に最も近い第2部と、
を有し、
前記第1領域は、前記ケースの前記カセット収納部への挿入時又は取り出し時に、前記第2方向と直交する方向において前記ケースの前記底面と前記第1部とが重なる状態から前記ケースの前記底面と前記第2部とが重なる状態までの間で、前記センサホルダを前記第1方向に押圧し続ける、請求項1に記載の印刷用カセット。
【請求項5】
前記ロールを収容すると共に、前記印刷装置本体のカセット収納部に前記第2方向に挿抜可能なケースをさらに備え、
前記第2領域は、前記ケースの側壁に設けられた凹部である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項6】
前記第2領域は、前記ケースの側壁に設けられた溝である、請求項5に記載の印刷用カセット。
【請求項7】
前記第2領域は、前記ケースの側壁に設けられた切り欠きである、請求項5に記載の印刷用カセット。
【請求項8】
前記ロールを収容すると共に、前記印刷装置本体のカセット収納部に前記第2方向に挿抜可能なケースをさらに備え、
前記第1領域は、前記ケースの側壁から前記第1方向に突出するリブである、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項9】
前記リブは、前記第2方向に沿って前記第1方向における突出量が変化するテーパ部を有する、請求項8に記載の印刷用カセット。
【請求項10】
前記テーパ部は、前記第2方向に沿って前記突出量が連続的に変化する、請求項9に記載の印刷用カセット。
【請求項11】
前記被検出部は、
前記検出部が有する複数の突出部のうち少なくとも1つの突出部を前記第1方向に押圧する押圧領域と、
前記複数の突出部を押圧しない少なくとも1つの非押圧領域と、
を有し、
前記第2領域の前記第2方向における長さは、前記少なくとも1つの非押圧領域の前記第2方向における長さの最大値よりも大きい、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項12】
第1方向に移動可能なセンサホルダを備える印刷装置本体に前記第1方向と直交する第2方向に挿抜可能な印刷用カセットであって、
印刷用テープのロールと、
前記印刷用テープが露出すると共に、前記ロールに対し前記第2方向において離れた位置に配置されるヘッド開口と、
前記センサホルダに配置された検出部への接触によってカセット識別情報を前記検出部に検出させる被検出部と、
前記センサホルダと対向する段差部と、
を備え、
前記段差部は、
第1領域と、
前記第1領域と前記第2方向に並んで配置されると共に、前記第1領域に対し前記センサホルダから離れる方向に凹んだ第2領域と、
を有し、
前記被検出部は、
前記検出部が有する複数の突出部のうち少なくとも1つの突出部を前記第1方向に押圧する押圧領域と、
前記複数の突出部を押圧しない少なくとも1つの非押圧領域と、
を有し、
前記第2領域の前記第2方向における長さは、前記少なくとも1つの非押圧領域の前記第2方向における長さの最大値よりも大きい、印刷用カセット。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の印刷用カセットと、
前記印刷用カセットが装着される印刷装置本体と、
を備える、印刷装置。
【請求項14】
印刷用テープのロールと、前記印刷用テープが露出すると共に、前記ロールに対し第1方向と直交する第2方向において離れた位置に配置されるヘッド開口と、被検出部とを備える印刷用カセットが挿抜可能な印刷装置本体であって、
前記第1方向に移動可能なセンサホルダを備え、
前記センサホルダは、
前記被検出部への接触によって、カセット識別情報を前記被検出部から検出する検出部と、
前記印刷用カセットと対向する退避部と、
を有し、
前記退避部は、
前記被検出部が前記第2方向において前記検出部と異なる位置にある状態で前記センサホルダを前記第1方向に移動させる第3領域と、
前記第3領域と前記第2方向に並んで配置されると共に、前記第3領域に対し前記印刷用カセットから離れる方向に凹んだ第4領域と、
を有する、印刷装置本体。
【請求項15】
前記印刷用カセットが挿抜されるカセット収納部をさらに備え、
前記第3領域は、前記カセット収納部において前記第1方向に突出するリブである、請求項14に記載の印刷装置本体。
【請求項16】
前記リブは、前記第2方向に沿って前記第1方向における突出量が変化するテーパ部を有する、請求項15に記載の印刷装置本体。
【請求項17】
前記テーパ部は、前記第2方向に沿って前記突出量が連続的に変化する、請求項16に記載の印刷装置本体。
【請求項18】
前記第4領域は、前記センサホルダに設けられた凹部である、請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の印刷装置本体。
【請求項19】
前記第4領域は、前記センサホルダに設けられた溝である、請求項18に記載の印刷装置本体。
【請求項20】
前記第4領域は、前記センサホルダに設けられた切り欠きである、請求項18に記載の印刷装置本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷用カセット、印刷装置及び印刷装置本体に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用テープに印刷を行う印刷装置では、印刷用テープを収容したカセットを印刷装置本体に着脱することで、印刷用テープの交換及び供給が行われる。このようなカセットとして、印刷用テープのロールが配置されたテープカートリッジと、インクリボンのロールが配置されたリボンカートリッジとをこれらのロールの軸方向に重ね合わせたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共通の印刷装置本体に対して、例えば収容している印刷用テープの幅などの仕様が異なるカセットが装着されることがある。印刷装置本体に装着されるカセットの種類を識別する方法として、カセットに設けた被検出部から識別情報を読み取ることが考えられる。
【0005】
カセットの小型化の観点から、被検出部は、カセットの印刷装置本体への挿抜方向と平行な側面に設けることが好ましい。しかし、カセットの側面に被検出部を設けると、カセットの挿抜時に印刷装置本体と接触し、カセットの挿抜がスムーズに行えないおそれがある。また、被検出部がカセットの挿抜時に破損するおそれもある。
【0006】
本開示の一局面は、被検出部を有しながら印刷装置本体への挿抜をスムーズに行える印刷用カセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、第1方向に移動可能なセンサホルダを備える印刷装置本体に第1方向と直交する第2方向に挿抜可能な印刷用カセットである。
【0008】
印刷用カセットは、印刷用テープのロールと、印刷用テープが露出すると共に、ロールに対し第2方向において離れた位置に配置されるヘッド開口と、センサホルダに配置された検出部への接触によってカセット識別情報を検出部に検出させる被検出部と、センサホルダと対向する段差部と、を備える。
【0009】
段差部は、被検出部が第2方向において検出部と異なる位置にある状態でセンサホルダを第1方向に押圧する第1領域と、第1領域と第2方向に並んで配置されると共に、第1領域に対しセンサホルダから離れる方向に凹んだ第2領域と、を有する。
【0010】
本開示の別の態様は、第1方向に移動可能なセンサホルダを備える印刷装置本体に第1方向と直交する第2方向に挿抜可能な印刷用カセットである。
【0011】
印刷用カセットは、印刷用テープのロールと、印刷用テープが露出すると共に、ロールに対し第2方向において離れた位置に配置されるヘッド開口と、センサホルダに配置された検出部への接触によってカセット識別情報を検出部に検出させる被検出部と、センサホ
ルダと対向する段差部と、を備える。
【0012】
段差部は、第1領域と、第1領域と第2方向に並んで配置されると共に、第1領域に対しセンサホルダから離れる方向に凹んだ第2領域と、を有する。
【0013】
被検出部は、検出部が有する複数の突出部のうち少なくとも1つの突出部を第1方向に押圧する押圧領域と、複数の突出部を押圧しない少なくとも1つの非押圧領域と、を有する。第2領域の第2方向における長さは、少なくとも1つの非押圧領域の第2方向における長さの最大値よりも大きい。
【0014】
本開示の別の態様は、印刷用カセットと、印刷用カセットが装着される印刷装置本体と、を備える印刷装置である。
【0015】
これらのような構成によれば、印刷用カセットの印刷装置本体への挿入時に、段差部の第1領域によってセンサホルダが第1方向に押圧されて退避位置に移動する。その後、第2領域によってセンサホルダの第1方向への押圧が解除されることで、検出部と被検出部とが接触可能な装着位置にセンサホルダが移動する。
【0016】
これにより、装着された印刷用カセットからのカセット識別情報の読み取りを実現しつつ、印刷用カセットの挿抜時におけるセンサホルダと被検出部との干渉が避けられる。その結果、印刷用カセットの印刷装置本体への挿抜をスムーズに行える。
【0017】
本開示の別の態様は、印刷用テープのロールと、印刷用テープが露出すると共に、ロールに対し第1方向と直交する第2方向において離れた位置に配置されるヘッド開口と、被検出部とを備える印刷用カセットが挿抜可能な印刷装置本体である。
【0018】
印刷装置本体は、第1方向に移動可能なセンサホルダを備える。センサホルダは、被検出部への接触によって、カセット識別情報を被検出部から検出する検出部と、印刷用カセットと対向する退避部と、を有する。
【0019】
退避部は、被検出部が第2方向において検出部と異なる位置にある状態でセンサホルダを第1方向に移動させる第3領域と、第3領域と第2方向に並んで配置されると共に、第3領域に対し印刷用カセットから離れる方向に凹んだ第4領域と、を有する。
【0020】
このような構成によれば、印刷用カセットの印刷装置本体への挿入時に、退避部の第3領域の反力によってセンサホルダが第1方向に押圧されて退避位置に移動する。その後、第4領域によってセンサホルダの第1方向への押圧が解除されることで、検出部と被検出部とが接触可能な装着位置にセンサホルダが移動する。
【0021】
これにより、装着された印刷用カセットからのカセット識別情報の読み取りを実現しつつ、印刷用カセットの挿抜時におけるセンサホルダと被検出部との干渉が避けられる。その結果、印刷用カセットの印刷装置本体への挿抜をスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1Aは、実施形態における印刷装置を示す模式的な斜視図であり、
図1Bは、
図1Aの印刷装置本体を示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図2Aは、
図1AのIIA-IIA線での模式的な断面図であり、
図2Bは、ローラホルダが退避位置にあるときの印刷装置の模式的な断面図である。
【
図7】
図7は、
図5Aの印刷用カセットにおける印刷用テープ及びインクリボンの経路を説明する模式図である。
【
図8】
図8Aは、
図5CのVIIIA-VIIIA線での模式的な断面図であり、
図8Bは、
図5CのVIIIB-VIIIB線での模式的な断面図であり、
図8Cは、
図5CのVIIIC-VIIIC線での模式的な断面図であり、
図8Dは、
図5CのVIIID-VIIID線での模式的な断面図である。
【
図10】
図10A,10Bは、
図5Bとは異なる実施形態における印刷用カセットの模式的な斜視図であり、
図10Cは、
図9とは異なる実施形態における印刷用カセットの模式的な背面図である。
【
図11】
図11A-11Fは、センサホルダとケースとの関係を示す模式図である。
【
図12】
図12は、
図1Aの印刷装置における出力ギアとプラテンギアとの係合状態を示す模式図である。
【
図13】
図13A,13Bは、
図5Aとは異なる実施形態における印刷用カセットの模式的な斜視図である。
【
図15】
図15A-15Fは、センサホルダとケースとの関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1Aに示す印刷装置1は、印刷用カセット10と、印刷装置本体100とを備える。印刷装置1は、テープ状の印刷媒体に印刷を行う装置である。
【0024】
本実施形態では、出力ギア21の軸方向を上下方向とし、上下方向と垂直な方向のうち出力ギア21と入力スプール16とが並ぶ方向を前後方向とし、上下方向と前後方向との双方に垂直な方向を左右方向とする。
【0025】
<印刷装置本体>
印刷装置本体100は、
図1Bに示すように、カセット収納部101と、印刷ヘッド102と、プラテンローラ103と、プラテンギア104と、駆動シャフト105と、駆動源107と、制御ユニット109と、筐体110と、ローラホルダ111とを備える。
【0026】
(カセット収納部)
カセット収納部101は、印刷用カセット10が挿抜される凹部である。カセット収納部101は、印刷用カセット10の位置決め機能を有する。カセット収納部101は、筐体110に設けられている。
【0027】
(印刷ヘッド)
印刷ヘッド102は、カセット収納部101の内部に配置されている。印刷ヘッド102は、個別に発熱が制御される複数の発熱素子を有する。
【0028】
(プラテンローラ)
プラテンローラ103は、カセット収納部101の内部において、印刷ヘッド102と対向するように印刷ヘッド102の近傍に配置されている。
【0029】
プラテンローラ103は、ローラホルダ111に保持されており、印刷ヘッド102に対し、近づく方向又は離れる方向に揺動可能である。プラテンローラ103の回転軸心L1は、上下方向と平行である。
【0030】
(プラテンギア)
プラテンギア104は、プラテンローラ103に連結されている。本実施形態では、プラテンギア104の回転軸心L2は、プラテンローラ103の回転軸心L1と同一線上に配置されている。プラテンギア104は、ローラホルダ111に保持されており、プラテンローラ103と共に揺動可能である。
【0031】
(駆動シャフト)
駆動シャフト105は、印刷用カセット10の入力スプール16と入力ギア22とに挿入される。駆動シャフト105は、入力スプール16と入力ギア22とを回転させる。
【0032】
駆動シャフト105は、カセット収納部101の内部に配置されている。駆動シャフト105の回転軸心L3は、上下方向と平行である。駆動シャフト105は、駆動源107によって回転軸心L3を中心に回転する。
【0033】
(駆動源)
駆動源107は、駆動シャフト105を回転駆動させる。駆動源107としては、例えばモータとギアとを組み合わせた機構が使用できる。
【0034】
(制御ユニット)
制御ユニット109は、検出部115が検出したカセット識別情報に基づいて、印刷用テープ11Aへの印刷を制御する。
【0035】
制御ユニット109は、例えば、プロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、入出力部とを備えるコンピュータにより構成される。制御ユニット109は、予め記憶されたプログラムを実行することで、印刷用テープ11Aへの印刷を制御する。
【0036】
(ローラホルダ)
ローラホルダ111は、ユーザーの操作によって、
図2Aに示す装着位置と、
図2Bに示す退避位置との間で、筐体110に対し前後方向に移動可能である。
【0037】
装着位置は、プラテンギア104が印刷用カセット10の出力ギア21と係合すると共に、プラテンローラ103が印刷用テープ11Aをニップする位置である。また、装着位置では、検出部115が印刷用カセット10の被検出部51に接触する。
【0038】
退避位置では、プラテンローラ103及びプラテンギア104が、印刷用カセット10と上下方向に重ならない位置に存在する。また、退避位置では、検出部115の少なくとも一部が印刷用カセット10の被検出部51から離れる。
【0039】
図3A,3Bに示すように、ローラホルダ111は、ホルダ本体112と、ローラ支持部113と、センサホルダ114とを有する。
【0040】
ホルダ本体112は、筐体110に設けられた軸部118(
図2A参照)が挿通される軸受112Aを有する。ホルダ本体112は、筐体110に対し、上下方向と平行な揺動
中心軸周りに揺動可能である。
【0041】
ローラ支持部113は、ホルダ本体112の右端部から後方に突出している。ローラ支持部113は、プラテンローラ103及びプラテンギア104を軸回転可能に支持している。
【0042】
センサホルダ114は、ホルダ本体112のローラ支持部113よりも左方に取り付けられ、ホルダ本体112と共に前後方向に揺動する。センサホルダ114は、検出部115と、退避部116とを有する。
【0043】
センサホルダ114は、筐体110及びホルダ本体112に対し、前後方向に移動可能である。また、センサホルダ114は、センサホルダ114に取り付けられた弾性体117(
図3B参照)によって、後方に(つまり印刷用カセット10に向けて)付勢されている。弾性体117としては、例えば、コイルバネを用いることができる。
【0044】
検出部115は、印刷用カセット10の被検出部51への接触によって、カセット識別情報を被検出部51から検出する機械的な読取りセンサである。検出部115は、カセット収納部101内に露出している。
【0045】
図4に示すように、検出部115は、電気回路等を含む本体115Aと、印刷用カセット10内部に挿入可能な複数の突出部115B,115C,115D,115E,115Fを有する。
【0046】
突出部115B-115Fは、それぞれ、検出部115の本体115Aから後方に(つまり印刷用カセット10に向かって)突出している。突出部115B-115Fは、本体115Aに対して、前後方向に移動可能に取り付けられている。
【0047】
突出部115B-115Fのうち、被検出部51の押圧領域51Aに接触した突出部(
図4では、突出部115C)は、被検出部51の非押圧領域51Bを通過した突出部(
図4では、突出部115C以外の突出部)よりも本体115A内に(つまり前方に)押し込まれる。
【0048】
検出部115は、突出部115B-115Fそれぞれの前後方向の位置(つまり本体115A内に押し込まれているか否か)に基づいて、被検出部51における押圧領域51Aと非押圧領域51Bとの配置パターンに対応したカセット識別情報を読み取る。
【0049】
図3Aに示す退避部116は、センサホルダ114のうち、検出部115よりも左方の部分(具体的にはホルダ本体112の揺動中心軸に近い部分)に設けられている。退避部116は、カセット収納部101内に露出している。退避部116は、印刷用カセット10の段差部52と対向する。
【0050】
退避部116は、第3領域116Aと、第4領域116Bとを有する。第3領域116Aと第4領域116Bとは上下方向に並んで配置されている。具体的には、第4領域116Bは、第3領域116Aの下方に配置されている。
【0051】
第3領域116Aは、カセット収納部101において後方に突出するリブである。第3領域116Aを構成するリブは、上下方向に延伸している。また、このリブは、上下方向に沿って前後方向における突出量が変化する2つのテーパ部を有する。
【0052】
具体的には、第3領域116Aは、下方に向かって突出量が連続的に増加する上側テー
パ部116Cと、下方に向かって突出量が連続的に減少する下側テーパ部116Dと、上側テーパ部116Cと下側テーパ部116Dとを連結するストレート部116Eとを有する。ストレート部116Eは、前後方向における突出量が上下方向に沿って一定である。
【0053】
第4領域116Bは、第3領域116Aに対し印刷用カセット10から離れる方向(つまり前方)に凹んでいる。具体的には、第4領域116Bは、センサホルダ114のうち、第3領域116Aよりも前方に位置する後面で構成されている。第4領域116Bは、ローラホルダ111が装着位置にあるときに、前後方向と直交する平面である。
【0054】
図4に示すように、ローラホルダ111が装着位置にある状態において、第3領域116Aは、検出部115の複数の突出部115B-115Fよりも後方に突出している。つまり、第3領域116Aの後端は、複数の突出部115B-115Fの後端よりも後方に位置する。
【0055】
<印刷用カセット>
図5A,5B,5Cに示す印刷用カセット10は、印刷媒体(つまり印刷用テープ11A)を格納している。印刷用カセット10は、印刷装置本体100への装着及び印刷装置本体100からの脱離が可能である。印刷用カセット10の交換により、印刷媒体の補給、及び印刷媒体の種類(例えば、サイズ、色、材質等)の変更ができる。
【0056】
印刷用カセット10は、印刷用テープ11Aの少なくとも一部及びインクリボン14Aの少なくとも一部が収容されるケース35を備える。印刷用カセット10の外形(つまり、ケース35の形状)は、上下方向に平行な辺と、前後方向に平行な辺と、左右方向に平行な辺とを有する直方体状である。ケース35は、下方に向かってカセット収納部101へ挿入されると共に、上方に向かってカセット収納部101から抜き出される。
【0057】
ケース35は、第1蓋部31と、第1枠部32と、第2枠部33と、第2蓋部34とを有する。また、ケース35は、ケース35がカセット収納部101に挿入された状態で、上下方向においてカセット収納部101と対向する底面36と、第1ロール11よりも前方に位置する前側面37とを有する。底面36は、上下方向と直交する平面である。前側面37は、底面36と直交する平面である。
【0058】
印刷用カセット10は、
図6に示すように、第1ロール11と、第1供給スプール12と、スペーサフィルム13A,13Bと、第2ロール14と、第2供給スプール15と、入力スプール16と、クラッチバネホルダ17と、伝達機構20と、被検出部51と、段差部52(
図5A参照)とを備える。
【0059】
(第1ロール)
第1ロール11は、印刷が行われる印刷用テープ11Aを第1供給スプール12に巻回したものである。印刷用テープ11Aの表面には、印刷装置本体100の印刷ヘッド102及びインクリボン14Aによって印刷が行われる。
【0060】
第1ロール11は、上下方向から視て、印刷用カセット10の重心が第1ロール11の内周面の内側に位置するように配置されている。
【0061】
第1ロール11の上下方向の外側には、第1ロール11を挟むように2つのスペーサフィルム13A,13Bが配置されている。スペーサフィルム13A,13Bは、第1ロール11と第1蓋部31との間と、第1ロール11と第1枠部32との間とに配置されている。
【0062】
(第1供給スプール)
第1供給スプール12は、回転軸心L4周りに回転可能である。第1供給スプール12は、印刷装置本体100のプラテンローラ103による印刷用テープ11Aの搬送に伴って回転することで、印刷用テープ11Aを印刷ヘッド102に供給する。第1供給スプール12の回転軸心L4は、上下方向と平行である。
【0063】
(第2ロール)
第2ロール14は、印刷用テープ11Aの印刷に用いられるインクリボン14Aを第2供給スプール15に巻回したものである。
【0064】
インクリボン14Aは、ヘッド開口33Bにおいて、印刷用テープ11Aと重ね合わされ、印刷ヘッド102による印刷に供される。印刷に使用されたインクリボン14Aは、入力スプール16に巻き取られる。
【0065】
第2ロール14には、クラッチバネホルダ17に保持されたクラッチバネによって回転抵抗が付される。第2ロール14の少なくとも一部は、上下方向において、第1ロール11と重なる位置に配置されている。
【0066】
(第2供給スプール)
第2供給スプール15は、回転軸心L5周りに回転可能である。第2供給スプール15の回転軸心L5は、第1供給スプール12の回転軸心L4と平行、つまり上下方向と平行である。第2供給スプール15は、インクリボン14Aの入力スプール16による巻き取りに伴って回転することで、インクリボン14Aを印刷ヘッド102に供給する。
【0067】
(入力スプール)
入力スプール16は、回転軸心L6周りに回転可能である。入力スプール16の回転軸心L6は、第2供給スプール15の回転軸心L5と平行である。
【0068】
入力スプール16は、円筒状であり、内周面16Aで規定される中空部を有する。入力スプール16の内周面16Aにはスプライン歯16Bが設けられている。スプライン歯16Bには、印刷装置本体100の駆動シャフト105が連結される。入力スプール16は、駆動シャフト105によって回転され、インクリボン14Aを巻き取る。
【0069】
(伝達機構)
伝達機構20は、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された際に、駆動シャフト105から伝達される駆動源107の駆動力をプラテンローラ103に伝達すると共に、プラテンローラ103を印刷用カセット10ごとに設定された回転速度で回転させる。伝達機構20は、出力ギア21と、入力ギア22と、アイドルギア23とを有する。
【0070】
第1ロール11、伝達機構20、及び第2ロール14は、上下方向において、第1ロール11、伝達機構20、及び第2ロール14の順に並んで配置されている。つまり、伝達機構20は、上下方向において、第1ロール11と第2ロール14との間に位置する。
【0071】
(出力ギア)
出力ギア21は、印刷用テープ11Aの搬送に供される駆動力を外部に出力するための外歯ギアである。具体的には、出力ギア21は、印刷装置本体100のプラテンギア104に駆動力を出力する。
【0072】
出力ギア21の回転軸心L7は、第2供給スプール15の回転軸心L5と平行である。出力ギア21の全体は、上下方向においてケース35のカバー部32Bと重なっている。
また、出力ギア21は、ヘッド開口33Bと連通する空間に一部が露出している。
【0073】
出力ギア21は、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態(つまりケース35がカセット収納部101に収納された状態)で、ヘッド開口33Bと連通した空間においてプラテンギア104に係合する。
【0074】
(入力ギア)
入力ギア22は、アイドルギア23を介して出力ギア21と間接的に係合し、駆動力を出力ギア21に伝達する。
【0075】
入力ギア22は、外歯ギア22Aと、外歯ギア22Aの一方の側面に固定されると共に、内周面にスプライン歯を有する円筒状の内歯ギアであるスプール22Bとを有する。外歯ギア22Aは、スプール22Bに入力された駆動源107の駆動力によってスプール22Bと一体回転する。
【0076】
入力ギア22の回転軸心L8(つまり、外歯ギア22Aの回転軸心、及びスプール22Bの回転軸心)は、入力スプール16の回転軸心L6と同一線上に配置されている。入力ギア22の少なくとも一部は、上下方向において、第1ロール11と重なる位置に配置されている。
【0077】
入力ギア22の回転軸心L8は、上下方向において、入力スプール16の中空部と重なる。そのため、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態では、駆動シャフト105が入力スプール16と入力ギア22とに同時に挿通される。その結果、入力ギア22は、入力スプール16と直接連結はされないが、入力スプール16と共に駆動シャフト105によって回転される。
【0078】
(アイドルギア)
アイドルギア23は、入力ギア22と出力ギア21とに駆動連結され(つまり係合し)、入力ギア22に入力された駆動力を出力ギア21に伝達する。
【0079】
アイドルギア23は、入力ギア22に係合した上流ギア23Aと、出力ギア21に係合した下流ギア23Bとが同軸上に並んで配置された段ギアである。下流ギア23Bは、上流ギア23Aよりも径が小さい。また、下流ギア23Bは、上下方向において、上流ギア23Aよりも第1ロール11に近い位置(つまり上方)に配置されている。
【0080】
アイドルギア23は、入力ギア22に入力された駆動力の回転速度を減速して出力ギア21に伝達する。つまり、伝達機構20は、入力ギア22の回転速度を出力ギア21の回転速度で除した伝達比を減速比とする減速機構を含んでいる。
【0081】
(ケース)
第1蓋部31は、印刷用カセット10の上端部を構成している。第1枠部32は、第1蓋部31の下方に配置され、第1蓋部31と上下方向に連結されている。第2枠部33は、第1枠部32の下方に配置され、第1枠部32と上下方向に連結されている。第2蓋部34は、印刷用カセット10の下端部を構成している。第2蓋部34は、第2枠部33と上下方向に連結されている。
【0082】
第1蓋部31と第1枠部32とは、第1ロール11を収容する第1収容部41を構成している。つまり、第1ロール11は、第1蓋部31と第1枠部32とで囲まれた空間に配置されている。
【0083】
第2蓋部34と第2枠部33とは、第2ロール14、第2供給スプール15、及び入力スプール16を収容する第2収容部42を構成している。つまり、第2ロール14、第2供給スプール15、及び入力スプール16は、第2蓋部34と第2枠部33とで囲まれた空間に配置されている。
【0084】
第2収容部42は、上下方向において第1収容部41と重ねて配置されている。また、第2収容部42は、第1収容部41よりもケース35の底面36の近く(つまり第1収容部41の下方)に配置されている。第2収容部42は、ヘッド開口33Bを有する。
【0085】
第1枠部32と第2枠部33とは、出力ギア21の一部、入力ギア22、及びアイドルギア23を収容する第3収容部43を構成している。つまり、出力ギア21の一部、入力ギア22、及びアイドルギア23は、第1枠部32と第2枠部33とで囲まれた空間に配置されている。第3収容部43は、上下方向において第1収容部41と第2収容部42との間に配置されている。
【0086】
第1枠部32は、第1側壁32Aと、カバー部32Bと、第1ガイド32Cと、第1爪32Dと、第2爪32Eと、第1溝32Fと、第2溝32Gとを有する。
第1側壁32Aは、印刷用カセット10の上下方向と平行な側面を構成する。
【0087】
カバー部32Bは、上下方向と垂直な表面を有する部位である。カバー部32Bは、上下方向において出力ギア21と重なる位置に配置されている。本実施形態では、カバー部32Bは、第1側壁32Aの下端部と連続して設けられ、第1枠部32の右前方の角部に配置されている。
【0088】
第1ガイド32Cは、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aが巻き掛けられる部位である。第1ガイド32Cは、第1ロール11の周方向に沿って離れて配置された複数の板状のリブを有する。複数のリブは、第1ロール11の径方向に突出しており、下方に向かうほど突出量(つまり板幅)が大きくなっている。
【0089】
第1爪32D及び第2爪32Eは、第1側壁32Aから下方に突出している。第1爪32D及び第2爪32Eは、それぞれ、第1枠部32の下方に配置される第2枠部33に係合する係合部を構成している。
【0090】
第1溝32F及び第2溝32Gは、第1側壁32Aに設けられている。第1溝32F及び第2溝32Gには、それぞれ、第1枠部32の上方に配置される第1蓋部31の第3爪31A及び第4爪31Bが係合する係合部を構成している。
【0091】
第2枠部33は、第2側壁33Aと、ヘッド開口33Bと、排出口33Cと、第2ガイド33Dとを有する。
第2側壁33Aは、印刷用カセット10の上下方向と平行な側面を構成する。
【0092】
ヘッド開口33Bは、第2側壁33Aの一部を切り欠いた部位である。ヘッド開口33Bは、第1ロール11に対し上下方向において離れた位置に配置されている。具体的には、ヘッド開口33Bは、第1ロール11よりも下方に配置されている。
【0093】
ヘッド開口33Bは、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、内部に印刷ヘッド102が配置される空間である。ヘッド開口33Bにおいて、印刷ヘッド102による印刷用テープ11Aの印刷が行われる。ヘッド開口33Bは、印刷ヘッド102が下方から挿入可能なように、印刷用カセット10の下方に開口している。
【0094】
図7に示すように、ヘッド開口33Bにおいて、印刷用テープ11A及びインクリボン14Aが左右方向に架け渡される。印刷用テープ11Aは、ヘッド開口33Bによって、排出口33Cよりも印刷用テープ11Aの排出方向上流側において露出する。印刷後の印刷用テープ11Aは、排出口33Cから印刷装置1の外部に排出される。
【0095】
第2ガイド33Dは、第1ガイド32Cを通過した印刷用テープ11Aが巻き掛けられる部位である。第2ガイド33Dは、第1ガイド32Cと同様に、第2ロール14の周方向に沿って離れて配置された複数の板状のリブを有する。複数のリブは、第2ロール14の径方向に突出しており、下方に向かうほど突出量(つまり板幅)が小さくなる。
【0096】
図8A,8B,8C,8Dに示すように、第1ガイド32C及び第2ガイド33Dは、第1ロール11を構成する印刷用テープ11Aを第1収容部41から第2収容部42に送る通路を構成している。
【0097】
具体的には、
図8Aに示すように、第1ロール11から引き出された印刷用テープ11Aは、螺旋を描くように第1ガイド32Cに第1ロール11の径方向外側から当接しながら第1収容部41内で下後方に向かって搬送される。印刷用テープ11Aは、さらに
図8Bに示すように、第3収容部43を上下方向に跨ぎつつ、左下方に向かって搬送される。
【0098】
第2収容部42に到達した印刷用テープ11Aは、
図8Cに示すように、第2ガイド33Dに径方向外側から当接しながら下前方に向かって搬送される。印刷用カセット10の下端部に到達した印刷用テープ11Aは、
図8Dに示すように、ヘッド開口33Bを通過して排出口33Cから右方に排出される。
【0099】
(被検出部)
図9に示す被検出部51は、印刷用カセット10を識別するためのカセット識別情報を外部装置(つまり印刷装置本体100)に検出させる。
【0100】
被検出部51は、ケース35の底面36と交差する前側面37に配置されている。本実施形態では、被検出部51は、第2枠部33の第2側壁33Aに設けられた孔、凹部、又は切欠きを有する立体マーカである。つまり、被検出部51は、第2ロール14を収容する第2収容部42において、ヘッド開口33Bが設けられた第2側壁33Aに配置されている。
【0101】
被検出部51は、上下方向において、伝達機構20よりも底面36の近くに配置されている。また、被検出部51は、排出口33Cでの印刷用テープ11Aの排出方向と平行な方向(つまり左右方向)において、出力ギア21よりも排出口33Cから遠くに(つまり出力ギア21の左方に)配置されている。
【0102】
被検出部51は、印刷装置本体100の検出部115による接触式の読み取りによって、印刷用カセット10のカセット識別情報を検出部115に検出させる。具体的には、被検出部51は、少なくとも1つの押圧領域51Aと、少なくとも1つの非押圧領域51Bとを有する。
【0103】
押圧領域51Aは、ケース35がカセット収納部101に挿入された状態で検出部115と接触する領域である。押圧領域51Aは、検出部115の複数の突出部115B-115Fのうち少なくとも1つ(
図4では突出部115C)を前方に押圧する。
【0104】
非押圧領域51Bは、検出部115の複数の突出部を前後方向に押圧しない領域である。本実施形態では、非押圧領域51Bは検出部115の複数の突出部のいずれかに対応す
る(つまり1つの突出部と前後方向に重なる)位置に設けられた孔で構成されている。非押圧領域51Bを構成する孔には、1つの突出部が挿入される。非押圧領域51Bに挿入された突出部は、第2側壁33Aを貫通し、ケース35内に進入する。
【0105】
被検出部51の非押圧領域51Bは、底を有する凹部の開口で構成されてもよい。また、
図10Aに示すように、非押圧領域51Bは、複数の突出部が同時に貫通する孔で構成されてもよい。
図10Aの下側の非押圧領域51Bは、
図9における下側の2つの非押圧領域51Bを包含するものである。
【0106】
さらに、
図10Bの左側の2つの非押圧領域51Bのように、非押圧領域51Bは、ケース35の前側面37に設けられた切り欠きで形成されてもよい。この切欠きは、第2枠部33の下端又は上端まで延伸している。
【0107】
被検出部51が検出部115に検出させるカセット識別情報は、押圧領域51A及び非押圧領域51Bの数及び配置によって変えられる。つまり、検出部115が有する複数の突出部と前後方向に重なる領域を押圧領域51A及び非押圧領域51Bのいずれかとすることで、カセット識別情報を示すコードが被検出部51に設定される。
【0108】
例えば、
図3Aのように検出部115が5つの突出部115B-115Fを有する場合、カセット識別情報の大きさは、5[bit]となる。つまり、突出部の数がNであれば、N[bit]のカセット識別情報を被検出部51に持たせることができる。
【0109】
カセット識別情報は、例えば、伝達機構20に関する情報、印刷用テープ11Aに関する情報等を含む。伝達機構20に関する情報は、例えば、入力ギア22の回転速度を出力ギア21の回転速度で除した伝達比に関連する情報、伝達機構20が含む回転体(つまりギア)の数に関連する情報等を含む。印刷用テープ11Aに関する情報は、例えば、印刷用テープ11Aの幅、厚み、材質、色、層構成等を示す情報を含む。
【0110】
また、被検出部51は、印刷用カセット10がカセット収納部101に収納されたことを印刷装置本体100に通知する機能も有する。つまり、検出部115は、被検出部51からのカセット識別情報の読み取りによって、印刷用カセット10の印刷装置本体100への装着を認識する。
【0111】
(段差部)
図9に示す段差部52は、少なくとも一部が上下方向において被検出部51と同じ位置(つまり左右方向において被検出部51と重なる位置)に配置されている。具体的には、段差部52は、前側面37のうち、被検出部51よりも左側の領域に配置されている。
【0112】
段差部52は、第1領域52Aと、第2領域52Bとを有する。第1領域52Aと第2領域52Bとは上下方向に並んで配置されている。具体的には、第2領域52Bは、第1領域52Aの下方に配置されている。
【0113】
第2領域52Bは、ケース35を構成する第2枠部33の第2側壁33Aに設けられた凹部である。具体的には、第2領域52Bは、第2側壁33Aに設けられた溝(つまり開口)で構成されている。なお、第2領域52Bは、
図10Cに示すように、第2側壁33Aに設けられた切り欠きで構成されてもよい。
【0114】
図9に示すように、第2領域52Bの上下方向における長さD1は、被検出部51の少なくとも1つの非押圧領域51Bの上下方向における長さD2の最大値(つまり上下方向の長さが最も大きい非押圧領域51Bの上下方向の長さ)よりも大きい。
【0115】
また、第2領域52Bの上端は、少なくとも1つの押圧領域51A及び少なくとも1つの非押圧領域51Bの上端よりも上方に位置し、第2領域52Bの下端は、少なくとも1つの押圧領域51A及び少なくとも1つの非押圧領域51Bの下端よりも下方に位置している。つまり、被検出部51は、上下方向において第2領域52Bの上端と下端との間に配置されている。
【0116】
第1領域52Aは、ケース35を構成する第2枠部33の側壁の外面(つまり前側面37の一部)で構成されている。第1領域52Aは、前後方向と直交する平面である。第2領域52Bは、第1領域52Aに対しセンサホルダ114から離れる方向(つまり後方)に凹んでいる。
【0117】
図4に示すように、段差部52は、印刷用カセット10がカセット収納部101に収納された状態でセンサホルダ114の退避部116と対向する。この状態では、退避部116の第3領域116Aが第2領域52Bを貫通して、ケース35の内部に突出する。
【0118】
<印刷用カセットの装着>
印刷用カセット10は、
図11A、
図11C及び
図11Eの順に示されるように、センサホルダ114と接触しながら下方に向かってカセット収納部101に挿入される。また、印刷用カセット10は、
図11E、
図11C及び
図11Aの順に示されるように、センサホルダ114と接触しながら上方に向かってカセット収納部101から取り出される。
【0119】
【0120】
図11B及び
図11Dに示す印刷用カセット10が挿入されている途中又は取り出されている途中の状態では、被検出部51は上下方向において検出部115と異なる(つまり前後方向に重ならない)位置にある。
【0121】
この状態で、段差部52の第1領域52Aは、
図11A及び
図11Cに示すように、退避部116の第3領域116Aに後方から当接することで、センサホルダ114を前方に押圧する。つまり、退避部116の第3領域116Aは、被検出部51が上下方向において検出部115と異なる位置にある状態でセンサホルダ114を前方に移動させる。
【0122】
具体的には、第1領域52Aは、ケース35のカセット収納部101への挿入時又は取り出し時に、
図11Bに示すように前後方向においてケース35の底面36と検出部115の第1部115Gとが重なる状態で、センサホルダ114を前方に押圧する。
【0123】
第1部115Gは、検出部115において被検出部51に向かって突出する部位(つまり突出部115B-115F)のうち、ケース35がカセット収納部101に挿入された状態で上下方向において底面36から最も離れた部位(つまり最上部)である。
【0124】
また、第1領域52Aは、ケース35のカセット収納部101への挿入時又は取り出し時に、
図11Dに示すように前後方向においてケース35の底面36と検出部115の第2部115Hとが重なる状態で、センサホルダ114を前方に押圧する。
【0125】
第2部115Hは、検出部115が有する突出部115B-115Fのうち、ケース35がカセット収納部101に挿入された状態で上下方向において底面36に最も近い部位(つまり最下部)である。
【0126】
第1領域52Aは、ケース35の底面36と第1部115Gとが重なる状態(
図11B参照)から底面36と第2部115Hとが重なる状態(
図11D参照)までの間で、センサホルダ114を前方に押圧し続ける。この間、被検出部51と検出部115とが前後方向に離れた状態が維持される。
【0127】
図11Eに示すように、ケース35が印刷用カセット10の装着位置(つまり被検出部51と検出部115とが前後方向において重なる位置)まで移動すると、第3領域116Aが第2領域52Bに挿入され、段差部52によるセンサホルダ114の前方への押圧が解除される。その結果、
図11Fに示すように、被検出部51に検出部115の突出部が進入又は接触する。
【0128】
<印刷装置本体によるテープ搬送及び印刷>
印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、印刷ヘッド102は、ヘッド開口33Bにおいて、印刷用テープ11A及びインクリボン14Aと前後方向に重なる位置に配置される。
【0129】
印刷用テープ11Aは、プラテンローラ103によってヘッド開口33Bに搬送されると共に、プラテンローラ103によってインクリボン14Aを介して発熱素子が発熱した印刷ヘッド102に押し付けられる。これにより、インクリボン14Aの表面に配置されたインクの一部が印刷用テープ11Aに転写され、印刷用テープ11Aに文字、記号等が印刷される。
【0130】
プラテンローラ103は、印刷後の印刷用テープ11Aを印刷用カセット10内から外部に向けて搬送する。プラテンローラ103は、出力ギア21と係合されたプラテンギア104によって回転する。
【0131】
印刷用カセット10のケース35がカセット収納部101に挿入された状態で、駆動シャフト105が入力ギア22に係合する。さらに、ローラホルダ111が装着位置に揺動することで、
図12に示すように、プラテンギア104が出力ギア21に係合する。
【0132】
印刷用カセット10が装着された状態で駆動シャフト105により入力ギア22が回転されることで出力ギア21が回転される。さらに、出力ギア21の回転によりプラテンギア104が回転し、プラテンギア104の回転によりプラテンローラ103が回転する。
【0133】
検出部115は、カセット収納部101に装着された印刷用カセット10の被検出部51からカセット識別情報を検出する。検出部115が検出したカセット識別情報は、制御ユニット109に送られる。制御ユニット109は、カセット識別情報に基づいて印刷ヘッド102の印刷周期(つまり加熱のオンオフの切り替え周期)、駆動源107の回転方向等を制御する。
【0134】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)印刷用カセット10の印刷装置本体100への挿入時に、段差部52の第1領域52Aと第3領域116Aとの接触によってセンサホルダ114が前後方向に押圧されて退避位置に移動する。
【0135】
その後、第2領域52B及び第4領域116Bによってセンサホルダ114の前後方向への押圧が解除されることで、検出部115と被検出部51とが接触可能な装着位置にセンサホルダ114が移動する。
【0136】
これにより、装着された印刷用カセット10からのカセット識別情報の読み取りを実現しつつ、印刷用カセット10の挿抜時におけるセンサホルダ114と被検出部51との干渉が避けられる。その結果、印刷用カセット10の印刷装置本体100への挿抜をスムーズに行える。
【0137】
(1b)ケース35の底面36と検出部115の第1部115Gとが重なる状態から、底面36と検出部115の第2部115Hとが重なる状態までの間で第1領域52Aがセンサホルダ114を前方に押圧し続けることで、センサホルダ114と被検出部51との干渉の抑制効果が向上する。
【0138】
(1c)段差部52の第2領域52Bをケース35の側壁に設けられた凹部とすることで、印刷用カセット10の外寸の増加を抑制しつつ、段差部52を比較的容易に形成することができる。
【0139】
(1d)第3領域116Aを構成するリブがテーパ部を有することで、第3領域116Aの第2領域52Bへの挿入及び抜き出しが滑らかに行える。そのため、印刷用カセット10の挿抜時の抵抗を低減できる。
【0140】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
第2実施形態の印刷装置は、
図1Bの印刷装置本体100の構成を一部変更した印刷装置本体と、
図13A,13Bに示す印刷用カセット210とを備える。
【0141】
<印刷用カセット>
印刷用カセット210は、段差部252を除いて、第1実施形態の印刷用カセット10と同じ構成を有する。印刷用カセット210の段差部252は、第1領域252Aと、第2領域252Bとを有する。第2領域252Bは、第1領域252Aの上方に配置されている。
【0142】
第1領域252Aは、ケース35の側壁から前方に突出するリブである。第1領域252Aを構成するリブは、上下方向に延伸している。また、このリブは、上下方向に沿って前後方向における突出量が連続的に変化する2つのテーパ部を有する。
【0143】
第2領域252Bは、第1領域252Aに対しセンサホルダ314から離れる方向(つまり後方)に凹んでいる。具体的には、第2領域252Bは、ケース35の側壁の外面(つまり前側面37の一部)で構成されている。
【0144】
<印刷装置本体>
第2実施形態の印刷装置本体は、
図14Aに示すセンサホルダ314を除いて、
図1Bの印刷装置本体100と同じ構成を有する。センサホルダ314は、検出部115と、退避部316とを有する。検出部115は、第1実施形態と同様のものである。
【0145】
退避部316は、第3領域316Aと、第4領域316Bとを有する。第4領域316Bは、第3領域316Aの下方に配置されている。第4領域316Bは、第3領域316Aに対し印刷用カセット210から離れる方向(つまり前方)に凹んでいる。
【0146】
第4領域316Bは、センサホルダ314に設けられた凹部である。具体的には、第4領域316Bは、センサホルダ314に設けられた切り欠きで構成されている。なお、第4領域316Bは、
図14Bに示すように、センサホルダ314に設けられた溝(つまり
開口)で構成されてもよい。
【0147】
<印刷用カセットの装着>
図15A及び
図15Cに示すように、印刷用カセット210の挿抜において、段差部252の第1領域252Aは、退避部316の第3領域316Aに後方から当接することで、センサホルダ314を前方に押圧する。
【0148】
つまり、退避部316の第3領域316Aは、
図15B及び
図15Dに示される被検出部51が上下方向において検出部115と異なる位置にある状態でセンサホルダ314を前方に移動させる。
【0149】
図15Eに示すように、ケース35が印刷用カセット210の装着位置まで移動すると、第1領域252Aが第4領域316Bに挿入され、段差部252によるセンサホルダ314の前方への押圧が解除される。その結果、
図15Fに示すように、被検出部51に検出部115の突出部が進入又は接触する。
【0150】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)段差部252の第1領域252Aをリブとすることで、センサホルダ314の形状の自由度を高められる。
【0151】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0152】
(3a)上記実施形態の印刷装置は、インクリボンを用いて印刷するものに限定されない。印刷装置は、印刷用テープの代わりとして帯状の感熱紙を用いてもよい。つまり、印刷用カセットは、必ずしもインクリボンを備えなくてもよい。
【0153】
(3b)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、段差部の第1領域と退避部の第3領域とが共にリブで構成されてもよい。
【0154】
(3c)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、センサホルダは、ローラホルダが装着位置にある状態で必ずしも前後方向に平行移動可能でなくてもよい。センサホルダは、筐体に対し、ローラホルダとは独立して上下方向と平行な揺動中心軸周りに揺動可能であってもよい。
【0155】
また、センサホルダは、必ずしもローラホルダに取り付けられなくてもよい。例えば、
図16に示すように、センサホルダ114は、筐体110に対し前後方向に移動可能なように、支持体119によって筐体110に取り付けられてもよい。
【0156】
(3d)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、検出部は、必ずしも複数の突出部を有しなくてもよい。検出部は、電気接点、リンク機構等を介して被検出部との接触からカセット識別情報を検出してもよい。
【0157】
(3e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態で
ある。
【符号の説明】
【0158】
1…印刷装置、10,210…印刷用カセット、11…第1ロール、
11A…印刷用テープ、14…第2ロール、14A…インクリボン、20…伝達機構、
33B…ヘッド開口、33C…排出口、35…ケース、36…底面、37…前側面、
51…被検出部、51A…押圧領域、51B…非押圧領域、52,252…段差部、
52A,252A…第1領域、52B,252B…第2領域、100…印刷装置本体、
101…カセット収納部、102…印刷ヘッド、103…プラテンローラ、
110…筐体、111…ローラホルダ、114,314…センサホルダ、
115…検出部、115A…本体、115B-115F…突出部、115G…第1部、
115H…第2部、116,316…退避部、116A,316A…第3領域、
116B,316B…第4領域、117…弾性体、118…軸部、119…支持体。