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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056900
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】採光構造及び建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20220404BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
E06B5/00 D
E06B3/70 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164891
(22)【出願日】2020-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】平井 七海
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA10
2E016JA11
2E016KA05
2E016LB11
2E016MA11
2E016NA05
2E016PA03
2E016RA01
(57)【要約】
【課題】建具の美観を損なわない見栄えのよい採光構造及び採光構造を備えた見栄えのよい建具を提供する。
【解決手段】採光構造5は、第1及び第2パネル10,20と透光部材30とを備えている。第1パネル10の第2パネル20との対向面には、上端から下端に亘る凹溝11が形成されている。第2パネル20は、幅方向において第1パネル10に対向する一端に近づく程前後方向の中央に近づくように幅方向に対して傾斜した前後面21a,21bを有し、凹溝11内に収容される先端部分21と、先端部分21の他端に連続し、幅方向において先端部分21の他端に連続する一端に近づく程前後方向の中央に近づくように幅方向に対して先端部分21の前後面21a,21bよりも緩やかな傾斜角度で傾斜した前後面22a,22bを有する傾斜部分22とを有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を空けて建具の幅方向に並ぶ第1及び第2パネル体と、該第1及び第2パネル体に架け渡された透光部材とを備え、前後方向に光を透過させる建具の採光構造であって、
上記第1パネル体は、上記第2パネル体との対向面に上端から下端に亘る凹溝が形成され、
上記第2パネル体は、
上記幅方向において上記第1パネル体に対向する一端に近づく程前後方向の中央に近づくように上記幅方向に対して傾斜した前面及び後面を有し、上記凹溝内に収容される先端部分と、
上記先端部分の他端に連続し、上記幅方向において上記先端部分の他端に連続する一端に近づく程前後方向の中央に近づくように上記幅方向に対して上記先端部分の前面及び後面よりも緩やかな傾斜角度で傾斜した前面及び後面を有する傾斜部分とを有している
ことを特徴とする採光構造。
【請求項2】
請求項1に記載の採光構造において、
上記傾斜部分は、上記先端部分よりも上記幅方向の長さが長い
ことを特徴とする採光構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の採光構造において、
上記凹溝は、上記幅方向において溝底に近づく程溝幅が狭くなるように上記幅方向に対して傾斜した前側内側面及び後側内側面を有し、
上記傾斜部分は、前面が上記幅方向に対して上記凹溝の前側内側面よりも緩やかな傾斜角度で傾斜し、後面が上記幅方向に対して上記凹溝の後側内側面よりも緩やかな傾斜角度で傾斜し、
上記先端部分は、前面が上記幅方向に対して上記凹溝の前側内側面よりも急な傾斜角度で傾斜し、後面が上記幅方向に対して上記凹溝の後側内側面よりも急な傾斜角度で傾斜している
ことを特徴とする採光構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の採光構造において、
上記透光部材の上記先端部分と上記凹溝の底部との間の部分には、上下方向に延びる空洞が形成されている
ことを特徴とする採光構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の採光構造を備えた建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具の採光構造及び採光構造を備えた建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、扉等の建具の中には、建具で仕切られる一方側の空間から他方側の空間へ(例えば、室内から廊下等へ)光を透過させるために採光構造を備えるものがある(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1の図12Aには、左右に間隔を空けて配置された2つのパネル間の開口に板状の透光部材を設け、前後方向の一方側から他方側へ光が透過するように構成されたドアが開示されている。上記ドアでは、2つのパネルの開口側端部の一方を開口に向かって突出する凸部、他方を開口とは逆側に凹む凹溝に形成し、凸部の先端を凹溝内に挿入することにより、採光は可能にするものの、ドアに対峙した人が開口を介してドアの反対側を視認することができないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-23799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ドアの採光構造では、2つのパネルの対向面が互いに平行なV字形状に形成されている。そのため、ドアの開口付近を斜めから覗き込むと、凹溝の底部まで視線が通るため、透光部材が見えてしまい、外観の美観を損なう虞があった。また、上記採光構造では、凸部の前後面が幅方向に対して比較的大きな傾斜角度で傾斜するものであるため、パネルの扁平な本体部に連続する凸部の基端部分は角張っている。また、上記採光構造では、凹溝には凸部の先端のみが挿入され、角張った凸部の基端部分は露出している。そのため、上記採光構造では、光を透過させる際に、凸部の角張った基端部分によってドアの前後面に影が差し、外観の美観を損なう虞があった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、建具の美観を損なわない見栄えのよい採光構造及び採光構造を備えた見栄えのよい建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、第2パネル体の先端部分を、幅方向において第1パネル体に近づく程前後方向の幅が狭くなる先細り形状とし、先端部分の基端側に先端部分よりも緩やかに先細る傾斜部分を連続させることにより、先端部分が第1パネル体の凹溝内に収容されるように構成した。
【0008】
具体的には、第1の発明は、間隔を空けて建具の幅方向に並ぶ第1及び第2パネル体と、該第1及び第2パネル体に架け渡された透光部材とを備え、前後方向に光を透過させる建具の採光構造を前提とするものである。
【0009】
そして、第1の発明は、上記第1パネル体は、上記第2パネル体との対向面に上端から下端に亘る凹溝が形成され、上記第2パネル体は、上記幅方向において上記第1パネル体に対向する一端に近づく程前後方向の中央に近づくように上記幅方向に対して傾斜した前面及び後面を有し、上記凹溝内に収容される先端部分と、上記先端部分の他端に連続し、上記幅方向において上記先端部分の他端に連続する一端に近づく程前後方向の中央に近づくように上記幅方向に対して上記先端部分の前面及び後面よりも緩やかな傾斜角度で傾斜した前面及び後面を有する傾斜部分とを有していることを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明では、第2パネル体に、第1パネル体の凹溝に収容される先細り形状の先端部分に連続し、該先端部分の前後面よりも幅方向に対して緩やかな傾斜角度で傾斜した前後面を有して緩やかに先細る傾斜部分を設けることとしている。このように、第2パネル体に先端部分よりも緩やかに先細る傾斜部分を設けることにより、第1及び第2パネル体の間を斜めから覗き込んでも、第2パネル体の先端(先端部分の先端)が見え難くなり、第1及び第2パネル体に架け渡された透光部材が見え難くなる。よって、第1の発明によれば、従来の採光構造よりも外観の意匠性を向上させることができる。
【0011】
また、第1の発明では、従来の採光構造のように、幅方向に対して急な傾斜角度で傾斜した前後面を有する先端部分を第2パネル体の扁平な本体部に連続させるのではなく、幅方向に対して先端部分の前後面よりも緩やかな傾斜角度で傾斜する前後面を有する傾斜部分を先端部分に連続させることとしている。このように先端部分の他端に先細り形状の傾斜部分を設けることにより、先端部分全体を凹溝内に収容することが可能になり、先端部分と傾斜部分との角張った接続部分が正面から見えなくなる。従って、第1の発明によれば、従来の採光構造のように、第2パネル体の先端部分の角張った基端部分が見えず、幅方向に対して緩やかに傾斜する前後面を有する傾斜部分によって建具の前後面が段差のない平らな形状に見え、従来の採光構造よりも外観の意匠性を向上させることができる。
【0012】
以上により、第1の発明によれば、建具の美観を損なうことのない見栄えのよい採光構造を提供することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記傾斜部分は、上記先端部分よりも上記幅方向の長さが長いことを特徴とするものである。
【0014】
第2の発明では、傾斜部分を先端部分よりも幅広に形成して光を取り込む開口の幅を広くすることにより、効率よく光を取り込むができる。また、傾斜部分を幅広に形成することにより、傾斜部分の前後面の幅方向に対する傾斜角度がより緩やかになるため、建具の前後面がより段差のない平らな形状に見える。つまり、第2の発明によれば、外観の意匠性をより向上させることができる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記凹溝は、上記幅方向において溝底に近づく程溝幅が狭くなるように上記幅方向に対して傾斜した前側内側面及び後側内側面を有し、上記傾斜部分は、前面が上記幅方向に対して上記凹溝の前側内側面よりも緩やかな傾斜角度で傾斜し、後面が上記幅方向に対して上記凹溝の後側内側面よりも緩やかな傾斜角度で傾斜し、上記先端部分は、前面が上記幅方向に対して上記凹溝の前側内側面よりも急な傾斜角度で傾斜し、後面が上記幅方向に対して上記凹溝の後側内側面よりも急な傾斜角度で傾斜していることを特徴とするものである。
【0016】
第3の発明では、凹溝が溝底に近づく程溝幅が狭くなる先細り形状に形成され、傾斜部分の前後面が、幅方向に対して凹溝の対応する内側面よりも緩やかな傾斜角度で傾斜するように形成されている。このように傾斜部分の前後面を、凹溝の内側面よりも緩やかな傾斜角度で幅方向に対して傾斜させることにより、第1及び第2パネル体の間を斜めから覗き込んだ際に、凹溝の底部が見えなくなり、第1及び第2パネル体に架け渡された透光部材がより見え難くなる。よって、第3の発明によれば、外観の意匠性をより向上させることができる。
【0017】
また、第3の発明では、先端部分の前後面が、幅方向に対して凹溝の対応する内側面よりも急な傾斜角度で傾斜するように形成されている。このように先端部分の前後面を、凹溝の内側面よりも急な傾斜角度で幅方向に対して傾斜させることにより、先端部分の幅を凹溝の深さよりも短く形成することができる。よって、凹溝を従来よりも深くすることなく、凹溝内に透光部材の設置スペースを確保しつつ、先端部分全体が凹溝内に収容されるように第2パネル体を配置することが可能になる。従って、第3の発明によれば、凹溝を従来よりも深くすることなく、第2パネル体の先端部分の角張った基端部分が見えない見栄えのよい採光構造を提供することができる。
【0018】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、上記透光部材の上記先端部分と上記凹溝の底部との間の部分には、上下方向に延びる空洞が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
第4の発明では、透光部材の先端部分と凹溝の底部との間の部分が、中空に形成されている。透光部材をこのように形成することにより、透光部材の材料を軽減することができるため、製造コストを低減することができる。また、透光部材に形成された空洞により、透光部材を透過する光が集束、拡散され、効率よく光を透過させることができる。
【0020】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明に係る採光構造を備えた建具である。
【0021】
第5の発明によれば、建具の美観を損なうことのない見栄えのよい採光構造を備えた建具を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明した如く、本発明によると、第2パネル体の先端部分を、幅方向において第1パネル体に近づく程前後方向の幅が狭くなる先細り形状とし、先端部分の基端側に先端部分よりも緩やかに先細る傾斜部分を連続させることにより、先端部分が第1パネル体の凹溝内に収容されるように構成したため、建具の美観を損なわない見栄えのよい採光構造及びそのような採光構造を備えた建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態1のドアの正面図である。
図2図2は、図1のII-II線断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態2の採光構造を拡大して示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0025】
以下では、本発明に係る採光構造を備えた建具の一例として、採光構造を備えたドアについて説明する。
【0026】
《発明の実施形態1》
図1に示すように、ドア(建具)1は、建物の例えば間仕切り壁等の開口部に施工される。以下では、説明の便宜上、ドア1によって仕切られる2つの空間の一方側(図1の紙面直行方向の手前側)を「前」、他方側(図1の紙面に直行する方向の奥側)を「後」、図1に示すドア1を前側から見たときの上側、下側、左側、右側を、それぞれ「上」、「下」、「左」、「右」として説明する。また、「幅方向」とは、ドア1の幅方向(左右方向)を意味する。
【0027】
-ドアの概略構成-
図1に示すように、ドア1は、幅方向に間を空けて設けられた矩形状の第1パネル10及び第2パネル20を備えている。
【0028】
図2に示すように、第1パネル10及び第2パネル20は、複数の角材を矩形枠状に組み立てた芯材2と、枠状の芯材2の外面を覆う化粧材3とを有している。第1パネル10及び第2パネル20は、芯材2と化粧材3とによって中空の所謂フラッシュパネルに構成されている。また、本実施形態1では、第1パネル10及び第2パネル20は、芯材2と化粧材3とが木質材料で形成される木質パネルである。
【0029】
図1に示すように、左側の第1パネル10には、上下方向の中程の部分に取手4が取り付けられている。図2に示すように、第2パネル20は、第1パネル10の右側に間隔を空けて、前面20a及び後面20bが、それぞれ第1パネル10の前面10a及び後面10bと面一になるように設けられている。
【0030】
第1パネル10及び第2パネル20の間には、後述する採光構造5の透光部材30が架け渡されている。また、本実施形態1では、第1パネル10及び第2パネル20は、上端面及び下端面にそれぞれ固定された連結部材6によって連結されている。連結部材6は、本実施形態1では、アングルによって構成されている。なお、第1パネル10及び第2パネル20は、両パネル10,20に架け渡される透光部材30が両パネル10,20に接着剤7を介して接着されることによっても固定されている。
【0031】
-採光構造の構成-
図2に示すように、ドア1は、採光構造5を備えている。採光構造5は、ドア1の一部である第1パネル10及び第2パネル20と、第1パネル10及び第2パネル20に架け渡された透光部材30とを備えている。
【0032】
第1パネル10の第2パネル20との対向端面である右側面(芯材2の右端面)には、幅方向において第2パネル20とは反対側(左側)に凹む凹溝11が形成されている。凹溝11は、第1パネル10の上端から下端に亘って延びている。凹溝11は、幅方向において溝底に近づく程溝幅(前後方向の幅)が狭くなるように幅方向に対して傾斜した前側内側面11a及び後側内側面11bを有し、V字形状の横断面を有している。凹溝11の前側内側面11a及び後側内側面11bは、幅方向に対して20~40度の角度で傾斜している。
【0033】
また、第1パネル10(芯材2)の凹溝11の溝底部分には、幅方向において第2パネル20とは反対側(左側)にさらに凹む嵌合溝12が形成されている。嵌合溝12は、第1パネル10の上端から下端に亘って延びている。嵌合溝12は、矩形状の横断面を有している。
【0034】
第2パネル20は、先端部分21と、傾斜部分22と、本体部分23とを有している。先端部分21と傾斜部分22と本体部分23とは、左側から右側へ幅方向に連続して形成されている。
【0035】
先端部分21は、第2パネル20の第1パネル10に対向する一端(左端)側の端縁部分であり、幅方向において一端に近づく程前後方向の幅が狭くなる(厚さが薄くなる)先細り形状に形成されている。具体的には、先端部分21は、幅方向において一端に近づく程前後方向の中央に近づくように幅方向に対して傾斜した前面21a及び後面21bを有し、先細り形状に形成されている。先端部分21は、先端から基端まで全体が第1パネル10に形成された凹溝11内に収容されるように設けられている。
【0036】
先端部分21の前面21aは、幅方向に対して凹溝11の前側内側面11aよりも急な傾斜角度で傾斜している。また、先端部分21の後面21bは、幅方向に対して凹溝11の後側内側面11bよりも急な傾斜角度で傾斜している。具体的には、先端部分21の前面21a後面21bは、幅方向に対して40~60度の角度で傾斜している。
【0037】
傾斜部分22は、先端部分21の他端(右端)に連続する部分であり、幅方向において先端部分21側の一端(左端)に近づく程前後方向の幅が狭くなる(厚さが薄くなる)先細り形状に形成されている。具体的には、傾斜部分22は、幅方向において一端に近づく程前後方向の中央に近づくように幅方向に対して傾斜した前面22a及び後面22bを有し、先細り形状に形成されている。傾斜部分22は、先端部分21よりも幅方向(左右方向)の長さが長い。具体的には、傾斜部分22は、先端部分21の幅長さの2~15倍の幅長さに形成されている。
【0038】
傾斜部分22の前面22a及び後面22bは、それぞれ先端部分21の前面21a及び後面21bよりも緩やかな傾斜角度で幅方向に対して傾斜している。また、傾斜部分22の前面22a及び後面22bは、それぞれ凹溝11の前側内側面11a及び後側内側面11bよりも緩やかな傾斜角度で幅方向に対して傾斜している。具体的には、傾斜部分22の前面22a後面22bは、幅方向に対して10~20度の角度で傾斜している。
【0039】
また、傾斜部分22は、先端部分21に連続する一端(左端)の前後方向の長さ(厚さ)が、第1パネル10及び第2パネル20を連結する連結部材6の前後方向の長さ(幅)よりも大きくなるように形成されている。
【0040】
本体部分23は、傾斜部分22の他端(右端)に連続する部分であり、扁平な形状に形成されている。つまり、本体部分23は、幅方向に対して傾斜することなく幅方向に平行な前面23a及び後面23bを有している。
【0041】
以上のように連続する先端部分21と傾斜部分22と本体部分23とによって構成される第2パネル20の第1パネル10との対向端面(芯材2の左端面)には、幅方向において第1パネル10とは反対側(右側)に凹む嵌合溝24が形成されている。嵌合溝24は、第2パネル20の上端から下端に亘って延びている。嵌合溝24は、矩形状の横断面を有している。
【0042】
透光部材30は、透明な樹脂材料によって形成された矩形状の板状部材である。透光部材30は、上下方向の長さが、第1パネル10及び第2パネル20の上下方向の高さと略等しい長さに形成されている。透光部材30は、第1パネル10と第2パネル20とに架け渡されている。具体的には、透光部材30は、幅方向において第1パネル10側の一端が、第1パネル10の嵌合溝12に挿入され、第2パネル20側の他端が、第2パネル20の嵌合溝24に挿入された状態で、第1パネル10及び第2パネル20に接着剤7を介して固定されている。
【0043】
-採光構造の作用-
次に、採光構造5の作用について説明する。以下では、一例として、採光構造5が、ドア1の後側から前側に光を透過させる場合について説明する。
【0044】
ドア1の後側の空間で発せられた光は、ドア1の後面における第1パネル10と第2パネル20との間の開口8bから、第1パネル10の凹溝11の後側内側面11bと第2パネル20の先端部分21及び傾斜部分22の後面21b,22bとの間に形成される後側透光路9bに進入する。後側透光路9bに進入した光は、透光部材30の後面30bから透光部材30に入射する。透光部材30に入射した光は、透光部材30の内部で反射しながら前側へ進み、透光部材30の前面30aから前方に出射し、第1パネル10の凹溝11の前側内側面11aと第2パネル20の先端部分21及び傾斜部分22の前面21a,22aとの間に形成される前側透光路9aに進入する。前側透光路9aに進入した光は、ドア1の前面における第1パネル10と第2パネル20との間の開口8aからドア1の前側の空間に進む。
【0045】
以上のようにして、採光構造5は、ドア1の後側から前側へ光を透過させる。このとき、ドア1を前側から見た人には、開口8aの一端部が上端から下端に亘って線状に発光しているように見える。
【0046】
-実施形態1の効果-
本実施形態1の採光構造5では、第2パネル20に、第1パネル10の凹溝11に収容される先細り形状の先端部分21に連続し、該先端部分21の前後面21a,21bよりも幅方向に対して緩やかな傾斜角度で傾斜した前後面22a,22bを有して緩やかに先細る傾斜部分22を設けることとしている。このように、第2パネル20に先端部分21よりも緩やかに先細る傾斜部分22を設けることにより、第1及び第2パネル10,20の間を斜めから覗き込んでも、第2パネル20の先端(先端部分21の先端)が見え難くなり、第1及び第2パネル10,20に架け渡された透光部材30が見え難くなる。よって、本実施形態1の採光構造5によれば、従来の採光構造よりも外観の意匠性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態1の採光構造5では、従来の採光構造のように、幅方向に対して急な傾斜角度で傾斜した前後面21a,21bを有する先端部分21を第2パネル20の扁平な本体部分23に連続させるのではなく、幅方向に対して先端部分21の前後面21a,21bよりも緩やかな傾斜角度で傾斜する前後面22a,22bを有する傾斜部分22を先端部分21に連続させることとしている。このように先端部分21の他端に先細り形状の傾斜部分22を設けることにより、先端部分21全体を凹溝11内に収容することが可能になり、先端部分21と傾斜部分22との角張った接続部分が正面から見えなくなる。従って、本実施形態1の採光構造5によれば、従来の採光構造のように、第2パネル20の先端部分21の角張った基端部分が見えず、幅方向に対して緩やかに傾斜する前後面22a,22bを有する傾斜部分22によってドア1の前後面が段差のない平らな形状に見え、従来の採光構造よりも外観の意匠性を向上させることができる。
【0048】
以上により、本実施形態1によれば、ドア1の美観を損なうことのない見栄えのよい採光構造5を提供することができる。
【0049】
また、本実施形態1の採光構造5では、傾斜部分22を先端部分21よりも幅広に形成して光を取り込む開口8a,8bの幅を広くすることにより、効率よく光を取り込むができる。また、傾斜部分22を幅広に形成することにより、傾斜部分22の前後面22a,22bの幅方向に対する傾斜角度がより緩やかになるため、ドア1の前後面がより段差のない平らな形状に見える。つまり、本実施形態1の採光構造5によれば、外観の意匠性をより向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態1の採光構造5では、凹溝11が溝底に近づく程溝幅が狭くなる先細り形状に形成され、傾斜部分22の前後面22a,22bが、幅方向に対して凹溝11の対応する内側面11a,11bよりも緩やかな傾斜角度で傾斜するように形成されている。従来の採光構造のように、傾斜部分22の前後面22a,22bが凹溝11の内側面11a,11bに平行な面で構成されていると、第1及び第2パネル10,20の間を斜めから覗き込んだ際に、凹溝11の底部まで視線が通るが、上述のように傾斜部分22の前後面22a,22bを、凹溝11の内側面11a,11bよりも緩やかな傾斜角度で幅方向に対して傾斜させることにより、第1及び第2パネル10,20の間を斜めから覗き込んでも、凹溝11内の傾斜部分22の前後面22a,22bを凹溝11の溝底側に延長させた延長面間の部分が見えなくなる。よって、第1及び第2パネル10,20に架け渡された透光部材30がより見えなくなる。従って、本実施形態1の採光構造5によれば、外観の意匠性をより向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態1の採光構造5では、先端部分21の前後面21a,21bが、幅方向に対して凹溝11の対応する内側面11a,11bよりも急な傾斜角度で傾斜するように形成されている。このように先端部分21の前後面21a,21bを、凹溝11の内側面11a,11bよりも急な傾斜角度で幅方向に対して傾斜させることにより、先端部分21の幅を凹溝11の深さよりも短く形成することができる。よって、凹溝11を従来よりも深くすることなく、凹溝11内に透光部材30の設置スペースを確保しつつ、先端部分21全体が凹溝11内に収容されるように第2パネル20を配置することが可能になる。従って、本実施形態1の採光構造5によれば、凹溝11を従来よりも深くすることなく、第2パネル20の先端部分21の角張った基端部分が見えない見栄えのよい採光構造5を提供することができる。
【0052】
また、本実施形態1によれば、ドア1の美観を損なうことのない採光構造5を備えた見栄えのよいドア1を提供することができる。
【0053】
また、本実施形態1によれば、傾斜部分22は、先端部分21に連続する一端(左端)の前後方向の長さ(厚さ)が、第1パネル10及び第2パネル20を連結する連結部材6の前後方向の長さ(幅)よりも大きくなるように形成されている。第2パネル20をこのように構成することにより、第1及び第2パネル10,20の間を斜めから覗き込んでも、第1及び第2パネル10,20の上端面及び下端面を連結するように設けられた連結部材6が見えてしまうことがない。このような構成によっても見栄えのよい採光構造5及び見栄えのよいドア1を提供することができる。
【0054】
《発明の実施形態2》
図3に示すように、実施形態2は、実施形態1の採光構造5の一部を変更したものである。以下では、実施形態1と異なる部分についてのみ詳細に説明し、実施形態1と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0055】
-実施形態1と異なる構成-
実施形態2においても、第1パネル10及び第2パネル20は、複数の角材を矩形枠状に組み立てた芯材2と、枠状の芯材2の外面を覆う化粧材3とを有している。実施形態2では、芯材2が、樹脂を射出成形することによって形成され、第1パネル10及び第2パネル20の左右側面及び上下端面が、化粧材3ではなく、芯材2の端面によって形成されている。実施形態2では、芯材2の前面及び後面には浅い溝が形成され、該溝に化粧材3が嵌め込まれて固定され、芯材2と化粧材3の前後面が面一になっている。
【0056】
また、実施形態2では、凹溝11の横断面形状が実施形態1と異なる。実施形態2では、凹溝11は、実施形態1と同様に、幅方向において溝底に近づく程溝幅(前後方向の幅)が狭くなるように幅方向に対して傾斜した前側内側面11a及び後側内側面11bを有する一方、底部の形状が実施形態1と異なり、底部が湾曲面で構成されている。また、実施形態2では、実施形態1において凹溝11の溝底部分に形成されていた嵌合溝12が形成されていない。
【0057】
実施形態2では、透光部材30の形状が実施形態2と異なる。実施形態2では、透光部材30は、幅方向において第1パネル10側の一端面が凹溝11の底部の湾曲面に沿う湾曲面で構成されている。また、透光部材30は、幅方向の第1パネル10側の一端部が実施形態1よりも前後方向の長さ(厚さ)が大きくなるように形成されると共に、幅方向の一端から他端に向かって前後方向の長さ(厚さ)が小さくなるように形成されている。透光部材30は、幅方向において第1パネル10側の一端が凹溝11の底部に当接し、第2パネル20側の他端が、第2パネル20の嵌合溝24に挿入された状態で、第1パネル10及び第2パネル20に接着剤(図示省略)を介して固定されている。
【0058】
また、実施形態2では、透光部材30の第2パネル20の先端部分21と第1パネル10の凹溝11の底部との間に設けられる肉厚の部分には、上下方向に延びる空洞31が形成されている。空洞31は、透光部材30の上端から下端に亘って形成されている。
【0059】
さらに、実施形態2では、透光部材30は、芯材2と同様に、樹脂を射出成形することによって形成されている。
【0060】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0061】
-実施形態2の効果-
実施形態2の採光構造5によっても、実施形態1の採光構造5と同様の効果を奏することができる。そして、実施形態2によっても、実施形態1と同様に、ドア1の美観を損なうことのない見栄えのよい採光構造5及びそのような採光構造5を備えた見栄えのよいドア1を提供することができる。
【0062】
また、実施形態2では、透光部材30の凹溝11の溝底に近い厚肉部分に空洞31が形成され、中空に形成されている。透光部材30をこのように形成することにより、透光部材30の材料を軽減することができるため、製造コストを低減することができる。また、透光部材30に形成された空洞31により、透光部材30を透過する光が集束、拡散され、効率よく光を透過させることができる。
【0063】
さらに、実施形態2によれば、樹脂を射出成形することによって芯材2と透光部材30とを形成することとした。そのため、効率よく光を透過させるために芯材2及び透光部材30を複雑な形状にしても容易に形成することができる。
【0064】
《その他の実施形態》
上記実施形態1,2では、本発明に係る建具の一例として、採光構造5を備えたドア1について説明した。しかしながら、本発明に係る建具は、ドア1に限られない。本発明に係る採光構造5は、引戸や吊戸に適用してもよい。つまり、本発明に係る建具は、引戸や吊戸であってもよい。
【0065】
また、上記本実施形態1,2では、第2パネル20が、先端部分21と先端部分21に連続する傾斜部分22とを有し、平面視において幅方向の一端に向かって2段階に先細る形状に形成されていた。しかしながら、本発明に係る採光構造5は、第2パネル20が、先端部分21と傾斜部分22とを有するものであればよく、傾斜部分22と本体部分23との間に、傾斜部分22の前後面22a,22bよりも緩やかな傾斜角度で幅方向に対して傾斜する先細り形状の第2傾斜部分を有し、3段階に先細る形状に形成されていてもよい。
【0066】
また、透光部材30の形状は、実施形態1,2の形状に限られない。透光部材30は、第1及び第2パネル10,20の間を斜めから覗き込んでも、見えない程度であれば、実施形態1,2の透光部材30よりも分厚く形成されていてもよい。
【0067】
また、上記実施形態1,2では、本発明に係る採光構造を構成する2つのパネル体が、ドア(建具)1を構成する第1パネル10及び第2パネル20で構成されていたが、本発明に係る採光構造を構成する2つのパネル体は、ドア(建具)1の一部を構成するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、建具の採光構造及び採光構造を備えた建具に有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 ドア(建具)
5 採光構造
10 第1パネル(第1パネル体)
11 凹溝
11a 前側内側面
11b 後側内側面
20 第2パネル(第2パネル体)
21 先端部分
21a 前面
21b 後面
22 傾斜部分
22a 前面
22b 後面
30 透光部材
31 空洞
図1
図2
図3