(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056849
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
A63F7/02 355B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164815
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】396008576
【氏名又は名称】株式会社スリーストン
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】白石 光男
(72)【発明者】
【氏名】関口 文生
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC23
2C088FA05
(57)【要約】
【課題】遊技機の搬送に用いる台車の保管の問題を解決する。
【解決手段】台車は、台車本体100と、着脱部材200とからなる。台車本体100は荷台板とキャスター140を備えており、従来の台車として機能する。着脱部材200は、荷台板に嵌る補助板220の下側で下向きに開口する下穴と、補助板220の上で上側に開口する上穴200Xとを備える。下穴に荷台板をはめ込むことにより、着脱部材200は台車本体100に着脱自在に固定される。着脱部材200が固定された台車本体100は、ドル箱置き場として機能するので、ホール内に置いておくことができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機を載置する水平な上面を有する板である荷台板、及び前記荷台板の下方に取付けられたキャスター、を有する台車本体と、
前記荷台板に上から被せることにより、前記荷台板をその内側に着脱自在に収納することができる下向きの穴である下穴を備えた板状体である補助板、及び前記補助板から立ち上がる板である枠板であって、前記補助板の上に前記枠板で囲まれた上向きの穴である上穴を作るものを備えてなる、着脱部材と、
を備えている、台車。
【請求項2】
前記枠板は、前記補助板の縁の全周から立ち上がり、且つ前記補助板の下にまで至っており、前記補助板の下側における前記枠板に囲まれた空間が前記下穴となっている、
請求項1記載の台車。
【請求項3】
前記枠板の上側の端面が発光するようになっている、
請求項1又は2記載の台車。
【請求項4】
前記枠板が透明な部材でできているとともに、前記枠板の下側の端面の適宜の位置に発光体が取付けられており、
前記発光体から出て前記枠板の下側の端面から入った光を前記枠板の上側の端面から射出させることで、前記枠板の上側の端面が発光するようになっている、
請求項3記載の台車。
【請求項5】
前記発光体は、前記枠板の下側の端面に沿って配されている、
請求項4記載の台車。
【請求項6】
前記枠板の上側の端面の発光が、複数色に変化するようになっている、
請求項3記載の台車。
【請求項7】
前記台車本体の前記荷台板には手押し用のハンドルが設けられており、
前記ハンドルは、前記荷台板に対して着脱自在とされている、
請求項1記載の台車。
【請求項8】
遊技機を載置する水平な上面を有する板である荷台板、及び前記荷台板の下方に取付けられたキャスター、を有する台車と組合せて用いられる着脱器具であって、
前記荷台板に上から被せることにより、前記荷台板をその内側に着脱自在に収納することができる下向きの穴である下穴を備えた板状体である補助板と、
前記補助板から立ち上がる板である枠板であって、前記補助板の上に前記枠板で囲まれた上向きの穴である上穴を作るものと、
を備えている、着脱器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、パチンコ遊技機又はパチスロ遊技機の搬送を行うために主に遊技場で用いられる、主に手押しの台車に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機又はパチスロ遊技機(なお、本願では、パチンコ遊技機又はパチスロ遊技機を併せたものを「遊技機」と称する。)は、遊技場のホールにおいて、島と通称される構造物にそれを取付けて用いられる。島に取付けられる前、遊技機は例えば遊技機メーカーから遊技場の例えば倉庫にまず搬入される。当然倉庫等に搬入される遊技機は1つではなく複数、それも多くの場合はかなりの数である。倉庫等に搬入された遊技機は、島がある遊技場のホールに倉庫等から搬送される。
搬送には一般によく知られたような手押しの台車が用いられている。手押しの台車に載せられて島の前まで搬送された遊技機は、島に取付けられる。
また、島に取付けられていた遊技機を島から外して倉庫等に戻す場合にも、台車は利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように台車は有用ではある。しかしながら、その保管が問題となることが多い。
台車は、上述したように遊技機が倉庫等からホールに搬入されるか、或いはホールから倉庫等に搬出される場合にしか、言葉を変えれば、遊技機の入替えがある場合にしか利用されず、それ以外のときは単に倉庫等に保管されているのみである。そして、遊技機の入替え作業用に遊技場が準備しておくべ台車の数は、1つや2つでは到底済まない。
したがって、稼働率の低い台車を、稼働していないときにどのようにして保管しておくかということが問題となるのである。台車をスタック可能とする等の工夫はもちろん既になされているが、仮にそうしても保管中の台車が場所を取ることは避けられない。
【0004】
本願発明は、上述した如き台車の保管の問題を解決するための技術を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本願発明における台車は、以下のようなものである。
本願発明の台車は、遊技機を載置する水平な上面を有する板である荷台板と、前記荷台板の下方に取付けられたキャスターと、を有する台車本体を備えている。いうなれば、この台車本体は、従来でいうところの台車に相当する。荷台板は例えば、平面視で矩形である。
そして、この台車はまた、着脱部材を備えている。着脱部材は、前記荷台板に上から被せることにより、前記荷台板をその内側に着脱自在に収納することができる下向きの穴である下穴を備えた板状体である補助板、及び前記補助板から立ち上がる板である枠板であって、前記補助板の上に前記枠板で囲まれた上向きの穴である上穴を作るものを備えてなる。
従来の台車としての本願発明の台車本体の用い方は、従前と同じである。台車本体は、遊技機を倉庫等からホールへ搬入したり、ホールから倉庫等へと搬出する際において、つまり、遊技機の入替え作業をする際において、その荷台板に遊技機を載せた状態で移動させるための台車として利用することができる。
他方、本願発明の台車は、着脱部材を備えている。着脱部材は、台車本体が遊技機の入替え作業に用いられないときに、つまり、従来の台車であれば遊んだ状態にあるときに用いられる。
着脱部材は、板である補助板を備えており、且つ、補助板を挟む位置に位置する上に開口する上穴と、下に開口する下穴とを備えている。上穴は、枠板により囲まれた穴である。なお、本願において、着脱部材についての上下の概念は、着脱部材が台車本体に取付けられた状態での上下を意味することとする。
下穴は、荷台板を収納することにより、着脱部材を、着脱自在に台車本体に固定或いは係止するために用いられる。例えば、下穴の水平断面形状は台車本体の荷台板の水平断面形状に対応しており、下穴の中に、荷台板の厚さ方向の少なくとも一部を挿入することにより、着脱部材は台車本体に着脱自在に固定される。また、下穴が荷台板よりも一回り大きくても良く、その場合には、着脱部材が荷台板に対して水平方向に移動しようとすると、下穴の周囲の壁が荷台板の側面と干渉するので、着脱部材が荷台板から脱落するのを防ぐことができる。
他方、上穴は、着脱部材が台車本体に取付けられたときに荷台板の上に位置することになり、遊技者が、パチンコ遊技機から排出された玉や、スロット遊技機から排出されたコインを入れた箱であるドル箱を入れておくために用いられる。
つまり、この台車本体は、着脱部材を取り外した状態では従来の台車と同様に用いることができる反面、着脱部材を取付けた状態では、ホール内で遊技を行う遊技者の近く、或いは遊技者が使用中の遊技機の近くに配することにより、ドル箱を上穴の中に積み上げる等して載置するためのドル箱置き場として利用することができる。それにより、本願発明の台車は、従来の台車であれば遊んだ状態にあるときにおいて、ドル箱置き場としての役割を果たすことができるため、遊技場のホールに置いておくことができる。遊んでいる台車をどのように保管するかという工夫とはまったく異なるこのアプローチにより、本願発明における台車は、保管についての問題から開放されたものとなる。
【0006】
上述したように、着脱部材の補助板の上側には上穴が、下側には下穴が設けられる。上穴と下穴とは、平面視した場合において重なり合うようになっていても良いし、そうでなくても良い。
他方、上穴と下穴とは、平面視した場合において重なり合う用になっていても良い。その場合、前記枠板は、前記補助板の縁の全周から立ち上がり、且つ前記補助板の下にまで至っており、前記補助板の下側における前記枠板に囲まれた空間が前記下穴となっていてもよい。この場合、枠板の特に内面は、鉛直面であっても良い。枠板の厚さがすべての部分で均等なのであれば、枠板は鉛直方向に延びるものであっても良い。このような構成を採用すると、例えば、枠板の4辺に上下方向の高さが同じ同幅の板を用いるとともに、枠板の例えば高さ方向の中程に補助板を固定するという簡単な構成により、補助板の上側には上穴を、下側には下穴を、それぞれ作ることが可能となる。そのような簡単な構成は、着脱部材の製造コストを引き下げる。
【0007】
上述したように、本願発明における台車は、着脱部材を取付けたときにはドル箱置き場として機能する。
しかしながら、台車本体の荷台板の上に上穴が存在することになったからといって、遊技者がそのような台車をドル箱置き場として用いることに対するモチベーションが不十分となるおそれもある。仮にそうであれば、本願発明の台車は、従来の台車が遊んでいるときにおけるホール内での活用が十分になされないかも知れない。
そのような事態の発生を抑制する目的で、前記枠板の上側の端面が発光するようにしても良い。そのような目を引く、場合によっては派手な演出を行うことにより、遊技者による、本願発明の台車のドル箱置き場としての活用を促進することが可能となる。
【0008】
枠板の上側の端面を光らせるための手法としては、例えば、枠板の上側の端面の全周にわたって、LEDその他の発光体を配置するという方法がある。
他方、前記枠板が透明な部材でできているとともに、前記枠板の下側の端面の適宜の位置に発光体が取付けられており、前記発光体から出て前記枠板の下側の端面から入った光を前記枠板の上側の端面から射出させることで、前記前記枠板の上側の端面が発光するようになっていてもよい。上穴をドル箱置き場として用いるのであれば、枠板の上端には、上穴に出し入れされるドル箱が接触する可能性がある。そのような場所に、電子部品である発光体を設けておくと、ドル箱との接触により発光体が破損するおそれがある。枠板をいわば導光部材として用い、枠板の下側の端面に発光体を設けておけば、発光体の破損を抑制することができるし、また、枠板の側面から漏れる光により、意匠的な効果を高めることが可能となる。
前記発光体は、例えば、前記枠板の下側の端面に沿って配されていてもよい。これにより、枠板の上側の端面の全体を効率的に輝かせることが可能となる。
前記枠板の上側の端面の発光が、複数色に変化するようになっていてもよい。これによれば、ドル箱置き場として用いられるときの台車の意匠性を増すことが可能となる。端面の発光の色の変化は、自動的に行われても良いし、ホールの従業者或いは、遊技者の選択によって行われても良い。
【0009】
前記台車本体の前記荷台板には手押し用のハンドルが設けられており、前記ハンドルは、前記荷台板に対して着脱自在とされていてもよい。
本願発明の台車における台車本体は、上述したように、遊技機入れ替え時には、従来の台車として利用される。そのとき台車本体は、遊技機を荷台板に載置した状態で移動させられるのであるから、手押し用のハンドルが存在すると便利である。とはいえ、台車本体に着脱部材が取付けられてドル箱置き場として用いられる場合には、荷台板から上方に延びるのが定石であるハンドルが存在すると邪魔であり、場合によっては、上穴に出し入れするドル箱と接触する可能性がある。荷台板に対して、或いは台車本体に対してハンドルを着脱自在としておけば、台車をドル箱置き場として用いる場合には台車本体からハンドルを取り外せば良いのであるから、台車をドル箱置き場として用いる場合にハンドルが邪魔になるということがない。
【0010】
本願発明者は、また、既存の台車に対して着脱自在な着脱器具をも本願発明の一態様として提案する。この場合の台車は、本願発明の台車における台車本体に相当し、着脱器具は、本願発明の台車における着脱部材に相当する。そして、この着脱器具の効果は、本願発明の台車の効果に等しい。
一例となる着脱器具は、遊技機を載置する水平な上面を有する板である荷台板、及び前記荷台板の下方に取付けられたキャスター、を有する台車と組合せて用いられる着脱器具である。
そして、この着脱器具は、前記荷台板に上から被せることにより、前記荷台板をその内側に着脱自在に収納することができる下向きの穴である下穴を備えた板状体である補助板と、前記補助板から立ち上がる板である枠板であって、前記補助板の上に前記枠板で囲まれた上向きの穴である上穴を作るものと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願の一実施形態の台車に含まれる台車本体の斜視図。
【
図2】
図1に示した台車本体から荷台板とハンドルを除いた状態を示す斜視図。
【
図3】
図1に示した台車本体と組合せられる着脱部材の斜視図。
【
図5】
図3に示した着脱部材が台車本体の荷台板に取付けられた場合における、
図3のA-A位置における端面図。
【
図6】
図1に示した台車本体からハンドルを除いて、着脱部材を組合せた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願発明の台車の好ましい一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
この実施形態の台車は、遊技機としてのスロット遊技機の入替え作業を行う際に用いられることがある。つまり、この台車は、スロット遊技機を倉庫等からホールへと搬入するときや、スロット遊技機をホールから倉庫等へと搬出する際に用いられることがある。もっとも、台車は、遊技機としてのパチンコ遊技機の入替え作業に用いられるものとなっていてもよい。
【0013】
本願の台車は、台車本体と着脱部材とからなる。
台車本体100は、
図1に示したようなものである。
台車本体100は、既存のものでも構わないが、この実施形態における台車本体100は、着脱部材との組合せが予定された専用品である。
【0014】
台車本体100は、荷台板110を備えている。荷台板110は、例えば、金属でできた板である。荷台板110は、必ずしも中密である必要はなく、金属板を折り曲げて、
図1に示したような形状とされていてもよく、必ずしもこの限りではないが、この実施形態ではそうされている。
荷台板110の上面は水平であり、また、荷台板110は、これには限られないがこの実施形態では、平面視矩形である。
荷台板110の上面は、遊技機が取付けられる島において、その上に遊技機が載置される水平な板である下板(膳板とも称される。)の上面と面一となっているか、少なくともそうできるようになっている。したがって、荷台板110の
図1における手前側の長辺を下板の手前側の辺に当接させた状態で、遊技機を搬出する場合において、遊技機を下板の上から荷台板110の上にスムーズに摺動させることができ、また、遊技機を搬入する場合において、遊技機を荷台板110の上から下板の上にスムーズに摺動させることができる。
荷台板110の下面は、遊技機の、或いは遊技機が取付けられる島の手前に固定的に設けられている椅子の座面よりも上側に位置している。上述したように、台車本体100から島を構成する下板の上に遊技機を移動させるとき、或いは下板の上から台車本体100に遊技機を移動させる場合には、荷台板110の
図1における手前側の長辺を下板の手前側の辺に当接させる必要がある。その場合に、荷台板110が、椅子の座面と干渉するおそれがある。荷台板110が、椅子の座面よりも上側に位置しているのは、荷台板110の
図1における手前側の長辺を下板の手前側の辺に当接させたときに、荷台板110の下に椅子の座面を位置させることにより、荷台板110と椅子の座面との干渉を避けるためである。
【0015】
図2に台車本体100から荷台板110を取り除いた状態を示す。なお、
図2では、後述するハンドルも、台車本体100から取り除かれている。
荷台板110の直下には、平面視で略コの字型のベース部材120が存在する。ベース部材120は、後述するキャスターと、荷台板110とを連結するための部材である。ベース部材120は、これには限られないが、断面視四角形の角パイプでできており、角パイプを、
図2では手前側が開放された平面視コの字型の形状に接続して構成されている。
ベース部材120の
図2における手前側の長辺を無くしているのは、ここにも角パイプが存在し、ベース部材120が平面視矩形であると、遊技機の搬入又は搬出の作業を行う際において荷台板110の
図1における手前側の長辺を下板の手前側の辺に当接させたときに、その部分の角パイプが、椅子の座面と干渉するおそれがあるからである。
【0016】
ベース部材120の下方には、棒状体である4本の脚130が設けられている。4本の脚130は、これには限られないがいずれも、断面視円形の丸パイプを曲折して構成されている。ベース部材120に対する脚130の固定は、公知或いは周知技術に基づいて適当に行えば良い。
4本の脚130はいずれも、
図1に示したように、荷台板110の四隅に相当する部分から一旦外側に伸びた後に、下方に向かって緩やかに曲折するように折り曲げられている。このような脚130の構成は、台車本体100を後述するようにしてスタックできるようにするために有用である。
各脚130の下端にはキャスター140が設けられている。キャスター140は、台車或いは台車本体100を移動させるための公知或いは周知の車輪である。キャスター140は市販のものでよく、これには限られないがこの実施形態ではそうされている。キャスター140のうちの少なくとも1つには、キャスター140の回転を防いで台車或いは台車本体100を床に対して移動できない状態とするためのストッパが設けられていてもよく、
図1における手前側のキャスター140にはキャスター140の転がりを禁じるストッパが設けられているが、これも公知というより周知の構成であるから、その説明を省略する。
【0017】
ベース部材120の2つの短辺の上面には、板である支持板150が取付けられている。支持板150は、これには限られないが矩形であり、その下側の長辺がベース部材120に対して固定されている。上述した荷台板110は、支持板150でその下面を支持された状態でベース部材120に対して固定される。それにより、荷台板110は、平面視コの字型のベース部材120から、支持板150の上下方向の長さ分だけ浮いた状態で、ベース部材120に対して固定されることになる。また、荷台板110は、水平を保ったまま、ベース部材120に対して上下方向に移動可能であり、任意の高さで位置決め固定可能となっていても良い。これは、荷台板110の上面と下板の上面との高さを合わせるために有用である。荷台板110を、ベース部材120に対して上下方向の任意位置で位置決め可能とするには、例えば、ベース部材120から上方に延び且つ荷台板110を貫くボルトにナットを螺合させておき、回転させることによりボルトに沿って上下方向の適宜の位置に位置決めしたナットに、下側から荷台板110を支持させれば良い。もっとも、荷台板110のベース部材120に対する上下方向での位置決めは、適宜の公知或いは周知技術により適当に行うことができる。荷台板110のベース部材120に対する上下方向での位置決めを可能とする場合には、荷台板110を支持板150に固定する構成は採用しづらいであろう。
なお、ベース部材120と荷台板110との固定はどのようにして行っても良い。例えば、ネジとナットの螺合や溶接等、公知或いは周知の技術によりそれをなすことができる。荷台板110は、支持板150に対して固定されても良い。
【0018】
ベース部材120の
図1、
図2の手前側の短辺には、取付パイプ160が取付けられている。取付パイプ160は、後述するハンドルを台車本体100に対して固定する、これには限られないがこの実施形態では着脱自在に固定するために用いられる。
取付パイプ160は、これには限られないがこの実施形態ではそれらの軸方向が鉛直方向となるようにして、ベース部材120の
図1、
図2の手前側の短辺に両端付近にそれぞれ固定されている。取付パイプ160は、これには限られないが、丸パイプである。取付パイプ160はパイプであるので孔を備えている。その孔の上端も下端も開放されている。
【0019】
ハンドル170は、
図1に示したように、正面視で下が開放された略コの字型のハンドル本体171と、ハンドル本体171の下端よりやや上に水平に取付けられた、水平な板である係止板172とを含んでいる。
ハンドル本体171は、これには限られないが、丸パイプを曲折することによって構成されている。ハンドル本体171の外径は、取付パイプ160の内径に対応している。ハンドル本体171の両下端は、取付パイプ160の中に差し込むことが可能となっている。
ハンドル本体171の両下端を取付パイプ160の中に挿入して、取付パイプ160を貫通させると、ハンドル本体171の下端よりやや上に取付けられた係止板172の下面が、両取付パイプ160の上側の孔の縁に係止される。
それにより、ハンドル170は、台車本体100に対して固定することができる。もちろん、ハンドル170を上側に持ち上げ、ハンドル本体171の両下端を両取付パイプ160から抜けば、ハンドル170は台車本体100から取り外される。
ハンドル170は荷台板110に対して直接、着脱自在に固定されていても良いが、既に述べたように、ベース部材120、取付パイプ160等の他の部材を介して、荷台板110に、着脱自在に取付けられていても良い。もちろん、ハンドル170を台車本体100に対して着脱自在に取付けるための方法はそれこそ幾らでもあるので、同目的を達成するために他の公知或いは周知の構成を採用することももちろん可能である。
【0020】
この実施形態における台車に含まれ、上述した台車本体100に対して着脱自在に取付可能な着脱部材200を、
図3、
図4、
図5にそれぞれ示す。
図3は、着脱部材200の斜視図、
図4は、着脱部材200の
図3におけるA―A端面図、
図5は、台車本体100に対して着脱部材200が取付けられた状態における、着脱部材200に関していえば
図4と同じ位置での、着脱部材200及び荷台板110の端面図である。
着脱部材200は、台車をドル箱置き場として利用する場合に用いられる。
着脱部材200は、これには限られないが平面視で矩形である。着脱部材200は、
図3に示したように、これには限られないが上下方向の幅が等しい4枚の枠板210を備えており、それら4枚の枠板210を組合せることにより、平面視矩形の着脱部材200の外形が形作られている。
矩形に組まれた着脱部材200の内側には、着脱部材200の高さ方向の適宜の位置に位置するようにして、補助板220が取付けられている。
枠板210の下端は、薄い板である補強板250で囲まれており、補強板250の四隅には、クッション部材230が取付けられている。クッション部材230は、ゴムその他の弾性体でできており、矩形に組まれた枠板210の下端の四隅を、保護する役割を担っている。クッション部材230は、公知或いは周知のものでよく、市販のものでも良い。
【0021】
上述した4枚の枠板210及び補助板220の配置により、補助板220の上側には、補助板220の上面を底面とし、且つ4枚の枠板210の補助板220よりも上側の範囲によって囲まれた上向きに開放された穴である上穴200Xが形成されている。また、補助板220の下側には、補助板220の下面を底面とし、且つ4枚の枠板210の補助板220よりも下側の範囲によって囲まれた下向きに開放された穴である下穴200Yが形成されている。
これには限られないが、この実施形態では、4枚の枠板210はすべて、補助板220に対して垂直である。また、この実施形態では、上穴200Xの水平方向の断面と下穴200Yの水平方向の断面とは等しく、平面視した場合、両者は、ぴったりと重なり合う関係にある。もっとも、上穴200Xと下穴200Yの水平方向の断面は必ずしも一致する必要はなく、前者が後者よりも大きいことも、小さいことも許容される。
また、4枚の枠板210はそれぞれ、この限りではないがこの実施形態では一枚物の板とされているが、これはこの限りではない。例えば、4枚の枠板210は、補助板220よりも上の部分と下の部分とで分割されていても構わない。
下穴200Yの水平断面の形状、大きさは、この実施形態では、荷台板110の水平断面の形状、大きさに一致している。したがって、荷台板110に着脱部材200を被せることにより、着脱部材200の下穴200Yの中に、荷台板110の上側の一定範囲(全部でも構わない。)を収めることが可能であり、それにより着脱部材200を、台車本体100の荷台板110に係止させることが可能である(
図5、
図6参照)。そのようにすることにより、着脱部材200は、台車本体100に対して着脱自在に固定することが可能となっている。なお、
図5では、荷台板110が中密であるように示されているが、これは図の簡単のためであり、この実施形態における荷台板110は既に述べたように、中密ではない。また、
図5では、荷台板110と下穴200Yの大きさが一致しているかのような図示を行っているが、これはこの限りではなく、下穴200Yの水平断面の方が荷台板110の水平断面よりも例えば一回り大きくても良い。
上穴200Xは、後述するように、いわゆるドル箱を載置するための置き場として用いられる。上穴200Xの形状、大きさはそれが可能な範囲で決定される。例えば、上穴200Xの長辺は500~600mm程度、短辺は400~500mm程度、深さは60~120mm程度とするのが良い。もちろん、これら数値は、ホールで使用されているドル箱の大きさ等に応じて適宜修正することができる。
補助板220の大きさ、つまり、この実施形態であれば、平面視した場合に4枚の枠板210によって作られる矩形である、平面視した場合の上穴200X及び下穴200Yの水平断面の大きさは、上述したように、荷台板110よりも一回り大きくしてもよい。そうすることによって、着脱部材200の枠板210や補助板220によって、荷台板110の周辺や、後述する発光体周りの配線を隠すことができるようになるので、ドル箱置き場として利用される際の台車の意匠性が上がる。
【0022】
これには限られないが、この実施形態では、4枚の枠板210はいずれも、透明である。例えば、4枚の枠板210が透明である場合、それらは例えば、アクリル板やガラス板により構成することができる。これには限られないが、この実施形態では、4枚の枠板210はいずれもアクリル板である。
4枚の枠板210の下側の端面には、発光体240が設けられている。発光体240は、光を発する機能を有し、発した光が枠板210の下端の端面から枠板210の内部に向かうような態様で、例えば、その発光面を
図3、4、5の上向きとして、枠板210の下側の端面に取付けられている。発光体240は例えば、LED(light emitting diode)や、有機EL(organic electro-luminescence)である。
発光体240は、枠板210の下側の端面のうちの適宜の位置に存在すれば良いが、この実施形態における発光体240は長尺であり、枠板210の下側の端面の全長にわたるようにして配されている。発光体240は、常時発光するようになっていても構わないし、点灯と消灯を繰り返すように点滅するようになっていても構わない。また、発光体240が発する光の色は一色のみでも構わないし、或いは、複数色に光の色が変化するようになっていても構わない。これには限られないが、この実施形態における発光体240は、単色での点滅と、色を変化させながらの点滅との2種類の態様の点滅を、図示を省略のスイッチの操作によって選択することができるようになっている。スイッチは、着脱部材200のいずれかの位置に設けられていても構わないし、着脱部材200外の、例えばリモートコントローラに設けられていても構わない。例えば、無線でそのようなスイッチの切り替えを行う技術は、説明するまでもなく、公知或いは周知である。
発光体240が光ると、発光体240から出た光は、枠板210の内部に入り、一部は枠板210の側面から漏れ出し、大半は、枠板210の上側の端面から射出される。それにより、4つの枠板210はいずれも、少なくともその上側の端面が光ることになり、この実施形態では、それらの側面も幾らか光ることになる。
なお、発光体240を、枠板210の上側の端面の適宜の位置に、例えば、枠板210の上側の端面の長さ方向の全長にわたって取付けることも可能である。そうすることによっても、少なくとも枠板210の上側の端面を光らせることが可能となる。
【0023】
発光体240の電源は、例えば、ホールの壁等に設けられている配線用差込接続器(いわゆるコンセント)による交流電源でも構わないが、台車のどこかに取付けられた可搬のバッテリとするのが便利である。
バッテリは、台車本体100に取付けられていても構わないし、着脱部材200のどこかに取付けられていても構わない。バッテリを台車本体100に取付けるのであれば、台車本体100にはバッテリを取付けられる場所が多いので設計の自由度が高い。とはいえ、バッテリを台車本体100に取付けるのであれば、着脱部材200を台車本体100に取付けた場合に、台車本体100側のバッテリと、着脱部材200側の発光体240とを電気的に接続しなければならないので、そのための工夫、或いはその接続の作業が必要となる。台車本体100に取付けるのであれば、バッテリは、例えば、荷台板110の下面に取付けることが可能である。バッテリを着脱部材200に取付けるのであれば、バッテリと発光体240とを着脱部材200内で予め電気的に接続しておくことが可能となるので、着脱部材200を台車本体100に取付けた場合に、台車本体100側のバッテリと、着脱部材200側の発光体240とを電気的に接続する必要はなくなる。とはいえ、着脱部材200にバッテリを設けるのであれば、バッテリを取付けられる場所はそれ程多くない。着脱部材200に取付けるのであれば、バッテリは、例えば、板状のものとして、補助板220の下面に取付けることが可能である。
【0024】
以上のような台車の使用方法、及び動作について説明する。
まず、台車を文字通り、台車として利用する場合について説明する。
台車を文字通り台車として利用する場合とは、遊技機の入れ替え時において、遊技機の倉庫等からホールへの搬入、或いは遊技機のホールから倉庫等への搬出に利用する場合である。
その場合、台車のうち、台車本体100のみが使用され、着脱部材200は使用されない。台車本体100のみが利用されるときは、着脱部材200は、倉庫等に保管されていても良いし、或いはホールに置いたままとなっていても良い。
ハンドル170が取付けられた状態の台車本体100は一般的な台車として利用可能である。ハンドル170を台車本体100に取付けるには、既に述べたように、ハンドル本体171の両下端を、台車本体100に取付けられた2つの取付パイプ160の中に挿入して、取付パイプ160を貫通させ、係止板172の下面を両取付パイプ160の上側の孔の縁に係止させれば良い。それにより、ハンドル170は、台車本体100に着脱自在に固定される。
【0025】
倉庫等からホールに遊技機を搬入する場合、台車本体100の荷台板110の上に遊技機を載せた状態で、作業者は、ハンドル170を持って台車を押す。キャスター140によって、台車本体100は軽く移動する。
台車本体100が遊技機を取付けるべき島の前に来たら、荷台板110の
図1における手前側の長辺を、島の下板の手前側の辺と対向させた状態のまま、台車本体100を島に向けて押し、荷台板110の
図1における手前側の長辺を、島の下板の手前側の辺に当接させる。このとき、島の手前にある椅子の座面は、台車本体100の下側に入り込む。また、荷台板110の上面は、下板の上面と面一となっている。したがって、遊技機を押す等して、台車本体100の荷台板110の上にあった遊技機を、島の下板の上に移動させることは容易である。そのようにして下板の上に移動させられた遊技機は、公知或いは周知の方法で、島に固定される。
ホールから倉庫等へ遊技機を搬出する場合には、これと逆のことが行われる。まず、島に対する遊技機の固定が解かれる。次いで、荷台板110の
図1における手前側の長辺を、島の下板の手前側の辺と対向させた状態のまま、台車本体100を島に向けて押し、荷台板110の
図1における手前側の長辺を、島の下板の手前側の辺に当接させる。そして、島の下板の上に載っている遊技機を、引く等して台車本体100の荷台板110の上に乗せる。台車本体100の荷台板110の上に遊技機を載せた状態で、作業者は、ハンドル170を持って台車を押して、遊技機を倉庫等へと運ぶ。キャスター140によって、台車本体100は軽く移動する。
【0026】
次いで、台車が、ドル箱置き場として用いられる場合である。
その場合には、台車本体100に対して着脱部材200が着脱自在に固定される。
台車本体100に着脱部材200を着脱自在に固定する作業に前後して、台車本体100からは、ハンドル170が取り除かれる。ハンドル170を台車本体100から除去するには、ハンドル170を上側に持ち上げ、ハンドル本体171の両下端を両取付パイプ160から抜けば良い。取り外されたハンドル170は、例えば、倉庫等で保管すれば良い。倉庫等に保管すべきがハンドル170のみであるなら、そのために必要なスペースは大したことはない。
台車本体100に対する着脱部材200の着脱自在な固定は、着脱部材200の下穴200Yの中に、荷台板110の上側の一定範囲、この実施形態では、荷台板110の全部を収めることにより行われる(
図5、
図6)。下穴200Yの水平断面の形状、大きさは、この実施形態では、荷台板110の水平断面の形状、大きさに一致している。したがって、荷台板110を下穴200Yの中に収めると、両者は係止されることになり、それにより台車本体100に対して着脱部材200が着脱自在に固定されることになる。なお、このような着脱自在な固定が可能なのであれば、下穴200Yの水平断面の形状、大きさが、荷台板110の水平断面の形状、大きさに一致していることは必須ではない。
また、既に述べたように、下穴200Yの水平断面が、平面視した場合の荷台板110よりも一回り大きく、下穴200Yと荷台板110の間に遊びが生じる場合もある。そのような場合であっても、着脱部材200が荷台板110に対して水平方向で一定以上ずれようとした場合には、いずれかの枠板210の内面が荷台板110の側面に干渉する。したがって、着脱部材200は荷台板110から脱落することがない。
台車本体100に対して着脱自在に着脱部材200を取付ける作業は、遊技者が行っても良いが、一般には、ホールの従業者が行う。
【0027】
着脱部材200が取付けられた台車本体100は、例えば、遊技機の、或いは遊技機の前にある椅子の横に置かれ、ドル箱置き場として用いられる。その位置にまでドル箱置き場としての、着脱部材200が取付けられた台車本体100を移動させるのは、遊技者であっても、ホールの従業者であっても構わない。ドル箱置き場としての台車を移動させるときに台車が何かと干渉したとしても、クッション部材230が台車を守る。
遊技者は、遊技機としてのスロット遊技機から排出されたコインを入れた箱であるいわゆるドル箱を、荷台板110の上に位置する上穴200Xに載置して、必要に応じて積み上げる。
他方、スイッチを入れることにより、発光体240が発光する。スイッチの操作は、遊技者が行っても良いし、ホールの従業者が行っても良い。スイッチがなく、発光体240が常時点灯するようになっていても良い。発光体240から出た光は、枠板210の内部に入り、一部は枠板210の側面から漏れ出し、大半は、枠板210の上側の端面から射出される。それにより、4つの枠板210はいずれも、少なくともその上側の端面が光り、この実施形態ではそれらの側面も幾らか光る。この実施形態における発光体240の点灯状態には、単色での点滅と、色を変化させながらの点滅との2種類の態様がある。かかる2種類の点滅は、例えば、この実施形態では、図示を省略のリモートコントローラの操作によって選択される。リモートコントローラの操作も、遊技者によって行われても良いし、ホールの従業者によって行われても良い。
【0028】
遊技機の入替え作業を行うときにおいて、台車本体100が文字通り台車として利用されるとき以外は、この実施形態における台車は、台車本体100と着脱部材200との組合せにより、ドル箱置き場として利用することが可能である。そして、ドル箱置き場として機能する台車は、ホールに置きっぱなしとすることができる。
【0029】
他方、何らかの理由により台車を、台車としても、ドル箱置き場としても利用することが無いのであれば、台車は、
図7に示したようにスタックした状態で、例えば、倉庫等に保管することができる。
台車本体100の脚130は、平面視した場合において、荷台板110の外側で下方に延びるようになっているので、台車本体100は、
図7に示した如きスタックが可能である。
図7では、最も上の台車本体100にのみハンドル170を取付けてあるが、ハンドル170は、可能であれば所望の台車本体100に取付けたままとしても良いし、すべての台車本体100から外しても良い。
【符号の説明】
【0030】
100 台車本体
110 荷台板
120 ベース部材
130 脚
140 キャスター
160 取付パイプ
200 着脱部材
200X 上穴
200Y 下穴
210 枠板
220 補助板
240 発光体