(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056904
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】屋外用照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 23/00 20150101AFI20220404BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20220404BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220404BHJP
F21S 8/08 20060101ALI20220404BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220404BHJP
【FI】
F21V23/00 110
G08B21/00 A
H04Q9/00 311K
F21S8/08
F21S2/00 612
F21V23/00 140
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164897
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】松井 隆明
(72)【発明者】
【氏名】粟屋 直之
【テーマコード(参考)】
3K014
5C086
5K048
【Fターム(参考)】
3K014AA01
5C086AA48
5C086AA60
5C086CB40
5C086DA10
5C086GA01
5K048BA07
5K048BA34
5K048DA07
5K048EB13
(57)【要約】
【課題】作業員の点検作業の負担を軽減することができる屋外用照明装置を提供する。
【解決手段】屋外用照明装置は、所定箇所に取り付けられる屋外用照明装置の取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含む取付状態を示すデータを検出するセンサを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定箇所に取り付けられる屋外用照明装置の取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含む取付状態を示すデータを検出するセンサを備える屋外用照明装置。
【請求項2】
前記センサが検出したデータを記憶する記憶部を備える請求項1に記載の屋外用照明装置。
【請求項3】
前記センサが検出したデータ又は前記記憶部に記憶したデータを上位装置へ出力する出力部を備える請求項2に記載の屋外用照明装置。
【請求項4】
上位装置から取付状態の許容データを取得する取得部と、
前記センサが検出したデータが前記許容データを超えた場合、異常を通知する通知部と
を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の屋外用照明装置。
【請求項5】
前記許容データは、許容角度を含み、
前記通知部は、
前記センサが検出した、前記屋外用照明装置の取付状態により定まる方向と、基準方向との間の角度が前記許容角度を超えた場合、異常を通知する請求項4に記載の屋外用照明装置。
【請求項6】
前記許容データは、許容振動量を含み、
前記通知部は、
前記センサが検出した、前記屋外用照明装置の振動が前記許容振動量を超えた場合、異常を通知する請求項4又は請求項5に記載の屋外用照明装置。
【請求項7】
前記許容データは、許容変位量を含み、
前記通知部は、
前記センサが検出した、前記屋外用照明装置の落下方向の変位が前記許容変位量を超えた場合、異常を通知する請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の屋外用照明装置。
【請求項8】
前記通知部は、
前記上位装置からの監視指令に基づいて、異常を通知する請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の屋外用照明装置。
【請求項9】
前記センサは、3軸加速度センサ、ジャイロセンサ又は6軸センサの少なくとも1つを含む請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の屋外用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、灯具と支持部とを備え、道路や公園など屋外での使用が想定される屋外照明が開示されている。また、特許文献2には、道路等に設置され、監視カメラを備える屋外照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-158985号公報
【特許文献2】特開2016-72203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2のような屋外用照明装置は、屋外の支柱や壁などの所定箇所に取り付ける際に、LEDなどの光源の向きが所定の方向になるように屋外用照明装置の取付位置を調整している。その後、定期点検等の際に作業員が緩み等による取付状態の異常を目視・触診によって個々に点検するため、点検作業の負担が大きいという問題がある。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、作業員の点検作業の負担を軽減することができる屋外用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態に係る屋外用照明装置は、所定箇所に取り付けられる屋外用照明装置の取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含む取付状態を示すデータを検出するセンサを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、屋外用照明装置の点検作業を行う作業員の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態の屋外用照明装置に用いられる通信システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】親端末装置及び子端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】屋外用照明装置の内部の要部構成の一例を示す側面図である。
【
図4】屋外用照明装置の内部の要部構成の一例を示す平面図である。
【
図5】屋外用照明装置の設置の一例を示す模式図である。
【
図6】屋外用照明装置の取付状態の異常の検出方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態の屋外用照明装置に用いられる通信システムの構成の一例を示す模式図である。通信システムは、上位装置200、変換装置210、中継システム250及び屋外用照明装置100などを備える。中継システム250は、親端末装置260及び子端末装置270を備える。上位装置200は、中継システム250及び屋外用照明装置100へ出力する信号を生成し、通信システム全体を制御する機能を備える。上位装置200は、複数の親端末装置260、子端末装置270及び屋外用照明装置100それぞれの端末IDを保持しており、各端末に共有の指令、あるいは各端末固有の指令を含む信号を生成することができる。上位装置200と変換装置210との間は、例えば、LANなどの通信ネットワークによって接続されている。上位装置200は、生成した信号を変換装置210へ出力する。
【0010】
変換装置210は、プロトコル変換機能を備え、上位装置200から取得した信号を、シリアル通信のプロトコルに変換し、変換した信号を信号線1へ送出する。なお、本明細書では、シリアル通信を、RS-485規格の通信として説明するが、RS-485規格に限定されない。
【0011】
信号線1上には、変換装置210側から、順番に、中継システム250(親端末装置260及び子端末装置270)、複数の屋外用照明装置100、中継システム250、複数の屋外用照明装置100、中継システム250、複数の屋外用照明装置100、…の如く並んで配置されている。RS-485規格の場合、1番目の中継システム250の親端末装置から2番目の中継システム250の子端末装置までの台数が所定台数(例えば、32台)以下である必要があり、同様に、2番目の中継システム250の親端末装置から3番目の中継システム250の子端末装置までの台数が所定台数(例えば、32台)以下である必要がある。別言すれば、隣り合う中継システム250の間には、28台の屋外用照明装置100を配置することができる。子端末装置270は、親端末装置260が信号を中継することができないときのバックアップとして機能する。
【0012】
屋外用照明装置100は、信号線1及び変換装置210を介して上位装置200との間でデータや情報の送受信を行うことができる。
図1では、便宜上、屋外用照明装置100に電力を供給する電力線は図示していない。本明細書において、「屋外用」とは、「屋内用」ではないという意味であり、「半屋外」を含むものとする。
【0013】
図2は親端末装置260及び子端末装置270の構成の一例を示すブロック図である。親端末装置260は、装置全体を制御する親制御部としての制御部263、第1親チャネル261、第2親チャネル262、バッファ264及び送受信部265を備える。子端末装置270は、装置全体を制御する子制御部としての制御部273、第1子チャネル271、第2子チャネル272、バッファ274、送受信部275及び検知部276を備える。
【0014】
第1親チャネル261には、入力側信号線1(変換装置210側の信号線1)が接続され、第2親チャネル262には、出力側信号線1が接続されている。すなわち、第1親チャネル261と第2親チャネル262との間で信号線1は見かけ上分断されている。
【0015】
送受信部265は、第1親チャネル261に入力された信号を受信する。制御部263は、受信された信号を所定形式のデータに変換してバッファ264の入力バッファ(不図示)に保持する。制御部263は、入力バッファに保持されたデータをバッファ264の出力バッファ(不図示)に保持し、出力バッファに保持したデータをRS-485規格の信号に変換して送受信部265へ出力する。送受信部265は、変換された信号を取得し、取得した信号を、第2親チャネル262を介して出力側信号線1へ送出する。なお、RS-485と所定形式との間の変換を送受信部265で行ってもよい。
【0016】
上述のように、制御部263は、第1親チャネル261から信号を取得すると、取得した信号と同じ信号を生成して第2親チャネル262から出力することができる。親端末装置260の第1親チャネル261に接続される入力側信号線には、親端末装置260を含めて上限台数(RS-485の場合、32台)の端末装置(屋外用照明装置100及び中継システム250)を接続できる。また、親端末装置260の第2親チャネル262に接続される出力側信号線にも、親端末装置260を含めて上限台数(RS-485の場合、32台)の端末装置(屋外用照明装置100及び中継システム250)を接続できる。
【0017】
すなわち、親端末装置260を経由して上限台数を超える端末装置を接続することができる。また、上限台数の端末装置が接続された端末装置群を複数必要となるような通信システムにおいて、上位装置200から端末装置群毎に信号線を配線する必要がないので、配線コストを低減できる。
【0018】
第1子チャネル271には、入力側信号線1(変換装置210側の信号線1)が接続され、第2子チャネル272には、出力側信号線1が接続されている。すなわち、第1子チャネル271と第2子チャネル272との間で信号線1は見かけ上分断されている。
【0019】
送受信部275は、第1子チャネル271に入力された信号を受信する。制御部273は、受信された信号を所定形式のデータに変換してバッファ274の入力バッファ(不図示)に保持する。制御部273は、入力バッファに保持されたデータをバッファ274の出力バッファ(不図示)に保持し、出力バッファに保持したデータをRS-485規格の信号に変換して送受信部275へ出力する。送受信部275は、変換された信号を取得し、取得した信号を、第2子チャネル272を介して出力側信号線1へ送出することができる。なお、RS-485と所定形式との間の変換を送受信部275で行ってもよい。
【0020】
上述のように、制御部273は、第1子チャネル271から信号を取得すると、取得した信号と同じ信号を生成して第2子チャネル272から出力することができる。子端末装置270の第1子チャネル271に接続される入力側信号線には、子端末装置270を含めて上限台数(RS-485の場合、32台)の端末装置(屋外用照明装置100及び中継システム250)を接続できる。また、子端末装置270の第2子チャネル272に接続される出力側信号線にも、子端末装置270を含めて上限台数(RS-485の場合、32台)の端末装置を接続できる。すなわち、子端末装置270を経由して上限台数を超える端末装置を接続することができる。また、上限台数の端末装置が接続された端末装置群を複数必要となるような通信システムにおいて、上位装置200から端末装置群毎に信号線を配線する必要がないので、配線コストを低減できる。
【0021】
送受信部275は、親端末装置260の第2親チャネル262から出力される信号を、第2子チャネル272を介して受信することができる。検知部276は、第2親チャネル262から出力される信号を、第2子チャネル272を介して検知することができる。
【0022】
制御部273は、検知部276で信号を検知できない場合、第1子チャネル271に入力された信号を第2子チャネル272から出力することができる。
【0023】
すなわち、子端末装置270は、親端末装置260が入力側信号線1から取得した信号と同じ信号を生成して出力側信号線1へ送出できない状態(例えば、障害の発生)、その状態を検知して、親端末装置260に代わって入力側信号線1から取得した信号と同じ信号を生成して出力側信号線1へ送出することができる。これにより、親端末装置260が障害で動作不能になっても、通信システム全体に影響を与えることを防止できる。また、複数の屋外用照明装置100を間にして親端末装置260と子端末装置270の組(中継システム250)を、
図1に例示したように、複数配置することにより、RS-485の規格で規定されている距離よりも長い距離に亘って屋外用照明装置100を接続することができ、長距離の通信システムを構築できる。
【0024】
上述のように、本実施形態の通信システムは、信号線上に複数の中継システムを備える通信システムであって、隣り合う前記中継システムの間の信号線に端末装置が複数接続され、各中継システムは、親端末装置及び子端末装置を備え、信号を中継し、前記親端末装置は、入力側信号線が接続される1つの第1親チャネルと、複数の端末装置が接続された出力側信号線が接続される1つの第2親チャネルと、前記入力側信号線を経由して前記第1親チャネルに入力された信号を前記第2親チャネルから出力する親制御部とを備え、前記子端末装置は、前記入力側信号線が接続される1つの第1子チャネルと、前記複数の端末装置が接続された前記出力側信号線が接続される1つの第2子チャネルと、前記入力側信号線を経由して前記第1子チャネルに入力された信号を前記第2子チャネルから出力する子制御部と、前記第2親チャネルから出力される信号を、前記第2子チャネルを介して検知する検知部とを備え、前記子制御部は、前記検知部で信号を検知できない場合、前記第1子チャネルに入力された信号を前記第2子チャネルから出力する、ように構成されている。
【0025】
図3は屋外用照明装置100の内部の要部構成の一例を示す側面図である。屋外用照明装置100は、箱体状の本体101を有し、本体101の一面側に底板104を設け、底板104の反対側に投光板(不図示)を設けている。X軸、Y軸及びZ軸を図示のとおりとする。すなわち、本体101の高さ方向をZ軸方向とし、本体101の長手側に沿った方向をX軸方向とし、紙面に対して垂直方向をY軸方向とする。本体101の内部は、2段構造となっており、固定部103には、LED駆動基板20及び制御基板30を取り付けてある。LED駆動基板20及び制御基板30の上方には、固定部102を設けてあり、固定部102に複数のLED基板10を取り付けてある。便宜上、信号線1及び電力線は図示していない。
【0026】
図4は屋外用照明装置100の内部の要部構成の一例を示す平面図である。X軸、Y軸及びZ軸を図示のとおりとなる。すなわち、本体101の長手側に沿った方向がX軸方向となり、本体101の短手側に沿った方向がY軸となり、紙面に対して垂直方向がZ軸方向となる。
図4Aは、LED基板10を上方から見た場合を示し、
図4BはLED基板10を外した状態を示す。LED基板10は、矩形状をなし、3個のLED11を一列に実装している。屋外用照明装置100には、4枚のLED基板10を一列に並べて構成したものを2列並べている。各LED11の光軸はZ軸方向に一致している。なお、LED基板10の数や配置、LED11の個数は
図4Aの例に限定されない。底板104には、屋外用照明装置100を所定箇所に取り付けるための取付孔を設けている。
【0027】
LED駆動基板20は、電力線から供給される交流を直流に変換し、各LED11に対して、所要の直流電流を供給することができる。
【0028】
制御基板30には、3軸加速度センサ31、コントローラ32、通信モジュール33、メモリ34を実装している。コントローラ32は、CPUやプロセッサを含み、屋外用照明装置100全体の制御を行うことができる。
【0029】
3軸加速度センサ31は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製されている。3軸加速度センサ31は、センサのX軸、Y軸、Z軸それぞれが、屋外用照明装置100のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に一致するように制御基板30に取り付けてある。これにより、3軸加速度センサ31のZ軸は、LED11の光軸方向に一致する。なお、3軸加速度センサに代えて、ジャイロセンサ(3軸ジャイロセンサ)又は6軸センサ(3軸加速度センサと3軸角速度センサ(ジャイロセンサ)を組み合わせたもの)を用いてもよい。
【0030】
通信モジュール33は、信号線1を介して、上位装置200との間で信号(データや情報が含まれる)の送受信を行うことができる。
【0031】
図5は屋外用照明装置100の設置の一例を示す模式図である。屋外用照明装置100は、例えば、破線で示す取付面に対して取り付けられている。
図5の例は、屋外用照明装置100が、例えば、トンネル内の壁面の所定箇所、道路脇の支柱の上部などに取り付けられた様子を模式的に図示している。屋外用照明装置100のZ軸方向は、路面の所要箇所に到達する。すなわち、LED11の光軸方向と重力方向とがなす角度θが所要角度になるように屋外用照明装置100を取り付けることにより、LED11の光軸方向が路面の所要箇所に到達するようになる。
【0032】
次に、屋外用照明装置100の動作について説明する。
【0033】
作業員が、屋外用照明装置100の取付を完了すると、コントローラ32の制御の下、3軸加速度センサ31は、屋外用照明装置100の取付状態を示すデータを検出し、検出したデータをメモリ34に記憶する。ここで、3軸加速度センサ31は、X軸、Y軸、及びZ軸それぞれの加速度を繰り返し(例えば、10ms間隔で100回など)検出し、検出した加速度の平均値を算出し、算出した平均値をX軸、Y軸、及びZ軸それぞれの加速度初期値としてメモリ34に記憶することができる。また、3軸加速度センサ31は、X軸、Y軸、及びZ軸の合成加速度を繰り返し(例えば、10ms間隔で100回など)検出し、検出した合成加速度の平均値を算出し、算出した平均値をX軸、Y軸、及びZ軸の合成加速度初期値としてメモリ34に記憶することができる。
【0034】
3軸加速度センサ31によるデータの検出及び初期値の記憶は、上位装置200から送信される信号に基づいて行ってもよく、取付完了後に作業員によるスイッチ等の操作に基づいて行ってもよい。これにより、作業員が、手作業で屋外用照明装置100取付状態を記録する必要がなくなり、作業員の負担を軽減することができる。
【0035】
コントローラ32は、通信モジュール33を介して、3軸加速度センサ31が検出したデータ又はメモリ34に記憶したデータを上位装置200へ出力することができる。出力するデータは、加速度初期値及び合成加速度初期値などの初期値だけでなく、経時変化後の屋外用照明装置100の取付状態を示すデータも含む。これにより、屋外用照明装置100の取付状態の初期のデータ(初期値)だけでなく、経時変化後の取付状態を示すデータを収集することができる。
【0036】
屋外用照明装置100の取付が完了した以降は、コントローラ32は、所定の周期(例えば、10ms間隔)で3軸加速度センサ31が検出するデータを監視し、屋外用照明装置100の取付状態に異常が検知された場合、異常を通知することができる。次に、取付状態の異常の検知について説明する。
【0037】
屋外用照明装置100の取付状態の異常は、例えば、取付角度の異常、振動の異常(正常でない振動)、及び落下方向の変位の異常の少なくとも1つとすることができる。屋外用照明装置100は、屋外の環境に晒されるので、例えば、気温変化、風雪、走行車両に起因する路面からの振動など様々な外的要因によって、屋外用照明装置100の取付金具のねじの緩み、腐食による屋外用照明装置100の制動力の劣化などが生じ、その結果として取付状態が変化するおそれがある。取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含むデータを検出し、検出したデータを収集するようにすれば、屋外用照明装置100の取付状態の異常を早期に検知することができ、予防保全に繋がる。
【0038】
図6は屋外用照明装置100の取付状態の異常の検出方法の一例を示す説明図である。コントローラ32は、上位装置200から取付状態の許容データを取得し、取得した許容データをメモリ34に記憶することができる。なお、許容データは、屋外用照明装置100の製造時にメモリ34に記憶してもよく、取付完了時に3軸加速度センサ31が検出したデータに基づいて算出した初期値を用いて許容データを算出してもよい。しかし、前述のように、多数の屋外用照明装置100を信号線で接続するような場合には、屋外用照明装置100の設置個所に応じて初期値も異なる可能性があるので、屋外用照明装置100の固有のIDと設置個所とを予め対応付けておき、取付完了後に上位装置200から許容データを送信する方が容易であり、設置個所に応じて適切な許容データを記憶することができる。
【0039】
図6に示すように、取付角度については、コントローラ32は、3軸加速度センサ31が検出した、屋外用照明装置100の取付状態により定まる方向と、基準方向との間の角度θが許容角度を超えた場合、異常を通知することができる。より具体的には、取付状態により定まる方向は、屋外用照明装置100の種類や取付箇所などに応じて適宜決定することができ、例えば、LEDなどの光源の光軸方向とすることができる。基準方向は、例えば、重力方向とすることができる。
【0040】
すなわち、Z軸方向の加速度と重力方向の加速度との差分に基づく角度θを算出し、算出した角度θが許容角度を超えたとき、異常であると判定することができる。例えば、角度をθとし、許容角度をθ1~θ2とすると、角度θ>θ2、又は角度θ<θ1のとき、異常を通知することができる。これにより、屋外用照明装置100の取付角度が許容角度を超えたときに、異常を検知することができる。取付角度が許容角度を超えると、屋外用照明装置100の取付ボルトの緩み等が生じ、屋外用照明装置100が壁や支柱から外れるおそれがある。本実施の形態では、そのような事態が発生する前に検知できる。
【0041】
振動については、コントローラ32は、3軸加速度センサ31が検出した、屋外用照明装置100の振動が許容振動量を超えた場合、異常を通知することができる。例えば、3軸加速度センサ31のX軸、Y軸、Z軸方向それぞれの角速度と、X軸、Y軸、Z軸方向それぞれの初期値との差分ΔX、ΔY、ΔZを算出し、算出した差分ΔX、ΔY、ΔZのいずれか1つが閾値を超えたとき、異常を通知することができる。これにより、屋外用照明装置100の振動量が許容振動量を超えたときに、異常を検知することができる。振動量が増加すると、屋外用照明装置100の取付ボルトの緩み等が生じ、屋外用照明装置100が壁や支柱から外れるおそれがある。本実施の形態では、そのような事態が発生する前に検知できる。
【0042】
落下方向の変位については、コントローラ32は、3軸加速度センサ31が検出した、屋外用照明装置100の落下方向の変位が許容変位量を超えた場合、異常を通知することができる。例えば、屋外用照明装置100の取付完了時に、3軸加速度センサ31が検出した落下方向(例えば、重力方向)の加速度の平均値を初期値とする。3軸加速度センサ31が検出した落下方向の加速度と初期値との差分ΔXYZが閾値(許容変位量)を超えたときに、異常を検知することができる。なお、屋外用照明装置100には、落下防止用にワイヤ又は鎖の一端が固定され、ワイヤ又は鎖の他端は壁や支柱等に固定されているので、屋外用照明装置100が地面や路面に落下することはないが、本実施の形態では、屋外用照明装置100が壁や支柱から外れた状態を検知できる。
【0043】
コントローラ32は、屋外用照明装置100の取付状態に異常があると判定した場合、異常があることを、屋外用照明装置100の固有の端末IDとともに、上位装置200へ通知する。なお、コントローラ32は、屋外用照明装置100の取付状態が正常であることを定期的に上位装置200へ通知してもよい。また、コントローラ32は、取付状態の異常の種別(取付角度の異常、変動、落下方向の変位)を特定することができる異常IDを端末IDとともに上位装置200へ通知してもよい。また、コントローラ32は、取付状態の異常の程度を、複数の区分(例えば、正常、軽度の異常、中程度の異常、重度の異常など)に分けて、どの程度の異常であるかを端末IDとともに上位装置200へ通知してもよい。また、コントローラ32は、取付状態の評価値(取付角度の数値、変動量、落下方向の変位量など)を示す実測データを端末IDとともに上位装置200へ通知してもよい。
【0044】
上述のように、コントローラ32は、3軸加速度センサ31が検出したデータが許容データを超えた場合、上位装置200に対して異常を通知することができる。これにより、屋外用照明装置100の取付状態の異常を早期に検知することができ、予防保全に繋げることができる。
【0045】
なお、上位装置200からの監視指令に基づいて、コントローラ32が屋外用照明装置100の取付状態に異常の有無を判定し、異常がある場合には、その旨を通知するようにしてもよい。これにより、上位装置200は、例えば、多数の屋外用照明装置100の異常の有無を一括管理することができ、定期的に異常の有無を監視することができる。また、屋外用照明装置100の点検作業を行う作業員の負担を軽減することができる。
【0046】
本実施の形態では、センサとして3軸加速度センサ31を用いる構成であったが、センサは3軸加速度センサ31に限定されない。例えば、センサとして超音波センサ又はレーザ距離センサなどの測距センサを用いることができる。例えば、屋外用照明装置100が、トンネル内の壁面に所定の間隔で並んで配置されている場合、屋外用照明装置100と路面までの距離、隣り合う屋外用照明装置100までの距離、道路を挟んで対向する壁面に取り付けられた屋外用照明装置100までの距離などを測距センサで検出し、検出した距離の変動に基づいて取付状態の異常を検知してもよい。
【0047】
本実施の形態は、トンネル内の照明装置や道路を照明する屋外用照明装置だけでなく、屋外で使用され、比較的高い箇所に設置されるような他の機器にも適用することができる。例えば、道路(高速道路など)の情報表示装置、鉄道の信号装置など、長距離に亘って配置される機器、あるいはスタジアムの照明、ナイター設備、公共施設に用いられる光源装置などにも適用することができる。
【0048】
本実施の形態の屋外用照明装置は、所定箇所に取り付けられる屋外用照明装置の取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含む取付状態を示すデータを検出するセンサを備える。
【0049】
センサは、所定箇所に取り付けられる屋外用照明装置の取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含む取付状態を示すデータを検出する。センサによるデータの検出は、外部の上位装置から送信される信号に基づいて行ってよく、取付完了後に作業員によるスイッチ等の操作に基づいて行ってもよい。
【0050】
取付状態は、取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含む。屋外用照明装置は、屋外の環境に晒されるので、例えば、気温変化、風雪、路面からの振動など様々な外的要因によって取付状態が変化するおそれがある。取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含むデータを検出し、検出したデータを収集するようにすれば、屋外用照明装置の取付状態の異常を早期に検知することができ、作業員が目視や触診によって個々に点検する必要がなく、屋外用照明装置の点検作業を行う作業員の負担を軽減することができる。また、予防保全に繋がる。
【0051】
本実施の形態の屋外用照明装置は、前記センサが検出したデータを記憶する記憶部を備える。
【0052】
センサが検出したデータは記憶部に記憶される。これにより、作業員が、手作業で取付状態を記録する必要がなくなり、作業員の負担を軽減することができる。
【0053】
本実施の形態の屋外用照明装置は、前記センサが検出したデータ又は前記記憶部に記憶したデータを上位装置へ出力する出力部を備える。
【0054】
出力部は、センサが検出したデータ又は記憶部に記憶したデータを上位装置へ出力する。出力部は、上位装置との間でデータや情報の送受信を行う通信機能を備えることができる。これにより、屋外用照明装置の取付状態の初期のデータ(初期値)だけでなく、経時変化後の取付状態を示すデータを収集することができる。
【0055】
本実施の形態の屋外用照明装置において、前記取付状態は、取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含む。
【0056】
取付状態は、取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含む。屋外用照明装置は、屋外の環境に晒されるので、例えば、気温変化、風雪、路面からの振動など様々な外的要因によって取付状態が変化するおそれがある。取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含むデータを検出し、検出したデータを収集するようにすれば、屋外用照明装置の取付状態の異常を早期に検知することができ、予防保全に繋がる。
【0057】
本実施の形態の屋外用照明装置は、上位装置から取付状態の許容データを取得する取得部と、前記センサが検出したデータが前記許容データを超えた場合、異常を通知する通知部とを備える。
【0058】
取得部は、上位装置から取付状態の許容データを取得し、通知部は、センサが検出したデータが許容データを超えた場合、異常を通知する。これにより、屋外用照明装置の取付状態の異常を早期に検知することができ、予防保全に繋がる。
【0059】
本実施の形態の屋外用照明装置において、前記許容データは、許容角度を含み、前記通知部は、前記センサが検出した、前記屋外用照明装置の取付状態により定まる方向と、基準方向との間の角度が前記許容角度を超えた場合、異常を通知する。
【0060】
許容データは、許容角度を含み、通知部は、センサが検出した、屋外用照明装置の取付状態により定まる方向と、基準方向との間の角度が許容角度を超えた場合、異常を通知する。取付状態により定まる方向は、屋外用照明装置の種類や取付箇所などに応じて適宜決定することができ、例えば、LEDなどの光源の光軸方向とすることができる。例えば、角度をθとし、許容角度をθ1~θ2とすると、角度θ>θ2、又は角度θ<θ1のとき、異常を通知することができる。これにより、屋外用照明装置の取付角度が許容角度を超えたときに、異常を検知することができる。
【0061】
本実施の形態の屋外用照明装置において、前記許容データは、許容振動量を含み、前記通知部は、前記センサが検出した、前記屋外用照明装置の振動が前記許容振動量を超えた場合、異常を通知する。
【0062】
許容データは、許容振動量を含み、通知部は、センサが検出した、屋外用照明装置の振動が許容振動量を超えた場合、異常を通知する。例えば、屋外用照明装置の取付時にセンサが検出した振動量の平均値を初期値とする。センサが検出した振動量と初期値との差分が許容振動量を超えたときに、異常を検知することができる。
【0063】
本実施の形態の屋外用照明装置において、前記許容データは、許容変位量を含み、前記通知部は、前記センサが検出した、前記屋外用照明装置の落下方向の変位が前記許容変位量を超えた場合、異常を通知する。
【0064】
許容データは、許容変位量を含み、通知部は、センサが検出した、屋外用照明装置の落下方向の変位が許容変位量を超えた場合、異常を通知する。例えば、屋外用照明装置の取付時にセンサが検出した落下方向(例えば、重力方向)の変位の平均値を初期値とする。センサが検出した落下方向の変位と初期値との差分が許容変位量を超えたときに、異常を検知することができる。
【0065】
本実施の形態の屋外用照明装置において、前記通知部は、前記上位装置からの監視指令に基づいて、異常を通知する。
【0066】
これにより、上位装置は、例えば、多数の屋外用照明装置の異常の有無を一括管理することができ、定期的に異常の有無を監視することができる。
【0067】
本実施の形態の屋外用照明装置において、前記センサは、3軸加速度センサ、ジャイロセンサ又は6軸センサの少なくとも1つを含む。
【0068】
センサは、3軸加速度センサ、ジャイロセンサ又は6軸センサの少なくとも1つを含む。これらのセンサは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて製作することができ、小型化が可能となるので屋外用照明装置内に組み込むことが容易になる。
【0069】
以上に開示された実施の形態及び実施例は、全ての点で例示であって制限的なものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 信号線
10 LED基板
11 LED
20 LED駆動基板
30 制御基板
31 3軸加速度センサ
32 コントローラ
33 通信モジュール
34 メモリ
100 屋外用照明装置
101 本体
102、103 固定部
104 底板
200 上位装置
210 変換装置
250 中継システム
260 親端末装置
261 第1親チャネル
262 第2親チャネル
263 制御部
264 バッファ
265 送受信部
270 子端末装置
271 第1子チャネル
272 第2子チャネル
273 制御部
274 バッファ
275 送受信部
276 検知部
【手続補正書】
【提出日】2022-01-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定箇所に取り付けられる屋外用照明装置の取付角度、振動、及び落下方向の変位の少なくとも1つを含む取付状態を示すデータを検出するセンサと、
前記屋外用照明装置の固有のIDと設置個所とを対応付けた対応情報に基づいて、設置個所に応じた取付状態の許容データを取得する取得部と、
前記センサが検出したデータが前記許容データを超えた場合、異常を通知する通知部と
を備える屋外用照明装置。
【請求項2】
前記センサが検出したデータを記憶する記憶部を備える請求項1に記載の屋外用照明装置。
【請求項3】
前記センサが検出したデータ又は前記記憶部に記憶したデータを上位装置へ出力する出力部を備える請求項2に記載の屋外用照明装置。
【請求項4】
前記取得部は、
上位装置から取付状態の許容データを取得する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の屋外用照明装置。
【請求項5】
前記許容データは、設置個所により異なる取付角度を含み、
前記通知部は、
前記センサが検出した、前記屋外用照明装置の取付状態により定まる方向と、基準方向との間の角度が前記取付角度を超えた場合、異常を通知する請求項4に記載の屋外用照明装置。
【請求項6】
前記許容データは、許容振動量を含み、
前記通知部は、
前記センサが検出した、前記屋外用照明装置の振動が前記許容振動量を超えた場合、異常を通知する請求項4又は請求項5に記載の屋外用照明装置。
【請求項7】
前記許容データは、許容変位量を含み、
前記通知部は、
前記センサが検出した、前記屋外用照明装置の落下方向の変位が前記許容変位量を超えた場合、異常を通知する請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の屋外用照明装置。
【請求項8】
前記通知部は、
前記上位装置からの監視指令に基づいて、異常を通知する請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の屋外用照明装置。
【請求項9】
前記センサは、3軸加速度センサ、ジャイロセンサ又は6軸センサの少なくとも1つを含む請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の屋外用照明装置。