(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056912
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】船舶構造
(51)【国際特許分類】
B63B 3/20 20060101AFI20220404BHJP
B63B 3/28 20060101ALI20220404BHJP
B63B 3/34 20060101ALI20220404BHJP
B63B 81/00 20200101ALI20220404BHJP
【FI】
B63B3/20
B63B3/28
B63B3/34
B63B81/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164909
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】391058082
【氏名又は名称】株式会社名村造船所
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】原岡 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】山口 正洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
(57)【要約】
【課題】点検設備に多額の費用を費やすことなく、ビルジホッパタンク内のクリティカルポイントとなる溶接部分の点検を行うことができる船舶構造を提供する。
【解決手段】トランスウエブ29における第1のトランスウエブ部材29Aの第1の連結縁部29Acと第2のトランスウエブ部材29Bの第2の連結縁部29Baとの溶接部分に沿って1つのサイドストリンガ31を設ける。サイドストリンガ31には、点検作業者Mがうつ伏せになってサイドストリンガ31上に横になっている姿勢で、耐力点検のクリティカルポイントCPとなる傾斜内側縁部29Abと直線状内側縁部29Bcとの溶接部分を点検するための点検用窓孔33を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻と内殻との間に設けられたビルジホッパタンクと、
前記ビルジホッパタンク内に船体の長手方向に間隔をあけて設けられた複数のトランスウエブと、
隣合う2つの前記トランスウエブの間に配置されて上下方向に間隔をあけて設けられた複数のサイドストリンガを備え、
前記トランスウエブが、
船体の外殻の側壁と底壁とに跨がって設けられ、前記外殻の内面に溶接される第1の外側縁部と、該第1の外側縁部と対向し且つ前記船体の中心に向かうに従って前記底壁との間の距離が小さくなるように傾斜する傾斜内側縁部と、水平方向に延びて前記第1の外側縁部と前記傾斜内側縁部とを連結する第1の連結縁部とを少なくとも有する第1のトランスウエブ部材と、
前記第1のトランスウエブ部材の前記第1の連結縁部に溶接される第2の連結縁部と、上下方向に延びて前記外殻の前記側壁に溶接される第2の外側縁部と、前記第2の外側縁部と対向して上下方向に直線状に延びる直線状内側縁部を有する第2のトランスウエブ部材備えている船舶構造であって、
前記第1の連結縁部と前記第2の連結縁部との溶接部分に沿って1つの前記サイドストリンガが設けられ、
前記サイドストリンガには、点検作業者がうつ伏せになって前記サイドストリンガ上に横になっている姿勢で、耐力点検のクリティカルポイントとなる前記傾斜内側縁部と前記直線状内側縁部との溶接部分を点検するための点検用窓孔が形成されていることを特徴とする船舶構造。
【請求項2】
前記点検用窓孔は、前記点検用窓孔を通して点検作業を行うことができる大きさを有している請求項1に記載の船舶構造。
【請求項3】
前記点検用窓孔は、前記点検用窓孔を通して前記点検作業者の頭部を前記サイドストリンガの下に入れた状態で前記点検作業を行うことができる大きさを有している請求項1に記載の船舶構造。
【請求項4】
前記点検用窓孔は、前記溶接部分の耐力に影響を与えず且つ前記溶接部分の点検が可能な位置に、第2のトランスウエブ部材の前記第2の連結部分に沿って形成された長孔からなる請求項2または3に記載の船舶構造。
【請求項5】
前記直線状内側縁部に隣接し且つ前記第2のトランスウエブ部材を貫通する複数の縦フレーム材のうち前記サイドストリンガに一番近い前記縦フレーム材には、前記点検作業者が装着した安全ベルトの取付金具を引っ掛けるための引っ掛けバーが固定されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の船舶構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルジホッパタンク内のクリティカルポイントとなる溶接部分の点検を行うことができる船舶構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平5-278674号公報(特許文献1)には、海洋構造物のバラストタンク内の点検作業装置に関する従来の技術が開示されている。この公報には、従来のタンク内点検作業装置としては、ボート方式、全面足場方式が採用されていると記載されている。ボート方式は、タンク内にゴムボートを搬入し、バラストポンプにてタンクの液面を上下に調節してゴムボートを上下移動させるものである。また全面足場方式は、工事対象場所へタンクトップから順次足場を架設していく方式である。ところが、上記従来のボート方式の場合は、船が水上に浮上している状態であること、バラスト変化に追従できる水深が必要であること、等から修理、点検の場所が常に限定されてしまうという欠点があると共に、タンク内部においてボートからの点検は可能であるが、不安定で工事作業はできないという問題がある。特に、ダブルハルタンカーの場合はサイドバラストタンクのタンク幅が狭いので、ボートを入れて浮上させることが困難である。また全面足場方式はタンク内に足場を架設していくので、熟練の足場工が多数必要であり、また、足場の架設、撤去が非常に危険を伴った作業であるという問題があった。そこで特許文献1に記載の点検作業技術では、随時作業点検を可能にするため、外殻板と内殻板との間に配設してある各トランスの上端部に所要大きさの開口部を設け、内外殻板間に配した水平ガーダに所要の大きさのガータ開口部を設ける。そしてトランスの上端部に設けた開口部の天井部に走行用レールを設置し、該走行用レールにゴンドラを吊下げたホイストを走行自在に支持させ、開口部a内を走行用レールに沿ってゴンドラを移動させる点検構造が提案されている。この構造では、ホイストの移動を停止した後にホイストよりゴンドラ吊下げ用ワイヤを繰り出し、ガータ開口部を通過させながらゴンドラを下降させ、任意の場所でゴンドラを停止させて、必要な点検、補修工事を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、作業者の作業性や、濡れているタンク内の状況を考慮して、ボート、足場、ゴンドラ等の特別機器や設備を用いることにより点検を可能にしている。しかしながらこの考慮のために、点検設備に多額の費用と時間を費やしている。
【0005】
本発明の目的は、点検設備に多額の費用と時間を費やすことなく、ビルジホッパタンク内のクリティカルポイントとなる溶接部分の点検を安全且つ容易に行うことができる船舶構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の説明では、理解を容易にするために、図面に記載の符号を付記する。本発明が対象とする船舶構造は、外殻1Aと内殻1Bとの間に設けられたビルジホッパタンク1Cと、ビルジホッパタンク1C内に船体の長手方向に間隔をあけて設けられた複数のトランスウエブ29と、隣合う2つのトランスウエブ29の間に配置されて上下方向に間隔をあけて設けられた複数のサイドストリンガ31を備えている。更にトランスウエブ31が、船体の外殻1Aの側壁と底壁とに跨がって設けられ、外殻1Aの内面に溶接される第1の外側縁部29Aaと、該第1の外側縁部29Aaと対向し且つ船舶の中心に向かうに従って底壁との間の距離が小さくなるように傾斜する傾斜内側縁部29Abと、水平方向に延びて第1の外側縁部29Aaと傾斜内側縁部29Abとを連結する第1の連結縁部29Acとを有する第1のトランスウエブ部材29Aと、第1のトランスウエブ部材29Aの第1の連結縁部29Acに溶接される第2の連結縁部29Baと、上下方向に延びて外殻の側壁に溶接される第2の外側縁部29Bbと、第2の外側縁部29Bbと対向して上下方向に直線状に延びる直線状内側縁部29Bcを有する第2のトランスウエブ部材29Bを備えている。
【0007】
本発明では、第1の連結縁部29Acと第2の連結縁部29Baとの溶接部分に沿って1つのサイドストリンガ31を設ける。そしてこのサイドストリンガ31には、点検作業者Mがうつ伏せになってサイドストリンガ31上に横になっている姿勢で、耐力点検のクリティカルポイントCPとなる傾斜内側縁部29Abと直線状内側縁部29Bcとの溶接部分を点検するための点検用窓孔33を形成する。点検作業前には、船級規則に従いタンク内の清掃を行うことで、点検用窓孔33の周囲に点検作業者がうつ伏せになって横になることは可能である。そして点検用窓孔33を通して、サイドストリンガ31上に横になった点検作業者が点検機器を溶接部分に近づけることにより、クリティカルポイントCPとなる溶接部分の点検を容易に行うことができる。その結果、本発明によれば、点検設備に多額の費用と時間を費やすことなく、ビルジホッパタンク内のクリティカルポイントとなる溶接部分の点検を安全且つ容易に行うことができる。
【0008】
点検用窓孔33は、クリティカルポイントCPとなる溶接部分の耐力に影響を与えず且つ溶接部分の点検が可能な位置に、第2のトランスウエブ部材の第2の連結部分に沿って形成された長孔からなるのが好ましい。
【0009】
点検用窓孔33は、当然にして点検用窓孔33を通して点検作業を行うことができる大きさを有している。また点検用窓孔は、点検用窓部を通して点検作業者の頭部をサイドストリンガ31の下に入れた状態で点検作業を行うことができる大きさを有しているのが好ましい。点検作業者の頭部をサイドストリンガ31の下に入れた状態で点検作業を行えば、目視による確認を無理な姿勢を取ることなく行うことができる。また点検用窓孔が、長孔であれば、点検作業者Mの手や頭をサイドストリンガの下に入れて点検作業を行う際に、点検作業者の手を動かす範囲を確保するのが容易である。また、ヘルメット、防塵マスクなどのタンク内の点検を行う際に必要な点検装備を装備した状態においても容易に確認することができる。
【0010】
また直線状内側縁部29Bcに隣接し且つ第2のトランスウエブ部材29Bを貫通する複数の縦フレーム材のうちサイドストリンガ31に一番近い縦通フレーム材には、点検作業者Mが装着した安全ベルトを掛けるための引っ掛けバーが固定されており、安全ベルトを引っ掛けバーへ掛けることにより、点検作業者Mが点検用窓孔33から落下することを防ぐとともに、サイドストリンガ31上を通行する際に誤って点検用窓孔33内へ落下することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】タンカーの船舶構造の一例を、一部を破断した状態で示す概略の斜視図である。
【
図2】
図1の要部の一部を拡大して透視した状態の斜視図である。
【
図4】点検作業者がクリティカルポイントを点検する際の状態を示す図である。
【
図5】点検用窓孔の詳細を説明するために用いる図である。
【
図6】点検作業者が点検装備を装着した状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して本発明の船舶構造の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0013】
図1は、タンカーの船舶構造の一例を、一部を破断した状態で示す概略の斜視図であり、
図2は、
図1のビルジホッパタンクの一部を拡大して透視した状態の斜視図である。
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の船舶構造1は、大きく見ると外殻1Aと内殻1Bとの間にビルジホッパタンク1Cを備えたものである。具体的に見ると、船舶構造1は二重船底3と、二重船側壁5とを備えたダブルハル構造であって、タンカーの進行方向(D1)に複数のタンクユニット7が並んで配置された構造を有している。1つのタンクユニット7の進行方向の両端には図示しない横隔壁が設けられている。
図1には、1つのタンクユニット7を示してある。
【0014】
タンクユニット7は、幅方向に2つのウイングタンク25a,25bとセンタータンク23とからなるビルジホッパタンク1Cを有している。各タンク23,25a,25b内には、輸送対象の重油等の流体が充填される。
図1に図示した第1の方向D1がタンカーの進行方向であり、進行方向と直交する第2の方向D2が幅方向であり、第1の方向D1及び第2の方向D2と直交する第3の方向D3が上下方向である。本実施の形態では、各タンクユニット7の長手方向の寸法L(2つの横隔壁間の距離)は約50m、幅方向の寸法W(船側外殻13,13間の距離)は約60m、高さ方向の寸法H(船底外殻9からデッキ21までの距離)は約29mである。
【0015】
二重船底3は、船底外殻9及び船底内殻11からなり、二重船側壁5は、船側外殻13及び船側内殻15からなる。なお船底外殻9と船側外殻13とにより外殻1Aが構成され、船底内殻11と船側内殻15とによって内殻1Bが構成されている。船底内殻11と船側内殻15の間には、両者をつなぐ中間内壁16が延びている。なお図面上は、作図上の問題から、外殻及び内殻の厚みを示していないが、船殻を形成する鋼板の板厚は、約18.5mmである。二重船底3及び二重船側壁5の内部スペースは、バラスト水を注入するバラストタンクとして機能する。1つのタンクユニット7は、船底内殻11、船側内殻15、進行方向(第1の方向)D1に延び且つ幅方向(第2の方向)D2に間隔をあけて配置された2つの長手隔壁17,17、進行方向D1と直交する幅方向D2に延びる図示しない2つの横隔壁及びデッキ21によって囲まれる1つのセンタータンク23と2つのウイングタンク25a,25bからなる。
図1では、センタータンク23と2つのウイングタンク25a,25bの内部構造は図示を省略してある。
【0016】
センタータンク23内には、2つの長手隔壁17,17のそれぞれに沿って、長手隔壁17と船底内殻11とデッキ21に結合された複数の垂直ウエブ27が進行方向D1に一定の間隔をあけて設けられている。
【0017】
タンクユニット7の二重船底3及び二重船側壁5内には、船底外殻9、船底内殻11、船側外殻13及び船側内殻15(本実施の形態では、さらに中間内壁16)に結合された複数のトランスウエブ29が、1つのウイングタンク25aまたは25bに対応して進行方向に間隔をあけて設けられている。なお、トランスウエブ29のそれぞれは、船側外殻13、船側内殻15及び中間内壁16に結合され、中央部分に軽量化のための貫通孔を有する第1のトランスウエブ部材29Aと、船側外殻13及び船側内殻15に結合された第2のトランスウエブ部材29Bと、船底外殻9及び船底内殻11に結合されたウイングタンク側の第3トランスウエブ部材29Cと、センタータンク側の第4のトランスウエブ部材29Dから構成されている。本明細書においては、これら第1乃至第4のトランスウエブ部材29A~29Dを合わせて1本のトランスウエブ29と表現している。なお1本の垂直ウエブ27と1本のトランスウエブ29は、幅方向に対向する位置にそれぞれ設けられている。また隣り合う2つのトランスウエブ29の間には、隣り合う2つのトランスウエブ29に溶接され且つ上下方向に間隔をあけて配置された複数のサイドストリンガ31が設けられている。
【0018】
第1のトランスウエブ部材29Aと第2のトランスウエブ部材29Bについて、更に具体的に説明する。まず第1のトランスウエブ部材29Aは、船底外殻9と船側外殻13(外殻1Aの底壁と側壁)とに跨がって設けられ、船底外殻9と船側外殻13の内面に溶接される第1の外側縁部29Aaと、第1の外側縁部29Aaと対向し且つ船舶の中心に向かうに従って船底外殻9(外殻1Aの底壁)との間の距離が小さくなるように傾斜して中間内壁16に溶接される傾斜内側縁部29Abと、水平方向に延びて第1の外側縁部29Aaと傾斜内側縁部29Abとを連結する第1の連結縁部29Acとを少なくとも有している。また第2のトランスウエブ部材29Bは、第1のトランスウエブ部材29Aの第1の連結縁部29Acに溶接される第2の連結縁部29Baと、上下方向に延びて外殻1Aの船側外殻13に溶接される第2の外側縁部29Bbと、第2の外側縁部29Bbと対向して上下方向に直線状に延びて船側内殻15に溶接される直線状内側縁部29Bcを少なくとも有している。
【0019】
本実施の形態では、第1の連結縁部29Acと第2の連結縁部29Baとの溶接部分に沿って1つのサイドストリンガ31が設けられている。そしてこのサイドストリンガ31には、
図2乃至
図4に示すように、点検作業者Mがうつ伏せになってサイドストリンガ31上に横になっている姿勢で、耐力点検のクリティカルポイントCPとなる傾斜内側縁部29Abと直線状内側縁部29Bcとの溶接部分を点検するための点検用窓孔33が形成されている。
図5に示すように、点検用窓孔33は、クリティカルポイントCPとなる溶接部分の耐力に影響を与えず且つ溶接部分の点検が可能な位置に、第2のトランスウエブ部材29Bの第2の連結縁部29Baに沿って形成された長孔からなるのが好ましい。
図5に示すように、長孔の形状は、例えば、長軸の長さが450mm、短軸の長さが350mm程度になるものが好ましい。この大きさであれば、点検作業者が点検用窓孔33を通して点検作業を行うことができ、点検用窓部を通して点検作業者の頭部をサイドストリンガ31の下に入れた状態で点検作業を行うことができる。点検作業者の頭部をサイドストリンガ31の下に入れた状態で点検作業を行えば、目視による確認を無理な姿勢を取ることなく行うことができる。また点検用窓孔が、このような長孔であれば、点検作業者Mの手や頭をサイドストリンガ31の下に入れて点検作業を行う際に、点検作業者Mの手を動かす範囲を確保するのが容易である。
【0020】
図6には、点検作業者Mの装備の一例を示している。点検作業者Mは腰に安全ベルトSBを装着し、左手に照明付きの拡大鏡HGを握り、右手に厚み測定器TIを握り、ヘルメットにはヘッドライトHLを装着している。また本実施の形態では、直線状内側縁部29Bcに隣接し且つ第2のトランスウエブ部材29Bを貫通する複数の縦フレーム材のうちサイドストリンガ31に一番近い縦フレーム材35に、点検作業者Mが装着した安全ベルトSBの取付金具を引っ掛けるための引っ掛けバー37が固定されている。このようにすれば縦フレーム材35を利用して引っ掛けバー37を好ましい位置に固定することが可能である。
【0021】
点検作業前には、サイドストリンガ31は濡れた状態にあるものの、船級規則に従いタンク内の清掃を行うことで、点検用窓孔33の周囲に点検作業者Mがうつ伏せになって横になることは可能である。
図4に示すように、点検作業者Mは、安全ベルトSBの金具を引っ掛けバー37に引っ掛けた後、サイドストリンガ31上にうつ伏せになり、点検用窓孔33を通して、点検作業者Mが点検機器(HG,TI)を溶接部分に近づけることにより、クリティカルポイントCPとなる溶接部分の点検を容易に行う。このようにすれば、点検設備に多額の費用と時間を費やすことなく、ビルジホッパタンク1C内のクリティカルポイントCPとなる溶接部分の点検を行うことができる。
【0022】
上記実施の形態は、ダブルハル構造のタンカーに本発明を適用したものであるが、クリティカルポイントを有するトランスウエブとサイドストリンガを備えた船舶であれば、船舶の大小を問わず、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、点検設備に多額の費用と時間を費やすことなく、安全にビルジホッパタンク内のクリティカルポイントとなる溶接部分の点検を行うことができる
【符号の説明】
【0024】
1 船舶構造
1A 外殻
1B 内殻
1C ビルジホッパタンク
3 二重船底
5 二重船側壁
7 タンクユニット
9 船底外殻
11 船底内殻
13 船側外殻
15 船側内殻
16 中間内壁
17 長手隔壁
23 センタータンク
25a,25b ウイングタンク
29 トランスウエブ
29A 第1のトランスウエブ部材
29B 第2のトランスウエブ部材
31 サイドストリンガ
33 点検用窓孔
35 縦フレーム材
37 引っ掛けバー